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【映画】士魂魔道 大龍巻

2006-09-08 | 邦画 さ行

【「士魂魔道 大龍巻」稲垣浩 1964】を見ました。



おはなし
大坂夏の陣、深見重兵衛(市川染五郎)、奥野久之助(夏木陽介)、草薙修理(佐藤允)の3人は、命からがら大阪城を脱出しました。重兵衛はひょんなことから小里(星由里子)に頼まれ国松君の護衛役に。久之助は商人に。そして修理は辻斬りに身を落としてしまいます。
しかし、運命は大竜巻の形をとって、彼らの身の上にさらに波乱を起こすのでした。


まず、「おはなし」欄のコメントはかなり適当です。なぜなら映画自体がかなり適当な話なので。
そもそも登場人物が多いため、一人ひとりのキャラクターの掘り下げが足りません。そのうえ、円谷英二の特撮部分の時間も本編の上映時間を食い潰していくので、余計に尺が足りなくなっています。
ですから失敗作なのは確かなんですが、面白くないかと言われると、そんなことはない。

ものすごく面白いです

なにしろ映画的なお約束をとことん粉砕していく暴走トラックみたいな映画ですから。

冒頭、オチャラケ2人組の市川染五郎と夏木陽介は、ひょんなところから国松君の護衛をすることになります。国松君は豊臣秀頼の子で、乳母と供の武士が連れて大坂城を脱出。しかし見つかり六条河原で斬首されますが、異説では薩摩に落ち延びたとの伝説もあります。
当然、見ているほうとしては、ああ国松君を守る市川染五郎と夏木陽介が、途中で別れた佐藤允と敵になったり味方になったりしながら、薩摩を目指す冒険物語だな、と思うんですけど・・・

国松君はさくっと奪取され、ざくっと斬首されます。おい。




<俺は浪速のあきんど篇>
夏木陽介は、旅の途中、落ち武者の武具や金をはぎ取っています。さすがにイヤな顔をする市川染五郎や星由里子ですが、そんなこと気にしてません。そのまま一行からフェードアウトした夏木は京の都へ。商家に行き、はぎ取ったものを売ろうとしますが、買い叩かれます。じゃあ、ということで店先を借りて商売を始める夏木。やがて、一軒の商家を構えるほどに成長します。デコボコ悪党コンビ(戸上城太郎、稲葉義男)の豊臣家残党狩りなどにも乗じて金を儲けまくる夏木ですが、物語も後半、市川に出会った時には、その節操の無さを批判され「おぬしは俺に金銀よりも尊いことを言ってくれた」と反省しきりです。じゃあ、最後の最後、主人公のピンチには駆けつけるんだなあ、と思っていたら

その後、出番はありませんでした。おいっ。




<アダルトカップル篇>
市川染五郎と星由里子が伊賀忍者に襲われた時、颯爽と現れ、二人を助ける謎の虚無僧。顔を隠してますけど、そのドスの利いた声は紛れもなく三船敏郎。その後も、何くれとなく主人公たちのピンチには何処からともなく現れる三船です。一方、徳川に追われた星は、おばさん(草笛光子)の尼寺に匿って貰うことにしますが、三船と草笛はかつて夫婦の約束をしていた仲でした。三船は今でこそ、虚無僧のカッコはしてますが、実は明石掃部。またの名を明石全登といい実在の武将です。家康は明石を恐れ「明石狩り」を行ったほどの歴戦の武将、さすが三船の演ずる役ですから、これくらいでないと役不足というものです。

ちなみに虚無僧のカッコをしていますが、明石全登は熱烈なキリシタン。おいおい。




<ズッコケ忍者篇>
国松君を襲い市川染五郎に返り討ちにあった伊賀忍者。その娘と息子は執拗に市川染五郎を狙います。姉は織江(水野久美)、弟は大次郎(久保明)。二人は、市川と星由里子を襲撃。星は三船敏郎のせいで取り逃がしますが、市川の誘拐には成功。アジトに連れ帰り、縛り上げます。
早く殺してしまおうという久保に、ためらう水野。詰問された水野は、胸元に手を突っ込みながら「わしはあの男の、子が産みとうなったのだ」。久保は思わず言います。「女は魔性なんじゃな」

