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「長いお別れ」感想 中島 京子

2017-06-30 | 小説・漫画他

ずいぶん前にリクエストしていたのが、忘れたころに回ってきました。1年以上かかった様子・・・。4つ★~4つ★半

さて、中島さんは「小さいおうち」が大好きで、その後、彼女の本を数冊読んだのですが、凄く印象に残ったり、面白かった!って本には出合えていませんでした。
本作は、中島さんのお父さんが認知症で10年ほど患っていて、実際に彼女が家族として体験した経験から作られた小説とのことです。
認知症の家族を介護するお話といえば、辛いものだったり、笑いをメインにする話だったりが多い気がしますが、本作はそういったバランスがとても良く、ほどよい明るさを保ちながら、深刻なシーンや、父以外の家族のエピソードも織り交ぜています。

10年間、段々と認知具合が悪化して行く父の様子と、その時々でのエピソードが短編として8つ収められています。
2013年から2015年にわたって、オール讀物等で、発表された短編を、長いお別れというタイトルをつけて一冊の本にした模様。

主役は姉妹の誰かだったり、その子供だったりしますが、いつも父の様子が描かれています。
母親がすごいんですよ。凄く献身的に夫の介護をしています。
私から見て、ものすごく大変なのに、割と淡々と愛情がこもった対応をしているんですよね。
自分の目が病気になって入院せざろうえない状況になった時でも、なんとか早く退院して夫の面倒をみなければ!と、そればかり心配しているのです。
私なら出来ないのではないか?と思いました。

3人の娘がいて、長女は夫の仕事の関係で2人の息子(潤、崇)と共にアメリカに住んでいます。
結婚はしているが子供がいない次女。後に高齢妊娠します。
独身でフードコーディネーター?だったかな?多忙な仕事をしている三女。
みんな、それぞれの事情があって、介護にあまり手助けができません。
それでも、切羽詰まった時には、みんな出来るだけのことをしようと奮闘します。
母が目の病で倒れた時に、今まで母が一人きりで夫の介護をしていた大変さを身をもって実感します。

印象に残ったのは、
認知が進んで行っても、難しい漢字をすらすら書ける。
寝床で母の枕元に、父が便を並べるという、衝撃的な告白。(これを淡々と話すシーン)

医療現場にて、こんな状態で、いきなり家に帰りますか?と医師に言われ、とまどうシーン。
いやー、これはね、私なら「こんな状態の人間を、今日これから家に連れ帰り、家族で面倒見る」だなんて、無理ですよー、どうしたらいいのか、心底焦るわ。。と、真っ青になりました。
そういう、びっくりする様なことを、医者から普通にバッサリと突然言われることが多いらしいことに驚愕・・・。

父を受け入れてくれる施設探し
高額な負担が必要な施設、安い処だと簡単に入居できず、長い順番待ち、いざ入ったとしても、病気になった時のケアや対応までしてくれない施設もあることなど。(これは以前より少し知ってはいましたが)

あと、メインのキャラクターではないのですが、どうやら父と同じデイサービスに通っている、工藤さんという女性。
その息子が、もう自分が息子だと解らなくなっている母に面会した時に、「私あなたのことが好きみたい」と言われるんですよ。
ここは、なにげにぐっと来ましたね・・・。
彼女にプレゼントされたもの、それは、昇平の入れ歯だったのではないでしょうか。違うかな?

中島さんといえば、ご自身も、また彼女のご家族や友人にも海外で暮らす人が多いせいもあってか、そういうエピソードが小説にも多いですよね。私は全くそういう経験もないし、周りにもそういう人がいないので、そうなんだー?と読ませてもらってます。

アメリカに引っ越して来た長女一家の長男。空手が出来たことで、かろうじてイジメにあわずに済んだ。(アメリカのいじめも相当ひどいのね・・・男の子が産まれたら、格闘技をとりあえず何か習わせておくのが安心かもしれない)
それほど好きでもなかったアメリカ人女子(パフューム好きの日本オタク)と良い仲になったものの、留守中に、他の日本人男子とくっついてしまう。

★以下ネタバレ★
あっけなく、父は亡くなりました。
最後は、学校をさぼっていたタカシが中学の校長室に呼ばれ、校長先生から、なんでもいいから君の話を聞かせてくれ、と言われます。
それで、つい最近祖父を亡くした・・という話をタカシがするんですよ。
この校長先生が穏やかでとても良さそうな人なんです。亡き祖父も偶然同じく中学の校長先生でした・・・。

以上

長いお別れ 2015/5/27 中島 京子
内容紹介 東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

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2 コメント

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今日はこちらから (牧場主)
2017-07-17 17:21:29
紹介してくれてありがとう。
私、一生忘れないわ。そのことはまた今度お話ししますね。

施設探しのあたりとかは、身に覚えがあるので、だんだん気持ちが滅入りながら読んでました。で、
>寝床で母の枕元に、父が便を並べるという、衝撃的な告白
ね~、聞いてはいたんだけど、私、自分の生活と近いものって苦手な傾向があって。
近い将来、こうなって、んで、このお母さんみたいに受けとめなくてはいけないんだ、って自分と比べたら、何か、あわわ~って。
でも、悲惨さを書きたいわけではないじゃないですか、中島さんは。
で、何とか、その心意気に導かれて読んだっていう感じ。
短編集っていう形も、風通しが良くて、読み通せた一因かも。
牧場主さん★ (latifa)
2017-07-17 21:43:00
こんばんは、牧場主さん
いやいや、ちょっと大げさですって。
たまたまの偶然だっただけで・・・。

>自分の生活と近いものって苦手な傾向があって
こういうのって、ありますよね・・・。
事柄にもよりますよね。共感出来て楽しめるものと、逆に、もう見たくない・・・みたいなものと。
それと、実際に自分が体験している事って、それ違うだろ?とか、そんな甘いもんじゃないよ、等と心の中で、一言物申したくなっちゃったり・・・。

>悲惨さを書きたいわけではないじゃないですか、中島さんは。
で、何とか、その心意気に導かれて読んだっていう感じ。

そうなんですよね。
中島さんは、経験者だからこそ、いい塩梅で書けた、っていうのがあるのでしょうね。

>短編集っていう形も、風通しが良くて、読み通せた
私も、本作は、短編で成り立ってる形式が、良い作用を出していたなあーと思った一人です。

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