【「高校生ブルース」帯盛迪彦 1970】を観ました

おはなし
高校2年生の美子(関根恵子)は、妊娠してしまい……
関根恵子のデビュー作で、大映レモンセックス路線の第一弾です。配給はダイニチ映配だし、いよいよ大映も末期症状のころですね。
小奇麗な家から出てきて、スタスタと歩き出したのは高校生の北原美子(関根恵子)。なんか視線がまっすぐで、顔がこわばっているのはデビュー作だからでしょうか。
ともあれ、美子が学校に着くと、「あ、ミス百合ケ丘高校が来たぞ」「イカすなあ。北原は」とか声が聞こえてきますよ。そんなのを無視して、まっすぐ歩き続ける美子。と、いかにも優等生な感じの昇(内田喜郎)が「おはよう」と声をかけてきました。そんな昇にチラっと表情を動かす美子。ああ、間違いない。この二人デキてますね。
さて、体育の授業中。女子生徒たちはランニングです。太ももやら胸を執拗にアップで撮るという、とっても分かりやすいサービスカットに続いて、走っていた美子がズルズルと隊列から遅れはじめましたよ。ヨロヨロ、ヨロヨロ。バッタリ。お腹を押さえて昏倒した美子は、そのまま医務室に運ばれるのでした。
英語の授業中に美子が教室に戻ってきました。そんな美子をクワッと見ている昇。何か言いたそうですが、さすがに昼休みまで待たなくちゃね。ということで、ようやく昼休みになり、昇は早速、美子を校舎裏に呼び出しました。
「あのね、君の最近の生理いつだった」
「えっ」と驚く美子に、昇は続けます。
「僕たち、まだ高校生だからできちゃったらマズイだろ」
確かにデキるのはいいけど、できちゃったらマズイですよね。
「あたし……」「あたし、もう妊娠してるかも。もう2か月も生理が無いんですもん」
ガガーン。「何だって。どうして今まで言わなかったんだ」と驚く昇ですが、美子はおっとりと答えるのです。
「だってハッキリ分からなかったから。そういうことは、みんな昇さんが教えてくれると思って、安心してたんだわ」
「無知すぎるよ、君は」
「一度や二度なら大丈夫だと、昇さんだって、そう言ってたじゃない。どうしたらいいの」
いや、どうしたらいいのって言われても、どうしよう。キンコンカンコーン。あ、昼休みが終わったみたいです。
タイムリーなのか皮肉なのか、その日のホームルームのテーマは「男女交際 恋愛論」。しかし昇はそれどこじゃありません。脳裏によぎるのは美子とのことです。
ぽわわーん。「おじさま」とお出かけをした美子をチャリで追跡したなあ。そして、テニスをしている美子を物陰からガン見したっけ。くすくす。
ぽわわーん。仲良くなった僕らは、二人でテニスをしたっけ。くすくす。
ぽわわーん。体育倉庫に美子を連れてきて、そして……「君が好きだ」ちゅー。イキオイで押し倒しつつ、「君の胸に触りたいんだ。いい?」と聞いたら、小さな声で「うん」と言いながら、美子はうなづいたっけ。にへにへ。そしてそのまま。
ぽわわーん。一戦終えて、二人は生まれたままの姿のまま、背中合わせに座ったっけ。美子は恥ずかしそうに言ったんだ。「みんな、こんなことするの?」。僕は答えた。「うん。愛しあう者同士なら、世界中どこでも、こうして喜びを分かち合うんだ」。うわっ、オレ今いいこと言ったんじゃね。そして美子は言った。「あたし、喜びなんて、何も感じなかった」。どっかーん。
「今日のホームルームはこれで終わります」。はっ! しまった。妄想モード全開で終わってしまった。それどころじゃないのに。ということで、放課後、あらためて体育倉庫で話しあう二人です。
「ともかく堕ろすんだ」「怖いわ」「大丈夫さ。僕に任せろよ」「昇さん、まだあたしのこと好き?」「……好きだよ」。ちょっと、その間は何よ。なんで、即答できないのよ。むきー。「私たち、もう離れないわね」「うん」。むちゅー。なんていうか、キスなんかしてる場合じゃナイダロ。
