いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】悪霊島

2009-11-16 | 邦画 あ行
【「悪霊島」篠田正浩 1981】を観ました

おはなし
鵺の鳴く夜は、おそろしい……らしいです。

一般的に金田一耕助モノというと、市川崑監督がメジャーですが、これは篠田正浩監督の作品。篠田監督のファンなので、どうしても採点が甘くなりがちですが、それを割り引いてもヘンな意味で、とても面白いです。

特に推理がどうしたこうしたという映画ではありませんが、これ以降、ネタバレの嵐ですから、それがお嫌な人は「絶対に」読まないでください。

「1980年 冬」。放送局に勤めている三津木五郎(古尾谷雅人)は、調整室にいる担当者(角川春樹=トホホ)が手招きをしているのに気づきました。「何?」と言いつつ、調整室に入ると、そこに置かれたテレビのニュースにみんなが釘付けです。
「ジョン・レノン氏がニューヨーク市内で、8日午後11時ごろ、日本時間の9日午後1時ごろ、ピストルで撃たれて死亡しました」
愕然とした五郎はLet it beをバックに20年前の恐ろしい事件を回想し始めるのでした。

うわーっ、と断崖を落ちていく男。そして「悪霊島」のタイトルがドドーン。インパクトは十分です。

はい、ここは瀬戸内海。本土の竹田と刑部(おさかべ)島を結ぶフェリーです。「死体だぞー」「死体だぞー」。確かに、さっき断崖から落っこちた男がプカプカ浮かんでいますよ。さっそく引き上げてみたところ、男は死体ではなくて、虫の息でした。船員になにか言っています。「何、もっと大きい声で。おいっ」「……あの島には悪霊が。あの島には恐ろしい悪霊が……」。ガクッ。巡礼の人が「たまたま」持っていたマイクに向って話したあと、男は死んでしまいました。それにしても、悪霊とは穏やかではないですね。

ヨレヨレのジーンズに突っ込んだトランジスタラジオから流れ出るビートルズの「Get Back」を聞いているヒッピー青年、っていうか若かりしころの五郎です。そんな五郎は、ローカル線の中で、ひとりの奇妙な男と知り合いました。くたびれた着物に、ボロボロの帽子。そして、その帽子では隠し切れないボサボサの髪。っていうか、要は金田一耕助(鹿賀丈史)ですね。まあ、無賃乗車とかいろいろありつつ、竹田についた二人。ところが、港ではなにやら大騒ぎのようですよ。そう、フェリーが拾った謎の死体を検分していたのです。「この顔じゃぜんぜん分からんのう」とボヤいているのは、広島県警の磯川警部(室田日出男)。確かに顔はグチャグチャ。唯一の手がかりと言えば、背広に入った「青木」のネームだけです。

おっと、磯川警部が金田一を発見。なんか、なし崩しのうちに、金田一は老婆殺害現場につれて来られちゃいました。殺されたのは浅井はる(原泉)という、市子(イタコみたいなもの)兼モグリの産婆さんだそうです。それにしても原泉の死体っぷりは素晴らしいのひと言です。ともあれ、この婆さんは、24年前の「暗い秘密」にかかわって、誰かを脅迫していたのですが、逆に自分の身が危うくなったので、磯川警部に助けを依頼する手紙を書いてきたのでした。しかし、磯川警部が手紙を読んだ時には、時すでに遅し、クワーッと目を見開いて殺されていたと。そして、殺害現場に残されていたのは、20年以上も前の刑部神社のお守り。金田一は言います。「実は私の依頼された仕事も刑部島に関係があるんですよ。この5月に、ある人物が刑部島に渡ったっきり、ぷっつり消息を絶ってしまったんですがね。青木って人なんですがね」。ビックリする磯川警部。さっきの死体の背広にも青木ってあったよな。それを聞いた金田一もビックリです。「その青木の調査を依頼した人間っていうのは」「ええ、越智竜平って言うんですよ」。えーと、依頼人のことをペラペラ喋る探偵っていうのも、どうかと思うんですけど、ともあれ、これで刑部島にトンデモない秘密があることは、100パーセント確定ってことで。ちなみに、横にいた広瀬警部補によると、刑部島は代々、刑部家と越智家が牛耳っているもよう。ほほう、説明ありがとうございます。

