いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】歌う若大将

2010-08-06 | 邦画 あ行
【「歌う若大将」長野卓 1966】を観ました



おはなし
若大将が歌います。そのまんま。

日劇で行われた加山雄三のワンマンショーに、「大学の若大将」から「ハワイの若大将」までの名場面を組み合わせた、おおきな声じゃ言えませんが、とても安直な企画の映画です。しかし、別の意味で、見所(というか聴き所)満載でした。

まずは、いきなりパシフィックパーク茅ヶ崎のプールからスタート。女性ナレーターが言います。「ここは神奈川県茅ヶ崎のパシフィックガーデン。全女性あこがれのナイスガイ、加山雄三さんが忙しいスケジュールの合間を縫って水遊びにやってきました」。いや、これは加山雄三がお父さんの上原謙と建てたホテルなんで、単なる宣伝なのでは。ま、それはともあれ、飛び込み台からジャボンと若大将が飛び込むと、それだけで「わー。きゃー」と黄色い声が。さらに若大将がバタフライなんかで泳ぐと、やっぱり「わー。きゃー」。

次は若大将のシングルレコードが映りました。「レコードの売れ行きが300万枚を突破して、歌手としても人気絶頂の加山さん。こんど東京有楽町の日本劇場で、名古屋公演に次ぐワンマンショーを開くことになりました。前人気は上々で前売り券はわずか二日で売り切れてしまったというすさまじさ。屋上では加山さんと共演する日劇ダンシングチームのリハーサル。若さにあふれて楽しそうです」。ということで、画面は日劇の屋上に移ります。あんまり、楽しそうな表情を見せずに、モッサモッサと踊りの練習をしている日劇ダンシングチーム(NDT)のみなさん。っていうか、NDTって、こんなとこで練習してるんですね。雨の日はどうするんでしょう。

さて、今度は日劇を十重二十重に囲む群集が映ります。「一夜明けて、さあ待ちに待った公演のその日。徹夜で並んだ人も含めて、早朝から詰めかけたファンの列が当日売りの一般席券を求めて劇場を取り巻きました。何百人、いえ何千人並んでいるのでしょうか。びっくりしたなぁ、もう」。確かにたくさんの人たち。それも妙齢のお姉さんたちが、うじゃうじゃ並んでいるのは圧巻ですね。「三日間の入場者総数が約3万人。入れ替えなしだったので、一日3回の公演を朝から晩まで居続けて、全部堪能されたファンの方も多かったとか」。多かった"とか"って。今じゃ映画ですら、完全入替制になってきたのに、何ていうおおらかさなんだか。

ま、それはともあれ、いよいよ公演開始。ぱっとスポットライトが当たり、男性が光の中に浮かび上がります。「わーーー」。しかし、そこにいたのは司会者のおじさん。「わーってことはないでしょ。キャーなら分かりますがね」。イヤな間が広がります。「ま、ハヤる気持ちはわかりますけど。まだ幕は閉まってるんですからね。みなさん、ようこそお出でくださいました。志摩夕起夫でございます」。ザワザワ、ザワザワ。観客は聞いちゃいませんね。これには志摩さんも閉口したのか、大声を出します。「それでは早速、幕を開けることにしましょう。加山雄三ショーーーー」。

スルスルと幕が開くと、NDTのお姉さんに囲まれた若大将が、ニカっと笑いつつ片手を上げました。「加山さーん、すてきー」。ここで名ナンバー『君といつまでも』が始まります。♪二人を夕闇がぁ 包むぅこの窓辺に♪。わーー。わーー。なんかお姉さんたち、聞いちゃいないし。「加山さん、手振ってぇーー」「雄ちゃん、ステキーー」「こっち見てー」。歌い終わり、「最後まで一生懸命歌いますからよろしく」と言う若大将に、声が飛びます。「頑張ってぇ」。何ていうか、打てば響くとはこのことだな。

続いて、『マイ・ジプシー・ダンス』を歌う若大将。しかし、聞いちゃいないのは同じこと。「雄ちゃん、こっち見てぇ」「殺してぇ」「こっち見てぇ」「ステキよっ」。

ということで、ここで過去の映画のワンシーンが。まずは<銀座の若大将・1962>です。青大将(田中邦衛)とのカラミをちょろっと流しつつ、澄ちゃん(星由里子)とのシーンが。「あなたの歌イカスわあ。何か聞かせて」「じゃ、いっちょやるか」。

