【「スーパージャイアンツ 鋼鉄の巨人 怪星人の魔城」1957 石井輝男】をみたよ


おはなし
なぞの空とぶ円ばんが現れて、日本は大さわぎだよ。
スーパージャイアンツの3作目。石井かんとくの本りょう発きで、とてもグロテスクな映画ができあがったね。
「弾丸よりも速く、鋼鉄よりも強く、ぼくらのスーパージャイアンツ!」、お約束のかけ声がかかって、物語は始まります。
「この恐ろしい事件が起こったのは、1957年の初めの頃、東洋航空のいちパイロットによって報告されたひとつの事件に始まる」というナレーションとともに、飛行場が映りました。パイロットたちが、息をきらせて走ってきます。そして、とんでもないことを言いだしました。「不思議な円盤2台に、天城山付近で出会いました」「目測距離20キロ。推定速度6千キロくらいでした。あんな速い飛行力をもったものは、この地球上にないはずです」。あわてて追跡にかかる航空自衛隊のお兄さんたち。でも、円ばんはすばらしい速度でどこかに飛びさってしまったのです。
「空飛ぶ円盤現る」の見出しが新ぶんにおどり、国会では「円盤対策委員会」がひらかれて、えらい人たちが、いろんな話し合いをしました。でも、はっきりした結ろんが出ないまま、今度は東京に、脳炎に似たしょう状のきみょうな病気がはやりだしたのです。
「この奇病にかかった家には、軒に赤旗が立てられ、立ち入りが厳重に禁止された」
あちこちの家に、赤いはた(白黒の映画だけど)が立てられて、ものものしい防ご服を着たひとたちが消毒をしています。町の人たちは、みんな恐怖に怯えているようです。なんだか、観ていてぞっとするようなシーンです。
さて、ここは浅山天文研究所。天文学者の浅山はかせのところに、生物学者の深見はかせがおとずれています。じつは二人は、大のしん友。浅山はかせには、3人のお子さんがいます。高校生の美子さん。小学生の亮くんに、次郎くんです。そして深見はかせには小学生のおじょうさん、典子さんが。家ぞくぐるみのお付き合いなので、亮くんに次郎くん、そして典子さんは仲良しさんにん組なのです。そんな子どもたちは円ばん探しに夢中で、ぼうえん鏡にかじりついていますが、お父さまたちは難しい顔。それというのも、浅山はかせは円ばん問題に、そして深見はかせは病気の治りょうに、頭をなやませていたのでした。
その夜、浅山はかせがお部屋で研究をしていると、黒マスクをつけた謎のおとこが案内も請わずにやってきました。そして、その黒マスクを取ると。ああ、なんてことでしょう。ケロイドにおおわれた顔に、大きくさけた口。「ハッ」とおどろいた浅山はかせに、謎の男は言います。「キミはわれわれの円盤の秘密を探っている。そのくせ、世間には円盤の存在を否定している。怖いのだ。キミは恐れているのだ。円盤やわれわれの存在を。世間のものが知った、その時の混乱を。フフフ。フフフ。キミのような天文学者がいると、われわれの仕事がやりにくくてたまらないのだ。フフフ」。ガーーッ。怯えているはかせに、怪星人は謎の光線を吐きかけるのです。
円ばん監視のために、天体かんそくをしている仲良しさんにん組。おや、何かがとんできます。「スーパージャイアンツのおじさんが飛んでくるよ」「ああ、ホント、こっちに飛んでくるわよ」「ヘンだね。スーパージャイアンツのおじさんは、原水爆実験を禁止するようにアメリカやソビエットに交渉に行ったはずでしょ。どうして日本に帰ってきたのかな」。ふしぎですね。もしかして、スーパージャイアンツのおにいさんは、日本で起こっている異変に気がついたのでしょうか。
