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【映画】大当り狸御殿

2007-06-15 | 邦画 あ行

【「大当り狸御殿」佐伯幸三 1958】を観ました



おはなし

きぬた姫は狸御殿のお姫様。財政立て直しのために、隣国の若殿狸吉郎と政略結婚させられそうになるのですが、それを嫌った姫は家出をして……

狸御殿の原作者木村恵吾が監督した「初春狸御殿」が、翌年に大映で、若尾文子、市川雷蔵を主演に迎えリメイクされていますが、お話はとても似ているものの、結末がまったく違うものでした。ストーリーの後味の良さは、こちらが上かもしれません。

きぬた姫(雪村いづみ)の誕生日の宴が近づいてきました。しかし、姫の顔は浮かぬ顔。それというのも、宴を口実に隣国の若殿、狸吉郎(美空ひばり)とのお見合いをさせられてしまうからです。忠義一徹の腰元(千石規子)や、お調子者の家老(有島一郎)などは、狸御殿の財政再建のために、絶対、この見合いを成功させようと張り切っていますが、きぬた姫にはどうしても納得できないのです。

お腹の鼓をポンと叩いて、町娘の格好に化けたきぬた姫は、そっと狸御殿を抜け出しました。しかし、姫は世間知らず。山賊に襲われた挙句、蜘蛛の巣に落ち込んでしまったのです。迫る女王蜘蛛(淡路恵子)。姫も、先に捕まっていた蝶の精、お蝶(白川由美)も、今まさに食べられてしまいそうです。と、そこに飛び込んできたのが旅の若侍、狸千代(山田真二)でした。バッサバッサと蜘蛛の巣を斬りおとす狸千代の姿に、姫もお蝶もポーっとしてしまいました。

さて、狸御殿の城下町につづみ屋という宿屋兼飲み屋がありました。そこの女中、お黒(雪村いづみ 二役)はシッカリ者で働くのが大好きな娘です。おりしも、隣国から狸御殿に向かうきらびやかな行列がつづみ屋の前を通りかかりました。若殿、狸吉郎が水を一杯所望します。緊張しながら水を差し出すお黒。若殿は、その礼にと一輪の花をお黒にくれたのです。もう、貴公子に花なんか貰っちゃって、お黒は天にも昇る心持です。

狸吉郎の面影が忘れられないお黒は、そっと狸御殿に忍び込みました。せめてひと目だけでも……。しかし、捕まってしまうお黒。家老や腰元たちからすれば、こんなラッキーなことはありません。なにしろ、お黒はきぬた姫に瓜二つだったのですから(当たり前)。早速、お黒を姫の身代わりに仕立て上げる家老と腰元。お黒も、憧れの狸吉郎さまと会えるのだから、文句はありません。

一方、きぬた姫は城下町をウロウロしていたところ、つづみ屋の亭主にとっ捕まりました。いや、捕まったというのは正確ではありませんね。行方不明になっていた「お黒」を見つけて、連れ戻しただけのことです。しかし、この「お黒」は、よきに計らえ、とか言って、どうも浮世離れしています。ですから、何をやっても失敗ばかり。そんなある日、自分を助けてくれた狸千代がつづみ屋に投宿したではありませんか。大喜びのきぬた姫です。

かごの鳥のような生活に、お姫様もタイヘンだなあとウンザリしてしまうお黒。一方、きぬた姫は労働の喜びに目覚めちゃって、毎日生き生きと働いています。

年に一度の「狸祭り」が開かれる日。お団子を売りに行かされたきぬた姫は、家老や腰元に見つかってしまいました。あわてて、その場を逃げ出したきぬた姫。しかし、そんな有様をお蝶がバッチリ目撃していたのです。お蝶は狸千代に「お黒」が実は狸御殿のきぬた姫であることを、そっと教えるのでした。

狸千代は立派な若侍ですから、きぬた姫に御殿に帰るように説得します。労働の喜びを知った今、あなたなら立派な領主になれるというのです。外で働いてみて、ちょっぴり大人になったきぬた姫は、結局、狸千代の言葉にうなづくのでした。

一方、お黒は、いよいよきぬた姫の身代わりをしているのが苦しくなってきました。もちろんかごの鳥の生活に疲れたのもありますが、それよりなにより狸吉郎を騙しているのが、辛くて辛くて仕方なくなってしまったのです。意を決して、狸吉郎に自分がきぬた姫でないことを告白するお黒。しかし、狸吉郎は爽やかに笑って、最初から気づいていましたよ、と言うのでした。

いよいよ、きぬた姫も戻り、戴冠式が行われようとしています。父も家老も、これで狸吉郎ときぬた姫が結婚すれば、狸御殿の将来は安泰だと大喜びです。しかし、狸吉郎は、狸御殿への援助の約束はそのままに、きぬた姫と狸千代との結婚。そして、自分はお黒と結婚することを告げるのでした。

いや、終わり方が良いですね。若殿と町娘、お姫様と若侍が結ばれてメデタシメデタシという終わり方はしっくり落ち着きます。これが、翌年の木村恵吾版だと、若殿とお姫様、町娘と薬売りがくっ付くという、現実的というか、夢も希望も無い終わり方でしたから。もっとも、この映画で若殿と町娘が結ばれることができたのも、莫大な金銭補償の約束があってこそ、というのがシビアですけど。

歌はかなり本格的。なにしろ美空ひばりや雪村いづみという歌姫が歌うんですから、冗談抜きで上手いです。逆に、上手すぎて引いてしまうほどです。なにしろ肩のこらない映画のはずが、二人のデュエットが始まると、思わず居住まいを正してしまうほどですから。

東宝(正確に言うと宝塚映画)ですから、白川由美や淡路恵子が出ているのも魅力。でも、白川由美が蝶の精というキレイどころなのに対して、淡路恵子は女王蜘蛛っていうのが、なんともはや。まあ、似合っているんですけどね。

さらに、盆踊りの場面では、唄う男女として、佐原健二と河内桃子が特別出演。いちおう東宝特撮映画の分類に入るとすれば、この二人の出演も納得ですが、これって本当に特撮映画なのかは疑問です。

それから、まったく本編とは関係ないんですが、浜村美智子が出演していたのには驚きました。もちろんヒット曲の「バナナボート」をフルコーラスで歌いまくります。真っ黒な背景にクネっと横たわる浜村美智子。まるで、宇宙空間に漂っているみたいです。そこから「デーオ、イデデーオ」と歌いだすところは、背筋が震えます。いや、今のミュージックビデオよりカッコいいですよ、これ。

若尾文子や市川雷蔵の芝居で見せる大映版に対して、圧倒的な歌唱力で見せる東宝版。勝負は五分と五分と言ったところでしょうか。


(雪村いづみと美空ひばり)

(浜村美智子)

(淡路恵子)

(佐原健二と河内桃子)

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