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邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】海女の化物屋敷

2007-03-07 | 邦画 あ行

【「海女の化物屋敷」曲谷守平 1959】を観ました



おはなし
恭子は、親友の青山由美が幽霊に怯えてノイローゼぎみなのを心配して、青磯海岸にある青山家の屋敷に滞在することにしました。しかし、幽霊騒ぎは青山家の財産を狙う者の策略だったのです。

新東宝の見世物主義が爆発した作品です。得意の海女モノと怪奇モノを足して2で割った、ある意味で力技な作品でした。

まずタイトル部分で度肝を抜かれます。様々なポーズをとった海女たちのショットがタイトルロールにかぶさっているのですが、マネキンのように身じろぎしないまま、魚籠を持っていたり、牛の頭蓋骨を持っていたり、さらにはミイラを抱いてたたずんでいます。で、どうせ動かないならスチール写真にすればいいのに、わざわざフィルムをまわしているせいで、ヘンなポーズを取らされている人は、フルフル震えているんですが。もちろん、本編とはまったく関係ないショットであるのは言うまでもありません。

さて、本編。海で海女たちが潜っています。海から上がってきた海女の加代(万里昌代)が、ふと見やると岩礁に女がこちらを見ています。主人公の恭子(三原葉子)です。そして、三原葉子のモノローグがかぶります。
「私がこの小さな海女部落に来たのは、大学時代の親友、青山由美から不思議な手紙をもらったからです。手紙は信じられない不可解な出来事が綴ってありました」

青山家の屋敷に着いた三原葉子。なんか不気味な使用人たちが、じっと三原葉子を見ています。なんとなくキモチ悪い感じが漂います。由美(瀬戸麗子)は、三原葉子に「怖いの、怖くて死にそうなの」と早速すがりつく勢いです。話を聞くと、父は自殺。母は発狂。兄も嵐にあって死に、兄嫁(山村邦子)はそれを苦にして井戸に飛び込んで自殺。その上、ただ一人残った姉も、行方不明で、瀬戸麗子はもはや天涯孤独に近い状態なのです。それも、この広い屋敷に、キモチ悪い使用人に囲まれて暮らしているんですから、それはタイヘンです。

さらに瀬戸麗子は、兄嫁が死んだ時のことを詳しく語り始めました。兄が行方不明になって、気が狂った兄嫁は、もの凄い高笑いをしたかと思うと、一転して「お前が殺したんだ」と由美に迫ってきたり、障子に体当たりして、障子ごと庭に転げ落ちたかと思うと、ケタケタと笑ったり、とにかく完全に別の世界に行っています。そして、ふらふらと井戸に歩いていったかと思うと、瀬戸麗子を凄い目で睨みつけて、そのまま井戸に飛び込んだのでした。はっきり言って、この兄嫁の山村邦子さん熱演しすぎです。マジで怖すぎ。というかイカれてます。

そんな瀬戸麗子に三原葉子は「元気になるまでいてあげる」と言って慰めるのです。三原葉子は、本当に人が良さそうですから、瀬戸麗子も安心ですね。実際、アラカンも三原葉子は本当に優しい子だ、と褒めちぎっていたくらいですから、リアルな三原葉子もいい人だったんでしょうね。

ともあれ、三原葉子は夜も、瀬戸麗子の様子を確認したりしますが、それでも怪異現象は止みません。そこで、三原葉子は恋人の野々宮刑事(菅原文太)に手紙で状態を知らせることにします。
文太は、幽霊は黒真珠のネックレスをしている、という一文に引っかかりを覚えました。ちょうど文太が追っている身元不明の死体も、胃袋に黒真珠が入った状態で発見されたからです。

さて、浜辺です。死んだ兄嫁の妹である万里昌代が、ブリブリ怒っています。瀬戸麗子を悩ませている幽霊は、万里昌代の姉さんだと陰口を叩かれていたからです。その上、万里昌代は禁漁区にも潜っているので、仲間たちはここぞとばかりに万里昌代を責め始めました。もちろん気の強い万里昌代が黙っているわけもなく、そのままキャットファイトに。砂浜を転げまわる女二人の姿はまさに泥レスです。

