いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】緯度0大作戦

2007-05-22 | 邦画 あ行

【「緯度0大作戦」本多猪四郎 1969】を観ました



おはなし
海底探査をしていた田代博士たちは、海底火山の噴火で遭難してしまいました。そんな彼らを救ってくれたのは、潜水艦アルファ号。アルファ号の基地は「緯度0」と呼ばれる、まさに楽園でしたが……

日米合作の作品です。しかし、日本でセット撮影、ロケをしたそうですから、あくまで「たまたま外人さんがたくさん出ている」東宝特撮映画ということですね。

1969年春。世界最大とも言われる日本の海洋観測船ふじが、赤道直下を調査していました。
飛行機がジェット気流を使ってスピードアップや燃費の改善を図るように、海流を使って潜水艦のスピードアップを図れないかどうかを調査しているのです。

観測のため潜水球に乗り込むのは、物理学と海洋学の権威、田代博士(宝田明)、フランスの地質学者で潜水球調査のベテラン、ジュール・マッソン博士(岡田真澄)、それにトランスグローブ通信のペリー・ロートン記者(リチャード・ジェッケル)の3人です。

しかし、調査中のこと。いきなり海底火山が噴火を始めました。大きく揺さぶられる潜水球。バランスを失った潜水球は、ゴロンゴロンと海溝を転がり落ちていってしまったのです。もちろん、乗組員の3人は気絶です。

海底に転がっている潜水球。と、そこに謎のダイバーがやってきました。フックを取り付けられて巨大潜水艦に飲み込まれていく潜水球。さあ、この潜水艦は敵か味方か。(味方ですけどね)

意識を取り戻した田代博士。横に寝ていたロートン記者も目覚めたようです。田代博士は「おかしいな、怪我ひとつない。治ってる」と不思議そうですが、まずは見知らぬ潜水艦の中にいる方を不思議がって欲しいところです。それと知らぬ間にパンツ一丁になっていることとか。と、そこに白人女性がやってきて言いました。「良かったわ、元気になられて。私、アン・バートンです」ちなみに、このバートンですが、金色のブラジャーに、ホットパンツという「ここはカリフォルニアか」みたいなカッコです。
ところでバートン医師(リンダ・ヘインズ)が言うには、マッソン博士は重傷を追って別室で治療中とのことです。「ご気分がよろしかったら、先端のコントロールルームへどうぞ」と言って去っていくバートン医師。なんだか、腰を激しく振って歩いているんですが。

さて、田代博士とロートン記者がコントロールルームにやってきました。そこにいたのは、この潜水艦の艦長クレイグ・マッケンジー(ジョゼフ・コットン)と大男の乗組員甲保(大前均)です。この潜水艦の名前はアルファ号。艦長が言うには、米英のものではなく、ソ連のものでもない。中立の船だそうです。進水は1805年と言いますから、150年以上前の潜水艦らしいです。なんだか、田代博士とロートン記者は、狐につままれた気分です。ちなみに、バートン医師がカリフォルニアガールなら、マッケンジー艦長は石田純一風のいでたち。なにしろ素肌に引っ掛けたシャツは、上のほうのボタンをはずし、首には緑色のバンダナですから。

重傷のマッソン博士を治療するため、アルファ号は基地に戻ることになりました。秘密基地の名前は「緯度0」と言うそうです。しかし、そのアルファ号を尾けてくる謎の潜水艦が。タイヘンです。ばんばか魚雷をぶっ放してきます。悪の組織に属するその潜水艦の名前は「黒鮫号」。艦長は「黒い蛾」(黒木ひかる)というヤッターマンのドロンジョみたいな女のひとです。ちなみに映画を観ている間中、名前はクロイガーだと思ってましたけど。
まあ、それはともかく、黒鮫号の厳しい追撃にアルファ号もピンチです。しかし、緯度0地点にある、謎の電子防御壁の中に間一髪飛び込むことに成功したのです。

ここは海底2万メートルの海中にある別世界。「緯度0」と呼ばれる都市は人口太陽によって永遠の繁栄を約束されています。しかし、そんな緯度0に反旗を翻しているのがマリク(シーザー・ロメロ)率いる悪者たち。ブラッドロック島に本拠を置いたマリクは、情婦のルクレチア(パトリシア・メデイナ)や、黒鮫号艦長の黒い蛾などと共に、日夜悪いことを考えているのです。

それは、ともかく「緯度0」は理想郷。各国の一流科学者が亡命して無数の開発グループを作り、日夜、素晴らしい発明が行われています。もちろん住民たちは、悪意なんてない素晴らしい人ばかりですし、建物はいずれも、モダニズムと伝統が合わさったような素晴らしさ。その上、研磨にしか使わないよ、とダイヤモンドまで石ころのようにゴロゴロ転がっているんですから、緯度0の凄さは計り知れません。

