いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】海女の戦慄

2008-01-16 | 邦画 あ行

【「海女の戦慄」志村敏夫 1957】を観ました



おはなし
消息を絶った妹を心配する海女のヨシ。実は妹のチエは、悪漢たちに宝探しをさせられていたのですが……

前田通子のグラマーっぷりを観ていってくださいよ、お客さん。そんな声が聞こえてきそうな作品です。まあ、ここまでストレートに欲望に忠実だと、いっそ清々しい感じもしてきました。

手ブラでも隠しきれないグラマーの前田通子がふっと振り向き、横にはピストルを持った男のシルエット、そんな画で。映画はスタートします。

どどーん。逆巻く波。しかし、そんな中でも海女たちは、今日も海に潜っているのです。そこに二人の着飾った女の子がやってきました。「姉ちゃん、ちょっと上がってよぉ」と声をかけたのは、ヨシの妹・チエ(三ツ矢歌子)。もう一人は友人のユキ(万里昌子=昌代)です。二人はミス海女に選ばれたので、これから東京の出版社に行って座談会に出席するのです。「東京は怖いからね」と心配するヨシですが、若い二人はとりあえず東京に行けるので、すっかり有頂天。大丈夫でしょうか。

はい、大丈夫じゃありませんでした。あれから五日経っても、二人は帰ってきません。ユキの家は子沢山なので、一人いなくてもどうでもいいらしいですが、ヨシは妹のチエ、それに小学生の弟・健一(太田博之)との三人暮らしなので、心配でたまりません。早速、浜唯一の酒場兼ホテル「いかり亭」に、チエの恋人を訪ねて相談するヨシ。恋人も心配して、東京に調べに行ってくれるとは言うのですが。

そのいかり亭に、怪しい男たちがやってきました。社長風の男、腹心、用心棒、運転手の四人です。いかり亭の主人は、時ならぬ宿泊客に大喜びですが、どうも臭いですね。それはともかく、このいかり亭は、浜の人たちの憩いの場所。今日も、マドロスや女たちが入り乱れて大騒ぎ。特に、岩太という漁師などは、乱暴者ですがみんなに好かれているようです。

翌朝。岸に女の死体が流れ着きました。なんとビックリ、東京で行方不明になったユキではありませんか。頭の後ろには打撲傷。まさか海女が溺れるとも思えないので、やっぱり誰かに殴り殺されたのでしょうか。

こうなると妹のチエのことが心配で心配でたまらないヨシ。とりあえず、情報を求めていかり亭に行ってみます。しかし、酔っ払った岩太がからんできましたよ。あれー。と、そこに入ってきた小太りな男(天城竜太郎)がいきなり岩太を止めに入りました。てめえは何者だと聞かれて「旅の風来坊ですよ」と答えるマドロス姿の男。自分でそういうこと言うかな。それはともかく、天城竜太郎こと後の若杉英二は、かなりウエストがタプタプしているんですけど。さすが、同じ年に撮られた石井輝男監督のデビュー作で、あいつを主人公にしたらコメディになっちゃうと監督が断固拒否しただけあります。それはともあれ、岩太は風来坊にあっさりノサれてしまうのでした。

翌日から風来坊は、社長風の男の車を調べたり、あちこち嗅ぎまわって大忙し。「ぼうや、ユキちゃんって海女が浮いてたところ、どこか知ってるかい」と健一にまで聞いてきましたよ。「警察のひと?」「ううん、違うよ」。じゃあ一体、何者でしょう。それはともかく、早速、現場に行って、「こんな所で海女が溺れるかなあ」と不思議がる風来坊。しかし健一によると、この近くにある離れ小島には「潮が淵」という難所があって、おそらくそこから流されたと、大人たちは噂しているそうなのです。これは良いことを聞きました。

風来坊が小島に行くと、怪しげな洞窟が。しかし奥にはタバコの吸殻と、半分に折られたマッチ棒が転がっているものの、それだけ。むむむ。ここにはユキを殺した犯人はいないんでしょうか。そして行方不明のチエはどこに。ともあれ、ここにいても仕方ありません。出て行く風来坊。しかし、それと入れ違いに、社長やら用心棒やらが、洞窟にやってきました。洞窟の奥をいじると、岩がスライドして奥には小部屋が。