さて、巡礼の人が「たまたま」録音した青木の言葉が、あっというまに、警察の優秀な科学力で分析されてきました。ちょっと音が割れてますが、聞いてみましょうか。
「あいつは、腰のところで骨と骨がくっついた双子なんだ。あの島には悪霊が。あの島にはおそろしい悪霊が。いいか、鵺の鳴く夜は気をつけろ」

とりあえず、金田一は問題の刑部島に向うことにしました。船中で五郎と再会したり、噂話を聞いたりと大忙しです。ちなみに、越智竜平は島から出て、アメリカで大金持ちになったひと。そして、島にいた若い頃、刑部神社の娘、巴御寮人と恋仲だったそうです。そんな噂話を苦々しげな顔をして聞きながら「鵺の鳴く夜か」とつぶやくアヤシイ男(石橋蓮司)まで出てきたりして、いよいよ横溝正史っぽくなってきました。

島に上陸した金田一は、旅館の宿帳で「青木」の名前を発見したり、野犬に襲われて死にそうになったりと、やっぱり大活躍。さらに、ウロウロと刑部神社に行ってみたところ、五郎が刑部神社の美人(?)双子姉妹、真帆(岸本加世子)、片帆(岸本加世子=二役)と仲良く記念写真を撮ろうとしているのを発見です。「なんだあいつ」と微妙に嫉妬してしまう金田一ですが、「お母様、早よう」と呼ばれて出てきた人を見て、圧倒されてしまうのでした。と、ここで音楽がゴージャスに。静々と巴御寮人(岩下志麻)が登場です。いや、それは圧倒されるわ。

さて、巴御寮人のおじさんで、島の実力者、刑部大膳(佐分利信)と面会をした金田一は、死んだ青木のことを持ちかけてみました。しかし、ある意味、お志麻さんより圧倒的な大膳は、ドスの効いた佐分利信ボイスで言うのです。「その死んだ男と、ここに泊まった青木周三が、同一人物であるという証拠でも、おありになるんですか」。「いえ、それは」と口ごもる金田一。「そうそう、紹介しておこう」と大膳が言うと、刑部神社の太夫(神主さん)で、巴御寮人のダンナの刑部守衛(中尾彬)が出てきました。ちなみに、ちなみに、ここらへんは人物紹介パートなので、それだけ。

その翌日、なにしろ殺人事件が起こらないので、島をウロウロするしかない金田一は、今度は巴御寮人の双子の姉、ふぶき(岩下志麻=二役)を目撃。あとから現れた巴御寮人によると、「彼女、かわいそうに脳を患ろうとります」だそうです。これも、人物紹介ってことで、ひとつ。

いまだ顔を現さない越智竜平が、刑部神社に寄進した黄金の矢がどうしたこうしたとか、伝説の強弓を引けるのは、その竜平と、お志麻さんのイトコな吉太郎(石橋蓮司)、そして刑部大膳だけだとか、伏線らしきものをはりつつも、なかなか話が進みません。いい加減にイライラしてきたところで、ようやく島の祭礼の日がやってきました。とうとう、最後の主要キャラである、越智竜平(伊丹十三)が、豪華クルーザーで到着です。さあ、いよいよ、事件が起きますね。というか、そろそろ起きてください。

