いくらおにぎりブログ

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【映画】ずべ公番長 ざんげの値打ちもない

2009-10-19 | 邦画 さ行
【「ずべ公番長 ざんげの値打ちもない」山口和彦 1971】を観ました



おはなし
赤城学園を出所したリカは、世話になったおじさんのために、やくざに殴りこみ。って、いつものパターンですけど。

ずべ公番長シリーズの第4作です。定番になった「お約束」をガッチリ踏襲して、さらにメンバーも橘ますみが復活してフルメンバーに戻りました。最終作にふさわしい、濃密な東映ワールドが展開されて、いい感じです。

ポー。汽笛を鳴らしながら大雪原を走る機関車。って、ずべ公番長シリーズなのに、なんで。ああ、分かりました。お約束の赤城学園パートでは、今、映画鑑賞会をしているのです。春季映画会「北海道の大自然」という映画を観ているみたいですよ。それににしても、この泣きのギターのメロディはどこかで聞いたような。「はるぅーかぁー、はるか彼方にゃ♪」。ここで「網走番外地」のタイトルがドーン。す、凄すぎる。いくら東映でも、ほかの映画のタイトルを、本タイトル前にぶつけてくるとは……。なんていうかタブーはないんかい。

ま、そんなこんなで、影山リカ(大信田礼子)や長子(橘ますみ)と言った面々に加え、今回のヒロインである村木みどり(片山由美子)が手際よく紹介されていきます。どうやら、みどりは、父の鉄五郎(伴淳三郎)に鬱屈した感情を持っているらしくて、面会も拒否の状態。おそらく、おせっかいなリカは、ここに絡むんでしょうね。

「一年後」。半年でも二年でもなく、いつも、必ず一年後なのがお約束です。赤城学園を出所したリカは新宿(ジュク)に舞い戻ってきました。大矢興業のチンピラと軽くもめごとを起こしつつ、向うのは村木自動車。つまり、みどりの父、鉄五郎がやっている自動車整備工場です。

さて、その村木自動車には大矢興業のチンピラが集結中。どうやら、みどりのヒモがこさえた借金を払えと、脅しにきているようですよ。「これは、あんたの娘が書いた借用書だ。ゆっくりと確かめてもらおうか」。確かに、みどりはヒモがバクチでこさえた借金の保証人になっているみたいですね。しかし、村木自動車といえば聞こえはいいですが、実のところ零細な整備工場です。「今はこれだけしかないんだ。カンベンしてくださいよ」。鉄五郎は、80万の借金のうち、どうにか30万を返すのです。

捨て台詞を残しつつ帰っていくチンピラたち。それと入れ違いにリカがやってきました。娘のみどりが飛び出してしまい鉄五郎も寂しかったんでしょうか。なしくずしにリカは村木自動車で働くことになったのです。ちなみに、同僚はマカオ(太古八郎)。えーと、漢字の名前だと「誰だソレ」ですが、要はタコ八郎です。

場面かわって、ここはピンクキャバレー。ホステスになった長子や、その恋人のツナオ(左とん平)。それにセンミツ(集三枝子)といったお馴染みのレギュラーメンバーが登場です。ちなみに、ここも大矢興業に狙われているみたいですね。ま、人物紹介と伏線ということで。

今度は、大矢興業のナイトクラブが映りました。カモは骨までしゃぶれということで、ちんぴらたちが、みどりのヒモを博打に誘っています。もちろん、ヒモとしても勝てばうれしいし、負けてもみどりや鉄五郎に借金を付回ししてしまえばいいんですから、お気楽なものです。ちなみに、店の奥ではチンピラたちが、鉄五郎からもぎ取った30万をボスの大矢(金子信雄)に渡しています。このシリーズでは金子信雄のヘンなボスっぷりも楽しみの一つですが、今回は女物の着物に薄く口紅をさしたオカマ風みたいですよ。しかし、その容貌と裏腹に、鉄五郎の土地を奪い取ろうとしているワルなんですけどね。

