いくらおにぎりブログ

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【映画】銀座っ子物語

2007-01-14 | 邦画 か行
【「銀座っ子物語」井上梅次 1961】を観ました



おはなし
銀座には名物のスポーツマン3兄弟がいます。呉服屋の息子の3兄弟は、親の商売を継ぐ気がさらさらなくてお父さん(中村鴈治郎)はヤキモキ。あるとき、3兄弟はそろって絶世の美女(若尾文子)に恋をしました。さあ、恋の行方はどうなるのでしょうか。


とりあえず、若尾文子を中心とする恋のさや当て映画だと思って観始めたら、実は中村鴈治郎を中心にした家族コメディでした。でも、良い意味で肩の凝らない楽しい映画だったので満足です。

映画は、ジャズのメロディと共に、早朝の銀座をジョギングする3人の兄弟のショットから始まります。長男の宝井一郎(川崎敬三)は元アマチュアレスリングチャンピオンで、現在はスポーツ連盟に勤務。次男の雄二(川口浩)はアメフトの日本代表メンバーで、東洋紡に勤務。そして三男の修三(本郷功次郎)は学生ボクシングのチャンピオンな大学生です。

これが、シャドウボクシングをしたり、タックルを避ける練習をしたりしながら走るのですが、さすがにレスリングは、どう演出していいのか悩んだらしく、手を前で払うようにして走っています。なんだか相撲みたいで、川崎敬三が可哀想になりました。

ご近所の旦那さんは「あんな立派な息子さんが揃いもそろって三人だ。帯せいの旦那さんも幸せ者だ」と言っていますが、どうなんでしょう。少しバカっぽい気もします。
家に帰っても、3人は練習を続けます。典型的な木造家屋の2階でドッシンバッタンと練習されては、下で寝ているお父さんもたまったもんではないでしょう。

練習の後はシャワー。男3人でシャワーを浴びながら、なんか歌い始めてます。「げっ、これはミュージカル」とびっくりしましたが、それよりイヤなのが、男3人で体を寄せ合ってシャワーを浴びていること。もちろん楽しそうな顔をして。そのうえ本郷功次郎が川崎敬三の胸に添える手つきが、なんだか妖しいし。

室井家は、お父さんの清吉(中村鴈治郎)、お母さんのきく(三益愛子)、3兄弟、そして親戚の娘・セツ子(野添ひとみ)が暮らしています。道楽者のお父さんに代わり店を切り盛りしているお母さんは、セツ子と兄弟のいずれかが結婚してくれればと願っているのですが、長男は堅物だし、次男、三男はその反対にモテモテなので、思うようにいきません。

しかしある日のこと、次男の雄二が職場のショールームで馴染みのバーのママ(角梨枝子)とイチャイチャしていたところ、絶世の美女がやってきました。ホテルニューオリエントの者と名乗った美女は、大量の着物の見積もりを依頼して颯爽と去っていきました。

また、長男の一郎の元には、東京オリンピックの選手村の件でご意見を伺いたいと、ホテルニューオリエントの社長秘書が訪ねてきました。オクテの一郎ですが、その女性が絶世の美女だったためにすっかり一目惚れです。

三男の修三は、部費の寄付集めで大先輩のホテル社長の元を訪ねますが、対応した社長令嬢が絶世の美女だったので「クラクラ来やがった」だそうです。

そう、3兄弟は揃いもそろって、ホテルの社長令嬢にして秘書の千加美(若尾文子)に恋をしてしまったのです。
と、ここまでで絶対に、若尾文子を巡るラブコメになると思いますよね。確かに、それぞれが得意のスポーツで若尾文子の気を惹こうとして、ドタバタするシーンもありますけど、でも若尾文子はワリとあっさり川崎敬三のことが好きになってしまいます。

そして、実質的な主人公はむしろ中村鴈治郎の方に。あろうことか、次男の雄二が付き合っていたバーのママ(角梨枝子)に惚れてしまったお父さんは、すっかり入れ込んでしまいます。まあ、角梨枝子はふっくらした癒し系の風貌ですから、どことなく無愛想で冷たそうな三益愛子よりはるかにマシだと思いますけど。ともあれ、千加美が頼んだ着物の反物を勝手に持ち出して、バーのママに渡したことから、お母さんは家を出て行ってしまいました。

いい年して妙に仲の良い3人兄弟は、団結してお父さんをつるし上げることにします。逃げまくって倉にとじこもるお父さん。3人兄弟は倉の前に陣取り、楽器を持ち出して、また歌い始めてしまいました。何なんだろう、この映画は。

