いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】ゴジラ

2007-01-12 | 邦画 か行

【「ゴジラ」本多猪四郎 1954】を観ました。



おはなし
太平洋で、船舶の遭難が続きます。どうやら怪獣が原因のようです。大戸島を襲い、壊滅させた怪獣は東京に上陸。爆雷攻撃や戦車の攻撃を物ともしない怪獣をやっつける方法は、ただひとつ。芹沢博士の発明したオキシジェン・デストロイヤーだけでした。

言わずと知れた名作中の名作ですが、この歳になるまで観たことがありませんでした。まあ、観ないより観た方が良いに決まっているので、ようやく観ることができてうれしい限りです。とは言え、観た後の感想はとにかく重い。怪獣映画というカテゴリーに収まる映画ではないようです。

南海汽船の栄光丸を始めとして、海を行く船が次々と沈没していきます。SOSを発したかと思うと、連絡を絶っていく船。生き残った乗組員は言います。「どうもこうもねえ、いきなり海が爆発したんだ」

海ではすっかり魚が捕れなくなりました。船の遭難地点に近い大戸島では、土地の古老が「やっぱゴジラかも知れねえ」とつぶやきます。島に伝わる伝説の怪獣ゴジラ。島ではさっそくゴジラを鎮める神楽が奉納されます。しかし、それをあざ笑うように吹き渡る突風。そして、ドスン、ドスンと重々しい音が響き、崩れていく家々。

大戸島災害陳情団が東京にやってきました。さっそく国会で、今回の災害について審議が行われます。答弁に立った古生物学者の山根博士(志村喬)は、調査団の編成を提案し了承されました。ここで、志村喬が答弁中に飛び出しているネクタイを直すシーンは、実にうまく「学者バカ」を表現していて感心しました、こういった名優の何気ない芝居が物語に一層のリアリティを与えているんですね。

ともあれ、「調査船しきね」は山根博士、娘で助手の恵美子(河内桃子)、恵美子の恋人で南海サルベージの尾形(宝田明)などを乗せて出発します。見送りには恵美子のかつての許嫁、芹沢博士(平田昭彦)の姿も見られました。大戸島にやってきた調査団は、ゴジラの足跡から強い放射能を検知。さらに三葉虫が付着していることも発見しました。そして、調査団をあざ笑うように、山影から姿を現すゴジラ。同行していた田辺博士(村上冬樹)に、山根博士は言います。「田辺さん、私は見た。確かにジュラ紀の生物だ」

早速、調査結果を国会の委員会で報告することになった山根博士。ゴジラの足跡に付着していた粘土の年代や、そこにストロンチウム90が検知されたことなどを踏まえて出した結論は、200万年前に存在した生物が海底洞窟にひっそり生きていたものの、水爆のおかげで生活圏を奪われ、なおかつ突然変異したというものでした。ここで、とりあえず事実をもみ消そうとする与党議員に対し、「バカモノ、何を言うとるか。事実は堂々と発表しろ」と怒鳴り返す野党の国会議員役が菅井きんでした。まさに「人に歴史あり」ですね。

さて、恵美子は元許嫁の芹沢博士を訪ねました。芹沢博士は、戦争で醜い傷を負い、それを恥じてひとり研究に没頭しているのです。そこで、恵美子は恐ろしい研究を目にします。とても口に出せないような恐ろしい研究を。芹沢博士に口止めされた恵美子は、誰にも放さないことを固く約束するのでした。

一方ゴジラ対策ですが、放っておくわけにもいかないので、政府はフリゲート艦隊で爆雷攻撃をすることを決定します。しかし、水爆にも耐えたゴジラに爆雷ごときが効くわけもありません。かえってゴジラは、怒ったのか東京に上陸してくる始末。まさに「薮をつついて蛇を出す」ですね。
東京に響くサイレンの音。人々には空襲警報の悪夢が蘇ります。重く響くゴジラの足音。電車は脱線し、ゴジラに投げ捨てられ、まさに大惨事です。しかし、幸いなことにゴジラは海に戻っていきました。