さて、アルファ号の追跡・撃破に失敗したマリクは、次の悪巧みを考え出しました。「緯度0」に亡命しようとしている岡田博士を拉致してしまおうというのです。岡田博士が発明した放射能免疫血清の方程式を手に入れれば、世界各地に原爆を落としたうえで、自分たちだけ生き残ることもできるのですから、まさに画期的な発明と言えましょう。まあ、方程式じゃなくて化学式とかではないのか、と思いますけど、方程式の方がなんとなくインパクトがあるんでしょう。

早速、ハワイ行きの船に乗っていた岡田博士(中村哲)と令嬢(中山麻里)をかっさらった黒い蛾。しかしマリクは金髪でムチムチなルクレチアとラブラブだったので、黒い蛾をデッカイ鳥かごに閉じ込めることにしました。何書いてんだ、と思われるかもしれませんが、そうなってるんだから仕方ありません。

「免疫血清の方程式を教えていただきたい」と岡田博士にせまるマリク。しかし、岡田博士は断わります。なんか後ろにこうもり男がいて、岡田博士をギャーギャー脅していますが、断固拒否です。こうもり男と言っても、着ぐるみ以前のショボショボですから、怖くなんかないやい。それに、こんな時のために緯度0から渡されていためがね型発信機も持っていますし。

一方、緯度0ではめがね型発信機の情報をもとに岡田博士の奪還作戦に乗り出すことになりました。マッケンジー艦長、甲保乗組員、バートン医師、それになぜか田代博士、マッソン博士、ロートン記者までもが同行することに。とりあえずバスクリンのどぎつい緑がステキな「免疫風呂」に入る面々。このお風呂に入ると、体が丈夫になってピストルの弾も弾き返してしまうのです。それは防弾であって、免疫じゃないだろと思いますけどね。
そして、金とプラチナの合金で作られた戦闘服を着込みます。なんか、金ピカで一色で、めだってしょうがないんですけど。迷彩とは言わないけど、もう少しどうにかならないものかと思います。技術力を生かして光学迷彩を作るとか。
さらに武器は手袋。1の指からは炎が噴出し、2の指からはガス。そして3の指からはレーザーがほとばしるという優れものです。こんなのがテレビショッピングで売ってたら楽しいんですけどね。

さて、脅しに屈しない岡田博士に業を煮やしたマリクは、黒い蛾を牢獄から引き出してきました。岡田博士の前で黒い蛾に注射を射つマリク。岡田博士とその令嬢鶴子の顔が恐怖に歪みます。とりあえず、黒い蛾の脳みそを取り出し、ライオンに移植するマリク。そしてハゲタカの翼をライオンにくっつけ、巨大化血清を射って3倍の大きさにしたら完成です。その名もグリホン。グリフォンじゃないのが、なんとなくポイントでしょう。

マリクの本拠地、ブラッドロック島に潜入したマッケンジー艦長の一行。巨大ネズミに襲われてみたり、硫酸の池に落っこちそうになったりと、全然手に汗握らないピンチを切り抜けていきます。もちろんインチキくさいこうもり男の特攻なんて、鎧袖一触です。業を煮やしたマリクは、自らの手で、艦長たちをやっつけようとしますが、あやまって自分の情婦のルクレチアを刺してしまうマヌケさ。やっぱりマッドサイエンティストは、自ら武器を使って戦わないほうが無難のようです。

岡田博士と令嬢を救出したマッケンジー艦長たちは、アルファ号に乗り込みブラッドロック島から、とっとと脱出です。しかーし、復讐の念に燃えるマリクは、黒鮫号に乗って追いかけてきました。砲撃を受けるアルファ号。その上、マリクは磁界発生装置を動かしたものだから、アルファ号は見る見るうちにブラッドロック島に引きつけられていくではありませんか。アルファ号ピーンチ。そこで出港前に取り付けた装置の出番です。「うまくいけば飛べるだろう」とつぶやく艦長。田代博士は「飛ぶ?」と不安そうな顔を隠しません。そう、アルファ号は空も飛べるように改造されていたのです。まあ、テストはしていないぶっつけ本番ですけどね。しかし、心配をよそにアルファ号は見事飛び立ちました。ごごーっ。まあ、海の上だろうが空だろうが、磁界のパワーは変わんないような気もしますけど、ちょっとでも飛べば、イコールピンチ脱出ということで。

