いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】駅 STATION

2008-03-12 | 邦画 あ行
【「駅 STATION」降旗康男 1981】を観ました



おはなし
オリンピックの射撃代表として、家庭崩壊してまで全てを捧げた男の、十年以上に渡る刑事生活を描きます。

北海道にこだわる倉本聰。九州出身のわりに、なぜか雪の似合う男、健さん。そして、魂のカメラマン木村大作の入魂の撮影。まあ、この3つが出会えば、こうなるだろうな、という展開ではあります。

「1968年1月 直子」
雪の降りしきる銭函駅ホーム。幼い子供とジャンケン遊びをしている直子(いしだあゆみ)が映し出されます。その横には、寒そうな顔をしている警察官の三上英次(高倉健)。高田(名古屋章)が「あいつはもう充分、苦しんだんだ。たった一回の過ちじゃねえか。忘れてやるわけにはいかないのか」と言いますが、黙ったままの英次です。列車が来ました。直子、高田、そして幼い息子が列車に乗り込むのを黙って見守る英次。「お父さん」と幼い子供が精一杯呼びかけます。泣き笑いの直子が敬礼をするなか、列車は英次をホームに残して、滑り出していくのでした。ということで、この敬礼のシーン。当時のCMでも散々流されたシーンなので、とても有名です。

タイトルバックには健さんの姿が映し出されます。拳銃で射撃訓練に励む健さん。ジョギングする健さん。剣道をする健さん。競技用ピストルを撃つ健さん。もう、この段階で健さんファンは大満足。ともあれ健さんのあんな姿や、こんな姿が見られれば、あと何がいる?みたいな。

「メキシコオリンピック あと278日」の看板が掲げられている食堂で、英次と先輩の相馬(大滝秀治)が食事を取っています。相馬は、英次が家族を捨てたことに立腹しているようす。「お前はアホだ。奥さんはともかく、子供に対して自分をいったい何だと思ってんだ」と説教しています。しかし英次は、「いいじゃないですか……もう……終わったんですから。バカなんですよね、実際、自分は」と健さんモードに突入中。とにかく、オリンピックで勝つこと。そのためには、家族だって何だって捨てる、という気迫タップリです。

そんなころ、警察官を射殺した犯人が逃げているという一報が。早速、検問を張る英次と相馬。しかし、相馬が止めた車から、ニュっと銃口が突き出し、その瞬間、相馬は血しぶきをあげて後ろに吹っ飛んだのです。犯人は逃げ去り、相馬は殉職しました。

「忘れろ」という中川警視(池部良)。「課長、カタキを討たしてください」と英次が懇願しても、「お前の担当はオリンピックだ」と、捜査に参加させてもらえません。そんなおり、オリンピック陸上代表・円谷幸吉の自殺が報じられました。「あの」有名な遺書が流れる中、思いに沈む健さん。しかし、ここでちょっと苦言を。はっきり言って円谷幸吉の遺書は反則です。この「父上様、母上様、三日とろゝ美味しゆうございました」で始まる遺書を読んだり、聞いたりすると、自動的に涙腺が緩みます。胸が苦しくなります。こんなに切なくて、こんなに美しい文章を使われたら、映画の内容に関わらず、泣いちゃうじゃありませんか。

「1976年6月 すず子」
沖を行く増毛からの連絡船が、雄冬の港に入りました。そこから降り立ったのは英次。菅原(田中邦衛)や、その弟の義二(小松政夫)などの幼馴染が暖かく出迎えてくれた、この雄冬こそが英次の故郷なのです。英次が田舎に帰ってきたのは、妹の冬子(古手川祐子)が嫁ぐことになったから。もちろん相手に、申し分はなし。しかし英次は知っています。冬子は義二と好き合っていたことを。明るく振舞う冬子。そして義二。そんな二人を見ると、英次はどこか空しくなるのです。

さて、雄冬に程近い増毛で殺人事件が起こりました。赤いミニスカートをはいた若い女性がレイプされて殺されたのです。ここでは以前にも、赤いミニスカートをはいた女性が乱暴されて殺されており、同一犯の可能性もあります。オリンピックの射撃コーチのかたわら、英次はこの事件の捜査に駆り出されるのでした。

