いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】愛の亡霊

2006-11-29 | 邦画 あ行

【「愛の亡霊」大島渚 1978】を観ました。



おはなし
兵隊帰りの豊次(藤竜也)は、俥屋・儀三郎(田村高廣)の妻せき(吉行和子)に横恋慕をします。そして、二人は邪魔になった儀三郎を殺害。死体は古井戸の底へ沈めました。それから3年。村の人には、儀三郎は東京で仕事をしていると誤魔化していたものの、あちこちで儀三郎の夢を見たという人が現れ始めます。そして、せきも儀三郎の亡霊を見るようになりました。それを不審に思った駐在の巡査(川谷拓三)は、せきと豊次の周りをかぎ回るようになります。追いつめられた二人は……


大島渚の「愛のコリーダ」に続く作品で、藤竜也(兄貴)主演とくれば、どうみたって続編なのかと思いますが、まったく毛色の違う作品でした。

時は1895年。兵隊から帰ってきた藤竜也は仕事もせずにブラブラしています。そして、何かにつけ26歳年上のせきの所に「あねさん、あねさん」と言って入り浸ります。しかし、この映画の時の吉行和子の実年齢は43歳、そして兄貴は6歳下の37歳。年齢的にかなりムリのある設定ですね。吉行和子が46歳としたら、兄貴は20歳。口ひげを生やした20歳ってのもどうなんでしょう。

赤ん坊に乳をやりながら、寝込んでしまった吉行和子を見た兄貴は欲情してしまいます。そのまま、押し倒して関係ができてしまう二人。見た目はおっさんでも、20歳くらい(ということになっている)の兄貴は、こうなったら止まりません。ずるずる関係を続けた揚げ句、吉行和子の下の毛を剃ってしまいます。
「お前、剃られちゃったんだぞ。悪くすれば、今晩めっかるぞ」とわけの分からない脅しを言う兄貴です。自分でやったくせに。でも、さすがは兄貴、マニアックですねえ。

ともあれ、バレたら大変ということで、兄貴は言います。
「殺して古井戸にぶっこんじゃうべ」そして、田村高廣にさんざん焼酎を飲ませ、酔い潰してから、首を絞めて殺します。でも、いきなり田村高廣がいなくなったら、そりゃマズイですよね。心配する吉行和子に兄貴は言います。
「誰かに聞かれたら、東京の方さ、働きに行ってるって、そう言ったらよかんべえ」なんか、計画的だか衝動的なんだか分かりません。ともあれ、死体は古井戸に投げ込んで一安心です。

それ以来、兄貴は山で落ち葉を拾っては、古井戸に投げ込む日々です。なんとなく気になっているみたいですね。そして3年が経ちました。

さすがに村では田村高廣が帰ってこないので噂が広がり始めます。ある人は、田村高廣が夢に現れたというし、娘までお父さんが夢で殺されたといっている、と言い出す始末。そして焦る吉行和子の目の前に、とうとう田村高廣の亡霊が現れます。どんどんせっぱ詰まっていく二人。さらに兄貴が古井戸に落ち葉を捨てていることを、庄屋の若旦那が巡査の川谷拓三に話し、もう完璧に疑われています。

テンパった吉行和子は、自分の家に火をつけ自殺しようとしますが、すんでの所で兄貴に助けられます。自分は死ぬから、あんたは逃げてくれと言われた兄貴は、「イヤだ、いけねえよー。おせきちゃん、おせきちゃん」と泣きじゃくります。

古井戸を探す若旦那。山が広過ぎて、兄貴が落ち葉を捨てていた古井戸がどれか分からないのだそうです。かなり間抜けです。それを見つけた兄貴は、とりあえず目撃者の若旦那を自殺に見せかけて殺します。しかし、これで、証拠はまだないものの、村人は完全に二人を疑っています。さらに証拠になる言葉を聞き取ろうと、川谷拓三が床下に潜り込んでしまう始末。大ピンチです。

二人は、死体を古井戸から引っ張り出し、別のところに埋めることにしました。泥だらけの井戸で、死体を探す二人。ほとんど「リング」状態です。しかし死体は見つかりません。そりゃそうです。だって、田村高廣は、、、ほら井戸の上に。田村高廣が落とした松葉が、吉行和子の目にブッスリ刺さります。いままでの展開が、わりとのんびりしてたのに、ここでいきなりホラーになってしまいました。何が何だか分かりません。
ともあれ失明した吉行和子はすっかり絶望。
「豊次さん、お巡りが来ねえうちに逃げてくろ」と言いますが、その時に警官隊が急襲。二人は捕まり、樫の木からぶら下げられ拷問を受けます。「俺だぁー、俺が一人でやった」「おらが殺しただぁ」とお互いをかばいあう二人でした。自白の結果、引き上げられる田村高廣の死体。その首にはいまだに、しっかりと綱が巻き付いてきました。

田村高廣の演ずる亡霊は、なかなか人間臭い奴です。現れれば酒も飲むし、芋も食います。亡霊なんかいるもんか、と庄屋の奥様が家に来たときは「よろしくお願いします」と礼までしちゃったり。さらに、自分が飲む酒を買いに行った吉行和子を迎えに行き、「帰り俥だ、乗っていきな」と人力車を引っ張っちゃいます。でも、「道、間違ってねえか」と言われ「うちに帰る道、忘れちまったあ」と言うところが、滑稽かつ哀れ。なにしろ亡霊ですからね。迷ってこの世にいる以上、家に帰る道だって忘れてしまうというものです。

でも、やっぱりよく分からない映画です。男と女の破滅に向かう程の強い愛を描きたいのか、亡霊が主人公の泣き笑い映画を作りたいのか、はたまたホラーが作りたかったのか。
映画の冒頭は、儀三郎の人力車の車輪が回転するショットを使っていますが、これはどう見ても、稲垣浩監督の「無法松の一生」からパクってきたとしか思えません。世話になった軍人の後家さんに憧れ、気持ちを言い出せないまま、何くれとなく世話を焼く無法松の不器用な一生。
この映画では、夫を殺したものの、不器用にしか立ち回れないせきと豊次。そして、亡霊になってさえも、不器用に妻への愛情を示し続ける儀三郎。そうか、「不器用」というのが共通のキーワードだったんですね。

ちなみに、兄貴の弟で、奇声を上げながら走り回っている気狂いの役は、杉浦孝昭。というか、「おすぎ」と言った方が分かりやすいですね。


(さすが兄貴。眼光が鋭いです。ノゾキですけど)


(娘役は、「ねらわれた学園」で高見沢みちるを演じた長谷川真砂美)


(分かりやすい亡霊。顔が真っ白ですね)


(俳優さんってタイヘンです。特に吉行和子が)

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