祭礼が佳境に入った夜。とうとう事件が起こりましたよ。神社の神楽殿が火事になったのです。そして、その騒ぎが収まったかと思うと、今度は拝殿から出てきた越智竜平がワナワナと拝殿を指差しています。えーと、拝殿で何が起こったんでしょう。早速、見に行ってみる金田一。……。うわっ、太夫の守衛が死んでいます。それも越智竜平が寄進した黄金の矢に、刺し貫かれて。「すごい力だ」とうめく金田一。そういえば、強弓を引けるのは、越智竜平と吉太郎。それに大膳でしたよね。ということは、犯人はその3人のうちの誰かということになるんでしょうか。それにしても、この最初の殺人が起こるまでに要した時間は50分。ちょっとスローペース過ぎやしませんか。
ま、それはともあれ、金田一が止めるのも聞かずに、ダンナの死体をみた巴御寮人。ウォーッと雄たけびをあげて失神。しかし、巴御寮人の苦しみは、これでは終わらなかったのです。それというのも、祭礼の日から行方不明になっていた娘の片帆が、野犬にアチコチを食べられた状態で発見されるという悲劇が。もう、踏んだり蹴ったりとは、このことです。しかし、警察が詳しく二人の死因を調べたところ、意外な事実が。まず、守衛の死についてですが、黄金の矢は、いったん心臓で止まっていたのを、グリグリねじこんだ形跡があるというのです。つまり、強弓のもと、一気に貫かれたわけではないので、力のない人間が犯人の可能性があるそうです。さらに、ドッグフードになっていた片帆ですが、直接の死因は絞殺でした。つまり、こちらも他殺ということで、ひとつ。

どうも、守衛が殺された時、五郎が拝殿をウロウロしていたようです。さらに、モグリの産婆殺しの時にも、ヒッピー風の男がウロついていたという情報があります。磯川警部は自信満々に五郎を逮捕。取調べを開始するのでした。しかし、最初に逮捕された人は、「まず間違いなく無罪」の法則がありますからね。どうでしょうか。磯川警部が五郎を取り調べている一方で、金田一は独自の調査を開始。どうも、金田一は刑部島の昔。それも、巴御寮人と越智竜平の恋愛問題。そしてふぶきの過去が気になっているようですよ。
まずは、若い二人の逢引を手助けした、竜平のおばさんに質問。ふむふむ。おばさんから、若い頃の二人が語られます。ってことで、回想シーン。いがぐり頭の伊丹十三とお下げ髪のお志麻さんが抱き合うという、なんともコメントしずらいシーンに悶絶しそうになりますが、ここでのポイントは、二人が会うときの合図。なんと、鵺の鳴き真似が合図だったというじゃありませんか。そういえば、断崖から落ちて死んだ青木も、「鵺の鳴く夜は気をつけろ」と言っていましたね。これは単なる偶然でしょうか。

今度は、広島県に預けられていて、20年前に狂った状態で島に戻ってきたという、ふぶきの過去を追う金田一。ふむふむ。昔、お隣さんだったというおばさんに聞き込みをすると、広島県時代のふぶきは、べつだん狂ってはいずに、キレイでやさしい娘さんだったそうですよ。もっとも、終戦直前に広島市内に引っ越してからは、ふぶきを見かけたことはないそうですが。それにしても、金田一の灰色の脳細胞の中では、いったいどんな推理がなされているんでしょうね。さっぱり見当がつきません。

それはそうとして、磯川警部に、二つの殺人事件の容疑者として尋問されている五郎は、とうとう「分かったよ、喋るよ」と重い口を開き始めました。それによると、モグリの産婆を訪ねたのは、確かに自分だそうです。しかし、それは実の両親を知りたかったからで、殺人には無関係だというのです。そして、産婆に聞いた実の両親(かも)は、なんと越智竜平と巴御寮人という驚愕の事実が。

さらに、守衛の胸に刺さった「黄金の矢」をグリグリしたのは、確かに五郎でしたが、それは死んでいる守衛を見て、とっさに真犯人を庇おうとしたためだったのです。「ぼくはとっさに思った。何かしなければいけない。彼女が犯人に疑われないための、何か工作をしなければ」。しかし、と五郎は言います。あの時、見た真犯人は巴御寮人だと思ったけど、今から考えると、ふぶきだったんじゃないか。「なるほど。すると、君は巴御寮人の犯行だと信じた。それで、彼女を庇うため偽装工作をした。ところが、巴御寮人と思った人物は、実はふぶきだった。そういうことだったわけか」という磯川警部に、五郎は自分の迂闊さを呪うように言います。「ぼくはもっと早く気づくべきだった。あの女、まるで巴御寮人とは目の色が違ってた」。もう、どうして、光のお志麻さんとブラックお志麻さんを見間違っちゃうかなあ。

