いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】地震列島

2006-07-17 | 邦画 さ行

【「地震列島」大森健次郎 1980】を見ました。

おはなし
地震学者の川津陽一(勝野洋)は、さまざまな兆候から近いうちに東京を地震が襲うことを予測したものの、地震予知検討会の他のメンバーからはとりあってもらえません。しかたなく、フリージャーナリストの橋詰(永島敏行)と組み、テレビで地震の危機を訴えようとするのですが、政府関係者に妨害され……。


前半部分で紹介した登場人物たちが、東京に直下型地震が起きた時に、パニックに襲われながらもいかに勇敢に対処するかを描いた、まさに東宝特撮パニック映画の王道。

というのは大嘘で、実態は大森監督のチープな2時間ドラマと中野昭慶特技監督の火薬大盛りの奇妙な結合です。

まず勝野洋が、東大卒の地質学者に見えるか、という深刻な疑問をはらみつつ映画は始まります。地震予知検討会で学会の重鎮、大滝秀治にかみつく勝野洋。絶対に30日以内に東京に地震は来ます。と豪語したうえ、理由を問われると学者の直感です、と言い切ります。さすがに激怒する大滝秀治から、予知検討会メンバーを馘首にされますが、まあ当然な気がしないでもないですよね。

意気消沈して、マンションに帰る勝野洋。とはいえ、部下の多岐川裕美のマンションですが。ここで、また多岐川裕美がやはり地震学者に見えるのかという疑問がふつふつと湧いてきます。自然な動作で、勝野洋にビールを注いであげ、勝野がタバコをくわえるとスッと火をつける多岐川裕美。いや、絶対に水商売だよ。土商売(地震学者)には見えないって。

一方、フリージャーナリストの永島敏行は多岐川裕美の幼なじみ。というか片思い。多岐川から、地震の話を聞いた永島は勝野洋に取材を敢行します。

テストコースで2台のクルマを激突させる実験を行っている勝野洋。
「地震で一番怖いのは、衝突したクルマが炎上することです」と言い切り、燃えないクルマの開発をしたいそうです。でも、あんた地震学者だろ、と思わないでも無いんですが……。

さらには燃え盛るトンネルの中で、防火服をばっちり着込んで、大張り切りの勝野洋。
「こっちだ」とか言いながら非常はしごを昇っています。これは、勝野いわく、避難経路の研究だそうです。
地震は間近に迫っているのでは無かったのでしょうか。こんなことをやっていていいのか、勝野。

そんな観客の声が聞こえたのか、永島敏行に頼みテレビで地震の危機を訴えることにします。ようやく、地震学者らしい行動にでるようで、一安心です。

さっそうとテレビ局に乗り込む勝野洋。と思いきや謎の男達が現れ、勝野を車に押し込めます。
「怪しいものではありません」
と言ってますから、まあ大丈夫なんでしょう。
連れていかれたのは、内閣の秘密司令室。そこには、佐分利信の首相と佐藤慶の官房長官が待っていました。でも、この二人どうみてもヤクザの親分と代貸しにしか見えません。
親分が言うには、国民にパニックが起こると困るので、テレビでは話さないように、とのこと。学者の誇りをかけて断る勝野洋!と思ったら、しごくあっさりと丸め込まれています。ここで、男の意地を見せていたら、何人かの命は救えたんじゃないかー、と思いますがね。

一方、そんな自体の深刻化をよそに、浮気のつけが回ってきた勝野洋。
義母に家を出ていくように言われ、内心ラッキーと思っていたのでしょうが、奥さん(松尾嘉代)はそれでは収まりません。多岐川を交えた3人で話し合うように要求します。

そして、いよいよ「その日」がやってきます。
待ち合わせ場所に行くために、地下鉄に乗る勝野洋と松尾嘉代。永島敏行にお別れの電話をかけ、マンションで身支度をしている多岐川裕美。気持ちが収まらず、そのマンションに急ぐ永島敏行。