小川刑事(竜雷太=ゴリさん)や、辰巳刑事(小林稔侍)などと捜査を進める英次。そして、その捜査線上に吉松五郎(根津甚八)という男が浮かび上がってきます。しかし、捜査の手が伸びてきたことを察知したのか吉松は姿を消してしまいました。指名手配をかけるほどの決め手に欠く捜査陣は苦慮します。こうなれば、吉松の妹、すず子(烏丸せつこ)を張り込んで、吉松が接触してきたところを押さえるしかありません。

しかし、すず子は驚くべき証言をしました。なんと事件当日は、兄とケンカをしていて、一晩中一緒だったというのです。それが本当であれば、吉松にはアリバイが存在することになります。もちろん肉親の証言なので、普通なら信用できないところですが、小川刑事の勘では嘘を言っていないというのです。「しかし、妹なんだろ。兄貴を庇っているとは考えられるだろ」と言われても、「そういう娘じゃないんです。タリナイんじゃないかっていうくらいに、トロい娘でしてね」と力説する小川刑事。確かに、すず子はかなーりトロい感じではあります。

さて、すず子は子供を堕ろしました。相手は暴走族の雪夫(宇崎竜童)。そして、その雪夫が英次に接近して、兄の吉松の居所を探ってやると言い出したのです。「あの兄妹はさ、恋人以上なんだ。ひょっとすると本当にデキてるかもな、ヘッヘッヘ」と下卑た笑いを浮かべる雪夫。よく分かりませんが、雪夫はすず子の兄へ嫉妬なのか、「いいから、いいから心配するな」と勝手に捜査への協力を申し出るのでした。

そして、しばらく経ち、すず子と雪夫が、兄の吉松に会いに行くことになりました。もちろん、バッチリ刑事たちの尾行付きです。そんな緊迫した尾行の真っ最中に、大田黒警視(平田昭彦)は英次に言い出します。「こんな時になんだが、オリンピックのことなあ。君にはタイヘン申し訳ないんだが、今度は君に外れてもらうことになったんだ」。いや、ホント、こんな時に「なん」ですね。っていうか、ストーリーが無茶苦茶です。まあ、それはともかく、待ち合わせ場所にノコノコ現れた吉松は逮捕され、呆然とそれを見つめている英次、そして後輩刑事の辰巳は英次に言います。「三上さん、俺には信じられんですよ。あのトロい子が今まで俺たちを芝居で騙していたんですか」。まあ、そんなこと言われても、観ているほうも強引な展開に「信じられんですよ」。

「1979年12月 桐子」
銀行に銃を持った犯人が立てこもっています。今は、狙撃班のチーフになった英次は早速、出動。無事というか何と言うか、ともあれラーメン屋の店員に変装して、オカモチに隠したピストルで犯人(阿藤海)を見事に射殺したのです。しかし、そんな生活に疑問を感じている英次。ジングルベルの流れる町をひとり歩けば、寂しさがつのり、誰もいない部屋で第九なんて聴いちゃうと、余計に空しくなってきます。さらに、一通の手紙が英次をブルーにしました。連続強姦殺人犯の吉松からの手紙です。実は、身分を隠して吉松に差し入れを送り続けていた英次。吉松からの手紙は、死刑が決まり、この手紙が届く頃には自分はこの世にいないこと、そして今までの英次の親切に感謝を述べていたのです。

家族を捨ててまでオリンピックにかけた青春。しかし、今は人殺しの機械になってしまった自分。そんな思いが去来したのでしょうか、英次はふと思い立って旅に出かけることにしました。吉松が住んでいた、そしてすず子が今でも住んでいるだろう増毛の町に。そして、そこから連絡船に乗れば、自分の故郷雄冬もすぐそこです。

見張られていた立場のすず子は、自分の顔を知りません。それを幸いにして、そっと様子をうかがう英次。そして、雪に埋もれた吉松の墓へ。ぶっちゃけ、ここらへんのシークエンスは、さっぱり意味が分かりません。なんで英次がそこまで吉松兄妹に入れ込むのか、そして何をしたいのか。

まあ、それはともかく、墓参りを終えた英次は、疲れた体を一軒の居酒屋に滑り込ませました。「桐子」という居酒屋。当たり前ですが、桐子(倍賞千恵子)という女将が、一人でやっている居酒屋です。すっかり意気投合する二人。っていうか、いい女は忘れない、とか健さん、結構積極的なんですけど。ここらへんは、「幸福の黄色いハンカチ」っぽいですね。八代亜紀の「舟唄」をBGMに会話を続ける二人。北海道の田舎町に行けば、こんな居酒屋があって、本当にこんな会話をしているんじゃないかと思ってしまうくらいリアルです。いや、リアルというよりリアル「っぽい」が正しいかも。ともあれ、二人は翌日の大晦日に、映画を観にいく約束をするくらい仲良くなったのです。

