いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】新幹線大爆破

2007-02-17 | 邦画 さ行

【「新幹線大爆破」佐藤純彌 1975】を観ました



おはなし
新幹線に爆弾が仕掛けられました。時速80キロ以下になると爆発です。乗客の安全を第一に考えている国鉄。犯人逮捕に重きを置く警察。それぞれの思惑が交錯し、タイムリミットは刻々と近づきます。

高倉健、宇津井健の「ダブル健」主演です。しかし、この二人が顔を合わせるシーンは一切ありません。ですから犯人の高倉健を中心としたクライムサスペンス、そして宇津井健を主人公としたパニック映画の二つにキレイに分けられると思われます。実際、海外で公開された時は、高倉健のシークエンスをばっさりカットして、単なる暴走列車パニック映画にされていたらしいですし。そう考えると、上映時間がちょっと長い(152分)のも納得ですね、なにしろ2本立てのようなものですから。

まずお話は高倉健パートから。

沖田(高倉健)はしがない町工場のオヤジでした。沖田精器製作所と名前だけは立派な、その工場は電磁式速度計測器などを作っている会社ですが、融資が受けられなくなり倒産。ガス自殺までしようとした奥さん(宇津宮雅代)も子供を連れて去り、健さんのもとに残ったのは、沖縄出身の青年・浩(織田あきら)だけです。そもそも集団就職したものの失職。食うに困って、血を売ってどうにかこうにか生きていた織田あきらを、工場に雇ってやったのは健さん。織田あきらはその恩を忘れず、工事現場で働いて、すっかりやる気の無くなった健さんを食べさせてあげているのです。今どき珍しいイイ奴ですね。(まあ30年以上前の映画ですから今どきって言い方もヘンですが)

すっかり抜け殻の健さんは、昼間からラグビーの練習をボケっと見ているだけ。そんなある日、やはりラグビーの練習をボヘーっと見ている古賀(山本圭)と知り合いました。山本圭は元過激派。でも今では、女のヒモになってブラブラしている負け犬です。負け犬どうし気が合ったのでしょう。健さん、山本圭、それに織田あきらの3人は不思議な共同生活をおくるようになったのです。とはいえ、織田あきらと山本圭が建設現場で働いて健さんに貢いでいる形ですが。

そんなある日、織田あきらが現場で怪我をしてしまいました。そんな時、頼りになるのは山本圭。元過激派ですから、現場から見舞金をがっぽり踏んだくるのはお手の物でした。しかし、山本圭の気分はこんなものでは収まらないようです。ポソっと「爆弾でやっつけるか」と言い出しました。ちょっとヒイてしまった健さんですが、腹いせに建設会社を爆破したって何にもなりません。どうせやるなら新幹線に爆弾をしかけて、ガッポリ儲けることにしたのです。

3人の夢。織田あきらはハーレーの1200を買うこと。まあ安いけど青年らしい夢ですね。山本圭の夢は、革命がうまくいった国に行くこと。金はあっても、そういう国があるのかが微妙なところです。そして健さんは「俺はブラジルにでも行ってみたいなあ」。いや、出稼ぎにいくなら、金はいらないんじゃないか?

ともあれ、健さんの工場で作っていた電磁式速度計測器とダイナマイトを組み合わせれば立派な爆弾ができます。ダイナマイトとパスポートは、がめつい何でも屋から購入しました。その何でも屋が、強引に仲間に入れろと言ってきたのはは困りましたが、とりあえず準備は万端です。計画としては、貨物列車と新幹線に爆弾をしかけます。貨物列車は速度が上がって、いったん装置が作動したら、次は時速15キロ以下になると爆発する設定です。そして新幹線はやはり80キロ以上で作動し、再び80キロ以下になったら爆発する設定にしました。実行直前に何でも屋が警察に捕まるというハプニングがあったので、計画は前倒しにしました。とりあえず、夕張の「貨物5790列車」と新幹線の「ひかり109号」には爆弾を仕掛け終わっています。新幹線の出発後に、新幹線総局に電話する健さん。爆弾を仕掛けたことを告げ、うそだと思うなら貨物列車を時速15キロ以下に減速してみろと言って電話を切ります。早速、試したところ貨物列車は爆発しました。国鉄は大騒ぎです。それを見計らったように再び電話をした健さんは、新幹線に仕掛けた爆弾の解除方法を教えて欲しければ、500万ドルすなわち日本円で15億円を用意するように命じました。そうかあ、このころは1ドル300円だったんですね。