はい、場面は日劇に戻り、『君の瞳の蒼空』を若大将は歌い出します。「加山さーん」。おや、客席から花束を持ったお姉さんが出てきました。隙あらば、引きずり降ろそうとするお姉さんから、花束をもらった若大将は、花を片手に歌います。さらに、曲間で花の匂いを嗅ぐ素振りを見せると、客席からわぁーーっとどよめきが。さらに、セリフが入りました。「キレイだな、君の瞳」。ぎゃああああ。客席は興奮状態。さらにセリフパートの盛り上がりぶりと言ったら。「ね、ボクのこと好き?」「好きよぉーーーーーっ」「好きだよな」「だーい好きぃーー」。なんだろう、この絶妙すぎる一体感は。「雄ちゃん頑張ってぇーー」「こっち向いて、雄ちゃぁあぁああん」。

今度は<ハワイの若大将・1963>のカンニングシーンがちょろっと。そして、すぐさまステージに。エレキ片手に歌うのは『蒼い星くず』です。いや、この曲はまじでカッコイイです。♪たった一人の日暮れに、見上げる空の星くずぅ♪。さすがに若大将の熱唱に観客席も聞き入ってるんでしょうか。ヘンな邪魔のないままに、歌い上げる若大将。♪風にふるえて光っているぜ。光ぁあってるぅうううう♪ しかし、不思議ですよ。マイクを降ろして、頭を下げているのに、なんで熱唱が続いているんだか。あまりに豪快な口パクなのが、かえって若大将らしいぞ。

またも<ハワイの若大将・1963>から、澄ちゃんと若大将がワイキキの浜辺を歩くシーン。「よーし、一発歌うか」「ステキ、聞かせて」。で、ステージではウクレレを片手に若大将が『白い浜』を歌い始めます。さらに『波乗り』を歌いだすと、若大将のサーフシーンが。なんかヨロヨロしていて、見ているこっちがドキドキしてきました。

そして大ヒットナンバーの『お嫁においで』で観客の心を鷲掴みにしたあと『砂と海』を熱唱する若大将。「ステキぃーーーっ」「笑ってぇ」。♪君は愛を運ぶ、白いなみーーっ♪ 「好きよぉー」「幸せだわぁー」「加山さん、好きぃーーーっ」「加山さん、ひとこと、好きよぉおおおお」「雄ちゃん、こっち来てぇえええ」。観客席のお姉さんからレイをもらったついでに、またも客席に引きずり込まれそうになる若大将。思わず、照れた様子で頭をかきます。「うぎゃああああああ」。お姉さんたち、興奮の坩堝。

<大学の若大将・1961>からは、ヨットの上で、青大将が澄ちゃんを襲うシーンが。モーターボートで駆けつけた若大将は、青大将にパーンチ。「つまり、澄ちゃんが好きだああ」。

はい、ステージでは『アロハ・レイ』が始まりました。この日のために呼ばれたのか、若大将の横で淡々とフラダンスを踊っているハワイのお姉さんたち。客席の興奮っぷりに、微妙に呆れてる雰囲気なのはヒミツです。

「タヒチに遊ぶ-」と題した若大将のプライベートフィルムが流れ始めましたよ。腰蓑をつけて踊っている現地のお姉さんの横で、やっぱり腰蓑つけて踊っている若大将。さらにクルーザーに乗ってゴキゲンな若大将。素潜りに挑む若大将。海から上がってくると、なぜか手にタコを持っているのが、さすがです。

バランスを取るためか、<銀座の若大将・1962>からスキーシーンを挿入した後は、『夜空の星』です。エレキギターをバリバリと引く若大将に、みなさん(多分)ウットリ。『夕陽は赤く』でも華麗なエレキテクニックを魅せつつ、今度は『ブーメラン・ベイビー』で英語の歌に挑戦です。いやーん、若大将ったら英語もペラペラなのね。

<日本一の若大将・1962>の、わりと手に汗握るマラソンシーンは、長めの引用です。間に『ブラック・サンド・ビーチ』の演奏を挟みつつ、堪能させてもらいました。いやあ、競技場で一位に躍り出るなんて、さすが若大将ですよね。