二人は映画を観ています。でも、観ている映画は「Mr.Boo」。マイケル・ホイの香港コメディ映画で、確かにこの頃のヒット作ではありますが、でもMr.Booですよ。観た方はご存知だと思いますが、どうみても雰囲気が違いすぎ。倍賞千恵子がMr.Boo。それより何より、健さんがMr.Boo。どうしてMr.Boo。うーん。映画の後はご飯です。とりあえずカレーかなんか食べる二人。ますます、「幸福の黄色いハンカチ」っぽくなってきました。しかし、いくら不器用な二人だって、「幸福の黄色いハンカチ」の頃から比べれば、少しは進歩しています。というのも、いきなり連れ込み宿に行って、エッチをしちゃいますから。一戦終えて、「ねえ、おっきな声出さなかった」と恥らう桐子。英次は優しく、「おっきな声なんか出さなかったよ」と答えます。とは言え、その直後、英次こと健さんのモノローグで「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」とかいう台詞が入るのはどういうことでしょう。コメディなんですか、この映画は。本当にコメディなのか、Mr.Booだし。

その後、二人で紅白歌合戦を観て、八代亜紀の「舟唄」でシミジミする二人。一緒に初詣に行きましょう。多分、この段階で、英次は実家に帰省することを忘れてると思います。しかし、そこでガーンです。桐子が、ふとすれ違った男に顔色を変えているのです。ゼッタイ男です。前の男に決まっています。「先に行ってるよ」と歩み去る英次。内心は、「ウワーン」だと思います。

雄冬に連絡船が入ります。サングラスをかけて、渋くキメている英次。でも、知ってますよ。振られたんだよ。それはそれとして、母親(北林谷栄)や、帰省していた古手川祐子の妹、友達な田中邦衛やらに歓待される英次。やっぱり田舎はいいですね。ということで、実は英次は警察を辞めて、田舎に戻る計画があるもよう。友達に手紙を出して、仕事口も探してもらっていたりするのでした。

その夜、弟(永島敏行)が英次に声をかけてきました。「会ってきたんだ。直子姉さんに」と言うのです。「義高、大きくなってたぞぉ」と、息子の近況も教えられ、ズキンとする英次。「あいつ、誰かと一緒におるんか」「いや、ずっと一人で暮らしてるらしい。池袋のアパートでホステスしてるよ」。思わず英次の脳裏に別れ際の直子の姿が浮かびます。泣き笑いで敬礼していた、あの姿が。
「これ、アパートの番号」とメモを渡される英次。もちろん、「漢」健さんが電話するわけもなく、って、シッカリ電話してるんですが。

休暇を終え、連絡船に乗った英次。増毛につくと、そこには桐子が待っていました。恥らいつつ腕にすがる桐子。「彼氏、まだいるのか、うちに」と、とりあえずジャブをかます英次。「彼氏なんだろ、初詣の時の」と探りを入れてるのが、健さんっぽくなくて、ちょっとムカムカ。その後も、腹の探りあいを続け、いよいよ英次の乗る列車の発車時刻がやってきました。「札幌にこのまま一緒に付いていっちゃおうかなあ」と言い出す桐子に、英次は「来たっていいぜ」と答えるのです。完全にムカッです。健さんなら、ここは「俺と一緒に来い」くらい言って欲しいですよね。

帰りの列車の中。健さんのモノローグで辞職願が流れます。警察官としての22年がどうしたこうした言ってますよ。英次は胸に辞職願を入れて、札幌に着いたら、早速これを出す予定です。しかし、乗り換えの駅で英次は驚くべきことを知りました。増毛で銃撃事件があったというのです。そして、女の声でタレコミがあって、その犯人はかつて先輩を殺し逃げていた男だと判明したそうです。かつての事件の手配写真を見て、ピンとくる英次。こ、これは桐子の元カレじゃありませんか。っていうか、見た瞬間に気づけよ、と思わないでもありません。だって、仮にも先輩のカタキじゃないですか。

ま、そんなことは気づかなかったことにしておいて、ともあれ英次は今来た線路を戻ることに。拳銃に弾丸を込め、桐子の家に行く英次。トントン。トントン。ビクビクした様子で、そっとドアをあける桐子。どうも、背後を気にしているみたいです。部屋に強引に入ると、いました。犯人(室田日出男)です。「違うわ、この人、デカじゃない」という桐子の声をかき消すように響く銃声が二つ。犯人は死にました。「そういうことか」とつぶやく桐子です。