政府は、抜本的な対策を取ることにしました。臨海部に5万ボルトの電気鉄条網を展開し、500メートル以内の地域は、住民を疎開させます。さらに防衛隊の戦車、重砲、戦闘機などを待機させ万全の態勢で臨むのです。
そんな、騒然とした中に、今日はお父さんに二人の結婚を了承してもらおうと、尾形は山根博士の家に赴きます。さすがに宝田明です。どんな時も恋に生きる姿勢は素晴らしいですね。ちょっと空気を読めなさすぎですが。案の定、志村喬と口論になる宝田明。志村喬は、水爆にも耐えたゴジラの秘密を解き明かしたいという意見で、宝田明は、ともあれゴジラをやっつけましょうという意見です。
「ゴジラこそ、我々日本人の上に、今なお覆いかぶさっている水爆そのものじゃありませんか」といいことを言う宝田明ですが、帰れと言われてしまい、もちろん結婚話などできずに追い出されるのでした。

とうとうゴジラが東京に再上陸しました。電気鉄条網も効かず、戦車や重砲、もちろん機関銃の攻撃も効果がありません。戦闘機のロケット弾攻撃も、まったくダメージを与えていないようです。ゴジラは口から白熱光を出して鉄塔を溶かし、コンビナートを爆発させ、夜の街を進んでいきます。燃え上がる街。逃げ遅れた母子は「もうすぐお父ちゃまの所に行くのよ」と固く抱きあいます。きっと父も、こんな夜に空襲で死んでいったのでしょう。銀座、新橋、田町方面はすっかり火の海になりました。一面の火の海に国会議事堂とゴジラのシルエットが浮かび上がります。必死の中継をするテレビ局のクルーも、「さようなら、みなさん」の言葉を残し、テレビ塔ごとゴジラになぎ倒されて死んでいきました。

ゴジラが去り、一夜明けた東京は、まるで大空襲を受けた直後のようにがれきの山です。病院には大勢のけが人が運び込まれ、子供に向けたガイガーカウンターは激しく反応し、被爆をうかがわせます。小さい子供の泣き声が響き、大人たちは一様に、放心したようなやるせない表情で座り込んでいます。そんな光景を目の当たりにした恵美子は、意を決して「尾形さん、重大な話があるんです」「私は喜んで裏切り者になります」と言い出しました。そう、芹沢博士の秘密の研究を白日の下にさらそうというのです。

液体中の酸素破壊剤であるオキシジェン・デストロイヤーの秘密を知った尾形は、芹沢博士に「オキシジェン・デストロイヤーを使わせていただきたいんです」と頼み込みます。しかし、芹沢博士は、
「もしも、いったんこのオキシジェン・デストロイヤーを使ったら最後、世界の為政者が黙って見ている筈がないんだ。必ずこれを武器として使用するに決まっている。原爆対原爆。水爆対水爆。その上さらに、この新しい恐怖の武器を人類の上に加えることは科学者として、いや一箇の人間として許すわけにはいかない、そうだろ」と首を縦に振りません。
「では、目の前の不幸はどうすればいいんです」と畳みかける尾形。
そこにテレビから死にいく同胞たちの映像が流れます。そして、乙女たちの平和への祈りの歌が。さすがの芹沢博士の心も揺らぎます。
「尾形、君たちの勝利だ。しかし僕の手でオキシジェン・デストロイヤーを使用するのは、今回一回限りだ」と芹沢博士は言い、研究書類を燃やし始めます。そう、この段階で芹沢博士は、この世からオキシジェン・デストロイヤーの秘密を一切合切、抹消することに決めていたのでしょう。

