いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】3000キロの罠

2011-04-01 | 邦画 さ行
【「3000キロの罠」福田純 1971】を観ました

おはなし
裏日本を駆け抜ける田宮二郎。そして、そのあとには、死体(女性)がごろごろ。

田宮二郎の個人プロダクション、田宮企画が作った第一回作品(映画)。というか、第一回だけど最終回。

ブーン。セスナが九州の空を飛んでいます。どや顔で操縦しているのは、鹿児島の青年実業家、加瀬啓介(田宮二郎)。とりあえず噴火口に急降下してみたりして、冒険家っぷりをアピールしています。

と、シーンが替わると田宮二郎は社長室で、部方たちに演説しています。今度は有能な経営者っぷりをアピールですね。
「近い将来、太平洋沿岸地帯は都市公害、工場廃液に蝕まれスラム化し、日本海沿岸の新たな価値と可能性が大きくクローズアップされてくるはずだ。観光、レジャー産業も日本海に移動し、飛躍的に発展するに違いない。この観点から東北、北陸、山陰各地にさしあたってホテルを一つずつ、そしてゆくゆくは、それぞれをキーステーションに関連事業を広げていく。各パートで至急、検討して計画書を提出してほしい」。

「はいっ!」と去っていく部下たちの代わりに、今度は義父でデパート経営者のカワベ(永井智雄)がやってきましたよ。
「いやあ、いよいよ裏日本進出かね」「僕が父の後を継いでからの夢でしたからね」「わはは。うらやましい限りだ。私なんかデパートひとつ持て余して、きりきり舞いだよ。ところでホテルの用地は自分で下検分に行くんだろ」「はあ、そのつもりですが」「いっそのこと車で北海道まで行ってみたらどうだ?」。

パッ。カットが変わると、いきなり車の前に立っている田宮二郎と永井智雄。
「これですか。ギャランGTO。今、若者の間じゃ一番人気がありますね。どうして、この車を」。うわあ、いかにも説明臭いセリフですねえ。まあ、さすがに三菱自動車とタイアップしてるからだよ、とは言えないので、永井智雄も苦しい説明。
「わはは。実は先日、稚内の丸仙デパートの社長と箱根でゴルフをやってね。負けた方が車をプレゼントするって約束しちまったんだよ」。

いや、意味わかんないし。それに、"わはは"とか言ってる人って、いまいち信用できないんですけど。ともあれ、心配する娘というか田宮二郎の奥さん、麻知子(谷口香)にも「啓介くんは国際A級ライセンスを持ってるんだよ。心配いらんよ。わはは」と、永井智雄は何もかも"わはは"パワーで乗り切る腹のようです。

それはともあれ、旅立つ前に、やることはヤッとけということで、奥さんの麻知子とムフフな田宮二郎。一戦終えて、タバコを吸っていると、奥さんが聞いてきました。「何日かかるの。稚内まで」「ざっと3千キロとして、一日200キロ走るから、15日だな」。プカー。「一日200キロ程度じゃ、お遊びの時間もたっぷりあるわけね」。と、奥さんがキッとにらんでいると、そこに謎の電話が。「あんた、北海道まで行くそうだが、止めることだな」「どうして」「ロクなことが起きないからさ」「誰だっ、キミは」ガチャ。ツーツー。むむむ、いったい誰なんでしょう。

しかし、田宮二郎は脅しに負けるような男ではないのです。そんなことを言われたら、かえって意地になって実行するタイプ。ぶろろー。ほらGTOで出発しちゃった。ぶろろー。ぶろろー。キキーっ。おっと路上にいきなり女(戸部夕子)が飛び出してきましたよ。「お願い。乗せてって」「どうしたんです」「追われてるんです。助けてください」。もちろん若い女のお願いを断る田宮二郎ではありません。よっしゃ、ぶろろー。ニヘっとしながら運転している田宮二郎に女は言います。「あたし里村雪絵。降る雪に絵本の絵です」「ロマンチックな名前だねえ」。すっかりオヤジモードな田宮二郎ですが、バックミラーにデボネア(もちろん三菱自動車)を見つけるやいなや、表情をキリっとさせ、アクセル全開です。ぶろぶろぶぉーーん。「どうしたんですか」「尾けられてるようだ」。

ずざああ。河原にGTOを滑り込ませ、後続のデボネアをやり過ごす作戦に出た田宮二郎。しかし、目の前を通り過ぎていくデボネアの運転席を見てビックリです。「あっ!」「知ってる方?」「うん」。そう、デボネアを運転していたのは、なじみの店のママ、曽根崎朝子(浜美枝)だったのでした。えーと、こいつが犯人ですね。なんの犯人かは知りませんが。

まあ、いいや。細かいことは気にしない、気にしない。ぶろろー。戸部夕子とイチャつきつつ、阿蘇をドライブしたり、湯布院でお神楽見物している田宮二郎。しかし、文無しのはずの戸部夕子が実はお金をたんまり持っていたり、ついでに隠れて電話をしていることに気づき、怒りがマックスです。「誰に頼まれ、どんな魂胆で近づいてきたのかは知らないが面白い。罠にかかってやろう」。おりゃあ。浴衣をむしって、戸部夕子を抱きしめます。あれええ。

はい、また一戦終えて、タバコをくゆらす田宮二郎。「ごめんなさい、ウソついて」と戸部夕子はすっかり田宮二郎にメロメロになった模様。さすが稀代の色男ですね。「あたし、ただ頼まれただけなんです。社長さんの車に乗って行き着いたところから、電話で連絡するようにって」「誰に頼まれた」「男の人です。黒川フミオって人」。ふーん、って感じで特に何をするわけでもなく、漫然とドライブを続ける田宮二郎。関門海峡を渡り、松江城では、その黒川フミオを発見しますが、ただそれだけ。いるはずのない奥さんの麻知子を発見しても、気のせいということで。まあ、確かにここまでに「事件」はまったく起きてないんですよね。だから、今のところ「何か」が起きそうな気がする、というだけ。

そんなこんなで、田宮二郎と戸部夕子がカニを食べたり、イチャついたり、ついでにエッチをしているのを漫然と観ていると、おおっ、そろそろ話が動きそうな気配がしてきましたよ。それは夜のドライブ。「なんだか夢でも見てるみたい」と戸部夕子がウットリしていると、対向車線を走るトラックが、こちらの車線にはみ出してきました。キキーッ。急ハンドルでかわす田宮二郎。でも心臓はバクバクです。そんな疑心暗鬼な状態のままさらにGTOを走らせていると、おや、あれはっ!なんと路肩にデボネアが停まっていて、中で浜美枝がグースカ寝てるじゃありませんか(意味不明)。「ちょっと待っててくれ。すぐ戻るからね」と戸部夕子を残し、デボネアに向かう田宮二郎。コンコン、コンコン。「妙なところでご休息ですね」。寝起きのくせにヤケにしゃっきりしている浜美枝は答えます。「社長さん、お待ちしてましたの」。ぶろろー。え、なんか行っちゃったよ、浜美枝。観てる方もワケ分かりませんが、田宮二郎もワケ分からない気分で、GTOに戻ると、あれれ、戸部夕子がいない。完全にいない。どこにもいない。ちくしょう。ぶろろろー。あわててGTOを走らせ、デボネアを追う田宮二郎。ききーっ。「どうしたの」とビックリする浜美枝に田宮二郎は言います。「連れの女がさらわれたんだ」「さらわれた?」「君と話してた間なんだ。とぼけるのはよせ。君も一味だっ!」。いや一味って、何の?「そんなに仰るなら説明してあげるわ。あたしはあなたのため……」「弁解など聞いてるヒマはないっ。二度と邪魔しないでくれ」。スタスタ。バタム。ぶろろー。ああ、行っちゃいましたよ田宮二郎。ここで話を聞いておけば、被害も少なくて済んだのに。

ともあれ、GTOを走らせた田宮二郎は渋滞に遭遇。もしや。イヤな予感が走り、車を降りて渋滞の先頭に向うと。ガガーン。なんとひき逃げされた戸部夕子の死体が転がっているじゃありませんか。いったい、誰がこんなヒドイことを。

まあ普通なら、ここで警察に相談するなり、旅行を取りやめるところなんでしょうが、我らが田宮二郎はひと味違います。ザッパーン。いきなり能登の富来町(現:志賀町)までやってきて、断崖絶壁に砕け散る波を見たりしていますよ。って、おやっ。遺書を置いて、自殺しようとしている女(加賀まり子)がいる。とりゃー。「いや。お願い、死なせてぇ」。もちろん田宮二郎は、そんな言葉を無視して加賀まり子を羽交い絞めです。

そして、田宮二郎は加賀まり子をそのまま旅館へ連れて行きました。「キミが死のうと生きようと知ったこっちゃないが、夕べある女性に死なれたばかりなんでね。彼女は生きたいと願っていながら死んでしまった」「あたしが代わりに死ねばよかった」「彼女が生きていたら、僕はこっちに来なかった。彼女のおかげでキミは助かったんだよ」。おや加賀まり子はうつむいて震えています。まさか、田宮二郎の言葉に感動でもしたんでしょうか。だとしたら、かなりのウッカリさんですよ。おっと、今度はいきなり男の写真を灰皿で燃やし始めましたよ。しかし、その写真を見た田宮二郎の目がキラリン。これは戸部夕子に自分の監視を依頼したという、松江城で発見した黒川フミオじゃありませんか。なんたる偶然。「キミの恋人か。この男」「君塚、知ってるんですか」「君塚?黒川っていうんじゃないのか」。そう、黒川というのは偽名で、なんと、この君塚は義父の永井智雄が経営している白十字デパートの経理課長だったのです。ついでに、この君塚、そして加賀まり子。さらには義父の永井智雄までもが、ここ能登の富来町出身というオマケつき。

ま、普通、ここまでくれば、義父をはじめ、能登人脈がなんとなくアヤシイと思いそうなものですが、田宮二郎はピュアなハートを持つ男なので、そんな疑いはこれっぽっちも持っていないようです。というか、目の前の女性を落とすことに全力を傾けて、目の前の落とし穴に気づかないタイプっていうんでしょうか。「キミはどうやら君塚に振られたらしいが、そんな男のために自殺を図るなんて愚の骨頂だよ」。ザッパーン。いきなり場面が断崖絶壁に代わると、加賀まり子が反論します。「あなた、男のために自殺を図るなんて愚の骨頂だって、仰いましたわね。あなた、能登の人間を知らないからそんなことが言えるんです」。はい、ここでいきなり能登自慢を始める加賀まり子。よく分かりませんが、能登の人間は、ヒドイ環境に住んでいるので異常に我慢強いと言いたいみたいです。しかし、田宮二郎はロクに話を聞かずにネットリ視線で加賀まり子を見つめるのみ。小さい声で言いますけど、この人、ちょっとバカかも。

ぶろろー。助手席に加賀まり子を乗せて走っていたかと思うと、いきなりカマクラの中で、たき火を前にマッタリしている田宮二郎たち。「人間って、困った時や苦しい時しかいたわり合えないんでしょうか」と加賀まり子が弱音を吐くと、チャンスとばかりに田宮二郎は言います。「キミは能登の人間としてではなく、うまく言えないけど、自分自身に誇りを持っていいんじゃないかな。それが誰にとっても、いちばん大切なことなんだよ」。よし決まった。ほら、加賀まり子はウットリしてますよ。「あ、そうだ。キミの名前、まだ聞いてなかったね」。おい、聞いてなかったのかよ。

ぶろろー。車内はすっかり桃色な空気が漂っていますよ。すっかりデキあがってる感じ。と、おや、パーキングにGTOを入れると、停まっている車から君塚が降りてきたのが見えました。バタム。GTOから飛び降りて君塚に駆け寄る加賀まり子。「良かった、生きてて。もう離れない」。ガガーン。ショックな田宮二郎。「落ち着くんだ。キミはもう、この男とは何の関係もないはずだ」。しかし、恋人を見つけた加賀まり子は聞いちゃいません。

予定が狂って、観光ホテルで、ひとり寂しく寝ている田宮二郎。と、枕元の電話が鳴りましたよ。「もしもし加瀬さん。あたし奈美子です。さっきはごめんなさい。あの時、あたし夢中で」。ムカッ。「キミはもう僕には用はないはずだよ」。思わずキツイ声を出す田宮二郎に、加賀まり子は続けます。「でも、あなたにどうしてもお知らせしたいことがあって。君塚の相手の女の人が分かったんです」「誰だ」「それが、その人は"あ"」……ツーツー」。電話は切れてしまいました。「頭文字は"あ"か」と考え込む田宮二郎。そうだ、朝子だ。曽根崎朝子(浜美枝のことね)に間違いない。

しかし、ここに至っても、まだノンキに旅を続ける田宮二郎。GTOは山形県に入ったようでよす。と、いままで一切聞いていなかったのに、いきなりスイッチを入れたカーラジオからニュースが聞こえてきました。なんと加賀まり子が水死体であがったそうです。遺書があったので自殺だろうと警察は判断しているとのことですが、田宮二郎だけは真実を知っているのです。そう。その遺書は自分が自殺を止めた時に持っていたもの。そして彼女は君塚と再会できてルンルンだった。つまり、彼女は自殺に見せかけて、君塚に殺されたのだ。

で、田宮二郎はどうするのでしょう。警察に駆け込む。いえいえ。GTOに忘れていった加賀まり子の鞄を渓谷に投げ捨て、そのまま旅を続けるのです。さらに謎のダンプにあおられ、関係ない車の女性ドライバーが巻き添えで死のうと、頑固に旅を続ける田宮二郎。すでに当初の目的も失われ、何のためにGTOを走らせているのかサッパリ分かりません。

しかし、そうは言っても、これだけイロイロあると疲れますよね。もう運転しながら寝ちゃうくらいに。グーグー。どっかーん。うわわわ。居眠り運転していた田宮二郎のGTOにアメ車2台が体当たりをかましてきましたよ。もちろん眠気はスッキリ。田宮二郎はGTOをスピンターンさせ、まるでラリードライバーのようにデコボコ道をかっ飛ばしていきます。そして、そのまま車を叢に突っ込ませて隠れました。しめしめ。アメ車軍団はGTOを見失って、去っていくようです……グーグー。ああ、また寝ちゃいましたね。そして、そんな田宮二郎のGTOに静かに近づくのは、浜美枝の乗ったデボネアなのです。

はっ。青森のホテルの一室で目覚めた田宮二郎。横にはなぜか奥さんがいてビックリです。「キミ、ここは」「あなた、まる一日、眠りどおしだって」「そうか」。奥さんの話によると、謎の女が田宮二郎をホテルに連れてきたそうで、奥さんはホテルから連絡をもらって駆けつけてきたそうです。うーん、全然、そこらへんのこと覚えてないんだよなあ。「お医者様の話では、疲労と神経障害が重なったんだそうよ」。つまりイッパイイッパイになっていたということですね。まあムリもないです。

「あなた北海道に行かないで」。ぶろろー。行くなと言われれば行くのが田宮二郎という男。青函連絡船に乗り、目指せ北海道。と、デッキで渋く海を見つめていると、そこにいたのは浜美枝じゃありませんか。早速、いままでに女性が3人死んだんだと、浜美枝を詰問する田宮二郎。「その犯人の親しい女が、僕のよく知ってる女性で、名前が"あ"から始まるということだけ分かりました」「"あ"から?」「ママの名前は朝子。僕の知ってる女性で"あ"から始まる人はキミしかいないんだ」。えー、田宮二郎の手帳には女性の名前が1万人くらい書いてありそうなんですけど。なんか、嘘くさいなあ。もちろん浜美枝も田宮二郎の発言をガン無視の方向で言います。「あなたにお話ししたいことがあったから。あなたを殺そうとしている人は……」。ここで効果を盛り上げるためにザッパーンと舳にぶち当たる荒波のカット。ザパパーン。「……あなたのお義父さん」。ガーン。「そんなっ。バカなっ!」。

どうやら、浜美枝は田宮二郎の義父、永井智雄が田宮二郎殺害を指示している電話を盗み聞きしてしまい「だから、あなたをここまで追ってきたんです」だそうです。なんで変装してデボネアに乗っていたのかは知りませんけどね。しかし、これで田宮二郎はハッキリと理解しました。「オヤジ、オヤジ。もしそうだとすると、狙っているのは僕の財産。そういえば白十字デパートは東京の角丸クレジットに喰われていた。でも、まさか僕の女房のオヤジが。いや、もしかしたら女房も!」。「まさか、あなたの奥さんが」と否定する浜美枝に、田宮二郎は叫びます。「今、何て言った。あなたの奥さんと言ったね。あなたの奥さん。"あ"」。ここぞとばかりに加賀まり子の声がリフレインされます。「あ、あ、あ、あ、あ」。ああ、分かった、分かったよ。でもひどいオチだ。

さて北海道に上陸した二人です。GTOを届ける先の「稚内の丸仙デパート」なんて存在しないのを承知のうえで、GTOとデボネアの2台体制でブロブロ走り続けます。ここまで来ると、そこに山があるから登るんだ、みたいな感じですね。もちろん、田宮二郎と浜美枝はイチャイチャしたりエッチしたり、ほとんど発情期の中学生カップルみたいなもんだんですけどね。

ま、そんなこんなで、サッパリした気分でホテルを出た二人は2台の車で旭川に。おや、一面の雪原の中にポツンとベンチがあるようですよ。ちょうどいい、あそこでお昼にしよう。絶対寒いと思うんですけど、そんなことを気にしない田宮二郎はサンドイッチをパクり。「あ、いけない。ポット忘れちゃったわ」。そんなことを言いつつ、デボネアに戻る浜美枝を、幸せ気分で見送ります。……。……。ん?……。おかしい、浜美枝が帰ってきませんね。田宮二郎が不安になって様子を見に行くと、なんとGTOがポツンとあるだけで、浜美枝のデボネアがいないじゃありませんか。でも、あたりを見回すと、なぜか田舎道を女がひとりフラフラ歩いているのが見えます。あれは、浜美枝をさらった一味に"間違いない"。まあ、それは当然としても、なんか罠くさいですけどね。

ぶろろろー。二本の足で走れば済む距離をGTOで走り出し、女を追い詰める田宮二郎。「ひいっ」「鹿児島のクラブのホステスだなキミは。ここにあった車はどうした」。「知らないわ」ととぼける女をムンズとひっつかみ、GTOに押し込んだ田宮二郎は詰問します。「行先は」「大雪山」ぶろろー。「キミと同様、黒川に頼まれて僕に近づいた女性がいたが、結局、殺されたよ」。ええっマジですかあ。「お願い下ろしてください」と女は叫びつつ、走行中のGTOから飛び降りていきましたが、まあ気にしない、気にしない。ぶろろー。

おっと大雪山とか言ってた割には、ちょっと走るといきなりデボネアが停車していましたよ。ききーっ。いちおう罠を警戒して、あたりを見回しながらデボネアにゆっくり接近する田宮二郎。しかし、野中の一本道、それも一面の銀世界ですから、どこに隠れる場所もありません。そぉーっ。デボネアの後部座席を除くと浜美枝が倒れています。あっ、良かった。「キミっ!」……ゴチーン。いきなり後頭部を何者かに殴られた田宮二郎はそのまま失神するのでした。

うんしょ、うんしょ。失神している田宮二郎を乗せたGTOを君塚がせっせと押しています。おりしも、ここは緩やかなカーブを描きどこまでも続く下り坂。やがてGTOは重力の導くまま、坂を自力で下り始めました。えーと、これは事故に見せかけて殺したいってことなのかな。でも、基本的に緩やかなカーブだし、積もった雪壁にぶつかってもたいした事故にはならないんじゃ。あ。田宮二郎が目覚めましたよ。なんか鬼のような形相でハンドルを右に左に切ってますけど、結局は間に合わなくなり雪壁にぶつかって停止。うん、最初からこうしとけばいいだけだよね。

ちなみに、このシーン。田宮二郎のGTOを君塚の乗ったジープが追いかけているのですが、カットが替わる寸前、後ろのジープが雪壁に乗り上げて、ひっくり返るシーンが映っています。これこそマジの事故。いったいなにやってんだか。

ともあれ、先ほどのマジ事故はなかったことにして、何事もなかったように、ポカスカ殴り合いを始める田宮二郎と君塚。ポカポカ。ゴロンゴロン。とにかく、役者さんは雪上で動くので当社比3倍くらい疲れるんでしょうが、観ている方としてはさっぱり迫力を感じないという可哀そうなパターン。「ドキッ!男だらけの雪上プロレス」みたいな感じさえ漂います。しかし、とにかく正義は勝つ!。ということで田宮二郎が勝利の余韻に浸りつつ鼻水をすすっていると、そこに「加瀬さーん」という浜美枝の声が。そして、なんと、なんと、なーんと義父の永井智雄が、浜美枝に猟銃を突き付けて、やってきたじゃありませんか。横には娘で田宮二郎の奥さんも引き連れています。

「わっはっは。鹿児島からざっと3千キロか。ご苦労だったな」。またワハハだよ。ついでに、田宮二郎にKOされていた君塚も起き上がり、田宮二郎をバカにします。「フフフ。あんたの奥さんは俺と再婚することになってるんだ」。悔しい田宮二郎は「人殺しに裏切り女か」と捨て台詞を吐いてみますが、奥さんから「裏切らせたのは誰?仕事と女遊びに夢中なあなたにとって、あたしは何だったの」と言われてシュンです。

「思えば長かった。だが能登の人間は辛抱強い」と自画自賛する永井智雄。すると君塚も調子に乗って「俺もその能登の人間さ」と便乗して威張っています。と永井智雄が君塚に猟銃を向けつつ言いました。「気の毒だがお前も一緒に死ぬんだよ」。ガーン。動揺する君塚……、おや、ぜんぜん動揺していませんね。むしろ自信たっぷり。「あんたは、俺を撃つことはできないっ!」。さらに「ある組織がこの成り行きに関心を持っているんですよ」とか言い出しましたよ。「あんたが聞いたら、腰を抜かすような人物が俺を見込んで、この筋書きを立てたんですよ」「貴様あ、永年の恩を忘れやがって」。どっちもどっちな二人が、猟銃を取ろうともみ合っています。そして、ガーン。斃れたのは永井智雄でした。しかし、その隙に田宮二郎は君塚にパーンチ。あうっ。猟銃を取り落した君塚と田宮二郎は、再びポカスカ殴り合いモードです。ごろんごろん。なだらかな雪原を転がり落ちながら喧嘩をしている二人。はい、また田宮二郎の勝ちです。今度は復活しないように、念入りに倒れている君塚の腹を蹴飛ばしておいて、田宮二郎は女性二人のもとに戻るのです。

田宮二郎が戻ると、父の遺骸にすがりついて泣いていた奥さんが、田宮二郎と浜美枝の目の前で、そのまま猟銃自殺を遂げました。ふう、苦い結末だったぜ。でも、これで全てが終わっ……、……、終わらないっ!

なんかいきなり「鶴翼の陣」隊形で、大勢の男たちが雪原を近づいてきます。そして、その要の位置にいるのは、カモフラージュジャケットにサングラスをばっちりキメた謎の男(トホホ。名優、三国連太郎です)。どうやら、コレが「腰を抜かすような人物」の正体らしいですよ。もっと仕事を選んで欲しい三国連太郎は言います。「我々の手で後片付けをしてあげよう。3千キロを走り続けてきたキミの闘志に対する敬意とでもいうものかねえ。もちろん見逃すのはこれ一度だけ。豚は太らせて食え。キミが太るのを待つとするかねえ」。「それはいったいどういう意味なんだ」「キミが裏日本の開発に成功した時、きっと私の組織が、キミの事業をそっくりいただかしてもらうよ。フハハ」。なんだかワケが分からなくなってきましたね。「名前を聞かせてくれ」「んあーーっ。かならず知る時があるさ、加瀬君。イヤというほどね。フハハハハ!」。

田宮二郎はGTOの運転席でひとり放心状態。そして、ちょっと涙目になりつつ言います。「負けるものか」。一方、浜美枝もデボネアの運転席で涙をポロりん、そして二台の車は、夕焼けに染まった雪の大地に走り出していくのです。


感想をひとことで言うとすれば、頭悪いなあ、です。偏差値で言うと10くらい? もしくはムーディーズの格付けならCくらい。まあテキトーですけど。

原作は木枯し紋次郎で有名な笹沢左保。監督は「100発100中」やゴジラシリーズなどを撮って、個人的に大好きな作風の福田純。脚本の石松愛弘は大映「黒シリーズ」などを手掛けたベテラン。そして、なんと言ってもカッコイイ田宮二郎。ひとつひとつのパーツは悪いどころか、むしろ一級品なのに、なんでこんな映画になっちまったんでしょう。

まあ原因は想像が付かないでもありません。田宮企画の作品。つまり田宮二郎の俺様作品ですから、そこらへんの歪みが出ちゃったのかあと。橋本忍の「幻の湖」とかもそうですが、いわゆる「現場で誰も止めなかったのか」という疑問が頭の中をグルグルする映画でした。

あ、音楽は良かったです。前田憲男のジャズな劇伴が最高にクールで、映画を盛り上げます。どれくらい良かったかというと、思わずアマゾンでサントラをポチっとしてしまうくらい。ちなみに4月1日現在、アマゾンで「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です。」になっているのは、最後の一枚を僕が買ってしまったから。本当に、どうもすみません。

ちなみに、永久凍結させようと思っていた「いくらおにぎりブログ」ですが、これを機会に、ゆるゆると更新を再開しようかと思っています。もっとも更新頻度は半年に一本とかかも知れませんが……。なにはともれ、よろしくお願いいたします。

あと、被災地が一日も早く復興できますように。そして、子供たち:次の世代のためにも、みんなで頑張って、前よりいい日本を作りましょう。 



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【映画】素晴らしき日曜日

2010-09-10 | 邦画 さ行
【「素晴らしき日曜日」黒澤明 1947】を観ました



おはなし
お金が無くても、二人でいれば楽しいね。

基本的に、ある日曜日の朝から夜までを、時間軸に沿ったまま、淡々と描いた作品です。

パァーン。警笛をあげながら満員電車が駅に滑り込んできました。ぎゅうぎゅう詰めの車内から、どうにかこうにか降りた昌子(中北千枝子)は、駅から出て、スタスタと道を急ぎます。今日は楽しい日曜日。恋人の雄造(沼崎勳)との楽しいデートが待っているのです。

一方、雑踏で人待ち顔な雄造。おや。足元にタバコの吸殻が落ちていますよ。どきっ。す、吸いたい。でもシケモク拾いなんて。ちらっ、ちらっ。吸いたいものは吸いたい。我慢できない。よいしょ。吸殻を拾った雄造は、それを口にくわえます。と、そのタバコを叩き落されちゃいました。見ると、横には昌子が。思わず「もう三日も吸わないんだ」と言い訳をする雄造ですが、なんだか、そんな言い訳をするのもミジメな気がしてきましたよ。

「来ない方が良かったんだよ」「ええっ」「来てもしょうがなかったんだ」「どして」「15円しか持ってないんだ」。そう、雄造は貧乏なのです。「あたし少しは持ってるわ」「俺だって男だよ。女の金で遊ばしてもらうなんでヤだ」。そのうえ、雄造はスネてます。「ねえ、持ってるったって20円くらいのもんだけど、だいいちお金がなくたって」「昔はそんな風に考えたさ。でも今じゃ。人間、落ち目になってみると金の有難味がよく分かるよ」。貧乏かつスネている雄造ですが、昌子は辛抱強く言います。「よしましょ、そんな話。ねっ。とにかくあたしに任せてよ。せっかくの日曜日だわ」。ついでにネクタイを直してもらったりして、雄造のご機嫌も、少し直ったようですよ。「35円の日曜日かぁ」。

まあ35円あるといっても、お金を使わないで済む方がいいに決まっています。おや、「新興模範住宅」の看板がありますよ。「ちょっと入ってみない。これなら入場無料よ」と昌子が嬉しそうな声をあげました。なんと「たった」10万円で家が建つそうですよ。しかし、やっぱり文句をつける雄造。「ひどい建付けだな。昔だったら千円どまりのうちだぜ」。と、雄造は昌子が脱いだ靴に目を留めました。靴底には穴がポッカリ。そのうえ、靴底は前から剥がれて、パックマンみたいになっています。それはまるで、自分たち貧乏カップルを象徴するような光景じゃありませんか。「お庭があったら、トマトやグリーンピース、どっさり作るの」と楽し気に夢を語る昌子を、正視するに耐えない気分になった雄造は、「行こうよ。くだらん」と言うのです。

「夢じゃ腹は膨れないからな」とシニカルな雄造に、昌子は寂しそうに言います。「昔は、戦争に行く前は、もっと夢があったわ。あなたにも」「……」「ほら、結婚したら二人で気持ちのいいベーカリーを作ろうって、話しあったことがあったわ。おいしいコーヒーやお菓子を安く売ろうって。大衆の店ヒヤシンス。お店の名前まで考えたじゃないの」。雄造はハッとしました。そうだった。それが夢だったんだ。でも、その夢は、今の自分の口には苦すぎます。「この戦争ですっとんじまったさ。そんな夢は」。そして、そんな遠い夢より、目下の問題は一緒に住める部屋がないこと。それがなければ結婚もできません。さらに緊急な問題は、ちゅー。昌子とちゅーをしたい。ま、雄造も男の子ですからね。まずはベーカリーより家より、とにかくちゅーをしたいのです。しかし、そんな雰囲気を微妙に察知したのか、サササッと身をかわす昌子でした。

と、そこに目付きの悪い闇屋(菅井一郎)が愛人を連れて、家の見学にやってきましたよ。き、気まずい。この微妙な雰囲気がバレちゃったかな。恥ずかしさのあまり、早々に展示住宅を去ろうとする二人ですが、ふと闇屋カップルの会話が耳に入ったのです。「あたし、イヤあよ。こんなマッチ箱みたいなうち」「でもお前。さっき見た貸間のこと思えや、よっぽどいいよ」。ピクン。貸間ですって。「あのうタイヘン失礼ですけど、今お話の貸間っていうのは」。物怖じしない昌子が聞いてみると、意外と闇屋も親切な男で、親切にその貸間の場所を教えてくれるのでした。よーし、レッツゴー。

しかし、行ってみれば受付のオヤジはやる気ゼロ。「日は絶対に当たりません。窓から見えるのは前の工場の便所だけです。あんな部屋にひと冬いたらリューマチに罹ること確実ですな。それに夏がまたヒドイです」。思わず、昌子にこっそりと、手でクルクルパーのサインを出してみる雄造ですが、どうやら違ったようです。「実は、その部屋には私がいたんですよ。病気でふた月ばかり部屋代をためたばっかりに、荷物は差し押さえる。部屋からは放り出す。今、風呂場で寝ているんでさあ。しかも、昼間はこんな仕事を」。なあんだ。つまり、自分の部屋に新しい借り手が入ると困るってことなんですね。それにしても、話を聞くと、そんな部屋でも家賃は600円。二人の月給を合わせても1200円なので、とても住めそうにありません。まったく、戦後の住宅難がうらめしいですね。

気を取り直して、雄造が子どもたちの野球に混ぜてもらうと、打った球がまんじゅう屋さんを直撃して、まんじゅう代10円を弁償させられ、残金が25円になるし、昔の戦友を頼ってキャバレー見物に行くと、ユスリタカリに間違われて、散々な扱い。なんだか、楽しいはずの日曜日が、トホホ風味です。

ふう。町を見下ろす高台で、おにぎりの昼食を取る二人。おや、浮浪児がこちらをジィーっと見ていますよ。「なんだ金か」。しかし浮浪児は「金なんかいらねえや」と、おもむろに懐からお札の束を出してみせました。「それが食いてえんだ。10円やっから、ひとつくれよ」。「お金はいいのよ」とおにぎりをあげる昌子。にこーっ。浮浪児の顔に笑みが浮かびます。まるで、いっぱしの犯罪者のような顔をした浮浪児ですが、この瞬間だけは、本来の子どもらしい笑顔です。

昼食を終えて、どよーんとした気分で歩いている二人。前からは、親に連れられ、キレイなかっこうをしている子供たちがすれ違っていきます。「タイヘンな違いだわ。同じ子供のはずなのに」「浮浪児は子供じゃないよ。少なくとも、俺たちよりは年寄り…」「よしてっ! 今晩夢に出てきそうだわ。あの子」。