取調べに答えている桐子。刑事に、脅されていたんだろ、と聞かれても、脅されてなんかいませんと答えています。「あれは私が匿っていたんです」と言う桐子に、じゃあタレこむのはおかしいじゃないか、と突っ込む刑事。しかし「男と女ですからね」と桐子は堂々と答えるのでした。それを物陰でこっそり聞いている英次。きっと、心の中は涙目でしょう。

その夜、性懲りもなく「ちょっといいかい」と「桐子」にやってきた英次。でも、とりあえず二人とも無言です。あ、テレビから八代亜紀の「舟唄」が流れ始めました。涙ぐみながら、それを聴いている桐子。声をかけられない英次。そのまま「桐子」を出た英次は、駅のストーブで辞職願を燃やし、列車に乗り込みます。その同じ列車には、兄を失ったすず子も乗り込みました。一人は警察の仕事に。一人は、新しい生活を求めて。「舟唄」をバックに去っていく列車です。

いやあ、いい映画でした。。。って、ホントにいい映画なんでしょうか?どうも、脚本の精度が甘すぎるような気がするんですが。

この映画を大雑把に要約してみます。
オリンピックの期待がかかる警官が、練習に熱中しすぎで、奥さんに浮気をされて離婚。
他の刑事が足で捜査をする中、たまたま知り合った暴走族の協力で強姦犯の逮捕に成功。もっとも、逮捕直前の大事なときに、考えているのは射撃コーチを外されたこと。
狙撃班にまわされ腐っているところに、可愛がっていた強姦犯が死刑になって大ショック。
意味なく増毛に行くと、飲み屋の女将に出会って、ニマー。早速デキちゃうものの、元カレがいて、やっぱり大ショック。
田舎に帰り、元女房の電話を聞くと、早速tell。あわよくば……。
増毛に戻ると飲み屋の女将に再会。あわよくば……。
こともあろうに、女将の元カレが先輩のカタキと気づかなかったものの、射殺してオーライ。
フラれちゃったし、やっぱり警官続けよう。辞職願を燃やして、万事オーライ。

こんなの、こんなの健さんの出るべき映画じゃないやい。

そうは言いつつ、普通に観ていると、木村大作の撮る雪のシーンの美しさや、倍賞千恵子と健さんの息のあった芝居などにスッカリだまされます。

でも、これってアイドル映画なんですよね。めちゃくちゃ美人のグラビアアイドル主演の映画。脚本はボロボロ。演技は「お約束」から一歩もでない。それでもアイドルが笑い、泣き、動いているだけで大満足。それと同じです。

健さんが雪の中に立っている。健さんが渋い表情をしている。もう、それだけでオッケーな人が見たら、これはいい映画でしょう。もちろん、ぼくも健さんは好きなので「ほとんど」オッケーではあるんですが、でもね。でも、やっぱり、これをいい映画と言ったら、他の映画の立場が無いような気もします。

あと、健さんの妹役、古手川祐子はとてもキレイ。キレイすぎて、なんで小松政夫と好き合っているんだよ、と思いました。ありえない組み合わせにも程があります。







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2 コメント

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博多と筑豊 (銀ばる)
2008-03-13 09:13:43
高倉健、小松政夫・・・福岡が生んだ2大スター!?

小松政夫は博多のおいさん(おじさん)と言う感じで
大好きなんですよね~。
しらけ鳥音頭を歌う政太郎がやっぱり一番のはまり役かな?
筑豊高倉健、「新幹線大爆破」は好きで10回ぐらい
見ましたがこれは未だ見ていないですね。
地元民から見てこの二人は「博多」と「旧い筑豊」を表現するのに適していると思いますよ。
九州男児 (いくらおにぎり)
2008-03-14 10:25:05
銀ばるさん、こんにちは

小松政夫が九州男児だったとは知りませんでした。っていうか、東京出身の僕からすると、九州男児のイメージじゃないんですが、地元の方からすると「博多のおいさん」って感じなんですね。

多分、他の地方から見たときの九州男児のイメージは、男らしくて豪快、だと思いますけど。

そういえば、古手川祐子も大分出身だそうですから、九州出身者ばかりで、北海道に住む人の役をやっている、というのも不思議な感じです。

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