怪星人はあやしく手をヒラヒラさせながら、催眠じょうたいになってしまった浅山はかせをゆう導しています。ヒラヒラ。ヒラヒラ。と、怪星人が空を見上げました。サッ。虚空に手をふる怪星人。浅山はかせはバタっと倒れました。そのまま逃げ出した怪星人ですが、そこに上空よりの声が聞こえてきましたよ。「お待ちなさい」。スーッと空から降りてくるのは、われらがヒーロー、スーパージャイアンツのおにいさんです。あわてて変身をする怪星人。なんてことでしょう。人間に変装していても恐ろしかったのに、その正体といえば。ああ、気持ちがわるいです。カッパというか、スワンプシングというか、ともあれ沼地に巣くう怪物そのものでした。橋げたの上で、格闘をするスーパージャイアンツと怪星人。まるで歌舞伎のようなユックリとした動きが、かえって不気味さを強ちょうするのでした。しかし、スーパージャイアンツのおにいさんに勝てないと悟った怪星人は、ザバーンと川にとびこんで、逃げました。そう、水の中こそ彼らの王国なのです。おにいさんはつぶやきます。「カピアだ。月の裏側にある小さな惑星カピア。彼は全宇宙の中ででも、もっとも邪悪。奸智にたけた侵略者だ。彼らは何を企んでいるのか」。
怪我をしたものの、浅山はかせは、さいわいカピア人にさらわれずに済みました。でも、もうこれで疑いはありません。やはり各地で目げきされている円ばんは、カピア人の乗っているものなのでしょう。さっそく、助手の館野さんに相だんをする浅山はかせ。「頼む。日本の安全のために、いや地球の平和のために、私に協力してもらいたい」「分かりました、先生。私のできることなら何でもやります」。
もっとも、この件は子どもたちにはナイショです。しかし、子どもたちは、家で謎のウロコを拾って、うすうす、ふしぎなことが起きていることに気がついているようですよ。でも助手の館野さんに聞いても、きっとはぐらかされるに決まっています。と、お姉さまがいいます。「そうね、じゃあ雄一さんにご相談してみたらどうかしら」。「うちのお兄さまに」とおどろく典子さん。そうだ。お兄さまは生物学がご専門だから、ウロコを見せれば、その正体を教えてくれるにちがいありません。しかし、お兄さまがウロコを見ても、その正体はわかりません。ただ、何か画期的な発見であることは間違いないようです。
その頃、円ばん騒ぎと奇病にあえぐ東京に、さらなる怪事態がおこりました。どこからともなく、ギーギーと嫌な音が聞こえてきたのです。それを聞いた人は、小学生だろうと、立派な大人のひとだろうと、いちように頭をおさえて苦しがるのでした。
さっそく、国会ではえらい人たちが、対策会ぎをひらきました。そんなのは気のせいだという意見がたいはんを占めたところ、いちばんえらそうな人が叫びます。「ギーの音だ」「聞こえる」「聞こえる」。国会議事堂もパニックです。と、そこにスーパージャイアンツのおにいさんが現れましたよ。「みなさん静かに。静かにして、私の言うことをお聞きください。みなさんが今、お聞きになっているように、ギーの音は確かにあるのです。みなさん、この音は世間の人々が騒いでるとおり、宇宙でも侵略者として有名なカピアが放した怪円盤のためです。このカピアという星は、星全体が泥沼の海のような星で、そして、そこに住む怪星人は体にウロコが生えており、水の中は自由自在です。彼らは地球を乗っ取るためにやってきたのです」「ええっ」。「ギーの音で、地球の人々を極度に刺激したり、また不思議な病気をはやらしたりするのは、みな、地球を不安に陥れるためのゲリラ戦術なのです。私は地球と星の平和のために、この邪悪な侵略者カピアを粉砕するために、再びやってきたのです」「おおー」。「カピアは私が粉砕します。皆さんは、治安の回復に努めてください」。おにいさんは、ガッツポーズを取りつつ、国会ぎじ堂からどこかに、飛びさっていくのでした。ぴゅーん。
飛んでいるスーパージャイアンツのおにいさんは、カピア人の円ばんをはっ見。ピーピーと撃ってくる光線をかわしつつ、円ばん内に侵入してやっつけました。しかし、「この円盤は偵察用の円盤にすぎない。かならず、今ひとつの円盤がどこかに潜んでいるに違いない。一刻も早く彼らの円盤の行方を突き止めなければならないのだ」だそうですよ。
そうこうするうちにも、奇病のまん延は止まりません。町は赤旗で満ち、公園ではたった今まで元気に遊んでいた子どもが倒れ、電車の中では通きん中のお姉さんがバタリと卒倒しています。しかし、深見はかせと、その助手の下村さんは、着々と研究を進めているのです。国会ぎ員のおじさんたちの前で発ぴょうをする下村さん。「東京A型伝染病場所別発生表」によると、山野ホールでの発症が、群を抜いて多いそうです。早速、調さにむかう深見はかせと下村さん。そこでは謎の舞踊団が公演をやっているのですが、それはナントモ奇妙なものでした。これは必見ですよ。まるで暗黒舞踏のような踊りをする舞踊団。ほとんど前えい芸じゅつです。そう、それは、まさに悪魔の前えい芸じゅつなのでした。
