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邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】宇能鴻一郎の濡れて打つ

2007-07-01 | 邦画 あ行

【「宇能鴻一郎の濡れて打つ」金子修介 1984】を観たんです



おはなし
テニス部の新入部員の細川ひろみは、正選手の座をかけて、憧れのお蝶さまと試合をすることになったんです。でも、北條コーチの特訓はちょっとエッチで……。

宇能鴻一郎さんったらスゴイんです。何て言っても、東大を出て芥川賞まで取っちゃったのに、エロ小説の大家になっちゃったんですから。同じエロ小説の川上宗薫さんが芥川賞の候補だったのに比べたら、あーん大きい。

「私高校のテニス部員。まだ一年生なんです」のモノローグで映画は始まるんです。私・細川ひろみ(山本奈津子)は、お蝶さま(林亜里沙)に憧れて、テニス部に入ったんですけど、お蝶さまったら、あたしにラケットをくれて、「よくってひろみ。私のように強くなりたかったら、男は禁物よ」と言ったんです。もううれしい。でも、私はスタープレイヤーの坂西くんと、毎日エッチをしてるんですけどね。これがお蝶様にバレたらタイヘン。いちおう「私、お蝶さまとの約束、これで何回破ったのかしら」なんて反省をしてみたりもするけど、それとこれとは別よね。

「そうだ、明日はあの方の誕生日だったんです」。お蝶さまの誕生日を忘れるなんて、ひろみのバカバカ。さっそく、プレゼントを買いにテニスショップに行ったんです。気に入ってくれるかなあ、ウイルソンのラケット。でも、その帰り、エレベーターに乗ったら、いきなりエレベーターが止まっちゃったんです。一緒に乗っていた男の人は地震だよ、っていうんだけど、なんかヘン。男の人は脱水症状になったらタイヘンだって、あたしの股間をいじるんです。いやーん、初めてのヘンな感じ。

「あたし信じられません。こんなことって」。なんと、新しく来た北條コーチは、昨日のエレベーターの男の人だったんです。そのうえ、今度の関東大会の選手を決めるのに、お蝶さまとあたしが、試合をやるだなんて。先輩たちは嫉妬に燃えたすごい目であたしを見てるし。
コーチは、エレベーターであたしにしたことは、腰のバネを確かめるためだって言ってるけど本当かなあ。青い三角定規の「太陽がくれた季節」をBGMに特訓するコーチとあたし。もちろん、あっちの特訓も忘れていませんよーだ。

ところで、いつもあたしのスコート姿をビデオ片手に撮っている報道部の玉本くんって子がいるんです。なんだか、すごくオタク臭くて、ちょっとキモイんですけど。それで、その玉本くんがこっそり撮った坂西くんとあたしのエッチビデオが流出して、お蝶さまにバレちゃったんです。

「なんですって」って怒ったお蝶さまは、坂西くんのところに行って「ひろみには手を出さないって約束してちょうだい」って怒ったらしいんです。ついでに、坂西くんと一緒にホテルに行って、スゴいテクニックで坂西くんをメロメロにしたっていうから、さすがお姉さまです。そして、あっという間に昇天しちゃった坂西くんに「こんなことじゃプレイボーイの名が泣くわよ」って言ったみたいだからスッゴイ。もちろん、これはオタクの玉本くんからビデオを見せてもらって知ったんですけど。

玉本くんはこれで、あたしとお姉さまの間がうまく行かなくなることを期待したのかもしれないけど、あたしはパチパチパチって手を叩いちゃったんです。どうして、って玉本くんが聞くからあたしは「だってスッキリしたんだもん。お蝶さまってカッコいい」って言ったんです。でも、本当は、一人になってちょっと泣いちゃったんですけど。

坂西くんって意外とダメな奴みたいです。お蝶さまにしつこく迫っているんですもん。あたし、思わずよしなさいよ、って止めちゃいました。「お前らレズなのかよ」って坂西くんが言って、あたしはつい「そうよ」って答えたんです。するとお蝶さまが「それをどうして早く言ってくれなかったの」とあたしをじっと見つめたんです。ドキドキ。学校の屋上で、「ひろみ、あの夕陽に向かって約束しましょう。あたくしたちは2度と男を受け入れたりしないって」ってお蝶さまが言いました。あたしは「はい、男なんかよりも、お蝶さまの方がずっと素晴らしい。いつまでもいつまでも私はあなたのひろみです」って答えちゃいました。

でも、コーチに誘われると断れないあたし。今日もお風呂でいけないレッスンをしてたんです。その時、ガラっと戸をあけて、お風呂に入ってきたお蝶さま。あーん、見つかっちゃいました。お蝶さまは「テニスは、テニスは腰だけでするものではありません」って、すごく怒っていて、あたしもちょっとションボリです。

試合の日です。でもあたしお蝶さまに嫌われちゃったから、教室に一人ポツンとしていたんです。そこにやってきたのがオタクの玉本くんです。あたしに、どうして試合に行かないのって玉本くんが聞くから、あたしは「あたしにはテニスをやる資格がないのよ」「もう生きてても仕方がない」って言って、屋上に駆け上がったんです。

