いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】十階のモスキート

2006-07-26 | 邦画 さ行

【「十階のモスキート」崔洋一 1983】を再度見ました。

おはなし
男は警官だ。離婚した女房には、払いが遅れた養育費のことでぎゃんぎゃん言われるし、昇進試験には落ちまくる。金づまりの男はサラ金で金を借りてみた。すばらしい。養育費は払える、競艇もできる、欲しかったパソコンも買えるのだ。タガがはずれた男は、ホステスを押し倒し、同僚の婦警をレイプするなどやりたい放題。
でも、借りた金は返さなければならない。追い詰められた男は、郵便局に押し入った。


内田裕也が苦手です。なんかいつも不機嫌そうだし、目付きが怖い。あっという間にキレて、殴られそうです。同じ犯罪者役でも、ビートたけしや緒形拳なら、リアルに出会えば話が通じそうな気がするけど、内田裕也にはそんな気配が微塵も無い。そんな、怖い内田裕也が企画、脚本、主演をした犯罪もの。

この映画は、崔洋一の劇場用映画デビュー作でもあり、また小泉今日子のデビュー作でもあります。他にもビートたけしや横山やすしが出てきて、にぎやかだ。「がんばっていきまっしょい」の磯村一路が助監督だ。などなど、注目点はありそうなのに、それより何より「内田裕也の映画」以外の何者でもない、ところが凄いです。

冒頭、ロケット電器のパソコンフロアをうろうろする内田裕也。やがて、一台のパソコンに目を止め、画面を覗き込むと、画面にはペコペコと「十階のモスキート」の文字が。その後は、空撮の画像にかぶさるようにオープニング・クレジット。いや、凄いセンス。めちゃくちゃカッコ悪いんだけど、あの当時はこれが良かったのかな。

その後は、とことん無軌道な内田裕也が辿る、お定まりの転落コース。だけど、内田裕也は喜怒哀楽をほとんど表情に出さないので、それは悲惨というよりまるで何かの苦行を己に課している求道者のようです。すごいと思ったのは、サラ金で借りまくり、取立ての電話が頻々にとして交番にかかってくるドツボの状況。内田裕也は同僚の婦警(風祭ゆき)をレイプして、まったなしの所まで来ているにも関わらず、夜になると自室で黙々と昇進試験の勉強をしています。男の心の闇の深さを表現するいいシーンでした。

おかしいのは、次の二つのシーン。まずは関係を持ったホステス(中村れい子)に借金を申し込んだ後、いきなりシーンが切り替わるところ。夜の東京湾、モーターボートに乗って抱き合う二人。もう「何だこりゃ?」って感じです。トレンディドラマじゃあるまいし、何の意味があるのか、まったく分からない。
もう一つは、内田裕也が署長(佐藤慶)に叱責されるところ。交番警官に誇りを持て、などいろいろ怒られたあと「キミだって、マジメに勤め上げれば恩給がもらえる日が来る」「一年に一度は孫を連れて熱海に行ける日が来るんだよ」「熱海だよ、熱海」。
あの、なんでそんなに熱海にこだわりますか。脚本は内田裕也と崔洋一監督。二人のうちどちらかが、すごく熱海に行きたかったんですかね。

最後、郵便局強盗に入った内田裕也は、もう迫力満点。別に誰かを撃ち殺したりするわけではないですが、ただ一人で暴れまくるその姿には狂気が溢れています。

エンディングテーマは、内田裕也同様、何を考えているか分からない「狂気の犯罪者」を得意とする白竜でした。

 

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