いくらおにぎりブログ

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【映画】浪曲子守唄

2007-10-13 | 邦画 や~わ行

【「浪曲子守唄」鷹森立一 1966】を観ました



おはなし
博打打ちの文吾は、子供のために博打から足を洗おうとするのですが……

有名な「逃ーげたぁ、にょーぼにゃ未練はなーいがぁ」でおなじみの浪曲子守唄にインスパイアされた作品です。とは言っても、最終的には東映流、ドヤクザ映画なんですけどね。

<昭和初期>山の露天掘り現場で働いているのは、遠藤文吾(千葉真一)。横には雨傘の下に、ポンと赤ちゃんが寝かされています。実は千葉ちゃんは、スゴ腕のイカサマ師なのですが、赤ん坊のためにカタギになろうと飯場で働いているのです。そんな千葉ちゃんに、親方も同情的。博打で勝った金で三輪車を買ってやるなど、なにくれとなく面倒を見ています。とは言え、酒が入れば、そこは土方のこと。むりやり寝ている赤ん坊を起こして可愛がろうとするのですから、ちょっと迷惑ですね。

今、起こすと一晩中抱っこするはめになるから、起こさないでくださいと頼む千葉ちゃん。しかし、親方は酔っ払っているので、やめようとしません。これは誰しも経験がありますよね。酔っ払ったお父さんが、子供を起こして奥さんに叱られるみたいな。ところが、相手は千葉ちゃんですから、
「てめえ、どうしても健一を起こす気か」「起こすなら起こしてみろ、ただじゃおかねえぞ」といきなりグーパンチです。もちろん飯場は馘になってしまいました。

「あれから3年。また博打に手を染めた。こいつは食うためだ。木の葉が散って、雪が降る。そしてまた花が咲いた」というナレーションとともに、「逃ーげたぁ、にょーぼにゃ未練はなーいがぁ」とテーマ曲が流れます。うーん、コテコテだ。

縁日で指人形を売っている千葉ちゃん。本業はイカサマ博打打ちですが、子供の教育上、こうしてカタギな振りもしているのです。そうそう、横にいる子供の健一も大きくなりました。ということで、子役は下沢広之にスイッチ。というより、真田広之の方が通りがいいですね。まだ5歳の真田広之です。

とりあえず、ネグラにしている飲み屋のツケもだいぶ溜まりました。それに来年からは真田広之を学校に入れなくてはなりません。よし、と決意する千葉ちゃん。東京に戻って、別れた女房に真田広之を預けることにしましょう。しかし、何をするにもまずは軍資金がないと話になりませんね。とりあえず着流し姿をバッチリキメて賭場に出撃です。

「イカサマだぁ」という声と共に、賭場から飛び出してきた千葉ちゃん。ツケをおばさん(赤木春恵)に払って、真田広之と共にスタコラ逃亡です。しかし、敵もさる者引っかく者、汽車の中まで追っかけてきたのです。とりあえず、ヤクザを汽車から叩き落しまくる千葉ちゃん。しかし敵も多く、これでは万事休すです。「健一、父ちゃんの体から手を離すんじゃねえぞ」と言うが早いか、千葉ちゃんは汽車から飛び降りました。さすがアクション俳優ですね。

どうやら真田広之も怪我をしていないようです。「どこも痛くねえな。強ええぞ、この野郎」と喜ぶ千葉ちゃんに、「俺、男だからな」と答える真田広之。「この野郎」と千葉ちゃんは鼻をすすっています。高い高いなんかもしています。アハハっアハハっ、とグルグル回ってます。そこに、また「逃ーげたぁ、にょーぼにゃ未練はなーいがぁ」と唄が流れるのでした。

<浅草>賭場で壷振りをしている千葉ちゃん。千葉ちゃんは、木崎の親分(阿部徹)のところに草鞋を脱いでいるのです。もう、この段階でダメな感じがしますね。だって阿部徹が信用できるわけがない。案の定、阿部徹と子分は、いざって時には子供をダシにしても、壷を振らせるとか話をしていますし。

千葉ちゃんは子供のことを頼もうと、逃げた女房の店を訪ねました。ちなみに店では一節太郎(ひとふしたろう)が歌っています。もう、思いっきり歌っています。台詞部分まで喋っています。まあ歌謡映画ですからね。その唄が終わるのをじっと待っている千葉ちゃん。あ、唄が終わりました。待っていたように、逃げた女房に声をかける千葉ちゃんです。しかし、逃げた女房の志保(瑳峨三智子)はつれない態度。「あんたの取り柄と言えば子煩悩ってことだけなのよ。それも無くなったら、あんたは屑だわ」とまで言っています。せめて子供には旅の生活ではなく、小学校に通わせてやりたいという千葉ちゃんの願いは打ち砕かれてしまったのです。