違う、違うぞ弟よ。女が魔性なんじゃない、水野久美が魔性なんだ。




<ヤングアダルトカップル篇>
佐藤允と久我美子は恋仲でしたが、大坂城落城の際に離れ離れ。そして再び出会った時は、二人は落ちるところまで落ちていました。星由里子の姉で、かつて、その美貌をうたわれた久我は、京の町で客をひく娼婦に。そして、凛々しい若武者だった佐藤も今では辻斬りです。佐藤の決まり文句は「おい、貴様は運の良いほうか、悪いほうか」。 かのスフィンクスは、旅人に謎々を出し、間違えるとその命を奪ったそうですが、佐藤の場合は、どちらを答えても「斬る」。かなりタチが悪いですねえ。そんな二人は再会した京の町で、傷を舐めあうようにひっそりと暮らします。久我が男を誘い、佐藤が斬るんですけどね。そんなある時、デコボコ悪党コンビ(戸上、稲葉)が、豊臣家再興のためと称して、豊臣残党を集め徳川の御用金を奪う計画を立てているのを久我は聞いてしまいます。慌ててその場を離れようとする久我は、見つかりバッサリ斬られます。よろよろと自分の家に向かう久我。きっと「あの人に、この話を伝えなくては」の一心だったに違いません。一方、日課の人斬りを終えた佐藤が、家に帰ると虫の息の久我が倒れています。
「どうしてこんなことになったのだ、言ってくれ」という佐藤に、
「そんなこと、どうでもいいの。あたしあなたに逢えて幸せ。妹に、小里に逢いたかった」ガクっ。と死んでしまう久我。

えーと、「そんなこと」ってね。ここで悪党の野望を佐藤に教えて、佐藤は正義の人に生まれ変わるんじゃないんですか?

案の定、久我が黙っていたせいで、佐藤はその悪党一味に加わる羽目に。徳川の御用金を奪ったあと、一応は久我の仇を斬りはしますが、そのあと小屋から出たところを、徳川兵に狙撃され、台詞もないまま絶命。哀れだ。




<ヤングカップル篇>
本編の主人公、市川染五郎と星由里子。二人のすれ違いっぷりはなかなか王道を行っていて良い感じです。他の部分が無茶苦茶ですから、せめて物語の核になる部分くらいは、しっかりしてないとね。結局、他の登場人物は全て、この二人の引き立て役ですから。
でもね、ちょっと言いたいのは、市川染五郎、縛られすぎ。何かと言うと縛られています。水野久美には縛られ、デコボコ悪党コンビには縛られじゃあ、何のための主人公か。強く反省を求めたいところです。


<そして龍巻>
デコボコ悪党コンビが企画した、徳川の御用金奪取計画は、とりあえずうまくいきました。最後に仲間割れをして稲葉義男は佐藤允に斬られましたが、とりあえず市川染五郎と星由里子は、外の木に縛りつけてあるし、まあ成功と言って良いかも知れません。あとは、周囲にひたひたと迫る徳川軍を撃破するのみです。
ところが、そんな時に不気味に迫る風の音。そう、龍巻がやってきたのです。いきなり駆けつけてきた三船敏郎は縛られた星由里子の縄を切り、「重兵衛、待っておれ死ぬな」と市川染五郎を残してスタコラ逃げ出します。後はもう円谷英二の世界。舞い上がる徳川兵たち。悪党たちのアジトも吹き飛んでいきます。もう何もかもキレイさっぱり吹き飛ばしていく大龍巻です。
やがて、風が収まり、ぐったりしている市川。そこにつつっと駆け寄った水野久美は、縄を切るとそのまま駆け去っていきます。そう、自分がお呼びではないことを知りつつ、それでも愛する人のことが心配だったんでしょうね。うん、良い子だなあ。
そこに戻ってくる三船と星。
ようやく気絶からさめた市川は言います。「生き残ったのは3人だけか」
違うって、水野久美もいるって。
三船も言います。「龍巻は善も悪も、敵も味方もけちらしていきおった」

えー、それがマトメですか。

 

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