世界変動展望

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阿部首相は続投すべきか

2007-08-01 03:55:47 | 政治・行政
 阿部首相は続投すべきか。報道では、参議院選挙での大敗北は「阿部首相にやってもらいたくない。」という国民の意思であるのは明白だとしている。一方で阿部首相は、自身の政策の基本路線は国民に受け入れられていると考えいる。故に続投を表明し、国民の審判は「閣僚や自民党役員の大改造を求めている」と解釈した。ただ、首相辞任という声もあることも認識しているようだ。世論と首相の考えの違いから阿部首相は鈍感なのではないかと考える人も多いようだ。
 私は参議院選での大敗の原因は阿部首相のカリスマ性が十分でない面も確かにあるのではないかと思う。しかし、それが主な要因ではないと考える。大嶽秀夫同志社女子大教授は参議院選の敗戦をこう分析する。「短期的に見れば年金問題や閣僚の失言などが大きな影響を与えたことは否定できない。しかし、その敗北はより構造的な背景に起因している。小泉前政権が01年参議院選、05年総選挙で獲得した無党派層の支持を失うと同時に、固定的な支持層にも離反されて大敗を喫した。小泉政権が断行した都市有権者に比重を置いた政権で地方の公共事業削減等を行い地方の支持層を動揺させた。その上、市町村合併で自民党国会議員の集票に重要な地方議員の数を削減して党の足腰を弱めた。小泉さんはカリスマ性でその負をカバーできたが、阿部さんはそれができずに敗北したといえる[1]。」小沢氏は従来の自民党型選挙でその負をうまくついて1人区で自民党に大勝したわけだが、民主党の政策が受け入れらたわけではない。
 そのように考えると、今回の参議院選挙敗北は短期的、構造的な「敵失」の結果で政権交代を求められた結果でない。一番重要な要因は阿部首相の不適格ということではないように思われる。私は首相を行う上で小泉さんのようにカリスマ性があるのはよいことだと思うが必ずしもそれが必要だと思わない。過去にカリスマ性がなくてもリーダーを立派に務めた人はたくさんいるからだ。だから阿部さんがそういう資質を持っていなくてもよいと考える。参議院選での敗戦原因を総合的に考えて阿部首相続投を私は容認できる。しかし、自民党も以前の政権での失策で大敗した部分もあるのだから、そこはきちんと改めていただきたい。今後の自民・民主の政策展開を見て、よりよい日本を作るのはどちらなのかということを考えたい。

参考
[1]大嶽秀夫:"河北新報でのコメント" 河北新報 2007.7.31