それでも気分を変えて、動物園に行く二人。入園料を払うと、残りは23円。そして、動物園を出ると、雨。雨。23円で雨。いったい、どうしろと。「ね、どうしましょう。これから」という昌子に、雄造は無言です。しかし、その心のなかにはひとつの野望がムクムクと。「おい」「なあに」「……」「なあに」「……」「ね、なによ」「俺んとこの下宿、こないか」「だって、お友達いるんでしょ」「ううん、今日は夜中まで帰ってこないよ」チラッ。昌子も、その言葉の意味に気づいたのか黙っちゃいました。「……」「……」。「さ、行こう」と業を煮やした雄造ですが、昌子は化石のように固まって動こうとしません。「イヤなのか。ええっ」と声を荒らげる雄造。それでも動かない昌子に、キレました。「じゃ、これで別れるか。こんなとこで立ちんぼしてて、風邪ひいたって始まらねえや。な。35円の日曜日は35円のことだけしかなかったってワケさ」。「ちょっと待ってよ。そんなあ」と涙声になる昌子ですが、ふと、横に貼ってあるポスターに気づきましたよ。ポスターにはこうあります。「シューベルトの午后 未完成交響曲」。「ねえ、これ聴きに行きましょうよ。ねっ。思い出さない? 一番最初のランデブー」。

ちょっと毒気を抜かれた雄造ですが、ふてくされたように答えます。「いまどき、10円の音楽会なんであるもんかい」。しかし、昌子は自慢そうにポスターを示しました。「ほら御覧なさい。B券10円」。「ねえ」「ねえ」「ねえー」。もちろん、昌子のことが嫌いなわけでなし。というより好きすぎて困ってるくらいですから、おねだりの声に気持ちも柔らかくなる雄造。よーし、ダッシュだ。急げぇ。

どうにか開演に間に合ったようです。切符を求める列に加わる二人。あと少し。あと少し。しかし、なんてことでしょう。二人が切符を買う直前に、切符はダフ屋に買い占められてしまったじゃありませんか。そして、シレっとした顔で、並んでいる人たちに一枚15円で切符を売り始めたのです。もちろん、多少なりともお金に余裕のある人は、それを買うか、A券を買うのでしょうが、二人には金がない。というか、持っているのは23円ぽっきり。ぷっつーん。キレた雄造は「10円で売れ」と一人のダフ屋を突き飛ばしますが、仲間のピンチを察知したダフ屋仲間がワラワラと。ぼか、すか。はい、雄造はあっという間にノサれちゃいましたよ。雨の降るなか、地面に転がっている雄造。もちろん、体も痛いでしょうが、それよりプライドがズタズタです。

「大丈夫? 怪我したんじゃないの。とんだ日曜日になっちまったわねえ」と心配そうな昌子の声に、無言の雄造。二人の体を雨が濡らしていきます。「僕は帰る。君も帰れよ」。スタスタ。しかし、そう言われたからといって、まさか一人で帰るわけにもいきません。雄造の後についていく昌子。でも、いざ雄造の下宿を目の前にすると怖いのです。モジモジ。モジモジ。どうにか部屋に入っても、雄造はひとりでムスっとしているばかり。どうしよう。「あたし、こんな風にして別れるのイヤ。こんな気持ちじゃ帰れないわ」「……」「この次の日曜日まで会えないっていうのに」「……」。取り付く島のない雄造に、それでも昌子は懸命に話しかけます。「腕痛むの?」「痛いのは体じゃないよ」「お茶でもいれましょうか」「飲みたくない」「何かお菓子でも買って来ようかしら」「欲しくないよ」。泣きたいのはこっちだって同じよ。「どうすればいいの。いじめてばっかり」。「ポツン」。昌子の問に答えたのは、雨漏りを受け止める洗面器だけでした。

がばっ。いきなり昌子を抱きしめようとする雄造。ぐいっ。巧みな動きで、昌子はそれを振り払います。しかし雄造は黙って、部屋の鍵をガチャガチャとかけようとしていますよ。「いやよ。いやいや。いやぁっ」。ダッシュで戸に駆け寄った昌子に、雄造は平板な声で言います。「ちっ。お嬢さんなんだな。いつまでも」。昌子は悲しくなってしまいました。「帰る、あたし。ぐすん」。「ふん、これでおしまいか」と雄造は言ってみますが、昌子は本当に帰ってしまったようです。ぽっかり。雄造の心には大きな黒い穴があいたようです。汚い窓ガラスから外を見ても、そこには昌子の姿はなく、ただ雨に煙るしょぼくれた街並みはあるばかり。ふう。あれ、昌子はカバンを置き忘れていったようです。木でできた子犬のマスコットが、昌子の優しさを伝えると同時に、自分の身勝手さを責めているような気がしてしまう雄造でした。

雄造が放心していると、ガタン。昌子が戻ってきました。無言のまま、背を向けてレインコートのベルトを外しています。しかし、それが限界。うずくまってオイオイと泣き出す昌子。「まーちゃん。いいんだよ。分かったよ。バカだなあ、いいんだよ」。シクシク。シクシク。エグエグ。泣き止まない昌子に、思わず雄造の声も裏返っちゃいます。「バカだなあ。いいんだよ。いいんだよ」。ウワーン。それを聞いた昌子は号泣です。「お。晴れてきたぜ」。確かに、陰鬱な雨は止み、空が明るくなってきましたよ。スンスン、エグエグしている昌子に雄造は言います。「もう一度、街に出てみようや。お茶でも飲もうよ」。

喫茶店で、コーヒーとお菓子を楽しみながら、頬に手を当ててポワーンとしている二人。って、アレ。アレレ。一杯5円のコーヒーに、5円のお菓子。それがふたり分だから20円のはずなのに、なぜか伝票には30円って書いてありますよ。どういうこと。あらためて、よーく見ると、ミルクコーヒーは10円って書いてあるみたいです。つまり、このミルクはサービスじゃなくて有料ってことですか。ガガーン。もちろん所持金が足りないのもショックですが、この商売のやり方が悲しすぎる。なんで、庶民をだますようなやり方をするんだろう。

コートをカタにおいて店を出た二人ですが、雄造の怒りは収まりません。焼け跡に沈む夕陽を見ながら、何かをじっと考えているようです。と、いきなり大声で昌子に言い出しました。「おいっ。ヒヤシンスをやろう、二人で。3年先でも5年計画でもいい。二人でベーカリーやるんだ。いや、どうしてもやらなきゃダメだっ」。「あらステキ。昔の雄造さんが帰ってきたわ」と、昌子は両手を握り締めつつポワワーン。よーしやるぞお。「九尺間口でもいいや」と虚空を見つめる雄造。空中に、二人にしか見えないヒヤシンスのドアを描きます。「ガラスに、大衆のコーヒー店ヒヤシンスって、金文字で」。「ううん。金文字よりコバルトブルーか何かのエナメルで」と昌子は空中にサラサラと文字を書きます。二人は、それこそ夢中になって、夢のお店の計画を手振り身振りで話しあうのです。って、アレ。気づけば、二人の周りには見物人がいっぱい。カーッ。恥ずかしくなった二人はソソクサとその場を逃げ出すのでした。

日比谷の野外音楽堂にやってきた二人。真冬の夜ですから、人っ子ひとりいません。雄造は恭しく、締めていたマフラーを座席に引きながら言います。「特等席だぞ」「ねえ、何をするの」。「君は夢が描けるね」。コックリ。「よし。じゃあ、未完成交響楽を聴かしてあげる」。ネクタイを締めなおした雄造は真面目くさった表情で言います。「俺が指揮者だ。楽団のメンバーは透明人間」。「んふふ」「笑っちゃいかん。ほら。見てごらん。みんなタキシード姿で楽器抱えて位置についてる。俺にはちゃんと見えらあ」。

エヘン。ステージの中央に立ち、楽聖よろしく見えないタクトを振り上げる雄造。しかし、その手は固まったままです。「どうしたの」「おい、きっと聴こえると思うか」「聴こえるわ。聴こえるに決まってるわ」「よし。これが俺たちの一生のうちで、いちばん美しい晩になるぞ」。パチパチ。昌子の拍手に答え、お辞儀した雄造は、サッと透明タクトを振り下ろしました。ひゅうう。ひゅうう。しかし、そこに響くのは木枯らしの音。まるで二人を嘲笑うかのような、冷たい風の音です。昌子に励まされ、もう一度。サッ。ひゅううう。ガックリする雄造に、昌子は訴えます。「ねえ、どうしたの。ねえ、聴こえるはずよ。きっと聴こえるわ。ねっ、やって。さ、やって」。パチパチ。昌子は痛いほど拍手をしながら続けます。「ね、お願い。やって」。パチパチ。でも、雄造はガックリなまま。うーん。爪を噛みながら考える昌子。ピカリン。ひらめきました。ステージに上がった昌子は、クルリとこちらに振り向いて言います。

「みなさん、お願いです。どうか拍手をしてやってください」。昌子の顔がアップになります。「みなさんの暖かいお心で、どうか励ましてやってください。お願いです。世の中にはあたしたちみたいに貧乏な恋人がたくさんいます。そういう人たちのために、どうかみなさんの拍手を送ってやってください。世の中の冷たい風にいつも凍えていなければならない貧しい恋人たちのために」。泣きながら訴える昌子の表情の、なんと可愛いこと。雄造も並んで、頭をペコリ。するとどうでしょう。どこからともなくチューニングの音が聞こえてきましたよ。弦楽器が、木管楽器が、金管楽器が。コンサートが始まる前の、あの期待感に充ち溢れた、心地よい喧騒の音が。

「よーし」。元気が出た雄造に、「ちょっと待って」と編み棒を渡す昌子。シーン。雄造はタクトを振り下ろしました。サッ。

今、音楽が始まりました。弦楽器の低温が動機を奏で始め、木管楽器が切ないメロディを刻みます。懸命にタクトを降る雄造。それに聴き入る昌子。二人には、確かに未完成交響曲が聴こえています。やがて感動的なフィナーレを迎え、ステージに駆け上がる昌子。二人は、今、心からお互いを求めてキスをするのです。そして、それを見ているのは、ただ子犬のマスコットだけなのでした。

駅のホーム。楽しい日曜日もこれで終わりです。幸せそうな表情で、ベンチに座っている二人。でも、どうしてでしょう。昌子の頬には涙が光っています。きっと幸せすぎても、涙は出るものなんですね。

パァーン。警笛をあげながらガラガラ電車が駅に滑り込んできました。「じゃあ、お休み」「また、この次の日曜日」。電車は昌子を乗せて去っていきます。おや。ふと足元を見ると、タバコの吸殻があります。思わず唇に手を当てる雄造。吸いたい。……、いや止めとこう。吸殻を足で踏みにじった雄造は、真夜中の街に向かって、両手を大きく広げるのでした。


とてもクロサワ映画とは思えないスイートな作品です。でも、実のところ、僕にとってのクロサワ・ベスト1は、この作品です。この映画を見ると、色んな甘酸っぱい思い出が、奔流のように心に沸き返って、思わずクラクラしちゃうくらいです。なんてステキな作品なんだろう。

まあ、人によっては、分析的に観る方もいらっしゃるかもしれません。戦後の住宅難がテーマだと思う人がいるかもしれないし、浮浪児に着目する人もいるでしょう。もしくはダフ屋やセコい喫茶店マスターから、戦後の道徳的退廃がテーマなのだ、と考える人だって。さらには、中北千枝子が観客に拍手を求めるシーンから、クロサワの実験映画なのだ、と考える人すらいるかもしれない。

でも、やめましょうよ、そういうの。ただ、その映画の中に入り込んで、黒澤明監督の作ったおとぎ話のマジックにひたる。ただ感動して、あまりの甘酸っぱさに切ない気持ちになる。もしくは、沼崎勳とシンクロして、中北千枝子にキスをしたい。でも、できない。そんな風にヤキモキしたっていいじゃないですか。そういう観方でいいと思います。

それにしても、中北千枝子のステキっぷりは異常です。成瀬巳喜男作品だと、「あ、またいた」くらいのオバサンだし、正直なところ「美人なのか?」と聞かれると、ちょっと言葉に詰まる部分もあります。でも、なんというか、観ているうちに、どんどん惹かれていくんですよね。言い方を変えると、映画の冒頭では「単なる他人」だったのが、観ている間に、どんどんステキに見えてきて、映画が終わるころには、すっかり恋に落ちている感じです。で、すっかり忘れたころに、この映画を観直すと、また同じプロセスを辿って、大好きになる、と。まあ女性から見た時には、どんな感じなのかは分かりませんが。

あと、沼崎勳が演ずる雄造ですが、これがかなりのわがまま。身勝手なヤツとお怒りの女性もいらっしゃるかと存じますが、まあ許してあげてください。他意はないんです。ぶっちゃけ甘えてるだけ。キスでもしてあげれば、天にも昇りますから。

ちなみに、今回観直して発見というか発聴したのは、中北千枝子の声が某女優に似ているということ。目をつぶって、音だけで楽しんでみると、うわっ、若尾文子だ。







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【映画】女番長 玉突き遊び

2010-08-02 | 邦画 さ行
【「女番長 玉突き遊び」関本郁夫 1974】を観ました



おはなし
ハスラーの女番長が、伝説のビリヤードプレイヤーと対決……する話では、まったくありません。

公開は「女番長 タイマン勝負」が先になってしまいましたが、こちらが関本郁夫監督のデビュー作になります。デビュー作だけあって、渾身の力作という言葉がふさわしい感じでした。


鉄橋の真下には、怖いお姉さんたちが、向い合って睨み合いです。かたやセーラー服の集団、かたやジーンズなどの私服集団です。おっと、セーラー服集団のリーダー(衣麻遼子)が片手を前に差し出して、仁義を切りはじめましたよ。

「わたくし、生まれも育ちも大阪です。船場育ちがいつしかグレて、マリアの教えも右から左、ご存知カトレア女学院にて番張りますカトレア三奈です。新面のあんさんにサシのタイマン仁義発します」

カトレア三奈の仁義に、私服集団のリーダー(叶優子)が答えます。

「筋目の仁義、受けさしてもらいます。あたくし、生まれも育ちも神戸です。ふた親の顔も知らないはぐれ鳥。難波界隈にパッと咲いたら散るのも覚悟。血桜グループにて番張ります牧今日子こと山猫のお今日です。あんさんとのタイマン仁義、しかと受けさしてもらいます」

どりゃっ。カトレア三奈がカトレアの花を今日子に投げつけたのをゴング代わりにタイマン開始。ぼかすか。ぼかすか。むきーっ。二人はゴロゴロと川を転がり、さながら泥レス状態。それにしても、衣麻遼子のセーラー服姿っていうのは、なんていうか悪夢すぎる。

それはともあれ、敗色濃厚な三奈は、いきなり太ももに隠したナイフというかククリを取り出しましたよ。うわっ、それは反則。しかし、そこに今日子のイナヅマパンチがドッカーン。きゃーっ。自分のナイフが目の横をえぐり、血ダラダラの三奈は悔しさに今日子を睨みつけるのです。ぎろーっ。おっと、パトカーがやってきました。タイマンがばれてしまったようです。うわー、にげろー。もっとも、今日子は逃げ遅れて捕まったみたいですけど。

「牧今日子。あなたを特別少年院に送致します。この宣告に不服のある場合、あなたは2週間以内に高等裁判所に抗告の申立をすることができます」。そう宣告する家裁の裁判官をキッと睨んだ今日子。「不服なんかあらへん。ネンショウでもどこでも、行ったろやない」。どどーん。はい、タイトルです。

ということで、サクっと少年院を退院した今日子が心斎橋筋を歩いていると、おや。かつての仲間、真弓(早乙女りえ)を見つけましたよ。「真弓、真弓やないか」「今日子っ」「へえ、見違えたで。どこの若奥様やん、思うたがな。うちもな、おかげさんで先月無事にネンショウ卒業して……」「あんたぁ」。あれれ、真弓は旦那さんの方に走っていってしまいました。ふん。男ができると、女どうしの友情なんてあっさり壊れるんだ、と憮然とする今日子です。

うっぷんばらしに、そこらへんを歩いているズベ公をボコっていると、おや、今度は白タクを運転しているユキ(藤山律子)が通りがかりましたよ。「ユキ」「今日子!」。良かった、こっちは歓待してくれるようです。ヤサのない今日子に、いつまでも部屋にいてくれてもいいと言ってくれるし、持つべきものは友達ですね。

そのころ、かつての仲間A(名前不明)は巨乳の桃代(田島晴美)と組んで、シノギの真っ最中。デパートで桃代がオッパイぽろんの間に、商品をかっさらうのです。「ホンマに桃代のデカパイの威力はたいしたもんやな。神様、仏様、デカパイ様や」。と、そこに「あのう」と赤ちゃん連れの女の人が声をかけてきましたよ。お手洗いに行く間、赤ん坊を預かってくれないかと言うのです。基本的に気のいい二人は、気持ちよくOK。……。OKなんだけど。……。うわっ、お母さんが消えた。こ、これはもしかして捨て子。

しょうがないなあ。こっちは関係ないし、トイレの個室に捨てていっちゃおうか。二人がそんな相談をしていると、後ろから声が。「かわいそうなことせんとき」。「ばんちょー」。そう今日子がいたのです。「あいかわらずケチなシノギしとるんやな。こんな可愛い金の卵、粗末にしたらあかんで」。

さっそく赤ん坊を抱いて、適当なお葬式に乗り込む今日子。「パパっ。なんでこんな急に。うちらは、うちらはいったいどないしたらええのぉーーー。うわーん」。はいビックリした親戚が口止め料をくれちゃいました。ほらシノギはこうやるんやで。

さらに、レズビアンショーをやっている、かつての仲間Bに会いに行く今日子。とりあえず仲間Bとお友達を教育的指導(ってレイプですが)しようとしていたチンピラにナイフを突きつけ、言い放ちます。「今日限り、この二人辞めさせてもらうさかい」。「こんなマネさらしてただで済むと思うてんのか。おんどれら、立花興業の怖さ知らんな」と叫ぶチンピラ。はい分かりました。つまり、「立花興業」が最後の敵ってことですね。ま、それはともあれ、ここに新生「血桜グループ」復活です。

さて、立花興業の車が暴走中。運悪く通りがかった真弓の旦那をはね飛ばして、急ぐ先には、そう今日子がいました。キキーッ。「山猫お今日言うんは、お前やな」。「誰やの」とビックリしている今日子は、そのまま廃工場に拉致されちゃいましたよ。そして、そこに出てきたのは赤いジャケットに赤いパンタロンをバッチリ決めたカトレア三奈だったのです。「今日子、久しぶりやな」「三奈っ」。焼け火箸をじゅうじゅう加熱していく三奈。真っ赤にやけたソレを今日子の髪に押し当てて切っていきます。そして、足にじゅじゅーっ。「うぎゃーっ」と絶叫する今日子を冷たく見つつ、「これで済んだと思うたら、大間違いやで」と三奈はガラスの破片を手に取りました。私の顔につけた傷をそのまま、お返ししてやる。まあ、あれは自爆なんですけど。と、そこにイカシタ男が飛び込んできました。「ガキの火遊びにしちゃちょっとやりすぎだぜ」と言いつつ、パーンチ。「ちきしょう、覚えとき」と逃げ出していくカトレア会のみなさん。いかにも悪役っぽさ全開です。そのイカシタ男、西条五郎(白石襄)が去ると同時に駆けつけてきた血桜グループのメンバーによると、どうやら三奈の情夫が立花興業の幹部だそうです。それに、カトレア会のメンバーは卒業後もつるんでOL売春をやっているというじゃありませんか。「よっしゃ。あいつらのやってること全部調べて、かつあげたる」と握りこぶしを固める今日子。もう、バリバリやっちゃうわよぉ。

「なめたマネしやがって」。相次ぐ血桜グループの妨害に怒り心頭の三奈。「それにしても、うちの沖ダイヤの一件、バレてへんやろな」とメンバーのマリがぼそっとつぶやきました。そんな会話を横でで聞いているのは、三奈の情夫の小池(菅貫太郎)です。ま、ケチなカツアゲには、興味は無さそうですけど。

今日子が街でカトレア会の動静を探っていると、立花興業のチンピラに追われている西条五郎を発見しました。立花興業の事務所でボッコボコにされて、雨の中ポイっと捨てられる西条五郎。その傷だらけの顔を、「いつかの晩のお返しや」とハンカチでゴシゴシこすってあげる今日子。二人は見つめ合います。そしてグルグル回りながらチュー。「二度あることは三度あるって言うしな。また、どっかで会おうじゃん」。じゃあねえ。去っていく西条五郎を見つめる今日子の頬に光るのは、雨でしょうか。それとも涙。

ま、それはともあれ、カトレア会のマリが沖ダイヤの経理部長(名和宏)と密会している現場を押さえた血桜グループのみなさん。みごと、30万円もカツアゲすることに成功しました。今日子は満足そうにつぶやきます。「スケバンには、明日もあらへん。昨日もあらへん。あるのは今日だけや」。ということで、みんなでパーッとやっちゃいましょう。ひゃっほう。

砂浜を裸でダッシュする血桜グループのみなさん。これ以上ないくらいオッパイ全開、フルオープンで、お客さんを楽しませちゃうわよお。確かに巨乳ちゃんの桃代こと田島晴美が、オッパイをゆっさゆっささせているのは、おじさんちょっと嬉しいです。ありがとう。もちろん、いつまでも裸だと裸族になっちゃうので、いい加減なところで血桜グループのみなさんが服を着ると、そこにジープに乗った三奈たちが、怒りの形相でやってきましたよ。「今日子、ようもマリこけにしてくれたな」。えーい、やっちまえー。ボカスカ、ボカスカ。はい、やられたのはカトレア会の方でした。首以外、全部砂に埋められちゃうカトレア会のお姉さんたち。ほとんど落ち武者の首みたいな三奈こと衣麻遼子が怖すぎです。

「血桜のガキたち、殺してもあきたらへんわ」。怒っている三奈。いや、どうせかなわないんだから、止めておいた方がいいと思うんだけどなあ。ほら、マリも止めてるし。なにしろ、沖ダイヤの一件は、30万円なんてはした金もいいとこ。偽装倒産で10億円もの密輸ダイヤを沖ダイヤは隠しているそうですから。「そうはいかへん。こうなったら10億なんてどうでもええ。今日子の始末の方が先や」。そんな会話を耳ダンボで聞いている情夫の小池。ぐわっ。なんですとお。

早速、小池はボスの立花(安部徹)に、沖ダイヤの件を御注進です。「こうなったら、どないなことしても連中探しだせ。10億のダイヤ、全部取ったる。小池、この件はお前に任せる」。小池としては、これで筆頭幹部になれるかもしれませんからね。やる気まんまんです。

一方、イカシタ男の西条五郎は、バーで女歌手(星まり子)が熱唱する「泣くなオッパイちゃん」を聞いています。それにしても、なんていう挿入歌なんだか。ともあれ、歌い終えた歌手に西条五郎は言います。「だいぶ、生活良さそうじゃない」「おかげさまで、五郎ちゃんにこっち売られたのが、運のつきはじめ」。うーん、売ったんだ。どうやら歌手はスポンサーを見つけたらしく、歌手も趣味でやっているとのこと。で、そのスポンサーって誰なのさ。「社長さんをね。沖ダイヤの」「沖ダイヤ? たしか新聞では倒産したって」「それは表向き」。ぴぴーん。よし、もう少し、その話を詳しく教えてもらおうかな。

怒りに燃える三奈の願いがようやくかないました。立花興業の協力で、今日子の拉致に成功したのです。ふふふっ、やっておしまい。うおーっ。喜んで今日子に襲いかかるチンピラたち。あれーっ。時間は流れ、レイプされた今日子は、ひとり廃工場に座り込んでいます。と、呆然としている今日子の前に、西条五郎がやってきました。「気にすんなよ。減るもんじゃねえしよ。メイファース。メイファース。チャイナ語で、なるようにしかならねえってことよ」。ちゃ、ちゃいな語って。あ、問題はそこじゃないですね。「へんな慰め止めてんか。あんた、今うちを抱ける」「……」「抱けへんやろ」。五郎の沈黙を答えにした今日子は、工場の外に出て、突き出した水道管から水を浴び始めました。キラキラ。陽光に照らされた水しぶきが、今日子の裸身を包み込むようです。「気休めは済んだかい」。やってきた五郎はぐいっと今日子を抱きしめました。キラキラ。むちゅー。キラキラ。なんていうか芸術的なチューです。

寝物語に、10億のダイヤの一件を聞いた今日子。「立花興業は同じ狙いなんやね」「ああ。10億のゼニつかんだら、アフリカ行きてえな。猛獣狩りでもやりながら、ノンビリ暮らしたら最高だぜ」「カトレア会が言うてたシノギもこれやったんか。な、うちにも一口乗せて。三奈や立花興業の奴らにひと泡ふかせな、気おさまらへん」。

早速、血桜グループのみなさんに相談する今日子。しかし、白タクのユキ、そしてオッパイちゃんの桃代以外は、相手がホンモノのヤクザと聞いてヘタれてます。まあ仕方ありません。確かに、これは命がけのシノギですから、やる気のある人間だけでやりましょう。と、そこに真弓がやってきました。覚えてますか。冒頭で今日子にそっけない態度を取っていた元メンバーです。「なあ今日子。うちも仲間に入れてくれへん?」。そう、真弓は旦那さんが車にはねられ入院中。そのうえ妊娠中なので、お金が必要なのでした。しかし、今日子は冷たく答えます。「お断りやな」。カタギにはカタギのシノギがあるやろ。それにハラボテじゃ、邪魔になるだけや。ががーん。断られた真弓は、ヨロヨロと帰っていきました。そして、地下鉄の駅で、ショボーンとしています。しかし、そこに今日子やオッパイちゃんたちがやってきましたよ。「真弓、これで縁切りやで」、そう言って30万を渡す今日子。そう、今日子は見ぬいていたのです。真弓が決して、仲間に加わりたいわけではなく、ただお金を借りたいだけだったのを。

立花興業を出しぬいて、10億のダイヤをゲットした西条五郎と今日子、それにユキとオッパイちゃん。しかし、敵も然る者引っ掻くもの。あっという間に大阪は、立花興業に封鎖されてしまいましたよ。困った、どこへ行っても、立花興業のチンピラたちがうろうろしている。逃げ場を失ったみなさんが困っていると、そこに真弓が助け舟。うちの部屋に隠れて、「ここなら大丈夫や」。うわっ、大丈夫じゃありませんでした。日和った仲間が、真弓の家をチクったみたいです。まずい、こっちに来る。「あんたら、早よう裏から。後は任せて」。ありがとう、真弓。スタコラ逃げ出すみなさん。しかし、トボける真弓の嘘を立花興業は、あっさり見抜いてしまいました。ほら言わんかい。ごらあ。言わないと、バーン。あ、殺しちゃった。銃声を聞いて戻ってきた今日子が発見したのは、血まみれになった真弓の死体だったのです。

やり場の無い悲しみを忘れるためディスコで踊りまくる今日子。しかし、これじゃ立花興業に見つかっちゃいますよ。「こんなとこ奴らに見つかったらどうするんだ。女にも命は賭けられるなんて言ったのは、どこのどいつだ。それでも番長か。山猫お今日はドコ行っちまった」。はっ! 西条五郎の言葉に目を覚ます今日子。「せやったな。真弓にあんなハッパかけといて、うちこそ女の意地、忘れるとこやった」。よーし、逃げきってみせるわよお。

ということで、ダイヤを分けて、バラバラに逃げることにしたみなさん。目指すは伊丹空港の国内線ロビーです。さささっ。しゅたたたっ。にんにん。しかし何ということでしょう。ユキが捕まってしまいました。アジトに連行され拷問されるユキ。「吐かんかい、コラ」「言うもんか」。どすっ。腹にダイナマイトパンチを喰らって絶命するユキ。でも、命を賭けて仲間を守ったのです。って、アレ? 小池は真弓のポケットから覗いている航空券に気づきましたよ。「9時か。社長これですわ。奴ら、きっと伊丹に来よりまっせ」「よっしゃ、どんなことしても、しょっぴくんや」。そんな様子を唖然として見ていたカトレア会のみなさん。まさか、本当に人を殺すなんて。その上、立花興業からは死体を始末するように命令されちゃいました。げげっ、どういうこと。なんで、あたしらが。三奈は情夫の小池に叫びます。「あんた、ただうちを利用するだけやった。あんた。あんたぁーー」。「やかましいやい」バコッ。小池に殴られ、顔の傷からダラダラと流血大惨事な三奈。「なんや、そのセコハンづらで、いつまでわいのバシタ気取りしてるつもりや」。ちょ。それは、いくら衣麻遼子とはいえ、ちょっとかわいそう過ぎませんか。

早速、伊丹空港から拉致されてきちゃう五郎と今日子たち。ダイヤを奪われ、ユキの死体が転がる地下室にポイです。ええと、空港のセキュリティとかどうなってんですか。ま、それはともあれ、悲しんでいる暇はありません。ユキの分も生きなくては。監視がいなくなった隙を見計らい、ロープをライターで焼ききるみなさん。よっしゃ、脱出だ。と、そこに三奈が立ちはだかりましたよ。「今日子、お前だけは、お前だけは、ここを通さへんで」。小池に裏切られて、逆恨みも混ざっていそうな三奈は、戦闘力もアップしてそうですね。「うちとお前の、これが最後のタイマンや」。そう言って、ナイフを渡す三奈。さあ、まさに真剣勝負です。どりゃー。カチン。あ、三奈のナイフが今日子のナイフに叩き落とされました。「うちの負けや」。ガックリする三奈。「あんたこそ、マブなスケバン。うちはただのズベ公」。そうか、スケバンってエライんですね。ともあれ、三奈は、立花や小池が瀬戸内海の小島にいることを教えてくれました。よっしゃ、後を追うぞぉ。

ぶぉーん。瀬戸内海を疾走するモーターボート。しかし、おかしいですね。五郎やオッパイちゃん、それにちゃっかり仲間に復帰した弘子は見えますが、今日子がいません。って、いたいた。モーターボートの引っ張るパラシュートにぶら下がっているようです。それも手には水中銃とか持ってるし。しかし、なんでパラセール? 