結局、話がまとまらなかったので、昇はクラスいちのイケメン野郎な五十嵐(篠田三郎)に相談してみることにしました。「実はお前に相談があるんだ」「オレにか。なんだい。優等生の加藤が、最劣等生のこのオレに相談って言うと。ふーん。まあ勉強以外のことだな」「うんっ」。いや、そこで即答するのは失礼だと思うぞ。ともあれ、昇は聞きます。「僕の小学校時代の友人のことなんだが、最近付き合ってた女の子を妊娠させちまったんだ」。ヘタな言い訳ですが、五十嵐は信じてるみたいです。「お前なら、堕ろし方なんかや、そんなこと色々と知ってると思って」。そんな失礼な質問に怒りもせず、「ハハ。そうか。そうだよな。このオレに相談に乗れることなんて、どうせソレぐらいのところだな」と心の広い五十嵐。しかし、五十嵐は困ったように続けます。「だけど、オレは相当のワルに見えるらしいけどよ、実は正直言って、いくらかかるのか、どこに良い秘密の医者がいるのかなんて具体的なことは何も知らねえんだ。残念だけど」。ほら、やっぱり篠田三郎はいい人だったみたいです。そんな無責任なことする訳がないじゃないですか、バカだなあ。とか思ったら、女中さんを妊娠させたけど、お母さんが全部始末してくれたみたいですけどね。ああ、篠田三郎なのに。
一方、街を歩いていた美子は、妊婦さんを見た瞬間に、オエーっ。ばったりと倒れてしまいます。そこにたまたま近くを歩いていたクラスメートが駆け寄り「北原さん、どうしたの。大丈夫」と介抱してくれましたが、まだ気持ち悪いわ。おえっぷ。そのまま、なんとなく世間話をする二人。なんだか話題は「おじさま」のことになりましたよ。そう、お父さんを早くに亡くした美子は、お父さんの親友の「おじさま」に可愛がってもらって育ったらしいです。画家の「おじさま」は、美子をモデルに絵を描いてくれたり、まるで実のお父さんのような存在なのです。と、クラスメートは聞きます。「愛してるの。愛し合ってるの」「誰が?」「お母さんとその人」。何ですってぇ、そんなワケないじゃないの。「そうかしら。きっと何か秘密があると思うわ」「失礼ねっ。絶対にそんなことないわ」。怒りに任せてドスドスと家に帰った美子ですが、ちょっと気になります。そーっ。お母さんの鏡台をあさる美子。するとなんてことでしょう。鏡台からは、「おじさま」とお母さんが楽しそうに笑っている写真が出てきたじゃありませんか。もっとも、別にイヤラシイ写真でもないんですけどね。しかし美子は妄想爆発です。もわわーん。美子の妄想の世界では、「おじさま」とお母さんが、裸でクネクネとイヤラシく絡み合っているのです。
五十嵐から有効な情報をゲットできなかった昇は、自力でなんとかすることにしました。とりあえずお父さんのネクタイとメガネを拝借して大人に変装です。どりゃー。よし、出撃だ。「妊娠と安産」という本を立ち読みしたり、さらに産婦人科に行って情報収集です。
「君は大学生か」「はい」「相手の子は」「大学生です」。シメシメ、高校生には見えてないみたいだ。「医者としては、同意書の内容が整っていれば、どこでも手術してくれるよ。その内容が嘘かホントか調べる術が医者にはないからね」「同意書ですか」「これだよ。本人たち二人のサインがあればいいんだ」。ふむふむ。「あのう、いくらくらいかかるんでしょうか」「そう、3か月以内なら1万円だな。やっかいなことでなければな」。そうか、問題は金だな。
ちなみに昇が、実際的な諸問題に集中しているころ、美子は家で思い悩んでいました。「交尾」と題された写真集でカエルやその他もろもろの交尾写真を見ながら、バラの花びらを食っていますね。なんていうか、コメントのしようがない。
