八ヶ岳の設計事務所 アトリエリーフの『たてものブログ』

八ヶ岳での家づくりや暮らしの話題を中心に、あれこれ綴っています。

すみだ北斎美術館

2017-04-25 | たてもの

フィルムカメラを受け取り、写真展を渡り歩き、大型カメラ店で新しいカメラを物色し・・・ と、東京ではカメラのことばかり・・・だった訳ではなく、新しい建築も見学して来ました。昨年両国に誕生した 「すみだ北斎美術館」 です。 設計は、パリのルーヴル・ランスや金沢21世紀美術館などを手掛けた妹島和世さんです。

最大の特徴はこのシルバーメタリックの外観で、アルミパネルが空の色や周囲の風景などを“微妙に”映し込み、時間や天候や見る角度によって建物の表情が変わります。 何とも繊細で美しく、不思議な存在感を放っています(でも威圧的ではありません)。 

ところで、このアルミの外壁には「窓」と呼べるものが無く、要所にくさび型のスリットが設けられていて、そこが入口や窓の役割を果たしています。また、建物には表や裏といった概念も無く、入口へは三方向からアクセスできます。 大型のアルミパネルの施工精度は非常に高く、室内の螺旋階段(↓)なども含め、ゼネコンの高い技術力が窺がえます。

このように、小規模ながらも挑戦的で見ごたえのある建物でした。 個人的には東京オリンピックの新国立競技場コンペも仕切り直すぐらいなら、この設計者の案(第3位の案)を採用した方が、よほど新鮮で景観にも馴染むものになったのでは・・・と思います。

ところで・・・ ここまでは良い点を書きましたが、実際はそればかりではありません。

(↓)3方向から自由にアクセスできるはずの入口は、こんな無粋なポールと張り紙で誘導され、ガラスの壁沿いには、透明感を台無しにする(まぁ、衝突防止の為ですが)パイロンが所狭しと並んでいます。

(↓)また、外観はスッキリしているのに、内側は結構ごちゃごちゃしていたり・・・

(↓)ホールからスカイツリーや街並みを眺められる窓が、“金網”で覆われていたり・・・(外観上、「窓」の存在感を消したいからでしょうか・・・?)

常設展示室においては、北斎の有名な富嶽三十六景などがレプリカだったり、暗い展示室の床や天井に装飾的なLEDライトが散りばめられていたりと、何とも“本物感”が希薄な中身となっています。 その他、団体の観光客が来た途端、捌けなくなってしまう動線計画なども問題ありでしょう。

これでは、何度も訪れたくなる場所にはならないなぁ・・・というのが正直な感想で、魅力ある建物だけに残念です。 なんとか改善できないものでしょうか・・・。

ところで余談ですが、隣の公園にある太いロープでできたこの遊具、何となく北斎の描く富士山のように見えませんか?・・・ これ、なかなかの存在感です。

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