いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】ジャン有馬の襲撃

2007-02-13 | 邦画 さ行

【「ジャン有馬の襲撃」伊藤大輔 1959】を観ました。



おはなし
イベリヤ王国の植民市珠江で、日本人達が虐殺されました。それに怒ったのがキリシタン大名の有馬晴信(市川雷蔵)。自らの非を隠し、あまつさえ賠償金までふんだくろうとするイベリヤ人に晴信の正義の鉄槌がくだります。

市川雷蔵が、天草四郎みたいな飾り襟のついた服で登場です。ちょっとマヌケです。

慶長14年、イベリヤ王国(架空の国)の植民地珠江で、日本人船員と一人の女性が謂れのない罪で銃殺されました。色めき立つ日本人たちに容赦なく銃弾を浴びせるイベリヤ人たち。ついでとばかりに、有馬家の御朱印船にまで砲撃を加える鬼畜ぶりです。
そのうえ、非道なイベリヤ人どもは、生き残った日本人たちを奴隷にして、船を漕がせ長崎にやってきました。目的は賠償金の要求。有馬家の御朱印船が反乱を起こし、珠江市を焼いたと言うのです。彼らは証人として、有馬家の船頭差配役の小畑三郎兵衛(山村聰)を伴って徳川家康のいる駿府への道を急ぐことになりました。

これを聞いて収まらないのがジャン有馬ことキリシタン大名の有馬晴信(市川雷蔵)です。ジャンはさっそく、三郎兵衛を取り返すことにしました。疾風のごとくイベリヤ人一行を急襲した有馬晴信の配下は、罪人駕籠に乗せられた三郎兵衛を駕籠ごとすり替えて救い出します。もちろん、ジャンは偉い奴ですから「有馬修理大夫奪之」(ありましゅりだゆう、これをうばう)と書き置きを残すことを忘れません。そして、ジャンは三郎兵衛からイベリヤ人の悪巧みを全て聴き出したのでした。

さて、駿府に到着したイベリヤ人どもは、無茶な外交要求とアラブ馬の献上という硬軟取り混ぜた外交活動を展開します。珠江市からの日本人の退去、イベリヤ植民市への日本船の入港禁止、さらにイベリヤ国王への正式な謝罪などを家康(三島雅夫)に要求しました。腹心の本多正純(坂東蓑助)が「どうしますか」と家康に聞くと、家康は全部受け入れてしまえと言い出します。家康の腹としては、イベリヤを敵に回して豊臣家に大砲や弾薬を売られてしまったら困るというのです。

家康はジャンを呼んで激怒します。しかし、フリフリの襟のわりにジャンは立派に申し開きをしました。イベリヤの大船長のカストロが、日本人娘を乱暴しようとしたこと。それを見つけて助けに来た日本人船員たちを銃撃したこと。ついでに御朱印船を砲撃したことを述べ、イベリヤの目的は中国大陸から日本人の勢力を駆逐することだと家康に訴えます。しかし、家康は渋い顔です。と、その時、イベリヤ人の献上した馬と日本の馬との馬比べが行われることになりました。勝負は伯仲、いい勝負です。しかし、卑怯なイベリヤ人は見えないところで武士に鞭を振るい、落馬させてしまいました。そこにとび出したのがジャン。颯爽と馬にまたがると、イベリヤ人を追いかけ始めました。あっという間に距離をつめるジャン。またもイベリヤ人は鞭を振るってきます。危ない。でも危機一髪のところでジャンはイベリヤ人に打ち勝つことができたのです、良かったねジャン。

喜んだ家康は、何でも褒美を取らせようと景気の良いことを言い出しました。当然ジャンは、イベリヤ船に捕らえられている日本人奴隷34人を救う許可を求めます。しかし、家康はそれだけは許さんとの一点張り。その上で、褒美に孫の鶴姫(叶順子)をやろうと言い出す始末。ジャンは困惑してしまいます。これでは、抽選に当たりましたと言って、ヘンな商品を売りつける悪徳商法みたいですよね。

さて、イベリヤ人一行は中国で反乱が起きたとの一報を受けて急きょ、長崎に戻り船を出撃させることにしました。イベリヤはアジアに船を一隻しか派遣していないのかとか、一隻で行って反乱を鎮圧できるのかとかは言いっこなしです。ジャンはそれを聞いて、決断します。家康の許可はないが、日本人奴隷を救うと。

急ぎ、領国に戻り総登城の太鼓をドンドンと打ち鳴らさせたジャン。家臣は何だ何だと慌てて登城してきます。ジャンは家臣に今までの経緯を丁寧に説明します。悲憤慷慨する家臣たち。「破滅は晴信の身一つではすまん」と言うジャン。しかし「一藩の存亡か、日本国の面目か」どちらを選ぶのだ、と家臣に訴えます。まあ、家臣たちとしては、バカ殿がまた何か始めたよ、という気分かも知れませんが、場の勢いというのはバカにできません。ジャンが「こらえて候」と言うと、思わず「おおーっ」と答えてしまいました。いきなり「あべまるや(アベマリア)」と唱え出すジャン。家臣一同でお祈り開始です。「我に天佑神助」があれば」と恍惚の表情でつぶやくジャン。いきなり神頼みなところが、どうにも弱気ですね。

