いくらおにぎりブログ

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【映画】お嬢さん(1961)

2008-04-30 | 邦画 あ行
【「お嬢さん」弓削太郎 1961】を観ました



おはなし
かすみとチエ子は大学の同級生。結婚に憧れる二人の前に現れた男性は……

三島由紀夫原作の映画です。とはいえ、「金閣寺」とか「春の雪(豊饒の海)」のような重い方では無く、「複雑な彼」系の軽いお話。しかし、この映画は以前に観たことがあったのですが、開始30分くらいは「初めて」みる映画だと思っていました。まあ、それだけ、最初の方が若尾文子と川口浩の「いつもの」ラブコメだということかもしれません。後半はいつもと違う展開になるんですけどね。

家族で写真を撮っています。会社の部長のお父さん(清水将夫)、おしとやかなお母さん(三宅邦子)、お兄さんと、そのお嫁さんの秋子さん(中田康子)。そして、このお話の主役、かすみ(若尾文子)です。ファインダーを覗いているのはお父さんの会社の若手社員の牧さん(田宮二郎)。いつも家に遊びにくる若手社員の沢井景一さん(川口浩)は、今日は欠席。デートでもしているのでしょう、ちょっと遊び人っぽいし。

かすみは大親友のチエ子(野添ひとみ)とお茶しています。二人の話題と言えば、ステキな結婚のこと。チエ子は「あたし結婚するなら、恋愛結婚がしたいの」と言います。でもかすみの考えはちょっと違います。「平凡だなあ、それはメロドラマよ」。かすみは、平凡がキライなのです。たとえ恋愛だって、普通の恋愛じゃイヤ。お見合いだって、ドラマチックならいいじゃない、そんな考えなのです。

かすみとチエ子が駅に行くと、沢井さんが女の人と一緒なのを見つけました。相手の女の人は芸者さんみたい。なんか別れ話でもしているみたいで、とてもドラマチックです。かすみはポンワワーンと妄想します。スタスタ二人のところに歩み寄って、沢井さんをかっさらっていくのです。
「かすみ、またなんか空想してたんでしょう」。はっ。チエ子の言葉で我に返るかすみです。

かすみの誕生日パーティ。家族はもちろん、牧さんや沢井さん。それにチエ子もお招きしました。平然とした顔で、義姉さんの秋子さんとダンスをしている沢井さんを見ていると、なんだか憎らしくなってきましたよ。「化け方がうますぎるわ」とつぶやくかすみ。今日は徹底的に沢井さんのヒミツを暴かなくちゃ。

「沢井さん、あたしこないだイイとこ見ちゃった、東京駅で」。「へぇなんです」と平然としている沢井さんに、かすみは「あら健忘症ね」とイヤミを言ってみます。そっちがその気なら、こっちにも考えがあるわ。「いいわ、第二のヒント。彼と彼女は熱海帰りの電車から降りた。どーぉ」。「え、見てたんですか。柳橋の紅子っていうんです」と答える沢井さん。やっぱり芸者さんだったんだ。これはドラマチックな匂いがするわ。もっと詳しく教えて、と頼んでみると、沢井さんは、ここでは話せないから、「今度の日曜日なんか、どう」と言うのです。

そして迎えた日曜日。「さて、何から懺悔しようか」と余裕の沢井さん。沢井さんによると、土日に熱海で、別れを納得させたのに、芸者さんは東京駅に着くと、やっぱり別れたくないって、言い出したそうなのです。「だけど、どうして、その芸者さんと知り合いになったの」。沢井さんはビックリすることを話し始めました。学生時代、ナイトクラブでアルバイトをしていた沢井さんは、5人の相手とケンカになって、それを救ってくれたのが芸者さんだって言うんです。そのまま、社長さんたちと一緒になって熱海に行った沢井さんは、芸者さんと深い仲に。でも、そんなドラマチックな話って、転がってるものかしら。すると、沢井さんは、女の子と仲良くなるなんて、簡単だよと、さっそく目の前で女の子をひとりナンパしちゃうのです。ちょっとショックなかすみです。

