静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

バーンスタインの「ミサ」(井上道義指揮大阪フィル、他)

2017年07月16日 10時16分50秒 | コンサート
第55回大阪国際フェスティバル2017

大阪フィルハーモニー交響楽団創立70周年記念


バーンスタイン/「ミサ」

~歌手、演奏家、ダンサーのための劇場用作品~

(新制作/原語上演・日本語字幕付き)



総監督・指揮・演出/井上道義

【キャスト】

司祭:大山大輔

ボーイ・ソプラノ:込山直樹

ストリート・コーラス/
ソプラノ:小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣
メゾソプラノ:野田千恵子、幣真千子、森山京子
アルト:後藤万有美
カウンターテナー:藤木大地
テノール:古橋郷平、鈴木俊介、又吉秀樹、村上公太
バリトン:加耒 徹、久保和範、与那城 敬
バス:ジョン・ハオ

ファルセット・コーラス:奥村泰憲、福島章恭、藤木大地

従者(助演):孫高宏、三坂賢二郎(兵庫県立ピッコロ劇団)



管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサートマスター:崔 文洙)

合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮:福島章恭)

児童合唱:キッズコールOSAKA(合唱指揮:大谷圭介)

バレエ:堀内充バレエプロジェクト、大阪芸術大学舞台芸術学科舞踊コース

ほかに、ロックバンド、ブルースバンドなど多数
(出演者名など詳細は写真をご覧ください)






2017年7月15日(土) 14時開演

フェスティバルホール(大阪)


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


 バーンスタイン作品の含まれるコンサートのチケットを買うと、なぜか不測の事態が起こり行けなくなってしまう、ということが今までに3回あった。
そんなジンクスみたいなものは本気にしていないが、今回、開演の時刻になって場内が暗くなってから約3分間、何事も起らなかったときは、「もしかして、舞台裏で『不測の事態』が起こったのか???」ということが、ちょっと頭をよぎった。
 しかし、そんなことはなく、やがて、暗闇のオケボックス(まだ楽員は一人もいない)から、一人の男がステージへと這い上がってきた。
 どうやら「司祭」役の大山氏のようだ。
 舞台の中央に光が射すとそこには(たぶん)ジュークボックスが。
 男は、それにコインを入れた(ように見えた)。
 すると、例の「ミサ」冒頭のテープによる「キリエ」が鳴り出した。
 男は、それを聴きながら指揮の仕草をしている。手にはノート(楽譜?)を持っていた。
 その様子は、どこか嬉しそうと言うか、得意げに見えた。
 男(司祭)は「バーンスタイン」その人であるということか・・・。
(あとの「瞑想第1番」の間、司祭は祭礼服を脱ぎ、机に向かって「作曲している」ような演技をしていたから、やはり、彼はバーンスタインその人でもあったのだろう。)

 テープの「キリエ」が次第に盛り上がり「シンプル・ソング」が近づいてくると、男はジュークボックスの陰に隠れ、ギターを手にして再び現われた。
 
 ギターの、ややいびつな音が鳴り響き「シンプル・ソング」となる。

「神に、シンプルな歌を歌おう」

 男(司祭)の声とギターにオーケストラの弦が重なる。
 この、なんとも言えない神々しさは、今まで何度もCDなどで聴いていたけど感じたことがなかった。



・・・・という感じで「ミサ」は始まった。


 ステージ中央に祭壇が設けられ、それより奥はミサに集う群衆(合唱団)。
 だから司祭は(‎基本的には)客席に背を向けている。
 祭壇の手前の平土間では様々な主張をする人たち(ストリート・コーラス)やダンサー、子どもたちなどが演技をした。
 ステージ前方の両端には(たぶん)ロックバンド、ブルース・バンド。上手花道にはオケのブラス・セクションが配されていた。
 管楽器奏者たちは、「第2入祭文」のところで、実際のマーチング・バンドとして舞台に入場してきた。


以下、思いつくままに・・・・




・歌手の皆さんは、いずれも素晴らしかった。2階席だったし存じ上げない方もいたので、正直なところ、誰がどのナンバーを歌ったのか分からないのが多かったけども、皆さん素晴らしかった。

・司祭役の大山氏とボーイ・ソプラノの込山君(中一)は圧倒的だった。

・少年合唱は大健闘。子どもたちのパワーはすごい。気おくれしたような演技は見当たらず、やりきっていた。もちろん声もすばらしかった。「サンクトゥス」前半は楽曲も(この曲中では)晴朗さが前面に出ており、子どもたちの声と動きが本当に和ませてくれた。

