【「BEST GUY」村川透 1990】を観ました

おはなし
おっす、オラ悟空。オラの自慢話を聞いてくれよな。
言わずと知れた、かの名作「トップガン」にインスパイアされた作品です。まあ、それは大人の言い方であって、「裸の王様」の小さな子どもなら、「パクリだよ」とか「劣化コピーじゃん」と言いそうですが。
ピカッ、ゴロゴロ。空中を走る稲光。その中を戦闘機が飛んでいるようです。しかし落雷でメーターパネルは真っ暗。危ない状況です。そして、さらに危ないことに。
「バーティゴに入った。梶谷、背面飛行だ。早く元に戻せ。落ちるぞぉ」と叫ぶ後席のレーダー迎撃士官。「待ってくれ。もう少しだ」「梶谷。しっかりしろ。俺によこせ。ダメなら俺によこせ、かじたにー」。しかし、梶谷が操縦桿をユーハブする前に、ぷぷぷぷとアラームが鳴り始めましたよ。レーダー迎撃士官は叫びます。「もうダメだ。ペイルアウトだあ」……
はっ。悪夢から目覚める吉永三佐(古尾谷雅人)。横では妻が「あなた」と心配そうに見ています。「あなた、もうすぐね。亡くなった梶谷さんの弟さんが赴任するの。だから?」。「そんなことないよ」と言いつつ、吉永三佐は妻とモーニングちゅーをするのです。むちゅー。
いきなりシェリルとかいう金髪おねえさんがバリバリ歌っているシーンに。どうやら野外の特設ステージでビデオクリップの撮影中のもよう。と、上空をF15が轟音をたてて通過していきますよ。ビデオディレクターの水野深雪(財前直見)は頭をかかえますが、シェリルはさらにノリがヒートアップしているみたいです。はっ。「これよ。この迫力が欲しかったの。これだわ」。深雪はなにかヒラメイタみたいです。
「ドアオープン」。がらがら。格納庫の扉があき、差し込んできた光がF15のキャノピーに反射します。牽引車に引きだされていくF15の雄姿。そう、ここは千歳にある航空自衛隊の千歳基地で、F15は第201飛行隊の所属機のようです。
さて、その201飛行隊では隊長の山本二佐(黒沢年男)が班長の吉永三佐と、壁を見ながらなにやらお話し中。壁にはトップガン、アーリーバード、それぞれにパイロットの写真が飾ってありますが、頂点のベストガイのところだけ空欄のようです。
「久しぶりにここが埋まるのが楽しみだな」と言う山本隊長に、吉永班長は答えます。「3年ぶりですから」。ふむふむ、トップガンというのはいつもいるけど、ベストガイっていうのは、よっぽどじゃないと選ばれないんですね。なるほど。と、話題が変わりました。「それから、今日か。あの梶谷の弟が赴任するというのは」「ええ。多分。まだ現れませんが」。
はい。ということで、いよいよ主役のODAこと梶谷二尉(織田裕二)がシトロエンの2CVに乗って登場。とはいえ、身分証を忘れて基地に入れず、フェンスを乗り越え警務隊にとっ捕まったりしていますけどね。んもう。小芝居はいいから、とっとと話を進めてください。
さて、201飛行隊のみなさんがフライトを終えて帰ってくると、ひとのロッカーを勝手に開けまくっている梶谷二尉を発見しましたよ。「おいおいおい、ドブネズミが南の方から一匹迷い込んだみたいだぞ」と小学生並みのイヤミをいうパイロットさんに、梶谷二尉も負けてはいません。「第五航空団から来た梶谷だ。わざわざ来たのにロッカーも用意していないのか。ここは」。なんだとお。一触即発の雰囲気が漂うなか、梶谷二尉は、さらにイケメンなトップガン、名高一尉(長森雅人)にガンを飛ばしてます。「名高輝司一尉。TACネームイマジン。トップガンか。噂だけは聞いているよ。防大出のお坊ちゃんにしちゃ、珍しくいい腕してるそうじゃねえか」。イマジン(ぷぷ)こと名高一尉も負けじと言い返します。「貴様の噂も聞いてるよ。梶谷英男二尉。門限破りの常習犯。幹部候補生学校でもドンケツでやっと任官できた落ちこぼれだそうだな」。バチバチ。ああ、火花が散ってるみたいです。
と、そこに山本隊長はじめ隊の幹部がやってきました。「何してんだあ。お前ら」と怒鳴る吉永三佐を梶谷二尉は睨みながら言います。「吉永三佐、お久しぶりです。班長の下で飛べることになるとは思ってもみませんでしたよ」ジロリ。うわあ、殺伐とした職場だなあ。と、山本隊長が取りなすように言います。「さっそく、明日から飛んでもらう。TACネームは五空団からきたからゴクウだ」。「サル。さるー」とはしゃぐパイロットのみなさん。おい、猿って言うな。俺は世界のODAだぞ、まったく。
さあ、映画「トップガン」のようにこじゃれたバーでゴクウとビデオディレクターの水野深雪が出会ってみたり、イマジンが彼女の柴田晶子三尉と乳繰り合ったりするシーンをグダグダに挟みつつ、もう少し辛抱すればF15が飛びそうな予感。それまで我慢、我慢。
「この201飛行隊では、この3年間、ベストガイの席が空席のままになっている。貴様らも知ってのとおりベストガイはトップガンのさらに上に位置する名誉だ。パイロットとしての技量はもちろん全人格を含めて、全てにおいて超一流と認められた者だけに贈られるイーグルドライバー最高の勲章だ」。そんなお説教を訓練幹部の屋敷三佐がしていますが、ゴクウは聞く耳もたず。「そんなものに興味ありません」とかフテてますけど。まあ全人格が超一流と言われても、ゴクウは猿ですしね。関係ないっちゃ関係ない。
さあ、みなさんが部屋を出ていきます。いよいよですね。いよいよ飛びますね。と、思ったら外には深雪が率いるビデオクルーが撮影の真っ最中。はいはい。ラブストーリーはあとでね。