海上保安庁の「調査船しきね」に乗り込んだ芹沢博士たち。関係者たちが固唾を飲み込んで見守る中、芹沢博士と尾形は潜水服を着込んで海に潜っていきました。もちろん芹沢博士の、その手にはしっかりとオキシジェン・デストロイヤーが握られています。海底に到達した二人はじっとその時を待ちます。いよいよゴジラが接近してきました。芹沢博士は尾形の肩を叩きます。もう上に上がろうというサインなのでしょう。浮上を始める尾形。しかし、芹沢博士は浮上しようとしません。そして、オキシジェン・デストロイヤーを作動させます。立ち上る気泡。オキシジェン・デストロイヤーは無事、作動しました。ゴジラは苦悶にのたうち回っています。芹沢博士は
「尾形、大成功だ。幸福にくらせよ。さよなら、さよなら」と言い、自らのチューブを断ち切るのでした。芹沢博士は、自らの命を絶つことによって、完全にオキシジェン・デストロイヤーの謎を深い海の底に葬り去ったのです。

山根博士はつぶやきます。
「あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類が世界のどこかに現れてくるかも知れない」

これほどモノクロの迫力を感じさせてくれる映画は少ないと思います。夜に浮かび上がるゴジラのシルエットは、まさに禍々しい恐怖そのもの。強いて言えば、電車をくわえてポイっと放り投げるところが、何だかなあと思いましたが、基本的にゴジラが、ヘンに演技をしないのも余計に恐怖を煽って素晴らしいです。
それに、炎の表現も出色の出来です。モノクロ画面の中の炎は、カラーの時のようにアラが目立たず、それじたいが悪意を持って襲いかかる「悪のエッセンス」のようでした。

また科学者の描き方もとても深くて、普通人の代表とも言える宝田明を中心とした、志村喬と平田昭彦の描きわけは、まさに科学者の二面性を捉えていると思います。つまり、現実にあるゴジラの脅威を取り除きたいという立場に対して、水爆にも耐えたゴジラの秘密を解き明かしたいという志村喬の考え方。同じく、ゴジラの脅威を取り除きたいという立場に対して、例え理由はどうあれ、パンドラの箱を開けてはならないという平田昭彦の考え方。それぞれの立場が交錯する中で、現実的な落とし所を見つけ出した「ゴジラ」は文字通り大人の映画だな、と思います。










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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遂にゴジラいくらおにぎりブログに上陸! (ポン太)
2007-01-12 22:07:16
いくらおにぎりさん、今晩は!
ついにご覧になりましたね「ゴジラ」。
今までに見たこともないような不気味な生物、驚異をうまく表現してました。
上陸、そして去る (いくらおにぎり)
2007-01-13 17:16:54
ポン太さん、こんにちは

はい、ようやくゴジラを上陸させることができました。そして、ファイナルウォーズで去ってしまいました、
圧倒的・・・ (夢見興亡)
2007-01-16 01:50:02
>これほどモノクロの迫力を感じさせてくれる映画は少ないと思います。

うーんこれにつきますね私の感想も。 文芸座ではありましたがスクリーンで観ると本当に大迫力でビックリしましたよ。 モノクロ恐るべし・・・
文芸座 (いくらおにぎり)
2007-01-16 19:01:39
文芸座と言えば、中学生の頃、よく行ったのですが、最前列ではやくざさんが、スクリーンの方に足を投げ出して寝ていて、後ろを見るとハッテンバという悪夢のような環境でしたね。外に出るとストリップ劇場もあるし……
Unknown (あず)
2007-01-17 22:21:21
こういう映画はあまりみたことないんですが
いくらおにぎりさんの感想読んで観てみたくなりました。

文芸座って池袋の?
Unknown (いくらおにぎり)
2007-01-18 14:50:31
あずさん、こんにちは

自分の文章をキッカケに、映画を観てくれるとしたら、こんなにうれしいことはないです。

で、文芸座は池袋の、です。もっとも、よく行ったのは25年くらい前ですけど。

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