そこに駆けつけた瀬戸麗子と三原葉子。「加代ちゃん、やめて」と瀬戸麗子が止めようとしますが、ヒートアップした二人に聞こえるはずもありません。そこに、海洋大学の水木教授(沼田曜一)がやってきました。パイプなんかくわえちゃってますが、見た瞬間にインチキ臭さ爆発です。どうやら、万里昌代が禁漁区に潜っているのは、沼田曜一の学術調査の一環だということで、その場は何となく収まりました。

三原葉子が、岩礁に行くと、フルチンの男の子が所在なげに座っています。ヘンなおじさんが、お煎餅を渡して、男の子のパンツを持っていってしまったと言うのです。と、そこに「おーい、君も来いよ」と爽やかに手を振る菅原文太。子供のパンツを取ったのは文太だったんですね。一緒に泳ぐ二人。そして二人は熱いチューをします。でも菅原文太が穿いているのは子供のパンツ。繰り返します、文太は子供のパンツ。

とりあえずチューもしたので落ち着いた文太は、屋敷で瀬戸麗子に、身元不明死体の胃から発見された黒真珠を見せました。「あっ、ミツエ姉さんの」と言い出した瀬戸麗子。早速、文太は瀬戸麗子を東京に連れて行き、身元不明死体と対面させますが、死体は別人でした。謎は深まります。

海の上を舟が漂っています。舟の上では沼田曜一と子分の日比野(国方伝)がじっと海面を見つめています。そこに万里昌代が浮かび上がってきました。
「どうなんだよ、具合は」と尋ねる沼田曜一に「深いんだよ」と答える万里昌代。
そう、やっぱり沼田曜一は悪い奴だったのです。彼は、万里昌代を抱きこんで、青山家の隠された財宝を探しているのでした。

三原葉子は、屋敷を徹底的に調査中。ときどき、「うーん」と腕を組んで考え込んだりして、名探偵振りがとてもキュートです。そんな時、風呂に入っていた瀬戸麗子の前に幽霊が現われました。キャーっと絹を裂くような悲鳴にダッシュする三原葉子。すたこら逃げていく幽霊を追跡します。しかし懸命に走ったにも関わらず、三原葉子は岩礁で幽霊を見失ってしまいました。そこに召使の老婆が逆方向から歩いてきました。老婆は怪しいものは何も見ていないと言います。むむっオカシイ。

岩場を丹念に探した三原葉子は、岩の奥に、幽霊の衣装とマスク一式が隠されているのを見つけました。ということは、、と、そこにキチガイが三原葉子を見つけて襲ってきます。ちなみに犯罪計画にまったく関係のない、ただのキチガイですから、念のため。三原葉子は貞操のピンチです、危ない。そこに颯爽と現われる菅原文太。あっさりキチガイを倒しました。そして、驚くべき捜査結果を話し始めたのです。

菅原文太の調査によると、死んだ女はなんと沼田曜一の女でした。そして、瀬戸麗子の姉はそれよりも前、2年前にはすでに殺されていたというのです。多分、犯人は沼田曜一。しかし、まだ決定的な証拠はありません。
そこで、三原葉子は沼田曜一や万里昌代を揺さぶるために、一計を案じました。

海女たちのパーティが屋敷で行われています。激しく踊りまくる海女や若者たち。しかし、突然に電気が消え、悲鳴が響きます。そして再び電気がつくと、そこには幽霊が。もう集まった一同は大騒ぎです。そこに三原葉子の声が響きます。
「みなさん、これは本日の余興です。今、タネと仕掛けをお見せします」
そして、いきなり幽霊がクネクネとセクシーダンスを踊りだしました。そして一枚一枚服を脱いでいきます。最後にはマスクをポイっと投げ捨てました。三原葉子です。いや、困ったな。三原葉子の仕草とか表情が可愛いんですけど。マジで惚れてしまいそうです。

そんな計画が図に当たったのか、沼田曜一たちは本性を現してきました。海辺の小屋で、子分の国方伝、それに万里昌代と悪事の相談中です。しかし、国方伝は「俺はイヤだ。殺しはイヤだ」と半ベソをかいています。