どっかーん。立花、小池たちのいるホテルのガラスを破って、モーターボートが飛び込んできました。ばしゅ、ばしゅ。水中銃を乱射する五郎と弘子、それにオッパイちゃん。さらに天窓からは、やはり水中銃を撃ちながら今日子も飛び込んできました。「スケバンの意地がどんなもんか、たっぷり見せたるでぇーー」。ばしゅ。乱戦のなか、自らお腹を撃たれつつも小池を倒す五郎。さあ、あとは逃げ出した立花を追わなくては。ぶぉーん。またもモーターボートで、立花を追いかけるみなさんです。

バーン、バーン。先行する立花が撃ってきます。こっちだって、さっき奪ったピストルで応戦だ。バーン、バーン。「あうっ」。立花が被弾しました。そのまま、コントロールを失ったモーターボートは岩にぶつかって大爆発。「やったぁ」パチパチ。拍手するみなさんですが、おいおい、ダイヤも海の藻屑ですよ。「こないなことになるんやったら、もっと詰めとくんやった」とちゃっかり弘子がダイヤを一粒、取り出しました。「うちもひとつ」とオッパイちゃん。「うちは三つ。ユキと真弓の分や」と言うのは今日子。「やるじゃん、みなさん。俺もひとつ」と西条五郎は言いますが、なんか顔色悪いんですけど。それにモーターボートから降りられないし。「どないしたん」と五郎を見る今日子。おお、お腹が血まみれ。っていうか、ガクッ。死にました。仕方ない。みんなでゲットしたダイヤをモーターボートに入れましょう。イグニッション、オン。ぶぉーん。五郎の死体を乗せて走り去っていくモーターボートを見つつ、今日子はつぶやくのです。「スケバンには、明日もあらへん。昨日もあらへん。あるのは今日だけや」。


池玲子、杉本美樹といったメジャーどころに比べると、やはり主演の叶優子にはオーラが欠ける部分がありました。とはいえ、映画としてはかなりのデキ。シリーズの中でも、いい線いってるんじゃないでしょうか。あとオッパイちゃんこと田島晴美の存在もありますしね。

それにしても、映画ではウヤムヤなままでしたが、押し付けられた赤ん坊はどうなったんだろう。とても心配です。







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【映画】衝動殺人 息子よ

2010-07-16 | 邦画 さ行
【「衝動殺人 息子よ」木下惠介 1979】を観ました



おはなし
通り魔に一人息子を殺された川瀬周三(若山富三郎)は、被害者補償制度を実現するために東奔西走し……。

実話をベースにしたお話です。もしも自分の子どもが、と考えただけで、胸が張り裂けそうな気持ちになります。

「京浜工業地帯」が映ります。走るトラック。モクモクと煙を吐き続ける煙突。休むことのない工業地帯です。その一角、横浜市鶴見区の、とある町工場にカメラは入り込み……。
「昭和41年5月」。社長の川瀬周三(若山富三郎)は、そう広くもない工場を見まわっています。その視線の先には若い工員に注意をする26歳の息子・武志(田中健)の姿が。「違うよ。コンマ5ミリ大きいじゃないか。ちゃんと見てやれよ」。うんうん。息子の成長ぶりに目を細める周三でした。

母、雪枝(高峰秀子)の作った精進揚げの夕食を、元気に食べた武志は言います。「さあ、久しぶりに釣り堀行ってくるかな。吉川誘って」。そう、今日は土曜日の夜。少しぐらい夜更かししてもバチは当たらないでしょう。「気をつけんだよ。国道危ないから」。周三の言葉に送られ、武志は出かけていきました。

早めに布団に入った周三は、隣に寝ている雪枝に声をかけます。「近頃の若いもんにしちゃ、いい方だな。うちの武志」。それに、半年後には息子は結婚する予定。川瀬夫妻の出身地・信州から素直で優しいお嫁さんを迎えるのです。まさに、順風満帆。派手ではないけれど、いつまでも続いて欲しい、家族の幸せがここにあります。

釣り堀からの帰り道。武志が歩いていると、闇の奥から、いきなり男が飛び出してきました。「なんですか。うわっ」。腹を刺されて愕然とする武志。「どうして。誰だ君は」。

夜中の電話は不吉です。ざわざわした気持ちで受話器をとる周三。「はい、もしもし。……。はい。ゆきえーっ」。「武志に何かあったんですか」「誰かに刺された」「刺された。どうして」「そんなこと分かるか」。

新聞の小さな、小さなベタ記事が映し出されます。「帰宅途中に刺され死ぬ 鶴見の溶接工」。しかし、どんなに小さな記事であろうと、その背後には大きな悲しみが。

武志のお葬式。御焼香に来てくれた刑事さんに、武志の釣った金魚を渡され、嗚咽する雪枝。甥っ子の三郎(尾藤イサオ)が「おばさん、しっかりしなきゃダメだよ」と慰めますが、雪枝の慟哭はやみません。と、そこに武志の婚約者だった杏子(大竹しのぶ)も信州から駆けつけました。ショックで寝込んでいる周三の枕元にきた杏子は泣きながら言います。「お父さん、武志さん本当に死んじゃったんですか」。それを聞いた周三の脳裏には、一気にここ数日の、そして昔の出来事が蘇りました。

武志の容態を心配そうに見ている周三。と、武志がスゴイ形相で周三に掴みかかりました。「お父さん、仇はうってくれよ」。「う、うってやるよ。うってやるとも。必ずうってやるからな」。その言葉を最後まで聞いたのか、聞かなかったのか、そのまま息絶える武志です。

「昭和15年夏」。生まれたばかりの武志のおしめを変える周三。「昭和16年春」。出征を前に、名残おしげに武志を抱き上げる周三。「昭和24年春」。運動会の駆けっこで一等賞になり、うれしそうに賞品のノートを持って走ってくる武志。多少、形は違えど、どんな親の中にも大事に大事にしまわれている心のアルバム。今、それが開かれてしまうのは、あまりに悲しすぎます。

葬儀後、抜け殻のようになっている周三のもとに、刑事さんがやってきて、犯人が捕まったと教えてくれました。「石本昇という19歳の少年でした」「じゅう、きゅうさい」。犯人は「行き当たりばったり、ぶつかった奴をやってやろうと思ったんです」と、反省の色を見せていないそうです。そんなくだらない理由で、自慢の子供が殺されてしまったのか。そんなくだらない理由で。

20年かけて築き上げた工場に行く気もせず、食事もろくに喉を通らないまま、5ヶ月が過ぎたある日。何くれとなく面倒をみてくれていた新聞記者の松崎(近藤正臣)が、川瀬家を訪ねてきました。「明日の朝10時に横浜の地裁で。ま、多分、ご存知ないだろうと思って」「どこからも知らせはありません。警察からも、裁判所からも」。とうとう裁判ですが、当時の制度では、遺族にはひと言の通知さえなかったのです。

裁判の傍聴を続け、そして判決公判の日が。「主文 被告人を懲役5年以上10年以下に処する」。ショックを受ける周三。それだけ。俺の自慢の息子を殺して、それだけなのか。思わず、雪枝に愚痴をこぼします。「あいつはな、国の費用で弁護人までつけてもらって、その上、将来だの立ち直りだのって、親切に考えてもらってさ、5年から10年の不定期刑だ。それも早ければ、たった5年で出てくるってこったい。理由もなく人を殺しやがって、殺されたもんは、いったいどうなるってんだい。誰も武志のことなんかかまっちゃくれないじゃないか」。

法律相談に行けば、弁護士に金目当てと誤解され、それならと法律書を買い込んで勉強をしてみれば、難解な法律用語に苦しめられる周三。そんなある日、新聞記者の松崎がやってきて言い出しました。「建材店をやっている中沢さんという人なんですがね、去年の始めにお嬢さんが殺されたんですよ。それが息子さんの場合と同じような事件なんですよね」。早速、その中沢(藤田まこと)に会いに行く周三。やはり同じような体験をした人間ですから、気持ちが通じ合う部分があります。特に子供の死を無駄にしたくないという気持ちは共通です。「どうでしょうかね。みんなで力を合わせてやっていくことは、できんもんですかね」と中沢に言われ、ビックリする周三。「みんなで?」「そうなれば、何か世の中に訴えることができるんじゃないでしょうかね」。

早速、自分の工場を売り払い、同じような被害者遺族のもとを訪ねはじめる周三。ようやく集めた何人かの会員とともに、国に被害者への損害補償制度を作ってくれるように、請願をするものの、取り付く島もありません。さらに、金目当てといわれのない中傷まで受ける始末。それなら、どうする。もう、こんなこと、やめようか。いいえ、だったら、さらに全国を回って被害者遺族を訪ね歩くしかありません。東北から九州。全国各地を回る周三。中には同じ遺族でありながら、「あんた、参議院にでも出られると」と冷たいことを言う人もいて、絶望してしまう日もあります。しかし、そんな時、妻の雪枝は言います。「何が絶望ですか。お父さんがそんなじゃ、それこそ武志ががっかりしますよ」。うん、そうだよな。ここでやめたら、始めなかったのと同じになってしまう。周三は疲れた体に鞭打ちます。「大阪へ行く」「それじゃ、私も行きます」。「そりゃそうと、金はあるかい」「借りますよ。姉さんのうちに寄って」。

しかし、この大阪行きが周三たちに取って、ひとつの転機になりました。夫を猟銃で殺されたという奥さん(中村玉緒)は、国と大阪府に訴訟を起こしているというのです。「これは義務やと、思うようになりましてん」「義務?」「ええ、中谷先生の言わはるとおり、補償請求は被害者の遺族として、当然の権利やから、それのできるもんは怠ったらアカンと思います。世の中にはおんなじような目にあいながら、泣き寝入りしてる人がぎょうさん、いてはりますやろ。その人らに対する義務ですわ」「あの、お話の中谷先生という人は?」。

早速、その中谷先生を訪ね、京都の同志社大学に行く二人。中谷先生によると、なんと殺人事件の被害者のうち、三人に一人が理由もなく殺されているというではありませんか。そして、それを「一種の風土病のようなものだと考えています」と考えている中谷先生は、殺人を防ぐことができないなら、せめて保険を掛けようと言うのです。保険ですか? 「わざわざ掛ける必要はありません。国民は本来、そういう保険に入っているのです。掛け金は税金です」。目からウロコが落ちた気分の周三に中谷先生は言います。「これからは、ご一緒に力を合わせて頑張りましょう」。

新たな展開に、喜び勇んで新横浜まで戻ってきた周三ですが、駅の階段から転げ落ちました。どうも、目がよく見えないようです。病院に行ったところ、診断は緑内障。治療の見込みはないそうです。「しかしな、目がどうなろうと運動だけはやめんぞ。雪、これからという時にすまんが、俺の手を引っ張って歩いてくれ」「いいですよ。どこへでも付いていきますよ」。

「昭和49年8月30日」。この日、三菱重工爆破事件が起こりました。それをテレビで見ていた周三は雪枝に言います。「全部、訪ねていこう。連れて行ってくれ」。もちろん、この事件はベタ記事ではなく、トップ記事中のトップ記事。まさに日本中を震撼させた事件でした。そして、皮肉なことに、周三が8年かけて行ってきた犯罪被害者補償制度の確立を求める運動も、いっきに脚光を浴びることになったのです。一躍、時の人となり、ワイドショーに出演し、さらには国会の法務委員会に呼ばれることになった周三。雪枝に手をひかれ、国会議事堂に向かう周三は雪枝にしみじみと言います。「とうとう」「何ですか」「とうとう、怪物の懐に飛び込むのか」「ほんとに。そんな感じ」「長かったな」「やっと、辿りつきましたね」。

法務委員会で陳述をした周三は、その帰り道にタクシーの中で心臓発作を起こして入院。そのまま療養生活に入りました。もちろん、病床にいて気になるのは、犯罪被害者補償制度のこと。マスコミはこぞって、周三を持ち上げるような記事を書いているようですが、肝心の法律が一向にできないのです。そんな中、周三は危篤状態になりました。「コ、コカ・コーラ。青酸の入った。あれで亡くなった人がいるだろう。だ、だれがあんなことするんだ。罪の無い人を殺して。先生、いますか。お願いします。あと2年」。「どうして、なぜ」と聞く雪枝に、周三は残りの力を振り絞って答えます。「あと2年。2年と見てる。法律ができる。それを見ないうちは、せがれのとこに行けないじゃありませんか。頼みますよ。2年……」。周三は息を引き取りました。廊下を運ばれていくストレッチャー。テロップがかぶります。「昭和54年6月 政府は最高八百六十万円までを支給する基本案をまとめた。しかし、この法案は、過去にさかのぼるものではないし、まだ国会に上程されてもいない」。


現実のお話として、「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」(長い名前!)が、昭和55年5月1日に制定され、翌年の1月1日に施行されました。また、地下鉄サリン事件をきっかけに、制度の拡充。さらに、2004年には「犯罪被害者等基本法」が、そして2008年には「被害者参加制度」が導入と、犯罪の被害者や遺族に対する国の施策は、徐々に整備されているように見えます。その点では、周三の願った、そして木下監督の願った社会はできあがったと言えるのかもしれません。つまり、この映画を一種のプロパガンダ映画として観るならば、その役目は終えたという考え方もありえます。

しかし、僕はそう思いません。確かに公開時には、社会にひとつのアクションを起こすための映画だったかもしれませんが、それだけではないと思うのです。それでは何か。僕は、この映画を「鎮魂と再生」の映画だと考えます。

主人公周三が日本各地の被害者を訪ねてまわるのは、ある意味では会員獲得のための「出張」ですが、実のところは、旅であり巡礼なのだと思います。そうした旅の中で、子供の鎮魂を願い、自らの再生を重ね合わせる。もちろん、その再生は自分自身だけではなく、自分の心の中に、子供を再生させるという意味もあるでしょう。そんな、子供を失った親のロードムービー。この映画を、僕はそのように捉えました。

この映画は、高峰秀子の(おそらく)最後の出演作でもありますが、なにより素晴らしいのが若山富三郎の演技。いえ、演技とはすでに言えないかもしれません。若山富三郎が演ずる周三は、確かにこの映画の中で、生き、苦しみ、そして旅をしていました。そして、僕もその旅を、いっしょにしたような気がしています。

最後に、この映画の主人公・周三のモデルになったのは、市瀬朝一さんという方です。そして、実際にその市瀬さんが、衆院の法務委員会で陳述した内容を、以下に載せたいと思います。

第075回国会 法務委員会 第29号 より市瀬朝一さんの発言のみを抜粋----------------

○市瀬参考人 私は横浜在住の市瀬朝一と申します。
 私がなぜこの運動を始めたかということについてちょっと申し上げたいと思いますが、私は、たった一人の二十六歳のせがれを、十九歳の、しかも少年院を出たり入ったりしておった人間に、うちのすぐそばの橋の上で刺し殺されたのでございます。そうして、そのときはまだ息があったのですが、病院へ収容されまして二十時間後に息を引き取りました。その息を引き取る寸前に、私の手をしっかり握りまして、「おやじ、くやしいから、かたきをとってね」と言って、その言葉を残して死んだのでございます。私は、たった一人の、天にも地にもかけがえのない、二十六歳までも育てて、私の手足となって現場の方で働いておった人間に先立たれて、もう生きる望みもなくなったのでございます。葬式も、本当に無我夢中のうちに、近所の方々の御親切によりまして終わり、初七日、四十九日になりましてようやく、せがれがわが家からいなくなったという実感がわいてまいりまして、せがれの残したこの言葉を親として何とかかなえてやりたい、それが頭にいっぱいでございました。
 そうして、九月の中旬になりまして、事件当時私宅へ時たまお見えになりました新聞社の記者の方から、あすはおたくの犯人の第一回の公判がありますよと教えていただきました。どんな犯人がうちのせがれを殺したのか、顔を見るつもりで行ったのでございますが、初めて私は法廷というところへ行ったのでございます。行ってみて、生と死というものに対して余りの区別のあるということを私はつくづく感じたのでございます。死んだ者の方の遺族に対して一片の公判の通知さえもないのに、犯人には国選弁護人をつけられ、顔を見ればまるまると太った血色のいい顔をして、人一人あやめたような顔もせずに薄ら笑いを浮かべている犯人を見まして、私は本当に腹が立ちました。第二回目、第三回目と、本当に、長い廊下を看守に連れられてくるところを、横におって、横腹を、せがれと同じところをひとつ刺してかたきをとってやろうと思いましたが、いろいろ考えるとそのこともできず、さてどうしたらこのせがれの言葉に対して親が報いてやれるかということを考えまして、そうして十二月も押し詰まって、家内とともども相談いたしまして、終戦後二十一年間、私と同じような悲しみ、怒りを持った遺族の方が大ぜいいらっしゃるに違いないのに、だれ一人この運動を始めようと思った人はないのです。よし、それだったら、この方々のためにも私はこれからの生きがいをこの運動にかけようと決心いたしました。
 そして、明くる四十二年の一月十二日から家庭訪問を始めたのでございます。そして四十二年の六月四日に鶴見公会堂を借りまして、殺人犯罪撲滅推進遺族会というものを結成いたしました。そのときはまだ遺族の数は十三家族でございましたが、一般の方々も三百名以上お集まりいただきまして、来賓の方々も、市長代理、県警、そして県会の方々、また民社党の門司亮先生等もおいでいただきまして、その当時はなかなか華々しくいったのでございますが、何としてもこの運動はむずかしゅうございまして、それでその年の十二月二十日ですか、六月ごろから皆さんの方に署名簿を郵送いたしまして、皆さんから五十名、百名と署名をいただきまして、それを国会に請願いたしました。そのときは、東京におられる遺族の知り合いである自民党の濱野先生を紹介人にお願いいたしまして、当時石井光次郎先生が議長だったかと思いますが、提出したのでございます。そして翌四十三年、回答文が寄せられたのでございますが、一回ぐらいの署名、請願で私たちの思うことが通ろうとは毛頭思っておりませんでしたので、それを手始めに何回か署名運動をやろうといたしましたが、いかんせん私たちは本当の素人でございまして、その様式すらわからないものでごぎいますし、また、同じ文句では二度と受理いただけないということがわかりまして、そのままになりました。
 それから後、私は関東一円、福島、岩手、山形、青森、秋田、新潟、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜、これだけの間をせっせと歩き回りまして遺族の方々をお訪ねしたのでございます。一家の御主人を亡くして、もう本当に惨めな家庭を私はこの目で見たり聞いたりしてきております。そうしたときに、生きている犯人に対してはあれだけの恩典があるのに、何もしないのに殺された家庭に対して何の恩典もないというのは余りにも不公平ではないかということをつくづく感じたのでございます。ですが、なかなかこの運動も思うようにいかず、私も一、二度やめようと思ったこともございますが、またそうした母子家庭の苦しい家庭のことを考えてみますと、もし私がこの運動をやめたら、だれがあとこの運動を続けてくれるだろうか、何が何でもがんばらなければならないと心に誓いました。ですが、なかなかこの運動の壁も厚く困っていたやさき、京都において大谷先生の肝いりで遺族会が誕生したという新聞記事を見まして、早速先生と連絡をとりまして、そして先生にお会いいたしまして、合同いたして今日に至っております。
 その間、昨年十一月三十日には同志社大学学生会館におきまして近畿集会を開き、そして本年二月二日には東京で関東甲信越集会を開きまして、そして六月一日には、私どもの運動の一環として、大阪へ行きましてチラシなどを配布いたしてまいりましたが、初めてのことでなかなか思うような成果も上がりませんでした。続いて十五日に東京渋谷で同じようにどうの配布をいたしました。そして、多少なりともカンパをいただけたらば、それを母子家庭のお子さん方に分け与えてあげたい。金額は少なくとも、同じ同志の方々が街頭で募金されたその金を、ぼくたち、私たちにくれたと思えば、そのお子さんたちがこれから成長していく過程においでどれだけためになるかということを考えてやったのですが、世間の風は冷たく、東京から五名で行きまして往復電車賃が五万円、向こうでいただいたお金は八千円でございました。東京ではやはり十何名の方々に手伝っていただきましてビラまきをしたのですが、そのときは三千三百円でございました。このようではビラ代にも当たらないような始末でございまして、私たちの心持ちが遺児たちに通じないような結果になっておりますが、今後は、私たちはこれに負けずに強力に運動を進めていきたいと思います。
 そして、最後にお願いしたいのは、どうかこの立法を一日も早く成立さしていただきたいということでございます。そうして、私たち十年選手、もっと古い方も会員の中におりますが、どうかこの適用範囲を大幅に広げていただいて、せめて二十年ぐらいまではさかのぼって実施をお願いしたい、これがいまの私の切なるお願いでございます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
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詳細は、国会会議録検索システム(http://kokkai.ndl.go.jp/)で、ご覧になれます。







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【映画】その人は炎のように

2010-06-10 | 邦画 さ行
【「その人は炎のように」出目昌伸 1972】を観ました



おはなし
野心家の大学生と、貞淑な人妻の恋はやがて……。

野心家の大学生が現東映社長の岡田裕介で、貞淑な人妻が岩下志麻ってのがなんとも。いちおう「その人は女教師」に続く、出目監督・お志麻さん主演映画ですが、ヘンなパワーは若干落ちぎみだなと感じました。

ムーディな音楽とともに映ったのは、おしゃれな実内。白いレースのカーテンの向こうには広い庭が見られます。と、カメラに女性の姿が飛び込んできました。豪奢なダブルベッドから起き上がり、美しい肩を見せているのは坂勝静(岩下志麻)です。カメラに映らないように(当たり前ですね)、美しい裸身をササっと白いバスローブにつつんだお志麻さんは、家の中をウロウロ。寝室の一輪挿しの匂いを楽しんでみたり、豪華な螺旋階段をしゃなりしゃなりと下りてみたり、さらにグランドピアノの上に置いてある植木の葉っぱをいじったりしています。えーと、つまり「金持ち」ってことを強調したいワケですね。と、そこに召使の婆やが声をかけてきました。「おはようございます」「おはよう」「飛行機は何時でございましたっけ」「3時よ」「あたくしはやっぱりイヤでございます」。おやおや、朝っぱらから言いたいことを言う婆やですね。どうやら、六角商事の専務であるお志麻さんの旦那さまがドイツに赴任するのですが、自分はついていきたくないと駄々をこねているようですよ。「また、その話なの。どっちみち今日発つのは旦那様だけよ。あたしたちは、3ヶ月後よ」。

さて、その旦那様は、午前中は残務整理に余念がありません。それに、お志麻さんとお昼を一緒に食べる約束もしているので、なおさら気が急いて仕方ないようです。そのため、秘書が「面接の方がお待ちです」と言ってきても、心ここにあらずの様子。ちなみに、秘書が延々と読み上げる興信所の調査報告書によると、就職希望者はこんな人物のようですよ。氏名は中田修一。IQは160の天才で、態度は不遜。そのうえ「女性関係多し」だそうです。「イヤな奴だ」と履き捨てた旦那様というか専務は、待っている中田(岡田裕介)に会いもせずに不採用を決定してしまうのでした。

ぴろろろ、ぴろろろ。豪華なヨットにある電話が鳴りました。ヘンにマッチョなビキニ女性(プラバー・シェス)が受話器を取ります。「もしもしだあれ」。いや、だあれじゃなくて、ぼくですよ。中田ですよ。「陽介さん、電話よ」「誰だ」「子分よ」。億劫そうに、びっこをひきつつやってきたのは、六角陽介(荒木一郎)。そう、苗字から分かるとおり、六角商事の社長の息子です。「オヤジに会ったのか」「いや、それが誰にも会わなかったんです。待たされただけで」「大丈夫だよ。オヤジには一昨年から、お前のこと頼んであるんだ」。ふふーむ。つまり。岡田裕介は、荒木一郎の子分で、そのコネで六角商事に入社しようと思っていたんですね。

さて、そんな岡田裕介は、六角家で行われる豪華バーベキューにパシリとして参加できることに。しかし、そこで岡田裕介は運命の出会いをしちゃったりするのです。それは、荒木一郎の義理のおばさん。つまり、六角商事専務の夫人であるお志麻さんとの運命的な邂逅だったのです。もちろん、金持ちばかりが集うパーティで、貧乏人の岡田裕介がしゃしゃり出るわけにもいかず、隅からお志麻さんを見つめるだけなんですけどね。じぃーーーっ。しかし、チャンスが訪れました。お酒を飲んで運転ができないお志麻さんを、クルマでお送りする役目を仰せつかったのです。助手席にいるゴージャスお志麻さんを意識しつつクルマを運転する岡田裕介。まずは、お志麻さんの希望で、「お志麻さんが経営する」画廊に寄る事に。「どうぞ、お入りになって。ちょっと用事をすませて、電話をかけるだけだから」。なるほど、いかにも金持ちが道楽でやっている雰囲気の画廊です。電話のダイヤルを回しつつお志麻さんが聞きます。「お名前、なんておっしゃるの」「中田です」「あ、もしもし、トヨさん。あたし」。えーと、人に聞いておきながら、婆やと話してるし。これだから金持ちは。婆やとの電話が終わったお志麻さんは、岡田裕介にニッコリ微笑んで言います。「えーと、田中さんは絵、お好き?」。だから、俺は中田だって、田中じゃねえよ。

「いい画廊ですねえ」とおべんちゃらを言ってみる岡田裕介。「父の代からのものなんです。今はあたくしのお友達と一緒にやっているんですけど」。そう言いつつ、お志麻さんは話題に食いついてきましたよ。鉄則。金持ちは人の話を聞かないかわりに、自分の話は喜んでする、です。ほら、先に旅立った夫の後を追って3ヶ月後にドイツに行く話やら、ヨーロッパに行ったら、若い画家を見つけて育てたいと、自慢げに語ってますよ。ここで、岡田裕介は渾身の一撃を。「奥さんはまだ、そんな若者のパトロンにおなりになる年ではないでしょ」。「あら。じゃあ何をする年なの?」「若者と恋をなさる……」。ふっ、決まったぜ。

画廊を出て、再びクルマに乗る二人。ほんのついで、という感じでお志麻さんが言い出します。「ねえ、誰かドイツ語の先生、ご存知なあい」。よし、また会心の一撃をお見舞いするぜ。「知ってますよ」「ホント、紹介していただける」「さっきしたでしょ。自己紹介」。ふっ、またまた決まったぜ。と、人の話を聞いているのかいないのか、お志麻さんは車窓からブティックをじーーーっと見てますよ。思わず「は?」と間の抜けた反応をしてしまう岡田裕介ですが、そこはIQ160ですからね。「あのドレスのことですね」と鋭く分析しちゃうのです。って、誰でも分かるか。ともあれ、話を聞くと、お志麻さんはここのところ、前を通りがかるたびに、ショーウインドウに飾られたドレスを見ているそうですが、20万と高額なためにためらっているそうなのです。スタスタ。いきなりクルマを降りてブティックに行く岡田裕介。もうお分かりですね。そう、バクチで儲けたお金で、そのドレスを買ってきてしまったのです。

「奥さん、これ受け取ってください」「なぜ、あたくしに」「理由はありません。あえて言えば、僕はたまたま20万持ってて、これが20万だったからかな。19万だったら買わなかったかもしれない」。ふっ、キマリすぎだぜ、俺。「いいわ、じゃお金はあたくしが払いましょう」。ええっ、そんなあ。「ダメです」「いえ、そうしましょ。チェックで切るわ」。さすが金持ち。そうだよね。20万のお金が出せないわけじゃなくて、まるで、「このダイコン、ちょっとお高いわね」くらいの気持ちで悩んでただけみたいです。ともあれ、小切手を切るために、お志麻さんの屋敷に招かれる岡田裕介。お志麻さんは自室で小切手を切りつつ、ふとドレスの箱に目をやります。

ということで、岡田裕介が待っていると、ゴージャスドレスに身を包んだお志麻さんが螺旋階段を降りてきましたよ。「んふっ」。ゴージャスなBGMをバックに、まるでジュディ・オングみたいに腕を広げちゃってます。思わず、岡田裕介はつぶやくのでした。「キレイだ」「ホント?」「ホントです」。ご機嫌なお志麻さんは「お飲みになる」とブランデーを出してくるのです。

「さっきのドイツ語の話だけど、あれ本気」。ゴージャスなブランデーグラスを片手に、ゴージャスなお志麻さんが、ゴージャスに聞きます。「僕はいつも、何事に対しても本気です」「あたくしを教えてくださる」「僕でいいなら」。で、月謝をいるいらないで、ひと悶着ありつつも、どうやら岡田裕介はお志麻さんの家庭教師になることに同意したようです。もっとも、「どうしてもドイツ語やりたいなら、六角に連絡してください。彼は僕を握っています」だそうですけど。

ボロアパートに帰った岡田裕介を、女が待ち構えていました。ニヤニヤ笑いをしながら、その女を抱いて、寝物語をする岡田裕介。「キレイな人なの、その奥さん」「典型的なブルジョワさ。クククッ」。えーと、ジュリアン・ソレルですか、あなたは。

大学の体育館でフェンシングの練習をしている岡田裕介。と、体育館の入り口で、こちらを見ているお志麻さんに気づきました。よーし、かかってこい。いきなり後輩たちをサーブルでつつきまくります。あうあう、先輩、痛いです。それをお志麻さんはウットリと見つめてます。よーし、また決まったぜ。

あ、いらしてたんですか。ちっとも気づかなかった。トボケまくる岡田裕介ですが、お志麻さんは完全にメロメロなので、疑いもしません。「強いのねえ。ずっと見てたのよ」。いやあ、それほどでも、ガハハ。ということで、お志麻さんは甥っ子の荒木一郎に仁義を通したらしく、めでたく家庭教師ライフのはじまり、はじまり。

なぜか、広い芝生にパラソルと、ゴージャスベンチ&ゴージャステーブルが置いてあります。どうやら、ここがドイツ語のレッスン教室のもよう。カメラは執拗にお志麻さんの足を映したりしてますけど、なんか意味があるんですかね。ともあれ、お志麻さんは言います。「いっひ びん せあ くりゅっくりっひ」「意味は?」「あたくしは、とても幸せです」。「よくできました。それでは、いっひ りーべ でぃっひ」「まっ。それくらい知ってますわ。あたくしは、あなたを愛しています。んふ。んふ。あはは。あはは」。お志麻さんの笑いにつられて笑い出す岡田裕介。っていうか、二人とも頭にウジが湧いてませんか。

さて、そんなゴージャスから一転。貧乏な岡田裕介の貧乏アパートに、貧乏な妹が訪ねてきました。貧乏なお父さんが、貧乏なくせに友達の借金の連帯保証人になってしまったそうです。ラーメンを食べつつ、ううっ、と泣いている妹。「で、いくら足りないんだ」「30万。ううっ。ズルズル」、えーと泣くかラーメン食べるかハッキリしてください。

しかし、困りましたね。30万なんて大金を岡田裕介は持っていません。20万のドレスなんか買わなければとも思いますが、後の祭りです。仕方ない。荒木一郎に頼んでみましょうか。金持ちだし、きっと。「金を貸せだとぉ」。ああっ、ダメみたい。そのうえ、荒木一郎はイヤミったらしく、お志麻さんに借りたらいいじゃないかと言い出しましたよ。「あの人には迷惑はかけたくない」と断る岡田裕介ですが、叔母であるお志麻さんを、実のところ狙っていた荒木一郎は嫉妬まじりに続けるのです。「残念だけどな、お前、六角商事に入れないぞ」。ガガーン。どういうこと。あれほど、キミのために尽くしてきたのに。「オヤジは引き受けてくれた。努力もしてくれたさ。しかしなあ、人事担当重役が横槍を入れたんだ。しかも、その秘書の話によると、恋女房とのデートに気が急いて、お前を面接もせずに落としたってことだぜ」。えーと、つまり荒木一郎のお父さんが社長で、弟が専務。それで、その奥さんがお志麻さんだからあ……。むぎゃーっ。そういうことか。

次に荒木一郎はお志麻さんのところにやってきました。さりげなく岡田裕介の話を持ち出す荒木一郎。ちかごろ、あいつどうかしてるんですよ。恋でもしてるのかなあ。チラッ。ああ、お志麻さんが恥ずかしそうに目を伏せてますよ。「それとも」チラリ「当てにしていたうちの会社の就職ができなかったのも原因のひとつかなあ」。案の定、お志麻さんは、この話題に食いついてきましたよ。「試験に落ちたの? 中田さん」「あれえ、叔母さん知らなかったんですか。落としたのは叔父さんですよぉ。しかも、出発の日、叔母さんとの約束のために気が急いて、叔父さんは面接もしなかったらしい」。ガガーン。「じゃあ、あの日……」。絶句するお志麻さんを意地悪く見つめる荒木一郎です。

傷心のお志麻さんは、家でドイツ語のレッスンテープを聞きなおしています。と、そこに荒木一郎から電話が。なんと、岡田裕介がヨットから落ちて、人事不省の重態だと言うじゃありませんか。「だらしのない野郎で、叔母さんの名前ばかり呼び続けています」。むきーっ。急がなくちゃ。

と思ったら、岡田裕介は元気もいいとこ。今日も元気に上半身裸で、荒木一郎の下僕としてヨットでこき使われています(ここらへん、まんま「太陽がいっぱい」のパクリ)。「ジャイブ、ジャイブだ、もたもたすんな」。杖でこづかれつつ、荒木一郎の指示に、ヨットを右往左往している岡田裕介。もちろん、それはお志麻さんに、岡田裕介のミジメな姿を見せ付ける目的だったんでしょうが、逆効果だったようです。柳眉を逆立てて、「なぜウソをついたの」と怒るお志麻さん。「ホントに落ちたんですよ」と荒木一郎は弁解してみますが、お志麻さんの剣幕にはタジタジです。しかし、そこは我慢をしらないお坊ちゃん育ち。「ご不満のようですね」と、いきなりお志麻さんの帽子を海に投げ捨てたのです。ざざあ。海面をすべるヨットから投げ捨てられた帽子はみるみるうちに小さくなっていきますよ。「修一、修一。あれ拾ってこい」。荒木一郎の命令が岡田裕介に飛びます。「いいのよ、あんな帽子」とお志麻さんは言いますが、「拾ってこいっ!」という怒鳴り声に岡田裕介は屈しました。どぼーん。「これで、落ちたのウソじゃなくなったでしょ」と、荒木一郎は得意げに言うのです。

ゴツゴツした岩が切り立つ磯を、心配げな表情で、お志麻さんが歩いています。あ、洞窟に人の影が。嬉しそうに駆け寄るお志麻さん。そんな様子を荒木一郎は望遠鏡で覗いてますよ。「あの二人、寝そう?」とマッチョビキニが聞いてきます。「だとしたら奇跡だ。あの貞女の鑑が。畜生、俺が寝たい」。

海に落とされ、延々と泳いできた(多分)岡田裕介は、洞窟に倒れ伏し、はあはあと胸を上下させています。そこに「修一さんっ」とお志麻さんが駆け込んできました。さわさわ。大きく上下する岡田裕介の裸の胸をさするお志麻さん。「なぜ来たんんです」「ドイツ語のレッスン」「ドイツ語のレッスンなんてクソ喰らえだっ」。ひしっ。岡田裕介はお志麻さんを抱きしめました。「いけないわ」。そう言いながら、岡田裕介を押し倒すお志麻さん。そんなお志麻さんの太ももをカメラはネットリと撮り続けます。えーと、誰得?