「さようならみなさん。グッドバイ」って言って、あたしが屋上から飛び降りようとすると、玉本くんが「死ぬな、ぼくはキミが好きなんだ。キミとやりたいんだ」って言って、すがり付いてきました。思わず、玉本くんと一緒に転んじゃったあたし。玉本くんは、「ここが折れた」って、股間を押さえてうずくまっています。あたし「ダメよ死んじゃ。今、見てあげるわ」って言って、玉本くんのあそこを見てあげたんです。ピッカー。す、すごい。そのうえ、眼鏡が取れた玉本くんって、なんかハンサム。

あたし試合に行くことにしました。お蝶さまには「玉本くんのためにやらなくちゃいけないんです」ってはっきり言いました。お蝶さまは「また違う男を作ったのね。容赦しなくてよ」と怒っていたけど、でも平気。

「あなたには、ワンゲームも渡さない。それがあたくしのあなたへの愛」って言ったお蝶さまのサーブはすごい勢い。でもあたしだって、負けるわけにいかないんです。あたしの返したレシーブはお蝶さまの股間に激突したんです。そのままグリグリと回転するテニスボール。お蝶さまは、スゴイ気持ちのよさに倒れちゃったんです。

「ひろみ、今のは見事なエースだったわ」ってあたしを褒めてくれたお蝶さま。コーチはお蝶さまに「お蝶。お前は腰の鍛え方が足りんのだ。おれの鍛えた細川を見ろ」って威張ってます。でも、あたしはちゃんと話を聞いていませんでした。だって大好きな玉本くんと手をつないでグルグル回っていたんですもん。

玉本くんとあたしは結ばれました。思わず「あたし失神しちゃったんです」。コーチも「細川、俺にもやらせろ」ってやってきました。

星がチカチカ瞬いています。コーチは言います。「細川、あれがお前の星だ」「ひろみエースをねらえ」って。あーん、スゴイ。


この映画って、金子修介監督のデビュー作なんです。あ、平成ガメラの監督さんとして、オタクたちのハートをガッチリゲットした監督さんですからね。そんな金子監督の映画ですから、すごく期待して見てみたら、これがけっこう面白いんです。もちろん原作じたいが「エースをねらえ」のパロディなんですけど、それをハチャメチャに映画化してみた感じなんです。ロケ地に吉祥寺の井の頭公園が使われているところも、なんだか近場なので嬉しかったりして。でも何と言っても、嬉しいのは、最後にはオタクがモテモテってところですよね。さすがに金子監督はオタクの味方なんだなあ、ってジュンとしちゃいました。

えーと、念のために書いときますが、ここまでの文章は宇能鴻一郎の文体をマネてみたものですから。別に頭がおかしくなったわけではありません。
実際問題として、この映画は「日活ロマンポルノ」の文法を守りつつ、好き勝手やっているなあ、と感心しました。やっぱり、日活ロマンポルノは若手監督の登竜門ですね。

ちなみに金子監督は、この映画の次には、森田芳光監督の「メインテーマ」の助監督についています。これまた森田監督の傑作で面白いのですが、そこに金子監督がどこまでかかわっていたのか、非常に興味があるところです。







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6 コメント

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私劇場で見たんです (deep)
2007-09-19 12:53:31
 私、この映画、封切り時、横浜の伊勢崎町の日活会館で見たんです。大学生だったんです。

 森田芳光監督「ピンクカット 太く愛して深く愛して」もそうでしたが、当時の日活って青春映画してました。いや、勢いがすごんです。

懐かしくて、書き込みしちゃいました。

いや、はずかし。
それは凄いんです (いくらおにぎり)
2007-09-19 15:06:36
伊勢崎町の日活会館なんて、場所からして凄そうなんです。なんか、別の意味であぶなそう

それにしても、この映画の封切りは84年の2月なんで、わたしは大学入試真っ最中だったんです。もちろん、ロマンポルノ観てる余裕なんてないんです。でも入試の帰りには早稲田松竹でスタートレックの2本立てを観ちゃいましたけど。

いや、ホント、この文体は恥ずかしいです。

ところで、再び宇能鴻一郎に挑んだ記事を今日アップする予定です。思わぬ偶然にビックリしました。
私も・・・ (ポン太)
2007-09-25 22:05:21
宇能鴻一郎の作品はよく劇場で観ました。
どれも可愛らしくて可笑しくて明るい作品ですよね。
でも、これは見てない。なんか悔しい(笑)。
さっすがー (いくらおにぎり)
2007-09-26 15:58:29
……さすがポン太さん。「よく」劇場で観ていたんですね。チョイ悪お兄さんだけあります。
ぼくは、高校生のころ悪友と連れ立って新宿にロマンポルノを観にいきましたが、はっきり言って、なんてタイトルだったかも覚えていません。なにしろハダカがあれば、お話なんて、どうでも良かったので。まして、監督の名前なんて、1ミリも気にしませんでした。
DVDで借りて見ました (阿佐谷みなみ)
2008-04-18 19:36:47
スタッフを見ると、主題歌「太陽がくれた季節」を歌ってるのは、青い三角定規じゃないですね。
「暗い三角定規」とありました。笑
そんなとこまで (いくらおにぎり)
2008-04-19 15:19:52
ぷぷっ。そんなとこまで、こだわっていたとは。全然、気がつきませんでしたよ。さすが阿佐谷みなみさん。まあ、フオークソング自体が、全体的に暗いので、ぴったりかもしれませんけど。

ちなみに、ぼくはカラオケでフォークソングばっかり歌うので、「フォークの残党」とか言われたことがあります。

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