legno-Diario-自閉症児は不思議生命体-

~自閉症のすーさん(小学1年生)といい婆さんのなんでもかんでも~

お知らせ「15の夜」~いじめられているきみへ

2007-02-12 07:53:08 | 障害について

「15の夜」~いじめられているきみへ~監修内山登紀夫先生(よこはま発達クリニック医院長)

    (詳しいことは↑の画像をクリック)


今週と来週の2回(前編・後編)にわたり、

週刊少年マガジンに、

「15の夜~いじめられているきみへ」という、

アスペルガー症候群の男子生徒が主人公の連載が掲載されます。


監修は内山登紀夫先生(よこはま発達クリニック医院長)


前編はすでに先週の2月7日(水)には発売しているので・・・

関心のある方は今すぐゲットしないと次週分が出てしまいますぞよ。


うちは、昨日このことを知って昨夜外出の帰り道

ampmで購入しました。(一冊250円です)


マガジンは陳列棚にはなく、棚の下に平置きになってました。

アダルト雑誌を黙って読んでいる紳士に声をかけ

横に一歩どいてもらってGet!


しかし、昨日はまたまたチャレンジを試みた日でしたので、

寝てしまい、まだ・・・読んでいません。(ごめんなさい)


一年前まで毎週水曜日に週刊少年マガジンをイソイソ購入していた爺さんが

「やっぱ、マガジンはすごいな。読んでみないとわかんないけど、

この手の話を取り上げることがすごいと思うなぁ」
・・・と申しておった。


同感である。



あなたの判定、A・B・C??

2007-02-09 12:45:56 | 障害について
まだ正月気分も抜け切らない1月の初旬、市役所の障害者支援課から封書が届いた。

「そうか、すーさんの療育手帳の更新だったなぁ」

わかっていたが、2007年が始まったばかりなのに・・・。

療育手帳の新規取得と更新手続きの違いと言えば、特別児童扶養手当の手続きが手帳の更新とほぼ同時に行われること位か?

詳しい手続きなどは地方自治体で違うだろうが・・・。

そして、もう1つ、すーさんの

障害についての診断書を
*児童相談所の判定医に書いてもらうか?

*かかりつけの医師に書いてもらうか?

どちらかを選択できることじゃった。


ご存知のようにすーさんは睡眠障害も持ち合わせておるので毎日薬を服用しておる。

かかりつけの精神科医と言えば「ワンちゃん先生」である。



ドックすっかなぁ~~~(うぅ、サブいダジャレ)・・・婆さんは迷った。



で、友に意見を聞いてみた。

友の自治体では診断書をかかりつけの医師に書いてもらうという選択肢はないとのことだった。

友の話を聞いているだけで、わしの視界ゼロの心はなんとなく晴れてきた。

少なくとも2年前の児童相談所の判定医がすーさんを全く見ることなく

自分の病院のチラシを渡したりするような不愉快な思いをしないで済むならば、

ワンちゃん先生に診断書を書いてもらう方がよかろう・・・と。

こういう時の細かい母の迷いに応えてくれる友がいてくれるのは、

本当に有難いことじゃ・・・と痛感した。



そして、2月2日金曜日、保育園をお休みさせたすーさんを連れて児童相談所へ向かった。

勿論、編み爺さんも一緒じゃ。

すーさんには「1:児童相談所 2:イチゴを食べに行く(調子が良ければイチゴ狩りをしよう」

と、はっきり伝えた。

児童相談所に行って何をするのかすーさんにはぜんぜ~~~んわかっちゃないが、

それでも行き先、スケジュールをきちんと伝えることで動揺や拒否をする様子はない。

それだけ・・成長したんだなぁ~~。



児童相談所の心理士の先生は、2年前のガス先生であった。

すーさんと婆さんがいた待合室に2年前と同じ

ものすごーーくやんわり元気に迎えに来てくれたガス先生。



ガス先生: すーさん、おばちゃんと一緒に2階に行こうか?(すーさんに片手を差し出す)

すーさん: はい 階段で行きます。(ガス先生と手をつなぐ)

ガス先生: あれ~~、すーさん、2年前は全然ダメだったのに。嬉しいなぁ。


確かに、すーさんの反応は2年前とは違って友好的じゃった。


しかし、すーさんが突然ガス先生に向かって意味不明な言葉を・・・







「手 が くさい」



ガス先生: えっ?なになに?





婆さん: がっはっはっはっは・・・すいません。

ガス先生: うん? すーさんは何を言ったの?