ここは舟の上。「さあ潜るんだ」とチエに命令しているのは社長あらため悪漢たちのボス。「でも、ここは潮が淵という魔の海ですから」と抵抗するチエ。しかし、悪漢に脅かされて思い出しましたよ。と、ここで回想シーン。数日前、やはり潜るように強制されたユキは抵抗した挙句、足を滑らせて後頭部を強打して死んだのです。死体はそのまま、海に投げ捨てられ……。
「さあ、潜るんだ。イヤならお前もあの世行きだ」と言われたチエは仕方なく、深い海に潜っていくのでした。

探し物が見つからず、さらには巡視艇までやってきたので、ひとまず逃げ出した悪漢たち。アジト代わりに使っている洞窟にチエをとじこめます。ついでに、この洞窟には、閣下と呼ばれるもと海軍軍人とその娘さんも閉じ込められているようです。と、ここでワザとらしく、事件の背景が語られます。かつて、終戦間際のこと。国民から供出させたダイヤやプラチナを運ぶ一隻の駆潜艇が、この付近の海を航行していました。しかし折からの雷雨で沈没。雷雨の夜であったため付近の住民は、それに気づいていませんが、海軍省の無電室でSOSを聞いたボスは、いつかそれを手に入れようと、虎視眈々とチャンスを窺っていたのです。

まだお宝は手に入らないものの、駆潜艇の沈んでいる場所は分かっているんだから、なぜ閣下を生かしているのかが、さっぱり分かりませんが、ともあれ閣下と娘、それにチエは監禁されているのです。そして宝を引き上げたときに、おそらく三人の命は……。

さて、いかり亭にいる小太りな風来坊は、酒を飲んでいる男が、タバコに火をつけたマッチを、ポキンと折るのを見つけてピピッときました。こいつが洞窟の男だと。早速、洞窟を探る風来坊。しかし。悪漢たちは手回しよく、銃を持って待機していたのです。バーン。撃たれて断崖絶壁から落ちていく風来坊。死にました。。だと、話が終わってしまうので、たまたま海に潜っていたヨシが、それを目撃して風来坊を助けたのです。

うーん、うーん。うなされている小太り風来坊。「大丈夫です、部長。犯人は、犯人は必ずあげます」などと説明臭いうわ言なんか言っちゃってますよ。でも健一には警察じゃない、って言ってましたよね、だとしたら何者?

はい、傷も癒えて海辺を歩く風来坊。もちろん、横にはヨシも一緒。いきなり前田通子の唄う「海女の慕情」という演歌が流れ出します。もう、どうにかして。ま、それはともかく自分は海上保安庁の者です、と秘密を打ち明ける風来坊。「んまー。あなたは海上保安庁の」とビックリするヨシ。だけど、話を聞くたびに「んまー」と驚くのは止してください。力が抜けるから。

まあ、それはそれとして。磯を歩いている健一は、偶然にも姉のチエを見つけちゃいました。「あっ、小ちゃい姉ちゃん」と叫ぶ健一。あーあ、そんな大きな声を出すから健一まで捕まってしまいましたよ。被害拡大中ですね。しかし、どういう設定なんだと思うことには、捕まった健一は、「おじちゃんに知らせてくる」とサクっと洞窟から脱走しちゃいます。スタスタ走って、ヨシを見つける健一。「あっ、姉ちゃん」「姉ちゃん、あいつ悪い奴だよ」。なに、あいつ。そう、追っかけてきていた悪漢に、今度はヨシが捕まってしまったのです。健一は逃げたものの、さらなる被害拡大中な感じ。