みどりはヒモに引っかかって家出。そのヒモのせいで、借金取りのチンピラがしょっちゅうやってきて、鉄五郎は苦しんでいる。そんな事情をマカオから聞いたリカ。もちろん、それを聞いたら黙ってはいられません。さっそく、マカオに運転をさせて、みどりのアパートに乗り込みました。しかし、恋に目のくらんでいるみどりは、リカのお説教に、聞く耳を持ちません。けんもほろろな扱いに、シオシオと帰るリカ。しかし、その帰り道に、マカオの運転する車はトラックに激突したのです。「バッカヤロー」と怒鳴り込んでくるトラックの運転手の荒井竜二(渡瀬恒彦)。もちろん、大信田礼子と渡瀬恒彦は、ケンカをしながらも仲良くなるのがお約束です。

たまたま村木自動車にラーメンを届けにきたのは、赤城学園の同級生だったおゆき(市地洋子)でした。ということで、ラーメン屋さんで、リカと長子たちが大集結。しかし、肝心の顔が見えませんよ。「ところで長子。マリ、どうしてるかな」「リカ。マリに会わんほうがええわ」。いぶかしげな表情のリカですが、はい、次のシーンではマリのアパートにやってきています。しかし、そこにはマリの代わりに、血を吐いて倒れているオッサン(中谷一郎)がひとり。えーと、これはマリのダンナさん?

笑っちゃうほどのクマを目の下につけて、ヌードスタジオで働いているマリ(賀川雪絵)。妊娠しているのに、裸をさらすお仕事ですから、そりゃクマもできるというものです。と、そこにリカが駆けつけてきました。「マリ」「リカ、リカじゃないか」「驚くんじゃないよ。タイヘンなんだ」。あわてて、アパートに戻るマリとリカ。オッサンこと荒井は、リカの発見で、どうにか命は取りとめたようですが、マリに負けず劣らず体ボロボロみたいです。「あんた、また外にでかけたね。ダメじゃないか」。いや、お前とスキヤキを食べようと思ってな。アンタっ! なんだか、世話物みたいになってきました。このベタな感じが東映らしくていいですね。それは、そうとして、荒井って苗字、渡瀬恒彦な竜二も荒井でしたが、偶然でしょうか。

はい、偶然じゃありませんでした。「兄貴、塩梅どうだい」と荒井のところにやってきた竜二。やっぱり二人は兄弟だったようです。ちなみに、荒井はもと大矢の客分で、大矢のために刑務所入り。しかし、刑務所を出たときには、体がボロボロだったようですよ。「そんなにまでして庇ってやった大矢が、兄貴に何してくれたい。挨拶ひとつねえじゃないかい」。

とりあえず、ここで主要キャストと、大まかな人間関係の紹介が終わりました、あとは殴りこみだね。

って、まだ殴りこみには早いですね。もう少し、お話は続きます。

竜二といい雰囲気になって、「アハハ、アハハ」なリカ。長子たちの尽力で、ヌードスタジオからピンクキャバレーに「ランクアップ」することができたマリ。マリの妊娠を知って、「産めよ、産むんだよ」と男らしい荒井(稼ぎはゼロだけど)。まあ、みんな楽しくやっています。もっとも、みどりは金を盗みに実家に忍び込んだりと、男関係で苦労しているみたいですけど。

しかし、そんな均衡がとうとう崩れる時がやってきました。バクチにいれあげたヒモが、とうとう大矢興業の手先になったのです。大矢興業のちんぴらたちといっしょに、鉄五郎のところにやってくるヒモ。偉そうに、自分の借金を払えとか言っています。「あいつは、俺のためだったら何だってするからな。思いつめて、ひったくりでもやらかすかもしれないぜ。どうなんだい」。本当に、自分勝手なリクツですが、鉄五郎は金を出すことにしました。「ただしな、条件がひとつあるよ。みどりと手を切ってもらいてぇんだ」。