結局、国鉄は500万ドルを用意しました。電話をした健さんは、金を持った人間を長瀞のライン下りに乗せるように命じてきました。見え隠れしながら、後を追う警察。と、激流の真ん中でトランシーバーから健さんの指示が飛びました。断崖絶壁の上に待機していた織田あきらが垂らしたロープに、現金の入ったトランクを結び付けろというのです。反対の川岸を追ってきていた刑事たちは悔しくて歯噛みします。あんなところにいたとは。トランクはロープに結ばれジリジリと断崖絶壁を上がっていきます。そこに、偶然、大学の柔道部がえっほえっほとランニングしてきました。「おーい、そこに新幹線爆破犯人がいる。捕まえてくれ」と怒鳴る刑事たち。気の良い柔道部員たちは、何だ何だと織田あきらの方に向かってきます。びっくりした織田あきらはトランクを捨ててスタコラと逃げ出すのでした。渓流釣りの釣り人に扮して一部始終を見ていた健さんは、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして、唖然と見送るだけでした。

バイクに飛び乗った織田あきらは懸命に逃走を開始します。それを追うパトカーたち。健さんもライトバンに乗って懸命に後をついていきます。しかし、追われた織田あきらは、逃げ切れず電柱にぶつかって死んでしまいました。それを見ていた健さんは、もうガックリです。
ここで、問題点。警察は何をしたかったんでしょう。普通、現金を受け取った犯人を尾行して、アジトを見つけるのが先決だと思うんですけど、堂々と追っかけてどうするんでしょう。それに、一般人の柔道部員に捕まえてくれと頼むのもいかがなものかと。犯人が銃とか持ってたらどうするんですか。まあ、柔道部員はちょっとやそっとじゃ死なない、という考え方もアリなのかも知れませんけどね。

さて、夕張の貨物列車爆破で残した指紋から身元が割れた山本圭。アジトに戻ろうとしたとき、たまたま張り込んでいた刑事に見つかってしまいました。慌てて逃げ出す山本圭。刑事は山本圭に追いつけないと思うと、いきなり発砲です。どうするんですか、当たったら。と、当たっちゃいましたよ。しかし、発車直前の電車に滑り込み、どうにかこうにか逃げることに成功した山本圭です。足を撃たれた山本圭はヨロヨロとアジトに戻ってきました。織田あきらが死に、山本圭は撃たれ、健さんはすっかり弱気です。
「なあ古賀(山本圭ね)。浩(織田あきら)が死に、お前がやられた。俺たちの負けかなあ」と逃げ腰な健さんは、
「俺たちは誰も殺さない。誰も殺されない完全犯罪をやるつもりだった」と愚痴り、「そろそろ旗を巻くころかもしれんな」と言い出します。しかし山本圭に「浩が死んだって、俺が死んだって、極端に言ゃあ、あんたが死んだって、この仕事をやりとげりゃ俺たちは見苦しくなくなるんだ」と活を入れられて、分かったと答えます。やはり、いざとなると過激派の方が腹が据わっていますね。

早速、健さんは再度の現金受け渡しにチャレンジです。高速の退避エリアに軽トラを停め、そこからバイクを引っ張り出す健さん。バイクはCB750でしょうか、それにまたがって颯爽と走り出す健さん。おお、ちょっとカッコいい。健さんは、公衆電話から再び新幹線総局に電話をします。ひとしきり嫌味を言ったあと、高速に停めた軽トラに現金入りのトランクを入れるように指示をする健さん。もちろん警察は後を尾けるなと釘を刺すのを忘れません。でも、健さんはヘルメットをかぶったまま電話をしてます。ヘルメットの上から受話器を当てたって、声なんか聞こえるはずも無いじゃないですか。かなりうろたえていますね。しかし、それでも何となく会話が成立しているのが不思議ですが、多分健さんの耳には妖精の声でも聞こえているということにしておきましょう。