家ではかすみのお見合いの話が。専務さんの口利きで、若手社員の牧さんとかすみの結婚を勧められたというのです。牧さんは背も高くて爽やか好青年(田宮二郎だし)。でもお父さんは、まずはかすみの気持ちが優先ということで、かすみに選択の自由をあたえてくれるのです。ただし、条件は好きな人ができたら必ず報告すること。そして、その相手を全力で調査して、問題がないことをお父さんが確認してから、結婚の話を進めることです。ってことは、沢井さんなんか、きっとダメだろうなあ。

「ふーん。つまりこの間の日曜日は、かすみにとって記念すべきデートの第一日目だったわけだ」とチエ子が言います。「デートじゃないのよ。ただ懺悔を聴いただけ」とあわてて否定するかすみ。
「だからつまりデートじゃない」とチエ子も強硬です。「バカねえ。デートっていうのは、愛し合ってる二人だけがすることよ」って答えるかすみ。でもチエ子は、得意の婦人雑誌から仕入れた知識で、こんなことを言い出しました。沢井さんが、かすみに秘密を話したのは精神的ストリップと一緒。そこから肉体的なストリップになって、愛が芽生えるというのです。
「へー、じゃあ私たちも負けちゃいられないわ」と気合充分のチエ子。実はチエ子も牧さんとデートをしたらしくて、今度はダブルデートをしようということになっちゃいました。

ダブルデートの時に、沢井さん(これからは景ちゃんって呼びます)を、じーーーーっっと見つめる女の人がいたりもしたけど、かすみはすっかり恋のとりこ。義姉さんのところに行くと嘘を言っては、景ちゃんとデートの日々です。そんな、あるデートの時。夜の公園のベンチで、景ちゃんが真剣な顔で切り出しました。この間まで付き合っていた女の人?浅子さん(仁木多鶴子)って言うそうです?が、結婚してくれなければ死ぬと言っているそうなのです。みゆき通りにある洋品店の売り子さんだそうですが、やっぱり、あのダブルデートの時に、景ちゃんをじーーーーーーーーーっと見ていた、あの女の人みたい。

「ねえ、景ちゃん。心配しなくたっていいわよ。女の人って、死ぬなんて口に出して言うの、ほんの脅かしだけよ」と言ってみたら、景ちゃんはホッとひと安心な顔をして、「ぼくたちヘンな友達だね」と言って髪をなでてきました。そして、自然とキス。もうポーっとしてしまうかすみです。かすみは思いつきました。景ちゃんが、あの女の人とうまく別れる方法を。「結婚しちゃえばいいのよ。別の人と。……例えば、あたしと」。恐るおそるいってみたのに、景ちゃんは「よし、結婚しようや」と即断即決。もう今日にでも結婚する勢いです。大丈夫かしら。

「でも洋品店の売り子の問題はどうなるの」。親友のチエ子に相談すると、鋭いツッコミ。確かに、それが問題なのよね。チエ子と一緒に、その浅子さんのところに直談判に行こうと思ったけど、やっぱり気が引けて会えなかったし、景ちゃんは、君に任せたとしか言わないし、ホント、困りました。義姉さんに相談したら、「あたしはかすみちゃんの味方よ」って、言ってくれたから、それがちょっとだけ救いかな。で、かすみたちの立てた計画は、単純。お父さんが素行調査をする隙を与えずに、怒涛の勢いで結婚を認めてもらうこと。えっへん。

景ちゃんが家にやってきて、お父さんに「実はお嬢さんをいただきたいんです」とイキナリお願いしました。お父さんは、家内とも相談して、とか言って奥に引っ込んじゃったし、どうしましょう。ということで、かすみは偵察に。すると、お父さんとお母さんは、探偵社からきた牧さんと景ちゃんの調査報告書を前に、難しい顔をしています。うわっ、もう絶望的。

でも、しばらくたってからやってきたお父さんとお母さんはニコニコ顔。お母さんなんて、「お母様、嬉しくて、嬉しくて」とか言ってます。なんか、景ちゃんの調査報告書は満点だったみたい。どーいうこと。

親友のチエ子は、かすみと景ちゃんのキッカケになったベンチに座っています。もちろん、横には牧さん。オンナジ台詞を、オンナジように言って、見事、牧さんとのファーストキスに成功です。良かったね。

