静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

藤岡幸夫指揮中部フィル定期演奏会(松阪公演第10回)

2017年11月21日 21時30分50秒 | コンサート

自宅から歩いて10分足らずのホールで、圧倒的な「ローマの松」が鳴り響きました。
今年も中部フィル定期(松阪公演)を聴いてきました!



中部フィルハーモニー交響楽団

第58回定期演奏会(松阪公演第10回)

~オーケストラ・ブラス!~


【プログラム】

コープランド:「市民のためのファンファーレ」(共演)
ジェイガー(中原達彦編曲):シンフォニア・ノビリッシマ(中部フィル)
ウェーバー:クラリネット小協奏曲(中部フィル)

休憩(15分)

木内涼:マーチ「シャイニング・ロード」(高校生ステージ)
ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より”凱旋行進曲”(高校生ステージ)


休憩(10分)

リード(中原達彦編曲):アルメニアンダンス パート1(中部フィル)
レスピーギ:ローマの松(共演)

【アンコール】
星条旗よ永遠なれ(参加者全員)



共演:松阪高校、松阪工業高校、三重高校、相可高校、松阪商業高校 各吹奏楽部

クラリネット:橋本眞介


指揮:藤岡幸夫


日時:2017年11月18日(土) 15:00 開演

会場:クラギ文化ホール(三重県 松阪市)



 昨年に続いて今年も中部フィル松阪公演を聴いてきました。
 指揮の藤岡氏はTVではお馴染みですが実演に接するのは初めて。
 藤岡さんが中部フィルとの共演するのも初めてだとのこと。

 今回は地元高校の吹奏楽部との共演もあり、プログラムも(私が)ふだんあまり聴かない吹奏楽系(?)ということで楽しみにしていたものです。
 最後の「ローマの松」は大好きな曲で、これまでに3回、実演を聴いていますが、毎回実に強烈な印象を与えてくれるので、とても楽しみにしていました。
 聴いた結果は・・・・「松」に限らず、どの曲も本当に素晴らしく最初から最後までシビれまくって聴いていました。


 オープニングのコープランドは、高校生とオケ・メンバーが4:6くらいの割合でしたか?
 音は(私の耳には)とても調和していて、またパーカッション群のド迫力と相まって、短いながらも聴き応え十分でした。
 次のジェイガーは吹奏楽曲をオーケストラに編曲したもの。
 私は、当然、初めて聴きます。
 これもすこぶる心地よい楽曲でした。中間の抒情的な部分での溢れるような歌、そのあとに最初の快活な部分が戻ってきて弾けるように終わりました。
 ウェーバーの協奏曲は、もしかしたらディスクを持っているかも知れませんが、あまり熱心に聴いてこなかった曲です。
「魔弾の射手」のクラリネット・ソロを思わせる、いかにも「ドイツの森」(行ったことないですけど)といった風合いの佳曲でした。
 橋本氏の、ふくよかで安定感のある響きに包まれました。

 休憩後は高校生たちの演奏を藤岡氏が指揮しました。
 シャイニング・ロードは今年のコンクール課題曲ということで、さすがに「手慣れた」感じでした。
 終始、活き活きと爽やかに演奏していました。
 知らない曲なのですが、今回、藤岡氏を指揮者に迎えて、どのような味付けが加味されたのでしょうね。
 この曲ではピッコロの冴えたフレーズが印象的でした。
 次のヴェルディは、私も高校生の頃は合唱で吹奏楽部と共演した曲。
 なかなか難しさを感じさせる局面もありましたが、付点のついた(原曲だと、弦が奏でる)旋律をたっぷりと歌って柔らかい響きを醸し出していたところなど特にすばらしかった。
 また、マリンバの男子生徒のしなやかな動き(リズム感)も見事でした。

