いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】女必殺五段拳

2008-04-02 | 邦画 あ行
【「女必殺五段拳」小沢茂弘 1976】を観ました



おはなし
中川菊は、西陣にある老舗の箱入り娘。妹分の兄が麻薬組織に殺されたことから、捜査を始めた菊は……。

志穂美悦子主演、女必殺ナントカの最終作です。今までの女必殺ナントカは、悦ちゃんが父の復讐のため来日。ついでに倉田保昭も身分を隠して悪の組織に潜入中。最後は、共同で敵を倒して、悦ちゃんは夕陽に向かって涙、みたいなのが黄金パターンでした。

しかし、この映画は違います。もう、ゼンゼン違う。そもそも空手映画のフォーマットに入れて良いのか、そんな根本的な部分に疑問を抱く作品でした。あ、面白いかつまらないか、という観点に立てば、ぼくは好きですけどね。

お見合いをしている中川菊(志穂美悦子)。振袖姿がまぶしい限りです。しかし、志穂美悦子はどうも、堅苦しい銀行員とのお見合いに乗り気ではないようす。お父さん(鈴木正文)が止めるのも聞かず、「あっ、しもうた。大事なお稽古があるの忘れてた」と飛び出していってしまいました。

向かった先は、京都の正武館という空手道場。そう志穂美悦子は空手好きのお嬢さんだったのです。

ということでタイトル。もはや伝統な感じもする志穂美悦子の組み手シーンをバックにスタッフロールが流れます。

さて、越前海岸では日本海から水揚げされた魚をトラックに積み込んでいます。そして走り出したトラックの荷台では、男が魚からなにやら白い包みを取り出していますよ。もうお分かりですね。麻薬の密輸みたいです。トラックからアメ車に中継された麻薬は、そのまま極東映画京都撮影所に。なんとセットの奥が麻薬の秘密工場!になっており、そこで麻薬は仏像につめられてアメリカに輸出されているというのです。もう、この段階で、この映画はマトモじゃない雰囲気がプンプン漂ってきましたよ。

とりあえず組織のボス格は京都撮影所長の藤山、それに貝原美術商会の貝原(汐路章)、あとは来日したばかりの極東支配人スペンサーさんです。しかし、安穏とはしていられません。スペンサーさんの言うにはアメリカの麻薬Gメンが来日しているそうです。これはよっぽど気を引き締めてかからないと。

着物を着せてもらって「うれしいな、お姉ちゃんありがとう」と喜んでいる娘がひとり。志穂美悦子の妹弟子のミッチー(ミッチー・ラブ)です。今日はミッチーの誕生日。志穂美悦子はミッチーとその兄・ジムを呼んでパーテイをしているのです。ミッチーとジムは母は日本人ですが、父はそれぞれ白人と黒人という複雑な生まれ育ち。沖縄で差別され京都にやってきた二人を、心優しい志穂美悦子はまるで本当の兄弟のように大事にしているのです。どんどん話がオカシナ方向に向かっているような気もしますが、気にしない、気にしない。

正武館で空手の修行に励むかたわら、京都ガードサービスに勤めているミッチー。今度はフォード大学のダグラス教授の身辺警護をすることになりました。ところが、ぎっちょんちょん。ミッチーも知らないことですが、ダグラス教授はアメリカの麻薬Gメンで、京都ガードサービスは厚生省の秘密組織だったのです。ちなみにキャップは高木(渡瀬恒彦)という麻薬Gメンです。ほほう。

賑々しく行われている園遊会。着飾った男女が会話を楽しんでいます。振袖の志穂美悦子も、お父さんに連れられて、藤山撮影所長や貝原社長などにご挨拶。と、そこにお父さんの後輩の渡瀬恒彦がやってきました。厚生省のお役人(嘘ではない)の渡瀬恒彦を、娘に紹介するお父さん。お父さんとしてはどうにか志穂美悦子を渡瀬恒彦と結婚させたいところ。見れば、お互い満更でもなさそうな様子ですし。

あれっ。華やかな園遊会をジムが歩いていますよ。まさか招待されているわけでもなさそうだし。不審に思ってあとを尾ける志穂美悦子。するとどうでしょう。ジムはいきなりダグラス教授を襲撃して、殴り殺したじゃありませんか。やっぱり駆けつけた渡瀬恒彦はジムを捕まえようとしますが、それを志穂美悦子が止めます。「なぜ邪魔すんだよ」「あの男はいったい誰なんだ。菊さん、あんたも見ただろ。あの男はミスターダグラスを殺した。ダグラスはアメリカの麻薬Gメンなんだ」と怒る渡瀬恒彦。「麻薬!じゃ、あなたも」と志穂美悦子は言いつつ、それでもジムの正体を明かそうとしないのです。

韓国クラブの「慶福宮」にやってきたジム。ここは麻薬組織のアジトのひとつで、ジムはダグラス殺害の報酬を受け取りに来たのです。しかし、藤山や貝原といった悪党が素直に報酬を渡すわけもなく、かえってジムを殺そうとしてきたのです。長い手足を生かして、子分たちをなぎ倒すジム。ジム強い、強い。量産型のくせに強すぎです。ということで、ジム逃亡です。

「ジム、夕べとうとう帰ってこなかった」と、ミッチーは家で心配しています。懸命に慰める志穂美悦子。そこにジムから電話が入りました。ジムは詳しいことを話そうとせず、ただ琵琶湖タワーに車を用意してくれ、とだけ言って電話を切ってしまうのです。