とまあ、なるようになったので、二人は蓼科にドライブに行くことに。「どうしてこんなことになったのかしら。分からないわ」。いや、そんなこと言われても。ともあれ、イチャイチャモード全開のお志麻さんは、ハンドルを握る岡田裕介の肩に、頭をもたせかけて言うのです。「愛が複雑なものだなんてウソ。とても単純なものだわ」。まあ、愛よりオツムの方が単純というのはヒミツな方向で。

パチパチ。真っ暗な草原にクルマを停めて、焚き火をする二人。パチパチ。薪のはぜる音だけが夜のしじまに響き、そして朝……。「んもー」「んもー」。クルマの周りには牛がいっぱい。クルマのボンネットと屋根に乗って、牛さんたちを見つめる二人です。っていうか、さすが出目監督。さっぱり意味が分からない。なぜに牛?

えぃっ、えぃっ。白樺の林を二人がが棒切れを持って走っています。どうやらフェンシングごっこをしているもよう。あはは、あはは。むちゅー。どうやら、また発情したらしく、お志麻さんが岡田裕介を押し倒しました。「帰りたくないわ」「僕もだ。でも、それは不可能だ」「そうね、不可能ね。子供がいるし」「でも、今はそれを忘れよう」。幻想的なキスシーン。女声のスキャットをバックに、お志麻さんが悶えています。手がピクリと動いたりして。それに、なんかハアハア言ってるし。えーと、好きにしてください。

楽しい蓼科旅行も夢のように去り、岡田裕介は貧乏アパートから、お志麻さんのゴージャスな家に電話をします。「好きだ。一緒に住みたい」「ええ、あたくしも」。ということで、シーンが変わると、いきなり白を基調としたゴージャスマンションに。えーと、買ったんですね、お志麻さん。

その小奇麗なマンションで手持ち無沙汰な岡田裕介ですが、ぽわわーん、まるで女王様のような(メイクの)お志麻さんが降臨すると状況は一変。スモークばりばりの中、夢のようなウッフンタイムです。そして、お志麻さんは手にしていたゴールドのネックレスを岡田裕介にかけてくれたりして。なんか、お志麻さんがくれると、ヘンな魔力とかが宿っていそうな気がしてきますね。もっとも、つねに発情していても疲れますから、二人は読書だってします。白い部屋で、落ち着いて本を読む二人だけのひととき。思わず、その幸せに、お志麻さんは岡田裕介を優しい視線で見つめました。「なんです?」「そういえば結婚してから一緒に本を読んだことって、一度もなかったわ」「ご主人は本を読まない人だったんですね……ごめん。ご主人の話はしない約束だった」「ううん、あたくしが言い出したんだわ」。お志麻さんは読書の続きに戻りました。パラパラ。ページをめくる音だけが優しく響きます。そして、お志麻さんが手にしているのは……画集だ。ええと、画集は読むんじゃなくて観るでは?

そんな甘い生活を送りつつも、岡田裕介は貧乏アパートを引き払っていません。なんとなく心配になったお志麻さんは、岡田裕介の様子を見に行くことに。早く、あの人に会って愛を確かめたいの。しかし、岡田裕介は不在なばかりか、貧乏ベッドの上には、お志麻さんがあげたゴールドのネックレスが転がっているじゃありませんか。わなわなとゴールドネックレスを握り締めるお志麻さんです。

そのころ、岡田裕介はゴージャスマンションでお志麻さんを待っていました。しかし、なかなか来ないお志麻さんに手持ち無沙汰もいいとこです。おや? ベッドに置いてあったカセットレコーダーを、何気なく再生してみる岡田裕介。「いっひ びん せあ くりゅっくりっひ」「意味は?」「あたくしは、とても幸せです」。そう、お志麻さんはまだドイツ語の勉強を続けていたみたいですね。使う当てもなくなってしまったのに。「バカだな。まだやってるのか。こんなもん」。そう言った岡田裕介は、ふと思い立って、カセットレコーダーの録音スイッチをポチっと押して、語りだしましたよ。

「静さん。俺はなんだか近頃、くたびれたよ。まさかこんな風になってくるとは思わなかったんでね。自分でもあっけにとられちまって。最初はゲームだった。あんたを引っ掛けるつもりだった。アハハ。それがさ、ミイラ取りがミイラになっちまって。この辺で終わりにした方がいいかもね。俺はヒモとか若いツバメには向いてないよ。尼寺へお行き……か」。ガチャン。クリスタルの女神像を叩き落しで、岡田裕介は続けます。「静さん。僕はあなたを愛するあまり、あなたから去る決心をしました。ご主人のもとに帰ってください。僕はあなたを愛するあまり、愛するあまり」。いきなり劇団四季ばりに両手を広げて、アハハハハと笑い出す岡田裕介。ふう。録音停止ボタンを押し、素に戻った岡田裕介は「バカバカしい」とつぶやいて、深夜のドライブに出かけるのです。

サングラスをかけた岡田裕介が、深夜の町を蛇行しながら走っている間に、お志麻さんがゴージャスマンションにやってきましたよ。割れたクリスタルの像を見て、寂しそうな顔をしたお志麻さんは、カセットレコーダーの再生ボタンを押します。「ザザッ……この辺で終わりにした方がいいかもね。俺はヒモとか若いツバメには向いてないよ。尼寺へお行き……か」。ワナワナと聞いているお志麻さん。やがて、岡田裕介の声が途切れ、元々のドイツ語練習部分が流れ始めましたよ。「よくできました。それでは、いっひ りーべ でぃっひ」「まっ。それくらい知ってますわ。あたくしは、あなたを愛しています。んふ。んふ。あはは。あはは」。あははじゃないわよ、あたくし。お志麻さんのゴージャスなホッペにつつーっと涙がひとすじ流れるのでした。

深夜のやけっぱちドライブを終えて、岡田裕介がゴージャスマンションに帰ってきました。しかし、エレベーターから降りた瞬間に、「うぁーーーっ」という絶叫が。慌てて、下を覗くと、そこにはお志麻さんの死体が。豪華なドレスに身を包み、両手をおっ広げたその姿は、まさに死に「魅せられて」なジュディ・オング風お志麻さんだったのです。


なんていうか、IQ160だったら、岡田裕介も少しは先を見て行動すればいいのにと思いました。そもそも、同族企業の社長御曹司の下僕になって、それで同族企業に入ったって、いいことなさそうなくらい分かりそうなもんです。たとえば、頭が本当にいいなら、慶応に入って、幼稚舎あがりのボンボンの金魚のフンになるよりは、東大に入って官僚になるとか、他に道はありそうなもんです。だいたい、エライ人間と友達になったって、本当に引き立ててもらえると思いますか。そんなウマイ話が転がっていると思いますか。

……。えーとあったみたいです。出目監督は、これで岡田裕介との縁ができたワケですが、その岡田裕介が俳優をやめて、映画のプロデューサー、さらには東映の社長になるとは予想してたんでしょうか。

岡田裕介が企画なり製作をして、出目監督がメガホンを取った作品は、以下のとおり。「天国の駅(小百合ちゃん主演のトンデモ大作)」「玄海つれづれ節(小百合ちゃんと八代亜紀共演のトンデモ大作)」「ガラスの中の少女(後藤久美子主演のトンデモ作品)」「きけ、わだつみの声(とにかくトンデモ大作)」「霧の子午線(小百合ちゃんとお志麻さんの大怪獣総進撃な大作)」「バルトの楽園 (松平健主演の自称大作)」。

ぶっちゃけ、出目監督より才能のある監督はいくらでもいるわけですが……。そこらへん、どうなってるんでしょうね。

ちなみに、お志麻さん映画として観たときに、この映画は微妙な味わいです。まあ、普通の女優が演じたらトンデモない作品だと思いますが、お志麻さんですからね。もう一段、ハジケまくった演技でも良かったかと思います。もっとも、どこをどうハジケればいいのかは、分かりませんけど。




【映画】嫉妬

2009-12-25 | 邦画 さ行
【「嫉妬」貞永方久 1971】を観ました



おはなし
心中で夫が死亡。生き残った相手の女(浅丘ルリ子)に接近した未亡人(岩下志麻)は……。

本来は、夫の死の謎を探るミステリーなんでしょうが、ヘンにアバンギャルドな作りのため、何の映画だか分からなくなっちゃいました。昭和46年度芸術祭参加作品だそうですが、もちろん、大賞は取っていません。ちなみに、この年の大賞(日本劇映画の部)は、篠田監督の「沈黙」なので、お志麻さん的には、問題なしですね。


団地の空撮風景。そこに声だけがかぶります。「どうなの仕事は」「ダメ。まったくダメなの。PR雑誌の注文ひとつ取るんだってどうしようもないんだもの」「だけど、好きでやり始めたんでしょ。宣伝のお仕事」「好きだから、余計むなしいのよ。すごいスポンサーでも付かないと、うちの会社アウトだわ」。ジャジャーン。そこにいきなりフラメンコギターの情熱的な音色が鳴り響きます。カットがかわると「東欧繊維株式会社 東郷台社宅」の看板がうつり、今度はその一室の表札「野口高志 姿津子 亮一」がクローズアップです。

ちなみに、貞永監督は、別の光景に声だけかぶせるという手法が大のお気に入りらしくて、この後も「やたらと」多用してくるんですが、やりすぎなので効果がいまいちな感じです。

ま、それはともあれ、話の主は野口高志の妻・姿津子(岩下志麻)と、野口の妹・節子(槇摩耶)でした。どうやら、義妹の槇摩耶が泊りがけで遊びに来ているようですね。奔放な義妹に振り回されっぱなしのお志麻さんですが、それも夜中まで。というのも、夫の高志が帰ってこないんです。おかしい。服も着替えずに、布団の横に正座して凝固しているお志麻さん。そして朝が来ました。起きだしてきた義妹に「車にでもはねられたんじゃないかしら」と弱音を吐くお志麻さんですが、それより悪い事態が進行していたのです。

夫が蒸発してから6日目。夫が心中したという連絡を受け、お志麻さんは海に程近い観光地まででかけました。「しっかり見てくれませんか。で、ご主人に間違いないでしょうね」と言われ、恐るおそる死体を見るお志麻さん。確かに、これは夫に間違いありません。夫は睡眠薬を飲んで自殺。しかし、相手の女は、薬を吐き出して助かったそうですよ。「その女の人は、どんな人なんでしょ」「ああ、永井扶美子といって、東京のバーのマダムです」。とりあえず、お志麻さんは能面のような表情の奥に、怒りのボルテージを10万ボルトくらい溜め込んでそうです。

そしてお葬式。お志麻さんは会社の営業担当重役・岡村(南原宏治)に聞いてみます。「永井扶美子って人のバーは会社の行きつけなんでしょうか」。しかし、答えはノー。だとすると、夫はどうして、そんなバーに通うようになったのでしょうか。経理課員でマジメいっぽうだった夫が、会社の行きつけでもないバーに出入りするなんて、お志麻さんには納得できません。と、義妹の槇摩耶が部長の南原宏治に挨拶をしてますよ。「野口高志の妹、節子です。よろしく」「岡村です」「んふっ」。おいおい、いくら南原宏治が渋い中年でも、自分の兄の葬式で逆ナンパはやめときなさい。そこに緊迫感を煽る怖い音楽が響きます。そして、永井扶美子から香典が届きました。開けてみると中には100万円の小切手。それを無表情に見るお志麻さんですが、きっと怒りのボルテージを100万ボルトくらい溜め込んでますね。

「クラブ扶美」の前をウロウロしているお志麻さん。ホステス募集の案内をじーっと見つめています。画面が変わると、目元バッチリメイクのお志麻さんが美容院で髪をセットしてもらってますよ。さっきまで清楚な美人だったのに、いきなり妖艶な女に変身です。例えていえば、野菊から胡蝶蘭に変身くらいのイキオイでしょうか。

サカタノブエという偽名でホステスになったお志麻さん。とりあえずバーテンに質問です。「あのう、ママさん、今日お見えじゃないんですか」「ママさんってどんな人ですか」。えーと、大企業じゃあるまいし、小さいバーで、ママさんと面接せずに、どうして採用されたんだか不思議なんですけど。ま、それはともあれ、「どんな。そうさなあ、あんなかな」と一枚の絵を指差すバーテン。お志麻さんは視線で燃やしてやるくらいのイキオイで、その絵を睨みつけるのです。と、背後から「気に入った? その絵」と鼻にかかった声が聞こえてきましたよ。振り向くと、そこには店の常連の池沢(細川俊之)が。いえ、ママさんに似ていると聞いたもので、と弁解をするお志麻さんに、そうかなあと不審げな細川俊之。あ、ほらホンモノが来たよ。

ババーン。対「お志麻さん」比、1.5倍くらいの付けまつげをつけた永井扶美子(浅丘ルリ子)がゴージャスな雰囲気を撒き散らしながらやってきました。無言のまま細川俊之の肩にしなだれかかり、そのタバコを取ってスパァーッとする浅丘ルリ子。お志麻さんはとりあえず、穴のあくほど浅丘ルリ子を見ています。じーーーーっ。

アパートで近所の小学校の運動会を愛おしそうに見ているお志麻さん。メイクを落とすと、野菊のように可憐です。と、ドアがガチャリと開いて「意外といいアパートじゃない。サカタノブエさん」という声が聞こえましたよ。「あら、節ちゃん、どうしたの」と義妹に声をかけるお志麻さん。「ねえ、ホステスになったんだって。勤めてからもう半月になるっていうのに教えてくれないなんて、水臭いわね。ねえ、でも寂しくないの、こんなところに一人で。亮ちゃん、かわいそうよ」。フッと顔を曇らせるお志麻さん。もちろん、まだ小さい子供を実家に預けて寂しくないはずがありません。しかし……。「あの女の正体を突き止めたいの。あの女が素晴らしい人であって欲しい気持ちと、まったくダメな女であって欲しい気持ちとが重なって、今はただじーっと見てるだけなの」。

じーーーーっ。仕事もせずに浅丘ルリ子を見ているお志麻さん。そんなお志麻さんに熱視線を注いでいた細川俊之は、思わずヘタレたことを言ってしまいます。「君はママにしか興味がないみたいだ。いつきても、ぼくは無視されている」。えーと、そんなこと言われても、事実だけに困っちゃう。

野口高志名義で、浅丘ルリ子に心中現場の風景写真を送りつけてみたり、さらには部屋に上がりこんで、夫の好きだったフラメンコギターのレコードをかけてみたりと揺さぶりをかけるお志麻さん。しかし浅丘ルリ子は、まさかノブエが高志の妻・姿津子だとは気づいていないようです。それどころか、細川俊之と夜の高速をドライブしつつ、100万円の香典の話とかを得々としているくらい。「君は相手の身になって考えたことがあるのか」と怒る細川俊之に「そうね、そう言われればないわ。そんなことしてたら、いくつ体があっても足りなかったもの」と、まったく悪びれていません。

私立探偵ばりに後を尾けて、浅丘ルリ子のパトロンが営業担当重役の南原宏治であることを突き止めたお志麻さん。しかし、偶然にも、仕事を取るために義妹の槇摩耶も、南原宏治の愛人になっていたのでした。これはお志麻さんにとって吉と出るのか凶と出るのか。いずれにしろ、ひと波乱ありそうな予感です。

さて、お志麻さんを自分の画廊に招待した細川俊之。ジャジャーン。夫が好きだったフラメンコギターのレコードをかけたりしていますよ。ギクっとするお志麻さんに、細川俊之は「あの」ネットリとしたバリトンボイスでささやきます。「このレコードには因縁があるんです。ある男とこのレコードを取り合いになりましてね。その店にこれが一枚しか無かったんです。いい男でしてね。ぼくに譲ってくれました。ある繊維会社の経理課員で、野口って男でした。彼も僕もこの曲がキチガイみたいに好きで、それ以来、音楽の付き合いだけじゃなく親しくなりました。なんでも気が合うようになったんです」。なんてことでしょう。細川俊之が亡き夫の友人だったとは。ということは、私の正体を知っているのかしら。「ぼくの妻はぼくを裏切りました。ぼくは相手の男を刺しました。前科者ですよ」「どうして、あたくしにそんなことを仰るんですか」「あなたなら、もしご主人が裏切ったとして、どちらに復讐しますか」「……」。もしかしたら、細川俊之は自分の正体に感づいているのでしょうか。そして、それとなく復讐を止めているのでは。

それから数日後。お志麻さんと細川俊之は結ばれました。「あー」、ムチュー。「あー」、ムチュー。「あー」、ムチュー。能面のような表情で、いまいちやる気のないあえぎ声をあげていたお志麻さんですが、細川俊之のネットリした愛撫に本気モードが発動したもよう。「んおーーぅ!」。獣ですか? 一戦おえて、雨の中をドライブしている二人。細川俊之はポツリと言います。「これ以上、永井扶美子に興味を持つのは止したほうがいい」。どうして?と聞くお志麻さんに、細川俊之は続けます。「君が傷つくから。永井扶美子と野口姿津子は違う」。ザザーッ。雨の音が高まり、グワッとお志麻さんは目を見開いています。

「何者なの、あなた」と聞くお志麻さんに、復讐の空しさを説く細川俊之。まあ、実際のところ細川俊之が何者かは分かりませんが、お志麻さんに手を出したうえに、説教するなんて、天に歯向かう無礼者なのは間違いなさそうです。ま、それはともあれ、お志麻さんはつぶやきました。「謝らなければならないわ。あれは祭だったのね」「祭?」「そう。儀式。私の中にいる野口高志を忘れるために、そのために私、あなたを利用したのかもしれない。それでも良くて? それでも私を抱く?」。二人は見つめあいます。というか睨みあいます。もちろん先に目を伏せる細川俊之。お志麻さんは優しく言うのです。「好きよ。あなた」。

夫の死んだ旅館を訪ねることにしたお志麻さん。辞めてしまった女中を呼び出して尋問、じゃないや質問をします。すると、気になることを女中さんは言うのです。「あたしは、あの人、生き残った女の人が男の人を助けることはできたと思います」「ええっ」「薬を吐いたでしょ。その時、電話をすれば助かったと思うな。警察にも言ってみたんだけど、ちゃんと遺書があるからって」。お志麻さんの脳裏には浅丘ルリ子のその時の姿がアリアリと浮かんじゃいますよ。「あの女、洗面所に吐きに行ってるんです。それで、また部屋に戻ってるんです。発見された時、間の障子が閉まってたんだから。そんな力があるなら、電話して助けたらと思っちゃって」。ついでに、お志麻さんの迫力に負けた女中さんは、現場からパクった金のカブトムシ・ブローチを返してよこしました。これは高そうなものなので、おそらく夫のプレゼントではなく、南原宏治から浅丘ルリ子がもらったものでしょう。ニヤリ。これは使えそうですよ。

「野口はやっぱり扶美子に殺されてたわ。でも不思議ね。殺されてる方が心中だって言われるより、ずっと気分がラクになるんですもの」。さすが、お志麻さん。そりゃそうですよね、お志麻さんを裏切るなんて、人の子にできるはずがありませんよ。すると、それを聞いた細川俊之はビックリなニュースをお志麻さんに告げるのです。「永井扶美子は今、意識不明で寝ている」「えっ」「トラックに横からぶつけられたんだ。パトロンといっしょのところを」。えーと、これは祟り、というより天罰ですかね。「パトロン。岡村重役と」「それも知ってたのか」。もちろんです。お志麻さんに限界はありません。ちなみに、岡村重役こと南原宏治は現場からスタコラ逃げたそうですよ。そして、忠実な細川俊之の報告は続きます。「永井扶美子をそそのかしたのは岡村だ。野口君は岡村が会社の金を不正融資しているという事実を掴んでいた。クラブ扶美は、その不正な金で経営されているんだ」。

早速、浅丘ルリ子の病室に付き添い、親身な看護をするお志麻さん。こうなると、浅丘ルリ子はすっかりお志麻さんを頼りにするようになりましたよ。ふふふ。相手が信頼すればするほど、裏切った時の相手の絶望は深くなるのです。そして、復讐の甘美な果実は、その甘みを増し。そんな病院通いのある日のこと。義妹がお志麻さんを訪ねてきましたよ。いつも精力的な義妹なのに、妙に元気がありません。「疲れてるみたいね」「うん、赤ちゃん始末したの」。話を聞くと、義妹は南原宏治の子供を堕ろしたようです。その瞬間、お志麻さんの脳裏にステキな計画が浮かびました。そうだ、あの金色カブトムシを義妹にあげてみよう。それを見た南原宏治は愕然とするに違いないわ。

野獣のように細川俊之のオッパイをしゃぶりまくっているお志麻さん。どうやら、ご興奮なさっているようです。そのまま、細川俊之の背中に爪を立てて咆哮してるし。で、ご興奮も収まったらしく、いきなり可愛く泣いちゃったりしてますよ。「泣いてるのか、どうしたんだいったい」「悪い女なの。自分で自分の気持ちが分からない。あのブローチ、節ちゃんにあげちゃった。きっと岡村が見るわ。フフッ。驚く岡村を想像して楽しんでるの」。えーと泣いてるんだか、笑ってるんだか、ハッキリしてほしいんですけど。ともあれ、いろいろ説教する細川俊之の言葉は、多分、耳に入っていないんだろうな。

さて、怪我も癒えて、前よりいっそう全開バリバリな浅丘ルリ子。今日も、お志麻さんに抱きかかえられ、グデングデンに酔っ払ってご帰館です。うーん、うーん、苦しい。ベッドで悶えている浅丘ルリ子。その着物からのぞいた生足をカメラは執拗に追います。分かりました。この監督さんは立派なヘンタイです。そうでなくちゃ、このマニアックなアングルはないでしょう。さらに、うーん、うーん、苦しい。お水ちょうだい。そんな浅丘ルリ子に、お志麻さんは水を汲み、そして口移しでむちゅー。げほっ。口からつつーっと垂れる水が、またセクシーというかマニアック。絶対に狙ってるな。

義妹の目のドアップ。「ひどいわよ、義姉さん。何てコトをしてくれたの。あたしを道具に使って」。金色カブトムシ・ブローチを持った義妹が怒っています。「岡村重役が永井扶美子にあげたものじゃないのよ」とキレまくっている義妹は、両手を広げ新劇風なオーバーアクトで悲しみを表現してますよ(クサイ演技ともいう)。「汚いわ。汚い」とガックリ膝を突きつつ、下腹部に手を当てる義妹。「こんなことになって、こんなことになって、あたしのココは腐っていくのよ」。いや、腐るって。「兄貴と寝た女の男と寝るなんて。あたしっ」、ズドドド。走っていっちゃいました。そのまま、南原宏治のところに行く義妹。車に乗り込もうとした南原宏治の目を盗み、ささっと助手席に滑り込んでいますよ。「岡村さん。うふっ、うふふっ」「困るじゃないか」「ねえ、どこかに連れてって」。ぶろろー。

ピンポーン。ドアホンが鳴ったので、浅丘ルリ子がのぞき穴から廊下を見ると、お志麻さんが立っています。「ノブエさん、どうしたの今日は。心配したわよ、あんたが無断で休むなんて初めてなんだもの」。そこに、いきなり「キキーーッ、ドカーン」という効果音。大破した車が映ります。わき腹を刺されて死んでいる南原宏治と、横で目を剥いて事故死している義妹。ジャジャーン。またシーンが変わり、浅丘ルリ子の部屋では、お志麻さんが例のフラメンコギターのレコードをかけていますよ。ワケ分かりません。不愉快そうな浅丘ルリ子に金色カブトムシを差し出すお志麻さん。「お返ししますわ」「あんた、まさか。誰なのあんた」「野口高志の妻です」ニヤリ。呆然としている浅丘ルリ子をカメラがグルグルと360度回りながら映したりして。

「だましてたのねーーっ」。浅丘ルリ子はお志麻さんの首を絞めています。両手をまっすぐ横に伸ばして、抵抗せずにグルグルまわるお志麻さん。なんだか、どんどんシュールになってきた。うわーっ。浅丘ルリ子は泣き崩れ、お志麻さんは冷たい目で見下ろしつつ、言いましたよ。「野口高志を殺したでしょ。何もかも言ってしまえばどうなの」。ち、違う。否定する浅丘ルリ子を理路整然と追い詰めていくお志麻さん。「岡村は死んだわ。野口節子。野口高志の妹とよ。節ちゃんは、岡村を刺して、自分も死んだの」。しかし、浅丘ルリ子はお志麻さんに口答えなんかしちゃいました。「高志さんといると、とっても心が安らいだの」「高志さんなんて呼ばないでぇーーーーーっ」。おっと、お志麻さんの金切り声が爆発しました。「あなたに謝らなければいけないんでしょうけど、私は謝らないわ。どうして死ねなかったんだろう」「最初っから死ぬ気なんて、なかったはずだわ」。視線で人が殺せるものならば、百人くらいが即死しちゃいそうなイキオイで睨み合う二人。「あの人は言ったわ。姿津子スマナイって。私は吐いた。私は許せなかった。憎かったのよ。死の瞬間にあなたの名前を呼んだあの人を」、ジャジャン。またフラメンコギターの調べが切なく高まります。恐ろしい顔で、部屋の入り口に向うお志麻さん。その瞬間、狂おしい調べがパタリと止まって、画面は無音に。お志麻さんはクルリと振り返って言います。「でも」。そのまま、ストップモーションが続いて、映画は終わります。


普通、有名女優が共演したりすると、「美の競演」とか言われそうなものですが、お志麻さんが絡むと、なぜか「対決」みたいな雰囲気が漂うのがステキです。かたせ梨乃を半泣きに追い込み、桃井かおりを足元にも近寄らせないみたいな。小川真由美はかなり手ごわいライバルだったものの、吉永小百合あたりは軽く一蹴。そして、浅丘ルリ子ですよ。これは実力伯仲です。なにしろ付けまつげの長さではお志麻さんも負けてるし。実際、この映画でもどっちが勝ったのかよく分かりません。「でも」ラストシーンの後に、逆上したお志麻さんが、鉈でも振り回して浅丘ルリ子を血祭りにあげたんじゃないかと想像してみるのも楽しいですね。

さて、血祭りではなく、エロ祭の相手にされた細川俊之ですが、最後はそのままフェードアウト。やっぱり、お志麻さんの前では小者扱いなのが辛いところですね。

ともあれ、他の女優が出ていたら、単に頭デッカチのつまらない映画になりそうなところを、熱い演技で救ったお志麻さんは、やっぱり偉大です。お志麻さん万歳。お志麻さんサイコー。









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いくらおにぎり日記はここ

【映画】続スーパージャイアンツ 毒蛾王国

2009-10-26 | 邦画 さ行
【「続スーパージャイアンツ 毒蛾王国」赤坂長義 1959】をみたんだ



おはなし
スーパージャイアンツのお兄さん(宇津井健さん)は、毒針をもった革めい団をやっつけるぞ

スーパージャイアンツシリーズのさい後のさくひんです。そもそも、原水ばく実けんをとめるためにエメラルドすいせいからやってきたスーパージャイアンツのお兄さんですが、とうとう地球の政治とう争にまで、手をだすようになってしまいました。

日本堂という宝石店が映ります。おきゃくさんは、エンゼル学えんという孤児院のえん長先生と、フミオくんにノリコちゃん。そして、いかにもあやしい二人の男のふた組です。えん長先生のおかいものに飽きてしまったフミオくんとノリコちゃんが、なにげなくあやしい男たちを見ていると、あれれ、ダイヤモンドを出してもらった男たちは、女店員さんに毒ばりをなげつけて、ダイヤモンドを持って逃走していったのです。もちろん、その日の新聞には、「宝石店 襲撃事件」「恐怖の大東京」「毒殺魔 又も宝石店を襲う」といった見だしがおどったのは、いうまでもありません。

エンゼル学園にもどったフミオくん、ノリコちゃんはお友だちにおおいばり。なにしろ、今、東京をさわがせている毒さつ魔のかおをバッチリ目げきしたんですからね。「僕、毒殺魔を見ちゃったんだ。こうやって、針を投げたんだ」と実えんしたりして。「ホントよ、こわかったわ」と、さほど怖そうなかおもせず、ノリコちゃんが言うと、フミオくんのテンションはあがるいっぽうです。「怖くないよ。僕、毒殺魔を捕まえてやるんだ」。

けいさつのおじさんたちは、困りがお。お店がいっぱいおそわれているのに、手がかりのひとつもみつかりません。「警察の面目を賭けても、一日も早く逮捕しなければならない」とエライおじさんが言うと、まじめそうな川田刑じ(御木本伸介)は思いつめたようすで、ググッと気合を入れるのでした。とりあえず、ガンバレ、川田さん。

その夜、豹柄のカバンに宝石をどっさりいれて、あるいていた宝石店のおじさんが、またも二人組におそわれました。たまたま、そこに通りがかった川田さんは、いっしょうけんめい犯人をおいかけます。そして、もう二人。孤児院をぬけだして犯人さがしをしていたフミオくんとノリコちゃんも、サササとあとをつけるのでした。

川田さんは、犯人をおって菱山病院にやってきました。でも、院長せんせいの菱山はかせ(大原譲二)は、「うちは娘と看護婦だけですが」と言うのです。おかしいなあ、たしかに犯人たちは病院にはいっていったと思ったんだけど。いぶかしがりながら、病院の外にでた川田さんは、夜にもかかわらずウロウロしているフミオくんとノリコちゃんをはっけんしました。「君たち、こんなに遅く、なにしてるんだい」。フミオくんとノリコちゃんは、川田さんをうたがっているのか、しょうじきに言おうとしません。そこで、川田さんが警察てちょうを出すと、うわっホンモノの刑事さんだ、とビックリです。早速、「あたしたち、毒殺魔を見たの」と言うノリコちゃん。今度は川田さんがビックリする番です。「えっ、どんな男だった」。はい、こんな人たちだよー。わらわらと、わる者たちが、3人をとりかこみました。くろいピッチリした服に、くろいマスク。腰にはチャンピオンベルトみたいなものをしていますよ。これで、イーッっていえば、まんまショッカーの戦闘員(初期型)ですね。

ともあれ、大ピンチの3人。しかし、そこにスーパージャイアンツのお兄さんがかけつけました。ばこっ、ぼふっ。痛ててて。「退け、退けーっ」と、時代劇みたいな台詞をのこして、わる者たちは逃げていくのです。「さあ、もう怖くないよ」と子供たちにやさしくほほ笑むスーパージャイアンツのお兄さん。でもけいじの川田さんとしては、いちおう確かめておかないとね。「あなた、どなたです」「正義の味方スーパージャイアンツ」「ほう」。どうも川田さんは、反応が薄いというかにぶめです。微妙に傷つきつつ、スーパージャイアンツのお兄さんは言います。「毒殺魔の逮捕に全力を尽くします。彼らは単なる宝石強盗ではありません。わたくしは、彼らの組織を粉砕します」。

ここはわる者たちにひみつ基地。ショッカー服に、マントをプラスしたボスが、うばった宝石をまえに演ぜつしています。「この宝石でビアス王国革命の軍資金は充分だ。あとはビアス王国皇太子の来日をまって暗殺。一挙に現地に渡るのだっ!」。感極まった子分のひとりが「ビアス革命団、万歳!」と叫ぶと、みんなも「おおー」ともりあがっていますよ。しかし、そこに川田さんたち3人の襲げき部隊がシオシオとかえってきました。「子供と犬は片付けたか」「スーパージャイアンツに邪魔されました」「なにっ、スーパージャイアンツ。ううむ、困った奴があらわれた」。

マジメな川田さんは、毒薬のぶんせき結果を聞きに、城南大学の山本きょうじゅをたずねました。まだくわしくは分からないけど、と前おきをしつつ、山本きょうじゅは言います。
「あなたはビアスという国をご存知ですか」。「ビアス?」。「ええ、世界で一番古い王国ですが」と言いながら地球儀をくるりんと回して、山本きょうじゅは一点を指さします。
ピタッ。どうやら、アフリカそれもスーダンあたりを指さしているみたい。「えーと、これですがね。この国には、強烈な毒をもつ毒蛾がいるんですが、この針の毒は、どうもその毒蛾から抽出した毒ではないかと思われるんですがね」。「ほう」とボンヤリしている川田さんですが、山本きょうじゅの次の言葉を聞いて、表情が変わりました。「この事件については、菱山博士にお聞きになってはいかがですか」。なんと、あの菱山びょういんの菱山はかせは、ビアスの毒蛾についての権威だというのです。これは、とってもアヤシイぞ。