逃げた女房は、沼田親分(根上淳)の情婦。そして、沼田親分と、千葉ちゃんが草鞋を脱いでいる木崎親分は対立する関係でした。まあ、ありがちな展開です。

ある日、沼田一家に真田広之はさらわれてしまいました。もちろん、瑳峨三智子はわが子がさらわれてきたのでビックリです。しかし、真田広之は利発な子ですから、とっとと逃亡。心配した瑳峨三智子が真田広之を探します。もちろん千葉ちゃんも探します。探して探しまくります。鉢合わせをする二人。会えば、真田広之そっちのけでケンカな二人です。

じゃあ、その時、真田広之は何をしていたか。はい、電柱に登っていました。逃げ出したはいいけれど、家が分からなくなった真田広之は、おうちが見えないかと電柱に登っているのです。そこに通りがかった娘がひとり。雑貨屋の娘、照子です。ちなみに演ずるのはまだ19歳の大原麗子。顔はカワイイのに、声はあのハスキーな色気たっぷりの声ですから、ギャップにクラクラしてきます。

ともあれ、真田広之を電柱から降ろし、親身になって事情を聴いてあげる大原麗子。そこに、千葉ちゃんがあわてて走ってきたのです。バシッ。いきなり大原麗子が千葉ちゃんを引っぱたきました。「だいたいね、親がマゴマゴしてるから誘拐されるんだよ」と怒っています。でも、親も見つかったし、良かったね。ちょっと寂しそうに「坊や、さよなら」という大原麗子。真田広之が舌足らずな声で「姉ちゃん、また会えるかい」と聞いてきます。いやーん、カワイイ。思わず大原麗子は「坊や、お姉ちゃんと一緒においで」と言ってしまったのです。

大原麗子の家でご飯を食べている真田広之。なぜか横では千葉ちゃんまで、小さくなってご飯を食べているんですが。くっ付いてきちゃったんだ。お母さん(浦辺粂子)はブツクサ言っていますが、そのまま真田広之とおまけの千葉ちゃんは、住み着いてしまったようです。

博打打ちの俺なんかと一緒にいたら、と身を隠すことを決意する千葉ちゃん。大原麗子に「預かってもらうわけにはいかねえだろうか」と頼んでいます。「あたしに押し付けて逃げようっていうわけ」と怒る大原麗子ですが、そうは言っても、真田広之のキュートさにハートがズッキューンですから、「健坊はあたしが引き取る。頼まれなくたって、あたしが育てるわ」と言い切るのでした。二人がそっと見ると、真田広之は無心に遊んでいます、売り物のおもちゃで。ついでに、売り物のお菓子をバクバク食べています。大原麗子、本当に真田広之を引き取って大丈夫なのか、と心配です。

しかし、雑貨屋さんに真田広之のいることが、沼田一家のチンピラ(小林稔侍)にバレてしまいました。瑳峨三智子は姐御の貫禄で、小林稔侍に口止めをしておいて、雑貨屋さんにやってきます。「健一、おりますでしょうか」。しかし大原麗子は会って欲しくないと一蹴です。そりゃ真田広之はキュートですもんね。場所を神社の境内に変えて、あれおこれ話し合いをする二人。結局、瑳峨三智子は諦めて帰っていったのですが……。なんかバックにビルが映り込んでいます。おまけにトラックまで走っています。昭和初期のはずなのに、やってしまいました。もちろんテレビ時代劇で、遠くに電線が映ってしまうことはありますけど、これはちょっと豪快過ぎ。

一方、千葉ちゃんは飲み屋でひとりシミジミ。というか、真田広之を想って、メソメソしています。飲み屋のラジオからは「逃ーげたぁ、にょーぼにゃ未練はなーいがぁ」と浪曲子守唄が流れてきました。聞いていた千葉ちゃんは、二度とイカサマはしないと誓ったのでしょう。サイコロをそっと捨てるのです。

だけど、いきなり木崎一家に捕まって、連れ戻される千葉ちゃん。阿部徹から、子供の命をネタに脅迫され、しかたなく「分かりました、最後の壷を振らさせていただきます」と答えるのです。しかし、賭場で千葉ちゃんはイカサマをしませんでした。大損をした阿部徹は当然、激怒して「叩き殺せ」と怒鳴るのです。まあ、叩き殺されては死んでしまうので、その場を逃げ出す千葉ちゃん。