はい、日劇のステージではNDKのお姉さんたちが、カンカンダンスを繰り広げています。しかし、まったく反応のない観客席。と、そこに若大将がセリ出してくると、コンマ1秒でヒートアップ。きゃあああああ。『恋は赤いバラ』を若大将が歌っても、やっぱり興奮しっぱなし。「笑ってぇ、雄三さーん」「加山さん、上向いてぇ」「ステキぃー」「こっち来てぇ」「加山さん、好きよぉお」。そしてセリフパート。「ボクはキミが好きなんだ」。「きゃあああ」。「だけど、だけど、そいつが言えないんだなあ」。「ぎゃあああああああああ」。もはやテンション上がりすぎているお姉さんたちです。

そこに不幸な司会者さんが出てきました。「こんなに喜んでいただいて、大成功で良かったですな」。「はあ」と照れつつ、誠実に質問に答える若大将。と、大音声で「が・や・ま・ざぁーーーーん」と客席からの声が。思わず「はいっ」と答える若大将のステキっぷりに、お姉さんたちは、またもキャーーーーッ

ごほん、えーと、次の歌はなんでしょう? 「はい。ああ、じゃあボクの光進丸のテーマソングですけど。乗組員はみんな好きなんですけどね。俺は海の児って歌が」。『俺は海の児』の歌をバックに、若大将自慢の光進丸の映像がインサート。セリフパートで若大将は言います。「海はいいなあ」。「ステキーーっ」。「俺はやっぱり海が好きなんだ」「いやあああーーっ」。頼むから失神しないでね。

そして最後を飾るのは、やっぱりこの歌。名ナンバー『君といつまでも』のアンコールです。♪二人を夕闇がぁ 包むぅこの窓辺に♪ きゃあああ。まあ落ち着け。まだセリフパートがあるんだから。「しあわせだなあ」「しあわせーーーっ」「ボクはキミといるときが一番しあわせなんだ」「ぎゃああああああ」「ぼかあ、死ぬまでキミを離さないぞ。いいだろ」「いいわよぉおおおおお」。

なんていうか、地獄の釜の蓋も開いてしまうようなイキオイのまま、日劇の幕は降りていくのです。スルスル。


ところどころ「スタジオ撮影?」みたいな曲も入っていたり、豪快に口パクだったりしますが、これほど盛り上がっているライブ映像作品も珍しい気がします。とにかく、客席にいるお姉さんたちの掛け声がマーベラス。この映画を観た後は、安易に「客席との一体感」なんて言葉は使えないなあと思いましたよ。

みんな本当に加山雄三が好きなんだなあ。そして、加山雄三も、あくまで「若大将」としての人格を生ききっているのが素晴らしいと思いました。まさにスターがスターとして輝いていた時代ならではですね。

ちなみに、どうでもいい話をひとつ。この映画が作られた年に生まれたワタクシですが、なぜか加山雄三の光進丸を見たことがあります。経緯はいまいちハッキリ覚えていないんですが、小学生の3・4年くらいのころでしょうか。友人のお母さんが「光進丸を見るバスツアー」に参加するということで、友人に誘われてノコノコとくっついていきました。行った場所は葉山あたりだったかなあ。観光バスに揺られて、はるばると。正直、小学生男子に取って、それは面白い経験でもなく、ひとり興奮している友人のお母さんを横に、僕たちはバス疲れでグッタリしていた記憶があります。今では、その友人の名前も思い出せませんが、白く輝く船体に書かれていた「光進丸」の文字だけは、ハッキリ思い出せます。

それにしても、アレはなんだったんだ。







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2 コメント

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Unknown (名無しのごんべい)
2010-08-06 20:15:38
加山雄三さんは、今の若い俳優さんでいえば、誰でしょうか?キムタクとかジャニーズ・アイドル系でしょうか?
Re:Unknown (いくらおにぎり)
2010-08-09 09:41:13
名無しのごんべいさん、こんにちは。

昭和のスターが持つオーラは一種独特ですから、なかなか比較対象がいないですよねえ。加山雄三の場合、血筋も抜群だし。

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