きゅううううう。エンジンの音が高まり、可変ノズルが閉じたり開いたり、さらに空気取り入れ口もガッコンガッコン上下してますよ。おお、なんだか凄そうだ。そして滑走路を駆け抜けたF15は空に。キーン。しかし、仲間の離陸がゴクウには不満のようです。「お嬢さんみてえな離陸だ」。そう猿たるもの、生半可な離陸はしてられませんよ。滑走をはじめ、ふわりと浮きあがったゴクウは叫びます。「はいれーとくらいむっ!!」。ガコン。ミリタリーパワーからアフターバーナーまでスロットルをぶち込まれたゴクウのF15は、垂直にズーム上昇をしていくのです。……それにしても必殺技じゃないんだから、掛け声はやめてほしい。
空に上がったゴクウは、まさに筋斗雲に乗ったも同然。なに、地上目標。よっしゃバルカンだ。バリバリ。おっと、次はF1が引っ張る標的だな。「20秒で命中だ。やってやるっ!」。バリバリ。ほとんどF1に接触しそうになりながらダート型標的(TDU−10B)を撃破するゴクウ。みごとイマジンと同じ20秒だそうです。ちなみに、この秒数になんの意味があるのかはサッパリ。
ともあれ訓練が終われば、あとは自由時間。ゴクウは深雪を呼び出し、吉永班長の悪口モード。「あの男は俺の兄貴が事故で死んだとき、F4ファントムの後ろに乗ってた奴だ」。一方ライバルのイマジンは、彼女の柴田三尉とエッチの真っ最中。あっはーん。ま、若いんだし、人生いろいろです。
「本日より三週間の予定で特別強化訓練を実施する。通常の訓練をスケールアップし、隊を二分して戦技訓練を行う。隊は吉永班長率いるベアチームと、山本隊長率いるホークスチームに二分。本日より完全な敵同士となる」。訓練幹部の屋敷三佐によると、この訓練の結果がベストガイ選出にむけての重要な判断要素になるそうですよ。そして予想どおりクマさんチームにはイマジンが、タカさんチームにはゴクウが入ったのでした。「いい機会だ。こんどこそハッキリ勝負つけてやる」と息巻くゴクウに、「お前の弱点はもうつかんだ。戦う前から勝負は決まっている」と返すイマジン。なんだか少年ジャンプみたいになってきました。
うりゃりゃりゃあ。快調にクマさんチームのF15をロックオンしていくゴクウ。一方、イマジンも山本隊長をロックオンするなどノッているようです。そしてとうとう激突のときが。キーン。キーン。それぞれ僚機を引き連れ、正面から向かっていくゴクウとイマジン。「先にブレイクした方が負けだ」「このままだと正面衝突だぞ」。キーンキーン。キキーン。激突寸前、ブレイクするイマジン。よっしゃ、俺の勝ちだぜ、とゴクウはご満悦です。
しかし着陸するとイマジンがとっても怒っていますよ。ポカリ。ゴクウを殴ったイマジンは言います。「バカ。一人で死ね。他人を巻き込むな。俺たちは全員、自信過剰のパイロットだ。それくらいじゃなきゃイーグルドライバーの資格はない。だが、その自信過剰が同時に自分の弱点になるってこともよく知ってるんだ。お前はそれくらいわきまえているファイターだと思っていたが、ただの暴走族だったようだな」。さらにゴクウの僚機を務めていたダック(米山善吉)までもゴクウを見限り、ゴクウはひとりショボーンです。
さびしくなって夜の千歳空港を見ているゴクウ。と、そこに深雪がやってきましたよ。「梶谷さんのお兄さんの話、聞いたわ。北陸の上空でファントムが故障して、民家に墜落するのを避けようと海まで飛んでって緊急脱出できずに亡くなったんですってね」。暗い顔で「そして兄貴は空の英雄になった」とつぶやくゴクウ。「その時、複座の後ろに乗っていたのが吉永班長だった。どうしてお兄さんだけが亡くなったの?」。
その質問に答えようとせず、「バーティゴ、空間識失調って知ってるか」というゴクウ。要は平衡感覚が狂って、ひどいときには、飛行中にどっちが上だか下だか分からなくなるという恐ろしい状態らしいです。そして、それはどんなベテランパイロットにでも起こりうると。「この基地に来てから、ずっとそのバーティゴにかかっているような、妙な気分が抜けないんだ。あんたのせいかも知れない」ちらり。おお、深雪はうっとりモードですよ。なにしろ「ねえ、もう少しで今日の撮影が終わるの。あとで少し飲まない」と自分から言い出すくらいです。でも残念。特別強化訓練中なのでゴクウは基地の外に出られないのでした。
さて一夜明けて訓練再開。今度はゴクウとイマジンの一騎打ちです。「来たなイマジン」「ルールを守れよ、ゴクウ」。猛スピードでドッグファイトをする二人のF15。しかしゴクウには必殺技があったのです。行っけー。機種を上げ垂直上昇に入るゴクウ。F15はそのままグングンと上昇し、その頂点で制止すると、その姿勢のまますーっと落下しはじめました。よく分かりませんがテールスライドという技らしいです。「どこ行ったんだ」と焦るイマジン。そこに姿勢を立て直したゴクウのF15が猛然と背後から襲いかかるのです。「今すぐキルしてやるからな」と叫ぶゴクウ。しかしイマジンも伊達にトップガンはしていません。「よしっ」といきなりエアブレーキを全開しました。急速に減速したイマジンのF15をオーバーシュートしてしまうゴクウ。一気に形勢逆転です。「うっ、やられる。スプリットSだ」。ゴクウは背面飛行から方向転換をしようとしますが、すでにイマジンにロックオンされていたのです。
「キルされてない」。訓練後のデブリーフィングで駄々をこねるゴクウ。クマさんチーム代表の吉永班長はキルされたと言っていますが、タカさんチーム代表の山本隊長は「私もそう思うな。操縦不能になったがコクピットに被害はなかった。ペイルアウトしてパラシュート降下したとみるのが妥当だろう」とか言い張っています。ミサイル食らったとしたら、どっちにしてもキルされたと見るのが普通な気もしますけど、タカさんチームにその理屈は通用しないみたいです。ほとんど「「まだだ! まだ終わらんよ!」の世界な気もしますけど。あ、イマジンですか。微妙にあきれ顔です。
