日々是好日

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シュレッダー事故でマスメディアの訴えなければならないこと

2006-08-26 11:42:12 | 社会・政治
8月25日付・読売社説(2) (読売新聞) - goo ニュース

[シュレッダー]「家庭への普及念頭に安全対策を」がこの読売社説の骨子である。
「一般家庭でも使用される機種には、子どもが触ることを前提とした安全対策が必要だろう」と言うのだ。

確かに家庭で日常使う道具や機器に、使用者の安全を配慮した工夫を感じると、メーカーへの親近感を覚える。このような工夫をますます増やしてほしいもので、この社説も当然のことを述べていると思う。

そして「日常生活の安全に関する情報は、ユーザー、国民にいち早く提供してもらいたい。そのためにも、まず経産省への事故報告の義務化を急ぐべきだ」と締めくくる。

前半に異論はない。しかし『経産省への事故報告の義務化』でことが足りるのであろうか。それがどうした、である。これはお座なりな提言に過ぎない。

私はことあるたびにメーカー側の対応を求めて、それでお茶を濁しているマスメディアの風潮に、憤りすら感じているのだ。子供を危険から、事故から守るのに何が一番大事なのか、その視点が全く欠けていると思うからである。

親(保護者)の児童保護義務を徹底化すること。その義務を怠った親には罰則を科してまでも徹底すべきである。マスメディアはそのように世論を導くべきであろう。これが最も求められることであると私は思う。

シュレッダーといわず、家庭には生活に欠かせないもの、そして多大の利便を与えるが、その一方で危険にもなりうるものが充ち満ちている。しかしそれらは勝手に家に入り込んだのではない。誰かが使用する目的で買ったからこそそこにあるのだ。メーカーが殺傷目的で作ったものでない以上、ここに購入者の使用責任が発生することをまずわれわれは自覚すべきなのである。

包丁、ナイフ、はさみ、爪切り、針、編み針、時には割り箸、ガラス食器、ガスコンロ、カセットコンロ、フッドプロセッサー、ジューサー、扇風機、ライター等々、家庭にある危険なものを数え上げればきりがない。これらの道具、機器が原因で年間発生している事故件数はかなりのものであろうと想像するが、それをなぜ一々経産省にメーカーが報告しないといけないのか。お役所仕事を増やすだけでなく、事故発生の直接の原因が何かという問題の焦点をぼやかしてしまうではないか。

怪我をする。まず病院に行くではないか。救急車を呼ぶ場合もあるだろう。火が出ると消防車が駆けつける。場合によればパトカーもやってくるだろう。事故発生に対応する緊急処置として誰しも考え、また期待することである。事故である以上、警察・消防・保健所などがその原因を必ず調査するし、また場合によって医師も通報するではないか。そのデータを有効に活用するシステムさえあれば、国民に安全に関する情報を何の支障もなくもれなく伝えられるはずである。ことさらメーカーに事故報告をさせる必要がどこにあるのだ。そのメーカーに事故データがどのように伝わるかを考えれば、余計な回り道をしていることが一目瞭然であろう。「すみませんでした」とメーカーの頭を下げさせるお役所のたんなるお上意識に過ぎない。

短い期間であれ私がアメリカで家庭生活を営んだことから学んだことが多々あるが、その一つが子供に対する親の保護義務の意識の高さである。アメリカでは子供がティーンエージャーに入ると始めて一人前に扱われるようになる。13歳になると自分の行動の責任は自分で取らなければならないからである。しかしそれまでは親があらゆる保護責任を担うのである。

はやい話が、今や日本ではコンビニの店頭で子供が屯していることなど珍しい光景ではない。これがアメリカならすぐに誰かが警察に通報して子供は警察に連行され、親は呼び出されてお灸を据えられる。一人前でない子供が親(保護者)から離れて行動することが許されていないのである。

もちろん小さな子供だけを家に残して親だけが外出することはできない。そのためにベビーシッターが必須になる。子供を車に残して親がパチンコに熱中する。アメリカでこんなことをすると完全な犯罪になる。アメリカでは州により細かな取り決めは違うようであるが、子供に対する親の保護義務とそれに対する住民の意識が極めて高い。

日本の現状をみると、親(保護者)の子供に対する保護義務の意識があまりにも希薄である。少なくとも子供が小学校を出るまでは親が誠心誠意その養育にあたり、あらゆる危険から子供の身を守ることに全力を投じるべきである。その親の保護義務を怠った場合にペナルティーを科すぐらいの厳しさが社会の規範としてあるべきだと思う。

ことあるたびにメーカーを論うかのようなマスメディアの姿勢は軽薄としかいいようがない。子供の捲き込まれた事故があれば、親(保護者)の子供に対する保護義務の徹底化を訴えることが、健全な国作りの一翼をマスメディアも担うことになるのではなかろうか。

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