早速、その足で菱山はかせのところに向う川田さん。「実は城南大学の山本教授からうかがってきたんですが、先生はビアス王国についてのご造詣が深いとうかがいました」とズバリ切り込んでみます。さあ、どうだ。しかし、菱山はかせは、あわてずさわがず、ビアス王国との関係をみとめたうえで、自分が持っている、ビアス王国に代々伝わる宝石がわる者に狙われていると言い出したのです。娘さんのみち子さん(星輝美)に頼んで、金庫の宝石をとりだす菱山はかせ。「この際、私は警察に保護をお願いしたいと思うんですが」。えーと、そう来ましたか。でも、どうしても、コイツがアヤシイと思うんだがなあ。警察にもどった川田さんは、エライひとに、菱山びょういんの監視をてい案してみます。でも、エライひとは、「ま、相手は何と言っても一流の人物だから」と、川田さんのてい案を却下してしまうのです。

その夜、菱山はかせは、毒殺ふたり組のしゅうげきを受けました。バーン。腕を撃たれたのです。幸い、銃だんは腕をかすめただけで、はかせは軽傷みたいです。さっそく駆けつけた川田さんは、「すると毒殺魔がはじめて拳銃を使ったというわけですな」とスルドイ突っ込みを入れますが、そこにわる者からの電話が。娘の命が欲しかったら、ビアスの宝石を渡すのだ。「明日の晩12時にもらいに行くからな。フハハハハ」。いまいち、腑に落ちない表情の川田さんですが、ことがこれだけ大きくなると、仲間を呼んで警戒するしかありませんね。

コチコチ。時計が時をきざむのを、じっと見ているたくさんのお巡りさんやけいじさん。コチコチ。約束の12時を5分すぎても、誰もきません。「とうとう来ませんでしたな。よかった」と川田さんが言うと、菱山はかせは「しかし、念のために金庫をあけてみましょうか」とソワソワしています。カリカリ、カリカリ、ガチャリ。ギギー。「あっ、無い。無い。大切な宝石が無い。無い。私の宝石が」、きもちオオゲサにさわぐ菱山はかせ。と、そこに電話が鳴りました。「フハハハ。宝石はもらった。しかし、娘は返さん。日本の警察力もたいしたことはないな。フハハハ」。

ここはエンゼル学園のお庭。フミオくん、ノリコちゃんを始め、みんなが元気よく遊んでいます。しかし、待ってください。そんな子供たちの様子をうかがっているのは、毒殺ふたり組じゃありませんか。そおっと毒針をだして、狙いをさだめるふたり組。あぶない、このままではフミオくんとノリコちゃんが。しかし、そこにスーパージャイアンツのお兄さん登場です。とりゃっ。毒針をたたきおとすお兄さん。ふたり組は、口で「シュッシュッ」と言いながら、ありったけの毒針をお兄さんに投げつけますが、お兄さんはあっさり全ての毒針をはたきおとすのでした。「に、逃げろー」。

まさか、ひそかに命を狙われていたとは思ってもみないフミオくんとノリコちゃんは、次なる冒けんを企画しちゃってます。題して、菱山びょういんに忍び込むぞ作戦。小学校低学年のノリコちゃんが保護者然として、おなじく小学校低学年のフミオくんを病院につれて行き、フミオくんを入院させるという、ある意味、壮大なけいかくです。たしかにノリコちゃんは、子供のわりに、とってもオバサン顔ですけど、こんなけいかくがうまくいくでしょうか。……。えーと、うまく行ったみたい。

「さあ、これで大成功。あやしまれずに入院しちゃった」と棒読みのフミオくんは、さらに菱山はかせが、お庭の隠しスイッチをおして、ひみつ基地にはいっていくのを目撃したのです。同じように隠しスイッチをうごかして、基地にせんにゅうするフミオくん。そこでは、ボスが平隊員をまえにえんぜつ中でしたよ。

「諸君に最後の命令を伝える。われわれが待ちに待った大望成就の日が近づいた。明日、羽田にビアスの皇太子ギルマンが到着する。最初の手はずどおり、迅速果敢に行動せよ。なおスーパージャイアンツにはくれぐれも警戒するように」「おおーっ」。そんな様子を尻目に、美しいみち子さんの捕まっている部屋のドアを、針金でガチャガチャといじるフミオくん。おいおい、開くわけないでしょ。ガチャリ。って、開いてるし。しかし、同時に非常ベルも鳴りだしちゃいましたよ。あっさりとみんなの前に引きずり出されるフミオくんとプリティなみち子さん。

「小僧、うまく入り込んだつもりだろうが、もう逃しはせんぞ」と、ボスがゆっくりマスクをとると、その下の顔はなんと菱山はかせじゃありませんか。「お父さまっ!」とビックリするステキなみち子さん。「みち子、お前を誘拐したのは、いかにも、父親の私だ。我われの大きな目的のためには、ああいう芝居が必要だったのだ」「お父さま、ひどい。ひどいわ」「お前は私の本当の娘ではないのだ。今まで世間の目をごまかすために、親子としてきたが、実は縁もゆかりもない他人なのだ。お前は小さい時にさらわれてきたのだ」。ガガーン。ショックをうけるキュートなみち子さん。しかし、フミオくんは自業自得だからいいとして、さらにショッキングなできごとがイノセントなみち子さんを襲うのです。

ダムダム。ダムダム。アヤシイ音楽とともに、ちまつりのぎしきが始まっちゃいましたよ。剣の舞が始まり、あわれみち子さんたちは、邪教の祭壇のいけにえにされそうです。とりゃー。そこにスーパージャイアンツのお兄さんがやってきました。「飛んで火にいる夏の虫とは、貴様のことだ。来いっ」と、いかにも負けフラグの立ちそうな台詞をくちばしるボスの菱山はかせ。もちろん、平たい員もろともボッコボコです。さらに、ノリコちゃんのつう報で、けいさつのおじさんたちも駆けつけましたよ。「しまった。表は警察に包囲されたららしい」と、スタコラにげだす革めい団のみなさん。えっ、スーパージャイアンツのお兄さんは何をやっているんだって。いやあ、スーパージャイアンツのお兄さんは、いつもツメが甘いんですよね。

なぜかエンゼル学園に集まる、スーパージャイアンツのお兄さんや傷心のみち子さん、そしてけいじの川田さんたち。「そうですか、やっぱり菱山博士が犯人だったんですね」という川田さんに、スーパージャイアンツのお兄さんさんは力強くせん言します。「そうです、残念ながら取り逃がしました。しかし、彼はこのまま黙っているはずがない。かならず、わたくしに挑戦してくるでしょう。その時こそ、最後のチャンスです。わたくしは必ず、彼を捕らえてみせます」。本当に挑戦してくるのかとか、そもそも誰のせいで最後のチャンスになったんだというツッコミはさておき、お兄さんは続けます。「わたくしは、わたくし独特の方法で今回の事件を捜査していたのですが、今回、初めて、その確証を掴むことができました。菱山博士こそ、宝石商荒らしの毒殺魔の首魁だったんです」。川田さんはともかく、園長せんせいまでもが、「知ってるよ」といった感じにうなづきます。それに、独特の方法って、ただ上空をやみくもに飛び回っていただけだし。おっと、これではスーパージャイアンツの威厳が崩れてしまう。あわてて、言葉をいそぐお兄さん。「そればかりではありません。彼こそ、ビアス国の転覆を計画する革命団の首領だったんです。折も折、明日、ビアス国の皇太子が初めて日本を訪問されるんですが、彼らが黙っているわけがありません。わたくしは、その裏をかいて、一挙に彼らを撃滅しようと思います」。でもスーパージャイアンツのお兄さんですからねえ、うまく行くかなあ。

ここは羽田くうこう。ビアス皇太子ご一行をのせた飛こう機がちゃく陸しました。それを通路の柱の陰で、まちかまえる革めい団のわる者たち。アラビアのロレンス風のターバンにサングラスの皇太子をせんとうに、インド風のターバンをまいたお供の人たちが、こちらに歩いてきましたよ。今だ。バーンバーン。わる者たちはピストルを乱しゃします。ああ、皇太子は蜂の巣に……ならずに、なんだかガッツポーズをとってますよ。サングラスとターバンをとる皇太子殿下。すると、下からあらわれた顔は、なんとスーパージャイアンツのお兄さんではありませんか。「貴様っ!」と怒る菱山はかせに、お兄さんは言います。「捕まる前に聞きたまえ。君の狙っているギルマン殿下は、あそこにおられる」。ピッと指差した先には、確かにもうひとりのアラビアのロレンスみたいなおじさんが。でも、わる者たちは、まだピストルを持っているし、大丈夫でしょうか。さらに、菱山はかせは爆だんをもってるんですけど。えいっ。爆だんをなげる菱山はかせ。「はっ、あぶないっ」。どうにか、お兄さんの丈夫な体で、皇太子殿下は助かったみたいです。

空き地まで革めい団たちを追跡したお兄さんは、バッタバッタとわる者たちをなぎたおします。おまわりさんたちもかけつけ、つぎつぎと逮ほされていく革めい団のみなさん。わる者が栄えることはありません。最後はかならず正義がかつのです。

エンゼル学園にもどって、よいこのみんなにお説教をしたスーパージャイアンツのお兄さんは、「じゃっ、君たち元気でねっ」と言いながら、ダッシュして空にとびたちました。みんなの声にこたえて、うちゅうからやさしく手をふるスーパージャイアンツのお兄さんです。


なんで、孤児院の子が宝石店に来ているんだとか、孤児のフミオくんがトレンチコートにホームズ風の鹿打ち帽という高そうなカッコをしているのはなぜ?それに、ノリコちゃん、子供のくせに老け顔すぎるだろ、みたいなツッコミポイントはいっぱいあります。でも、これがスーパージャイアンツシリーズのさいごですからね。ここは、生あたたかく見まもってあげたいです。

ちなみに、最後のごほうびというワケでもないでしょうが、大好きな星輝美おねえさんがヒロインで出ていたのも、おじさんにとってはポイント高しです。しいて言えば、北沢典子おねえさんも出てくれたら、もっとうれしかったんだけどな。

シリーズぜんぶをみて思ったのは、うついけんお兄さんは、やっぱりカッコいいなあということです。陰もうらおもてもない、完ぜん無けつの能天気なヒーローをえんじられるのは、にほん広しといえども、このうついけんお兄さんだけです。別にバカにしてるわけではなくて、うついけんお兄さんの人徳というか、人柄のよさが、画面をつうじて伝わってくるようでした。

うついけんお兄さん、エメラルドすいせいに帰っても、元気でいてください。







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【映画】続スーパージャイアンツ 悪魔の化身

2009-10-23 | 邦画 さ行
【「続スーパージャイアンツ 悪魔の化身」赤坂長義 1959】をみたんだ



おはなし
魔女を見ると、恐怖のあまり死んでしまうんだよ。

スーパージャイアンツシリーズの8さくめです。いちおう、このさく品からは、「富士映画」せいさくになっているけど、まあ、いままでの「新東宝」のきょうだいみたいなものだよ。

ここは孤児院のおにわ。パジャマ姿のケンちゃんが「あっ!」と驚いています。それもそのはず、目の前には、おそろしい顔をした魔女がいるのです。ケンちゃんの額に手をのばしてくる魔女。横でビックリしているヒロシくんの前で、バッタリ倒れたケンちゃんは、そのまま死んでしまったのでした。

お医者さんによると、ケンちゃんの死因は、きょく度のきょうふによる急げきな全身すい弱だというけれど、ヒロシくんは知っています。「ぼく知ってるんだ。ケンちゃんは悪魔に殺されたんだ。若い女の悪魔だ」。

ケンちゃんはいなくなってしまったけれど、子供はあそぶのがお仕事。だから、みんな元気で、今日もお寺のけいだいで野球をやっていました。でも、ひとつしかないボールが、お寺の屋根のてっぺんにある玉(宝珠)に乗っかってしまったのです。「ボールひとつしかないんだぜ」、困ったなあ。と、そこに出てきたのがsのおにいさん(宇津井健)。「キミたち、どうしたんだい」「あの上にボールが上がっちゃったんです」「おじさんが取ってあげようか」。ピヨーン。sのお兄さんは大ジャンプでお寺のやねのうえに飛び上がって、ボールを取ってくれたのです。わーいわーい。おお喜びの子供たち。「園長先生。このおじさんがね、ボール取ってくれたんだよ」。それはそれは、ご親切に。「子供たちが、どうも。園長の田中です」「大賀一平です。どうぞよろしく」。ええっ。なんと、sのお兄さんは、にんげんの名前を使うことにしたみたい。そう。スーパーマンが普段はクラーク・ケントっていうさえない新ぶん記者に変そうしているみたいに。でも、いきなりお寺の屋根にジャンプしてたらイミないけどね。ともあれ、「どうでしょう、私をやとっていただけませんか」と言い出したsのお兄さんは、そのまま孤児院の保父さんになっちゃうのでした。

ちまたでは、遊園地で魔女をみかけたおかあさんが死んだり、鏡にうつった魔女を見てしまったバレリーナのおねえさんが、バッタリとたおれたりおおさわぎです。なんと、その被害は300人いじょう。もう、日本はだいパニックもいいとこです。

そして、仲良しのケンちゃんが死ぬところを目げきしてしまったヒロシくんも、やっぱり夜になるとこわい夢をみてうなされているのです。「僕、夜になるのが怖いんだ。悪魔が来るんだ。ケンちゃんの見た、若い女の人が」。そんなヒロシくんをなぐさめるsのお兄さん。「よしよし。おじさんが必ず退治してあげるからね」。そう言ったお兄さんは、「そうだ、オルガンひく前に、みんなに良いものをあげよう」とキラキラひかる玉を取り出しました。こ、これは、もっている子供がかならず悪の組織からヒドイ目にあうという伝説の玉じゃありませんか。「この玉はね、正義と平和のために使うんだ。みんなを守ってくれるよう、この玉をあげよう」。もらわない方がいいと思うんだけどなあ。

さて、城南大学のキャンパスでは、若き生理がく者の畑中さんと、美しいバレリーナの泰子さん(瀬戸麗子=第一話にも出ていたよ)が、いちゃついています。「ねえ、どうしても今日はダメなの」「うーん。君のバレエ団の総げい古だから行ってあげたいんだけど、どうしても今日は、大川先生のところに行かねばならないんだ」。すると泰子さんの顔がくもりました。おともだちが魔女を見て死んで以来、泰子さんはとても怯えているのです。「あの事件があってから、とても一人では帰れないの。怖くて」。さりげなく畑中さんをボディガードがわりに使おうとする泰子さんに、畑中さんも言います。「僕ら生理学をやっている者にも、あの現象はぜんぜん見当がつかないんだから、ムリもないよ」。こちらもさりげなく、頭のいい自分ですら分からないんだから、無知なキミが怯えるのももっともだ、とアピールです。と、そこに話題の大川せんせいがやってきました。顔の半分を覆う不気味なマスク。いかにもわる者っぽいですよ。「すぐリポートを頼むよ」「はい」。かわいそうに畑中さんは、いきなり偉そうなたい度から一変、ペコペコモードです。たとえ恋人の前だろうが、恩師の教授に出会ったらヘコヘコしないと、大学の世界では「生きていけない」ので仕方ありませんけどね。

案の定というかなんというか、泰子さんはバレエスタジオの鏡の中に、魔女のすがたをみて卒倒します。キャー、ばたんきゅー。しかし、よっぽど丈夫な心臓だったのでしょう。他のひとはみんな死んでしまったのに、泰子さんだけは生き延びたのです。「この方の回復を待てば、何か原因がつかめるかもしれません」とお医者さまの期待もいやがおうでも、高まるというものです。

さて、そのころ。大川はかせは、隠しスイッチをそうさして、自分の家にあるひみつ研究室にはいりました。なにやらむずかしそうな機械がならぶ中には、ガラスケースにおさめられた脳みそまでありますよ。その脳みそに語りかける大川はかせ。「娘よ、もう眠ったのか。芳子ぉー。戦争がかわいいお前をわしの手から奪い、わしをこんな姿にしてしまったのだ。わしは人間に復讐をする。戦争をなくすためには、地球上の人間を抹殺しなければいけない。その時こそ、お前をわしは安らかに眠らすことができるのだ。人間どもよ死ねっ。お前たちを暗黒のなかに押し込んでやるのだ」。なかなか斬新な考え方ですね。確かに人間が絶滅すれば戦争はなくなりますが、それじゃあ意味ない気もしますけど。社民党さんの「憲法9条ラブ」とおんなじくらい、荒唐無稽な気がします。

大川はかせのところを訪ねてきた畑中さんは、書斎の壁の奥から声が聞こえてくるのに気がつきました。まあ、あれだけデッカイ声で脳みそに語りかけていれば、せっかくの隠しとびらもだいなしです。なんのちゅうちょもなく、隠しスイッチを「発見」して、ひみつ研究室にはいる畑中さん。さささっ。ニンジャのようにドアに張り付いたりしつつ、様子をうかがうと、なんと大川はかせが、魔女を語り合っているじゃありませんか。ゾゾーっ。あとずさりして、はかせの書斎までにげてくる畑中さん。しかし、大川はかせがいきなり背後に立っていますよ。「畑中くん。何をしておったのだ」。ギクリ。「は、先生がお留守だったので帰ろうとしていたのです」。なんか、とっても苦しい言い訳ですが、はかせは納得してくれたようです。風をくらったように、大川はかせの家から逃げ出す畑中さんでした。

と、大川はかせは納得していませんでした。やっぱり、ひみつ研究室の奥からでてきた仲間の「社長」に命令します。「畑中を追って、殺してくれ。芳子の姿を見られたのだ。次に畑中の恋人を奪ってくれ。その女の口を封じないと、我われの秘密がばれるかもしれん」。「私の部下の腕を信用しなさい」と自慢げな社長の風間に、大川はかせは釘を刺します。「風間、sが日本に来ている。感づかれないようにな」。これには、余計なことをと、風間はちょっとムッとしたのかもしれません。義手にかかえたライフルを室内で連射しながら「まかせておきなさい」とエッヘンです。危ない人だなあ。

ヒロシくんはsのお兄さんとお散歩をしています。ほら、sのお兄さんは保父なので。バーン。「あっ、ピストルの音だ」の叫ぶヒロシくん。なるほど、畑中さんが謎の男たちに撃たれて転がっていますよ。「キミ、しっかりしたまえ」と畑中さんを助けおこし、あっというまにわる者たちをやっつけるsのお兄さん。早速、撃たれた畑中さんを孤児院に連れて行って、手当てをしてあげるのです。はっ。気絶から目をさました畑中さん。「今、何時です」「8時です」「タイヘンだ。こうしちゃいられないんです」。このままだと泰子さんの身が危ないっ。しかし、時すでにおそし。あわてて病院に電話をすると、すでに泰子さんは、さらわれたあとだったのです。けがをした体で立ち上がろうとする畑中さんに、sのお兄さんは言います。「あなたの体ではムリだ。私が必ず助けてきます」。クルクルっとその場ターンをしながら、黒い背広から、いつものモッコリスーツに変身をするsのお兄さん。ニカっと笑いながらガッツポーズをキメて、「じゃあ行ってくるからね」と飛んでいくのでした。ええと、わざわざ大賀一平って名乗った意味は、どこに。

ばひゅーん。空を飛んでいたsのお兄さんは、泰子さんを乗せた車をはっ見。あっという間に泰子さんを救い出しました。しかし、そこに「玉」がワープしてコロコロ転がっていますよ。こ、これは子供たちに危険のあったしるし。「しまった!学園が危ない」と泰子さんを小脇にかかえて、sのお兄さんは再び、今来た道を飛んで帰るのです。

しゅたっ。「あ、sのおじさんだ」「おじさん、助けてぇ」。孤児院をおそったわる者をやっつけるsのお兄さん。「ひきあげろ」「くそー。覚えてろ」。よかった、畑中さん、そして、子供たちはみんな無事です。

ブツブツと脳みそに語りかけつつ、試験管の液体を右から左に移動している大川はかせ。おっと、何かできたようです。「うーん、人工脳髄の分泌物を使って、新しく細菌の培養に成功したのだ。何と名づけよう。そうだ、ウルバイシンと名づけよう」。そこに社長の風間がやってきました。「できたようですな」「ウルバイシンと名づけるつもりだ。1グラムの極微量でも、一千万の生物を殺害できる協力な毒薬だ。これをさらに純粋化していけば、おそらく原水爆の何倍かの破壊力をあみ出すことができるであろう」。感心する風間に大川はかせは断言します。「人類始まって以来の、強力な化学兵器だっ!」。えーと、この場合、「細菌の培養に成功した」とはかせは言っているので、化学兵器じゃなくて生物兵器っていうのが正しいと思います。

畑中さんの案内で、sのお兄さんは大川はかせのひみつ研究室にやってきました。しかし、そこはもぬけのから。そう、風間社長の作った、新化学工場にはかせはお引越しをしたあとだったのです。おっと、壁につけられた拡声器から大川はかせの声が聞こえてきましたよ。「ハッハッハ。来たか、s。俺は悪魔だ。どうだ、俺の挑戦に応ずるか」「こちらこそ、望むところだ。悪魔の挑戦に応じてやろう。叩き潰してやるぞ」。sのお兄さんは、メンツにかけて、空から新化学工場の捜さくを開始。ぜったい、みつけてやるぞぉ。

sのお兄さんがやみくもに空を飛びまわっている一方、畑中さんやけいさつのおじさんたちは頭脳戦です。畑中さんしゅう撃犯人を釈放して、尾行することにしたのです。もっとも、パトカーではないみたいだけど、屋根に拡声器をつけて「警視庁」という札をつけた車で尾行するのは、ちょっとどうかと思いますよ。しかし、頭のわるい犯人は、タクシーでまっすぐ、アトム商事にやってきちゃいました。「なんだてめえか」と驚く風間社長に、釈放されました、とうれしそうに報告する犯人。「バカやろう。おめえ、頭が弱いんじゃねえか」と言いつつも、逃走資金をあげる風間しゃちょうさんは、意外にいい人かもしれません。もちろん、社長さんじたいが、頭が弱い可能性も否ていできませんけど。ともあれ、畑中さんとけいさつのおじさんたちの操作の網はちゃくちゃくとせばまっているのは事実です。ガンバレ、社長。

犬も歩けば棒に当たる。sも飛べば手がかりつかむ。sのお兄さんは、のたうちまわっている木こりを発見。「どうしたんです、キミ。しっかりしたまえ。毒薬だ。すると彼らは、このあたりに新化学工場を作っているに違いない。キミ、しっかりしたまえ」。木こりのおじさんは死んでしまったみたいですが、sのお兄さんは手がかりを見つけたので、とってもうれしいです。思わず、飛行音がジェット機っぽくなっちゃうくらい、力いっぱい飛び回るのでした。

ん?ゴゴー。んん?ゴゴゴゴゴー。壁越しにも、sのお兄さんが飛び回る音が聞こえますよ。どんな安普請だよと思わないでもありませんが、ともあれ、大川はかせは、sの接近をさっ知しました。「ん。ジャイアンツにここが分かるはずはない。風間、お前なにかやったな」「早く効き目を確かめてみたかったんです。だから、ちょっと木こりに」「バカ。お前はなんという軽率な男だ」。さらに、機動隊員さんを満さいした警察のトラックまで、新化学工場にせまってきます。

脳みそがつながっている機械のボリュームをぐいぐいっとまわす大川はかせ。脳みそが、いつもより元気にピクピクしはじめました。「ジャイアンツ、最後の決戦だ。芳子とウルバイシンのある限り」と絶叫する大川はかせ。おおぉ、脳みそのところから、モヤモヤと魔女芳子があらわれてきましたよ。「芳子。娘。戦え。sと戦うのだ。そして、魔女の力の強さを思い知らせてやるのだ」。イエース、パパとばかりにsのお兄さんと戦いはじめる芳子。ごごー。芳子は火を吐いたりしますが、ゴルドン大火星(3・4話参照)すらくぐり抜けたsのお兄さんには、熱くもなんともありません。それどころか、ニカッと笑いながらガッツポーズまで取ってるし。しかし、火と呪いパワーが聞かないとなると、芳子だってただの女の子。キックはsのお兄さんのひざの高さくらいまでしか上がらないし、なんていうか「とてつもなく」弱い。そして、とうとうsのお兄さんのメガトンパンチが炸裂しました。どりゃー。どっかーん。いきなり芳子は大爆発。ついでに、機械につながれた脳みそも小爆発です。ぼんっ。横で死んでいる大川はかせ。みずから命を絶ったのか、それとも精神が芳子と一体化していたので死んだのか。そこらへんは不明です。

社長以下、わる者のみなさんもつかまり、いまや地球の危機はさりました。と、机のうえにあったスーツケースに手を伸ばそうとした畑中さんに、sのスルドイ声がとびます。「お待ちなさい。その中には悪魔の置き土産とでも言うべき、恐ろしい毒薬が入っています。手を触れてはいけません」。そして、ウルバイシン入りのスーツケースをもって空中にまうsのお兄さん。とりゃっ。スーツケースを投げると、なぜかスーツケースは大爆発です。えーと、これって空中散布になったりしませんか。かえって、地球破滅のひきがねをひいちゃったんじゃないかと心配です。

孤児院にもどったsのお兄さんは、子供たちに言います。「みんな、体に気をつけて、明るく元気ないい子になるんだよ」「はーい」。手をふる子供たち。sのお兄さんも手をふりながら飛んでいきます。とおく宇宙からも手をふるリチギなsのお兄さんです。おわり。

まあ全ぺんにわたっていろいろ言いたいことはありますけど、なによりもsが「大賀一平」って名のって孤児院で働いていたことだけは、さっぱりワケ分かりません。どうしても現金しゅう入がほしかったのかな。正義のヒーローだって、生きていくためには食べなければなりませんからね。でもsのお兄さんんだった、総理大臣さんとかにおねがいすればお小遣いくらいもらえそうなんですけど。

あとは魔女の芳子さん。彼女は、なぜ生まれ、なにをしたかったんでしょうね。







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【映画】ずべ公番長 ざんげの値打ちもない

2009-10-19 | 邦画 さ行
【「ずべ公番長 ざんげの値打ちもない」山口和彦 1971】を観ました



おはなし
赤城学園を出所したリカは、世話になったおじさんのために、やくざに殴りこみ。って、いつものパターンですけど。

ずべ公番長シリーズの第4作です。定番になった「お約束」をガッチリ踏襲して、さらにメンバーも橘ますみが復活してフルメンバーに戻りました。最終作にふさわしい、濃密な東映ワールドが展開されて、いい感じです。

ポー。汽笛を鳴らしながら大雪原を走る機関車。って、ずべ公番長シリーズなのに、なんで。ああ、分かりました。お約束の赤城学園パートでは、今、映画鑑賞会をしているのです。春季映画会「北海道の大自然」という映画を観ているみたいですよ。それににしても、この泣きのギターのメロディはどこかで聞いたような。「はるぅーかぁー、はるか彼方にゃ♪」。ここで「網走番外地」のタイトルがドーン。す、凄すぎる。いくら東映でも、ほかの映画のタイトルを、本タイトル前にぶつけてくるとは……。なんていうかタブーはないんかい。

ま、そんなこんなで、影山リカ(大信田礼子)や長子(橘ますみ)と言った面々に加え、今回のヒロインである村木みどり(片山由美子)が手際よく紹介されていきます。どうやら、みどりは、父の鉄五郎(伴淳三郎)に鬱屈した感情を持っているらしくて、面会も拒否の状態。おそらく、おせっかいなリカは、ここに絡むんでしょうね。

「一年後」。半年でも二年でもなく、いつも、必ず一年後なのがお約束です。赤城学園を出所したリカは新宿(ジュク)に舞い戻ってきました。大矢興業のチンピラと軽くもめごとを起こしつつ、向うのは村木自動車。つまり、みどりの父、鉄五郎がやっている自動車整備工場です。

さて、その村木自動車には大矢興業のチンピラが集結中。どうやら、みどりのヒモがこさえた借金を払えと、脅しにきているようですよ。「これは、あんたの娘が書いた借用書だ。ゆっくりと確かめてもらおうか」。確かに、みどりはヒモがバクチでこさえた借金の保証人になっているみたいですね。しかし、村木自動車といえば聞こえはいいですが、実のところ零細な整備工場です。「今はこれだけしかないんだ。カンベンしてくださいよ」。鉄五郎は、80万の借金のうち、どうにか30万を返すのです。

捨て台詞を残しつつ帰っていくチンピラたち。それと入れ違いにリカがやってきました。娘のみどりが飛び出してしまい鉄五郎も寂しかったんでしょうか。なしくずしにリカは村木自動車で働くことになったのです。ちなみに、同僚はマカオ(太古八郎)。えーと、漢字の名前だと「誰だソレ」ですが、要はタコ八郎です。

場面かわって、ここはピンクキャバレー。ホステスになった長子や、その恋人のツナオ(左とん平)。それにセンミツ(集三枝子)といったお馴染みのレギュラーメンバーが登場です。ちなみに、ここも大矢興業に狙われているみたいですね。ま、人物紹介と伏線ということで。

今度は、大矢興業のナイトクラブが映りました。カモは骨までしゃぶれということで、ちんぴらたちが、みどりのヒモを博打に誘っています。もちろん、ヒモとしても勝てばうれしいし、負けてもみどりや鉄五郎に借金を付回ししてしまえばいいんですから、お気楽なものです。ちなみに、店の奥ではチンピラたちが、鉄五郎からもぎ取った30万をボスの大矢(金子信雄)に渡しています。このシリーズでは金子信雄のヘンなボスっぷりも楽しみの一つですが、今回は女物の着物に薄く口紅をさしたオカマ風みたいですよ。しかし、その容貌と裏腹に、鉄五郎の土地を奪い取ろうとしているワルなんですけどね。

みどりはヒモに引っかかって家出。そのヒモのせいで、借金取りのチンピラがしょっちゅうやってきて、鉄五郎は苦しんでいる。そんな事情をマカオから聞いたリカ。もちろん、それを聞いたら黙ってはいられません。さっそく、マカオに運転をさせて、みどりのアパートに乗り込みました。しかし、恋に目のくらんでいるみどりは、リカのお説教に、聞く耳を持ちません。けんもほろろな扱いに、シオシオと帰るリカ。しかし、その帰り道に、マカオの運転する車はトラックに激突したのです。「バッカヤロー」と怒鳴り込んでくるトラックの運転手の荒井竜二(渡瀬恒彦)。もちろん、大信田礼子と渡瀬恒彦は、ケンカをしながらも仲良くなるのがお約束です。

たまたま村木自動車にラーメンを届けにきたのは、赤城学園の同級生だったおゆき(市地洋子)でした。ということで、ラーメン屋さんで、リカと長子たちが大集結。しかし、肝心の顔が見えませんよ。「ところで長子。マリ、どうしてるかな」「リカ。マリに会わんほうがええわ」。いぶかしげな表情のリカですが、はい、次のシーンではマリのアパートにやってきています。しかし、そこにはマリの代わりに、血を吐いて倒れているオッサン(中谷一郎)がひとり。えーと、これはマリのダンナさん?

