2012-05-27
井浦新インタビュー
「頼長は崇徳院のある種の才能を買っていたと思います」
前回、鳥羽法皇の死に目に会えなかった崇徳上皇が号泣する所に、藤原頼長(山本耕史)が現れる所で終わりました。
(井浦)はい、物語は次の段階に大きく動き出します。その時に頼長(山本耕史)が出て来るんです。
(保元の乱は)頼長に引っ張られて崇徳院が乗っていったように見えますが、実際のところ、
頼長と崇徳院は結託したんだと思います。 頼長は崇徳院のある種の才能を買っていたと思います。
何かそう感じるんです。
後白河が即位し信西がブレーンになり、平家と源氏の主力も向こう(後白河側)について行った時に、
はみ出してしまった者、浮いてしまった者たちが出て来る訳じゃないですか?
その浮いてしまった人たちを集め、繋げる事が出来ないか。
頼長も崇徳院も自分たち2人が結託すれば、彼らが一丸となって、力を握れると考えたと思います。
でも、反・後白河で実際に動いたのは、摂関家と源氏だと思います。
結局、崇徳院は象徴でしかなかったんだろうな…と。
知らない所でいろんなことが巻き起こって、何もできないうちに「保元の乱」に
一気に向かって行ってしまったんじゃないかと思います。
そうした状況でおきた「保元の乱」はどんな戦いだったのでしょうか?
(井浦)冷静に見ても悲しい戦いです。王家・源氏・平家がそれぞれ2つに分かれ、
親兄弟・親戚も関係なく戦ったのですから。 こんな戦いがあったのかな?と思ってしまう程、
あり得ない状況に気持ちを動かされながら芝居しました。
きっと時代が大きく変わっていく「事件」だったんだろうなと思います。
だからこそ武士も摂関家もがむしゃらになっていて、このタイミングで自分たちが力を得ないといけないんだという
凄い情熱がたぎっていたのでしょう。 この戦いでは夜襲が行われますが、夜に攻め入るのは、
当時考えられない戦術でした。 親兄弟であろうが関係なく、自分たちの世を作っていくために
全力を尽くしたのだろうと思います。
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鎌倉時代に定められた法律『御成敗式目』で、夜討は殺人に準ずる犯罪だとしています。
第3条「諸国守護人奉行の事(守護が遂行すべき仕事)」右、右大将家の御時定め置かるる所は、
大番催促(おおばんさいそく)・謀反・殺害人≪付けたり。夜討・盗賊・山賊・海賊≫等の事なり。…
頼朝公がきめられた守護の仕事は、京都警護と謀反人、殺人犯≪さらに夜討、盗賊、山賊、海賊≫などの取り締まりである。
いよいよ次週は「保元の乱」、親兄弟、一族・郎党が真っ二つに分かれる『悲しい戦い』をお見逃しなく。
次回のインタビューもご期待下さい。
(NHK高松放送局サイト)
この部分だけを切り取れば、
膨大なNHK高松放送局の井浦新さんインタビューの
ほんのほんの一部分にすぎないのでしょうけれど、
リアルタイムに当該の部分を視聴しているものとしては、
一語一語がこころに染み入ってくるような気がしますね。
井浦さんのまなざしは、
井浦さん個人であり、
崇徳上皇であり、
そして歴史をニュートラルに見つめ、
そこからひとの悲哀や情や野心を読み取ろうとする叡智でもあります。
だからうたれるのでしょうね。
崇徳帝がたとえ画面から消えられても、ずっとインタビューを
読んでいたくなります。
いえいえ、佳境はまさに今夜から、なのですが。
烏帽子も、キョーコさんご指摘の通り少々の雨ではヘタレないのですが、土砂降りだったということで(笑)。心情表現に加えて、この頃から「強装束(こわしょうぞく)」が流行って、雨が大嫌いになっているはずの大宮人が、あんなになるまで雨に打たれていた心情が伝わるというものではないですか。
高松局、本気ですよね!崇徳上皇が登場するたびに、更新してくださって、楽しみにしています。NHK側の熱意と新さんの役への思い入れが、ぴったり出会った結果だと思います。
発売中のテレビ雑誌で、山本耕史さんと新さんが対談なさっています。ぜひご一読を!
お返事が遅くなってすみません。
毎回、ドラマを観ていて思うのですが、
すーっと流して見て終わりのドラマと、
大河ドラマの密度の差を思います。
それは何も細部までの丁寧な作りこみだけでなく、
人間ドラマの奥行きなのですよね。
フィクションだったら、起承転結を予定調和で作れるけれど、
史実はそうは行かないですもんね。
人間の一生の不確定性というか、その面白みがあるからこそ、
大河ドラマは支持され、続いてきたのだと思います。
高松放送局はもちろん、崇徳上皇とのかかわりが厚いからということでしょうが、
熱意や意気込みは素晴らしいですね。
NHK地方局がこうやって頑張ってくださると、
今後もあの時のあの放送局、という親しみがわいて嬉しいです。
崇徳上皇の話と井浦さんの解説やお話、ずっと聞いていたいなあ。
あ、対談の雑誌、探します!忘れてた(汗)