ポコアポコヤ

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「あのこは貴族」山内マリコ 感想

2017-07-29 | 小説・漫画他
「ここは退屈迎えに来て」「アズミハルコは、行方不明」の山内マリコさんの新作。
今回は、東京の貴族的な育ちの華子と、田舎から東京に大学から上京した雑草女子美紀が登場します。
美紀は山内さんの十八番だけど、貴族華子は新しいタイプですね。

1話目は華子のお話。彼女を取り巻く家族や環境、そしてお見合いのこと。華子がお見合いを重ねるも、ろくな相手が来ないこと(整形外科の医師の冴えない男)、大阪出身の人と居酒屋で会った時の相手のリアクションとか、華子、ちょっと可哀想だった。
2話目は美紀の生い立ちから今に至るまでの話。

そして、この2人は、慶應幼稚舎出身の弁護士青木幸一郎と、それぞれ交際していたことが中盤解ります。
普通の小説なら、ここで3角関係のバトル・・とかになりがちですが、山内さんはそうじゃありません。過去作品からも感じていますが、山内さんは女子の友情?を信じている人なんです。(と、言い切っていいのか解らないけれど)
なので、華子と美紀は対立しないんです。ここら辺が好きでした!

私は、お嬢さん育ちで世間知らずな華子も、仕送り激減の為に大学を1年で中退せざろうえず、その後水商売で生計を立てたソルジャー美紀も、両方嫌いじゃなかったので、読みやすかったです。

そして、華子の友人でバイオリンを弾くドイツ帰りの相楽逸子。
この人が、華子と美紀を合わせる様にしたんですが、最初そこを読んだときは、とんでもない事をする友達やなぁ!と、驚いたのですが、意外と大丈夫で、結果的には、いい方向に行ってほっとしました。
"女の義理"という重要なキーワードが、この小説でも効いていました。

そして、今回目からうろこだったのは、田舎のヤンキーの人たち(生まれてからずっと同じ田舎の街で結婚してからも生き続け、つるむ仲間もずっと同じ面々)と、東京貴族の人たちが、両方とも「ずっと同じ狭い世界で生きている」という事で同じだということ。
東京貴族の人たちも、遊ぶ場所や町、慣れ親しんだレストラン、学校、友達、付き合う人たち、などが結構決まってるのね・・・。

貴族も幸一郎レベルのセレブともなると大変だ。
産まれた時から責任とか家族の期待を背負って・・・。

美紀は、自分は自由だ、って言うシーンがあるのですが、私もそういうのが好きですね。
ただ、美紀は幸一郎と付き合った理由、そして、なかなか別れずに、ずるずる長いこと付き合って来た理由が、自分が田舎から出て来た大学一年生の時に、輝いて見えたあの幸一郎と、、、という事でした。
こういうのって、あるのかもなー。今や大スターだったり、超スーパースター選手が、まだ自分が何者でもなかった頃に憧れていた人と結婚、ってパターン、結構ありますもんね。過去の自分が憧れていた人、っていうのは、輝きが消えない(自分の中で)ものなのかもしれません。

山内さんはリサーチに2年かけた、ってどこかで読みましたが、東京貴族の処でしょうね、細かい描写(家の中の家具やらインテリア)はじめ、こういった階級の人たちの事、面白く興味深く読ませてもらいました。

ちなみに、慶應内の話が結構多いのですが、以前桐野夏生さんの「グロテスク」で、慶應女子高の内部・外部の事が書かれていて、それを読んだ時にびっくり、衝撃を受けたんですが、そちらは、1980年頃だったかな? この小説よりも15年ー20年前になるわけです。
この小説では、平成13年(2001年)に大学入学という設定です。

ちなみに、わりと最近、日吉キャンパスに通っていた知人がいますが、こんな風な幼稚舎出身者が固まってブイブイ言わせてる、羨望の的とかっていうのは無いっぽいんですけれども・・・。学部によるのかな・・・。
でも、帰国子女が多く、ネイティブに英語を話せる人が多くて愕然とする・・っていうのは本当みたいです。

あと、今回初めて知った事なのですが、貴族側の人たちの会話の中に「東横線とか田園都市線って、ミーハーな人が住んでそう」
「最近になって外部からやって来ては、踏み荒らす様に西へ西へと住む場所を押し広げて行った人たち」という表現があって、びっくりしました。田舎に住む私から見たら、あの辺に住むなんて凄いなーいいなーって思っていたので・・・。

★以下ネタバレ★

無事華子と幸一郎は結婚する。結婚式に美紀を呼び、幸一郎がちょっと驚くシーンがある。
結婚当初からすれ違いが続き、幸一郎の祖父が亡くなったり、これから選挙に出る事に。
結果、華子は半年で離婚届をつきつけてします。
その1年後、華子は相楽さんのマネージャー的な仕事をしている。美紀は東京と故郷を行き来しながら、同級生の平田さんと仕事をしている。
以上

あのこは貴族 2016/11/25 山内マリコ
東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが、20代後半で恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされてしまう。名門女子校の同級生が次々に結婚するなか、焦ってお見合いを重ねた末に、ハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。
一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。32歳で恋人ナシ、腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。
境遇が全く違って出会うはずのなかったふたりの女。
同じ男をきっかけに彼女たちが巡り合うとき、それぞれ思いもよらない世界が拓けて――。


「アズミ・ハルコは行方不明 」
ネタバレ「ここは退屈迎えに来て」
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