いきなり新婚旅行先のかすみ。朝のお風呂を楽しんでいます。おもわず顔もニヤケちゃうというものです。でも、ふっと妄想が入りました。芸者さん、売り子さん、ナンパした女の子、景ちゃんがみんなと浮気をしています。ちなみに、若尾文子、ばっちり完全100パーセント、フルメイクでお風呂に入っています。ちょっと怖いかも。それはともかく、慌てて、部屋に戻って「ねえ景ちゃん。これからは絶対に浮気をしないでね」とかすみが言うと、景ちゃんも絶対にしないよ、と優しく言ってくれるのです。って、書いててムズムズしてきた。もともと女言葉で書くのがムズガユイのに。ガンバレ、自分。もう少しだ。

新婚旅行は、自殺者を見て浅子さんのことを思い出したり、景ちゃんの昔の彼女の芸者さんと遭遇したり、いろいろあったけど、無事に終わって、ルンルンの新婚生活が始まりました。真新しい団地で、毎朝、旦那様を送り出す生活です。

そんなある日、いきなり浅子さんがやってきて、待たせてもらうわ、と上がり込んじゃいました。ひぇーっ、どうしよう。「泥棒って、恐怖心で一杯だ、という点では、被害者以上だって言うわ」と内心でつぶやいてみるけど、やっぱり気詰まり。平気なふりをして、洗濯物を取り込もうとしたら、向こうから景ちゃんが帰ってきました。懸命にブロックサインで、帰ってこないで、って伝えようとするけど、景ちゃんは意味が分からないみたい。で、鉢合わせです。でも浅子さんは、「卑怯者」とか一通り、言いたいことを言ったら落ち着いたみたい。「もう気が済んだわ」と帰り支度を始めてくれました。ほっ。良かったぁ。ドアを開けて待っていると、浅子さんが言います。「あら、こっちじゃないの。あっちから帰るの」。そのまま、ベランダに突進。あわわ。こんなところから、飛び降りないで。どうにか、落ち着かせて、(ドアから)帰ってもらったけど、大丈夫かしら。景ちゃんは、「ともかく捕まえておいて、病院にでも連れ込むべきだった」だなんて、言ってるけど、まさかそこまではねえ。

チエ子に、浅子さん問題を相談にいくと、チエ子はそれどころじゃないようす。「あたしね、今夜クリスマスイブでしょ。牧さんとオールナイトで遊ぼうと思ってるの」とルンルンです。「もう彼に全部上げちゃおうと思ってるの」と言うチエ子に、ちょっと待って、って言うかすみ。と言うのも、景ちゃんの調査報告書と一緒にあった、牧さんの調査報告書には、牧さんが女給と同棲してるって書いてあったんですもの。でも、それを言うとチエ子は激怒してしまいました。そして、ショッキングなことを言い出したのです。それは、もともとお父さんの会社に勤めていた義姉さんが、景ちゃんと仲が良かったっていう話。そんな、そんな。

そういう目で見ると、確かにアヤシイ。最近は残業も多いし、ついでに、家の女中は景ちゃんが酒場の女と会っていたと言い出すし。その上、貯金通帳を開いたら、いきなり10万円だなんて大金をおろしているし。「まあ、やっぱり」って、思わず言っちゃいました。

とりあえず、義姉さんのところに乗り込んでみましょう。でも「あたし、疑ちゃった」「分かってたわ。わたし辛かった。かすみちゃんが好きだから」と仲直り。きっと、観ている人たちには、どうして仲直りしたんだか分からないでしょう。でも良いんです、女の勘なのです(って、本当に観てても良く分からん)。でも義姉さんは、それとなく景ちゃんが女給と会っていることをほのめかすのです。一難去ってまた一難。「んまあ、やっぱり浅子さんが女給になってたんだわ」。

かすみは浅子さんのところに乗り込みます。でも、浅子さんは暗い影が消えて、すっかり幸せそう。景ちゃんと会ったのも、新しくできた彼氏のことを相談していたそうなのです。喫茶店で、彼氏のことをノロケまくる浅子さんに、なんだか悲しくなってきちゃったかすみ。「景ちゃん、浮気してるらしいの」と泣きながら相談です。