笑っちゃうほどのクマを目の下につけて、ヌードスタジオで働いているマリ(賀川雪絵)。妊娠しているのに、裸をさらすお仕事ですから、そりゃクマもできるというものです。と、そこにリカが駆けつけてきました。「マリ」「リカ、リカじゃないか」「驚くんじゃないよ。タイヘンなんだ」。あわてて、アパートに戻るマリとリカ。オッサンこと荒井は、リカの発見で、どうにか命は取りとめたようですが、マリに負けず劣らず体ボロボロみたいです。「あんた、また外にでかけたね。ダメじゃないか」。いや、お前とスキヤキを食べようと思ってな。アンタっ! なんだか、世話物みたいになってきました。このベタな感じが東映らしくていいですね。それは、そうとして、荒井って苗字、渡瀬恒彦な竜二も荒井でしたが、偶然でしょうか。

はい、偶然じゃありませんでした。「兄貴、塩梅どうだい」と荒井のところにやってきた竜二。やっぱり二人は兄弟だったようです。ちなみに、荒井はもと大矢の客分で、大矢のために刑務所入り。しかし、刑務所を出たときには、体がボロボロだったようですよ。「そんなにまでして庇ってやった大矢が、兄貴に何してくれたい。挨拶ひとつねえじゃないかい」。

とりあえず、ここで主要キャストと、大まかな人間関係の紹介が終わりました、あとは殴りこみだね。

って、まだ殴りこみには早いですね。もう少し、お話は続きます。

竜二といい雰囲気になって、「アハハ、アハハ」なリカ。長子たちの尽力で、ヌードスタジオからピンクキャバレーに「ランクアップ」することができたマリ。マリの妊娠を知って、「産めよ、産むんだよ」と男らしい荒井(稼ぎはゼロだけど)。まあ、みんな楽しくやっています。もっとも、みどりは金を盗みに実家に忍び込んだりと、男関係で苦労しているみたいですけど。

しかし、そんな均衡がとうとう崩れる時がやってきました。バクチにいれあげたヒモが、とうとう大矢興業の手先になったのです。大矢興業のちんぴらたちといっしょに、鉄五郎のところにやってくるヒモ。偉そうに、自分の借金を払えとか言っています。「あいつは、俺のためだったら何だってするからな。思いつめて、ひったくりでもやらかすかもしれないぜ。どうなんだい」。本当に、自分勝手なリクツですが、鉄五郎は金を出すことにしました。「ただしな、条件がひとつあるよ。みどりと手を切ってもらいてぇんだ」。

そんな様子を隠れて聞いているマカオとリカ。「しかし、オヤジさんどうするんだろうな。不渡りがどうのこうの言ってたけど」「不渡り?」「うん、あの30万、やっと駆けずり回って持ってきた大事な金なんだ。あれがないと工場はつぶれるし、抵当に入っているこの土地もみんな持ってかれちまうんだよ」。リカはそれを聞いて、何か思いつめた表情です。

リカは大矢興業に乗り込みました。仁義を切ってから、さっそく、30万返してやっておくんなさい、と切り出しました。「ただで返してくれとは申しません」。じゃあ、ここで裸になれと言われ、一枚、二枚と脱いでいくリカ。とうとうブラジャーとパンティ姿に。でも、これ以上は恥ずかしくてムリムリ。と、そこに、みどりが踊りこんできましたよ。「バカ野郎、お前引っ込んでろ」と怒鳴るヒモ。「あんた、よくもあたいを騙してくれたね」「何を言いやがる。てめえが騙されるようなバカだからだよ」「ちきしょー、殺してやる」。なんかワヤワヤな展開に。

リーンリーン。鉄五郎が受話器をとると、大矢からの電話です。みどりとリカを捕まえたという大矢。「このお二人さんとね、あんたの土地の権利書と、引きかえっこにしようじゃないの。え、分かった」「分かりやした」。意を決した表情で、なにやら筒を取り出す鉄五郎。まさか卒業証書を持っていくわけじゃないと思うんですが。

大矢興業に鉄五郎がやってきました。下を向いてクククッとしてます。「あんた、泣いてんの」とバカにする大矢。しかし、鉄五郎は泣いていたのではありませんでした。笑っていたのです。グハハハ。「やいやい、てめえ気でも狂ったのかい」と、本性をあらわして、ドスを効かせる大矢。「おう。狂った。とぼけたこと言うない、この野郎」と、鉄五郎は筒からカミソリを取り出しましたよ。どうやら、鉄五郎は昔「カミソリの鉄」と呼ばれた侠客だったそうです。そして、若い頃の大矢の頬を自慢のカミソリでバシュっとしたのも、この鉄五郎だったのです。

「知らなかったんだ」とごめんなさいモードの大矢。「当たり前だ、この野郎」「すまん、堪忍してくれ」。鉄五郎は意気揚々とみどり、リカを連れて帰るのです。でも、待ってください。金子信雄がそんな殊勝な人間のワケがない。絶対に何かやりますよ。

鉄五郎たちが帰るのと入れ違いに、荒井がやってきました。マリにも子供ができたことだし、すっぱりと足を洗うつもりで、挨拶にきたのです。ニヤリ、とほくそ笑む大矢。「お前さんにはひとかたならぬ義理がある。お餞別を十分にはずみたいとこだけど、こちらもちょっと物入りでね。それで、お餞別がわりと言っちゃなんだけど、お前さんに最後のお仕事をやってもらいたいのよ」「仕事?」「表ですれ違っただろ。ここから出て行った親子連れ。あの父っつあん始末してもらいたいの」。30万円をポンとだす大矢。ちょっとセコイな。「まだ、そのへんにいるはずだよ。ムリにとは言わないよ」。

荒井の顔のアップ。グワーッと苦悶の顔をしています。脳裏には、菜の花畑でお腹の大きなマリと楽しく歩く自分の姿が浮かんだりして。欲しい、金が欲しい。

鉄五郎とみどり、そしてリカは屋台のおでん屋で祝杯です。しかし、仲むつまじい鉄五郎とみどりを見ていたら、孤児のリカはなんだか寂しくなってきちゃいました。「オヤジってのは、いいな」。そんなリカを見て、みどりは言います。「リカさえ、もし良かったら、あたいの姉さんになってくれよ。な、パパ、いいだろ」。「何言ってんだ。とっくにリカはおめえの姉ちゃんだ」と上機嫌の鉄五郎。上機嫌ついでに、もう少しひとりで飲んでいくと言い出すのです。

ほろよい気分で、家路につく鉄五郎。そこに荒井がドスを持って襲ってきました。しかし、そこは酔っていても「カミソリの鉄」。体が弱そうな荒井の攻撃をかわすのは朝飯前です。もっとも、風車の弥七な中谷一郎の攻撃を伴淳三郎がかわす、っていうのはかなりムリがありますけどね。ま、それはともあれ、そこにトラックが突っ込んできましたよ。どうやら、大矢は二段三段の悪巧みを計画していたようです。とっさに鉄五郎は荒井を庇ってはねられました。そして、荒井も口封じのために、やはり撥ねられてしまうのです。

ヨロヨロ。ヨロヨロ。どうにかアパートに帰り着いた荒井。「兄貴。あにきー」と叫ぶ竜二に、「こ、これをマリに頼む」と30万円を渡します。マリも駆け寄ってきて「あんたぁー」と叫びますが、すでに荒井は絶命しているのでした。

鉄五郎の遺体に取りすがっているみどりのシルエット。それを見ているリカの顔だけが映ります。おやっ、マリ、長子、センミツが揃いの真っ赤なロングコートでやってきました。「マリ」とリカが声をかけると、マリは黙ってうなずきます。やはりうなずき返したリカの全身が映ると、真っ赤なロングコート。マリが「みどり」と声をかけると、やはり真っ赤なロングコートのみどりが出てきました。うん、やっぱり殴りこみ服は、これじゃなくちゃね。

「恨みつらみの数々はじめ。目から流した血の涙。煮えくりかえる胃の腑に収め、今日まで我慢の幾年月。あなたの大事なみどりを始め、宿無し、親無し、きょうだいなしの。ここに揃ったやさぐれ五人。裏道ばかりの歩き詰め。そんなしがないわたくしどもに、かけてくださったご厚情。忘れるものではございません。堪忍袋の緒も切れました。バカを承知で参ります。許してやっておくんなさい」

長台詞をばっちりキメて、夜の雑踏を横一列になって歩くずべ公たち。津島利章の音楽もあいまって、ベタではありますが、気分が盛り上がってきます。これこれ、これでなくちゃ。

うりゃー。大矢興業に乗り込む五人。ババッとコートを脱ぎ捨てると、そこには白のさらしに赤いホットパンツです。「やいやい、てめえらなんだい」「やかましいやい。てめえら一人も生かしておくわけにはいかないんだい」。揃いの赤いドスの鞘を投げ捨てると、ドスの冷たい光が、ギラリと光ります。うーん、カッコイイ。これこれ、これでないと。

縦横無尽に斬りまくる五人。さらに、竜二もかけつけ、血しぶきバーティの始まりです。鈴木清順ばりの、ガラスの床を下から撮るショットなどを入れつつ、バッサバッサと斬っていく爽快感。そして、とうとう大矢は追い詰められました。「大矢、死ねえ」。リカの怒りのひと突きが大矢を刺し通します。ガラスに血を撒き散らしながら、悶え死ぬ大矢。

パトカーのサイレンが聞こえてきました。オエップなマリにリカは言います。「マリ、あたいたちが、あんたの分までつとめてくるよ。なっ」。「うん」「うん」、口々に答える仲間たち。感激のマリは、思わずオエーッです。ほら、つわりだし。

手錠をはめられ連行されていく4人のずべ公と竜二。電柱の陰から、泣きながら見つめるマリ。パトカーは朝焼けの町を、「ざんげの値打ちもない」をBGMに走り抜けていくのです。


スケバンモノというよりは、ある意味、健さんモノのフェイクではありますけど、完成度が高いです。侠客ものの「お約束」の数々が、血を熱くさせること間違いなし。さらに、シリーズの中での「お約束」もガッチリ踏襲しているので、シリーズを通して観た場合には、さらにググっときます。

単品で観てよし、シリーズを通して観ればなおよしの、東映プログラムピクチャの傑作じゃないでしょうか。

ちなみに、個人的なお気に入り度では、橘ますみ、賀川雪絵、大信田礼子の順番なんですけどね。







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【映画】スーパー・ジャイアンツ 宇宙怪人出現

2009-10-16 | 邦画 さ行
【「スーパー・ジャイアンツ 宇宙怪人出現」三輪彰 1958】をみたのでござる



おはなし
不気味にうごめくうちゅう怪人。恐怖のどんぞこにおちいる日本。そして今、最大の戦いが始まる(ちょっとおおげさ)。

えーと、監督さんが、いしい監督からみわ監督にかわりました。そして、今まで前後編にわかれていたお話が一話完結に。なので、ずいぶん雰囲気がかわったかんじだよ。

いきなり、タイトルバックに気持ちのわるい怪人のすがたがうつります。シャッシャッ、シャッシャッシャッ。ヘンな声をだしてうごめいています。そして、そらを飛ぶスーパージャイアンツ(宇津井健)をバックに、スタッフロール。これは、スーパージャイアンツにあわせて文字がななめになったりして、イキオイが感じられますね。さすが、これが監督デビュー作だけあって、みわ監督も気合が入っているみたいです。

はい、本ぺんかいしです。轟々と音をたてて高架をとおる電車。その下に、ひとりの男が大事そうにカバンをかかえて走っています。そして、それを追う男たち。ハアハア、息をきらせながら、けんめいに逃げる男ですが、とうとう追いつめられてしまいました。そして、ふとした拍子に、カバンを川に落としてしまったのです。

「ああ、カバン。カバンが流れてしまう」。嘆く男の手にはガチャリと手錠がはめられました。すると、追っている男たちは刑事さんだったんですね。と、そこに制服警官のひとが走ってきて報告です。「ただ今、捜査本部より電話連絡がありました。大東銀行を襲ったギャングの一味が捕まり、盗まれた現金も無事、戻ったそうです」。

ってことは、誤認逮捕でしょうか。でも、男が「もしあのカバンを見失ったら、タイヘンなことになるんです。お願いだから早く返してください」と哀願しても、岡本刑事(国方伝)は、「そう慌てるな。お前が銀行襲撃犯人でないことは分かったが、あのスーツケースの中身を喋らんうちには釈放するわけにはいかん」と冷たいのです。

仕方ありません。男は話します。「宇宙人の臓器が入っているんだ。考えただけでも身の毛がよだつ。あのどす黒くよどんだ色。ブヨブヨと人間の心臓のようにうごめいている奇怪な体。あのトテツもない化け物は、今カバンの中で盛んに細胞分裂を始めているんだ。もし、このまま放っておけば、得体の知れぬ怪物が発生して、日本国中荒らしまわるだろう。そして地球は破滅するかもしれないのだ。お願いです。僕の言うことを信じてください。お願いです」。せっかく、こんな大演説をしてみたのに、岡本刑事さんは全然信じていませんよ。しかし、有名な黒木はかせから電話がはいって、男は確かに助手の川田だということが分かったので、しぶしぶ言うのです。「おい、川田。事情は分かったから返してやるが、もうつまらない夢なんか見るな」。

ヨロヨロと警察を出た助手の川田さんはカバンを探します。しかし、川に落ちたカバンは見つからず、かわりに怪しい男たちにかこまれてしまいました。えーと、今度は刑事さんたちってことはなさそうですね。「君たちはいったいなんだ。僕をどうするつもりだ」「貴様、黒川博士のカバンを盗んだ。俺たちの仕事の邪魔をしたんだ」「君たちの」「だから貴様を生かしてはおけない」。ピストルを突きつけられぜっ体ぜつ命の川田さん。彼はこのまま、殺されてしまうのでしょうか。

とりゃー。そこにスーパージャイアンツのお兄さんがやってきました。あっというまにわる者たちをボコボコにしたスーパージャイアンツは川田さんに聞きます。「いったいどうしたんです」「あいつらの手にカバンが入ると、人類は破滅するようなことになるかもしれません」「落ち着いてワケを話しなさい」。

なぜか、川田さんはスーパージャイアンツのお兄さんといっしょに、とっても偉い桜井はかせのおうちにいます。そこで、一生けん命、桜井はかせにお話をしている川田さん。「あのカバンの中の化け物を完全に始末するには土を掘って埋めても、石油をかけて焼いてもダメです。何か、ひじょうに強力な圧力をかけて化け物の細胞の分子をこっぱみじんに破壊するより他に方法はないと思います。あの化け物を抹殺して、日本を破滅から救うことができるのは、先生。先生の他にはありません」。そんなこと言われても、化け物のサンプルもないのに、何をしろと言うんでしょうね。しかし、スーパージャイアンツのお兄さんまでもが、「その化け物が誕生すればタイヘンなことになるでしょう。川田さん、あなたはその化け物の創造過程を知っている人です。桜井博士と協力して非常事態の発生を防いでください。人類の平和のために、私もあなたがたに協力は惜しみません」とか言い出したので、よく分からないけどガンバル気分に。「よし、君といっしょに研究を始めよう」。でも、いったい、何から始めればいいのやら。そんな中、スーパージャイアンツのお兄さんははかせの小さなお子さんであるフミオくんとノリコちゃんに得意の玉を渡しています。「万一の時は、この玉をお投げ。おじさんはいつでも、飛んでいってあげるからね」。やめてー。その玉をうけとると、かならず敵につかまるってジンクスがあるんだから。現にノリコちゃんは、別の映画でやっぱり怪星人につかまってたし。

そんな会話のようすを立ち聞きしていた一本足の男は、その足で黒川はかせのおうちにやってきて、報告です。「川田の襲撃はスーパージャイアンツの出現により失敗いたしました」「えーい、ほっとけ。奴らが今になって大騒ぎをしたところで、もう間に合いはしないのだ。わしが心血を注いで創造した人工生命も、ほどなく特殊合金のカバンを己の唾液で溶かし、奇怪な姿を地球上にあらわすのだ。フフフフ」。

そんな黒川はかせの予言どおり、各地で異変が起きはじめました。鉄道事故。船の沈没。そして自動車事故。各地に怪人が出没して、日本はパニックです。もちろん、エライひとたちだって例外ではありません。「里見くん、なにか解決する方法はないかね」「総理長官、ただ今桜井博士が懸命に」「いや、それは分かっている。私の恐れているのは、その背後関係だ」。えーと、とりあえず桜井はかせは、政府の支えんのなかで、研究をがんばっているみたいですね。それにしても、総理長官っていったい。今までの作品は普通に総理大臣って言ってたのに、この映画の日本はパラレルワールドかなんかでしょうか。もしかしたら日本じゃなくて目本なのかもしれませんよ。

フミオくんに「お父さんの研究が早く完成しないと、タイヘンなことになるね」とあおられた助手の川田さん。「そうだ、あの書類があれば、先生の研究を早めることができるんだ」と思いついちゃいました。「なあに、その書類って」とノリコちゃんに聞かれて、自慢げにこたえます。「その書類にはね、怪人の創造過程が詳しく書いてあるんだよ。これから、黒川博士のところに行って、その書類を取ってくるからね」。はあ?つまり、今日本を騒がせている怪人を作った、悪の張本人な黒川はかせのところに、今まで誰も捜査とか逮捕に行ってないってことですか。

ま、それはともあれ、黒川はかせの家にしのびこむ川田さん。しかし、待ち構えていた一本足の男に、松葉杖でゴチンと殴られて気ぜつです。ばたんきゅー。「どうやら、ここにいる時期も終わったようですな」と黒川はかせに言う一本足の男。「ようし、すぐ重要書類をまとめろ」「へい」。二人は、庭の置物をいじって、ポッカリ開いた穴から、いずことも知れないひみつ基地に消えていくのでした。

さて、ひみつ基地では、アイマスクをした謎のボスが演説をしています。声からすると思いっきり黒川はかせな気もしますけど、今のところ「謎の」ボスってことで、ひとつよろしくお願いしますね。「秘密を漏らした川田はすでに黒川博士邸において処分をした。あとは宇宙怪人を桜井博士邸に派遣し、研究を挫折せしめるのだっ!」。ちなみに川田さんは、尾行していた岡本刑事に保護されて、思いっきり健在ですけどね。それにしても、やっぱり宇宙かいじんは、彼らが派遣していたのですね。つまり派遣社員ってこと。宇宙怪人と呼ばれる存在なのに、不安定な派遣のたちばなんて、ちょっと同情してしまいます。

ひゅー。窓が開いてもいないのに風が吹きます。ギクッとする桜井はかせ。おやっ、ドアが開いて白い煙がもうもうと立ち込めてきました。そして、闇に浮かぶ不気味な眼(昼ですが)。「あっ」。ビビる桜井はかせのまえに宇宙怪人がとうじょうです。しかし、そこにスーパージャイアンツのお兄さんが飛び込んできましたよ。「宇宙怪人、待てっ」。待てと言われて待つバカはいないので、宇宙怪人はスタコラ逃亡します。それを追うスーパージャイアンツのお兄さん。そして、非常手配で駆けつけたけいさつのおじさんたち。宇宙怪人ははさみうちです。さあ、どうする派遣の宇宙怪人。バーン、バーン。けいさつのおじさんたちはガス銃を撃ちます。ぶにょにょん。うわっ、宇宙怪人がふたりに増えた。スーパージャイアンツのお兄さんはするどく言います。「ガス銃で撃つのはおやめなさい。怪人に発砲すれば分裂を起こし、その数が増えるだけです」。それは困った。どうしましょう。と、けいさつのおじさんたちが躊躇したスキに宇宙怪人は、空中を走ってにげていきます。スタコラ、スタコラ。「お待ちなさい。怪人は私が追跡をします」と言うスーパージャイアンツ。まあ、「お待ちなさい」といわれるまでもなく、けいさつのおじさんたちは、空をとべないので、何もしようがないんですけど。と、そこに桜井はかせの大きな娘さん(田原知佐子=原知佐子)がやってきて叫びます。「タイヘンです。フミオとノリコが見当たらないんです。もしかしたら」。

はい、一本足に追われているフミオくんとノリコちゃん。どうやら、行方不明の川田さんを探しに出てきて、かえって敵におわれているもよう。たすけてー。しかし、その時、フミオくんの脳裏にスーパージャイアンツのお兄さんの言葉がよみがえりました。「勇気と力を正義のために使うのだ」。そうだ。勇気と力だ。ええーい。一本足に体当たりをするフミオくんとノリコちゃん。はい、わる者たちにつかまってしまいました。よけいなことを考えずに、ただ逃げていればよかったのにね。

ひみつ基地につれてこられた二人。「宇宙怪人による桜井博士の襲撃は、ジャイアンツ出現のため失敗に終わりましたので、子供を人質にとってまいりました」と頭の回転の速い部下の報告に、ボスもちょっとうれしげです。「よし、二人とも地下室に放り込んでおけ」。満足度のあがったボスは、またも演説をぶちはじめましたよ。「我らの目的である全日本の支配を達成するためには、速やかに山中総理長官の暗殺計画を実行に移さねばならん」、エッヘン。しかし、ボスは気づいていません。こっそりスーパージャイアンツのお兄さんが忍び込んで、その演説を立ち聞きしていることを。そして、こうつぶやいていることを。「暗黒党の正体はこれだったのか。わたくしは子供を救い、総理長官の身の安全を図らねばならない」。ようやく敵の組織の名前が判明しました。暗黒党だそうです。ヒネリもなんにもない名前ですが、そもそもスーパージャイアンツのお兄さんがどうして、それを知ったのかが分からないですね。入り口に看ばんでも出ていたんでしょうか。

ともあれ、玉の導きにしたがって、とらわれた子供たちをすくいだしたスーパージャイアンツは、桜井はかせのところに帰りつきました。喜んでいる桜井はかせたちに、スーパージャイアンツのお兄さんは言います。「子供さんたちを誘拐したのも、宇宙怪人を操っているのも、みな宇宙暗黒党の仕業なのです」。「宇宙暗黒党?」「そうです。彼らは日本をその支配下に置こうとし、その第一歩として山中長官を暗殺しようとしています。博士、一日も早く研究を完成して、彼らの陰謀を粉砕してください」。いや、それはそれとして、敵のひみつ基地をけいさつのおじさんたちに教えてあげる気はないんですか。もちろん、再度ひとりで乗り込んで、敵をやっつけるのでも、いっこうにかまいませんが。

その日から宇宙怪人をやっつける研究が、夜を日に継いでおこなわれました。つまり、その間は、宇宙怪人におそわれ放題。そしてスーパージャイアンツは何をしてるんだ、と思わないでもありませんが、スーパージャイアンツのお兄さんにだって都合があるんだと思います。そんな中、山中総理長官にきょうはく状がとどいたのです。

「総理長官殿 今夜十二時、宇宙怪人があなたを襲うであろう 宇宙暗黒党」
いいですねえ、このタッチ。まるで、怪人二十面相のよこく文みたいで、おじさんは懐かしさのあまり、鼻の奥がツーンとしてきましたよ。ちなみに、おじさんはポプラ社の「少年探偵シリーズ」が大好きで、小学生のころ、としょかんで借りてよんだり、お年玉で一冊二冊と買い揃えていたのでした。と、どーでもいい話でごめんなさい。

ともあれ、コチコチと時を刻む秒針をにらんでいる総理長官さんや警視総監さんたち。高まる緊ぱく感。とちゅう、ドアがあいてハッとすると、犬だったりと、お約束な展開がつづいて……ボーン。時計が十二時の鐘をうちました。ホッ。「総理長官。怪人もとうとう恐れをなしたようですなあ」と法務長官さんが言うと、それを合図にしたかのように、電灯がチカチカと瞬くではありませんか。そして宇宙怪人があらわれました。あわててピストルを乱射するけいかん隊の攻げきを、宇宙怪人は軽いステップでかわしています。ああ、このままでは総理長官さんがあぶないっ。はい、スーパージャイアンツのお兄さんも登場。とりゃー。格闘がはじまりました。でも、しょせん実力がちがいますよ、実力が。またまたスタコラとにげていく宇宙怪人。それを追いかけようとした岡本刑事をスーパージャイアンツは止めます。「お待ちなさい。怪人の行き先は分かっています」。ま、一回忍び込んでますからね。

かたや空を飛んで、かたや地上を。スーパージャイアンツのお兄さんと、警さつ官満さいのトラックは、一路クロガネ山ろくのひみつ基地に向います。最初にひみつ基地についたのは、もちろん、空をとんできたスーパージャイアンツのお兄さん。とりあえず、暗黒党員たちをボッコボコにしています。おっと、けいかん隊も到着して、次々と党員をとらえていきます。しかし、そこに宇宙怪人が出てきました。うりゃうりゃうりゃ。連続パンチを宇宙怪人のおなかに叩き込むお兄さん。やった、やりました。宇宙怪人はピクピクしたかと思うと、ドロドロに溶けていきます。そして、後に残ったのは、不気味に拍動する心臓と神経組織。えーと、意外と弱いな。そのままボスに迫ったスーパージャイアンツのお兄さんは、マスクをガバッとはぎとります。そして、マスクの下にあったのは、なんとそれは、黒川はかせだったのです。そのまんまでした。だって、かけつけた桜井はかせも、「あっ、やっぱり黒川博士」って言ってるし。

助手の川田さんは、キミの悪い心臓を見て叫びました。「先生、これです。この生き物です。これがやがて怪人に成長する生き物なんです」。そう、この心臓をどうにかしないかぎり、宇宙怪人は何度でも復活してしまうでしょう。(やめとけばいいのに)連れてきたお子さんたちや、けいかんさんたちがこわごわと見守るなか、桜井はかせは、自慢げに言います。「しかし、ご安心ください。我われにはこれを永久に抹殺する方法を完成したんです」。川田さんから薬をうけとり心臓にかける桜井はかせ。しゅーー。おお、拍動がとまりました。今、このしゅん間に、悪魔のような宇宙怪人のきょう威は永遠に去ったのです。思わず一同はニッコリとほほ笑み会うのでした。

スーパージャイアンツのお兄さんは、勇敢なふたりの子供の肩に手を置きながらいいます。「正義のためには、勇気を持って戦わねばいけないのだよ」。「うん。おじさん、これ返すよ」と玉を出すフミオくん。「これはフミオくん、記念にあげよう」とスーパージャイアンツのお兄さんはニッコリします。「これで、地球における私の使命は全て終わりました。宇宙と地球の平和のために、なおいっそう頑張ってください」と、みんなに言って飛んでいくスーパージャイアンツのお兄さん。「みなさん、さよーならー」。スーパージャイアンツのお兄さんは手を振りながら、宇宙のどこか(っていうか、多分エメラルド彗星あたり)に飛び去っていくのです。おわり。

どうでもいいけど、うちゅう怪人って、うちゅう人のことですか、それとも"うちゅう"クラスのつよさを誇るって意味? よく分かりませんでした。とりあえず、黒川はかせが創造したっていうなら、メイドインジャパンな感じもしますし、映画ではちゃんとせつ明してくれないので、さっぱりです。まあ、想ぞうするに、宇ちゅうから飛来した「何か(The Thing)」をもとに、黒川はかせが遺伝子操作とか、あとは調教したのが「宇宙怪人」なのかなと。もっとも、心臓は強いけど、あとはカラッキシ弱いのが玉に瑕ですけどね。

それにしても、どんどん影の薄くなっていくスーパージャイアンツのお兄さん。特に今回は、お兄さんがいなくても、どうにか事件は解決したんじゃないかと、疑ってしまうくらいです。いてもいなくても大丈夫だけど、いたらちょっとだけ便利な「ヒーロー」って、もうダメすぎ。







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【映画】死闘の伝説

2009-10-09 | 邦画 さ行
【「死闘の伝説」木下恵介 1963】を観ました


おはなし
部落会長の息子(菅原文太)との縁談を断ったことから、疎開中の園部家の人たちは嫌がらせを受け……。

悪魔のいけにえ(原題 テキサス・チェーンソー)を観ると、なんだか「テキサス、怖ぇー」、絶対にテキサスなんか行くもんか、と思います。同じように、この映画をみると、きっと北海道に行くのが怖くなりますよ。ニヤリ。

「北海道」。見渡す限りの牧草地。清き清流。草を刈る人、牛を曳く人、そして畑を耕す人たち。この美しき大地で、人々は勤勉に生きています。

「あんた、隣の馬が死んじまったんだって」「おお、そうか」「みんな集まって泣いてっから、あんたも顔出してきなよ」「死んじゃったか。かわいそうに」。この美しき大地に住む人々の心はキレイです。

木材運搬のオート三輪が路肩に車輪を落として立ち往生。頼まれもしないのに集まってきた村人は、力をあわせてオート三輪を押しています。この美しい大地に住む人々は、純朴で親切です。

と、そこに名優・滝沢修の重厚なナレーションが。「この物語は、この平和な風景の中に起こった、悪夢の記録である。しかし、誰も言い伝える人は無く、おそらくは山の魔人の伝説に置き換えられる日まで、人々はその魂に黙して語らぬであろう。なぜならこの山々が夕焼け雲の赤さに彩られる時、人々の耳は乱打される早鐘と、わめきあい、罵りあう声。果ては銃声も入り乱れて、悪夢ならぬ過ぎし日の魂の呵責を聞くのである」。なに言ってんだか、よく分かりませんが、とりあえずスゴそうな展開が待っていそうですよ。ワクワク。

はい、画面がいきなり白黒になりました。「昭和二十年 夏」とクレジットが出ます。敗戦の年ですね。馬車に荷物を載せて歩いている人たちが映ります。園部家の長男で、病気除隊をしてきた秀行(加藤剛)に、妹の黄枝子(岩下志麻)。そして、その弟です。「この車だって、わざわざ配給所へ連絡を取って、私たちを駅で待っててくださったのよ」とタメイキをつくお志麻さん。「お母様もかえって困ってしまったの。村のお世話になっている疎開者だし、まして病気で帰されるなんて」。そう、名誉の負傷ならともかく、病気除隊の加藤剛に馬車の出迎え。さらに、村の人たちが総出で、出迎えの準備を整えているなんて、実に異例のことのようです。それというのも、部落会長である鷹森の息子・剛一と、お志麻さんの縁談の話が持ち上がっていて、いわば加藤剛のご機嫌取りのために、こうした準備が進んでいたのでした。

「それでお前は、鷹森さんにお嫁に行ってもいいと思うのか」と尋ねる加藤剛。「行きたいとは思わないけど、もう、どうなったっていいわ。日本だってどうなるか分からないし」とお志麻さんは盛大なため息をついています。「意地が悪いんだ。田舎の奴らって」とブツブツ文句を言う弟を横目で見つつ、「もう僕が帰ってきたんだ。うんと働くよ」と宣言する加藤剛ですが、どうも加藤剛って頼りにならないんだよなあ。

パカラパカラ。馬に乗って軍服姿の剛一(菅原文太)が近づいてきました。「あの人、鷹森さんの息子さん」と耳打ちをするお志麻さん。手を怪我しているようですが、士官の軍服姿も勇ましく、サワヤカな好青年です。しかし、加藤剛はどこか訝しげな表情で、菅原文太を見ていますよ。視線を感じ、加藤剛を見つめ返していた文太がハッとしました。「君は!」。「挺身作戦の時、あなたの中隊に分遣されていたことがあります」と答えつつ、加藤剛は回想モードに突入です。

中国の寒村。女たちを追っている菅原文太と部下たち。もちろん、それはスパイ狩りなどではなく、欲望を満たすためだけの行為です。そんな上官たちを、黙って見つめていた加藤剛は、菅原文太に怒鳴られます。「バカヤロー。突っ立って、見てる奴があるか」。

勇壮な山。豪快な滝。なんだかリバー・ランズ・スルー・イットのモンタナ州みたいな風景が映ります。そんな中で、魚を獲ったり、鳥を獲ったりしている加藤剛たち。昔、父の世話になった隣家の信太郎(加藤嘉)や、その娘、百合(加賀まり子)が親切にしてくれるので、どうにか慣れない田舎暮らしも成り立っているようです。

はい、ここで再び、滝沢修の暗い声でナレーションが。「園部の人々はうっちゃり小屋と呼ばれる、谷川が氾濫した後に建ち残っていた無人の小屋に、東京から疎開してきていた。もともと、この北海道の出身だったからである。しかし、主は技術官としてマレー方面に徴用されたまま、今は音信も絶え、次男正彦も飛行兵として南方へ出動したまま音信不通。せめて帰ってきてくれた秀行が、心強い喜びであった。しかし、この一家の上に、悲劇の陰がきざし始めたのも、その時からであった」。いったい、どんな悲劇が起こっちゃうんでしょうか。

「困りましたねえ」とおばあちゃん(毛利菊枝)。
「信太郎さんが、配給所の前で、助役さんに催促されたんですって」とお志麻さん。
「早く断っちゃいいですよ」と弟。
「後がおっかないからねえ」とお母さん(田中絹代)。
そう、加藤剛が菅原文太の悪行を話したので、園部家ではお志麻さんを文太の嫁にやることを取りやめました。しかし、相手は部落長の息子。断るにしても、ヘタな断り方をすると、村での生活がタイヘンなことになってしまいます。

ということで、困った時の加藤嘉。「ちょっとお願いがあって」と加藤剛は加藤嘉に相談を持ちかけるのです。「断ってもらいたいんです」と言われ、難しい顔をする加藤嘉。あの、傲慢な鷹森一家の人たちが、素直に話を聞いてくれるでしょうか。ちなみに、ここでBGMがジューズハープの音に。よく西部劇で使われる「ビヨンビヨン」というヤツですね。これからも、基本的に緊迫したシーンでは、このビヨンビヨンが鳴って、余計に緊張感を煽り立ててくれちゃいます。ビヨンビヨン。