ともあれ、磯川警部の疑問は氷解しました。それなら、今まで集まった目撃証言とも矛盾しない。キマリだ。犯人はふぶきだ。早速、ふぶきを逮捕に行く磯川警部。「んまあ、ふぶきが」と驚く巴御寮人をよそに、イトコの吉太郎はなにやら、いわくありげな表情をしていますよ。それにしても、磯川警部。巴御寮人と、そんなに長話をしていると、困ったことが起きるんじゃないですか。

はい、起きました。かつぎで顔を隠しつつ、猛ダッシュで逃げていくふぶき。磯川警部たちは必死に追いますが、とても追いつけたものではありません。それにしても和服を着ている女性にしては、やけに速いと思いませんか。ともあれ、ゼイゼイいいながら磯川警部たちが断崖絶壁に来ると、そこには大膳が、ふぶきの持っていたかつぎを手に立ち尽くしています。佐分利信ボイスで、「ふぶきは死んだ。何とか捕まえようとしたが、一瞬、遅かった」と言われると、なんだかすごく説得力があります。すいません、疑った自分が悪うございました、みたいな。

広島から帰って来た金田一は、磯川警部から不在中に起きた五郎の逮捕に納得していません。ということで、あらためて、事件の周辺を調査することにしました。そもそも越智竜平が祭礼の夜、守衛に会いに、拝殿に行ったのはなぜだろう。そこには何か、裏があるんじゃないだろうか。ということで、越智竜平に話を聞くと、あっさり神社の周りの土地を買って、レジャーランドを造るためだと、教えてくれましたよ。ふむ。そうなると、それをなんらか方法で察知した大膳が、守衛を殺したという推理も成り立ってきますね。金田一が証言を集めると、片帆殺しの時にも、大膳にはアリバイがないということも判明しましたし、これは大膳が犯人に間違いなさそうです。もっとも、巴御寮人のイトコ、吉太郎の部屋から、女の使う紅が出てきたりしているのが、気になるといえば、気になるところですけど。

さて、金田一はふぶき失踪の謎を解くために、磯川警部といっしょに、足跡を探しています。あ、あった、あった。「いかがです。女の足跡にしちゃ、えらく大きいでしょ」。ふーむ、と感心する磯川警部。つまり、ふぶきと思ったのは別人で、替え玉の男、たとえば吉太郎が女装して、ふぶきを匿ったという可能性も出てきたようです。と、そこにイキナリ矢が飛んできました。ひゅんひゅん。ぶすっぶすっ。慌てて木の陰に隠れる二人。「なんだ、これは」「脅しですよ。島を去れっていう警告です」「いったい誰が」「もう一つの神社の主です」。なんか、トンデモな展開になってきましたね。「刑部神社の他に?」「ホントの刑部神社は、この森のどこかにあるんです」。すごいやラピュタは本当にあったんだ、な気分です。

いっぽう、清楚で美しくて、絶対にいい人の巴御寮人は、自分の部屋で、ひとり鏡台の引き出しを開けました。そこにあるのは紅。巴御寮人はそっと、紅を唇にひきます。一指しごとに表情の変わっていく巴御寮人。そこには、さっきまでの清楚で白百合のような巴御寮人ではなく、妖艶で淫乱な、まるで熱帯に咲く人知れぬ大輪の花のような「をんな」が出現したのです。そのまま、股間に手を伸ばすをんな。「はあはあ、あ”?っ。うがあ、おごぁーーー」。えーと、どんなヨガリ声なんだか。

