いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】ある殺し屋の鍵

2006-12-25 | 邦画 あ行

【「ある殺し屋の鍵」森一生 1967】



おはなし
踊りのお師匠さんの新田(市川雷蔵)は、実は凄腕の殺し屋。ある日、新田は朝倉という男を殺すように依頼を受けます。無事、殺しに成功した新田でしたが、依頼人が裏切りピンチに。しかし、裏切りに黙っている新田ではありません。依頼人から徐々に上へと、関係者をすべて殺すのでした。


今回の舞台は京都。新田(市川雷蔵)は踊りのお師匠さんです。前作では舞台が東京で、雷蔵は板前という設定でしたが、今作の方が、より市川雷蔵というキャラクターに合っているかもしれませんね。

新聞を賑わす巨額脱税事件の容疑者、朝倉(内田朝雄)は自分だけが捕まったことを恨んで、政財界にまつわる悪事をすべてぶちまけようとしています。その、朝倉メモに戦々恐々としている大物の北城(山形勲)は、子飼いの会社社長、遠藤(西村晃)に朝倉を始末するように命じます。遠藤はそれを知り合いの組長・石野(中谷一郎)に依頼。石野はそれを子分の荒木(金内吉男)に頼み、荒木は新田(市川雷蔵)に殺しを依頼しました。

ほとんどゼネコンのような下請け、孫請け構造なのがおかしいです。依頼金も
山形勲>4千万>西村晃>3千万>中谷一郎>2千万>金内吉男>1500万>市川雷蔵と、どんどんピンハネされていきますし。もっとも雷蔵は2千万で引き受けたので、金内吉男は手取りがゼロということですが。

さて、もうひとりヒロインがいます。秀子(佐藤友美)は、内田朝雄の女で、西村晃に口説かれていて、金内吉男にもちょっかいをかけられ、自身は踊りの師匠の市川雷蔵に惚れているという、まさに中心人物。この人のおかげで、話はますますややこしくなっていきます。

内田朝雄は、自分に殺し屋が差し向けられることを予想しています。まあ、自分も似たようなことをやってきたのでしょう、しかし、警察がボディガードだと豪語して、ホテルで政財界の内幕を暴露する朝倉メモをせっせと執筆中の優雅な毎日。
金内吉男にクルマで送ってもらった雷蔵は早速、ホテルに潜入。プールで泳いでいる内田朝雄を殺そうとします。佐藤友美が出てきて、ちょっと邪魔だったりもしましたが、無事、自慢の針で内田朝雄を殺すのに成功しました。

しかし、脱出しようとしたら金内吉男がいません。仕方なく、自分でクルマを運転して現場を去る雷蔵ですが、クルマのブレーキに細工されていてクルマは崖からまっさかさま。爆発炎上するのでした。

内田朝雄も死んだし、雷蔵も始末した、と祝杯でも上げそうな雰囲気の中谷一郎と金内吉男。しかし、新聞記事を見てビックリです。自動車事故の記事があるものの、死体は発見されていないのです。じゃあ、雷蔵は生きているんじゃないか、とパニックになる二人。雷蔵はどこにいるんだ。

はい、雷蔵は自宅で踊っていました。もちろん日本舞踊です。よく分からないけど見せ場なんでしょう。延々と踊っています。正直言って、日本舞踊は見ても分からないんですけど、大したもんなんでしょうね。しかし「踊ってる場合か」と思わないでもありません。

金内吉男は佐藤友美から、雷蔵のことを聞き出しました。早速、おびき出すように頼みます。しかし、佐藤友美は雷蔵の方が好きですから、情報は筒抜けです。逆におびき出され、とっつかまる中谷一郎と金内吉男。かなりまぬけです。依頼金の残額と慰謝料を取られたうえに、依頼人を教えろと迫られた二人は、反撃を試みるもあっさり返り討ちにあい、クルマごと爆死するのでした。やられたら、同じ方法でやり返すというのが、さすが雷蔵です。

