世界変動展望

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経済学と関連領域の学術誌ランキングと不公正な審査について

2014-11-19 01:07:50 | 経済

経済学と関連領域の学術誌ランキング」(German Economic Review 9(4): 402–430)という報告があります。前に「国内の経済学者、経済学研究機関トップ25%のランキング」、「経済学の学術誌と研究機関のランキング」という記事を書いたことがあります。全部異なるランキングで、経済学分野はいろいろランキング調査をしている人や団体があるようです。ある経済学者のリストをみると経済学分野でもトップジャーナルに掲載される事が高評価というのはまず間違っていないのでしょう。

経済学は文系の中でインパクトファクターがつく雑誌が数多くあります。リンク先のトップジャーナルのリストを見ると経済学はIFが約1.5以上のものが多いと思います。3以上だとかなり高い方です。生命科学系だとIF10以上、非生命系の理系だとIF5以上をトップジャーナルとする大学があります(リンク先p3(1)①)。リンク先では他に国際学会の基調講演、基盤研究(A)以上の競争的資金の獲得、受賞歴等で評価するようです理学系の資料では教育歴を審査されるようです。たぶんこれは大学ポストならどこでも同じだと思います。

最近このような資料を調べているのは学位、予算、人事審査で不公正な審査が珍しくないのではないかと危惧したからです。プログラムが作成した無意味な論文を著名学会や出版社が多数掲載してしまった事件悪質なオープンアクセスジャーナル、捏造・改ざん論文の問題など金儲け等を動機としてでたらめな査読を行っている学術誌等がいくつも存在します。

小保方晴子に代表される早稲田大学の大量盗用博士論文事件ある環境経済学者の悪質な不正行為など学位や人事の審査においてもでたらめを行う実態があり、このままだとでたらめを行った人物ほど得をするという非常に不公正なことになりかねません。現にある環境経済学者は悪質な不正論文等でアカポスを得たわけで、このような不公正さは現在も一部ですでに発生しています。

学術分野が細分化して論文内容の判断が難しく、論文数やIF、引用回数といった側面で評価せざるを得ないという事を言う研究者がいると思います。小保方晴子の博士論文審査の欠陥でも大槻元早大教授が学術分野の細分化を原因とする内容判断の困難さからレフリーの審査を重視するという考えを述べました。前に述べたようにIFは学術誌に対する評価であって論文に対する評価ではありません。ネイチャーやサイエンスといった超一流誌の雑誌でも引用件数をあまり稼がない論文があります。

審査において論文内容の審査をもっときちんと行う事は学位、予算、人事の公正さ、組織や日本の研究力を向上させるために重要だと思います。分野が細分化して論文内容の判断が難しいなら勉強すればいいんじゃないですかね。というのは簡単ですがね。現実に努力しないと改善しないでしょう。少なくとも主に論文数だけで評価するのはまずいでしょう。