ともあれ、利己的な理由も含め堕ろさせたい昇と、愛とは何、人間と動物の違いは何、みたいな哲学的な方向に走ってしまった美子は、まったく平行線のまま。しかし、そうも言ってられないので、昇は牛乳配達のアルバイトを始めました。サワヤカに飛び散る汗。ああ、労働って気持ちいい、みたいな展開です。ここらへん、ちょっと監督のセンスを疑いますけど。
美子の方と言えば、脳内お花畑が少し収まったらしく、そっと産婦人科に行ってみたりするものの、ちょうど中絶を終えた女の子が、泣きながら出てくるのを目撃してUターン。さらに、家にやってきた「おじさま」を見るなり平手打ちです。ばしーん。「嫌いっ」。そのまま部屋に閉じこもった美子はパンツいっちょになって、鏡を見つめます。そして、そのまま鏡に映った自分にちゅーをしたりして。えーと、ここは関根恵子のオッパイを見せる以外に、何か目的というか、意味はあるんだろうか。
相変わらず、会うたびに「堕ろせ」「愛してないの?」と、平行線かつかみ合わない話を続ける二人。しかし、そうは言っても、美子だって高校生で出産することの難しさは分かっているのです。なにしろ高校中退の二人が、子供を抱えてどうやって暮らしていけるというのでしょう。それに、そんなことになったら自分たちの青春はどうなってしまうのか。
ということで、中絶じゃなくて流産をすればいいんじゃないと思った美子は、不良グループに接近して、ゴーゴー喫茶に連れて行ってもらうことに。なんていうか、アマゾン奥地のひとみたいな、トンデモメイクをした美子は、ガシガシとゴーゴーを踊りまくります。それ、ズンダズンダ。それ、ゴーゴー。いや、そんな簡単に流産しないって。
さて、学校では化学の実験中。昇がふと気づくと、美子がアヤシイ動きを見せています。そーっと準備室に行った美子は、なんと硫酸をガメちゃいましたよ。もちろん、授業後には、硫酸が消えたと大騒ぎ。しかし美子は何食わぬ顔です。うわーん。ガクブルな昇ですが、さらに五十嵐がデッカイ声でみんなに言い出しましたよ。「きっと犯人は女だぜ」「男に復讐しようって、顔にぶっかける気じゃねえだろうな」。ギクッ。昇はガクガクブルブルになってしまうのです。
しかし、逃げていても仕方ありません。というか、逃げていて、かえって怒りを買ってもなんですからね。ということで、放課後、帰り道を急ぐ美子を追いかけました。「北原くん。お金用意してきたんだ。とってもいい医者なんだ」。しかし、美子は冷たい目で「このお金で人間を殺せって言うの」と言い放って、そのままスタスタと帰ってしまうのでした。いったいどうすれば。
翌日、珍しく美子の方から昇に声をかけてきましたよ。「今日、放課後、話したいことがあるの」。「何の話?」「きっと待っててよ」。そして放課後。入り口から恐る恐る体育倉庫の中を覗き込んでいると、暗がりの美子が言い出しました。「何をビクビクしてるの」。「硫酸、隠してるだろ」「そんなものは、ここにはないわ。勘違いしないで」「ホント?」「今まで、そんなことばっか心配してたの。ずいぶん臆病なのね」。そうまで言われちゃ仕方ありません。オズオズと昇が体育倉庫の中に入ると、美子は「あなたに頼みがあるの」と体操マットレスの上に、ゴロンと横になりましたよ。えっと、どういうこと。まさかねえ。「何をすればいいんだ」「ここへ来て、あたしのお腹を思いっきり踏みつけて欲しいの。あなたがそうしてくれれば、あたし流産するのよ」。予想の斜め上な展開に「そんな」と唖然とする昇。「どうしたの。あなたが踏んでくれれば、誰にも知られずに流産できるのよ」「……」「早く。何を考えているの」「……」「踏んで。早くっ」。