朝、田中絹代は小屋を出てビックリ。「秀行、秀行、畑がメチャクチャに荒らされてるよ」。確かに作物が踏みにじられています。そして、そこには馬の足跡がクッキリ。これは、どうみても結婚を断られた菅原文太の腹いせに違いありません。しかし、巡査に訴えてみても証拠が無いの一点張り。それどころか、以来村に頻発するようになった畑荒らしが、全て園部家の仕業という噂が広まりだしたのです。「そのように噂することが、村の権力者・鷹森家からも喜ばれることを、村人は充分知っていた。しかも、それをいいことにして、荒らされた者は手近な畑を荒らし、いつしか素朴な魂を蝕んで、飽くことを知らぬ貪欲が膨れ上がっていったのである」と、滝沢修も言っていますし。

「じゃあ、そういうことに決めて、寝ることにしましょうか」と田中絹代。
「でも逃げ出したみたいで、後でなんと言われるかしら」とお志麻さん。
「情けない。これが一億一心、心を一つにして戦っている日本国民のすることでしょうかね」と毛利菊枝。
「負けるさ。日本なんて負けるさ」と弟。
はい、ここで立ち聞きをしていた菅原文太が乱入。「盗人、非国民。覚えてろ」。ビヨンビヨン。
「やっぱり引っ越すしかないね」と加藤剛はため息です。とりあえず、病院のベッドで隣だった仲間の兵隊に、仙台に来ないかと誘われていたので、それを頼ってみることにしましょう。加藤嘉と加賀まり子に留守を頼み、仙台に向う加藤剛。きっと、いい返事をもらって帰ってくるからね。

滝沢修の怨念ボイスが言います。「八月六日、広島に原爆。続いて九日には長崎に原爆の大被害。ついに日本は最後の土壇場に追い込まれていった。そして、日ごと破滅の深淵に落ち込んでいく日本の運命を予感して、希望も少なく、ただ細々と命の行方を案ずる人々の上に、今日はまた思いがけない悲報がもたらされたのである」。

そう、それは村の青年の戦死公報でした。それも、一気に11人分もの。ここに至って、ある村人(浜村純)は頭がイカレ、他の村人たちもモラルが崩壊してしまったようです。

とはいえ、人間は食べなくてはなりません。もはや、村では食料品を売ってもらえなくなった園部家では、山を越えた隣村まで行って買出しです。リュックを背負って、山道を歩くお志麻さんと弟。しかし、道の向こうにはムクムクと雷雲が育っているようですよ。「姉さん、お帰りよ」「じゃ、頼むわ」。弟を別れ、今来た道を引き返すお志麻さん。しかし、そこに馬に乗った菅原文太が現れたのです。お志麻さんの後をつかず離れず、ぽくぽくと馬を進ませる文太。「早く行ったらいいじゃありませんか」「そんなに簡単にはいかないな」、ぽくぽく。気持ち悪くなったお志麻さんは走り出します。追いかけてくる文太。きゃーっ。廃屋に連れ込まれそうになるお志麻さんは叫びます。「悪魔ーっ。あんた鬼なの」。しかし、欲望に目がくらんだ文太は、かえっていきり立つのみです。

と、そこに傘を持って迎えにきた加賀まり子が駆けつけてきました。どっかーん。菅原文太に体当たりをする加賀まり子。「何すんだ。このやろ、このやろ」。手近な石を取り、文太の頭に叩きつけます。文太がグッタリした隙に、女二人は逃げ出します。走る二人を草むら越しに、カメラが追います。迫力のある移動撮影です。

「鷹森の若旦那が殺されたぞー」。おや、文太は死んだようですね。破滅の顎が大きく開いて、あとは犠牲者の血を飲み込まない限り、閉じることはなさそうです。

加賀まり子から報告を受けた加藤嘉は激怒。「ちきしょー。なんてことしやがるんだい」と走り出しました。しかし、一本道の向こうからは、巡査を先頭に、怒りに我を忘れた村人が押しかけてきましたよ。「園部の娘と二人で、鷹森の剛一さん、殺したんだぞ」と花澤徳衛が加藤嘉を睨みつけてきました。「若旦那殺したかもしれんが、元はと言えや、若旦那の方が悪いんだい」と加藤嘉は言い返しますが、興奮した村人は聞く耳を持ちません。ずどどど。加藤嘉の小屋に走っていく村人たち。と、そこにズドーンを銃声が響きました。「どいつもこいつも、撃ってやるから」と加賀まり子が猟銃をかまえています。どうやら本気のようです。次は空に向けてではなく、水平撃ちしてきそうなイキオイです。さしもの興奮した村人たちも、慌てて逃げ出すのでした。

「百合、おめえお嬢さんと一緒に白雪小屋に逃げろ」と加賀まり子に言う加藤嘉。「どうして逃げんの」「おめえ、鷹森の若旦那、殺しちまったのかい」「えーっ、死んじゃったの」。ともあれ、興奮した村人は、きっとまた押しかけてくる。その誤解を解く間、お前たちは山奥の小屋に隠れていろと、加藤嘉は説得するのでした。

部落会長の鷹森(父)は、村の中心部に集まった村人たちに、「あんな非国民は叩っ殺したって、誰も文句はねえはずだ」とアジテーションを行っています。そうだそうだ、と付和雷同する花澤徳衛たち。頭がイカレた浜村純も「よーし、ぶっ殺してやるど」と猟銃を持ち出しました。そこに、なんにも知らない園部家の弟が通りがかり、花澤徳衛に後頭部を殴られ昏倒します。うおーっ。犠牲者を得て、完全におかしくなった村人は、手に手に棍棒やら猟銃を取って、走り出すのです。

加藤嘉の報告を受けた田中絹代。「あたしも行く」と末娘が泣いていますが、「あなたはお婆さまの側にいてあげて」と、一人でお志麻さんに会いに出かけました。娘はさぞ不安だろう。この胸に抱きしめてあげなくては。切羽詰った思いで、山道を急ぐ田中絹代の姿をカメラは移動撮影で追いかけます。まるで、木下監督の感動作「陸軍」のような雰囲気です。ちょっと、条件反射的に泣けてきます。

ずどどど。馬に乗った村人の一団が駆け抜けていくのを、仙台から帰ってきた加藤剛は唖然と見送っています。やっぱり、加藤剛。大事なところで、役に立たない役です。

園部家の小屋に、暴徒と化した村人たちがやってきました。猟銃を持って、ひとり立ちはだかる加藤嘉。「くそぉ。弱いものイジメをする奴は、どいつもこいつもぶっ殺してやる」。しかし、相手は大勢。隙を見た村人が、裏手から小屋に侵入し、おばあさんと末娘が転げ出てきましたよ。さらに、小屋に火をかける村人たち。おばあさんの毛利菊枝は叫びます。「人非人。あなたがたが日本人なら、日本は戦争に負けるでしょう」。プッチーン。兵隊に出した子供を死なせたばかりの浜村純は、完全にキレました。「くたばれ」、ズドーン。もんどりうって倒れるおばあさん。加藤嘉もすかさず必殺の弾丸を浜村純にお見舞いします、ズドーン。うわーっ、またも村人たち、その目的を達成せるにより転進です。まあ、正確に言うと敗走ですが。

またも、村の中心部で村人たちが喧々囂々のところに、ノコノコと加藤剛がやってきました。弟の死体を見てガーン。さらに、妹たちが菅原文太を殺したと聞かされてガガーンです。あわてて、馬に乗ってパカパカ走り出す加藤剛。「逃げんのか」と追ってきた巡査に、「逃げはしません。これ以上、死人を出したくないんです」と言っていますけど、加藤剛(の役)に、そんなことができるのかどうか。パカラッパカラッ。

園部家の小屋から末娘を連れて脱出した加藤嘉は白雪小屋に合流。これで、白雪小屋には、お志麻さん、加賀まり子、田中絹代を含めた5人が集結です。しかし、あっという間に、村人たちの追撃隊が迫ってきましたよ。「百合、オラ、ここで食い止める。お前、みなさんを案内して、峠越せ」と加藤嘉は、道端にある切り株の陰に隠れ、ガンガン猟銃を撃ち始めました。ビヨンビヨン。ああ、あの音楽も流れ始めちゃいました。いったい、どうなるんだ、この映画。

「早く、逃げましょう」と言う加賀まり子に、田中絹代は重々しく答えます。「いいえ、もう逃げなくたっていいんです。私たちを殺すなら殺したっていい。そんなひどいことが、日本の国の中で許されることかどうか」。いやあ、逃げた方がいいと思うんだけどなあ。

一本道にポツンとある切り株を遮蔽物に撃ちまくる加藤嘉。対する村人たちは、散開して横方面からの射撃を狙っているようです。これは加藤嘉、ピンチ。お父さんの危機を見て、加賀まり子が猟銃片手に「ちきしょー」と走り出しました。もう、ここで支えるのはムリだ。加藤嘉も切り株を捨てて、退却しはじめます。「ゆりー」と全力疾走の加藤嘉。しかし、そこに村人の弾丸が飛来したのです。バーン。うわっ。倒れる加藤嘉。加賀まり子はすかさず猟銃をかまえ、必殺の弾丸を放ちます。ずどーん。加藤嘉を撃った男は、もんどりうって転がりました。しかし、同時に飛来した弾丸に、加賀まり子の体も貫かれたのです。一本道に横たわる加藤嘉と加賀まり子の死体。おっと、お志麻さんが走ってきました。加賀まり子の死体に取りすがって泣いています。ヒタヒタと迫る村人たち。「寄らないで」とキンキン声で叫んだお志麻さんは、加賀まり子の猟銃を手に取りましたよ。

「傍に来るなら、あたしも撃ちます。あなたがただって人間でしょ。同じ村で朝晩、顔を合わせていた人たちを殺して、少しも良心がとがめないんですかぁーーーーーーっ」。高周波音を撒き散らしながら叫ぶお志麻さんの迫力に、村人のみなさんたちは、我に帰りました。ハッ、オレたちはいったい。そこに、ポクポクと馬を走らせてきた加藤剛。「百合、百合、ゆりー。お母さん、百合は僕を」とシクシク泣き出しちゃいましたよ。いったい、何しにきたんだか理解してませんね。

はい、再び、滝沢修のヘビーボイスの時間。「この日、七人が死んだ。日本が降伏したのは、それから二日後であった。国民の全てが悪夢から覚めた時、この悲劇を知る人々もまた、その魂に黙して語ろうとはしなかった」。

画面がカラーに戻りました。立ち往生をしていたオート三輪を、みんなで押してあげる村人たち。「どうも、ありがとうございました」という運転手に、「いやいや」「気をつけろよ」と親切百パーセントです。ブッブー。走り去っていくオート三輪。なんて、この村はいいところなんでしょう。なんて、気のいい人たちなんでしょう。

戦争末期の絶望的な状況下に、善良な人々が集団狂気に陥っていく物語でした。人の中にある善良な部分が、ふとした拍子に、悪であったり狂気に置き換わる。その恐ろしさを描いた作品です……。
と、表面的な解釈はさておき、この映画、凄すぎですよ。加藤嘉と浜村純の撃ちあいとか、誰が想像します。ゴルゴ13ばりの加賀まり子とかおかしすぎる。そして、極めつけは、やっぱりお志麻さんです。高周波音で、暴徒を黙らせる迫力。ある意味、極妻を先取りしてる感じじゃないですか。

しかし、残念なところもあります。どうせ、ここまでやるなら、もっとハジければ良かったのに。とりあえず、加藤嘉と加賀まり子が死んだ後、お志麻さんと田中絹代が銃を取って撃ちまくるとか。しかし、悪逆無道な花澤徳衛たちは、末娘を人質に、二人に銃を下ろすように迫っちゃったりするんですよ。なすすべもなく殺される三人。しかし、そこに加藤剛がかけつけ、両手に猟銃をかまえ、バリバリと村人たちを撃ち殺していくみたいな、スプラッターな展開。いやあ、これだったら、完全にカルト映画になるんですけどね。

ちなみに、テレビの加藤剛は頼もしい男ですが、映画の加藤剛は、なぜかダメな感じが多いです。その点では、この映画、期待を裏切りませんでした。


(加藤嘉が撃ち)

(加賀まり子も撃ち)

(ラスボスのお志麻さん登場)
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【映画】ずべ公番長 はまぐれ数え唄

2009-10-05 | 邦画 さ行
【「ずべ公番長 はまぐれ数え唄」山口和彦 1971】を観ました



おはなし
影山リカの出生の秘密が今、明かされるっ!!ってほどのものじゃないです。

ずべ公番長シリーズの第3弾。1作目、2作目と趣向を変え、今度は横浜が舞台です。

護送トラックに乗せられている影山リカ(大信田礼子)。もちろん行き先が、泣く子も黙る赤城女子学園なのは言うまでもありません。姐御と慕ってくるお雪(市地洋子)を引きつれ、意気揚々と赤城に乗り込んだリカですが、しかし、そこを今仕切っているのは、関西からやってきた河内のお紋(賀川雪絵)なのでした。

はい、ということで、どちらが真の番長かを決めるために、川原で決闘です。もう、リアリティなんてどうでもいいので、パンツ丸見えのハイキックで戦う二人を見物しておけば、それでOK。二人の勝負は決着のつかないまま……

「一年後」。出所したリカとお雪を、謎の男・ヘンリー(由利徹)が迎えにきました。「ミー。ヘンリーね。ミスターツナオに頼まれて、ハマから迎えにきたよ」。

そのツナオといえば、横浜で安万寿(三原葉子)のヒモになって暮らしているようです。ひとしきりグダグダなエロネタが描かれた後に、いきなり揃いの赤革ジャンで身を固めた「Z団」というずべ公グループが押しかけてきましたよ。「お前らが隠れてエロ写真撮ってるネタは割れとるんじゃい」、バリーン。「ヤバイ仕事するなら、筋とおして中尾組に挨拶せんかい」、ガチャーン。安万寿の店はメチャメチャです。

ヘンリーに案内されてやってきたリカは、メチャメチャな店内を見てビックリ。やったのはZ団と聞いても、見当がつきません。前にはそんなグループなかったけどなあ。「地回りの中尾組の息のかかった愚連隊やねん」。おっと、ハマを牛耳っていたのは梶岡組だったはずなのに、それも替わったんだ。すっかり浦島太郎なリカです。ま、それはともあれ、ツナオに「ねえ、リカぁん。かよわい僕らを暴力団から守って欲しいねん。なあ、
用心棒になってぇな」と頼まれたので、リカは「よっしゃ」とうなづくのでした。

ハマを歩くリカ。おや、赤い服のZ団がイチャモンをつけてきましたよ。とりあえずパンツ丸見えキックで、ギッタギッタにしておきましょう。うりゃー。

リカはモロッコというスナックにやってきました。そう、孤児院育ちのリカをある日迎えにきて、わが子同様に育ててくれたのが、ここのマスター・竜之助(曽我廼家明蝶)だったのです。「リカ、リカじゃねえか」と喜ぶ竜之介に、とりあえず仁義を切るリカ。なんで、育ての親に仁義を切るのかというと、それがシリーズのお約束だから。以上。

「さ、乾杯だ」。リカとお雪。竜之介に、常連客の売春婦・バケネコ(清川虹子)がグラスを持ち上げた瞬間、ナイフが飛んできましたよ。入り口には黒尽くめの服に、黒のテンガロンハットをかぶった男が。いえ、テンガロンハットを持ち上げると、そこには女が。そう、赤城でライバルだった河内のお紋じゃありませんか。

「ようも、うちらの子をいたぶってくれたな」とドスを効かせるお紋。赤服のZ団もなだれ込み、一触即発です。そこに刑事さん(佐野浅夫)が登場。Z団はソソクサと去り、刑事さんと竜之介が密談を開始です。「マズイ時に帰ってきたじゃないか、リカの奴。中尾が血眼になって梶岡の残党狩りしているのは、お前だって分かってるじゃないか。リカのことが中尾に分かってみろ。ただじゃすまないぞ」「リカにオヤジのことは」「ああ、話さないほうがいいな」。えーと、つまりリカはハマを牛耳っていた梶岡の娘ってことでしょうか。リカが知らないだけで。それにしても、リカが横にいるだろうに、密談もへったくれもないような気がしますけど。

懐かしいセンミツ(集三枝子)とも合流したリカは、ツナオたちと組んで、商売の規模を大きくすることに。エロ写真や大人のオモチャを、ただ売っても儲けが少ない上に、中尾組に見つかる危険性が大きすぎます。それならば……。

タグボートの船長、トニー(谷隼人)と交渉しているお紋。「見つかったらヤバイからな。まあカンベンしてくれよ」「商売はうちらがやんねんで。沖の貨物船までうちらを運ぶだけで、儲けの一割。こんなボロイ話、またとあらへんで」「なんと言われたってダメだよ」。暴れん坊のお紋ですが、内心でトニーが好きでたまらないので、そう言われると強く押せません。ちぇっ。しかし、お紋とZ団が立ち去ろうとすると、トニーの船にリカがやってくるのが見えましたよ。「トニー、あはは」「リカじゃねえか」「会いたかった」。なんかイチャイチャしている二人。お紋は思わずムカムカです。ムキー。

中尾組に取り立てたショバ代を届けに行くお紋。しかし、中尾(小池朝雄)は「これだけかい、今日は」と不機嫌です。そのうえ、レジャーランド用に女の子を集める作業の遅れまで指摘してきました。しかし、不機嫌度ならお紋も負けていません。「うちら、体ひとつしかないさかいな。いっぺんに言われても、ようせんわ」、プイッ。中尾はムッとしていますが、知るもんか。

さて、トニーのタグボートで直接貨物船に乗りつけて、エッチな商品を売りつけることにしたリカと仲間のみなさん。ガッポリ儲かってウハウハです。しかし、そうなるとお紋の立場はゼロ。中尾は「お紋よりは役に立つかもしれねえなあ」とリカに乗り換える動きすら見せ始めましたよ。早速、モロッコに乗り込んでくる中尾。「おう、姉ちゃん。お前かい、はまぐれおリカっていうずべ公は」「それがどうしたんだい」「俺はお前が気に入ったぜ。どうだい、お前さえ良かったら、このハマのずべ公を一切、仕切らせてやってもいいんだぜ」。「お紋が聞いたら怒るぜ」というリカに、中尾は「お紋、ありゃあせいぜい、利用するだけのしろもんだ」とうそぶくのです。

中尾組は、非合法な売買以外にも、ベトナム脱走兵の受け入れもやっているようです。とは言え、脱走兵から金を受け取った後に、その兵隊をMPに突き出すという、ある意味、仁義のかけらもない鬼畜っぷり。今日も、中尾組のインチキにジョーという兵隊が引っかかりました。しかし、MPが来たのを察知して、スタコラ中尾組を逃げ出したジョーは、追われるままに、モロッコに逃げ込んできたのです。最初は、「どんな事情があろうと、仲間を裏切るなんてのは仁義に欠けるじゃんかよ」と反発していたリカですが、ジョーの身の上話を聞くと、態度が一変です。「ジョーはね、孤児なんだよ。ガキの時、親と別れちまってさ、ずっと孤児院暮らしなんだい。ようやくお袋さんがブラジルにいるって分かった時にはベトナムへ戦争に行かなきゃなんなかったんだって」と竜之介を説得です。しかし、ジョーの話を聞くと、思いだすのは自分の親のこと。そういえば、墓参りもしたことないや。竜之介に、墓参りに行きたいとオネダリをするリカ。じっちゃんはお墓の場所を知ってるんだろ。ギクッ。あ、ああモチロンだ、とテキトウなことをいう竜之介です。

そんな竜之介を冷たい目でみていたバケネコは言います。「あんたもバカな約束するもんだ。あの子のオヤジの墓なんてどこにもありゃしないじゃないか」。「うるせえ」という竜之介に、バケネコはさらにキツイ言葉を。「隠したっていずれはバレるんだ。中尾に殺された梶岡が、実のオヤジだってはっきり言った方がいいんじゃないのかい」。ちなみに、二人は、その会話を中尾組の組員が立ち聞きしていたとは、夢にも気づかないのでした。

脱走兵ジョーを、トニーの船で貨物船に密航させたリカたち。しかし、その帰りに、埠頭で中尾組がなにやら、こそこそと女の子を船に乗せている現場を目撃しちゃいました。「トニー、どうしたんだい、あの女の子たち」というリカに、「あれだよ」とトニーはビラを指差します。ヤングレディ大歓迎とか、レジャーランド建築中だなんて、甘い言葉が踊っていますが、実際は中尾組が女の子を騙して香港に売り飛ばしているんだそうです。

ディスコで家出少女を勧誘しているお紋たち。そこにリカが割り込んできました。「おう、リカ。人の仕事、邪魔してくれたな。うちの仕事がいい加減とはなんや。うちが人を騙してるとでも言うのんかい」とキレルお紋。しかし、リカに証拠を突きつけられ、「今頃、女の子たちはお船に乗せられて香港へバイバイってね」と言われてガガーンです。し、知らなかった。まさか、自分が人身売買の手先にさせられているとは。

女の子の集まりが悪いので、Z団を売り飛ばすか、と相談している中尾たち。そこにお紋が乗り込んできましたよ。「ようもうちを騙してくれたな。これでうちのカオは丸つぶれや。ちきしょー、殺したる」。ナイフを振り回すお紋ですが、あっけなく捕まってしまいました。ついでにZ団のみなさんもネグラから拉致されちゃいました。あーあ。

中尾の魔の手はリカにも伸びてきました。竜之介と墓参りに出かけたリカを、殺し屋のピストルが狙っています。フッ。殺気に気づいた竜之介が「危ない」とリカを庇います。バシュッ。うわーっ。竜之介はリカを庇って絶命しちゃいました。

中尾組のアジトに監禁されているお紋とZ団のみなさん。しかし、どうにかロープを切ることに成功し脱出です。しかし、仲間を庇ってお紋が腹をさされちゃいましたよ。懸命の力で見張りを倒したものの、お紋は瀕死の重傷です。

竜之介の遺体を前に悲しみに沈んでいるリカやバケネコたち。と、バケネコが言い出しました。「あたい、この人と違うから言っちまうよ。あんたのオヤジさん、船長でもなんでもありゃしないんだよ。ヤクザの梶岡さ」。ガーン。衝撃を受けるリカ。なんてこと、つまり中尾は父の仇ってことじゃないですか。と、そこにお紋が乗り込んできました。「リカ、トニー賭けて、勝負付けようやないか」。ホントはお紋と勝負している場合じゃないんですけどね。しかし、お紋は本気のようです。「どないしたんや。抜かんかい」とドスを振り回してきましたよ。パシュッ。危うくお紋の攻撃をかわすリカ。しかし、お紋はそのままひっくり返ってますけど。「お紋。どしたんだ。お紋」。リカがお紋を抱き起こすと、血がベッタリ。スゴイ出血です。「わての負けや。あんたの言うこと、ホンマやった」「誰が、誰がやったんだ」「中尾や」。騙された上に、自分たちも香港へ売り飛ばされるところだった、と苦しげに語るお紋。そこに、Z団のみなさんがバイクで駆けつけてきましたよ。「リカ、うちの連中、頼むな。その代わり、トニーあんたに譲るわ」「お紋」「もともとあんたのもんやけどな」ガクッ。

お紋の黒革ジャンを着込み、Z団を引き連れ爆走するリカ。っていうか、大信田礼子の場合、顔がプックラしているので、メットにゴーグルをつけると、まるで金太郎というか、後期の不良番長みたいなんですけど。ともあれ、リカ率いるZ団は、港の人身売買現場に駆けつけてきましたよ。

「あ、リカ」と驚く中尾たちに、ドラム弾倉をつけたトンプソンを乱射するリカ。さらにZ団のバイクも機関銃装備でバリバリ撃ちまくってます。うぎゃー。「ボヤボヤするな、タイヤを撃て、タイヤを」と中尾の指示で、盛り返すヤクザさんたちですが、Z団はじめみなさんは、拳銃に日本刀と、なんだかワンマンアーミーな重武装でヤクザさんに対抗です。

ブォンブォン、口に日本刀を咥えバイクでフル加速するリカ。うりゃー。走りながらヤクザさんたちを斬り殺していきます。とうとう、中尾だけが残りました。「中尾、待ちやがれ」。それに答えて、撃ち返してくる中尾。ズキューン。リカの頬に鮮血が飛びます。しかし、そこで弾切れのようです。「死ねっ」。中尾の腹に日本刀を突き通すリカ。ピーポー、ピーポー。パトカーが到着し、連行されていくリカ。車窓から港を見ると、サワヤカな笑顔で、タグボートを運転しているトニーが見えます。パトカーはリカを乗せて、港を後にしていくのでした。


なんか、中だるみ回避でパターンを変えたんでしょうが、あんまり効果がなかったような。リカはともかく、お紋以外のキャラが立っていないので、観ていて不満が残ります。最後の殴りこみシーンも、火力大幅増で普通なら面白くなりそうなところですが、有象無象が機関銃を乱射しているだけに見えてしまうのが残念です。ここらへんは、不良番長シリーズを見習って欲しいところです。

まあ、結局のところ、長子役の橘ますみが出ていない。敗因はそこに尽きるような気がしますが。橘ますみ、カムバック。







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【映画】スーパージャイアンツ 宇宙艇と人工衛星の激突

2009-10-02 | 邦画 さ行
【「続スーパージャイアンツ 宇宙艇と人工衛星の激突」石井輝男 1958】をみたのだ




おはなし
無人ロケットV8号に激突してゴルドン大火星につい落したスーパージャイアンツ(宇津井健)。地球はどうなっちゃうのでしょう。

たぶん、石井かんとくは「スーパージャイアンツ」シリーズに飽きてしまったんじゃないでしょうか。スーパージャイアンツの扱いが、なんとなくぞんざいになってます。ちなみに、サブタイトルの「宇宙艇と人工衛星の激突」ですが、まさに、そのまんまなタイトルであることが、あとではん明しますので、おたのしみに。

ということで(どういうことで?)、ゴルドン大火星につい落したスーパージャイアンツのおにいさん。山中はかせやかおるさんたちが心配そうな顔をしている横で、わる者たちは大笑いです。「これで邪魔者はいなくなった。山中博士が設計した宇宙艇を利用して原爆ロケットを運ばせるなんて、我われの元帥は頭がいい」。参謀長の鼻の穴だってじまんでふくらんでしまうというものです。えっへん。

さっそく、宇ちゅう艇は大人工えい星にちゃく陸して、山中はかせたちは連行されていきます。でも、待ってください。かおるさん(三ツ矢歌子)が頭を振っていますよ。「思想改造器の効能が切れたらしいわ。頭が自分の思い通りになるの」。「シッ、分かっています」と声を潜めて言う助手の浅見さん。「さ、気づかれないように、彼らの言う通りにしてみせるんです」。

さて、山中はかせの宇ちゅう艇。そして原爆ロケットを手に入れた元帥(J・アルテンバイ)は大喜び。さっそく、無電で地きゅうに放送をするのです。
「全地球の諸君。我われ黒い衛星は、ここに新しい国家を建設しつつある。今や全地球は我われの支配下にあるのだ。我われは全地球の領土を要求する。全ての抵抗は無益である。我われの威力を知ってもらうために、まず地球の最高峰ヒマラヤを爆撃するであろう」。

ぷしゅー。白亜の大人工えい星から原爆ロケットが発射されました。どっかーん。ああ、ヒマラヤが。これで地きゅう表面の高さが少し低くなってしまいましたよ。まあ、それより、後編になってようやく敵組織の「黒い衛星」という名前がはんめいするのもどうかと
思うんですけど。それに、そもそも大人工えい星は黒くないし。

地上では大さわぎです。日本ではさっそく、国会の「『黒い衛星』対策臨時委員会」において、科がく者さんを総動員してあたらしい宇ちゅう艇をつくることを決めました。まあ、決めたからといって、すぐできるものではないと思いますけど。そして、国連でも地球防衛軍をつくることになり、全地球の反げき態勢は準備されていくのです。

そうなると焦るのが黒い衛星の元帥さん。山中はかせに「まだ大宇宙艇の設計図はできあがらんのか」と催促してみますが、山中はかせは「……」、かんぜん無視です。きっと、山中はかせも思想改造器の効能がきれているんでしょうね。さらに、地球で宇ちゅう艇の建設がはじまり、さらには地上きちの団員が、つぎつぎと検挙されていると報告をうけた元帥さんは、とうとうキレました。

「アメリカの摩天楼。イギリスのロンドン塔。日本の国会議事堂に威嚇発射!」。ぷっしゅー。またも地球に落下していく原爆ロケット。ドッカーン、ドッカーン、ドッカーン。三つとも大爆発していまいました。え、特撮がちゃちいですって。まあ、新東宝ですから、そこはカンベンしてあげてください。

「このまま、原爆ロケットの発射が続けられると、地球は滅亡してしまうじゃない。あたしたちの手でなんとかしなくっちゃ」と心配するかおるさん。すかさず、弟の良一くんも「僕らで、原爆ロケット発射装置を破壊しよ」と言い出しました。「そして、宇宙艇に乗り込んで、この人工衛星を破壊するんです」と浅見さんも大賛成。さいわい、思想改造器の効能がきれたことは、敵にまだバレていません。見張りをたおして、「黒い衛星」団員に変そうできれば、もしかして。

役割ぶんたんは、つぎのようになりました。助手の浅見さんは、宇ちゅう艇にもぐりこんで出発じゅんび。とはいえ、スイッチをいれてからエンジンが使えるようになるまでに40分はかかりますし、逆にエンジンが使えるようになったら、すぐ飛び立たなくてはいけません。かおるさんは、女子団員にへんそうして、原爆ロケット発しゃそうちの破かい。これを40分いないにやるひつようがあります。そして、良一くんは、実けん室にカンヅメのお父さまに、どうにかこの計画をつたえて、いっしょに宇ちゅう艇に乗り込むことです。さあ、時間がありません。はやく動かなくては。

発っしゃ管制しつにせん入したかおるさんは、とりあえず装置のはかいをはじめました。と言っても、手当たり次第に部品をひっこぬいているだけですが。もっとも、こういうのが効くんですよね。

ほら元帥さんのところに、報告がきましたよ。「閣下、原爆ロケット発射装置が故障です」「閣下、気圧調整装置が故障です」。なにー。山中はかせも、思想改造器の効果がきれて反抗しているし、ほとほと困っちゃいます。しかし、困っていても、事たいは解決しないので、さっそく広場に団員を全員集合させましょう。

広場にあつまった団員をまえに演ぜつをする元帥さん。「かおると浅見は監禁室よりトウボ(逃亡)した。彼らは我われの目的を妨害するものだ。発見しだい、ただちにシケ(死刑)に処す」。どこを探しても、かおると浅見がみつからない以上、団員に変装しているはず。つまり、ここに集まった団員の中に、ふたりはまぎれているはずです。コツコツ。コツコツ。くつ音をぶきみにひびかせながら、参謀長がひとりひとりの団員の顔をのぞきこんでいます。しかし、おかしいです。どこにもいません。広場にそびえたっている宇ちゅう艇を見上げつつ、参謀長はつぶやきます。「あとは、あの宇宙艇の中しかない」。

宇ちゅう艇をけいびする団員に「おい、警備員。宇宙艇の中には異常はないか」とたずねる参ぼう長。「異常ありません」。おや?帽子を目深にかぶって顔がよく見えませんが、この警備員はどこかオカシイような。「お前は何号だ」「Z7号です」。うーむ。よし、合言葉だ。「ゴルドン大火星」「……」。「ゴルドン大火星」「……」。「お前はかおるだなっ!」と参謀長が叫ぶと、かおるさんは開き直りましたよ。もっていた重機関銃を腰ダメにして乱射しはじめました。しかし、しろうとの悲しさ。すぐに捕まってしまったのです。

壇上に並ばされる山中はかせと二人のお子さん。元帥さんは言います。「原爆ロケット発射装置を破壊した罪により、山中はかせ以下3名の死刑をただちにシッコ(執行)する」。えーと、浅見さんはどうなったの。見つけなくていいの。ま、それはともあれ、「撃ち方よーい」、ガチャガチャ。死刑しっこうのために銃がかまえられました。ああ、三人はこんなところで、殺されてしまうのでしょうか。誰か助けてくれるひとはいないんでしょうか。

「待てっ」。声がひびきます。人の下半身がうつりました。顔は分かりませんが、この声、この股間のモッコリ。間違いありません。これは……スーパージャイアンツのおにいさんです。ボカスカ、ボカスカ。スーパージャイアンツは敵とたたかいます。なんか出番がすくなかったせいか、いつもよりノリノリですよ。そのスキに宇ちゅう艇に逃げ込む山中はかせと良一くん。しかし、かおるさんは敵に拉致されてしまいました。