さて、少したってバイクで軽トラに戻った健さん。良かった、トランクが置いてあります。話はちゃんと通じていたみたいですね。早速、健さんはトランクをバイクに積み、走り出します。その後には、赤色灯をバリバリつけたパトカーが。まったく警察も学習能力ゼロです。まさに、2大バカの対決状態です。しかし、ここでは健さんの方がちょっとバカ度が少なかったようです。高速道路に隠しておいた工事用ヘルメットや、縄梯子を使って脱出するという「そこまでやる必要があるのか」という方法で、無事警察の追っ手をまくことに成功したのです。そして、健さんは「約束は守る男」ですから、爆弾の解除方法を記した図面を喫茶店に預け、新幹線総局に図面のありかを教えるのでした。ところが、その喫茶店は火事。図面は燃えてしまいました。ありえない展開に、警察や国鉄より、見ているほうが唖然です。

さて、電磁式速度計測器なんていう滅多に無い装置で爆弾を作ったものですから、警察はアジトの沖田製作所を突き止めていました。現金を手に入れたと電話をしてきた健さんに、山本圭は「あんた一人で逃げてくれ。やり遂げることが一番重要なんだ」と言い出します。やはり、実戦をくぐった過激派の勘が、危険を察知させたんでしょうね。しかし、そんな勘とは無縁の健さんはノコノコ、アジトに戻ろうとします。しかし、アジトの周りはパトカーでいっぱい。警察もこっそりアジトを急襲するとか考えていませんね。まさに男です。

迫る警官に山本圭は、ダイナマイト投げつけ攻撃で対抗します。車を停めて、呆然と見ているだけの健さん。さんざんダイナマイトを投げつけた山本圭は、"俺の戦いは終わった"というような、最高にナイスすぎる笑みを浮かべ、自らダイナマイトを抱いたまま飛び降りて壮絶な爆死を遂げました。いや、マジで始めて山本圭が「カッコよく」見えましたね。

一人逃げ出した健さんは、ホテルにこもり出国準備に余念がありません。偽のパスポートを持ち、コペンハーゲン行きのスカンジナビア航空のチケットも持っています。ブラジルって言ってたじゃないか、と突っ込みたくなりますが、やっぱり健さんだって、俺がブラジルに行ったらそれはどうみても移民だろ、と反省したに違いありません。
テレビでは、図面が燃えたよー、という宇津井健の放送がひたすら続いていますが、そんなの無視です。無視。

空港に行った健さん。張り込んでいる警察の追及もかわし、無事出国手続きも終えました。しかしテレビでは相変わらず宇津井健が解除の方法を教えてよ放送を行っています。実はこの段階では、とっくに新幹線は助かっているのですが、警察は健さんを罠にかけるために放送を続けさせているのでした。健さんとしては、もう出国手続きも終わり「自分の身は安全」ですから、電話で解除方法を教えてやることにしました。とはいえ、逆探知されないように品川電車区に電話をするという用意周到さは忘れません。さて、電話も終わり良い気分の健さん。しかし、そこに衝撃の展開が。別れた妻と子供が、警察の手によって連れられてきて、健さんを捜していたのです。思わず目が合ってギョっとする健さん。子供は、あんなのお父さんじゃないよ、と絶叫しますが、もうバレてますって。
捜査課長(鈴木瑞穂)は、「おかげで1500人の命が助かります」と言って健さんを追いかけ始めました。
刑事部長(丹波哲郎)は、「万一の場合は射殺してもかまわん」と言い放ちます。ここ、重要です。つまり捜査課長レベルは、いまだ新幹線の救出を知らず、部長レベルは、それを知っていて、なおかつ警察の今までの不手際がバレないように健さんが死ねば良いと思っているのです。
とりあえず、スタコラ逃げ出す健さん。空港を走りぬけ、掘割に飛び込み、ひたすら逃げます。丹波哲郎が「逃げるな」と言いますが、それで逃げるのを止める犯人がいるわけもありません。そこに銃声。健さんは獣のように撃ち殺されました。倒れた健さんの上を、スカンジナビア航空機が轟音を上げて飛び去っていきます。