それはそれとして、自衛隊は訓練だけしてる組織ではありません。お仕事だってちゃんとするのです。悪の帝国ソビエト連邦が領空侵犯してきたときに備え、アラート待機も必要ですからね。おっと、スクランブルがかかりました。ずどどど。列線に並ぶF15に飛び乗るゴクウとイマジン。さあ、悪の帝国ソビエト連邦を撃破だ。←そんなことをしちゃいけません。
おそろしく模型くさいツポレフ16バジャーがもっさり飛んでいます。早速、警告をしなくては。えーと、ここは日本の領空なので、帰ってください、ぷりーず。しかし、日本の自衛隊がなにもしない(できない)ことを熟知しているプラモデルくさいバジャーは進路を変える気配もなく悠然と飛んでいますよ。と、レーダー警戒受信機が反応しました。うわっ、ロックオンされてる。そう、バジャーに続き、(当時の)最新鋭機なSu-27フランカーがやってきたのです。げげっ。これはたいへんだ。早速、後続のF15、そして三沢からはF1も離陸しましたが、今ここにいるのは2機のみ。これでどうにかしなくては。「やるならやってみろ」、ゴクウは叫びます。はい、そのままプラモデルなドッグファイトが始まりましたよ。うりゃ、ロックオン返し。ウララー。悪の帝国ソビエト連邦は逃げて行きました。よく分かりませんが、正義は勝つ。
しかし、悲劇はそのあとに起こったのです。「帰りは雲の中になる」と言うイマジンに「りょーかい」と答えるゴクウ。しかし、ちっとも了解じゃありませんでした。そう、ゴクウはバーティゴに入ってしまったのです。「計器を見るんだ。水平飛行に戻せ」とイマジンは指示しますが、もとより野生の本能で飛行機を飛ばしているゴクウですから、それは無理な相談。「なんで背面になってんだ。……。やっぱりダメだ。どっちが上か下か分からない」。さらに、さっきまで激しい機動を繰り返したため、燃料警告灯までついちゃいました。これでゴクウは完全にパニックに。「燃料がない。墜落する。墜落する。アンコントロール。アンコントロール」。ばしゅっ。はい、ゴクウはペイルアウトしたようで、あわれF15は海の中。ゴクウは海水浴です。
飛行禁止をくらいヘコんでいるゴクウ。そこに吉永班長がやってきました。もちろん、めっちゃ怒っています。しかし、班長はさらに意外なことを言い出したのです。それは、班長とゴクウの兄の事故の話でした。その時、落雷を受けたファントムは計器を失いました。そして、さらに二人そろってバーティゴに。しかし、陸地で墜落したら民間人を巻き込むことになる。必死にファントムを海上まで持ち出し、そこでペイルアウト。「その時、お前の兄貴は恐怖のあまり錯乱しきってた」「うそだーーっ」」「あいつは結局、レバーを引くことができなかった。俺はパラシュート降下しながら、奴が海に突っ込んでいくのをただ見てるしかなかったんだ」。わなわな。兄を英雄だと思っていたゴクウのプライドは粉々です。「お前はその兄貴にも及ばない最低の脱出をした」。ギクリとするゴクウ。「たまたま落ちたのが海の上だったというだけのことだ。お前は自分が助かりたい一心で、民家に落ちる危険も考えずにイーグルを放棄した。俺たちは殉職したパイロットの奥さんが子供を連れて土下座までして謝っていた姿を決して忘れることはないんだ」。
ガックリ。今こそ自慢の鼻をポッキリへし折られたゴクウは虚ろにつぶやきます。「エリミネートですか(パイロットを馘ですか)」。しかし吉永班長は言うのです。「訓練再開でベストガイを決める最後のフライトが行われる。もし未だイーグルドライバーでいたいと思うのなら、そこで待ってる」。
謹慎中のゴクウは鹿児島にやってきました。昔の恋人に慰めてもらうためです。しかし、恋人にはすでに新しい彼氏が。がっくし。今度は東京の深雪に会いに行くゴクウ。しかし、深雪もまたビデオ製作プロジェクトが暗礁に乗り上げてヘコんでいる真っ最中だったのです。とりあえず慰めるわけでもなく、仕事を下ろされた深雪をバカにしまくるゴクウ。これには深雪だってブチ切れですよね。「ハッキリ言ったら。飛ぶのが怖くなったんでしょ」「そっちこそハッキリ言えよ。あたしは才能がなくて下ろされました」「いま分かった、あなたは負けるのが怖い人なのよ。死んだお兄さんに負けるのが怖い。吉永班長に負けるのが怖い。名高さんに負けるのが怖い。いつでも勝ちたいと思ってるけど、自信がない。だからベストガイなんかいらないよって、負けないうちに予防線を張っておく。そして肝心な時になるといつも安全なところに逃げ出して嵐が通り過ぎるのを待つ。今度はそれが私の部屋だったんだわ」。いや、実は2軒目なんですけどね。ま、それはともあれ、捨て台詞全開で深雪を泣かせて、部屋を出ていくゴクウ。なんていうかパイロット以前に、人としてどうかと思うんですが。
女性は強いです。プロジェクトを下ろされた深雪ですが、組織の力を頼らず、個人の力で201飛行隊の撮影を続行することにしました。もちろん許可がないので、基地に入れてもらえず、フェンスを乗り越えて警務隊に捕まっているあたりはゴクウと同レベルですが。そして、その201飛行隊では、特別強化訓練の最終フライトを前にブリーフィング中。
訓練幹部の屋敷三佐は発表します。「特別強化訓練もいよいよ本日で終了する。これまでの個人総合得点ベスト3を発表する。イマジン、1000点満点中987点。ゴクウ976点」。しかし、肝心のゴクウは行方不明のままです。「ゴクウが姿を現さない以上、戦いは成立しようがない」とイマジンに言う屋敷三佐。そうベストガイは不戦勝ではなれないらしいです。もっとも、その前にゴクウの脱柵について問題意識を持ったほうがいいような気もしますが。と、そこにノコノコとゴクウがやってきましたよ。「来たか」と熱い視線を送る吉永班長。現実だとそのまま脱柵問題について追及が始まるところですが、これは映画。それもかなりトンデモ風味なので、何事もなかったかのように、イマジンとゴクウのACM(対戦闘機戦闘)が始まり始まり。