そこに巨大地震が東京を襲いました。着陸に失敗するジャンボ。崩れる高速道路。壁が崩れたマンションでは多岐川裕美が取り残され、大ピンチ。また地下鉄は前後がトンネルの崩落で、勝野洋と松尾嘉代は脱出路を失います。

多岐川は永島敏行の決死の活躍でピンチを脱出しますが、問題は地下鉄組の勝野洋と松尾嘉代。脱出するには、充満したガスに火をつけ、崩落箇所を爆破するしかない。勝野洋は、大勢の命を救うために、自らの命を犠牲にして、自爆するのでした。

ラストシーンは松尾嘉代のアップで終わりです。。。。

なんだこりゃ。主人公の勝野洋が消えて、脇かと思っていた松尾嘉代で終わるとは。

ところで、この映画、脚本は日本映画界の巨人、新藤兼人です。
新藤兼人と言えば、妻子がありながら、乙羽信子との恋に生きた男。

この映画に置き換えると、新藤兼人が勝野洋。乙羽信子は多岐川裕美に当たるわけです。ここで、新藤兼人の心理を分析してみると、きっと妻子に対しての罪悪感というのは消えずに残っていたのではないでしょうか。でも、悪いのは自分。乙羽さんを責めないで欲しい。そんなことから勝野は死に、多岐川が助かる。そして正妻の松尾のアップでエンディングという結末になったのではないかと、想像しているのですが。

 

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13 コメント

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なんだか… (夢見興亡)
2006-07-17 23:48:54
支離滅裂な映画に思えますが、とても面白そうですねwww
多分 (いくらおにぎり)
2006-07-18 08:34:27
>夢見興亡さま



この映画。ニュートンな竹内均などの学者さんたちが特別スタッフとして参加しています。

で、地震について、防災についてなどを、きっと熱く語りまくったんじゃないでしょうか。

それを生真面目な新藤兼人が、あまさず脚本に盛り込もうとする。

その結果、でき上がってみたら、よく分からない脚本になってしまった。

多分、こんなことじゃないかと思うんですけど。
黒澤弟子の愚行 (そいれんと緑)
2006-07-30 07:14:41
はじめまして いくら様の「例える」文章はなかなか冴えていますね。まいっちんぐ!私はこの映画を小屋でみましたが かなり失望したことを憶えています。大森健次郎監督・・・。たしか「塩狩峠」という作品がありました。あとは黒澤の助監をしていたことしか知りません。うーん 悪い人ではないと思いますが。「バルトの楽園」を撮った出目昌伸の「白い野望」は二十歳頃に見ました。その凡庸さ いい加減な人物描写は本作を見たときの怒り 失望に似ています。このひとも黒澤の助監でししたわ。
師匠が悪いのかな (いくらおにぎり)
2006-07-30 10:23:21
そいれんと緑さま、はじめまして。

いくらおにぎりと言います。コメントありがとうございました。



そうですか、大森健次郎も黒澤の助監だったんですね。なんか、振り返ると黒澤の助監って大成しない人が多いような。同時期に活躍した木下恵介の元からは、川頭義郎(霧子の運命は傑作!)、小林正樹、松山善三、吉田喜重などが出ていることを考えると対照的です。

結局、黒澤は助監をあくまで道具としてしか見てなかったのかもしれませんね。

あの本多猪四郎でさえ、最後は黒澤に使い潰されたようなものですし。
今 熱中している監督 (そいれんと緑)
2006-07-30 13:12:19
はははは(笑) 本多木目ノ守は黒澤に使い潰されたとはなんとも。しかし邦画の知識が凄いですねえ。マイブームが「増村保造」なんですよ。今。ビデオレンタルで10本ほど見ましたが やっこさんの脂ののっている時期の作品ばかりなので吹きだしてもおかしくない場面でも力業で見せられてしまってます。「氾濫」が一番好きですね。人間の恥部を嫌味なくさらけ出す、才能は凄いなと。「セックスチェック」もいいなあ。この監督は山田洋次の作品を「あんな日本なんてないし、大衆は依然としてああいうものがいいんですかね。」と発言していましたが、共感します。まあ寅さんの初期の作品はいいと思いますがね。しかし山田監督は何で欽ちゃんを映画に出さないのかなあ。
欽ちゃんですか (いくらおにぎり)
2006-07-30 19:12:02
そいれんと緑さま、こんにちわ