次は、宇津井健パートです。

突然、鉄道公安部長(渡辺文雄)に呼び出された倉持(宇津井健)。彼の仕事は新幹線運転指令長です。宇津井健は、新幹線「ひかり109号」に爆弾が仕掛けられたかもしれないと渡辺文雄に言われました。そういった悪戯電話の前例もあったのでしょう。宇津井健は半信半疑ですが、いちおう運転しながらの車内検査を行うようにひかり109号に命じました。

ひかり109号に乗り込むのは運転士が二人。千葉真一と小林稔侍という濃いメンバー。車内に乗り組む鉄道公安官は竜雷太(ゴリさん)という、これまた濃い目の人選です。そこに、健さん一味だった何でも屋がたまたま護送のために乗っていたり、出産間近の妊婦がいたりと、いかにも問題が起こりそうなシチュエーション。

さて車内検査の結果、何も異常が無かったので、やっぱり悪戯か、と安心した宇津井健ですが、そこに夕張で貨物列車が爆破されたとの一報が。これは冗談ではない、とビックリです。犯人の言うには新幹線は80キロ以下に減速すると爆発するとのこと。じゃあ走らせておけばよい、と思いますが、それが簡単ではありません。なにしろ線路は博多までしかありませんし、先行している新幹線だってあるのです。宇津井健は、双眼鏡で指令板を睨みながら、あれこれ計画を練ります。しかし、先行している新幹線が故障で停車中。このままではぶつかる。宇津井健はアクロバティックな方法を考えました。下り線がふさがっているなら、一時的に上り線に「ひかり109号」を入れればよい。しかし、新幹線にはATCという機械が入っていて、何か異常があると停まってしまうのです。当然、上り車線に入るのもご法度。そこで、列車編成を超特急から、特急、回送とダイヤルをグリグリ回して切り替え、ATCを解放し、惰性でぎりぎり「ひかり20号」をかわすことに成功したのでした。と、書いていますが、実は書いている本人がよく分かっていません。鉄道ファンの方、なんかヘンなこと書いていたら、ご指摘くださいね。すぐ書き直しますから。

ともあれ、爆弾は車内から見えないところに仕掛けてありそうです。早速、高速度カメラを用意して、新幹線を撮影し、爆弾の位置を探ることにしました、しかし、新幹線が早すぎて失敗。困りました。新幹線は、なにしろ停まれないので名古屋を素通り。乗客はパニックです。大きい取引を名古屋でするはずだった商社マンは頭がパーになり、妊婦は産気づき、お伊勢参りの一行は太鼓をドンドンたたき出し、もうタイヘンな状態です。

そのうえ、頼みの綱の犯人からの情報は、警察が織田あきらを撥ね殺し、山本圭には銃弾をヒットさせた上に逃げられてしまったので、どうにも期待薄です。宇津井健としては、どうすればいいの、という気分でしょう。さすがに怒った宇津井健が警察に文句を言うと、渡辺文雄からは、無用な対立は持ち込まんでくれと、たしなめられてしまう始末。もうムカーっです。

しかし、どうにかこうにか取引は成功。喫茶店に爆弾の解除方法を書いた図面がある、と聞いて喜ぶ宇津井健。しかし、その喫茶店が火事で、図面は燃えてしまったと聞き、もうガックリもいいとこです。思わずタバコを一本吸って気を静めた宇津井健は、運転士の千葉真一に、それを連絡すると、「倉持さん、気楽でいいですね」と嫌味を言われてしまいました。可哀相な宇津井健。そのうえ、千葉ちゃんは、こんなんだったらSLが良かったとか、不満を全部、宇津井健にぶちまけます。さすがにムッとした宇津井健は「つまらない感情に動かされるんじゃない」と千葉ちゃんを怒りますが、でも生真面目は宇津井健ですから、そうとうダメージ受けてますよ。