ぎゅいーん。初手から激しいマニューバの応酬が始まりました。「よし、後ろを取った。ロックオン」とイマジンが勝ちを誇れば、「そうはいくか。そっちの得意技だ」とゴクウはエアブレーキを全開にしてイマジンをオーバーシュートさせます。「入れ替わったぞ」とゴクウが威張ると、イマジンが「今度はそっちの得意技だ」と垂直上昇。すーっ。テールスライドで自由落下していくイマジンの愛機。しかし、アレ、アレレ。「ゴクウがどこだ。おかしい、いない」。ふはは。「お前の作戦は読めてんだよ、イマジン」。どうやらゴクウも同時にテールスライドしていたみたいです。
そのまま海面スレスレで激しいマニューバを繰り返す二人。と、その時。ぷっしゅー。「Gホースが抜けた。あと少しだったのに」と悔しがるイマジン。そう、激しいGに耐えるためのGスーツにエアを供給するホースがすっぽ抜けたみたいです。クラっ、ああ目の前が暗くなる。これはブラックアウトだっ。しかし、絶好のデッドシックスにいたゴクウはイマジンをロックオンしませんでした。「ゴクウ、どうしてロックオンしなかった。その時間はあったはずだ」。しかし、そんなことを言ってる場合でもありません。気を取り直したイマジンは再びホースがすっぽ抜けたまま激しい機動を開始。「イマジン、やめろ。今度は失神するぞ」。しかしイマジンは”とっても頑張った”ので、ど根性で魂のロックオーーーーン。「やったあ」。ゴクウも今はサワヤカに負けを認めます。「おっけー。あいむキルド」。
空白だったベストガイの欄にイマジンの写真が貼られました。ちなみにトップガンの欄にはゴクウの写真が。みんな、よく頑張ったね。おしまい。
……。おしまいかと思ったら話はまだ続くみたいです。
撮影を終え、ホテルにいた深雪のところに国際電話が。電話は外タレのシェリーからで、自分のビデオクリップをぜひミユキに撮って欲しいという願ってもない話です。喜びに輝く深雪の横顔。と、アレレ。窓の外を自衛隊の救難ヘリが飛んでいますよ。そして、その中には制服をパリっとキメて、敬礼をしているゴクウが。ずどどど。シェリーからの電話を放り投げホテルの外に飛び出していく深雪。もちろんヘリを降りたゴクウもずどどどと走っています。そのまま、ホテルの前で抱き合う二人。深雪を抱っこした姿勢のままゴクウはくるくると回り、二人はむさぼりチューをするのでした。むっちゅー。「国家公務員が正式に民間人を口説きにきた」「りょーかい」。おしまい。
……。おしまいかと思ったら話はしつこく続くみたいです。部下に訓練で負けてハートブレイクな山本隊長が六本木の防衛庁に栄転する日がやってきました。愛用のヘルメットを持って、感慨深げに滑走路に出る山本隊長。と、そこには201飛行隊のみなさんがずらりと一列になって待っていたのです。びしっと敬礼する部下たちにうるっとしつつ輸送機に乗り込む山本隊長。しかし、もちろんお楽しみはこれからです。隊長の乗った輸送機をエスコートすべく離陸するゴクウとイマジン。ゴクウは言います。「隊長の餞別だ。ひとつ派手にキメてやるか」。「うっす」と答える”上官の”イマジン。ぎゅいーーーん。2機のF15はハイレートクライムをかましています。蒼穹を駆けていくF15。と、ゴクウがスロットルをガッコンと押し込むと、イマジンも「いえーす、おっけー」とアフターバーナーを全開にするのでした。ズゴーン。世界最強の制空戦闘機F15は、今日も元気です。
なんていうか、織田裕二がファイターパイロットに見えないんですけど。とりあえず、湘南爆走族の飛行機版としか言いようがないし。ノリとしては山本隊長がヘッドで、吉永班長が親衛隊長。で、ゴクウとイマジンが次期特攻隊長の座を争ってバイクテクを競っているくらいな感じでしょうか。もちろん、これを日本国の自衛隊を描いた作品だと思わず、目本国の白衛隊のお話だ、くらいに思っておけばいいのかもしれませんけど。
それにしても、得意技の名前を叫んじゃうセンスとか、こっ恥ずかしいTACネーム。さらにイキオイだけの展開は、本気でスゴイとしか言いようがありません。ちょうど、この頃はバブルが弾けかかっていたころですが、まさにイケイケドンドンな最後の映画な感じもします。
ちなみに当時は最強の制空戦闘機だったF15Jイーグルも、今ではショボーンな雰囲気。お隣の国がストライクイーグルの自国仕様、F-15Kスラムイーグルを買ったことでもあるし、日本としても、いっちょドカーンとスゴイのを買って、またベストガイの続編でも作ってもらいたいところです。希望順としては、
F22を買って、「ベストガイ2 見えない翼」。F35を買って、「ベストガイ2 稲妻の誓い」。タイフーンを買って、「ベストガイ2 ヨーロッパからきたアイツ」。F-15FXを買って、「ベストガイ2 老兵は蘇る」。あたりでしょうかね。
ところで気づきましたか。タイトルが「ベストガイ」なのに、織田裕二はベストガイになってないんですよね。まあ、あの状況でなったら、それはそれで驚きですが。
ふろく
今回は航空用語が多かったので、用語説明をつけてみます。
F15Jイーグル 言わずと知れた日本の主力戦闘機。つよい。
F4Jファントム 言わずと知れた日本のかつての主力戦闘機。かっこいい。
F1 言わずば分からない日本のかつての支援戦闘機。ミツビシ製。緑色がステキ。
Su-27フランカー 悪の帝国の戦闘機。コブラ飛びが得意。