・合唱団の安定感はさすが。そして、曲が進むにつれてさらに熱を帯びていった。「瞑想第3番(深き淵より第1部)」での怒りを感じさせるような響きなど鳥肌ものだった。

・ダンス・シーンの一部は、かつて(映像で)観た「春の祭典」の終曲を思わせるような振り付けもあった。

・サンクトゥスの後半からアニュス・デイへ移行する場面では、「ミサ」にヘブライ語の歌詞が混入してくるが、ここではユダヤ教のラビのような服装の3人(奥村泰憲氏、合唱指揮でもある福島章恭氏、藤木大地氏によるファルセット・コーラス)が登場し、アニュス・デイではストリート・コーラスと対峙する、という演出が緊迫感を生み出していた。

・部分的に日本語歌唱となっていたが、これは良かった。

・さらに、一部の楽曲は関西弁仕立てになっていた。「神さんが言わはった」「よろしゅうおまんな」などなど。

・「奉献誦(深き淵より第2部)」では、司祭の語り(祈り)の中に、もともとアドリブ指定の部分がある。「・・・主よ、あなたに仕えるものたちの名を忘れないでください・・・」に続いて「出演者の名を言う」と指示があるが、昨日は「アサヒナさん、ダイフィルさん、オオエさん、ミッチーさん・・・」と唱えられ、会場から笑いが漏れていた。昨日、唯一笑いが聞かれた場面だったかも?

・司祭の長大なモノローグが終わり、彼がオケピットへ転がり落ちると、シークレット・ソングへと移行するのだが、そのとき、上からまるで海での埋葬を思わせるような姿をした青白く光るものが降りてきて、やがて昇っていった。あれは、どういう意味だったのだろう?司祭(バーンスタイン)は一度死んだ、ということなのか?


・・・まだ、いろいろとある。思い出したら追記するかも知れない。
 とにかく、実際の舞台を観ることは、音だけを聴いているのとはまるで違う、別次元の体験だった。
「われらに平和を」と同時に歌われる不満の爆発の合唱、それにオーケーストラ、バンド、即興演奏にテープによる「キリエ」も加わって破局に向かって膨らんでいく音の凄さ。
 シークレット・ソングでの、皆を蘇生させていくボーイ・ソプラノの動き。
 最後の合唱には、3つのCDを聴いているときには得られない感動があった。
 あれもこれも、いわば「なんでもあり」みたいな印象もあった作品「ミサ」だったが、こうして生きたステージを見せられると、すべてが必然に感じられ気持ちが冷めるヒマはなかった。
 
 そして、最後の最後。

 テープによる「The Mass is ended;go in Peace」は誰の声かなと思っていたら、なんと井上マエストロの声だった!
 これには驚いてしまった・・・。


 今回、オーケストラはビット内ということで、私の印象としてはやや薄いものになってしまった(すみません)。
 カーテンコールでマエストロは、オケ・メンバー全員を舞台に上げて、健闘を称え、ねぎらっていた。
 繰り返しになるが、大山さん、そして込山くん、すばらしかった(大拍手)。
 特に込山くんの最後まで安定した歌唱と演技には涙が滲んだ。
 少年合唱のメンバーもよくやった。
 「子どもは未来」
 まったく、その通りだな。

16日午後8時 一部修正
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2 コメント

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Unknown (モト)
2017-07-17 13:52:36
素晴らしい公演だったようですね。さすが井上道義です。

来年は、バーンスタイン生誕100年ということで、日本オケのコンサートでも、いろいろな作品が取り上げられるようです。
CDでは親しんだけど、実演で聴く機会は必ずしも多くないから、どれか聴いてみようかな。

指揮者よりも(シリアスな)作曲家としての評価を望んで懊悩した彼ですが、考えてみたら、ほとんどのクラシック作曲家は、死後になってからの方が評価が高まりますし、死後にどれだけ演奏されるかの方が重要ですね。
自信家の彼にして、生前ずいぶん難しいところで悩んでしまったように思いました。
>モトさん (親父りゅう)
2017-07-17 17:51:49
聴いている間は、ほとんど「ミュージカル」を観ている感覚でした。実際、そういう作品だと思います。
バーンスタイン作品特有のメロディとかリズムが聴いていて本当に楽しい(?)。
ただ、多くのミュージカルのようにはっきりとしたストーリーがあるというのではなく、象徴的な展開(と言えばいいのかな?)になっている所が、やや難解だと思いました。演出によって「主張」がある程度アレンジできるのだとも思いました。
歌手の方も主な方だけで18人、けっこう出ずっぱりで演技も多いし、オケ以外にバンドとかいろいろで、なかなかプログラムに乗りにくい作品なのでしょうね。今回、聴くことができて本当によかったです。
他のレニー作品、今まで「佐渡裕のビバ、バーンスタイン」(センチュリー響とのオール・バーンスタイン・プログラム)、伊勢管の「WSSシンフォニック・ダンス」、川瀬賢太郎指揮名古屋フィルの交響曲第1番「エレミア」と、いずれもチケット買ったのに家族の事情などでいけませんでした。

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