しかたなく宇津井健はテレビに出ることにしました。"図面が燃えちゃったので、犯人の皆様、どうか連絡をください"というお願い番組です。生真面目は宇津井健が切々と訴える姿は、心を打ちますが、残念なことに犯人の健さんは、自分の身がかわいいヘタレですから、連絡をもらえません。

じゃあ、どうしよう。もう一回、高速度カメラで撮影してみようじゃないか、ということに話はまとまります。しかしもう夜になり真っ暗なので、地元のテレビ局から有りったけのライトを借り出し、背水の陣で撮影を行うことにしました。宇津井健はジリジリと撮影の結果を待ちます。そこに政府筋から国鉄総裁(志村喬)に、新幹線を停めてしまえという命令が届きました。関門トンネルや、北九州の工業地帯で新幹線が爆発したらタイヘンだから、そのまえに山口県の田園地帯で爆破してしまえ、と言うのです。当然、そういった責任のモロモロは宇津井健にかかって来るわけで、宇津井健はもうヘロヘロです。
と、待望の結果がやってきました。高速度撮影は成功です。2両目左。第一台車の外側の支持板にダイナマイトがあるのが発見されました。夕張事件の結果から、タラップ下のコードを切断すれば、爆弾は機能を停止するはずです。早速、ドアを開けてコードを切ろうとする鉄道公安官の竜雷太。ダテに「太陽にほえろ」でゴリさんと言われていたわけではありません。竜雷太に任せておけば安心です。コードに手を伸ばし、引っ張り、さあ切ろう、「アウチ」石が手に当たって思わず竜雷太はコードを離してしまいました。ああ、コードはブランブランです。もう手も届きません。やってしまいました。

ここであきらめたら乗客1500人は全員死亡です。宇津井健は次の策を思いつきました。新幹線の床下をバーナーで切断すれば良いのです。バーナーは、もう一両の新幹線を併走させ、そこから運び込めばよい。完璧な計画です。早速、もう一両の新幹線がならび、梯子を渡してバーナーの移設作業が始まりました。障害物の無いわずかな直線区間でしかできない作業。時間との勝負です。どうにか、重いバーナーを移し終えたその瞬間、障害物に当たって、梯子は砕け散り、新幹線のガラスを突き破りました。間一髪でした。
どうせなら技術者を移動させればよかったのに、誰も行きたがらなかったんでしょう。運転士の千葉ちゃんが、バーナーで床を切断し始めます。サングラスをかけて、楽しそうに作業をしている千葉ちゃん、運転士よりよっぽど似合っています。無事、床下を切断し、コードを切断することに成功しました。喜びに沸く指令室。しかし、そこにさらなる凶報が舞い込みました。写真を分析したら、もう一つ影のようなものが見えるというのです。爆弾かもしれないし、爆弾じゃないかもしれない。とてもあやふやな報告です。