 ここで、また舞台上の配置換えがあり、最後の2曲となりました。
アルメニアン・ダンス・パート1はお馴染みの曲で、さすがの私も知っています。
 しかし、オケ版では初めて聴いたのかも知れません。
(ずっと前、N響がやったのをTVで観たけど、あれはオケ版だったか吹奏楽だったか???憶えなし。。。。)
 この曲、こんなにいい曲だったんだ!
ってあらためて思わされるキレッキレの演奏でした。

 そして、いよいよローマの松

 両側の花道には高校生たちのバンダが並びました。
 下手側には6人のトランペット(5人の高校生と1人のオケ・メンバー)。
 上手側には3人のユーフォニウム(たぶん、お一人はオケ・メンバー)と4人のトロンボーン(だったかな?)が待機。

 第1部「ボルゲーゼ荘の松」、クラギ文化ホールのややデッドな音響が、かえって、レスピーギの色彩感あふれる音が混濁せずにキラキラとちりばめられるように響き渡ったり、グロッケンや弦の細かな動きが明瞭に聴き取れたりして、これは快感でした。
 第2部「カタコンブ(カタコンバ)付近の松」、ここで初めてコントラバスの重低音が入ってくるのですね。藤岡さんのトークで初めて知りました。
 カタコンバとは「地下墓地」。
 迫害され地下に潜んで信仰を守った人々の厳かで耐え忍ぶような祈りが聴こえてきます。やがて天上からの(舞台裏のトランペットによる)グレゴリオ聖歌(サンクトゥス)が聴こえてくると、それに呼応するかのように信徒たちの祈りは次第に盛り上がり、やがては天へ吹き上がるかのような力強い合唱のようになります。
 この部分、生で聴くと本当に圧倒されます。
 もう、このあたりからずっとメロメロになっていました。
 祈りが闇に消えていくとピアノのアルペッジョに導かれて「ジャニコロの松」になります。
 藤岡さんはトークの中で「まるで恋人たちの甘い甘いひとときのよう」と仰っていましたが、そんな話を聞いてしまった後では、もう、そういう情景を思い浮かべて聴かざるをえない(?)のでありました。
 美しく、やや官能的なひとときは、夜明けを告げる小鳥たちのさえずりで終わりを告げます。
 ここでの鳥の鳴き声は、今までの実演ではテープ音源を使っていましたが,藤岡さんは「僕はなるべく(電気的なものを使わず)生でやりたいので、鳥の声の楽器をパーカッションやコントラバスの一部の人に吹いてもらいます」と言っていました。
 私は、鳥の声が聞こえてきたとき、目を凝らして誰が鳴らしているのか探しましたが、私の位置からは分かりませんでした。
 最後の「アッピア街道の松」は、圧倒的。
 バンダ最初の2本のトランペット(オケ・メンバーと高校生一人ずつ)が見事に入ってきたときは本当に鳥肌が立ちました。
 高校生たちの一音一音にかける意気込みと緊張がビンビン伝わってきました。
 それが音楽自体の盛り上がりと相まって押し寄せ、尋常でない感動(一種のカタルシス)へと連れていかれました。
「ローマの松」のエンディングには、もともとそういう面がありますが、いつもこうなるとは限りません。
 いや~、本当によかった。
 ミーハー親父としては大満足の演奏会でした。


 あっ、アンコールは高校生たちが両花道と客席前方に並びオケと共に星条旗よ永遠なれを演奏。
 中間部のピッコロ・ソロでは「シャイニング・ロード」で活躍したピッコロ女子が指揮者のすぐ横に呼ばれて名技を披露しました。

 あいにくの悪天候でしたが、客席はまあまあ埋まっていました(「満員」とまではいかなかったけど)。
 今後も松阪定期を続けてほしいと願わずにはいられませんでした。
 松阪の皆さん、もっとオーケストラを聴きに行きましょう!



以下、関連記事。
松阪定期報告1(中部フィルのフェイスブック・ページより)
松阪定期報告2(中部フィルのフェイスブック・ページより)
松阪定期リハーサル(中部フィルのフェイスブック・ページより)
藤岡幸夫ブログ 


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