とことん躊躇ったのち、一発ゲシッと美子のお腹を踏みつける昇。しかし、一発踏みつけたら、抑制が外れました。うわーっ。叫びながらゲシゲシと美子のお腹を蹴りまくります。ゲシ、ゲシ。「ああ、痛い」「うわーっ」。ゲシゲシ、ゲシゲシ。まあ数えている自分もなんですが、キックの総数40発。さすがに、死にそうな美子は、ヨロヨロと手を伸ばしつつ言うのです。「昇さん、忘れないで欲しい。あたしたちがしたこと殺人よ。あたしたち殺人犯よ。うっ、ぐはぁあ。この罪は一生ついてまわる。うぐっ、げはぁ」。なんだかケダモノのように、苦痛にのたうち回っている美子が怖くなった昇は、そのままスタコラと逃げ出すのです」。ひぇーーっ。
ヨロヨロと家に帰るなり、そのまま倒れこむ美子。往診してくれたお医者さんは、心配そうに見ているお母さんに言います。「流産です」。「り、流産」。ショック死しそうな気分のお母さんは確信しました。そうだ、うちの子は美人だから、レイプされたんだわ。
しかし、意識が戻った美子は、さらにお母さんが仰天するようなことを言い出したのです。「お母さん、あたし、どうして妊娠したか知ってる?」「さあ」「男と寝たから妊娠したのよ。決まってるじゃない。そんなこと。あたしも男と寝たのよ。別に無理やり犯されたってワケじゃないわ」。「あなた何てこと」と絶句しているお母さんに追い打ちをかける美子。「お母さん、お父さんと佐伯のおじさまと、どっちがステキだった」「美子、何を言うの」「お母さんたちって、ケダモノみたいね」。うわーん。お母さんは可哀想に涙目で部屋を出て行くのです。
お母さんが出ていって、ゆっくりベッドから起き上がる美子。なんていうか、オッパイ丸見えなスケスケネグリジェなんですけど。普通、高校生か着るか、こんなの。ま、それはともあれ、盗んだ硫酸のビンを顔に押し当て、恍惚とした表情を浮かべていた美子は、ビンの口をあけて、硫酸をおじさまの描いてくれた絵にぶっかけました。じゅじゅー。まだ何も知らなかったころの美子の姿が、ドロドロと溶けていきます。さらに、金魚鉢に硫酸を投入。巻き添えをくった金魚ちゃんも白くなって死んでいきます。ついでにぶちまけた硫酸に、そっと指を這わせる美子。くっ。熱い。って当たりまえだ。
数日休んだのち、美子は学校に復帰しました。手に包帯を巻いて、颯爽と歩く美子に、五十嵐たち劣等生グループは崇拝のまなざしです。そんな視線をガン無視した美子は、まっすぐ昇に歩み寄りました。「終わったわ。全て、これから始まるのよ」「えっ?」「愛。喜び。悲しみ。痛み。あたしの青春」。そのままスタスタと去っていく美子を、ホロホロと涙目で見送る昇です。
なんていうか、「高校生の中絶」というテーマを掲げたりしている割には、作りは「完全に」興味本位。どう言い訳しようと、結局は、いかに関根恵子のオッパイを出すかにかかっている映画でした。まあ大映の場合、若尾文子ですら「性典女優」と呼ばれるデビュー期を送らされたくらいですから、けっして上品な映画ばかり作っているというワケでもないんですけどね。
もっとも、東映があっけらかんと裸を出すのに対し、大映の場合は、テーマや芸術を隠れ蓑にするというか、裸を出すのにも講釈を垂れたがるところがあるのも事実。例えて言えば、東映がスケベオヤジなら、大映の場合変態紳士とでも言えばいいんでしょうか。どうも腹が座っていないところがあるようです。
関根恵子は当時15歳とは思えない発育っぷり。さすがに台詞まわしはつたないし、表情も固い。でも、腹をゲシゲシ蹴られるときのホラー演技は圧巻でした。
それにしても名門の大映が、その末期には15歳の女の子のオッパイに社運を賭けたというのが、哀れというか、倒錯した気分になれるというか、なんていうか諸行無常ですねえ。