そんな様子を隠れて聞いているマカオとリカ。「しかし、オヤジさんどうするんだろうな。不渡りがどうのこうの言ってたけど」「不渡り?」「うん、あの30万、やっと駆けずり回って持ってきた大事な金なんだ。あれがないと工場はつぶれるし、抵当に入っているこの土地もみんな持ってかれちまうんだよ」。リカはそれを聞いて、何か思いつめた表情です。

リカは大矢興業に乗り込みました。仁義を切ってから、さっそく、30万返してやっておくんなさい、と切り出しました。「ただで返してくれとは申しません」。じゃあ、ここで裸になれと言われ、一枚、二枚と脱いでいくリカ。とうとうブラジャーとパンティ姿に。でも、これ以上は恥ずかしくてムリムリ。と、そこに、みどりが踊りこんできましたよ。「バカ野郎、お前引っ込んでろ」と怒鳴るヒモ。「あんた、よくもあたいを騙してくれたね」「何を言いやがる。てめえが騙されるようなバカだからだよ」「ちきしょー、殺してやる」。なんかワヤワヤな展開に。

リーンリーン。鉄五郎が受話器をとると、大矢からの電話です。みどりとリカを捕まえたという大矢。「このお二人さんとね、あんたの土地の権利書と、引きかえっこにしようじゃないの。え、分かった」「分かりやした」。意を決した表情で、なにやら筒を取り出す鉄五郎。まさか卒業証書を持っていくわけじゃないと思うんですが。

大矢興業に鉄五郎がやってきました。下を向いてクククッとしてます。「あんた、泣いてんの」とバカにする大矢。しかし、鉄五郎は泣いていたのではありませんでした。笑っていたのです。グハハハ。「やいやい、てめえ気でも狂ったのかい」と、本性をあらわして、ドスを効かせる大矢。「おう。狂った。とぼけたこと言うない、この野郎」と、鉄五郎は筒からカミソリを取り出しましたよ。どうやら、鉄五郎は昔「カミソリの鉄」と呼ばれた侠客だったそうです。そして、若い頃の大矢の頬を自慢のカミソリでバシュっとしたのも、この鉄五郎だったのです。

「知らなかったんだ」とごめんなさいモードの大矢。「当たり前だ、この野郎」「すまん、堪忍してくれ」。鉄五郎は意気揚々とみどり、リカを連れて帰るのです。でも、待ってください。金子信雄がそんな殊勝な人間のワケがない。絶対に何かやりますよ。

鉄五郎たちが帰るのと入れ違いに、荒井がやってきました。マリにも子供ができたことだし、すっぱりと足を洗うつもりで、挨拶にきたのです。ニヤリ、とほくそ笑む大矢。「お前さんにはひとかたならぬ義理がある。お餞別を十分にはずみたいとこだけど、こちらもちょっと物入りでね。それで、お餞別がわりと言っちゃなんだけど、お前さんに最後のお仕事をやってもらいたいのよ」「仕事?」「表ですれ違っただろ。ここから出て行った親子連れ。あの父っつあん始末してもらいたいの」。30万円をポンとだす大矢。ちょっとセコイな。「まだ、そのへんにいるはずだよ。ムリにとは言わないよ」。

荒井の顔のアップ。グワーッと苦悶の顔をしています。脳裏には、菜の花畑でお腹の大きなマリと楽しく歩く自分の姿が浮かんだりして。欲しい、金が欲しい。

鉄五郎とみどり、そしてリカは屋台のおでん屋で祝杯です。しかし、仲むつまじい鉄五郎とみどりを見ていたら、孤児のリカはなんだか寂しくなってきちゃいました。「オヤジってのは、いいな」。そんなリカを見て、みどりは言います。「リカさえ、もし良かったら、あたいの姉さんになってくれよ。な、パパ、いいだろ」。「何言ってんだ。とっくにリカはおめえの姉ちゃんだ」と上機嫌の鉄五郎。上機嫌ついでに、もう少しひとりで飲んでいくと言い出すのです。