おはなし
おっす、オラ悟空。オラの自慢話を聞いてくれよな。
言わずと知れた、かの名作「トップガン」にインスパイアされた作品です。まあ、それは大人の言い方であって、「裸の王様」の小さな子どもなら、「パクリだよ」とか「劣化コピーじゃん」と言いそうですが。
ピカッ、ゴロゴロ。空中を走る稲光。その中を戦闘機が飛んでいるようです。しかし落雷でメーターパネルは真っ暗。危ない状況です。そして、さらに危ないことに。
「バーティゴに入った。梶谷、背面飛行だ。早く元に戻せ。落ちるぞぉ」と叫ぶ後席のレーダー迎撃士官。「待ってくれ。もう少しだ」「梶谷。しっかりしろ。俺によこせ。ダメなら俺によこせ、かじたにー」。しかし、梶谷が操縦桿をユーハブする前に、ぷぷぷぷとアラームが鳴り始めましたよ。レーダー迎撃士官は叫びます。「もうダメだ。ペイルアウトだあ」……
はっ。悪夢から目覚める吉永三佐(古尾谷雅人)。横では妻が「あなた」と心配そうに見ています。「あなた、もうすぐね。亡くなった梶谷さんの弟さんが赴任するの。だから?」。「そんなことないよ」と言いつつ、吉永三佐は妻とモーニングちゅーをするのです。むちゅー。
いきなりシェリルとかいう金髪おねえさんがバリバリ歌っているシーンに。どうやら野外の特設ステージでビデオクリップの撮影中のもよう。と、上空をF15が轟音をたてて通過していきますよ。ビデオディレクターの水野深雪(財前直見)は頭をかかえますが、シェリルはさらにノリがヒートアップしているみたいです。はっ。「これよ。この迫力が欲しかったの。これだわ」。深雪はなにかヒラメイタみたいです。
「ドアオープン」。がらがら。格納庫の扉があき、差し込んできた光がF15のキャノピーに反射します。牽引車に引きだされていくF15の雄姿。そう、ここは千歳にある航空自衛隊の千歳基地で、F15は第201飛行隊の所属機のようです。
さて、その201飛行隊では隊長の山本二佐(黒沢年男)が班長の吉永三佐と、壁を見ながらなにやらお話し中。壁にはトップガン、アーリーバード、それぞれにパイロットの写真が飾ってありますが、頂点のベストガイのところだけ空欄のようです。
「久しぶりにここが埋まるのが楽しみだな」と言う山本隊長に、吉永班長は答えます。「3年ぶりですから」。ふむふむ、トップガンというのはいつもいるけど、ベストガイっていうのは、よっぽどじゃないと選ばれないんですね。なるほど。と、話題が変わりました。「それから、今日か。あの梶谷の弟が赴任するというのは」「ええ。多分。まだ現れませんが」。
はい。ということで、いよいよ主役のODAこと梶谷二尉(織田裕二)がシトロエンの2CVに乗って登場。とはいえ、身分証を忘れて基地に入れず、フェンスを乗り越え警務隊にとっ捕まったりしていますけどね。んもう。小芝居はいいから、とっとと話を進めてください。
さて、201飛行隊のみなさんがフライトを終えて帰ってくると、ひとのロッカーを勝手に開けまくっている梶谷二尉を発見しましたよ。「おいおいおい、ドブネズミが南の方から一匹迷い込んだみたいだぞ」と小学生並みのイヤミをいうパイロットさんに、梶谷二尉も負けてはいません。「第五航空団から来た梶谷だ。わざわざ来たのにロッカーも用意していないのか。ここは」。なんだとお。一触即発の雰囲気が漂うなか、梶谷二尉は、さらにイケメンなトップガン、名高一尉(長森雅人)にガンを飛ばしてます。「名高輝司一尉。TACネームイマジン。トップガンか。噂だけは聞いているよ。防大出のお坊ちゃんにしちゃ、珍しくいい腕してるそうじゃねえか」。イマジン(ぷぷ)こと名高一尉も負けじと言い返します。「貴様の噂も聞いてるよ。梶谷英男二尉。門限破りの常習犯。幹部候補生学校でもドンケツでやっと任官できた落ちこぼれだそうだな」。バチバチ。ああ、火花が散ってるみたいです。
と、そこに山本隊長はじめ隊の幹部がやってきました。「何してんだあ。お前ら」と怒鳴る吉永三佐を梶谷二尉は睨みながら言います。「吉永三佐、お久しぶりです。班長の下で飛べることになるとは思ってもみませんでしたよ」ジロリ。うわあ、殺伐とした職場だなあ。と、山本隊長が取りなすように言います。「さっそく、明日から飛んでもらう。TACネームは五空団からきたからゴクウだ」。「サル。さるー」とはしゃぐパイロットのみなさん。おい、猿って言うな。俺は世界のODAだぞ、まったく。
さあ、映画「トップガン」のようにこじゃれたバーでゴクウとビデオディレクターの水野深雪が出会ってみたり、イマジンが彼女の柴田晶子三尉と乳繰り合ったりするシーンをグダグダに挟みつつ、もう少し辛抱すればF15が飛びそうな予感。それまで我慢、我慢。
「この201飛行隊では、この3年間、ベストガイの席が空席のままになっている。貴様らも知ってのとおりベストガイはトップガンのさらに上に位置する名誉だ。パイロットとしての技量はもちろん全人格を含めて、全てにおいて超一流と認められた者だけに贈られるイーグルドライバー最高の勲章だ」。そんなお説教を訓練幹部の屋敷三佐がしていますが、ゴクウは聞く耳もたず。「そんなものに興味ありません」とかフテてますけど。まあ全人格が超一流と言われても、ゴクウは猿ですしね。関係ないっちゃ関係ない。
さあ、みなさんが部屋を出ていきます。いよいよですね。いよいよ飛びますね。と、思ったら外には深雪が率いるビデオクルーが撮影の真っ最中。はいはい。ラブストーリーはあとでね。