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高校2年生の美子(関根恵子)は、妊娠してしまい……
関根恵子のデビュー作で、大映レモンセックス路線の第一弾です。配給はダイニチ映配だし、いよいよ大映も末期症状のころですね。
小奇麗な家から出てきて、スタスタと歩き出したのは高校生の北原美子(関根恵子)。なんか視線がまっすぐで、顔がこわばっているのはデビュー作だからでしょうか。
ともあれ、美子が学校に着くと、「あ、ミス百合ケ丘高校が来たぞ」「イカすなあ。北原は」とか声が聞こえてきますよ。そんなのを無視して、まっすぐ歩き続ける美子。と、いかにも優等生な感じの昇(内田喜郎)が「おはよう」と声をかけてきました。そんな昇にチラっと表情を動かす美子。ああ、間違いない。この二人デキてますね。
さて、体育の授業中。女子生徒たちはランニングです。太ももやら胸を執拗にアップで撮るという、とっても分かりやすいサービスカットに続いて、走っていた美子がズルズルと隊列から遅れはじめましたよ。ヨロヨロ、ヨロヨロ。バッタリ。お腹を押さえて昏倒した美子は、そのまま医務室に運ばれるのでした。
英語の授業中に美子が教室に戻ってきました。そんな美子をクワッと見ている昇。何か言いたそうですが、さすがに昼休みまで待たなくちゃね。ということで、ようやく昼休みになり、昇は早速、美子を校舎裏に呼び出しました。
「あのね、君の最近の生理いつだった」
「えっ」と驚く美子に、昇は続けます。
「僕たち、まだ高校生だからできちゃったらマズイだろ」
確かにデキるのはいいけど、できちゃったらマズイですよね。
「あたし……」「あたし、もう妊娠してるかも。もう2か月も生理が無いんですもん」
ガガーン。「何だって。どうして今まで言わなかったんだ」と驚く昇ですが、美子はおっとりと答えるのです。
「だってハッキリ分からなかったから。そういうことは、みんな昇さんが教えてくれると思って、安心してたんだわ」
「無知すぎるよ、君は」
「一度や二度なら大丈夫だと、昇さんだって、そう言ってたじゃない。どうしたらいいの」
いや、どうしたらいいのって言われても、どうしよう。キンコンカンコーン。あ、昼休みが終わったみたいです。
タイムリーなのか皮肉なのか、その日のホームルームのテーマは「男女交際 恋愛論」。しかし昇はそれどこじゃありません。脳裏によぎるのは美子とのことです。
ぽわわーん。「おじさま」とお出かけをした美子をチャリで追跡したなあ。そして、テニスをしている美子を物陰からガン見したっけ。くすくす。
ぽわわーん。仲良くなった僕らは、二人でテニスをしたっけ。くすくす。
ぽわわーん。体育倉庫に美子を連れてきて、そして……「君が好きだ」ちゅー。イキオイで押し倒しつつ、「君の胸に触りたいんだ。いい?」と聞いたら、小さな声で「うん」と言いながら、美子はうなづいたっけ。にへにへ。そしてそのまま。
ぽわわーん。一戦終えて、二人は生まれたままの姿のまま、背中合わせに座ったっけ。美子は恥ずかしそうに言ったんだ。「みんな、こんなことするの?」。僕は答えた。「うん。愛しあう者同士なら、世界中どこでも、こうして喜びを分かち合うんだ」。うわっ、オレ今いいこと言ったんじゃね。そして美子は言った。「あたし、喜びなんて、何も感じなかった」。どっかーん。
「今日のホームルームはこれで終わります」。はっ! しまった。妄想モード全開で終わってしまった。それどころじゃないのに。ということで、放課後、あらためて体育倉庫で話しあう二人です。
「ともかく堕ろすんだ」「怖いわ」「大丈夫さ。僕に任せろよ」「昇さん、まだあたしのこと好き?」「……好きだよ」。ちょっと、その間は何よ。なんで、即答できないのよ。むきー。「私たち、もう離れないわね」「うん」。むちゅー。なんていうか、キスなんかしてる場合じゃナイダロ。
