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今週の一番『神のみぞ知るセカイ』攻略ヒロインの逆襲?

2010年11月08日 | マンガ
【ハーレムメーカー】

【10月第5週:ハンザスカイ 第40話・一ノ橋魂】
http://www.tsphinx.net/manken/wek1/wek10485.html#663

【漫研】
http://www.tsphinx.net/manken/



『神のみぞ知るセカイ』(作・若木民喜)が、新たなフェーズに入っています。『神のみぞ知るセカイ』は、悪魔の世界から逃げた6万匹の“駆魂”を回収するために、ゲームの達人にして“落とし神”様と呼ばれている桂木桂馬が選ばれる物語。元々、この駆魂を一網打尽に封印できるであろう設定の回収「女神探し問題」は、問題の一括解決方法ではあっても、急なものではなく(物語的に言えば最終回を呼び込む展開ではあっても、急にそれを起こす設定ではなく)まあ?…ゆるゆると?ゆくゆくは見つけ出せればいいよね?くらいの状態だったのですが、女神たちが旧悪魔に狙われているという展開が入って、旧悪魔たちよりも早く見つけ出し保護する必要が生じました。正に風雲急を告げる展開です。

この展開に際し、これまでもゆっくりとそれでいて着実に進めていた展開というか“既攻略ヒロインの物語の再浮上”が、クローズアップされて、これまでの『神のみぞ知るセカイ』の物語構造に変化を与えている…ように感じます。具体的には、アイドル子こと中川かのんが、女神の一人である事が判明し、かつ悪魔に狙われて負傷し現在、保護治療を受けている。…死ぬことは無いと思いますが、しかし、この物語に“死”というワードが入り込んできている。(※いや、桂馬がこの攻略を始める理由もほっとくと死ぬ~首を落とされる~から…というのがあるのですが、動かないであろうキャラを強引に物語をはじめさせるギミックと、展開として見せる死はまた違うものでしょう)

ちょっと、そろらへんの話を(↓)ツイッターで呟いたのをまとめたりしていたのですが、ここでちょっとリライトして整理しておこうと思います。

【『神のみぞ知るセカイ』の物語構造の変化】
http://togetter.com/li/65033

…と言っても、要点は簡単です。『神のみぞ知るセカイ』は、

「ずっと続ける構造の物語」だったのが「終わりに向かう構造の物語」に変化したという事です。

正確には、この作品では終わりに向かう設定が既に見えていたので、物語が変化したというよりフェーズが移ったという方が正しいのですけどね。
ここでは細かに語りませんが“連載物語”~何時打ち切られるか分からないし、その日まで何時までも続ける必要がある作品~には、その連載からの要望に応えるために「ずっと続ける構造」と「終わる為の構造」のどちらかが設計されて、送り出されるワケですが、(なんか難しく書いていますが「終わる為の構造」というのは、単にプロットに基づいて展開を進めるって普通の作劇の事ですけどね)『神のみぞ知るセカイ』は、バランス型の形態というか「ずっと続ける為の構造」と「終わる為の構造」の両方が置かれている作品と言えます。まあ、そんなに珍しい形態ではないですけど。
具体的に指すと「駆魂の数は6万匹」と言った時は「ずっと続ける構造」を見せて、然る後に“女神”の設定を出して「終わる為の構造」を載せていった。しかし、これはおたくの勘ですけど、若木先生間違いなく連載はじめる時点で終わる設定は用意していたと思いますけどねw(※ただし、設定だけ。具体的にどう終わるかって腹積もりを持っているか?あるいはそれが有ったとして、変えずに行く気なのか?というのは分かりません。というか流動的に思えます)

ん~……文章書いていて、「終わる設定」、「終わる設定」と書いてしまったのは、ちょっと主旨が歪みそうな気もしますが、これはこれでポイントなのでそのまま載せます。
じゃあ、終わる為の構造ってなんなのか?って話は、一見、設定の発動、女神問題の緊急化、であるように観えるし、それがトリガーなのはそうなんですけど、より本質的には「攻略ヒロインの逆襲」であるように思えます。桂馬が女神問題を解決して、駆魂が封印され、地獄に平穏が戻る物語…なのではなく、女神設定を載せた攻略ヒロインたちが桂馬を助けて、駆魂が封印され、地獄に平穏が戻る物語だと言う事です。桂馬は自分が女神を見つけて、自分が解決する物語に思っているでしょうが。

この展開については、以前の記事でエルシィを筆頭にした“物語ヒロイン”たちと、“攻略ヒロイン”たちを『序列構造』と『並列構造』交えた比較で述べています。また、女神問題を絡める事の問題点というか、懸念も記していますね。