婆さん: いや~~、誠にお恥ずかしい。それを読んだらしいです。



---------以下解説のみでガス先生には話さなかった--------


「土足でお上がりください」


解説致しますと濁点が苦手なであり、読める濁点ひらがなが少なく、そして今は急いで読んだのでこうなりました。





こうなったわけでして・・・。

手をつないでくれているのにいきなり


「て が くさい」 とは・・・やはりタコである。


タコと一緒にいると何かと疲れる。(笑)


-----------    人騒がせな奴であった      ----------






2階の個室のドアを開けたガス先生。

ガス先生: すーさん、おばちゃんと二人ででいい?お母さんは外でもいい?

すーさん: ・・・・・(かなり不安そうな顔)

ガス先生: いやならお母さんも一緒に入ろうか?

すーさん: はい!

ガス先生: じゃ、すーさん、好きな所に座っていいですよ。

すーさん: おべんきょう します!!

ガス先生: まぁ、お勉強だなんてよくわかるのね。

すーさん: (ニヤッ) さぁ、はじめましょう。

(婆さん、思いっきり吹き出しそうになる)


ガス先生: じゃ、2年前にできなかったことからやりましょうね。

ガス先生は小型のトランクから検査道具を取り出し始めた。



田中ビネー・・・・である。


,

問題に対して相変わらず「できそうなものはやる」「できそうにないものは始めからオチャラケ」のすーさんであった。

爺さんも近隣の駐車場に車を置いて遅れて部屋に入って来た。

爺婆への普段の生活についての事情徴収を間に挟みながらの何個目かの問題。











ガス先生がお手本を見せてくれる。






すーさん、鉛筆で線らしきものを終点を気にせずに描き、余計な物まで描きおった。


問題に集中させるため、2年前には既にアルファベットが読めたと言うすーさんの資料を基に

ガス先生はアルファベットのおまけをつけてくれた。





にもかかわらず、椅子にちゃんと座らずに体をずり落としながら鉛筆を持ったままダレる奴。


婆さんは問題には一切口を挟まないでいたが、

奴のその態度にはなんか一言言ってやりたくてウズウズしておった。


しかし、ガス先生からの事情徴収に真剣に応じておるので婆さんの口はそっち専用であった。



既に鉛筆を置いて席を立った奴。

なにやら線引きの問題を覗き込む奴。


紙に書いてある「A」を指差し





婆さん: はいはい、そうそう・・・(なま返事)


続けて





婆さん: そうだねぇ~、Cはキャンディー・・・・・えっ??なんじゃ??今、なんて言った??


婆さん: まさかと思ったんですけど、今、すーさん・・・・


ガス先生: どうしたの?


婆さん: 今、Aはりんご Cはキャンディーと 言ったんです。AはAPPLE CはCANDY を理解しているようで・・・(ハァハァ、興奮中)









すーさんは淡々と議事進行中。


婆さん: 今、Dは犬って言ったの聞こえた??(爺さんに告ぐ)


婆さん: ほらっ、FはFROGだから蛙  (ハァハァハァ、さらに興奮中)




ガス先生: 私ね、ほんと面白いと思うのよ。こういう子達と共有できるものを探すことが面白くて仕方ないの。


(ガス先生のお話の最中にもボソッとすーさん一言)






婆さん: 私はすーさんに「りんごはAPPLE」だとか「蛙はFROG」だとか一切教えてないんです。


爺さん: どこで覚えたんだろうね?


婆さん: ノンタンのDVDとかで覚えたとしても「Aはアップル」とは言わず「Aはりんご」と言う所がなんか怖いぞよ。


ガス先生: よかったじゃない、こういうことをきっかけにして共通の会話が楽しめるし。


婆さん: そうですねぇ、こんな風に理解しているとは思ってもいませんでした。


ガス先生: だからね、すーさんみたいなタイプのお子さんの知能検査なんていくらやってもちゃんと測れるもんじゃないのよ。


婆さん: 確かに。





婆さんも発達障害を持つ親御さんも幾度となくこんな風に思ったに違いない。




1時間30分に渡る「面接」と「参考程度の知能検査」が終わった。


やはり、コミュニケーションの部分と生活面(排泄・食事・着替え等)での介助の度合いが高いということを見て下さったガス先生はおっしゃった。


ガス先生: 一応、会議にはA判定(重度)で押してみますが、もし、B判定(B-1:中度)ってことになったとしたら一年後に再判定ってことにしましょうか?


爺婆、異議なしであった。


検査室から親子3人とガス先生が出てお別れのご挨拶でもしようかと思った時、

ガス先生は普通におっしゃった。

ガス先生: お母さん、冷静  ね



久しぶりに聞いた言葉じゃった。

2年前の自閉症と診断された頃もちょくちょくそう言われた。

褒め言葉なのか、今後の注意を促す言葉なのかはその当時はわからなかった。

だから、かなり力を入れて「冷静」っていう言葉に対して返答していた気がする。



しかし、もう、そんなことはせず「あっはっはっは、そうですか?」とサラリとスルーできるようになった。

これが婆さんの成長か?(笑)





昨日の午前中、ガス先生から判定が下りたとお電話を頂戴した。


B-2 中度

ということであった。



電話の最後にガス先生が


ガス先生: この話はこれで終わりですけど、教材のことで又電話するかもしれないけどいいかしら?


