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ナゼ 僕 ダケ 言ウ ミナ ヤテル

2006-07-16 18:14:18 | Weblog
中村吉広さんの書かれた「チベット語になった坊っちゃん」を読んだ。
出版は半年以上前だったと思うが、図書館で借りることが出来たのが1ヶ月前。一気に読んでしまった。
中村さんはブログ「旅限無」でも日々のニュースの中から「聞き捨てならない」ことを拾い上げ、鋭い切り口で論評されている。正直、ブログにはついて行けない。中身が濃くてしかもアップのスピードが速すぎる。頭の中で整理が出来る前に次の話が出てきてしまう。
こんな人がどんなに難しい本を書いたのか、非常に気になっていた。

これ以上簡単なあらすじはないんじゃないのってくらい簡単にあらすじを書くと・・・中村さんはチベット仏教を学ぶべく、今は中国の一部となったチベットの奥にある学校の日本人初の留学生となる。ご自身の考えだした学習方法により驚くほどの早さでチベット語を習得し始める。チベット語と日本語の共通点「てにをは」に着目し、尊敬する恩師の為に初めてチベット語を用いた日本語教師になる。成績優秀な生徒を選抜し夏目漱石の「坊っちゃん」の翻訳を開始する。諸事情により帰国することになった中村さんを学生達は涙で引き止めるが、翻訳が未完のまま帰国する(一部抜けてたり間違ったりしてるかもしれないけど、本自体が手元にないのでご勘弁を)。

中身が濃い、言語研究の専門家が読んだら重~い内容なんだろうけど、自分のような一般のオッチャンが読めば学園ものとして充分楽しい。
読み進んで行くと時に鼻の奥がツ~ンとしたり、仮に電車の中で読んでいれば(電車には乗らないけど)目の前の女子中学生に「このオッチャン、超キモイ!」と言われそうなニヤつきかたをしてみたり、最終章が迫って来ると「中村さん、まだ帰国しないで欲しいなぁ」とまったくの他人事。

あとがきだけで一冊書けるんじゃないかなぁと思われる情報量だ。
チベット語も日本語も、トルコ語~モンゴル語~満州語~朝鮮語と同じ仲間「膠着語」というんだそうな(ここら当たりの知識は自分にはまったくない)。
「てにをは」を持たない中国語を使って行われる日本語教育は効率が悪く、チベット語で日本語教育を行う方が理にかなっているらしい。

それでか、ユンソナさんなどの韓国出身者の日本語上達が早いのは。今朝も半年前まで日本語をまったく解さなかったという韓国の女性タレントがTVでかなりきれいな日本語を喋っていたなぁ。
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都内屈指の違法駐輪のメッカで勤務していた時、目の前で堂々と駐輪しようとしている中国人(もちろん日本人にも言いますよ)に注意をした「そこには停めないでください。」
それに対する彼の返事が冒頭のタイトルである。

「皆は関係ありません。僕はあなたに言っているんです。」
「ミナ ヤテル ウルサイ ソレ ウルサイ ノ コト・・・」

中国人に「てにをは」は難しいのか。

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2 コメント

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御礼状 (旅限無)
2006-07-21 23:10:21
拙著を熟読して下さり、誠に有難うございました。付き合い切れないブログ『旅限無』から御挨拶に参上いたしました。(アップするペースは無視して山籠もり中にでもゆっくりお読み頂ければ幸いです)。「あとがきだけで一冊…」と御理解頂けますれば、感謝感激であります。実を申せば、あの「あとがき」を噛み砕いて体験談に溶かし込むようにして書き上げたようなものなのです。お褒めを頂いた通りの情報量過多の本になってしまったので、何とか一冊お手元に置いて下されば、ちょっとした中国・チベット物のコンパクト資料集代わりに出来たり、日本語が心配だなあ、と不安になった時の小さな希望を見つける助けになるかと愚考しつつ、御提案いたします。拙ブログの『チベ坊』書評コーナーにリンクを張らせて頂きますが、宜しいでしょうか?追伸。現代中国語には「の」だけは存在します。「的」の字を当てますが、この時は弓や射撃の「マト」を意味しますから、完全な当て字です。清朝末期に日本に留学した魯迅らが日本語の便利さを知って「新しいシナ語」を発明しようと悪戦苦闘する中で、日本語の「の」の便利さに感動した結果だと思われます。その理由は明治の翻訳家達が「的」を縦横無尽に使いこなして欧米の書籍をどんどん漢字仮名交じり日本語に写し取っていたことが上げられます。カタカナ外来語だらけになった日本語は、世代間ギャップを産んで外来語ではなく「外国語」になりつつあります!もし宜しければ拙著『チベ坊』を一人でも多くの方に読んで頂けるよう、噂話の材料にお加え下さいませんでしょうか。お邪魔いたしました。
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たまげました。 (シカクまめ)
2006-07-22 15:27:15
読みにこられる方も少なく、ましてコメントをいただけるなんてことがまず無いのをよいことに、中身のない、くっだらないことばかりを書いておりますので、まさか旅限無さんご本人からメッセージをいただくとは考えもしませんでした。恐縮するやら恥ずかしいやら、よく耳にする「複雑な心境」というのはこの感覚なのでしょうか。

ひと月ほど前でしたでしょうか、世界一の高所を走る鉄道がこれから作られるとか既に開通したとか、チベットからのニュースを見出しだけを読みましたが、旅限無さんの母校にとっては良いことなのか歓迎し辛いことなのか、どうなんだろう?とぼんやり考えました。

「チベット語になった坊ちゃん」を読ませていただき、訪れたことのないかの地の情景を想像しながら、後書きに詰まっているものを解凍していただき、もっとエピソードを読んでみたかったのですが・・・次の作品を楽しみにお待ちします。



リンクに付きましては・・・お任せいたします。貴ブログが汚れることはないとお考えであれば。

ありがとうございました。
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