当然、宇津井健は確認を取って、場合によっては爆弾の起爆装置解除を望みます。しかし、新幹線総局長(永井智雄)は列車を停車させるように言い出しました。なにしろ政府の命じてきた停止地点(ゼロ地点)まで、あと僅かなのです。躊躇する宇津井健に総局長は、
「倉持君。君が指令できないなら私がやる」と追い討ちをかけます。宇津井健の脳裏に、新幹線が爆発し、引きちぎられ、多くの人が死んでいく阿鼻叫喚の光景が浮かびます。しかし、宇津井健は静かに、
「私がやります」と言うのでした。カッコいいぞ、宇津井健。男だ宇津井健。
「減速開始」と言う宇津井健に千葉ちゃんが「減速します」と答えます。
「異常は無いか」「異常ありません」
新幹線は無事に停車しました。車内はもう大歓声です。指令室も喜びと安堵に包まれています。しかし、宇津井健は総局長をグッと睨むのでした。そして宇津井健は、指令室から出ます。と、テレビではいまだに宇津井健の爆弾犯へのお願い放送を流しているではありませんか。宇津井健は鉄道公安部長の渡辺文雄に文句を言います。乗客の安否を気にして死ぬ思いの家族に、一刻も早く無事を知らせて欲しいと。しかし渡辺文雄は、犯人を罠にかけるために、必要だからと聞く耳を持ちません。愕然とする宇津井健。
指令室に戻った宇津井健は局長に「私、辞めさせていただきます」と言います。しかし、偉い人たちは、何を青いこと言っているんだい、と言わんばかりの態度です。誰にも宇津井健の気持ちは分からないんでしょうか。
ガックリとうなだれた宇津井健は、再び指令室を後にして、廊下のテレビを見て「嘘っぱち」とつぶやきます。そして、テレビを消し、
「俺は1500人の命を見捨てたんだ。俺が停車を命じたんだ」と苦い言葉を噛み締めるのでした。


熱い映画です。とりあえず、高倉健パート、宇津井健パートともに、権力の醜さを浮き彫りにするような力強い語り口でした。しかし、両方見比べると、やはり、より心に残るのは宇津井健パート。健さんの方が、どちらかと言うとヘタレだったに比べて、宇津井健は問答無用のカッコよさです。まさに仕事の進め方も、筋の通し方も「プロフェッショナル」でした。こういう役を演じて、クサイんですけど、それでもどこか説得力があるのは、まさに宇津井健の人徳。普通だったらこんなヤツいないよ、になるところが、いや宇津井健ならありえる、と思わせてしまうのがさすがです。

まあ、ぼくが高倉健は「好き」で、宇津井健が「大好き」というのもあるかもしれませんが、この映画の「ダブル健」勝負は、宇津井健の勝ちと、言い切ってしまいたいと思います。

ちなみに、出演者はちょい役を含めて豪華。山本圭を駅で見逃す間抜けな刑事さん役で、北大路欣也がチラっと写ったり、航空会社のチケットカウンターの受付嬢が何気なく多岐川裕美だったりと枚挙に暇がありません。そのため、健さんが倒れて死んだあと、余韻も何もないまま、超デカ文字で「特別出演」の文字が画面上にあらわれ「丹波哲郎」とか出ちゃうのには参りました。ついでにその次のクレジットは北大路欣也、川地民夫、田中邦衛です。何気なく川地民夫が大物扱いなのには、クスっとしてしまいました。


(健さん、メット脱ぎわすれてるって)


(宇津井の健さんは正義の男)


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15 コメント

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未見の人は是非、見てほしい!! (ポン太)
2007-02-17 19:33:44
いくらおにぎりさん、こんにちは!
この映画、確かに 警察の馬鹿さかげんは、理解を超えてますよね(笑)。
これじゃ~宇津井健が怒るのも無理はありませんよ。
しかし「スピード」なんかよりは、ずっと緊迫感があって面白かったです。
オープニングからのタイトルコールも決まってましたよね!
未見の人も多いと思いますので、是非オススメしたい一本ですよね。(*^^*)
俺は健さん派かな? (夢見興亡)
2007-02-18 02:01:09
健さんの最期のシーンが印象的でしたねー。

当時、東映のオープンセット(今プラウド大泉学園になってるところ)で新幹線のミニチュア(というか巨大ジオラマ)撮影をしており、川の反対側からモロバレでした。 おおらかな時代だった・・・
スピード (いくらおにぎり)
2007-02-18 10:09:33
確かにスピードが同じところをグルグル回っていればよかったのに対して、新幹線は終点がありますもんね。そのうえ、ゼロ地点が政府の都合で前倒しされるおまけ付き。緊迫感はすごかったですよね。
オープンセット (いくらおにぎり)
2007-02-18 10:15:02
夢見興亡さんは新幹線大爆破の撮影を覗いたんですか。小学生の頃ですよね。いいなあ。同じ大泉地区でも、夢見興亡さんは大泉撮影所の近くですもんね。羨ましすぎ。
東映大泉 (淳ちゃん)
2007-02-18 10:29:47
いくらおにぎりさんお久しぶりです。