ここで回想シーンが。
沼田曜一と万里昌代が小屋でエッチをしています。よく分かりませんが、横には国方伝もいます。そこに形相を変えた女が入ってきました。沼田の女です。この泥棒猫!とばかりに、万里昌代とつかみ合いになる女。それを見ていた沼田曜一がおもむろに女の首を絞め始めました。イカれた目付きが最高です。薄笑いを浮かべながら首を絞める沼田曜一を左右からのカットで、交互にとらえています。曲谷監督も力が入っているようです。なんでこんなところに力を入れているのかは不明ですが。女が死んだ瞬間、「ムヒューン」とか言って、絶頂に達した沼田曜一。もう変態ぶりが、ステキ過ぎですね。

さて屋敷では、召使の老婆の首吊り死体が発見されました。駐在さんが、自殺のようですな、と言うのをさえぎるように、
「いいえ、自殺らしく見せかけた他殺のようですわ。首に絞殺した跡が残ってます」と言う三原葉子。おお、素晴らしい。

駐在さんたちも帰り、二人きりになったところで、瀬戸麗子は三原葉子に尋ねます。「どうして婆や、殺されたんでしょう」「幽霊の正体だったのよ」と答える三原葉子。そこに沼田曜一がヌッと現われました。
「恭子さん、あなた少し頭が良すぎるようですね。一緒に来てもらいましょう」

シーンが変わるとそこは海の上。舟の上には沼田曜一、国方伝、万里昌代、地周りのヤクザ、それに囚われの瀬戸麗子と三原葉子がいます。瀬戸麗子の海女姿はまあ良いとして、三原葉子まで下着姿です。サービス、サービスぅ。

三原葉子の命を楯にとって、財宝の隠し場所を瀬戸麗子に教えるように命じた沼田曜一は、万里昌代との3人で意気揚々と海に潜っていきます。舟に残されたのは、ハアハアいっている国方伝と地回りのヤクザ、それに下着姿の三原葉子です。国方伝は泣き虫ですが、こんなご馳走を目の前にしたら、黙っていないと思います。

海の中を行く瀬戸麗子(の多分、吹き替え)と万里昌代(の以下同文)。カメラの前を股間を見せるように泳いでいきます。ピッチリしたパンツですから、まさに最大の見所。と、喜んでいると沼田曜一(以下同文)も泳いでいきます。目の前を通り過ぎていく男の股間。まさに萌え上がった瞬間に水を差すようなこの演出。さすが曲谷監督。根性も「曲」ってますね。

ともあれ、海を泳いだ3人は海底洞窟にたどり着きました。ザッパン、ザッパン波が打ちつけているので、本物の洞窟でも使っているのでしょうか。どう見ても新東宝クオリティを越えているような気もするので。不気味な洞窟の中を3人は奥へ奥へと進んでいきます。時々、滑ったりして本当に歩きにくそうです。ようやく、奥に着くとそこには石でできた大きな棺が。沼田曜一が、喜び勇んで蓋を開けると、ミイラとともに財宝がザックザクです。沼田曜一は狂ったように高笑いをしています。ちょっと怖い。

泣き虫の国方伝は、三原葉子の下着パワーで地周りのヤクザを殺害。「俺の女になれ」と三原に迫ってきました。危うし、三原葉子。そこに菅原文太が助けにやってきます。とはいえ、泳いでやってくるんですが。人間誰しも、息継ぎの時はマヌケな顔になるもの。もちろん、当時ハンサムタワーズとして売り出し中の菅原文太だって、例外ではありません。ちっとも颯爽としていなくて、泣けてきます。舟に乗り込み、泣き虫国方伝をパンチ一発で静めた菅原文太は、三原葉子を連れて泳いで逃げ始めました。どうやら逮捕するという選択肢は文太の頭からすっぽり抜け落ちているようです。
岩礁まで逃げてきた二人。「野々宮さん、タイヘン。由美たちが」と訴える三原葉子。「よし行ってみよう」と答える菅原文太はナゼか腰に手を当てて、エッヘンな感じです。あなたはスーパージャイアンツですか。

