いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】異常性愛記録 ハレンチ

2006-11-11 | 邦画 あ行

【「異常性愛記録 ハレンチ」石井輝男 1969】を見ました。



おはなし
京都のバーのママ典子(タチバナますみ)は、デザイナーの吉岡(吉田輝雄)との新しい生活を夢見ています。しかし、実際には線香屋の主人・深畑(若杉英二)との泥沼の関係が切れずに苦戦中。そのうえ、深畑はド変態ですから、なおさらタイヘンです。徐々に、深まっていく吉岡との愛、そして深まっていく深畑の変態度。やがて、吉岡にナイフを突きつける深畑ですが……

(タチバナますみは「橘」と「ますみ」ですが、別に同姓同名のAV女優がいるらしく、ウカツに名前を載せると、エロ業者のトラックバックに悩まされそうなので、あえて苗字はカタカナにしました)


とりあえずストーリーは、橘を巡る吉田輝雄と若杉英二の三角関係なんですが、はっきり言ってそんなのは刺身のツマです。
とにかく若杉のド変態ぶりを、これでもかとシツコク描くことに主眼が置かれていると思われます。

橘さんは、清楚な感じの女優さんで、イジメがいのありそうな雰囲気をかもし出していますが、「自分も変態じゃない限り」、普通は即座に別れそうなものです。もしくは警察に駆け込むか。
ここらへんが、まともにこの映画を見たときに感じるストーリーの弱い部分で、腐れ縁という言葉だけでは、なぜくっ付いてるのか理解できません。

もっとも、繰り返しますが、あくまで若杉英二の変態ぶりだけしか、監督も描写する気が無いと思われるので、そんな批判は的外れなんですけど。

石井監督のデビュー作「リングの王者 栄光の世界」は、最初主演に若杉英二が予定されていたそうですが、太っている若杉では映画はコメディになってしまうと、監督が強硬に反対したそうです。その代わりに選ばれたのが、宇津井健。僕がこの映画を見たときに、宇津井健ですら「おい、ボクサーにしては太りすぎだろ」と思った覚えがありますけど、それより太っていたら確かにコメディですよね。

ちなみに、宇津井健は中川信夫監督の「雷電」「続雷電」で演じたお相撲さんが最高でした。プックリした体型がハマり役ですし、何より新東宝のお姫さま「北沢典子たん」が準主役ですから。余談でした。

さて、そんな形で縁が切れていた若杉英二を、こんなド変態映画に起用する石井監督も意地悪な人だなあと思いつつ、映画を見始めると、冒頭は、若杉英二の目のドアップで始まり、途中にも目や鼻の穴、口の中などのドアップが続きます。果たして、若杉英二のドアップに商品価値があるんだろうか、と深刻な疑問を抱いてしまいますが、監督が変態なのは良く分かりました。

また音楽は、吉田輝雄と橘が出会っているところはイージーリスニング風で、若杉が出てくると何か不穏な音楽(それも獣の吼える音付き)という、とても分かりやすいもの。というか分かりやす過ぎです。

他にも、若杉の台詞は、「さみしいんだよーん」とか「愛してるんだよーん」などフザケた語尾です。最初は「いくら変態でも、こんな喋り方するかよ」と思っていましたが、これがしつこくしつこく繰り返されるので、だんだん見ている方も麻痺してきて、だよーんワールドに馴染んでいくのが、非常にイヤです。

若杉の変態道は、橘をいたぶるだけでは収まらずにゲイ・ボーイとの狂乱や外人女性との乱交にまで、及びますが、それにしても

女装してゲイ・ボーイにムチで叩かれ、悶えている若杉英二

に、本当に商品価値、もしくは芸術的価値はあるんでしょうか。誰か助けてください。
冗談抜きで、人に迷惑をかけずに自分の趣味・嗜好に没頭していくオタク的な変態というのは、まだ理解できる範疇にありますが、こうなるとまったく主人公の存在に共感も理解もできません。

回想形式で描かれていたこの映画も、徐々にクライマックスへ。吉田輝雄の存在を知り、敵意を燃やす若杉。そりゃそうです。向こうはカッコいい上に、金も持っている。なにより変態じゃありませんから。土砂降りの中、若杉はナイフをかざし、吉田輝雄に切り付けようとします。息詰まる攻防。そして、若杉のナイフがベランダの手すりに触れた瞬間、雷が。

えっ?えーっ。若杉感電死ですか。

「もう絶対離さないよ」と吉田輝雄は、橘を抱きしめ



って、完じゃないよ、まったく。

いやー、石井監督の映画を堪能しました。グズグズにダメな展開といい、各所に漂う不穏な感じといい、どれをとっても最高です。さすが変態映画の巨匠。ツボを心得ているようです。

しかし、変態の極限までたどり着いてしまった若杉英二。この映画のあとは、石井監督の変態映画3本を限りに、映画に出ていらっしゃらないようですが、やはりこれで、キャリアがぶち壊しになってしまったんでしょうか。心配です。


(だよーん)


(吉田輝雄はイイなあ)


(タチバナは美人さんですね)


(こんなヘンなショット満載)


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2 コメント

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濃厚な・・・ (メンチカツ)
2008-07-10 00:27:05
こんばんは、いくらおにぎりさん。
今日、ラピュタ〇佐ヶ谷で、「異常性愛記録 ハレンチ」を観ました。ずっと観たかった念願の作品でしたが、一回みれば十分な気がしました。石井輝男作品はオープニングが強烈だが、中盤からストーリーが破綻していく感があります。
(当時落ち目気味だった)若杉英二のリアルな変態ブリとたちばなますみのキュートさ(当時のファッションもおしゃれで)しか印象に残りません。
ただ小池朝雄がごく普通で良心的な役柄が新鮮でした。
あと、出来はともかく40年ほど前なら(比較的)平気にこの手の作品を作れていたことが、東映らしく「すごい」と思いました。

参考になります (いくらおにぎり)
2008-07-10 11:04:41
メンチカツさん、こんにちは

>一回みれば十分
>中盤からストーリーが破綻

ワハハ。身も蓋もないけど、言えてます。そうかあ、確かに石井監督の特質は、ソコにあるかもしれませんね。ついつい自分は「B級映画の巨匠」みたいな先入観で、言わば後付けの知識で美化しちゃうけど、それはいけませんよね。一本、一本の映画に真摯に向かい合わなければならないと痛感しました。

まあ、何も「異常性愛記録 ハレンチ」で、痛感しなくてもいいような気もしますけど(笑)

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