ほろよい気分で、家路につく鉄五郎。そこに荒井がドスを持って襲ってきました。しかし、そこは酔っていても「カミソリの鉄」。体が弱そうな荒井の攻撃をかわすのは朝飯前です。もっとも、風車の弥七な中谷一郎の攻撃を伴淳三郎がかわす、っていうのはかなりムリがありますけどね。ま、それはともあれ、そこにトラックが突っ込んできましたよ。どうやら、大矢は二段三段の悪巧みを計画していたようです。とっさに鉄五郎は荒井を庇ってはねられました。そして、荒井も口封じのために、やはり撥ねられてしまうのです。

ヨロヨロ。ヨロヨロ。どうにかアパートに帰り着いた荒井。「兄貴。あにきー」と叫ぶ竜二に、「こ、これをマリに頼む」と30万円を渡します。マリも駆け寄ってきて「あんたぁー」と叫びますが、すでに荒井は絶命しているのでした。

鉄五郎の遺体に取りすがっているみどりのシルエット。それを見ているリカの顔だけが映ります。おやっ、マリ、長子、センミツが揃いの真っ赤なロングコートでやってきました。「マリ」とリカが声をかけると、マリは黙ってうなずきます。やはりうなずき返したリカの全身が映ると、真っ赤なロングコート。マリが「みどり」と声をかけると、やはり真っ赤なロングコートのみどりが出てきました。うん、やっぱり殴りこみ服は、これじゃなくちゃね。

「恨みつらみの数々はじめ。目から流した血の涙。煮えくりかえる胃の腑に収め、今日まで我慢の幾年月。あなたの大事なみどりを始め、宿無し、親無し、きょうだいなしの。ここに揃ったやさぐれ五人。裏道ばかりの歩き詰め。そんなしがないわたくしどもに、かけてくださったご厚情。忘れるものではございません。堪忍袋の緒も切れました。バカを承知で参ります。許してやっておくんなさい」

長台詞をばっちりキメて、夜の雑踏を横一列になって歩くずべ公たち。津島利章の音楽もあいまって、ベタではありますが、気分が盛り上がってきます。これこれ、これでなくちゃ。

うりゃー。大矢興業に乗り込む五人。ババッとコートを脱ぎ捨てると、そこには白のさらしに赤いホットパンツです。「やいやい、てめえらなんだい」「やかましいやい。てめえら一人も生かしておくわけにはいかないんだい」。揃いの赤いドスの鞘を投げ捨てると、ドスの冷たい光が、ギラリと光ります。うーん、カッコイイ。これこれ、これでないと。

縦横無尽に斬りまくる五人。さらに、竜二もかけつけ、血しぶきバーティの始まりです。鈴木清順ばりの、ガラスの床を下から撮るショットなどを入れつつ、バッサバッサと斬っていく爽快感。そして、とうとう大矢は追い詰められました。「大矢、死ねえ」。リカの怒りのひと突きが大矢を刺し通します。ガラスに血を撒き散らしながら、悶え死ぬ大矢。

パトカーのサイレンが聞こえてきました。オエップなマリにリカは言います。「マリ、あたいたちが、あんたの分までつとめてくるよ。なっ」。「うん」「うん」、口々に答える仲間たち。感激のマリは、思わずオエーッです。ほら、つわりだし。

手錠をはめられ連行されていく4人のずべ公と竜二。電柱の陰から、泣きながら見つめるマリ。パトカーは朝焼けの町を、「ざんげの値打ちもない」をBGMに走り抜けていくのです。


スケバンモノというよりは、ある意味、健さんモノのフェイクではありますけど、完成度が高いです。侠客ものの「お約束」の数々が、血を熱くさせること間違いなし。さらに、シリーズの中での「お約束」もガッチリ踏襲しているので、シリーズを通して観た場合には、さらにググっときます。

単品で観てよし、シリーズを通して観ればなおよしの、東映プログラムピクチャの傑作じゃないでしょうか。

ちなみに、個人的なお気に入り度では、橘ますみ、賀川雪絵、大信田礼子の順番なんですけどね。







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