日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

『ゴッホ展』にアルルを想う

2005-07-08 14:50:21 | 海外旅行・海外生活

アルルはゴッホにとって特別の土地であったようだ。
1882年2月下旬にアルルに着いてから友人や近親者に送った手紙にこのようなくだりがある。

「この地方が空気の透明さと明るい色彩の効果のために僕には日本のように美しく見える」
《アルル近郊の花畑》が「まるで日本の夢のようだ」
「僕はここで日本にいるのだ、といつもそう思っている」(van Gogh in Contextから)

日本浮世絵の明るい色彩が南仏アルルでは満ちあふれていたのだろう。

一方アルルはゴッホにとって芸術家のユートピアを実現するところでもあった。芸術家が集団で制作しながらお互いの生活を支え合う共同体の拠点が《黄色い家》で知られる家屋であった。ここでゴッホは傾倒するゴーギャンと共同生活を始めるがあの『耳切り事件』でその生活ははやくも壊れる。二ヶ月少々の日々であった。

そのアルルを私が訪れたのは2002年4月、アヴィニョンに数日滞在してそこから列車での日帰り小旅行であった。お目当ての一つが《夜のカフェテラス》のモデルとなったカフェで、観光案内所で貰った案内図と磁石を頼りに探すことにした。この観光案内図なるもの、無料で貰って注文をつけるのもなんであるが、国外であろうと国内であろうと適当に描かれているのが多くてあまり役に立たない。通りの名前から地図上での位置を見つけだすのも難しいし、地図から実際の通りを見つけるのも難しい。地図では通り、小道が結構省かれ
ているし、また距離表示が正確からほど遠いことが多いからである。

それでもCAFE VAN GOGHをなんとか探し当て、お昼時でもあったので昼食を摂ることにした。



ここでちょっとしたハプニングがあった。妻とそれぞれ違う料理を注文したが、その一つが注文と違ってしかも値段の高いのを持ってきている。ウエイトレスに間違いを指摘しても「間違っていない」と言い張る。そこでオーダーしたときのやりとりを再現してようやく彼女が間違っていたことを認めさせた。となると私も日本紳士、せっかく持ってきたのだからそれでいいよ、と鷹揚に頷いたのである。「メルシー」としおらしくなった彼女、そしていざ勘定を済まようとするとなんと最初に注文した安い方の値段で計算している。自分の勘違いに気づいたらそのあとの態度が潔い。『アルルの娘』の素直さに心を打たれたのでチップにその差額を上乗せして店を出た。

お目当てのもう一つは《アルルの病院の中庭》である。ゴッホが自分で耳たぶを切ったあと療養生活を送った病院あとで、ここは簡単に見つかった。中庭を取り囲むように回廊があって、そこに土産物店を始めいろんな店が入っている。中庭は《アルルの病院の中庭》に従って復元されたようで、その出来映えを絵の『複製』と比較して確かめることが出来る。



実は跳ね橋で知られる《ラングロワの橋》がアルルの郊外にあって行ってみたかった。アルルの鉄道駅からタクシーで行けないこともなかったが、列車の時間がギリギリになりそうなので慌ただしく訪れるところでもあるまい、といさぎよく断念した。

《夜のカフェテラス》を所蔵するクレラー・ミュラー美術館はアムステルダムから鉄道で2時間余りのところにある。これまで訪れるチャンスがなかったが、今回のゴッホ展にこの美術館からゴッホアルル時代の作品がほかにも《種まく人》《公園の小道》《ミリエの肖像》《子守女(ルーラン夫人の肖像》と出品されているのが嬉しかった。《夜のカフェテラス》とのご対面はわれわれミーハー夫婦にとってこたえられない出来事であったのである。

さらにはサン=レミ郊外の療養所時代の作品もクレラー・ミュラー美術館から出展されており、ゴッホ晩年の緑と青の鮮やかな色彩を堪能できたのが大きな収穫であった。
キーワード
夜のカフェテラス クレラー・ミュラー美術館 アムステルダム 1882年 アヴィニョン
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コメント

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始めまして (SUKIPIO)
2006-05-03 17:57:04
こんにちわ、初めてコメントさせて頂きます。

アルル地方は未だ、行った事はないんですが、一度訪問したい気持ちを持っています。

私は、フランス、イタリア映画が学生時代から好きで、行きたい気持ちは主に映像の中の人、風景等による事が多いのですが、絵画からの時代の残像の様な効果も拝見し、違った観点からの訪ね方があるものを感じておりました。

投稿されております絵画はゴッホの独特な黄色をうまく夜の灯りに照らされた色彩を醸し出している作品ですね。

ご迷惑でなければ、またそちらのブログにご訪問、コメントさせて頂きたいと思います。

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