遊び仲間の番頭に助けてもらったお父さんは、懲りずにバーに出かけます。ちょっとは気にしてたんでしょう。口八丁で、反物をママから取り返すことも忘れません。しかし、調子に乗って「最近の若い者は」なんて始めたものですから、チンピラに目を付けられてしまいます。殴られたお父さんは、うまく逃げ出したものの、止せばいいのに捨て台詞なんて吐くから、再び追いかけられるハメに。しかし、追い詰められて「万事休す」のその時、番頭から連絡を受けた3兄弟が駆けつけました。あっという間にチンピラたちを倒してしまう3兄弟。しかし、敵は兄貴分まで動員してきて、あとはもう大乱闘です。
ちなみに、ここで出てきたチンピラの兄貴分は中条静夫。後に「あぶない刑事」などで活躍しますが、この頃は大映の大部屋俳優ですからね。それにしてもチョイ役でも固い番頭などが多いのに、ここでは真っ黒なシャツに派手なチェックの上着で、まったく似合っていないのがおかしいです。

シーンが変わると、3兄弟は留置場に放り込まれています。お父さんは取り調べ中で平謝りの最中。家出をしていたお母さんも駆けつけ「喧嘩したんですって」と言うと、お父さんは「一家揃って警察のご厄介や」としょんぼりです。まあ、中村鴈治郎の娘・中村玉緒の場合、旦那の勝新を始め家族で逮捕されていないのは玉緒ちゃんだけ、という強烈な家族ですから、そんなにしょんぼりしなくても大丈夫ですよ。

さて、警察はともかく、3兄弟がノシてしまったチンピラたちの親分というのが、あたりを仕切るボスで、かなりうるさい人物と聞いて、お父さんはすっかり震え上がってしまいます。と、そこに親分がやってきました。なんと親分役は安部徹です。これは確かに怖い。安部徹なら、全員を簀巻きにして東京湾に放り込むくらいは、平気でやりそうです。ところが安部徹は、「偉いっ!いやあ感心した」と父を助けた3兄弟にベタぼれの様子。いやあ、コメカミに銃弾とか撃ち込まれなくて良かったですね。

警察から解放された家族が、夜道をワイワイ歩いていると、高級車がスーッとやってきました。若尾文子が川崎敬三を心配して駆けつけたのです。兄弟のヒヤカシの声を聞きながら、二人は仲良く自動車で去っていきました。
さらに野添ひとみが、心配して走ってきました。川口浩はニヤっと笑って野添ひとみと夜の街に消えていきます。
家に近づくと、近所の喫茶店の娘(江波杏子)が心配そうに待っています。本郷功次郎も江波杏子と喫茶店に入っていきました。

「とうとう二人きりになってもうたな」と中村鴈治郎。「そうですね」と三益愛子が答えます。
「ああ、ええ月やなあ。明日はまたええ天気やで」「そうね」と二人は店の玄関をがらりと開けて入っていきました。

見所は、何と言っても中村鴈治郎の飄々とした演技。顔はどうみても悪代官のようで怖いのですが、何ともいえない味があります。この映画は大映東京作品ですが、中村鴈治郎は大映京都ですから、銀座の旦那なのにバリバリの関西弁喋るというのも何とも言えず面白いです。それに、映画の中で小唄を習うシーン。初春狸御殿でもひっくり返りましたが、とにかくヘタです。もう、音程という概念が無いんじゃないかと思うくらいで、聞いてて笑えてなりませんでした。

それとおかしいのが、劇中でお母さんが親戚の娘セツ子を気に入って、どうにかして自分の家の嫁にしたいと願うという設定。この映画の前年に、当の川口浩と野添ひとみは結婚していますし、三益愛子は川口浩の実のお母さん、その上お父さんは作家で大映専務の川口松太郎ですからね。これはほとんど、川口家 御成婚記念映画なのかと思ってしまうくらいでした。

ちなみにクレジット順は、一枚目が川口浩、川崎敬三、本郷功次郎、一行開けて若尾文子。二枚目は、三益愛子、野添ひとみ、江波杏子、一行あけて中村鴈治郎でした。主役の中村鴈治郎が二枚目だったり、ゲストっぽい扱いとは言え若尾文子が後ろに回るのも不思議ですが、これもとにかく、川口家へのお祝い映画だと思えば納得、ということですね。







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