さて、喫茶店で牧さんに、女給とのことを詰問しているチエ子。牧さんは事実をあっさり認め、平身低頭です。でも、謝られたって、信じられない。かすみと結婚した沢井さんだって、新婚早々、女給を浮気とかしているくらいだもの。チエ子がそう言うと、牧さんが血相を変えます。そうじゃないんだよ、奴はいい奴なんだ。女給と会っていたのいうのも、ぼくの別れ話をかわりにやってくれて、現に今日だって、手切れ金10万を貸してくれたんだ。「それ、ホントっ」「ええ」「あたしどうしよう」。沢井さんが浮気をしていると、かすみに言ってしまったのに。謝りに行かなくちゃと、思いっきり立ち上がるチエ子。つい、バッグを下の客席に落としてしまいました。慌てて、下を見ると、ビックリした顔のかすみと浅子さんがいました。「ゴメンっ。謝ることがいっぱい」と言いながら、自分も落っこちそうになるチエ子です。

景ちゃんが仕事から帰ると、家は空っぽ。旅に出ます、探さないでください、というかすみの置手紙がポツン。慌てて、義姉さんのとこに電話をかけてもかすみの行方は分かりません。頭を抱えて、うずくまる景ちゃん。と、そこにかすみが帰ってきましたよ。自然と顔はニマニマ、でもわざと口を尖らせて、フテくされた顔を見せたりしているかすみです。
「あたし、おチエと牧さんに会ったの。みんな聞いたの。景ちゃんっていい人ね。あたし、もうドラマチックな生活なんてたくさん。静かで平和な生活がいいの」と、景ちゃんの胸に飛び込むかすみ。「君も案外、平凡な女なんだな」「平凡ね。普通の女ね」、そして熱いキス。
そこに、かすみの失踪を聞いたお父さん、お母さん、お兄さん、義姉さんが飛び込んできました。キスを見られて、ちょっと恥ずかしいけど、でもニコニコのかすみです。

病院からでてきたかすみと景ちゃん。入れ違いに、お兄さん夫婦もやってきました。「あっ」「君たちもかい」。カメラが上にパンしていくと、長谷川産婦人科の文字があったのです。


基本的に女言葉で文章を書くのは倍疲れます。その上、完全に一人称にしてしまえば、もう少し書きやすいんですが、そうもいかず。ってのも、それをやると宇能鴻一郎のポルノになりますから。

それは、ともかく甘々のラブコメでした。しかし、特色としては、途中で若尾文子と川口浩があっさり結婚してしまうところが挙げられます。これだと、結婚するために四苦八苦という、映画的においしいシチュエーションが使えなくなりますが、その代わりに若尾文子のキュートな新妻というアピールポイントが出てくるので、意外といいかもしんないです。もっとも、「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」の頃の若尾文子みたいな、この昂ぶった気持ち、どうしてくれよう!というほどの可愛さが無いのもまた事実ですけどね。なにしろ、この1ヵ月後には、「好色一代男」に出ているくらいですから、こういった役どころは、少しキビシイ時期にさしかかっているのも事実でしょう。

川口浩は、やっぱり素晴らしい。市川崑や増村保造作品のちょっと不思議な役どころですら、スルっとこなしてしまう演技力を持っている人ですが、こういった、調子が良くてモテモテな、不良っぽい役をやらせると、本当にハマります。少なくても、この段階では田宮二郎よりはるかに強いスターのオーラを発散していますしね。

ちょっとおかしかったのは、義姉さん(中田康子)の部屋の造形。ドアがピンクなら、壁紙からテーブルクロスまでみーんなピンク。凄すぎるセンスです。まあ、新婚家庭を表すためとも考えられますけど、中田康子が大映社長、永田雅一の愛人だったことを考えると、どんな「会員制秘密クラブ」なんだよ、と。新婚家庭のシチュエーションで萌え、みたいな。

しかし、毎度毎度、思うことですが、若尾文子とキスをしている川口浩を、奥さんの野添ひとみはどんな気持ちで見ていたんでしょうね。仕事とはいえ、イヤだろうな。







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