きゅううううう。エンジンの音が高まり、可変ノズルが閉じたり開いたり、さらに空気取り入れ口もガッコンガッコン上下してますよ。おお、なんだか凄そうだ。そして滑走路を駆け抜けたF15は空に。キーン。しかし、仲間の離陸がゴクウには不満のようです。「お嬢さんみてえな離陸だ」。そう猿たるもの、生半可な離陸はしてられませんよ。滑走をはじめ、ふわりと浮きあがったゴクウは叫びます。「はいれーとくらいむっ!!」。ガコン。ミリタリーパワーからアフターバーナーまでスロットルをぶち込まれたゴクウのF15は、垂直にズーム上昇をしていくのです。……それにしても必殺技じゃないんだから、掛け声はやめてほしい。
空に上がったゴクウは、まさに筋斗雲に乗ったも同然。なに、地上目標。よっしゃバルカンだ。バリバリ。おっと、次はF1が引っ張る標的だな。「20秒で命中だ。やってやるっ!」。バリバリ。ほとんどF1に接触しそうになりながらダート型標的(TDU−10B)を撃破するゴクウ。みごとイマジンと同じ20秒だそうです。ちなみに、この秒数になんの意味があるのかはサッパリ。
ともあれ訓練が終われば、あとは自由時間。ゴクウは深雪を呼び出し、吉永班長の悪口モード。「あの男は俺の兄貴が事故で死んだとき、F4ファントムの後ろに乗ってた奴だ」。一方ライバルのイマジンは、彼女の柴田三尉とエッチの真っ最中。あっはーん。ま、若いんだし、人生いろいろです。
「本日より三週間の予定で特別強化訓練を実施する。通常の訓練をスケールアップし、隊を二分して戦技訓練を行う。隊は吉永班長率いるベアチームと、山本隊長率いるホークスチームに二分。本日より完全な敵同士となる」。訓練幹部の屋敷三佐によると、この訓練の結果がベストガイ選出にむけての重要な判断要素になるそうですよ。そして予想どおりクマさんチームにはイマジンが、タカさんチームにはゴクウが入ったのでした。「いい機会だ。こんどこそハッキリ勝負つけてやる」と息巻くゴクウに、「お前の弱点はもうつかんだ。戦う前から勝負は決まっている」と返すイマジン。なんだか少年ジャンプみたいになってきました。
うりゃりゃりゃあ。快調にクマさんチームのF15をロックオンしていくゴクウ。一方、イマジンも山本隊長をロックオンするなどノッているようです。そしてとうとう激突のときが。キーン。キーン。それぞれ僚機を引き連れ、正面から向かっていくゴクウとイマジン。「先にブレイクした方が負けだ」「このままだと正面衝突だぞ」。キーンキーン。キキーン。激突寸前、ブレイクするイマジン。よっしゃ、俺の勝ちだぜ、とゴクウはご満悦です。
しかし着陸するとイマジンがとっても怒っていますよ。ポカリ。ゴクウを殴ったイマジンは言います。「バカ。一人で死ね。他人を巻き込むな。俺たちは全員、自信過剰のパイロットだ。それくらいじゃなきゃイーグルドライバーの資格はない。だが、その自信過剰が同時に自分の弱点になるってこともよく知ってるんだ。お前はそれくらいわきまえているファイターだと思っていたが、ただの暴走族だったようだな」。さらにゴクウの僚機を務めていたダック(米山善吉)までもゴクウを見限り、ゴクウはひとりショボーンです。
さびしくなって夜の千歳空港を見ているゴクウ。と、そこに深雪がやってきましたよ。「梶谷さんのお兄さんの話、聞いたわ。北陸の上空でファントムが故障して、民家に墜落するのを避けようと海まで飛んでって緊急脱出できずに亡くなったんですってね」。暗い顔で「そして兄貴は空の英雄になった」とつぶやくゴクウ。「その時、複座の後ろに乗っていたのが吉永班長だった。どうしてお兄さんだけが亡くなったの?」。
その質問に答えようとせず、「バーティゴ、空間識失調って知ってるか」というゴクウ。要は平衡感覚が狂って、ひどいときには、飛行中にどっちが上だか下だか分からなくなるという恐ろしい状態らしいです。そして、それはどんなベテランパイロットにでも起こりうると。「この基地に来てから、ずっとそのバーティゴにかかっているような、妙な気分が抜けないんだ。あんたのせいかも知れない」ちらり。おお、深雪はうっとりモードですよ。なにしろ「ねえ、もう少しで今日の撮影が終わるの。あとで少し飲まない」と自分から言い出すくらいです。でも残念。特別強化訓練中なのでゴクウは基地の外に出られないのでした。
さて一夜明けて訓練再開。今度はゴクウとイマジンの一騎打ちです。「来たなイマジン」「ルールを守れよ、ゴクウ」。猛スピードでドッグファイトをする二人のF15。しかしゴクウには必殺技があったのです。行っけー。機種を上げ垂直上昇に入るゴクウ。F15はそのままグングンと上昇し、その頂点で制止すると、その姿勢のまますーっと落下しはじめました。よく分かりませんがテールスライドという技らしいです。「どこ行ったんだ」と焦るイマジン。そこに姿勢を立て直したゴクウのF15が猛然と背後から襲いかかるのです。「今すぐキルしてやるからな」と叫ぶゴクウ。しかしイマジンも伊達にトップガンはしていません。「よしっ」といきなりエアブレーキを全開しました。急速に減速したイマジンのF15をオーバーシュートしてしまうゴクウ。一気に形勢逆転です。「うっ、やられる。スプリットSだ」。ゴクウは背面飛行から方向転換をしようとしますが、すでにイマジンにロックオンされていたのです。
「キルされてない」。訓練後のデブリーフィングで駄々をこねるゴクウ。クマさんチーム代表の吉永班長はキルされたと言っていますが、タカさんチーム代表の山本隊長は「私もそう思うな。操縦不能になったがコクピットに被害はなかった。ペイルアウトしてパラシュート降下したとみるのが妥当だろう」とか言い張っています。ミサイル食らったとしたら、どっちにしてもキルされたと見るのが普通な気もしますけど、タカさんチームにその理屈は通用しないみたいです。ほとんど「「まだだ! まだ終わらんよ!」の世界な気もしますけど。あ、イマジンですか。微妙にあきれ顔です。