舟の上。前回は、まだヒヨっこのチエで失敗しましたが、今度はベテラン海女のヨシが海に潜ることになりました。さすが、お姉ちゃん。ズンズン潜って行きます。駆潜艇の船室に入り、金庫を見つけるヨシ。早速、舟の上の男たちは、ヨイショ、ヨイショと金庫を引き上げます。もっとも、制作費の都合なのか、引き上げたのは、どう見ても女の人でも持てそうな手提げ金庫なんですけどね。パカっ。金庫を開けると出てくる出てくる。真珠のネックレスがドッサリです。あれ、ダイヤとプラチナでは、とか野暮なことは言いっこなし。お宝っぽく見えればそれでいいのです。

「こいつらどうします」と言う子分に、「海は広い。どこでだって始末できる」と怖い顔をするボス。しかし、そこにウゥゥゥゥとサイレンを鳴らしながら巡視艇がやってきました。もちろん健一の通報で駆けつけたのです。畜生と、撃ち出す悪漢たち。ピストルはもちろん、自動小銃まで持ち出していますが。対する海上保安庁のみなさん、プラス小太りな風来坊もピストルで応戦。西部警察ばりの、残弾を気にしない銃撃戦がエンエンと続きます。そして、悪漢の一人がやられると、次々にウワッやられたぁ、とばかりに斃れていく悪漢たち。やった、海上保安庁の海猿たち勝利。ついでに、それを浜で見ていた、岩太はじめ漁師のみなさんは「ばんざーい」と叫んでいますよ。

風来坊、それに閣下と娘は東京に帰ることになりました。「事件の報告が済んだらまたゆっくり遊びに来ますよ」と爽やかに言う風来坊。ヨシは思わず涙目になっています。浜のみんなが「さよーならー」と見送る中、走り去っていくバス。ヨシは悲しみを振り切るように海に潜ります。もちろんBGMは再び、前田通子の「海女の慕情」なのは言うまでもありません。


いや、正直言って、全然面白くないです。別段、いつもの新東宝と同じなんですけど、何かが足りないんです。

お色気? いや、これは前田通子のボインボインで充分。ストーリー? 最初から期待していません。演出? そんなものを云々するようなモンじゃないし。前田通子の演技力? ああ、それはあるかもしれないけど、高倉みゆきと比べればドッコイドッコイのレベルには達しているしなあ。

ということで、何が足りないかというと、ズバリ俳優陣の層の薄さです。三ツ矢歌子や、万里昌代は良いとしても、男優陣の薄さが致命的。だって、主役の風来坊に天城竜太郎ってどうなんですか。ここは、やっぱり宇津井健しかいないでしょう。あと、悪役には沼田曜一とか天知茂クラスをぜひ。ついでに、三ツ矢歌子の代わりに万里昌代を妹役に昇格、殺されるユキちゃんを三原葉子にすれば、ボイン3倍で、なお良かったんですけどね。

いずれにしろ、新東宝作品は、どこまで突っ走るか分からないキワモノ路線、それも多分に見世物小屋みたいな怪しさが魅力。その点では、この映画は妙にツルンとして平板な気がします。

もっとも、前田通子や万里昌代、まあついでに三ツ矢歌子の水着姿を、足元から舐めるように撮るショットなどがあって、「分かってるな」とは思いますけどね。


(地味な顔に爆裂ボディ)

(若杉英二、、どうでもいいんですけどメイク濃すぎ)

(分かりやすい回想シーン)

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2 コメント

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海女の戦慄 (アパッチ)
2009-01-06 16:22:30
天城竜太郎の評判は、いろんなコメントを見ているが、誰ひとり評価してませんねぇ。
大蔵社長は、天城をたくさんの作品の主役にしてますが、新東宝凋落の最大の原因は、天城なんかに期待した、大蔵社長の眼鏡違いと判断しました。
確かに (いくらおにぎり)
2009-01-06 18:58:47
アパッチさん、はじめまして。こんにちは。

いや、天城竜太郎は評価してますよ。もっとも若杉英二名義での「異常性愛記録 ハレンチ」での怪演に限ってですが。まあ、それを評価してると言っていいのかは、果てしなく疑問ではありますが。

>天城なんかに期待した、大蔵社長の眼鏡違い

えーと、「なんも言えねぇ」ですね。完全に同意せざるを得ません。

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