すごい踊りに圧倒されて、ぼうっとしたまま、ロビーにでてきた深見はかせと助手の下村さん。「先生、不思議な舞踊ですね。あの跳躍力は、とても人間わざとは思えません」「下村くん。わしは今、あるひとつの想像をしたのだが、これは単に想像にすぎない。しかし、もしかしたら」「なんです。先生、仰ってください」「下村くん。例の奇病に倒れた患者のうち、もっとも重患と見られる人びとはみな、この劇場に来たあとで、病気に犯されている。もしかしたら、この舞踊団の人びとが怪星人ではないだろうか」。
「それはありうることです」。いずこからともなく、声がきこえてきました。キョロキョロする深見はかせと下村さん。アッ!!。なんと、天井にへばりついていたカピア人が次々と、深見かかせたちの目の前に飛びおりてきます。ガーーーッ。カピア人が口から吐いた怪光線で、二人は操られてしまうのです。
「深見博士、謎の失踪」、そんな新ぶん記事が都民を驚かせる一方で、政府は子どもたちの学童疎開をはじめました。まるで10数年前の悲劇がよみがえったかのようです。そんな学童で溢れかえっている駅のホーム。そこには、浅山はかせの二人の息子さんと、お父さまが失踪してしまった典子さんもいたのです。見送りのお姉さまが言います。「典子ちゃん、元気を出さなきゃダメ。おじ様の行方が分かったら、すぐ知らせてあげるわ。大丈夫。きっとおじ様、どこかへ元気でいらっしゃるわ」。と、そこにスーパージャイアンツのおにいさんがやってきましたよ。「そうです。典子ちゃんのお父さんは、きっと近いうちに帰ってきますよ」。「スーパージャイアンツのおじさん」と喜ぶ男の子たち。おじさんが深見はかせを探してあげるからね、というスーパージャイアンツのおにいさんに、典子ちゃんは涙目です。「きっと、きっとよ」「大丈夫。おじさんは必ず約束を守るよ。それから、この玉をあげるから、いつでも放さずに持ってらっしゃい」。そう言って、おにいさんが取り出したのは、キラキラ光る透明の玉。えーと、もしかして里見八犬伝?空にすかすと、「鋼鉄」とか文字が入ってますか。「その玉は、典子ちゃんのお父さんが見つかったとき、私が合図すると鳴るんだよ」。なあんだ、ケイタイの代わりですか。「それからおじさんに用事があったら、この玉を地面にでも、どこでも、ぶつけるといい。おじさんはすぐ飛んでいってあげるからね」。
話の流れが読めない男の子たちは大騒ぎ。疎開先についたら、すぐ玉をぶつけてみると言い出しましたよ。これには、さすがに温和なスーパージャイアンツのおにいさんも困ってしまいます。「いやあ、この玉は一回しか使えないんだ。だから、よほど急な用事のときしか、使っちゃならないんだ。それにおじさんは、典子ちゃんのお父さんを探す大切な仕事があって、とっても忙しいんだ。分かったね、キミたち」「はーい」。ふう、分かってくれたようです。
疎開先の田舎についた子どもたち。仲良しさんにん組は虫取りにでかけることにしました。森の奥へ奥へとすすみます。おや、霧が出てきました。その上、道を見失ってしまいましたよ。ドンドコ、ドンドコ。なんだか、太鼓のリズムが聞こえてきました。それに誘われるように、道なき道をすすむ仲良しさんにん組。どどーん。森の奥には、気持ちわるい顔の形をした城がそびえています。そしてたくさんのカピア人があらわれました。グルグル。グルグル。子どもたちをかこんで踊るカピア人たち。大勢のカピア人たちは、ググッと手を伸ばしてきて……。
スーパージャイアンツのおにいさんは山野ホールにやってきました。コツコツ、コツコツ。くつ音をひびかせながらホール正面の階段をのぼるおにいさん。支配人室にいったおにいさんは無表情に言います。「もう開演時間を過ぎています。始めてください」。謎の支配人もウツロな声で答えます。「ご覧にいれましょう。当舞踊団が今日はじめて発表する素晴らしい踊りを」。