婆さん: もちろん です。


ガス先生: その時は児童相談所の人間としてではなく、全然関係ない人間としてお電話するから。


婆さん: ありがとうございます、喜んで。



療育手帳の判定・更新の際には「数値・度合い」に焦点を絞り、

判定する側も判定される側もピリピリするものじゃ。

婆さんもかなり手帳の更新のお知らせを読んでからキーキーおさるしていたと思う。

でも、診断書を快く引き受けてくれたワンちゃん先生も児童相談所のガス先生も

診断しにくい・判定しにくい「自閉症児すーさん」をプロの目で正確に診て下さったと思う。

正式な知能検査をしたわけではないが、

正式な知能検査をした所で

すーさんの生きていく上での”困難数値”を叩き出すことはできないことを

よーーーくご存知であったことを改めて知り、嬉しく思う婆さんであった。





【追伸】

今回の一連の手帳の更新を経験し、

IQ(知能指数)が一定レベル以上であるがために手帳を手にすることができない

発達障害児の数は想像以上であるだろうと思うのである。

前々回の記事に登場したピョン君もその1人であろう。

知的障害がなければ「普通」なのか?

甚だ疑問に思うのだ。

数値や度合いで示すことができない発達障害。

不思議生命体である。

その不思議生命体と毎日向き合い、共に生活をする家族に、

こぼれ落ちるほどの労いと不思議生命体の面白さを提供している親御さんのブログに敬意を表したい。



「わかる」からツライのさ

2007-01-30 12:19:47 | 障害について

「あの中では『すーさん』は重い方だね。」

前回の記事のバスハイクから帰宅した爺さんがポツリと言った。

婆さん: そうじゃな。・・・・・だけどもよ、爺さんや・・・。

その先の言葉は・・・爺さんも婆さんも同じだった。


前回の記事では書けなかったことをお話したい。


千葉県立現代産業科学館から千葉県西部防災センターへ向かうバスの中でのことじゃった。


すーさんは窓際、その隣に婆さん、通路を挟んで爺さんが座った。

後ろの列には、千葉県立現代産業科学館では何も問題がないとわしらには見えた

小学校2年生だという元気なピョン君と年長さんだというピョン君の弟君とお母さんが座っていた。

いずれも婆さん一家とは初対面の間柄である。

ピョン君に障害があるのか?ピョン君の弟君に障害があるのか? それもわからない。


道中、皆が退屈しないようにと親の会のお母さんが手作りビンゴゲームを用意してくれていた。

内容は簡単である。



25個のマス目だけが書かれた紙が配られ、その中に鉛筆で

1から25の数字を書く  ただし、 同じ数の数字を書き入れないように

それだけのことであった。


ピョン君は一言「簡単だよ」  そう言って数字を書き進めた。


(後方のことなので婆さんには見えないが)


「もう~やめた~! ヤダ!!」


どうやら、ピョン君・・



同じ数字を書いてしまった・・・らしい。


ピョン君は並べる。

「つまんない」

「おもしろくない」

「だから、いやなんだよ」

「もう、やめる」

「絶対、やらない」



でも、ピョン君のお母さんは言う。

ピョン君母: やり直せばいいじゃない




「やだ、もう、やらない」




ピョン君母: すいませ~~~ん、間違えちゃったのでもう一枚紙を下さい。




ピョン君の母の手に新しい25個のマス目がある紙が届く。

ピョン君の母は、ピョン君が間違えて同じ数字を書いた紙を握り潰す。




ピョン君母: ほらっ、これにまた書けばいいのよ。それだけでいいのよ。



それだけ・・・・・・・。


それだけ・・・が・・・・・ピョン君にはできないのである。







このことができなかった時点でピョン君の「これから」が完全シャットアウトされているのである。


ビンゴゲームを進行して下さるお母さんもピョン君のパニックの行方を見守っている。


ピョン君母は、続ける。


「間違ってもやり直せば済むことなのよ」


ピョン君母の説得を婆さんは頭を下げながら神妙に聞いていた。


説得は続く・・・続く・・・・


ピョン君の拒絶も続く・・・続く・・・・



「僕は もう しない、やらないって言ったらやらない」




すーさんには「この紙に25までの数字を書く」と言う指示さえ理解できないはずだ。

だから、1から25までの数字は婆さんが書いた。

でも、すーさんはその紙の中で「9に○をして」と言えばできる。

ゲームをしているという実感はないままに・・・・でも。




ビンゴゲームが終了し、1から25までの数字が書かれた紙は缶の中に回収された。


その中にピョン君母がクシャと握り潰した紙が入れられた。


ピョン君は「もう~~やめた!」と言った時から脱却できずに目的地に到着してしまった。



婆さんは期待した。


バスを降り、千葉県西部防災センターへ入ることでピョン君に何かが変わることを。


きっと・・・変えられるはずだ。



でも、やっぱり問屋はそう簡単に卸してくれなかった。




千葉県西部防災センターの廊下を歩きながら

「ゲームなんて全部つまらないィィィィイィ」


そう言って、ピョン君は自分の頭をきつく握った拳で殴る

何度も・・・何度も・・・・


「うわっ」 (婆さんは思わず声を漏らした)


