シンポジウムについての東京新聞の記事です。
県内の裁判員裁判を議論 高崎でシンポ
東京新聞 2010年12月12日
司法・裁判における用語や通訳などを広く研究する「法と言語学会」のシンポジウムが11日、高崎市の高崎経済大学で開かれ、前橋地裁で今年あった2つの裁判員裁判を事例に法廷での言葉をめぐる問題に議論が交わされた。 (川口晋介)
シンポでは、殺人未遂事件(六月に執行猶予判決)を担当した群馬弁護士会の橋爪健弁護士と、傷害致死事件(十一月に実刑判決)を担当した吉野晶弁護士が経過や弁護側の意図を説明。上毛新聞の関口健太郎記者が裁判員会見も含めた取材経験を、フリーライターの浅野祐子さんが裁判官らの言葉遣いへの疑問を話した。
裁判員制度では「分かりやすい裁判」が掲げられ、専門用語は平易に言い換えている。
会場の中国人研究者は、国民参加の意義を評価しつつも「市民が分からないから(裁判を)やさしくしろというのは本末転倒。自分たちが(知識や意識を)高める取り組みが必要」と指摘。橋爪弁護士は「裁判員の意見を聞いて量刑を決める裁判のはずが、裁判員の理解のため、勉強のための場になり被告が脇役になってしまうのでは」と当事者として注意を述べた。
同学会長の大河原真美・高経大教授は「分かりやすくする努力が法曹界には必要だが、裁判員も自分たちがチェックするという姿勢が求められる」とした。