いったんは、依頼人とのつながりが消えたかと思われましたが、たまたま佐藤友美の新しいパトロンの西村晃が、その依頼人であることを雷蔵は知りました。西村晃の差し向けたヒットマンの攻撃をかわしつつ、佐藤友美のマンションに乗り込んだ雷蔵は、西村晃を待ちます。そしてノコノコやってきた西村晃から1千万を奪い取り、さらに黒幕を白状させようとします。しかし、黒幕がよっぽど怖いのか、西村晃は白状せず、かえって剃刀で雷蔵を切ろうとして、足を滑らせ死んでしまいました。
「このままでは、黒幕は分からない」と思っていたら、またも「たまたま」その黒幕の秘書から電話が入ります。先生が外遊のため今夜旅立つので、空港に見送りに来い、というのです。

早速出かけようとする雷蔵。佐藤友美は「連れてって」と頼みます。雷蔵が好きだというのです。しかし雷蔵は「金でどっちにも転ぶような女に用はない」と拒絶。「利用したのね、あたしを」という声を後ろに聞きながら、部屋を出るのでした。

でも、空港に行く前にお金を預けなきゃと、雷蔵は貸しロッカーに向かいお金を大事にしまいこみます。意外と几帳面ですね、雷蔵は。でも、このままでは黒幕は飛行機に乗ってしまう、と鍵をネックレスにつけずにポケットに突っ込んだのは大失敗でした。

空港で、記者会見をしている山形勲にカメラマンに化け近づいた雷蔵は、一瞬の早業で刺し殺すことに成功しました。そして、その場から急いで立ち去りますが、その時に鍵を落っことしてしまいます。ああ、イヤな予感がしたんですよ。
入れ違いにやってきた佐藤友美が、その鍵を発見。意味ありげな表情をしています。タイヘンだ、金を取られてしまうのでしょうか。

慌てて戻ってきた雷蔵が、鍵を探すとちゃんとありました。良かった。早速、ロッカーに向かう雷蔵。しかし、ロッカーの前は人だかりがしています。野次馬たちによると、ロッカーに爆弾を仕掛けたという電話があったそうです。警官たちが次々とロッカーを開けていきます。マズイです。そして、雷蔵のロッカー50番も開けられました。中から出てきたカバンを調べる警官たち。カバンからは帯封付きの札束がゴロゴロ出てきます。
万事休す。雷蔵は鍵をポイっと投げ捨て、その場を去っていくのでした。

いやあ、だから映画のタイトルが「ある殺し屋の鍵」だったんですね。でも、前作では金に執着しない主人公だったのに、今作では割と金にこだわっています。もちろん、金で殺しを請け負う殺し屋ですから、金にこだわって当たり前なんですけど、前作のように虚無的な「金以外の理由が、むしろ彼を突き動かしているんじゃないか」という部分が無くなってしまったのが残念です。

「ある殺し屋」は2作目のこの作品でおしまい。本来は「忍びの者」シリーズの次として会社は続けたかったのかもしれませんが、ただでさえ、市川雷蔵は「眠狂四郎」「若親分」「陸軍中野学校」シリーズなども抱えていましたしからね。実際、この映画の公開された67年までは毎年10本前後の出演作でしたが、翌年は眠狂四郎や中野学校など4本に激減。さらに69年には2本出演して亡くなってしまったので、明らかなオーバーワークだったのだと思います。
映画の中でも、プールのシーンがありますが雷蔵の体には筋肉がほとんど無く、あばらが見えてしまうほどガリガリに痩せていました。本当にかわいそうです。

そんな疲れ気味の雷蔵を支えるべく出演者は豪華。黄門様(西村晃)と風車の弥七(中谷一郎)を始め、ベテラン山形勲に、この年デビューの佐藤友美を加えた万全の布陣です。特に素晴らしいのが佐藤友美のクールビューティっぷり。演技は固いところが残りますが、結局、女優は美しくあらねばならない、というのを実感します。スタイルも良く、豪華な感じの顔立ちが、まさに映画女優のオーラを発散していました。

ともあれ前作に比べ、映画としての深みには欠けるものの、ベテランたちの安定した演技と、何と言っても疲れた体に鞭打って、ひとり大映を支えていた雷蔵の心意気を感じられる映画でした。






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