結局、話がまとまらなかったので、昇はクラスいちのイケメン野郎な五十嵐(篠田三郎)に相談してみることにしました。「実はお前に相談があるんだ」「オレにか。なんだい。優等生の加藤が、最劣等生のこのオレに相談って言うと。ふーん。まあ勉強以外のことだな」「うんっ」。いや、そこで即答するのは失礼だと思うぞ。ともあれ、昇は聞きます。「僕の小学校時代の友人のことなんだが、最近付き合ってた女の子を妊娠させちまったんだ」。ヘタな言い訳ですが、五十嵐は信じてるみたいです。「お前なら、堕ろし方なんかや、そんなこと色々と知ってると思って」。そんな失礼な質問に怒りもせず、「ハハ。そうか。そうだよな。このオレに相談に乗れることなんて、どうせソレぐらいのところだな」と心の広い五十嵐。しかし、五十嵐は困ったように続けます。「だけど、オレは相当のワルに見えるらしいけどよ、実は正直言って、いくらかかるのか、どこに良い秘密の医者がいるのかなんて具体的なことは何も知らねえんだ。残念だけど」。ほら、やっぱり篠田三郎はいい人だったみたいです。そんな無責任なことする訳がないじゃないですか、バカだなあ。とか思ったら、女中さんを妊娠させたけど、お母さんが全部始末してくれたみたいですけどね。ああ、篠田三郎なのに。
一方、街を歩いていた美子は、妊婦さんを見た瞬間に、オエーっ。ばったりと倒れてしまいます。そこにたまたま近くを歩いていたクラスメートが駆け寄り「北原さん、どうしたの。大丈夫」と介抱してくれましたが、まだ気持ち悪いわ。おえっぷ。そのまま、なんとなく世間話をする二人。なんだか話題は「おじさま」のことになりましたよ。そう、お父さんを早くに亡くした美子は、お父さんの親友の「おじさま」に可愛がってもらって育ったらしいです。画家の「おじさま」は、美子をモデルに絵を描いてくれたり、まるで実のお父さんのような存在なのです。と、クラスメートは聞きます。「愛してるの。愛し合ってるの」「誰が?」「お母さんとその人」。何ですってぇ、そんなワケないじゃないの。「そうかしら。きっと何か秘密があると思うわ」「失礼ねっ。絶対にそんなことないわ」。怒りに任せてドスドスと家に帰った美子ですが、ちょっと気になります。そーっ。お母さんの鏡台をあさる美子。するとなんてことでしょう。鏡台からは、「おじさま」とお母さんが楽しそうに笑っている写真が出てきたじゃありませんか。もっとも、別にイヤラシイ写真でもないんですけどね。しかし美子は妄想爆発です。もわわーん。美子の妄想の世界では、「おじさま」とお母さんが、裸でクネクネとイヤラシく絡み合っているのです。
五十嵐から有効な情報をゲットできなかった昇は、自力でなんとかすることにしました。とりあえずお父さんのネクタイとメガネを拝借して大人に変装です。どりゃー。よし、出撃だ。「妊娠と安産」という本を立ち読みしたり、さらに産婦人科に行って情報収集です。
「君は大学生か」「はい」「相手の子は」「大学生です」。シメシメ、高校生には見えてないみたいだ。「医者としては、同意書の内容が整っていれば、どこでも手術してくれるよ。その内容が嘘かホントか調べる術が医者にはないからね」「同意書ですか」「これだよ。本人たち二人のサインがあればいいんだ」。ふむふむ。「あのう、いくらくらいかかるんでしょうか」「そう、3か月以内なら1万円だな。やっかいなことでなければな」。そうか、問題は金だな。
ちなみに昇が、実際的な諸問題に集中しているころ、美子は家で思い悩んでいました。「交尾」と題された写真集でカエルやその他もろもろの交尾写真を見ながら、バラの花びらを食っていますね。なんていうか、コメントのしようがない。