当時、東映大泉は一般公開日?があって友達と
オープンセットの中をうろついた覚えがあります。
そこに、新幹線の枕木の残骸(もちろんミニチュア)
が転がっていたのを覚えています。

映画は映画館まで見に行った記憶があり(鉄ちゃんなので)小学生で今一意味が理解できなかったのを覚えています。

そういうと出演者にもう一人志保美悦子がいましたね。ほんとに一瞬しか出てきませんが。

ちなみに嫁さんのお父上は元東映社員でした。

ツマラン昔話でした。
コメントありがとう (いくらおにぎり)
2007-02-18 10:40:50
淳ちゃんさん、コメントありがとうございます

ようやく「新幹線大爆破」を見る約束がはたせましたよ。お待たせしました。
しかし、夢見興亡さんの西大泉と言い、淳ちゃんさんの東大泉と言い、なんだか羨ましいなあ。南大泉なんか何もないですよ、そんな楽しいこと。

そうそう、ATC解放うんぬんのところ、間違ってませんか?良くコメントくれるタランさんも鉄ですが、彼はディーゼルフェチなので、淳ちゃんさんしか頼れないです。

それから志穂美悦子(「ほ」は「穂」ね)いましたねえ。あと救援列車の運転士が千葉ちゃんの弟だったり。ほとんど「ウォーリーを探せ」状態。

あ、あと奥様によろしく。

ATC (淳ちゃん)
2007-02-18 11:28:42
いくらおにぎりさん
ATCの件ですが間違っていません。
ちなみに鉄ちゃん関係で突っ込みどころは沢山あります。当時の鉄道雑誌に載っていました。

一番大きなものは「新幹線は爆発していた」です。
これは、当時の国鉄が運賃計算を新幹線の実キロではなく在来線の距離(これも実キロではなく営業キロ)で計算しており、その営業キロを参考に映画は作られており、120キロで走行すると映画の中では三原
で停車が実は博多駅に突っ込んでいた、というのが一番記憶に残っています。確か、当時のこの件に対する東映のコメントは「分かっていたが映画を面白くするため」という負け惜しみだったような覚えがあります。また、当然、国鉄は一切協力せず駅の中での撮影はどうやって撮影したんだろう?なシーンが結構あります。
なお、救援列車が併走するシーンは当時はATCの関係で不可能(後年東北新幹線で可能になった)であった等々。ちなみに名古屋駅を通過するシーンもATCで「ありえない」話でした(これも初期の「のぞみ」で実現しました)。
鉄ちゃんにしてみれば突っ込みどころ満載でしたがパニック映画としてはすごく良く出来ていると思いますし、新幹線の併走や名古屋の通過などはこの映画が影響を与えたのではと思うところも沢山あり結局DVDも買ってしまったぐらい気に入ってます。

鉄ちゃんのつまらん長文すいませんでした。
連続コメント感謝です (いくらおにぎり)
2007-02-18 16:35:05
淳ちゃんさん、お忙しい中、連続コメントありがとうございます

>東映のコメントは「分かっていたが映画を面白くするため」という負け惜しみ

ぎゃはは。東映らしいなあ。なんか会社にも人格があったら、東映って駄々っ子っぽいですよね。これでますます東映が好きになってしまった。

でも映画の影響で、新幹線の並走が可能になったというのは面白いですね。確かに、何らかの事態で並走が必要なことだってあるかもしれないですもんね。その点でも、これは偉大な映画ですね。
あらら 大泉 (あず)
2007-02-19 21:48:42
お隣さんみたいよ。
南大泉、近いよ~。
今は違いますが (いくらおにぎり)
2007-02-20 19:11:12
あずさん、こんにちは

おやおや、ご近所さんでしたか。とは言え、今は南大泉に住んではいませんけど。住んでいたのは20代後半までです。

南大泉のご近所と言えば、関町とか旧保谷市あたりですかねえ。

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