【今週の一番『神のみぞ知るセカイ』女神探し問題と『神知る』の二軸構造】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/b81388e95f49396f7d0d0d6a6d874647
これに対してせっかく創造された攻略ヒロインたちを、どう再活躍させるか?という問題が横たわっているワケで、当初、僕はなんとなぁ~~~くと言うかじわ~~っと“浸食”するように攻略ヒロインたちが上位構造(つまりメインストーリーに)食い込んでいけばいいかな?と思っていたんですけどね。というか『けいおん編』とかそんな感じでしたよね。
でも、それだと学校外のヒロインとか出しづらくなる(同じ学校でも桂馬との元の繋がりが低いと出づらい)…という事なのか、どうなのか、女神探し問題は一通りヒロインたちを再登場させる演出としては中々上手い(=ある種果たしている)のですが、設定が明確過ぎて先程言った、じわ~っと、上位構造に浸食するのが難しくなっている(=ある種ブレーキ)ような…気がしないでもない。

何しろ、誰か一人に女神でしたという“冠”を与えると、かなり強固に形成されていた下位の『並列構造』にヒビを入れたようなもので、かなり違和感が伴なう。僕は、教員子(長瀬純)や図書子(汐宮栞)が好きなんですが、彼女のどちらかが「女神でした!」…とか言われてもあまり嬉しくないんですよね。この感覚、なんとなく分かるんじゃないかと思いますが。まあ、故に、女神は攻略ヒロイン以外の「意外な人物」になると予想するワケですけどね。…さて、ここらへんどうなるか?

そう。ゼロイチで解決する女神探し問題と、じわぁ~と進めている(ように見える)攻略ヒロインの侵食は、ちょっと絡めるに相性が悪く思えたんですよね。
しかし、これはホント上手いなあ~と手を打ったんですが、かのんちゃんが女神と判明した時点で、すかさず彼女を負傷させて、その動作を凍結する。その上で桂馬は女神探しを一気に解決を目指す。
…つまり、女神設定を持った~これは、言ってしまうとメインヒロイン候補の天理と同格の設定って事です!~かのんちゃんが、再び動作する時には、ある程度の成果が上がって、少なくともあと1人か2人の女神は見つかっていて、かのんちゃんの(『並列構造』からの)突出を抑えるって形なんです。女神じゃなくても、この駆魂狩りの設定を知ってしまえば、攻略ヒロインではなく、物語ヒロインになりますしね。
これは、シリアルなタスクに見えた女神問題を一気に処理して(人気組と不人気組のような振り分けが起こる事も意味すると思いますが)攻略ヒロインたちのステージを“並列”に底上げするという事です。…結果、物語の展開は風雲急を告げてしまいましたね。こっちを作者が意図したかどうかは難しい所だと思いますが。

また、これらの(まだ桂馬に見えていないであろう)現象は、桂馬のセカイにとって“現実”の侵食を意味するなあ…と考え始めました。もともと、桂馬が指しているクソゲーこと“現実”は『物語現実』の事であって『我々の現実』の事じゃないよな?…って言う懸案なんですが、こっちの話は(↓)こちらの記事で軽く触れています。この時はディアナを“現実子”と見立てる話をしていますが、それが“攻略ヒロインたち”である方が、“現実”を見せる形としてキレイかな?と、今、考えたりしています。

【今週の一番『神のみぞ知るセカイ』ディアナとは何者か?】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/0a9b9c93a6e29cb39820fe37b3f2d413

まあ、ここらへん精査して行くと「桂馬をぎゃふんと言わせる物語」というのは観えて来ますねえ。とにかく“現実”の女子に全く目を向けない…少なくともそういう態度を貫いている桂馬を“ぎゃふん”と言わせたいw
僕は以前から言っているように桂馬のセカイには瑕疵がないと思っていて、こんなに“現実”で結果を出せるセカイが間違いなんてはずがない、このまま行って欲しいと思っていますが、それと「桂馬に届きたい」とするヒロインたちの物語はまた別の交錯を生む…という事ですね。

それを為すのは逆襲する攻略ヒロインか?序列一位ヒロインのエルシィか?って、今だとそんな見立てですかねえ。幼馴染子・天理は、切り札の一つだった“女神設定”をシェアされてしまったので、ちょっとビハインドwむしろ攻略ヒロイン・ユニットの筆頭に納まるか?48(フォーティエイト)?みたいな?(´・ω・`)がんばれ。

しかし、このブログ、多分『神のみぞ知るセカイ』の考察記事が一番多いんじゃないかと思いますが、この連載、構造や展開を緩急つけて撃ち出してくるから考察的に飽きさせない(汗)w…これは、おたくの仕業だよwって、この『物語』、おたくは押さえておけって気がしないでもないですw


神のみぞ知るセカイ DVD付限定版 10 (少年サンデーコミックス)
若木 民喜
小学館



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