ともあれ、利己的な理由も含め堕ろさせたい昇と、愛とは何、人間と動物の違いは何、みたいな哲学的な方向に走ってしまった美子は、まったく平行線のまま。しかし、そうも言ってられないので、昇は牛乳配達のアルバイトを始めました。サワヤカに飛び散る汗。ああ、労働って気持ちいい、みたいな展開です。ここらへん、ちょっと監督のセンスを疑いますけど。
美子の方と言えば、脳内お花畑が少し収まったらしく、そっと産婦人科に行ってみたりするものの、ちょうど中絶を終えた女の子が、泣きながら出てくるのを目撃してUターン。さらに、家にやってきた「おじさま」を見るなり平手打ちです。ばしーん。「嫌いっ」。そのまま部屋に閉じこもった美子はパンツいっちょになって、鏡を見つめます。そして、そのまま鏡に映った自分にちゅーをしたりして。えーと、ここは関根恵子のオッパイを見せる以外に、何か目的というか、意味はあるんだろうか。
相変わらず、会うたびに「堕ろせ」「愛してないの?」と、平行線かつかみ合わない話を続ける二人。しかし、そうは言っても、美子だって高校生で出産することの難しさは分かっているのです。なにしろ高校中退の二人が、子供を抱えてどうやって暮らしていけるというのでしょう。それに、そんなことになったら自分たちの青春はどうなってしまうのか。
ということで、中絶じゃなくて流産をすればいいんじゃないと思った美子は、不良グループに接近して、ゴーゴー喫茶に連れて行ってもらうことに。なんていうか、アマゾン奥地のひとみたいな、トンデモメイクをした美子は、ガシガシとゴーゴーを踊りまくります。それ、ズンダズンダ。それ、ゴーゴー。いや、そんな簡単に流産しないって。
さて、学校では化学の実験中。昇がふと気づくと、美子がアヤシイ動きを見せています。そーっと準備室に行った美子は、なんと硫酸をガメちゃいましたよ。もちろん、授業後には、硫酸が消えたと大騒ぎ。しかし美子は何食わぬ顔です。うわーん。ガクブルな昇ですが、さらに五十嵐がデッカイ声でみんなに言い出しましたよ。「きっと犯人は女だぜ」「男に復讐しようって、顔にぶっかける気じゃねえだろうな」。ギクッ。昇はガクガクブルブルになってしまうのです。
しかし、逃げていても仕方ありません。というか、逃げていて、かえって怒りを買ってもなんですからね。ということで、放課後、帰り道を急ぐ美子を追いかけました。「北原くん。お金用意してきたんだ。とってもいい医者なんだ」。しかし、美子は冷たい目で「このお金で人間を殺せって言うの」と言い放って、そのままスタスタと帰ってしまうのでした。いったいどうすれば。
翌日、珍しく美子の方から昇に声をかけてきましたよ。「今日、放課後、話したいことがあるの」。「何の話?」「きっと待っててよ」。そして放課後。入り口から恐る恐る体育倉庫の中を覗き込んでいると、暗がりの美子が言い出しました。「何をビクビクしてるの」。「硫酸、隠してるだろ」「そんなものは、ここにはないわ。勘違いしないで」「ホント?」「今まで、そんなことばっか心配してたの。ずいぶん臆病なのね」。そうまで言われちゃ仕方ありません。オズオズと昇が体育倉庫の中に入ると、美子は「あなたに頼みがあるの」と体操マットレスの上に、ゴロンと横になりましたよ。えっと、どういうこと。まさかねえ。「何をすればいいんだ」「ここへ来て、あたしのお腹を思いっきり踏みつけて欲しいの。あなたがそうしてくれれば、あたし流産するのよ」。予想の斜め上な展開に「そんな」と唖然とする昇。「どうしたの。あなたが踏んでくれれば、誰にも知られずに流産できるのよ」「……」「早く。何を考えているの」「……」「踏んで。早くっ」。