真田広之を逃がさなくてはと雑貨屋さんに駆けつけた千葉ちゃんですが、そこに沼田組の方が襲ってきました。どうやら小林稔侍がチクったようです。真田広之をおぶって走り出す大原麗子。千葉ちゃんは、沼田組の追っ手をひとり刺し殺してしまいます。

小林稔侍から報告を受けて、「何っ、村上がやられたと」と怒っている根上淳。そこに阿部徹が「文吾(千葉ちゃん)を出してもらおうか」とやってきました。「てめえのかかあの前の亭主だよ」とニヤニヤ笑っています。瑳峨三智子をキッと睨んでいる根上淳に、阿部徹からさらに「おめえもだいぶお人好しのようだな」と追い打ちの言葉がぶつけられます。ブッチーン。根上淳はキレて「ガキをさらってこい」と怒鳴ります。

そこに「てめえら、ここから一歩も出さねえから、そう思え」と叫びながら飛び込んできたのは千葉ちゃん。阿部徹におちょくられた根上淳は、怒りにまかせて千葉ちゃんを刺そうとしますが、そこに瑳峨三智子が飛び込んできて、身代わりに刺されてしまいました。「野郎っ」と根上淳を刺し殺す千葉ちゃん。ついでに阿部徹も、えいやっと刺し殺します。根上淳はちょっと可哀想ですね。阿部徹は自業自得ですが。

千葉ちゃんは、「野郎、ぶった切ってやる」と、諸肌脱ぎになって、どこから取り出したのか長ドスをブンブン振り回し始めました。血しぶきが飛びます。周りにとってはエライ災厄ですね。

千葉ちゃんは真田広之に会っています。
「どこいくんだ」「自首する」「自首って何だ」「旅だ。遠いんだ」「どうして行くんだ」「どうしても行かなくちゃならねえんだ」「じゃあ、俺も自首するよ」。うわーっ、真田広之の健気さに泣けてきますねえ。物陰からそっと見ている大原麗子も、目頭を押さえていますよ。

「父ちゃんの体には、ゴミや埃、汚ねえものがいっぱいくっ付いてる。これがキレイサッパリ落ちるまでに何年かかるか……父ちゃん、必ず帰ってくるから、それまで元気で待ってるんだ」

そこに「姉ちゃんと一緒に遊ぼう」と声をかけてきた大原麗子。さあ、駆けっこしよう、ヨーイドン。走り終わって振り向くと、もう千葉ちゃんはいません。
「健坊、今日から姉ちゃんが父ちゃんになってやるよ。寂しくないね。坊や強いもんね」と言う言葉に、グッと涙をこらえる真田広之。
「姉ちゃん、父ちゃんいい人だよね。日本一だよね」
「日本一よ、健坊にはね」……いや、そんな言い方しなくても。

千葉ちゃんはどこに行ったのでしょう。あ、いました。立ち去らずに、葉っぱの陰からじっと見つめていたみたいです。満足したのか歩き去っていく千葉ちゃん。ほら、そろそろ来ますよ。来るよ、来るよ、

チャラ、チャッチャン、逃ーげたぁ、にょーぼにゃ未練はなーいがぁ……


いやあ、面白かった。浪曲子守唄もイヤってほど聞けましたし、最高です。基本線は親子の情愛ものですが、千葉真一と真田広之の息がピッタリでした。さすが、のちに師弟関係になるだけありますね。そして、結局は「昭和残侠伝」ばりの長ドス片手の大乱闘っていうのが、いかにも東映らしくて楽しいです。「最後は、コレだろ」みたいな、東映魂が全開です。

それと、今回あらためて感じたのは、大原麗子っていいなあ、ということ。ハスキーで、ちょっと舌足らずなあの声は、まさに天が与えた才能じゃないでしょうか。









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2 コメント

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Unknown (愛美)
2009-02-26 21:55:15
浪曲子守歌観たいのですが、ビデオ発売もしてないみたいですが…どこでみれるのですか?
東映チャンネルで観ました (いくらおにぎり)
2009-02-27 09:54:19
愛美さん、はじめまして。こんにちは。

えーと、僕が観たのは、スカパー!の「東映チャンネル」です。ビデオ未発売となると、うーん、東映チャンネルくらいしか思いつきませんねえ。でも、これもマイナーな映画だと、2~3年にいっぺん、その月の放送予定に入るだけなので、かなり待たされると思います。すいません、お役に立てなくて。

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