長崎奉行(根上淳)や、腕利きの水先案内人パウロ王(わん)の協力も得て、ジャンの家臣たちは一斉に船を出撃させます。しかし、相手はデカイ帆船ですから、こちらもやぐら船を持ち出さないと相手の船に乗り移ることさえかなわないのです。でもやぐら船はノロイ。幸い、パウロ王が自らの命と引き換えに、帆船をわざと座礁させ時間稼ぎをしてくれました。それでも、まだ時間が足りません。そこで船頭差配役の三郎兵衛が、自ら帆船に乗り込み更なる時間稼ぎをすることにしました。事件の責任を取って腹を切るというのです。時ならぬ切腹ショーに、野蛮なイベリヤ人どもは大興奮。時を忘れて三郎兵衛の切腹を見物しているのでした、バカな奴らです。

そこに水中を泳いでやってきた有馬家の決死隊。帆船に取り付き、外からギコギコと壁に穴を開け始めました。別段、やぐら船はいらなかったような気もします。壁に開いた穴から続々と逃げ出す日本人奴隷たち。日本人奴隷は全員脱出しましたと、喜んで報告にきた家臣にジャンは激怒します。中国人やインド人の奴隷はどうした、日本人以外は人間じゃないのか、「みんな救い出せ」と言うのです。自分が家康に日本人奴隷を救いたいとか言っていたことはキレイさっぱり忘れているようです。殿様ってのはこうでなくっちゃね。

おかげで、時間稼ぎもパアに。気づいたイベリヤ人どもが、パンパンと銃を撃ち出しました。こうなったら仕方ありません。決戦です。やぐら船から次々と帆船に乗り移っていく有馬武士たち。しかし、数は圧倒的に多い割に弱いらしく、どんどん倒されていきます。イライラしてきたジャンは、家臣の制止を振り切って帆船に突っ込みました。しかし敵もさる者。特に大船長のカルロスは鬼のような強さです。有馬武士が一人また一人とカルロスに倒されます。ようやく一人の有馬武士がカルロスを羽交い締めにして、俺ごと刺せ、と自らの犠牲でカルロスを刺すことに成功しました。それでもカルロスは、まだまだ動いてます。打ちかかったジャンは返り討ちになりそうでしたが、どうにかこうにかカルロスを倒すことができました。思わず、「王、三郎兵衛」と十字を切ってお祈りをするジャンです。

結局、この一件が家康にバレ、ジャンは流罪になることになりました。おじいさまに許可はもらったと鶴姫が同行を申し出ますが、それをやんわり断るジャン。一人で十字架を背負うとか、カッコいいことを言っていますが、どうやら三郎兵衛の娘の白人美女が好きみたいです。
「おひとりで行きゃるのか」と鶴姫に聞かれたジャン。いえ、戦いで死んだ人たち、そして自分の思い出に残る人たちの歌声が聞こえます、とシャブ中みたいなことを言って、天を仰ぐのでした。

とりあえず三島雅夫の家康は本当にはまり役だなあと言うことと、山村聰はおいしい役でカッコよかったなあ、というのが記憶に残ります。

それに引き換え雷蔵はなんかマヌケ。いえ、雷蔵はきっちり芝居をしているんです。美麗メイクも決まっていますし。でもこの脚本のジャン役は、あまりにもダメ過ぎです。これじゃあ、真面目に演ずれば演ずるほどバカっぽくなってしまいます。

この話は実話がベースになっています。確かに有馬晴信は自らの水夫が殺されたことに怒ってポルトガル船を攻撃して沈没させています。でも、実際は家康が怒って命令しましたし、沈めた後は家康は晴信を褒めちぎっています。しかし、調子にのった晴信は旧領を返してもらえると期待して、家康の側近の部下に賄賂を贈りまくって、結局それがバレて流罪になってしまったのです。かなり映画とは違う話ですね。
あと、家康の孫の国姫(映画では鶴姫)と結婚したのは、実際には晴信の子供の直純。晴信が汚職で流罪になったあと、父と仲が良くなかったのと、家康の孫娘を奥さんにもらっていたおかげで無事に島原藩を継げたそうです。人生、何が幸いするか分からないものです。

あと、映画の中で日本人奴隷たちがオールを漕がされていますが、あきらかにベンハーに出てくるガレー船のイメージですね。このころのキャラック船はあくまで帆船。奴隷がえんやこらと漕ぐものではありませんでした。念のため。




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