と、そんな巴御寮人の狂態を目撃してしまった娘の真帆。ガクガクブルブル。おっと、それに気づいた巴御寮人が、自慰の手を休めて「真帆」と優しく言いましたよ。「お母様、わたし、なんも」とビビっている真帆。巴御寮人は、ものすごい表情で、「真帆、真帆」と近づいてきました。ヒーーーッ。慌てて逃げ出す真帆。しかし、ダーク巴は、確実に迫ってきます。ニヤリ。獲物をみつけたダーク巴は笑いました。「まほっ」。追い詰められた真帆の首を締め上げるダーク巴。バタリ、真帆はくずおれていきます。
と、そこに鵺の鳴く声が聞こえてきましたよ。パッと顔を輝かせる巴御寮人。そのままズドドドとダッシュして、鵺の鳴きまねをしていた越智竜平の胸にアターックです。「ねえ、早よう抱いてーん」と甘い声を出す巴。越智竜平は突然の展開にビビりつつも「巴さん」と抱きしめるのです。そんな二人を、ギラギラした目で睨んでいる吉太郎。もう、こうなってくると、怒濤の展開すぎて、何がなにやら。

「そんな信じられんですよ。巴御寮人とふぶきが同一人物じゃなんて、そんなバカな」。ラピュタ、じゃなくてホントの刑部神社を探して森の中をさまよいつつ、金田一と磯川警部が語り合っていますよ。とうとう種明かしタイムです。

かいつまんで言うと、こういうことです。大膳の手で、越智竜平とムリに別れさせられた巴御寮人は、そのショックから二重人格に。そして、新たな人格はとんでもない淫乱だったのです。好都合というのもヘンですが、双子のふぶきが、広島の原爆で亡くなったことから、大膳はオカシクなったときの巴を、ふぶきとして扱うことに。これで、巴御寮人はわずかに、精神のバランスを保っていたのでした。しかし、それが崩れたのが、夫守衛の裏切り。なんと、神社の土地をレジャーランドに売り渡すというじゃありませんか。ここで金田一の言葉を引用します。

「この神社には、代々女性の血によって守られていく、そういった誇りや営々と続いてきた血が、激しい怒りとなってたぎった。それが宵宮の太鼓の響きと呼応しあって、ふいに己のなかのふぶきがあらわれる」。ダムダムという太鼓のリズムと共に、グワーッと恐ろしい顔になった巴ことお志麻さんの表情。そのまま、巴は守衛を黄金の矢で刺して、おそろしい笑みを浮かべてますよ。ニヤリ。こ、こえーっ。

さらに片帆殺しについても、説明する金田一。「七人塚という、かつての思い出の場所。しかも、そこで若き日の自分たちと見まごうばかりの姿を見て、巴はしだいに冷静さを失い、やがて激しい嫉妬の念にさいなまれ、さらには、その黒い嫉妬の炎から己の中に巣くうふぶきを呼び起こし……」。草むらの中からヌヌーッとでてくるお志麻さん。その仮面のような無表情が、こ、こえーっ。

さらに金田一は、片帆の死体を野犬のあつまる中に投げ捨てたのは大膳だ。そして大膳は巴を愛していたけどインポなんだ、とか憶測まじりに推理を喋りまくります。おっと、話をしていたら、倒れていた真帆を発見しましたよ。「……おかあさま」。どうやら、生きていたようです。よかったね。磯川警部に真帆を託して、さらにあたりを偵察をする金田一。おっと、洞窟発見。ここだ、ここが秘密神社に違いない。

そーっと入ってみると、大膳と遭遇。もう上映時間も残り少ないので、大膳はペラペラ喋りまくります。それによると、この洞窟は紅蓮洞と言うそうで、平家の隠れ神社だったそうです。そして、その奥にご神体よろしく祀ってあるのは、なんと腰と腰でつながった赤ん坊の白骨でした。
「巴の産んだ子だ。太郎丸に次郎丸。巴は罪の子を見た途端、最初の発作を起こして殺してしまった」「これを取り上げたのは、もしや竹田の」「浅井はる。そのことをネタに、20年近くわしは脅迫されてきた」。なるほど、ではモグリ産婆を殺したのは、あなたということですね。で、それ以外に、ここにゴロゴロ転がっている白骨はいったい、どなたの。