それはそれとして、自衛隊は訓練だけしてる組織ではありません。お仕事だってちゃんとするのです。悪の帝国ソビエト連邦が領空侵犯してきたときに備え、アラート待機も必要ですからね。おっと、スクランブルがかかりました。ずどどど。列線に並ぶF15に飛び乗るゴクウとイマジン。さあ、悪の帝国ソビエト連邦を撃破だ。←そんなことをしちゃいけません。
おそろしく模型くさいツポレフ16バジャーがもっさり飛んでいます。早速、警告をしなくては。えーと、ここは日本の領空なので、帰ってください、ぷりーず。しかし、日本の自衛隊がなにもしない(できない)ことを熟知しているプラモデルくさいバジャーは進路を変える気配もなく悠然と飛んでいますよ。と、レーダー警戒受信機が反応しました。うわっ、ロックオンされてる。そう、バジャーに続き、(当時の)最新鋭機なSu-27フランカーがやってきたのです。げげっ。これはたいへんだ。早速、後続のF15、そして三沢からはF1も離陸しましたが、今ここにいるのは2機のみ。これでどうにかしなくては。「やるならやってみろ」、ゴクウは叫びます。はい、そのままプラモデルなドッグファイトが始まりましたよ。うりゃ、ロックオン返し。ウララー。悪の帝国ソビエト連邦は逃げて行きました。よく分かりませんが、正義は勝つ。
しかし、悲劇はそのあとに起こったのです。「帰りは雲の中になる」と言うイマジンに「りょーかい」と答えるゴクウ。しかし、ちっとも了解じゃありませんでした。そう、ゴクウはバーティゴに入ってしまったのです。「計器を見るんだ。水平飛行に戻せ」とイマジンは指示しますが、もとより野生の本能で飛行機を飛ばしているゴクウですから、それは無理な相談。「なんで背面になってんだ。……。やっぱりダメだ。どっちが上か下か分からない」。さらに、さっきまで激しい機動を繰り返したため、燃料警告灯までついちゃいました。これでゴクウは完全にパニックに。「燃料がない。墜落する。墜落する。アンコントロール。アンコントロール」。ばしゅっ。はい、ゴクウはペイルアウトしたようで、あわれF15は海の中。ゴクウは海水浴です。
飛行禁止をくらいヘコんでいるゴクウ。そこに吉永班長がやってきました。もちろん、めっちゃ怒っています。しかし、班長はさらに意外なことを言い出したのです。それは、班長とゴクウの兄の事故の話でした。その時、落雷を受けたファントムは計器を失いました。そして、さらに二人そろってバーティゴに。しかし、陸地で墜落したら民間人を巻き込むことになる。必死にファントムを海上まで持ち出し、そこでペイルアウト。「その時、お前の兄貴は恐怖のあまり錯乱しきってた」「うそだーーっ」」「あいつは結局、レバーを引くことができなかった。俺はパラシュート降下しながら、奴が海に突っ込んでいくのをただ見てるしかなかったんだ」。わなわな。兄を英雄だと思っていたゴクウのプライドは粉々です。「お前はその兄貴にも及ばない最低の脱出をした」。ギクリとするゴクウ。「たまたま落ちたのが海の上だったというだけのことだ。お前は自分が助かりたい一心で、民家に落ちる危険も考えずにイーグルを放棄した。俺たちは殉職したパイロットの奥さんが子供を連れて土下座までして謝っていた姿を決して忘れることはないんだ」。
ガックリ。今こそ自慢の鼻をポッキリへし折られたゴクウは虚ろにつぶやきます。「エリミネートですか(パイロットを馘ですか)」。しかし吉永班長は言うのです。「訓練再開でベストガイを決める最後のフライトが行われる。もし未だイーグルドライバーでいたいと思うのなら、そこで待ってる」。
謹慎中のゴクウは鹿児島にやってきました。昔の恋人に慰めてもらうためです。しかし、恋人にはすでに新しい彼氏が。がっくし。今度は東京の深雪に会いに行くゴクウ。しかし、深雪もまたビデオ製作プロジェクトが暗礁に乗り上げてヘコんでいる真っ最中だったのです。とりあえず慰めるわけでもなく、仕事を下ろされた深雪をバカにしまくるゴクウ。これには深雪だってブチ切れですよね。「ハッキリ言ったら。飛ぶのが怖くなったんでしょ」「そっちこそハッキリ言えよ。あたしは才能がなくて下ろされました」「いま分かった、あなたは負けるのが怖い人なのよ。死んだお兄さんに負けるのが怖い。吉永班長に負けるのが怖い。名高さんに負けるのが怖い。いつでも勝ちたいと思ってるけど、自信がない。だからベストガイなんかいらないよって、負けないうちに予防線を張っておく。そして肝心な時になるといつも安全なところに逃げ出して嵐が通り過ぎるのを待つ。今度はそれが私の部屋だったんだわ」。いや、実は2軒目なんですけどね。ま、それはともあれ、捨て台詞全開で深雪を泣かせて、部屋を出ていくゴクウ。なんていうかパイロット以前に、人としてどうかと思うんですが。
女性は強いです。プロジェクトを下ろされた深雪ですが、組織の力を頼らず、個人の力で201飛行隊の撮影を続行することにしました。もちろん許可がないので、基地に入れてもらえず、フェンスを乗り越えて警務隊に捕まっているあたりはゴクウと同レベルですが。そして、その201飛行隊では、特別強化訓練の最終フライトを前にブリーフィング中。
訓練幹部の屋敷三佐は発表します。「特別強化訓練もいよいよ本日で終了する。これまでの個人総合得点ベスト3を発表する。イマジン、1000点満点中987点。ゴクウ976点」。しかし、肝心のゴクウは行方不明のままです。「ゴクウが姿を現さない以上、戦いは成立しようがない」とイマジンに言う屋敷三佐。そうベストガイは不戦勝ではなれないらしいです。もっとも、その前にゴクウの脱柵について問題意識を持ったほうがいいような気もしますが。と、そこにノコノコとゴクウがやってきましたよ。「来たか」と熱い視線を送る吉永班長。現実だとそのまま脱柵問題について追及が始まるところですが、これは映画。それもかなりトンデモ風味なので、何事もなかったかのように、イマジンとゴクウのACM(対戦闘機戦闘)が始まり始まり。