とことん躊躇ったのち、一発ゲシッと美子のお腹を踏みつける昇。しかし、一発踏みつけたら、抑制が外れました。うわーっ。叫びながらゲシゲシと美子のお腹を蹴りまくります。ゲシ、ゲシ。「ああ、痛い」「うわーっ」。ゲシゲシ、ゲシゲシ。まあ数えている自分もなんですが、キックの総数40発。さすがに、死にそうな美子は、ヨロヨロと手を伸ばしつつ言うのです。「昇さん、忘れないで欲しい。あたしたちがしたこと殺人よ。あたしたち殺人犯よ。うっ、ぐはぁあ。この罪は一生ついてまわる。うぐっ、げはぁ」。なんだかケダモノのように、苦痛にのたうち回っている美子が怖くなった昇は、そのままスタコラと逃げ出すのです」。ひぇーーっ。
ヨロヨロと家に帰るなり、そのまま倒れこむ美子。往診してくれたお医者さんは、心配そうに見ているお母さんに言います。「流産です」。「り、流産」。ショック死しそうな気分のお母さんは確信しました。そうだ、うちの子は美人だから、レイプされたんだわ。
しかし、意識が戻った美子は、さらにお母さんが仰天するようなことを言い出したのです。「お母さん、あたし、どうして妊娠したか知ってる?」「さあ」「男と寝たから妊娠したのよ。決まってるじゃない。そんなこと。あたしも男と寝たのよ。別に無理やり犯されたってワケじゃないわ」。「あなた何てこと」と絶句しているお母さんに追い打ちをかける美子。「お母さん、お父さんと佐伯のおじさまと、どっちがステキだった」「美子、何を言うの」「お母さんたちって、ケダモノみたいね」。うわーん。お母さんは可哀想に涙目で部屋を出て行くのです。
お母さんが出ていって、ゆっくりベッドから起き上がる美子。なんていうか、オッパイ丸見えなスケスケネグリジェなんですけど。普通、高校生か着るか、こんなの。ま、それはともあれ、盗んだ硫酸のビンを顔に押し当て、恍惚とした表情を浮かべていた美子は、ビンの口をあけて、硫酸をおじさまの描いてくれた絵にぶっかけました。じゅじゅー。まだ何も知らなかったころの美子の姿が、ドロドロと溶けていきます。さらに、金魚鉢に硫酸を投入。巻き添えをくった金魚ちゃんも白くなって死んでいきます。ついでにぶちまけた硫酸に、そっと指を這わせる美子。くっ。熱い。って当たりまえだ。
数日休んだのち、美子は学校に復帰しました。手に包帯を巻いて、颯爽と歩く美子に、五十嵐たち劣等生グループは崇拝のまなざしです。そんな視線をガン無視した美子は、まっすぐ昇に歩み寄りました。「終わったわ。全て、これから始まるのよ」「えっ?」「愛。喜び。悲しみ。痛み。あたしの青春」。そのままスタスタと去っていく美子を、ホロホロと涙目で見送る昇です。
なんていうか、「高校生の中絶」というテーマを掲げたりしている割には、作りは「完全に」興味本位。どう言い訳しようと、結局は、いかに関根恵子のオッパイを出すかにかかっている映画でした。まあ大映の場合、若尾文子ですら「性典女優」と呼ばれるデビュー期を送らされたくらいですから、けっして上品な映画ばかり作っているというワケでもないんですけどね。
もっとも、東映があっけらかんと裸を出すのに対し、大映の場合は、テーマや芸術を隠れ蓑にするというか、裸を出すのにも講釈を垂れたがるところがあるのも事実。例えて言えば、東映がスケベオヤジなら、大映の場合変態紳士とでも言えばいいんでしょうか。どうも腹が座っていないところがあるようです。
関根恵子は当時15歳とは思えない発育っぷり。さすがに台詞まわしはつたないし、表情も固い。でも、腹をゲシゲシ蹴られるときのホラー演技は圧巻でした。
それにしても名門の大映が、その末期には15歳の女の子のオッパイに社運を賭けたというのが、哀れというか、倒錯した気分になれるというか、なんていうか諸行無常ですねえ。



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