「巴の心は二つに引き裂かれた。いや、巴の体の中に、二人の女が棲み込んだのだ。ひとりは昔に変わらず巴。それが、もうひとりの方は、狂いながら男を追い求める淫乱な女」。つまり、ここにある死体は、すべて巴と契って、そして殺された男たちってことなんですね。そして、ただ一人、逃げ出したのがフェリーに発見された青木だったのです。
そんなヘビーな会話をしているところに、ブラック巴がやってきました。「太郎丸と次郎丸。私らの子供よぉ♪」。横には、無理やり引率されて、明らかにビビっている越智竜平が。「あたしたちが、永遠に離れんように、ほら、腰と腰がこんなにくっ付いて、フフッ。見て竜平さん。竜平さん、さわって」。恐怖のあまり越智竜平はのけぞっています。「あなたも、この子らと、いっしょにいてあげて」と言いつつ、ブラック巴が越智竜平の首を絞めはじめました。ぐぐぐ、く、くるしい。と、そこにやってきた吉太郎が銃声一発。バーン。ふっとぶ赤ん坊の骨。その瞬間、巴は素の声で、「何すんねん」とズカズカ吉太郎の方に迫っていきます。ウワーーッと闇の中にダッシュして行く吉太郎。そして、灯りが点ると、そこには大膳に刺し殺された吉太郎の姿が。えーと、何がなんだか付いていけない展開です。

赤ん坊の骨を破壊されたブラック巴は、あ”ーーーっと絶叫しながら暗い洞窟を突進。しかし、いきなり穴の中に落ちていくのです。ここは最高のシーンです。走っていたはずなのに、穴の中を垂直に落下するんですから。それも、まるでロケットの打ち上げを逆回転させたかのように、スローで。もちろん、お志麻さんが限界まで目を見開いての熱演なのは言うまでもありません。あまりといえば、あまりの展開に、金田一と越智竜平が唖然としていると、ズガーン。猟銃を口に咥えた大膳が、自殺したようです。

警察がかけつけ、ゾクゾクと死体やら白骨が運び出されていきます。磯川警部はひとこと。
「ひっどい事件じゃったのお」。えーと、激しく同感です。

Let it be が流れるなか、金田一の乗ったフェリーが去っていきます。越智竜平の豪華なクルーザーも去っていきます。なぜか、おみこしもプカプカ海に浮いています。そして、断崖の上には、肉親を失ってひとりぼっちになった、真帆が白い着物で立ち尽くして、海を眺めているのでした。
本土に着いて、どこかへ向う金田一。パトカーで護送される五郎は、金田一さーんと叫んだようですが、それはガラスにさえぎられて聞こえません。歩いていく金田一のストップモーションで映画は終わります。

お志麻さんによる、お志麻さんのための、お志麻映画でしたね。もう、他のシーンは全部いらんから、お志麻さんだけ見せてください、って感じです。もっとも、最後、岸本加世子が断崖に佇んでいるシーンなんかは、ホラー映画の定番というか、さらなる悲劇を予感させて、いい感じです。微妙にヘンな方向に走っているとはいえ、篠田監督の手腕もさすがだと思いました。

マジメにいうと、金田一モノの魅力は、微妙に金田一耕助がバカなところにあると思います。名推理で観客の度肝を抜くというよりは、観客の推理が少し先を行って、「あーもう、こんなことも分かんないのかよぉ」と、金田一と一体化できるところにあるんじゃないでしょうか。この映画も、その例にもれず、最初っからお志麻さんが犯人だと観客には分かっているので、面白く見られるんだと思います。

ところで、ぼくが生まれて初めてデートをしたときに観たのは、この映画でした。「鵺の鳴く夜はおそろしい」のTVコマーシャルがガンガン流れていたので、ついつい。でも、真っ暗なスクリーンの中に、お志麻さんのひとりエッチシーンが流れたときには、どうしてくれようかと。もちろん、その子とのデートはそれっきりです。えーと、コレ実話です。悲しいことに。





いくらおにぎりブログのインデックスはここ
いくらおにぎり日記はここ

悪霊島 [DVD]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 【映画】黒の報告書 | トップ | 【映画】黒の札束 »
最近の画像もっと見る

あわせて読む