ぎゅいーん。初手から激しいマニューバの応酬が始まりました。「よし、後ろを取った。ロックオン」とイマジンが勝ちを誇れば、「そうはいくか。そっちの得意技だ」とゴクウはエアブレーキを全開にしてイマジンをオーバーシュートさせます。「入れ替わったぞ」とゴクウが威張ると、イマジンが「今度はそっちの得意技だ」と垂直上昇。すーっ。テールスライドで自由落下していくイマジンの愛機。しかし、アレ、アレレ。「ゴクウがどこだ。おかしい、いない」。ふはは。「お前の作戦は読めてんだよ、イマジン」。どうやらゴクウも同時にテールスライドしていたみたいです。
そのまま海面スレスレで激しいマニューバを繰り返す二人。と、その時。ぷっしゅー。「Gホースが抜けた。あと少しだったのに」と悔しがるイマジン。そう、激しいGに耐えるためのGスーツにエアを供給するホースがすっぽ抜けたみたいです。クラっ、ああ目の前が暗くなる。これはブラックアウトだっ。しかし、絶好のデッドシックスにいたゴクウはイマジンをロックオンしませんでした。「ゴクウ、どうしてロックオンしなかった。その時間はあったはずだ」。しかし、そんなことを言ってる場合でもありません。気を取り直したイマジンは再びホースがすっぽ抜けたまま激しい機動を開始。「イマジン、やめろ。今度は失神するぞ」。しかしイマジンは”とっても頑張った”ので、ど根性で魂のロックオーーーーン。「やったあ」。ゴクウも今はサワヤカに負けを認めます。「おっけー。あいむキルド」。
空白だったベストガイの欄にイマジンの写真が貼られました。ちなみにトップガンの欄にはゴクウの写真が。みんな、よく頑張ったね。おしまい。
……。おしまいかと思ったら話はまだ続くみたいです。
撮影を終え、ホテルにいた深雪のところに国際電話が。電話は外タレのシェリーからで、自分のビデオクリップをぜひミユキに撮って欲しいという願ってもない話です。喜びに輝く深雪の横顔。と、アレレ。窓の外を自衛隊の救難ヘリが飛んでいますよ。そして、その中には制服をパリっとキメて、敬礼をしているゴクウが。ずどどど。シェリーからの電話を放り投げホテルの外に飛び出していく深雪。もちろんヘリを降りたゴクウもずどどどと走っています。そのまま、ホテルの前で抱き合う二人。深雪を抱っこした姿勢のままゴクウはくるくると回り、二人はむさぼりチューをするのでした。むっちゅー。「国家公務員が正式に民間人を口説きにきた」「りょーかい」。おしまい。
……。おしまいかと思ったら話はしつこく続くみたいです。部下に訓練で負けてハートブレイクな山本隊長が六本木の防衛庁に栄転する日がやってきました。愛用のヘルメットを持って、感慨深げに滑走路に出る山本隊長。と、そこには201飛行隊のみなさんがずらりと一列になって待っていたのです。びしっと敬礼する部下たちにうるっとしつつ輸送機に乗り込む山本隊長。しかし、もちろんお楽しみはこれからです。隊長の乗った輸送機をエスコートすべく離陸するゴクウとイマジン。ゴクウは言います。「隊長の餞別だ。ひとつ派手にキメてやるか」。「うっす」と答える”上官の”イマジン。ぎゅいーーーん。2機のF15はハイレートクライムをかましています。蒼穹を駆けていくF15。と、ゴクウがスロットルをガッコンと押し込むと、イマジンも「いえーす、おっけー」とアフターバーナーを全開にするのでした。ズゴーン。世界最強の制空戦闘機F15は、今日も元気です。
なんていうか、織田裕二がファイターパイロットに見えないんですけど。とりあえず、湘南爆走族の飛行機版としか言いようがないし。ノリとしては山本隊長がヘッドで、吉永班長が親衛隊長。で、ゴクウとイマジンが次期特攻隊長の座を争ってバイクテクを競っているくらいな感じでしょうか。もちろん、これを日本国の自衛隊を描いた作品だと思わず、目本国の白衛隊のお話だ、くらいに思っておけばいいのかもしれませんけど。
それにしても、得意技の名前を叫んじゃうセンスとか、こっ恥ずかしいTACネーム。さらにイキオイだけの展開は、本気でスゴイとしか言いようがありません。ちょうど、この頃はバブルが弾けかかっていたころですが、まさにイケイケドンドンな最後の映画な感じもします。
ちなみに当時は最強の制空戦闘機だったF15Jイーグルも、今ではショボーンな雰囲気。お隣の国がストライクイーグルの自国仕様、F-15Kスラムイーグルを買ったことでもあるし、日本としても、いっちょドカーンとスゴイのを買って、またベストガイの続編でも作ってもらいたいところです。希望順としては、
F22を買って、「ベストガイ2 見えない翼」。F35を買って、「ベストガイ2 稲妻の誓い」。タイフーンを買って、「ベストガイ2 ヨーロッパからきたアイツ」。F-15FXを買って、「ベストガイ2 老兵は蘇る」。あたりでしょうかね。
ところで気づきましたか。タイトルが「ベストガイ」なのに、織田裕二はベストガイになってないんですよね。まあ、あの状況でなったら、それはそれで驚きですが。
ふろく
今回は航空用語が多かったので、用語説明をつけてみます。
F15Jイーグル 言わずと知れた日本の主力戦闘機。つよい。
F4Jファントム 言わずと知れた日本のかつての主力戦闘機。かっこいい。
F1 言わずば分からない日本のかつての支援戦闘機。ミツビシ製。緑色がステキ。
Su-27フランカー 悪の帝国の戦闘機。コブラ飛びが得意。