洞窟では仲間割れをしています。沼田曜一は万里昌代を捨てて、財宝を独り占めにしようとしているのです。水中銃を構えた沼田曜一が、一歩一歩、瀬戸麗子と万里昌代に迫ってきます。恐怖に震える二人。と、沼田曜一が、ツルっと足を滑らせました。水中銃がカランカランと転がります。あっ、銛が発射されてしまいました。ブスっ。沼田曜一の腹に銛が刺さっています。
「ヒョーオゥッ」と奇声を発した沼田曜一が、ガックリと息絶えました。それにしてもノリノリ過ぎです。

「由美ちゃん許して」「いいのよ」瀬戸麗子と万里昌代は手を取り合って泣いています。そこに文太も駆けつけました。三原葉子もいるのに、「由美さん」とか言って、どさくさ紛れに瀬戸麗子を抱きしめています。まったく何をしに来たんだか。

全てが終わりました。瀬戸麗子は、膨大な財宝を恵まれない人に寄付すると言っています。ついでに財宝の一部をプレゼントしてもらって、ニコニコと去っていく三原葉子と菅原文太でした。犯罪被害者から謝礼を受け取って良いのかどうかは分かりませんが。

とりあえず終わってみると印象に残ったのは、まず沼田曜一の怪演。新東宝という会社に、もし沼田曜一がいなかったら、随分と寂しいことになったと思います。子供思いの先生から(闘争の広場)凛々しい艦長(謎の戦艦陸奥)、そして正真正銘の変態(この映画)まで、新東宝の映画にはいつも沼田曜一がいます。

万里昌代は、お色気担当。海女ですからスケスケの服で、ダイナマイトボディを惜し気もなく晒しています。もう男子にとっては、台詞もストーリーもいらん、万里昌代だけを映してくれと言いたくなるくらいの存在感でした。

そして、この映画の見所といえば何と言っても三原葉子の演技に尽きるでしょう。いつもは、人はいいけど頭空っぽな役ばかりですが、この映画では素人探偵ぶりをいかんなく発揮し、沼田曜一に、頭が良すぎるようですね、とまで言わせているのですから。もちろん、三原葉子のお茶目な部分はそのままに、最大限に三原葉子という素材を使いきったような気がします。

菅原文太は、まあ、デビューしたばっかりですしね。前作の猛吹雪の死闘の演技に比べれば、少しは進歩した様子もうかがえますし。長い目で見てあげればいいんじゃないかと。

とりあえずトータルとして見ると、「ドキっ、女だらけの水中運動会!化け物屋敷に蠢く謎の影。万里昌代の乳首もスケスケだ。三原葉子もお化けに扮してセクシーダンスの巻」とでも言えば、当たらずとも遠からずだと思います。







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2 コメント

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まさに「ひろいもの」 (シャケ)
2007-03-08 09:53:07
まずはタイトルでやられますね。「海女」ってすばらしい。
僕はこれをラピュタ阿佐ヶ谷で見ましたが、映画館を出てすぐにでも誰かにこの映画のことを話したくてたまりませんでした。とりわけこの映画の沼田曜一のよさは財宝のようですよね。その意味ではまさに「ひろいもの」という感じの映画。

ただ、/化け物屋敷/海女大勢/海岸でバトル/財宝/若い文太/セクシー/沼田曜一の魅力爆発!/・・・などのキーワードを示してその魅力を友人に説明しましたが、どうも伝わりづらいようで(笑)その辺りの奇妙さが新東宝の魅力となってはいるのでしょうが。

でも「ふと」なんですが、こういう「まさしく新東宝」な作品を見ると、サイレント期の小津安二郎の映画を思い出すんですよね(ちょっと笑えたりとか)。意外とB級なノリはあるのかもしれないです。
キーワード (いくらおにぎり)
2007-03-09 22:46:20
シャケさん、こんにちは

キーワードで語ると、この映画は火サス以外の何者でも無くなってしまいますからね。やっぱり、人に応じて、沼田曜一で攻めるか、万里昌代で面白さを訴えるか選ばないといけないかも知れません。

サイレント映画については、コマ落としの動きが全てコメディに見えてしまうので、何も語れません。なにしろリリアン・ギッシュの悲恋ものですら、笑って見ているようなバカモノなもので。

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