そんなことはおかまいなしに、たまにガッツポーズをしながら「ハハハ」と高笑いをして、敵をたおしていくスーパージャイアンツ。ほとんど、シャブをキメたヤク中みたいな感じです。さらには、敵のピストルをうばって2ちょう拳銃をやってみたり、重機関銃を乱射したり、惨殺の限りをつくしちゃってます。なにしろ、スーパージャイアンツのおにいさんにはピストルの弾もきかないんですから、一方的ですよね。

これには元帥さんも困り果てました。しかたないので、人質のかおるさんをたてに、宇ちゅう艇にいる山中はかせとテレビで交渉です。「ただちに宇宙艇を降りて、ジャイアンツの行動を停止サシなさい。命令に従わないと、かおるの命はありません」。ブツン。「閣下、ジャイアンツに通信装置を破壊され、○○連絡が不能になりました」。うわっ、スーパージャイアンツのおにいさん、ヤルことがえげつないです。ちなみに、○○部分は、俳優さんの滑舌が悪くて、何度聴いても、聞き取れませんでした。ごめんなさい。

ともあれ、元帥さんがかおるを人質に立てこもっている司令部にちゃくちゃくとスーパージャイアンツのおにいさんが笑いながら近づいてきます。「司令部の入り口をかためろ」と焦る参謀長。しかし、この一瞬のスキをかおるさんは見逃しませんでした。とりゃっ。重機関銃をうばいとり、スタコラと通信室に逃げ込むかおるさん。入ってくる敵は、この弾丸のえじきよっ。バリバリ、バリバリ。あわれ団員たちは、かおるさんの重機関銃でつぎつぎに蜂の巣に。なんか、スーパージャイアンツ並みに強いですね、このおじょうさん。

ハハハハ。笑いながらぎゃく殺のかぎりをつくしたスーパージャイアンツのおにいさんは、とうとう司令部に乗り込んできました。そして、元帥さんのおなかにパンチです。ぼすっ。むぎゅー。元帥さん、ノックダウン。ようやく、自分のやることを思い出したんでしょうか。スーパージャイアンツのお兄さんは通信室のかおるさんのところにむかいます。「かおるさん、さあ行きましょう」「ええ」。

「先生、発進3秒前です」。浅見さんの悲つうな声が宇ちゅう艇にひびきます。どうやら、はかせの宇ちゅう艇は、自分ではエンジンコントロールができないみたい。ずごごごご。ほら、広場から宇ちゅう艇がとびたっていきます。それを見て、「あっ!」と悲しげなかおるさん。これじゃあ、地球に帰れなくなるじゃありませんか。でもスーパージャイアンツのおにいさんはニッコリです。「大丈夫。私が宇宙艇を追いかけて、かならず間に合うようにしてあげます」。

「しっかりつかまって」。かおるさんを抱いたスーパージャイアンツのおにいさんは飛びました。ぴゅー。宇ちゅう艇をおいかけて、素晴らしい速度で飛ぶおにいさん。かおるさんのお下げが風にゆれます。ちなみに、ここは宇ちゅう空間ですけどね。見事、宇ちゅう艇に追いついたスーパージャイアンツは、ガチャリとドアをあけて、宇ちゅう艇の中に。かおるさんとお父さま、涙の再会です。ちなみに、しつこいようですが、ここは宇ちゅう空間ですけどね。

「ありがとう」と言う山中はかせに、スーパージャイアンツのおにいさんは言います。「それよりも、まず大人工衛星の心臓部を打ち抜かなかればなりません。さ、早く」。えーと、「早く」って、何をしろと。

スーパージャイアンツのおにいさんの指示でマッハ50に増速した宇ちゅう艇は、大人工えい星に体当たりしました。ぐらり。さしもの巨大な大人工えい星も、この衝撃で軌道をはずれます。「これで、大人工衛星も、進路を失って迷走するでしょう。そしたら、地球や全宇宙に影響なく、原爆ロケットを処理できるはずです。えー、EF18軌道を取るんです」。なんだか、微妙に台詞を覚えてなさそうなスーパージャイアンツのおにいさんは、さらに増速を命じました。

マッハ80。マッハ95。マッハ110。「今です。マッハ120」。ドッカーン。すごいイキオイ(そりゃそうだ)で大人工えい星を貫通する宇ちゅう艇。これには、さすがの大人工えい星もたまらず大爆発するのでした。えーと、団員のみなさんは、全員、宇宙の藻屑ってことですね。

「地球の宇宙進出は喜ばしいことです。でも、それはあくまでも平和のためでなくてはならないんです」と言って、山中はかせたちとガッシリ握手をするスーパージャイアンツのおにいさん。「さよなら」と、ドアを開けて外に出ていきましたよ。さよーならー。手を振るみんなに、スーパージャイアンツのおにいさんは、窓の外で満面の笑みをうかべつつ、手を振り返すのです。


なんていうか、スーパージャイアンツのおにいさんが邪悪にみえるおはなしでした。もしかしたら、宇ちゅう人は、人類の宇ちゅう進出を苦々しく思って妨害しようとしてるんじゃないの、みたいな。

それにしても、宇ちゅうに空気がないというのを、完全に無視した映画ですね。当時のよい子のみなさんは、これを見て、どう思ったんでしょうか。もっとも、今のスーパージャイアンツF映画やアニメでも、宇ちゅう空間なのに、平気でばく発音が聞こえてきたりするので、あんまり笑えませんけど。その点では、宇ちゅう空間は無音なんだと教えてくれた「2001年 宇宙の旅」は、ホントにすごい映画だと思います。今観ても、色あせない特撮。深遠なストーリー。あれこそ、永えんの問だい作といえるんじゃないでしょうか。

って、なんで、他の映画のことをほめてるんですか。







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【映画】スーパージャイアンツ 人工衛星と人類の破滅

2009-09-28 | 邦画 さ行
【「スーパージャイアンツ 人工衛星と人類の破滅」石井輝男 1957】をみたりしたりして




おはなし
ひみつ組織のうち上げた人工えい星をやっつけようとしたスーパージャイアンツ(宇津井健)ですが……

ちょうど、この映画が封切られる3ヶ月くらいまえに、ソ連が世界ではじめての人工えい星のうち上げにせいこうしました。それまで、うちゅう技術で世界一とおもっていたアメリカ、そしてお友達の西がわ諸国はビックリ。これじゃ、いつうちゅうから原爆がおちてくるか分からないぞ、うわーん。これを、ソ連の人工えい星の名前をとって、「スプートニク・ショック」といいます。そんなタイミングでつくられた映画なので、人工えい星イコール人類の破めつになっているんですね。

う宙が映りました。ピーピーという電波の音がきこえます。「みなさん、お聞きください。これが古い時代と新しい時代を永遠に分かつ音です。1957年10月4日。ソ連の人工衛星の成功は、世界の人びとに深い衝撃を与えました。それは、人工衛星とは究極兵器であるミサイル、すなわち音速の20倍で高空を飛んでくる誘導兵器と表裏一体のものであるからです。ソ連についでアメリカも第2の人工衛星の完成を急いでおります。もしも、この人工衛星が兵器として使用される事態が起こったなら、それは人類の滅亡を意味するものです。人類の興亡を賭けた1957年。この年こそ、宇宙世紀1年と言えるでしょう」。

ばびゅーん。スーパージャイアンツのお兄さんが空をとんでいます。なにやら、不審そうな顔で、腕につけてる地球計をいじったりして。「音速よりも速い、奇跡の超人。われらのスーパージャイアンツは快速力で宇宙めざして飛んでいく。なぜか。どうしてか。物語はここからはじまる」

マントをなびかせつつ宇ちゅうをとんでいたスーパージャイアンツは、人工えい星(といっても、どう見ても宇宙ステーションですが)を発見しました。「まだ、宇宙では見たことのない機種だ。しかも、原水爆の元素が感じられる。わたくしの発した信号になぜ答えないのか」。確かに、スーパージャイアンツのお兄さんの頭にあるアンテナから、ピピピとレーザーみたいなのが出てますね。「原水爆の元素を発する正体不明の星。なぜ、なんのために。わたくしは、この疑問を突き止めなければならない」。

人工えい星にとびうつったスーパージャイアンツは、とりあえず手近なアンテナを引きちぎったりしています。ちょっと乱ぼうですね。しかし、そこに隕石がとんできましたよ。「あ、隕石だ」とあわてて逃げ出すスーパージャイアンツのお兄さん。だって、隕石にあたったら痛いですもんね。その間に、人工えい星はすばらしい速度で去っていってしまいました。「あの星は地球から打ち上げた人工衛星らしい。なぜ逃げるのだ」。いえ、逃げたのはお兄さんだし、地球を周回するのが人工えい星のお仕事だから、そんなこと言われても。「地球観測に名を借りて、人工衛星を動かしているのはどこだ。確かめなければならない。宇宙の平和と安全のために」。

さて、城北天文台をはじめ、日本かくちの天文台が、なぞの故障をしています。そして、ここ「山中気象観測所」でも、事故がおきて山中はかせが困っています。息子の良一くんは心配そうに言います。「お父さま。どうして、こう事故が多いのかしら」。お姉さんのかおるさん(三ツ矢歌子)も言いました。「城北天文台や、東洋天文台も原因が分からない故障がおきて騒いでいるし、もしかしたら、誰かがお父さまの仕事を妨害しようとしているんじゃないかしら」。「お姉さま、でも、この研究所は気象観測所てことになっているのに、なぜ」「だからヘンなのよ。完成間近に、こんな事故がおきるなんて」。えーと、ここではいったい、何を作ってるんでしょうね。はい、実は、ここでは宇宙艇を作っているのです。でも、もし、この宇宙艇が兵器として使われると怖ろしいことになりますから、山中はかせはひみつにしているのでした。

まあ、それはともあれ、こわれた部ひんを調たつしなければなりません。ということで、かおるさんと良一くんは、モーターボートにのってお買い物にいくことに。極東精密というところで、UZデカトロンを買わなければならないのです。でも、行ってみると、なんとUZデカトロンは、たった今、外人さんが買い占めたそうです。「良ちゃん。UZデカトロンを買い占めるなんで、何に使うのかしら」「ヘンだね。尾けてみようか」。やめておいた方がいいと思うんだけどなあ。

はい、人気のない教会の墓地にやってきたかおるさんたち。案の定、悪い神父さんに捕まってしまいましたよ。だから、言わんこっちゃない。「怖がることアリマセーン。君たちのお父さんも、すぐ、ここへきてもらうつもりデース。君たちに手紙を書いてもらってね」。鋼鉄の扉がブッシューと重々しい音を立てて開くと、なんとそこには、巨大ひみつ基地が。まさか、教会の墓地の下に、こんなひみつ基地があるとは。「待っていたのだ」とナチス風の制服をきた人たちが、ずらっと立っていますよ。

敵のスパイだった土橋さんにうらぎられて、山中はかせと助手の浅見さんまで、ひみつ基地に誘拐されてしまいました。これには、ひそかに山中はかせの研究を支えんしていた政府のエライ人たちもビックリです。さっそく、警視庁では緊急会ぎが開かれました。出席しているぎ員さんたちは、警視総かんに山中はかせ捜索はどうなっているかを、きびしく質問していますが、どうにも手がかりがありません。こまったなあ。警視総かんさんは、みんなから怒られて悲しそうです。と、そこに部下のひとが耳打ちをしてきました。

「なに、スーパージャイアンツが。みなさん、スーパージャイアンツがこの会議に出席を望んでいます」。
オオーと喜ぶぎ員さんたち。はい、黒の帽子に黒いスーツのダンディなスーパージャイアンツのお兄さんが入ってきましたよ。
「みなさん、みなさんの今、敵とされているのはある秘密国家です。それは地球全土にスパイを放っている、かなり大掛かりな組織です。彼らは、かつて地球上に存在したナチスと同じような軍隊組織の秘密国家で、その目的は宇宙からの地球制覇です」。
オオー。ちょっと悲しげなドヨメキが走ります。
「彼らはソ連が人工衛星を打ち上げる以前に、もっと大きな人工衛星を打ち上げておりました。いや、そればかりではありません。彼らは、それを足がかりに、巨大な宇宙ステーションともいうべき、大人工衛星を建設中ではないかと思われるのです。山中博士を誘拐したのは、地球上から人工衛星に原爆ロケットを運ぶための、大きな宇宙艇が欲しかったからなんです。しかしながら、みなさん、ご安心ください。地球と宇宙の平和のために、かならず私は、彼らの野望を粉砕してみせます」。
オオー。喜びのオオーです。
「みなさん、敵の人工衛星が活動を開始したもようです」。
オオー。心配のオオー。
「静かに、静かにしてください。私は必ず人工衛星を突き止める。そして、山中博士と図面を奪還します」。
ガッツポーズをとりつつ、スーパージャイアンツのお兄さんは宇宙人スタイルに変身して、空を飛んでいくのでした。ぴゅーん。

さて、ひみつ基地では、悪者の参謀長が、山中はかせに協力をもとめています。しかし、首を縦にふろうとしないはかせ。しかたない。「4人を思想改造器にかけよ」。「君たちは悪魔だ。人間の形をした鬼だ」とはかせは抗ぎしますが、はかせと、二人のお子さん、そして助手の浅見さんは謎の機械にかけられてしまうのでした。と、そこにオペレーターが飛び込んできましたよ。「ジャイアンツです。スーパージャイアンツです」「何っ。スーパージャイアンツ。各自、配置について戦闘用意」。

一方、謎の怪でん波の発信源を追って、ひみつ基地をめざしているスーパージャイアンツのお兄さん。「高度1万5千キロから怪電波が発進されている。地上からの電波は消えてしまった」。ということで、目標を人工えい星に変更です。狙われた人工えい星のクルーはビックリ。「あ、ジャイアンツがこちらに向っております」「ただちに逃走。全速、マッハ60」。えーと、マッハっていうのは音速が基準なので、宇宙では意味をなさない数字ですが、仮に時速1225キロのことだとすると、マッハ60といえば秒速20キロを超えてしまいますよ。つまり、太陽の重力を振り切る第三宇宙速度より速いってことに。なんていうか、スゴイものを開発しましたね。すでに、人工えい星じゃないけれど。

しかし、スーパージャイアンツのお兄さんはもっとスゴイのです。マッハ60の人工えい星に軽々と追いついたお兄さんは、ハッチを開けて(ええっ!)、中に侵入。ボカスカとクルーを殴ったかと思うと、また外にでて、アンテナをメキョメキョと壊すのでした。ヒョイと人工えい星からお兄さんが飛び降りた(ええっ!)瞬間に、人工えい星は大ばく発。とりあえず、敵の戦力を減らすことに成功したみたいですね。

これはタマランと、大人工えい星から、地球のひみつ基地に指令が飛びました。至急、博士の宇宙艇をつかって戻ってくるのだ。「ただちに乗艇」「はっ!」。参謀長をはじめ、悪者数人。そしてはかせと、二人のお子さん、それに助手の浅見さんが宇宙艇に乗り込み、出発します。「宇宙艇へ連絡。銀河系大星雲、EF4軌道を通過せよ」。大人工えい星
からの指示に、参謀長はほくそ笑みます。「EF4軌道はゴルドン大火星の真っ只中だ。山中博士の宇宙艇以外に通過は不可能のはずだ。スーパージャイアンツもゴルドン大火星の熱度には耐えられまい」。

さっぱり、わからなくなってきました。えーと、大人工えい星は、地球の衛星軌道を回ってるんじゃないでしょうか。それとも、もしかして太陽の周りを回る人工わく星だったのかも。それにしても、なんだよゴルドン大火星って。

ともあれ、炎を吹き上げる、とっても熱そうな惑星の上を飛んでいく宇宙艇。さすがの山中はかせ特製宇宙艇ですら、冷房が追いつかずに、みんなはスゴク暑そうです。しかし、それでも、宇宙艇はゴルドン大火星の上空を通過することに成功しました。まさか、生身のスーパージャイアンツがゴルドン大火星の上を通過できるとは思えませんから、あとは、大人工えい星に急ぐのみです。

はい、スーパージャイアンツのお兄さんは悩んでいます。「宇宙人すら近寄らぬEF4軌道に入った。しかし、宇宙艇があの大人工衛星に到着するのは、なんとしても阻止しなくてはならない。わたくしの体も、果たして、ゴルドン大火星の熱度に耐えうるかどうか試みたことはない。しかし、わたしは行かねばならない。宇宙の安全と、地球の平和のために」。めずらしく厳しい表情で、炎うずまくゴルドン大火星に飛び込んでいくスーパージャイアンツのお兄さんです。

快調に飛行を続ける宇宙艇。しかし、オペレーターが叫びます。「参謀長。また流星のようです」。「そんなわけはない。ここに流星の飛ぶはずがない。レーダーをあわせてみろ」。なんということでしょう。テレビモニターには、ゴルドン大火星を抜けつつあるスーパージャイアンツのお兄さんが映っているではありませんか。「しまった。スーパージャイアンツにEF4軌道の熱風が耐えられないと考えたのが軽率だった。よし、すぐに速度をあげろ」。

グイグイとスピードメーターが上がっていき、120を指しました、しかし、スーパージャイアンツのお兄さんは素晴らしい速度で迫ってきますよ。「参謀長、ダメです。これ以上出ません」「よし。最後の手段だ。山中博士、無人ロケットV8号を発射せよ」。思想改造をされたわりには、とっても不服そうな表情で、スイッチポンする山中はかせ。ばしゅ、ばしゅ。宇宙艇から次々に無人ロケットが後方に発射されていきます。うりゃー。スゴイぞ、スーパージャイアンツ。スーパージャイアンツのお兄さんは、せまりくるロケットを手で払いのけています。しかし、3発目をチョップで払いのけたちょくご、4発めのロケットがお兄さんに激突して爆発しました。

キーーーン。ゼロ戦が墜落するような音をたてて、ゴルドン大火星に墜落していくお兄さん。果たして、お兄さんの運命は。そして、山中はかせやかおるさんの運命はどうなってしまうのでしょうか。おわり。


んもう、いいとこで終わってしまいました。それにしても、きゃく本を書いたひとは、人工えい星っていうものを、こんぽん的に理解できていないような雰囲気です。恒星をまわるのが惑星。その惑星をまわるのがえい星ですからね。なので、「ただちに逃走。全速、マッハ60」とか言ってるのは、形はともかく、たまたま衛星軌道をまわっていた宇宙船だと思いますよ。

それはともあれ、お月様などの衛星をまわるものは、なんと言うかご存知ですか。答えは「孫衛星」です。今年の6月まで、月を周っていた日本の人工えい星「かぐや」も、分類上は孫衛星になるようです。







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【映画】スーパージャイアンツ 鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前

2009-09-21 | 邦画 さ行
【「スーパージャイアンツ 鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前」1957 石井輝男】をみたよ





おはなし
大ピンチの典子ちゃんたち。助けてえ、スーパージャイアンツのおにいさん。

前のお話「怪星人の魔城」は、石井かんとくの大好きなグロテスク風味だったけど、こっちは、単じゅん明快な活げきになっているよ。

スーパージャイアンツ(宇津井健)が空をとんでいます。「我らのスーパージャイアンツは飛ぶ。快速力で飛んでいく。なぜか?どうしてか?平和の敵、カピアを求めて、大空を縦横に駆け巡る」。

ここで、前のおはなしのあらすじ紹介だよ。ふむふむ。子どもたちがつかまって、ぶらさげられた典子ちゃんに、カピア人のぶきみな手がせまってきたところで、終わったんだったね。

しゅたっ。スーパージャイアンツのおにいさんが、玉の信号をキャッチしてかけつけてくれたよ。「あ、スーパージャイアンツのおじさんだ」と喜ぶ亮くん。「おじさんが来たから、もう大丈夫だよ」と満面の笑みを浮かべたスーパージャイアンツのおにいさんは、いつもよりチョットだけキレのいいアクションでカピア人たちを突き飛ばすのです。でも待ってください。ひとりのカピア人が「フフフ」と笑いながら、典子ちゃんをぶら下げているロープを切りました。あれー。ブクブクと気持ちのわるい泡を吹き出す毒沼におちていく典子ちゃん。でも大丈夫。すかさずとびたったスーパージャイアンツのおにいさんは空中で典子ちゃんをナイスキャッチしたのでした。
「めざましいスーパージャイアンツの活躍によって、彼らカピア人たちは傷つき、湖中の基地に逃げ去った」とナレーションのおじさんが言うと、顔の形をしたお城は大ばく発。えーと、つまり「逃げられちゃった」ってことを、カッコよく言い換えただけだね。大人ってなんだかズルイ。

どうみても毒沼な湖中の基地ではカピア人たちが、きんきゅう会ぎのまっさいちゅう。
「いつも肝心なところでジャイアンツの邪魔が入ってくる」
「しかし、われわれが、ここに基地を作って、地球総攻撃の準備をしていることはジャイアンツにも分かるまい」
「円盤と連絡をとって、一挙に地球を攻撃しようではないか」
「まあ待て。その前に科学者たちの秘密工場のありかを探し出すべきだ」

夜、深見はかせの家に、顔を包帯でぐるぐるまきにされた青年が、看ご婦さんにつれられてやってきました。「お兄さま、どうなさったの」とおどろく典子ちゃん。すると、この青年は、典子ちゃんのお兄さんで、生物学者の雄一さんなんですね。でも、なんだかアヤシイなあ。「研究所でやけどなされました。第三度火傷です。たいしたことございません」とか看ご婦さんは言っていますし。普通、第三度の火傷っていったら重症じゃないですか。それも顔ですよ。なんか、看ご婦さんもインチキくさい感じです。

それでも、典子ちゃんは、お父さまにさっそく電話をすることに。「あ、地球防衛対策本部ですか。深見の家の者ですが。はい、典子です。お兄さまが怪我をしましたので、すぐお父さまに連絡をしていただきたいのですけど」。えーと、典子ちゃんは、とっても利発な子だけど、この言葉はいただけませんね。こういう時は、へりくだって「兄」「父」って、言わなくちゃダメだよ。

ともあれ、急いで家に帰ってきた深見はかせですが、意外にお兄さまが元気のようでひと安心です。「それより、お父さん。すぐ工場へ帰ってください、大事な仕事をしてらっしゃるんだから。地球の平和のためです。一分でも遅れれば、それだけ怪星人に乗ぜられることになるんです」「うむ。よく言ってくれた。そおとおりだ」。来たばかりで、すぐトンボ帰りをする深見はかせ。しかし、これが奸智にたけたカピア人の陰謀だったとは、さすがの深見はかせも予想だにしなかったのです。

深見はかせが家をでるやいなや、正体をあらわす雄一さん。いいえ、雄一さんに変装したカピア人です。「お嬢さん、おとなしく待ってらっしゃい。今、看護婦さんが迎えに来てくれますよ。フハハハハ」。雄一カピア人は、お父さまの車を尾行し、そして看ご婦カピア人が、典子ちゃんを襲ってきました。典子ちゃんはダッシュで逃げ出します。夜の街を追いつ追われつする典子ちゃんと看ご婦カピア。

ビーッ、ビーッ。天文がくしゃの浅山はかせのブザーが鳴り響きました。こんな夜中にいったい誰だろう。お姉さんが恐るおそるドアを開けると、そこには典子ちゃんが。「典子ちゃん、どうしたの。こんなに夜おそく」「タイヘンなの。怪星人が。もう一人の怪星人がお父さまを尾けてったのよ」。それはタイヘンだわ。さっそく亮くんに電話をかけさせるお姉さん。しかし、なんてことでしょう。でん話線が切られているようですよ。と、そこに老婆の姿に変身した看ご婦カピア人が侵入してきました。ヒーッヒッヒ。怯える典子ちゃんとお姉さん。そして亮くんと次郎ちゃん。ごばあーーっ。カピア人は口から怪光線をはきだしましたよ。イーヒッヒ。タイヘンです。怪光線をあびた典子ちゃんとお姉さんは、フラフラとカピア人にあやつられているではありませんか。もう、怖くてたまらない亮くんと次郎ちゃんは、夢中で部屋の中を走り回ります。と、その時、部屋に置いてあったガスボンベに蹴つまづきましたよ。ゴロロン、ぷっしゅー。えたいの知れないガスが噴出します。そして、おどろくべきことに、そのガスを浴びたカピア人は、叫びながら、みるみる溶けていったのでした。

「死んだ」。はい、ここはカピア基地です。「不老不死の、われわれの仲間が死ぬとは。地球人はわれわれの弱点を見つけたに相違ない」「一刻も猶予はならない。深見博士を追跡している仲間はどうだ」。会ぎ室にあつまっているカピア人のみなさんもチョット焦っているみたい。

一方、ガスタンクに隠された、地球防えい対策本部のひみつ基地では奇病を治すワクチンの研究中。「先生。UV35を注射した結果がでました」と助手の下村さんが深見はかせに報告しています。「そうか。どうだった」「成功です」。どうやらスーパージャイアンツのおにいさんがくれたヒントのおかげで、ワクチンの研究が完成したようです。「そうだ、彼らが湿地帯の生物であるということは、もはや疑いなしだ。あとはワクチンの製造だけだ。さ、下村くん。すぐ準備してくれたまえ」。

と、そこに研究員のおにいさんが駆け込んできました。「ただ今、警察からの連絡で、さきほど浅山先生のお宅を襲った怪星人一名が、液体となって消えてしまったという報告がありました」。「ほう」と驚く深見はかせに、研究員のおにいさんは続けます。「原因はボンベから漏れたUVガスでした」「なにっ。UVガス。怪星人はUVガスで死ぬのか」。下村さんは、目立つチャンスとばかりに言います。「強力なUVガス銃を作るのが先決ですねっ」。

しかし「好事魔多し」といいます。うまく行っていると思うと、そこには落とし穴があるものです。深見はかせが尾行されたせいで、ひみつ研究所のばしょがバレ、円ばんがしゅう来してきたのです。町を怪光線で破かいしながらせまってくる円ばん。このままでは、せっかくの研究もだいなしになりそうです。助けて、スーパージャイアンツのおにいさん。

ぴゅーん。いきなり飛んできたスーパージャイアンツのおにいさんが円ばんの中に飛び込んできました。操縦するカピア人を突き飛ばしつつ、手当たりしだいに機械をぶっこわすおにいさん。どっかーん。円ばんは大ばく発です。

宇宙が映ります。「正義の超人スーパージャイアンツのために、地球侵略に失敗したカピア人たちは、再び惑星カピアに集まり対策を練ることになった」。ということで、ここ荒涼たるわく星カピアでは、みなさんが会ぎ中。カピア1が言います。「地球の運行を乱す」。「その膨大なエネルギーをどうするのだ」というカピア2のツッコミに、カピア1は自信満々に答えるのです。「魔術師だ。あいつが近頃発見した大魔術によって、地球の運行を乱す。その間にスーパージャイアンツをやっつけるのだ」。えーと、この段階になって魔術かよ。むーん。ヘンな祈りをささげはじめるカピア人のみなさん。そこにめがねをかけた色物カピア人が登場です。「話は聞いた。では、まず小手調べに。うーーん、うにゃっ」。

地球はタイヘンです。お花やさんの花が空を飛んだり、床屋さんのカミソリが宙を舞ったり、少年野球のピッチャーが投げたボールが空中で静止したり、さらにはひみつ研究所ではビーカーがフワフワと浮き上がったりしているじゃありませんか。「UVガス銃が、あと完成わずかだというのに」と悔しがる生物学者のみなさん。さっそく、深見はかせの生物学者グループと、浅山はかせの天文学者グループはきん急会ぎを開くのです。

「浅山さん、天文学の方から、この問題を究明していただけないものでしょうか」と言われた浅山はかせは困り顔です。「はあ、承知しました。もっかデータを集めることで精一杯の状態でして」と言いつつ、きっと内心では、こう思ってるんですよ。『なんだよ、天文学の方って。方って言われても困るよ。こんな魔術みたいな事態に対応できるもんか、プンスカプン』

もちろん、引力消失はちまたでも大問題。そのうえ、魔術師カピアが円ばんから、拡声器で脅かしてきたのです。「日本の者たちよ。すみやかに武器の製造を取りやめよ。命令に従わないときは、ただちに地球の運行を停止し、その時こそ地球上の全人類は滅亡するのだ。ヒャーハッハ」。これは困りました。引力消失のおかげでガス銃の開発もおくれぎみですし、このままだと負けちゃいます。ということで、国会ぎ員のえらいひとたちは、ぎ事堂に浅山はかせたちを呼んで、質問という名前のつるしあげをするのです。

けん々ごう々の非難に立ち往生をする浅山はかせ。と、そこにスーパージャイアンツのおにいさんがあらわれましたよ。「みなさん、ご心配には及びません。今度こそ、かならずカピアを粉砕いたします。地球を含めた全宇宙の平和のために、かかる邪悪な侵略者を放逐しなければなりません。では、行って参ります」。あいかわらずテイネイなごあいさつですね。ニコヤカに深見はかせと握手をしたおにいさんは、一転してキリっとした表情になったかと思うと、変身して空に飛んでいくのです。

スーパージャイアンツのおにいさんは円ばんに乗り込みました。「ハーハッハ。待ってたぞジャイアンツ」と勝ち誇る魔術師カピアに、おにいさんは言います。「私は地球と全宇宙の平和を守るためにやってきたのだ」。しかし、魔術師カピアは、その恐るべき能力をみせます。「見ろ。この魔力を」。なんたることでしょう。町では時間が逆転しています。高速道路をものすごいイキオイで車が逆行したりして。えーと、誰ですか、フィルムを逆回しにしてるだけだろ、とか言っているのは。それはともあれ、そんな様子を円ばんの窓からみるスーパージャイアンツのおにいさん。うーむ、スゴイけど、こっちには関係ないな。とりゃー。とりあえず格闘するおにいさん。力持ちなおにいさんに、魔術師カピアはタジタジになり、魔法の杖をおっことしました。その杖をひろって、てきとうに投げるおにいさん。どっかーん。円ばんは大ばく発です。それにしても、カピア人のつくる円ばんは、どうしていつも、簡単にばく発しちゃうんでしょうね。もうちょっと丈夫につくった方がいいと思いますよ。

びゅー。空を飛んでいる魔術師カピア。びゅー。それを追いかけるスーパージャイアンツのおにいさん。ふたりは、どう見ても、地上で戦っているとしか思えない感じで、空中バトルを繰り広げます。ばっしゃーん。海に落ちても戦い続ける二人。ずどどどど、どっかぁーーーん。海が大ばく発しました。そう、スーパージャイアンツのおにいさんが勝ったのです。どうやって勝ったのかは、画面が暗くて分かりませんでしたが、最強の敵、魔術師カピアは斃(たお)れたのです。

「怪星カピアの地球侵略はスーパージャイアンツの活躍によって阻止され、待望のUVガス銃は、ついに完成した」と、ナレーションのおじさんは言います。さっそく機動隊のおまわりさんたちがガス銃をもって整列しています。「機動隊は、スーパージャイアンツの協力を得て、残るカピアを撃滅すべく、湿地帯へ向った」。

スーパージャイアンツのおにいさんが、湿地帯でカピア人たちとたたかっているところに、機動隊のおまわりさんたちがとう着しました。さっそく、UVガス銃をぷっしゅーです。次々と斃れ、液体になって死んでいくカピア人たち。そんなジェノサイドを前に、手持ち無沙汰なスーパージャイアンツのおにいさんは、仁王立ちになってガッツポーズをキメています。
「かくして、平和の敵カピアは、スーパージャイアンツのめざましい活躍と、UVガス銃の威力の前に滅び去ったのである」。

典子ちゃんや、亮くん、次郎ちゃんは天体ぼう遠鏡で宇宙を観測しています。「あ、スーパージャイアンツのおじさんだ」「さよーならー」「さよーならー」。スーパージャイアンツのおにいさんは、宇宙を飛行しながら、ニコヤカに手を振るのです。「完」


最後のシーンで、殺虫剤をまかれたゴキブリみたいに、カピア人が死んでいくところは、心がいたみました。同じ宇宙人どうし、スーパージャイアンツのおにいさんがカピア人たちをこらしめて、「さあ、自分の星にお帰りなさい」と言ってくれたらよかったのにと考えたのです。よい子のみなさんは、どう思いますか。

それにしても、今回、宇津井健おにいさんのアクションがすこしだけスピードアップしました。きっと、いっしょうけん命、がんばったんだと思います。







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