とりあえず愛車の黄色いポルシェにミッチーを乗せて走り出す志穂美悦子。渡瀬恒彦の部下が尾行を開始しますが、それに気づいた志穂美悦子はポルシェのアクセルをグイっとひと踏み。しかしビックリ。志穂美悦子と仲のいいクリーニング屋など、みんな渡瀬恒彦の部下だったりするので、尾行からは逃れられそうにありませんよ。観ていて、脱力してきました。

ジムの計画。それは琵琶湖タワーで行われる麻薬の取引から、金だか麻薬だかを奪って、車で逃走すること。しかし、志穂美悦子のポルシェの到着を待って動き出したものの、渡瀬恒彦たちGメンはいるわ、ヤクザは追いかけてくるわで散々な結果に。バーン。撃たれちゃいました。
「キクサン、カナシイ。ケイフクキュウ」と志穂美悦子に言い残して死ぬジム。横では渡瀬恒彦が「慶福宮か」と言ってウームです。

ジム殺害犯は捕まりましたが、完全黙秘です。「もうあんたらにまかせておけへん。これからはあたしの思い通りにします。邪魔だけはせんといて」と怒る志穂美悦子ですが、渡瀬恒彦は男と女とは、女は家庭にいるのが本当の幸せだ、などなど良く分からない説教をかましています。まあ、これも一種の「好き」ってことでしょうが、渡瀬恒彦不器用すぎ。

さてミッチーがさらわれました。「48時間、捜査を中断しろ。さもないとミッチーを殺す」という脅迫も舞い込みました。渡瀬恒彦たち、身動き取れません。しかし、志穂美悦子は独自の行動に出ました。とりあえず「ヒッピー」に変装して貝原美術商会の前に張り込みです。

すると、貝原美術商会に藤山撮影所長とスペンサーがやってきたではありませんか。志穂美悦子、ピピンと来ちゃったみたいです。

極東映画ではチャンバラ映画の撮影中。そのエキストラのお小姓役がなんと志穂美悦子。いきなりエキストラにバケて潜入とは恐れ入りました。小道具倉庫を徘徊すると、あっさりミッチーが見つかりましたよ。良かった、良かった。

しかし、開けてビックリ玉手箱。なんと、麻薬に関与しているのは、撮影所長など一部の人間ではなく、撮影所の人間全員だったのです。襲い掛かる警備員。殴りかかる助監督。真剣を振り回す俳優。もうムチャクチャです。そんな危機一髪の状況の中、果敢に戦う志穂美悦子とミッチー。ガンバレ、ガンバレ(棒読み)。しかし、そこに銃声が。スペンサーが「動くな」と言っています。ミッチーを逃がし、捕まってしまう志穂美悦子。

チュイーン。電動ノコギリがうなります。縛られた悦ちゃんの股間に迫る電ノコ。このままじゃ、このままじゃ、真っ二つです。そこにミッチーの案内で渡瀬恒彦が飛び込んできました。悦ちゃんの空手、渡瀬恒彦の振り回す日本刀。もう悪党たちはバッタバッタと倒れていきます。しかし、ボスたちだけが、スタコラ逃げ出すというのは、お約束。逃げる車に、撮影所の台車に乗って突っ込む渡瀬恒彦。ドッカーン。車は大破です。渡瀬恒彦は日本刀を持って迫ります。しかし、やっぱり銃声がバーン。もんどりうって倒れる渡瀬恒彦。でも大丈夫。志穂美悦子とミッチーが来ました、悪党どもをボッコボコ。もう完全にフルボッコです。

「高木さん、高木さん」と悦ちゃんが呼びかけると、渡瀬恒彦が「菊さんか」と、かすかに答えました。「高木さん、しっかりして。高木さん、死なんといて。死んだらあかん」と叫ぶ悦ちゃん。苦しげな渡瀬恒彦の顔のアップで、(完)。


いや、(完)じゃないから。ワケ分からないし。

監督の小沢茂弘は、東映で天皇と言われていたほどの人。まあ芸術肌ではないにしろ職人監督です。ところが、この映画の後に東映をクビになってしまいました。原因はイロイロあるんでしょうが、とりあえずこの映画から伝わってくるのは「ヤケッパチ」。なんだか、どうにでもなれ、という雰囲気が伝わってきます。ちなみに小沢監督は、この映画にも出てた鈴木正文と映画会社を作って、笹川良一の映画を企画してみたり、占い師になってみたり、ついでに山伏になってみたりと、ある意味、映画以上にスゴイ人生を送っていらっしゃるようです。

さて、五段拳ってなんだよとか、そもそも空手映画にすらなってないじゃないか、など、この映画はオカシイところ一杯です。それに、東映京都撮影所を悪の組織にしてしまうムチャクチャさ。一歩、間違えれば内輪ウケを狙ったグズグズの作品になってしまうところです。まあ、実際にグズグズのグダグダなんですけどね。でも、お笑い芸人が内輪ネタを披露するような不快感みたいなものはなく、よくもここまでやったね、という突き抜けた感じがあるのも、また事実です。

それでも志穂美悦子のアクションは必要最低限そろっています。もちろん振袖やヒッピー、さらにはお小姓姿など、悦ちゃんのコスプレにも事欠きませんし。その点では合格。さらにミッチー・ラブのアクションや、渡瀬恒彦のヤクザっぽいドツキ合いもありますから、後は何がいるの?という気もします。冷静に考えれば千葉ちゃんのカラテモノだって相当ムチャクチャですからね。

でも、やっぱり思うのです。この映画、なんか狂ってる。







いくらおにぎりブログのインデックスはここ
いくらおにぎり日記はここ

女必殺五段拳 [DVD]
クリエーター情報なし
東映ビデオ
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 【映画】新・極道の妻たち | トップ | 【映画】眠狂四郎 円月斬り »
最近の画像もっと見る

邦画 あ行」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事