なんだかシュルレアリスムなてん開です。客席にただ一人座っているスーパージャイアンツのおにいさんの前で踊り始める舞踊団。くるくる回転をするその顔が、人間からカピア人。そしてカピア人から人間にめまぐるしく変化し。ワッハッハ。変身したスーパージャイアンツのおにいさんも、席から席へとしゅん間移どう。実にふしぎな、そして実に幻想てきな戦いは、いつ果てるともなく続くのです。
その頃、謎の城では、つかまっている深見はかせたちが、カピア人におどされていました。カピア人1は言います。「さあ言え。キミたち科学者の研究している兵器の種類を」。カピア人2も言います。「キミたちが、どこかに秘密の兵器工場を作って、われわれに対抗する武器の研究をしていることは分かっているんだ」。ついでに、カピア人3(以下同文)「見ろ、あれを見ろ」。ああっ、なんてことでしょう。ブクブクと毒ガスをふきだす底なし沼のはるか上。眼もくらむようなところに、典子ちゃんが、一本の頼りないロープでぶら下げられているではありませんか。「典子っ、典子っ」「お父さま、助けてぇ」。「娘がかわいかったら言え」、ついでに、浅山はかせの息子たちも、誘拐してあるんだぞ。ほれ。「おじさまぁ」「おじさまぁ」。その時、おにいちゃんは思い出しました。そうだ、スーパージャイアンツのおじさんがくれた玉がある。えいやっ。玉をカピア人に投げつけるおにいちゃん。ピーピピピー。スーパージャイアンツのおにいさんは、頭のアンテナで、その電波を受信しました。山野ホールでの戦いを切り上げて、空にとびたつおにいさん。
「お父さまぁ」と泣き叫ぶ典子ちゃん。ひたひたと迫るカピア人。空をすごいイキオイでとぶスーパージャイアンツのお兄さん。果たして、典子ちゃんの運命は? 「完」
おどろおどろしさが増して、なんだか江戸川乱歩というヘンタイおじさんの小説みたいになってきました。おじさん的には、とってもオッケーです。こういう映画をみると、とてもワクワクドキドキしてきます。つづきが、とっても楽しみですね。



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なぞの空とぶ円ばんが現れて、日本は大さわぎだよ。
スーパージャイアンツの3作目。石井かんとくの本りょう発きで、とてもグロテスクな映画ができあがったね。
「弾丸よりも速く、鋼鉄よりも強く、ぼくらのスーパージャイアンツ!」、お約束のかけ声がかかって、物語は始まります。
「この恐ろしい事件が起こったのは、1957年の初めの頃、東洋航空のいちパイロットによって報告されたひとつの事件に始まる」というナレーションとともに、飛行場が映りました。パイロットたちが、息をきらせて走ってきます。そして、とんでもないことを言いだしました。「不思議な円盤2台に、天城山付近で出会いました」「目測距離20キロ。推定速度6千キロくらいでした。あんな速い飛行力をもったものは、この地球上にないはずです」。あわてて追跡にかかる航空自衛隊のお兄さんたち。でも、円ばんはすばらしい速度でどこかに飛びさってしまったのです。
「空飛ぶ円盤現る」の見出しが新ぶんにおどり、国会では「円盤対策委員会」がひらかれて、えらい人たちが、いろんな話し合いをしました。でも、はっきりした結ろんが出ないまま、今度は東京に、脳炎に似たしょう状のきみょうな病気がはやりだしたのです。
「この奇病にかかった家には、軒に赤旗が立てられ、立ち入りが厳重に禁止された」
あちこちの家に、赤いはた(白黒の映画だけど)が立てられて、ものものしい防ご服を着たひとたちが消毒をしています。町の人たちは、みんな恐怖に怯えているようです。なんだか、観ていてぞっとするようなシーンです。
さて、ここは浅山天文研究所。天文学者の浅山はかせのところに、生物学者の深見はかせがおとずれています。じつは二人は、大のしん友。浅山はかせには、3人のお子さんがいます。高校生の美子さん。小学生の亮くんに、次郎くんです。そして深見はかせには小学生のおじょうさん、典子さんが。家ぞくぐるみのお付き合いなので、亮くんに次郎くん、そして典子さんは仲良しさんにん組なのです。そんな子どもたちは円ばん探しに夢中で、ぼうえん鏡にかじりついていますが、お父さまたちは難しい顔。それというのも、浅山はかせは円ばん問題に、そして深見はかせは病気の治りょうに、頭をなやませていたのでした。