ピョン君母は「やめなさい」と言いながらピョン君の握り拳を掴む。


ピョン君は右手をお母さんから振りほどき、

千葉県西部防災センターの白い壁に躊躇せずに頭を打ち付けた


「イテっ」 (婆さんはきっとそう漏らしていたに違いない)


これが・・・・自傷    か



婆さんは初めて見たのだ、自傷を・・・・。


コンクリートの壁に頭を打ちつけ「ゴツン」と鈍い音をさせても本人には痛いという感覚が全くないことを・・・知った


もう、やめておくれ。ピョン君の願いは全部聞くからやめておくれ。






控え室に到着して、そこそこ綺麗な案内嬢の話が始まってもピョン君は合いの手のように言う。

「どうせ、つまんないでしょ?」

案内嬢はその絶妙な合いの手に1秒困惑したが、話を続けた。



ピョン君の震度7の地震体験をわしは固まっているすーさんを膝に乗せて見ていた。

ピョン君は震度7の揺れに我を取り戻したように見えた。

体験部屋から出てきたピョン君は「あんましおもしろくなかったよ」と言いながら笑っていた。


ピョン君のそんな投げやりな言葉に安堵する婆さんであった。





問題は帰りのバスであった。





手遊びを取り入れた「ジャンケンゲーム」が始まった。

ビギナー婆さんでもジャンケンという勝ち負けがはっきりするものに対してのピョン君の反応が気になった。

しかし、ピョン君は始めから

「僕はやらないよ、ジャンケンなんておもしろくない」

と・・・不参加であった。

ジャンケン大会が進み、

「次のジャンケンで勝った人には賞品をあげるからねぇ」 の時、

それまで「おもしろくないゲームなんかやらない」と何度も宣言していたピョン君が

いきなり参戦。






相手は




ピョン君は




ピョン君は「勝ち」である。




でも、それは「勝ちであって勝ちでない」





「どうして僕は勝ったのに賞品がもらえないの」

「僕は間違ってない!!」




「だから、やりたくないんだよ、ゲームなんて」





ピョン君は爺さんと婆さんの間にセットしようとしていた補助椅子を蹴り上げる

婆さんが補助椅子を元の場所に納めるとバスの前方にダッシュ!


懸命に自分が賞品をもらえないと言われたことと戦っている。

ピョン君母もそんなピョン君と向き合おうと必死だ。



ピョン君のことを何も知らない人は、

「癇癪持ちのわがまま坊や」 と 思うだけであろう。







ゲームを進行してくれたお母さんがピョン君の席にやってくる。

「わかった、おめでとう、プレゼントあげよう」


今度はピョン君母が初めて強い口調でピョン君に言う。


「途中から参加した人はプレゼントはもらえないの」


「だって、僕、勝ったんだよ。どうしてもらえないの?」


「最初から参加した人がもらえるの、だからあなたはダメ」






わぁ~~~~~~





ピョン君は初めて涙を見せた。

ゲーム進行のお母さんはピョン君が勝ったことを認めプレゼントを渡そうとしてもピョン君母は断り続けた。



「あなたにはもらう資格はない!」 と・・・・



婆さんの膝の上で抱っこされているすーさんが正面にいるピョン君を見てわしに言う。



すーさん; 「だいじょうぶ?? 泣いちゃったねぇ」



婆さん: お兄ちゃんに言ってあげれば?


すーさん: 泣かない   泣かないよ    だいじょうぶだよ


すーさんの声はピョン君には届かなかった。



ピョン君は大きな音にも初めての場所にも順応できるし、楽しめる。

知的障害もないとどこでも判定されるであろう。

障害のない子供に見えるはずだ。



でも・・・・・ピョン君は障害があるのだ。

障害があるから・・・苦しんでいるんのじゃ。


理解できる分、ツライのである。




【追伸】

知的障害のない高機能自閉症・アスペルガー症候群・LD・・・・。

彼らも苦しいのである。

彼らの親御さんもツライのである。

障害に程度はやはり関係ない。


わしらは、その苦しみやツラさにどう関われるのか?

どう向き合えるのか?

改めて、支援の形を考えるようになった。