いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】忍びの者

2006-08-09 | 邦画 さ行

【「忍びの者」山本薩夫 1962】を見ました。

おはなし
伊賀の忍者、五右衛門(市川雷蔵)はお頭、百地三太夫(伊藤雄之助)の奥方(岸田今日子)に手を出し誤って殺してしまった。そのため、助命を条件に、お頭に困難な任務を言いつけられる。それは、各地の商家などを襲っての金品強奪。それと織田信長(城健三朗)の暗殺だ。しかし、五右衛門は堺の遊女マキ(藤村志保)に心惹かれ、任務を忘れそうになってしまう。しかし、監視の目はいつも光っていたのだった。


忍者モノと言っても、山本薩夫監督だし、派手な忍術が飛び交うような荒唐無稽なものではなく、いたってリアルです。そもそも、お頭が伊藤雄之助、側近が加藤嘉というところからして、渋さ全開ですから。
雷蔵は計数に明るいということで、奥方の補佐としてお金の計算にあたることになるのですが、それも「これで(下忍から)出世できると」喜んでいます。そりゃあ、現場勤務から本社の財務部に栄転するようなモノですからね。しかし、奥方の魅力に負けて、いつしか男女の関係に。ここらへんの、人間臭いというか、ちょっと情けない感じの雷蔵は、本当にはまり役です。

その後、奥方を殺してしまった雷蔵(実は、お頭の伊藤雄之助が殺していたんですが)は、お頭の命令で裏稼業の世界へ。信長の暗殺は良いとしても、商家を襲って金を奪うというのは、忍者の掟に反するそうです。しかし、こうなったら命令を受けねば殺されるだけの雷蔵は、仕事を引き受けます。しかし、そこでも奪った金の10パーセントは自分の物にして良いなど、けっこう設定がリアル。そりゃそうですよね。忍者だって、霞を食べて生きているわけでなし、労働条件をきちんと決めておくのは大切だな、と。

信長が来るとの情報をつかみ、堺に潜入した雷蔵。そこでも、薄幸そうな遊女マキに惚れてしまいます。まったく、仕事で来てるんだろっ、と突っ込みたくもなりますが、まあ長期出張中のサラリーマンには「有りがちなこと」ということで。しかし、藤村志保は相変わらず細い目で、パッとしない顔立ち。雷蔵に買われても、まずは「お客さんがつかないと、ご飯を食べさせて貰えないんです」と言いながら、おでんを食べる、食べる。まさにガツガツという言葉がふさわしい食いっぷりです。こんなとこも、やっぱりリアル?

実は、奥方を殺したのは自分ではなく伊藤雄之助だった、ということを知った雷蔵。早速、村に帰って伊藤雄之助を糾弾します。言い逃れようとする伊藤雄之助ですが、どうにも苦しくなっていきなり逃亡。下忍とお頭なんて言うと、「サスケ」世界的には雲の上と地の底くらい距離がありそうですが、リアルに描くと、激怒したヒラ社員と不正がばれた部長くらいの距離感なんですね。これくらいなら、キレれば文句も言えそうな感じ。うん、リアルだ。

雷蔵は藤村志保を身請けします。当然、商家から奪った金をたんまり持ってますから余裕です。田舎で、静かに暮らす二人。やがて藤村志保は妊娠します。つわりで、「うっ」と駆け出す藤村志保。「うっ、おえーっ」って、そこまでリアルにしなくても。そのうえ、「ビチビチ」という吐瀉物の落ちる効果音まで。えー、これがリアリズムなんでしょうか。ちょっとイヤです。

やがて、逃亡した伊藤雄之助と加藤嘉は、藤村志保を人質に信長の暗殺を雷蔵に命じます。まあ、本職でもあるし、雷蔵は首尾よく安土城に潜入に成功。天井から糸をつたって毒を信長の口に流し込みます。

しかし、織田信長は城健三朗こと若山富三郎大先生。

「むぐうー」「ぐはっ」と苦しむものの死にはしません。なにしろ、若山先生ですから丈夫です。怒りに燃えた若山先生は伊賀急襲を決意。
襲い掛かる織田軍団。豪火に焼かれる村。ずらりと並んだ大砲の射撃。

って、ちょっと待てよ。大友宗麟が手に入れた「国崩し」と呼ばれる日本初の大砲が活躍したのは信長の死後。この時代に大砲が「ずらり」なんてあるはずがない。ようやくリアルじゃない部分があって、ちょっと嬉しい気分です。

ともあれ、蹂躙される伊賀。雷蔵もその場に潜入しますが、そこには死んでいる伊藤雄之助がいました。
真っ黒な忍装束に身を包んだ雷蔵は、あぜ道を走ります。喜び一杯です。覆面を剥ぎ取り、飛び上がるように藤村志保の元に走る雷蔵でした。でも、真昼間なのに真っ黒な忍装束は目だって仕方ないと思いますよ。いくら覆面は取ったとは言え。


リアルなんだかトンデモなんだか、よく分からないこの映画。ただ、言えるのはモノクロの映像が効いているということ。62年だとカラーはモノクロを圧倒し始めているころですが、この映画はモノクロで大正解でした。雷蔵の横顔、闇に沈む忍者、戦火に焼かれる村などがモノクロの映像で、
スパッと切り取られています。いろいろ書きましたけど、とにかくカッコイイ映画でした。

 

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