その夜、浅山はかせがお部屋で研究をしていると、黒マスクをつけた謎のおとこが案内も請わずにやってきました。そして、その黒マスクを取ると。ああ、なんてことでしょう。ケロイドにおおわれた顔に、大きくさけた口。「ハッ」とおどろいた浅山はかせに、謎の男は言います。「キミはわれわれの円盤の秘密を探っている。そのくせ、世間には円盤の存在を否定している。怖いのだ。キミは恐れているのだ。円盤やわれわれの存在を。世間のものが知った、その時の混乱を。フフフ。フフフ。キミのような天文学者がいると、われわれの仕事がやりにくくてたまらないのだ。フフフ」。ガーーッ。怯えているはかせに、怪星人は謎の光線を吐きかけるのです。
円ばん監視のために、天体かんそくをしている仲良しさんにん組。おや、何かがとんできます。「スーパージャイアンツのおじさんが飛んでくるよ」「ああ、ホント、こっちに飛んでくるわよ」「ヘンだね。スーパージャイアンツのおじさんは、原水爆実験を禁止するようにアメリカやソビエットに交渉に行ったはずでしょ。どうして日本に帰ってきたのかな」。ふしぎですね。もしかして、スーパージャイアンツのおにいさんは、日本で起こっている異変に気がついたのでしょうか。
怪星人はあやしく手をヒラヒラさせながら、催眠じょうたいになってしまった浅山はかせをゆう導しています。ヒラヒラ。ヒラヒラ。と、怪星人が空を見上げました。サッ。虚空に手をふる怪星人。浅山はかせはバタっと倒れました。そのまま逃げ出した怪星人ですが、そこに上空よりの声が聞こえてきましたよ。「お待ちなさい」。スーッと空から降りてくるのは、われらがヒーロー、スーパージャイアンツのおにいさんです。あわてて変身をする怪星人。なんてことでしょう。人間に変装していても恐ろしかったのに、その正体といえば。ああ、気持ちがわるいです。カッパというか、スワンプシングというか、ともあれ沼地に巣くう怪物そのものでした。橋げたの上で、格闘をするスーパージャイアンツと怪星人。まるで歌舞伎のようなユックリとした動きが、かえって不気味さを強ちょうするのでした。しかし、スーパージャイアンツのおにいさんに勝てないと悟った怪星人は、ザバーンと川にとびこんで、逃げました。そう、水の中こそ彼らの王国なのです。おにいさんはつぶやきます。「カピアだ。月の裏側にある小さな惑星カピア。彼は全宇宙の中ででも、もっとも邪悪。奸智にたけた侵略者だ。彼らは何を企んでいるのか」。
怪我をしたものの、浅山はかせは、さいわいカピア人にさらわれずに済みました。でも、もうこれで疑いはありません。やはり各地で目げきされている円ばんは、カピア人の乗っているものなのでしょう。さっそく、助手の館野さんに相だんをする浅山はかせ。「頼む。日本の安全のために、いや地球の平和のために、私に協力してもらいたい」「分かりました、先生。私のできることなら何でもやります」。
もっとも、この件は子どもたちにはナイショです。しかし、子どもたちは、家で謎のウロコを拾って、うすうす、ふしぎなことが起きていることに気がついているようですよ。でも助手の館野さんに聞いても、きっとはぐらかされるに決まっています。と、お姉さまがいいます。「そうね、じゃあ雄一さんにご相談してみたらどうかしら」。「うちのお兄さまに」とおどろく典子さん。そうだ。お兄さまは生物学がご専門だから、ウロコを見せれば、その正体を教えてくれるにちがいありません。しかし、お兄さまがウロコを見ても、その正体はわかりません。ただ、何か画期的な発見であることは間違いないようです。
その頃、円ばん騒ぎと奇病にあえぐ東京に、さらなる怪事態がおこりました。どこからともなく、ギーギーと嫌な音が聞こえてきたのです。それを聞いた人は、小学生だろうと、立派な大人のひとだろうと、いちように頭をおさえて苦しがるのでした。