増村保造ですか、いいですよね。「氾濫」は見ていないんですが、今までみた16本のうち、ハズレが2~3本しかないのは、凄いなあと思います。もっとも、いまだ増村保造の残した作品のうち3分の1も見ていないので、大きなことは言えないんですけど。



増村保造の山田洋次への発言、キツイですねえ。さすが、増村。新藤兼人の「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」でも、溝口のことをけっちょんけっちょんに言っていたのを思い出します。さすが、一高から東大法学部の超エリートコースだけあります。



>山田監督は何で欽ちゃんを映画に出さないのかなあ

き、欽ちゃんですか。何故に?

確かに、顔は笑っていても「眼が笑っていない」のは共通してますけど(笑)

怪奇。・ (そいれんと緑)
2006-08-01 12:29:45
どーも緑です。山田 欽ちゃんコネクションは後日述べたいと思います。 増村の他に怪奇・SF物を見ています。レンタルでは旧ソ連のSF映画「火を噴く惑星」 B級に徹していて楽しめる佳作。拾い物でした。「ソイレントグリーン」これはDVDをゲット。これはすごく好きです。EGロビンソンが素晴らしい助演。怪奇では「エドガーアランポーの黒猫」3話オムニバス 本タイトルの「黒猫」が面白い。BプライスとPローレのワインを交互に試飲するシーンが素晴らしい。プライスの軽妙な演技・ローレのリラックスした飲みっぷり。 
洋画は弱いんです (いくらおにぎり)
2006-08-01 22:05:13
そいれんと緑さま



いくらおにぎりです。どうも、洋画は弱くて良く分からないです。特に怪奇・SF物は、まったく分かりません。以前、タルコフスキーの「惑星ソラリス」を見た時は、退屈で失神しそうになりました。

ソクーロフ 監督の「太陽」はちょっと興味があるので、夏休みに見に行こうかなと思っているんですが。でも、銀座は遠いな。
ゴジと勝新 (そいれんと緑)
2006-08-02 16:31:43
やはり「太陽を盗んだ男」が邦画ナンバーワンです。「青春の殺人者」も好きです。彼が脚本を書いた。「青春の蹉跌」もいいな。音楽も素晴らしい。彼の超大作「連合赤軍」をなんとか実現してもらいたいけど、幻の映画になりそうですね。青春編と死闘編の2部作で合計6時間の大作だもん。今のご時世 長谷川和彦にそれだけの金をだす人はいないでしょうね。 この前 古本屋で「太陽」のTVCMフィルムをゲットしたですよ。 勝新もすきですな。「座頭市」「悪名」いいですね。「やくざ絶唱」「不知火検行」もいい。あとは「顔役」のDVD化を望みます。倉本總が勝新を時流に取り残されたシナリオライターとして描いたドラマに出そうと画策していたみたいだけど流れて良かった。そんなの勝新じゃないもん。
ディレカンでは (いくらおにぎり)
2006-08-04 18:33:48
そいれんと緑さま





「ゴジ好き」なのですね。ぼくは「青春の殺人者」は見られませんでした。正視に耐えないというか、市川悦子を殺している段階でギブアップでした。もちろん、ホラー映画とかは平気なので、それだけ長谷川演出が真に迫っていたということなんだと思いますけど。

逆に「太陽を盗んだ男」の方は、娯楽作品として見てしまったというか、菅原文太のターミネーターっぷりに圧倒されて、テーマにまで思いが至らなかったという感じです。



個人的にディレカンの中では相米監督が好みです。

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