宮崎あおい出演ドラマの評価は過剰である

宮崎あおいの出演したドラマはすごく人気だったという意見がネットやマスメディアでなされている。しかし、私はそれらの意見が過剰ではないかと思う。

　ネットやマスメディアで記述されている宮崎あおいの人気に関する記事は「篤姫が空前のヒット」とか「純情きらりで非常に高い視聴率をとった。」などとするものがある。

　確かに、宮崎あおいが出演したドラマの人気は平均視聴率という観点で人気だといえる。宮崎あおいがTV放送ドラマで出演するのはなぜかわからないがNHKばかりだ。NHKで出演したドラマで有名なのは朝の連続テレビ小説「純情きらり」(2006年上半期)と大河ドラマ「篤姫」(2008年)で、純情きらりの平均視聴率が19.4％、篤姫が24.5％だ。

　視聴率が約20%の作品で人気があるヒット作品とされるのだから、純情きらりも篤姫もテレビ番組の平均的な視聴率という観点では人気があるといえる。

　しかし、朝の連続テレビ小説や大河ドラマで20～25%の視聴率をとったからといって「空前の人気」とか「非常に高い人気」といえないと思う。むしろ、歴代の朝の連続テレビ小説や大河ドラマの人気と比較した場合、「純情きらり」や「篤姫」はそれほど高い人気とはいえない。

　朝の連続テレビ小説(以下、朝ドラと略す)の視聴率をワーストから順にならべると、

1.瞳(2008年上半期)：15.2％
2.ちりとてちん(2007年下半期)：15.9％
3.天花(2004年上半期)：16.2％
4.ファイト(2005年上半期)：16.7％
5.芋たこなんきん(2006年下半期)：16.8％
6.わかば(2004年下半期)：17.0%
7.風のハルカ(2005年下半期)：17.5%
8.てるてる家族(2003年下半期)：18.9％
9.純情きらり(2006年上半期)：19.4％
9.どんと晴れ(2007年上半期)：19.4％
（データは参考[1]より）

である。
　「純情きらり」は歴代ワースト9位（78作品中）で、歴代朝ドラの中では悪い方である。ワースト9位まではすべて2003年下半期以降の作品で、近年の朝ドラ視聴率低下を浮き彫りにしている。「純情きらり」の19.4%はこのような視聴率低下の中の作品に比べれば高いし、BS放送などが浸透したため視聴者がBSでの先行放送に流れたという要因も考えれるが、1993年以前は30%越えが当たり前だったことを考えると、19.4％は朝ドラとしては悪い視聴率といえる。

　篤姫の人気も大河ドラマの中では平均かやや高いくらいで、決して空前のヒットではない。大河ドラマは篤姫まで47作品あるが、篤姫の視聴率順位は17位である。

　24.5%と同程度の視聴率というのがどの程度か明確でないが、仮に3%低い21.5％以上の視聴率の作品になると、24作品となり半数を超える[2]。

　参考[1][2]を見ればわかるとおり、朝ドラや大河ドラマはもともと視聴率が高めにでるものであり、その中で19.4％や24.5％の視聴率をとったからといって「空前の人気」「非常に高い人気」と評価するのは過剰である。

　朝ドラや大河ドラマは話がつまらなくない限りは通常高視聴率ではないか。つまり、篤姫や純情きらりの視聴率は宮崎あおいの演技がよいからというのではなく、話が面白いとか他の豪華俳優人の演技がよい等別な要因の方が大きいと思う。篤姫や純情きらりの視聴率が一般ドラマに比べてよかったことは、せいぜい宮崎あおいの演技力が悪くなかったと示す程度にとどまると思う。

　マスメディアやネット上での宮崎あおいの評価は過剰評価だと考える。　

参考
[1]朝の連続テレビ小説の視聴率はビデオリサーチの調査(2008.10.7)によった。
[2]大河ドラマの視聴率は”社会実情データ図録"によった。