さっそく、国会ではえらい人たちが、対策会ぎをひらきました。そんなのは気のせいだという意見がたいはんを占めたところ、いちばんえらそうな人が叫びます。「ギーの音だ」「聞こえる」「聞こえる」。国会議事堂もパニックです。と、そこにスーパージャイアンツのおにいさんが現れましたよ。「みなさん静かに。静かにして、私の言うことをお聞きください。みなさんが今、お聞きになっているように、ギーの音は確かにあるのです。みなさん、この音は世間の人々が騒いでるとおり、宇宙でも侵略者として有名なカピアが放した怪円盤のためです。このカピアという星は、星全体が泥沼の海のような星で、そして、そこに住む怪星人は体にウロコが生えており、水の中は自由自在です。彼らは地球を乗っ取るためにやってきたのです」「ええっ」。「ギーの音で、地球の人々を極度に刺激したり、また不思議な病気をはやらしたりするのは、みな、地球を不安に陥れるためのゲリラ戦術なのです。私は地球と星の平和のために、この邪悪な侵略者カピアを粉砕するために、再びやってきたのです」「おおー」。「カピアは私が粉砕します。皆さんは、治安の回復に努めてください」。おにいさんは、ガッツポーズを取りつつ、国会ぎじ堂からどこかに、飛びさっていくのでした。ぴゅーん。
飛んでいるスーパージャイアンツのおにいさんは、カピア人の円ばんをはっ見。ピーピーと撃ってくる光線をかわしつつ、円ばん内に侵入してやっつけました。しかし、「この円盤は偵察用の円盤にすぎない。かならず、今ひとつの円盤がどこかに潜んでいるに違いない。一刻も早く彼らの円盤の行方を突き止めなければならないのだ」だそうですよ。
そうこうするうちにも、奇病のまん延は止まりません。町は赤旗で満ち、公園ではたった今まで元気に遊んでいた子どもが倒れ、電車の中では通きん中のお姉さんがバタリと卒倒しています。しかし、深見はかせと、その助手の下村さんは、着々と研究を進めているのです。国会ぎ員のおじさんたちの前で発ぴょうをする下村さん。「東京A型伝染病場所別発生表」によると、山野ホールでの発症が、群を抜いて多いそうです。早速、調さにむかう深見はかせと下村さん。そこでは謎の舞踊団が公演をやっているのですが、それはナントモ奇妙なものでした。これは必見ですよ。まるで暗黒舞踏のような踊りをする舞踊団。ほとんど前えい芸じゅつです。そう、それは、まさに悪魔の前えい芸じゅつなのでした。
すごい踊りに圧倒されて、ぼうっとしたまま、ロビーにでてきた深見はかせと助手の下村さん。「先生、不思議な舞踊ですね。あの跳躍力は、とても人間わざとは思えません」「下村くん。わしは今、あるひとつの想像をしたのだが、これは単に想像にすぎない。しかし、もしかしたら」「なんです。先生、仰ってください」「下村くん。例の奇病に倒れた患者のうち、もっとも重患と見られる人びとはみな、この劇場に来たあとで、病気に犯されている。もしかしたら、この舞踊団の人びとが怪星人ではないだろうか」。
「それはありうることです」。いずこからともなく、声がきこえてきました。キョロキョロする深見はかせと下村さん。アッ!!。なんと、天井にへばりついていたカピア人が次々と、深見かかせたちの目の前に飛びおりてきます。ガーーーッ。カピア人が口から吐いた怪光線で、二人は操られてしまうのです。
「深見博士、謎の失踪」、そんな新ぶん記事が都民を驚かせる一方で、政府は子どもたちの学童疎開をはじめました。まるで10数年前の悲劇がよみがえったかのようです。そんな学童で溢れかえっている駅のホーム。そこには、浅山はかせの二人の息子さんと、お父さまが失踪してしまった典子さんもいたのです。見送りのお姉さまが言います。「典子ちゃん、元気を出さなきゃダメ。おじ様の行方が分かったら、すぐ知らせてあげるわ。大丈夫。きっとおじ様、どこかへ元気でいらっしゃるわ」。と、そこにスーパージャイアンツのおにいさんがやってきましたよ。「そうです。典子ちゃんのお父さんは、きっと近いうちに帰ってきますよ」。「スーパージャイアンツのおじさん」と喜ぶ男の子たち。おじさんが深見はかせを探してあげるからね、というスーパージャイアンツのおにいさんに、典子ちゃんは涙目です。「きっと、きっとよ」「大丈夫。おじさんは必ず約束を守るよ。それから、この玉をあげるから、いつでも放さずに持ってらっしゃい」。そう言って、おにいさんが取り出したのは、キラキラ光る透明の玉。えーと、もしかして里見八犬伝?空にすかすと、「鋼鉄」とか文字が入ってますか。「その玉は、典子ちゃんのお父さんが見つかったとき、私が合図すると鳴るんだよ」。なあんだ、ケイタイの代わりですか。「それからおじさんに用事があったら、この玉を地面にでも、どこでも、ぶつけるといい。おじさんはすぐ飛んでいってあげるからね」。