「撃て、撃ち落すんだ」と絶叫するマリク。しかし、空を飛ぶアルファ号に夢中になっている間に、黒鮫号じたいが磁界に引きつけられていたのです。
「閣下、崖にひっ付けられています」と言う乗組員に「うるさい」と答えるマリク。もう完全に頭に血が上っているようです。そこにグリホンが登場しました。喜びに顔を輝かせるマリク。空飛ぶライオンのグリホンなら、アルファ号をやっつけることができるでしょう。しかし、思い出してください。グリホンの脳みそは黒い蛾のもの。そして黒い蛾はマリクに裏切られてグリホンに改造されてしまったのです。案の定、グリホンは黒鮫号を襲ってきました。ひーっ。グリホン迎撃のためにレーザー砲を撃ちまくる黒鮫号。しかし、そのレーザーはグリホンはもちろん頭の上の崖にも当たっているではありませんか。崖がガラガラ崩れてきました。見る見るうちに黒鮫号は、瓦礫に埋まっていきます。そして大爆発。ついでにブラッドロック島も大爆発。めでたしめでたし、なのかな。

シーンが変わると、そこは緯度0。田代博士は令嬢鶴子と。マッソン博士はバートン医師とよろしくやっています。さすが宝田明と岡田真澄、モテますね。一方、モテなかったらしいロートン記者は地上の世界に帰ることになりました。「いったいいつになったら、ここの秘密を世界に知らせるつもりなんです」と尋ねるロートン記者に、全人類が平和に共存できるようになったら、と答えるマッケンジー艦長。ここで、ベトナム戦争や安保反対運動の写真がモンタージュされます。いままでグリホンだったくせに、ここでいきなり社会派映画っぽくなるのが、なんとも愉快です。

救命ボートで波間を漂っていたロートン記者は、折から航行中の軍艦に救い上げられました。宇宙船の大気圏突入受入船です。しかし、何と言うことでしょう。艦長は田代博士そっくり、というか宝田明。同乗している米軍の大佐はマッケンジー艦長そっくり、というかジョゼフ・コットン。それにマリクそっくりなシーザー・ロメロまでいるではありませんか。混乱しつつも、私は緯度0から帰ってきたんだと主張するロートン記者。しかし、これが証拠だ、と取り出した写真のフィルムには何も写っていません。それに、緯度0から持ち帰ったはずのダイヤモンドも土くずに変わっています。
「みんな揃いもそろって宇宙開発ばかりに夢中になってて、自分たちの住んでるこの地球上の素晴らしい奇跡を、なんで信用しようとしないんですか」と叫ぶロートン記者。しかし、当然、気狂い扱いです。

軍艦に無線が入りました。ニューヨーク銀行からの連絡で、600カラットのダイヤモンドが、ロートン記者あてに振り込まれたという連絡です。さらに無線が入ります。宇宙船が着水地点が分かったようです。艦長の指示が聞こえます。
「経度176。緯度0」

なんだか終わり方が「マタンゴ」みたいですね。結局、ロートン記者が見たのは夢だったのでしょうか。緯度0でお姉ちゃんとよろしくやっている宝田明と、艦長の宝田明はどちらが本物なのでしょう。もちろん、宝田明ですから、ぜったいにモテモテな方が本物でしょうけど。

ストーリー自体は起伏が無いと言うか、一本道で奥行きがありません。こうもり男やグリホンなどの造形もかなりチープ。しかし、アルファ号と黒鮫号の海戦シーンは見事です。それと、何と言っても素晴らしいのが、緯度0の風景。ロケとセットの合わせ技でしょうが、見事にユートピアを見せてくれます。そうそう、昔思い描いた、未来都市とかはこんな感じだったよなあ、と懐かしくなります。

さすがに「第三の男」の主演ジョゼフ・コットンを迎えた映画ですから、宝田明や岡田真澄は目立ちません。医師役の平田明彦なども、ワンシーンしか出てきませんし。その点では、いわゆる東宝特撮映画とは毛色が違う、日米合作映画なんだなと思います。なんだか、ストーリー運びや、ギャグもアメリカーンな感じですしね。







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4 コメント

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30分で十分なのだ~ (ポン太)
2007-05-22 23:05:59
こんばんは~! いくらおにぎりさん。
この時代の特撮映画は、もうお腹一杯です(笑)。
最近は、30分で見られる、「ウルトラQ」を暇を見つけては見てます。(*^^*)
結構、いや、かなり面白いですよ。
お疲れ様です (夢見興亡)
2007-05-22 23:42:29
 私も先日DVDにて鑑賞しました。 おっしゃる通りストーリーの平板さには目を見張るべきものがありますな・・・ああいう終わり方は余韻があって個人的に好きなんですけど。
食べ過ぎると (いくらおにぎり)
2007-05-23 10:16:29
ポン太さん、こんにちは

ポン太さん、すごい勢いで特撮映画を見てらっしゃいましたもんね。どんなおいしい料理でも、食べ続ければ飽きるし、さすがに休憩中といったところでしょうか。ぼくも、東宝特撮映画は、あまり続けてみないようにしています。
終わり方 (いくらおにぎり)
2007-05-23 10:23:14
夢見興亡さん、こんにちは

終わり方について、監督はパラレルワールドだと言っているそうなんですが、ここだけ異質ですよね。やっぱりアメリカーンな映画の中での、ささやかな抵抗だったんでしょうか。

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