話の流れが読めない男の子たちは大騒ぎ。疎開先についたら、すぐ玉をぶつけてみると言い出しましたよ。これには、さすがに温和なスーパージャイアンツのおにいさんも困ってしまいます。「いやあ、この玉は一回しか使えないんだ。だから、よほど急な用事のときしか、使っちゃならないんだ。それにおじさんは、典子ちゃんのお父さんを探す大切な仕事があって、とっても忙しいんだ。分かったね、キミたち」「はーい」。ふう、分かってくれたようです。
疎開先の田舎についた子どもたち。仲良しさんにん組は虫取りにでかけることにしました。森の奥へ奥へとすすみます。おや、霧が出てきました。その上、道を見失ってしまいましたよ。ドンドコ、ドンドコ。なんだか、太鼓のリズムが聞こえてきました。それに誘われるように、道なき道をすすむ仲良しさんにん組。どどーん。森の奥には、気持ちわるい顔の形をした城がそびえています。そしてたくさんのカピア人があらわれました。グルグル。グルグル。子どもたちをかこんで踊るカピア人たち。大勢のカピア人たちは、ググッと手を伸ばしてきて……。
スーパージャイアンツのおにいさんは山野ホールにやってきました。コツコツ、コツコツ。くつ音をひびかせながらホール正面の階段をのぼるおにいさん。支配人室にいったおにいさんは無表情に言います。「もう開演時間を過ぎています。始めてください」。謎の支配人もウツロな声で答えます。「ご覧にいれましょう。当舞踊団が今日はじめて発表する素晴らしい踊りを」。
なんだかシュルレアリスムなてん開です。客席にただ一人座っているスーパージャイアンツのおにいさんの前で踊り始める舞踊団。くるくる回転をするその顔が、人間からカピア人。そしてカピア人から人間にめまぐるしく変化し。ワッハッハ。変身したスーパージャイアンツのおにいさんも、席から席へとしゅん間移どう。実にふしぎな、そして実に幻想てきな戦いは、いつ果てるともなく続くのです。
その頃、謎の城では、つかまっている深見はかせたちが、カピア人におどされていました。カピア人1は言います。「さあ言え。キミたち科学者の研究している兵器の種類を」。カピア人2も言います。「キミたちが、どこかに秘密の兵器工場を作って、われわれに対抗する武器の研究をしていることは分かっているんだ」。ついでに、カピア人3(以下同文)「見ろ、あれを見ろ」。ああっ、なんてことでしょう。ブクブクと毒ガスをふきだす底なし沼のはるか上。眼もくらむようなところに、典子ちゃんが、一本の頼りないロープでぶら下げられているではありませんか。「典子っ、典子っ」「お父さま、助けてぇ」。「娘がかわいかったら言え」、ついでに、浅山はかせの息子たちも、誘拐してあるんだぞ。ほれ。「おじさまぁ」「おじさまぁ」。その時、おにいちゃんは思い出しました。そうだ、スーパージャイアンツのおじさんがくれた玉がある。えいやっ。玉をカピア人に投げつけるおにいちゃん。ピーピピピー。スーパージャイアンツのおにいさんは、頭のアンテナで、その電波を受信しました。山野ホールでの戦いを切り上げて、空にとびたつおにいさん。
「お父さまぁ」と泣き叫ぶ典子ちゃん。ひたひたと迫るカピア人。空をすごいイキオイでとぶスーパージャイアンツのお兄さん。果たして、典子ちゃんの運命は? 「完」
おどろおどろしさが増して、なんだか江戸川乱歩というヘンタイおじさんの小説みたいになってきました。おじさん的には、とってもオッケーです。こういう映画をみると、とてもワクワクドキドキしてきます。つづきが、とっても楽しみですね。



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