いくらおにぎりブログ

邦画中心の映画感想ブログです。ネタバレがありますのでお気をつけ下さい。

【映画】愛と誠

2013-04-11 | 邦画 あ行

【「愛と誠」山根成之 1974】を観ました


おはなし
幼いころ、スキーで死にかけた愛を救ったのは、白馬の騎士な誠。運命は再び、二人をめぐり合わせ……

少年マガジンで、1973年から76年まで連載された劇画が原作です。連載中の74年に映画化されたので、お話としては、中途半端。もっとも、映画版は、このあと「続」「完結編」と、すべて主役の誠が違うという迷走っぷりなので、それくらい、どーでもいい気がしますけど。



まずは、ネルー(ネール)さん(インド出身・故人)のありがたい言葉がどどーん。

愛は平和ではない/愛は戦いである/武器のかわりが/誠実(まこと)であるだけで/それは地上における/もっとも激しい/きびしい/自らを捨てて/かからねばならない/戦いである―/パンディット・ネール

ちなみに、インドの初代首相のネルーさんですね。娘がインディラ・ガンジー。孫がラジーヴ・ガンジー。両方とも首相になりました。ひ孫のラーフルも、やがては首相になりそうな勢いで、なんていうか、日本の世襲政治家も真っ青な名門家系ということですね。

と、インドの政治は、この際おいておいて、ここは冬の蓼科高原のとある別荘。「愛、愛、愛」。スキーをかついだ8歳くらいの女の子にお母さんが声をかけます。「なあに」「今日はもうやめといたら」「大丈夫よ、ママ」。「愛、愛」。ガウンにパイプをくわえたイカニモなお父さんの呼びかけに、「ねえ、パパ。行ってもいいでしょ」とおねだりする愛。「気を付けるんだぞ」「はーい」。愛は斜面を滑り出しました。ぴゅー。

ぐんぐん上がるスピード。あちこちに飛び出した木を避けようにも、数が多すぎます。「助けて~」。と、そこに弾丸のように飛び出してくる少年。どさっ。まさに木に激突する寸前の愛を、少年は間一髪、身を挺して助けたのでした。

泣いている愛の姿。と、「泣くな。泣くな、バカっ」と少年が声をかけましたよ。白黒の画面に、額にはそこだけ、真っ赤な血が。微妙にビニールテープみたいな質感がなんとも。「お前、別荘の子だな。金持ちの子だから助けたなんて思ったらブッ飛ばすぞ。やい、そう思ってるか」「思わなーい」。それより、ボタボタ血が出てるけど、大丈夫ですか。「早く行け。早く行けってば」という少年の声に、こちらを振り返り振り返り、去っていく愛。少年は、愛の落とした赤い手袋を握りしめ、それを見送るのです。っていうか、早く病院に行け。

バシュッ。森の中でアーチェリーをしている10人ほどの女子高生たち。えーと、ここはシャーウッドの森でしょうか。いいえ蓼科です。そんな中、的のど真ん中を射抜いている美少女?がいますよ。「さすが、早乙女さん。何をやっても運動神経抜群ね」と言われるやいなや、「まぐれ、まぐれ」と言いつつ、さらにど真ん中に命中させる。そんな大人げないロビンフッド少女の名前は早乙女愛(早乙女愛)です。あ、役名を芸名にしたので、名前が一緒なんですからね。

さて、その夜、キャンプファイヤーを囲む女子高生たち。「えーみなさん。このロマンチックな夜を記念いたしまして、お互いの初恋の思い出を語ってもらうことにします」。そう当然、始まるのは恋の話ですね。うぞーむぞーの恋バナも終わり、早乙女愛にお鉢がまわってきましたよ。「さ、イヤとは言わせないわよ」「初恋、そう言えるかどうか分からないけど、場所はそう、この蓼科高原だったわ」。いや、イヤどころか話す気まんまんの愛。「そう。彼はね、私にとっては白馬の騎士なの。白馬の騎士」。ぽわわーん。あの少年が、白いポニーにまたがり、白い鎧を着て、走ってきます。もちろん、額からは血だらだら。さらに白馬の騎士が通ったあとは、白い粉の跡が残っているというオマケつき。「その後、その彼とは?」と聞かれ、首をぷるぷる振る愛。「父が別荘を手放して、新しいのを軽井沢に建てたもんだから」。そこはかとなく、ムカっとするのは自分が小物だからでしょうか。ともあれ、愛は現場を訪ねてみたものの、少年が住んでいたと思しき場所も火事で跡形も無くなっており、少年の手がかりは皆無だそうですよ。

翌朝、森を縦貫する林道の、それもど真ん中でラジオ体操をしている早乙女愛とゆかいな仲間たち。と、そこにお約束な不良バイク軍団がやってきました。げへへ。女の子たちを追い回すバイク野郎。「きゃあ、離してぇ」。おっと、今度は草を口にくわえた青年と、お仲間の学ラン軍団が乱入してきましたよ。「粋がるんじゃねえよ、ひよっこのクセに」「なにい」。ボカスカ。ボカスカ。バイク軍団と学ラン軍団が戦っている隙に、愛を残し、ゆかいな仲間たちは逃げていっちゃいました。それもすごいイキオイで。

さて、草をくわえた青年はバイク軍団に蹴りを入れつつ、さりげなく額にかかった前髪をあげてみたりしてますよ。そして、そこには三日月形の傷が。それを見たバイクリーダーは驚愕して、叫びます。「フーテンタイガーかっ!」。フーテンタイガーは答えます。「この三日月傷はな、伊達じゃねえんだ」。「くっ、これで勘弁してくれ」とお金を置いて逃げていくバイク軍団。はい、ここで背景が白バックになり、くるりと振り向くフーテンタイガーの姿をしつこくリピート。くるり。くるり。くるり。やっぱり髪をなびかせ振り向く早乙女愛のリピート。ふぁさっ。ふぁさっ。ふぁさっ。ニカっと笑うフーテンタイガーの顔に、あの少年(血まみれビニールテープ付)がオーバーラップしました。ああ、これはあの時の白馬の騎士だわ。ぱっと顔を輝かせた早乙女愛ですが、白馬の騎士は意外なことを言うのです。

「あんたがたからもいただこうか。痴漢よけの用心棒代をな」。んまっ。早乙女愛は答えます。「お金はあげられません」。「なにっ!」「お金を少しばかりあげても、いいえ、例え大金をあげることができても、それで済むことではないわ」。そう言いつつ、自分の額をピッと指し示す愛。「私のココへ傷をつけてください。あなたと同じ傷を」。「なんだと」「それでオアイコになるわ」。と、そこにゆかいな仲間たちが警官を連れて戻ってきましたよ。「サツだあ」。蜘蛛の子を散らすように逃げていく学ラン軍団。もちろんフーテンタイガーな白馬の騎士も逃げようとしますが、早乙女愛の足元タックルで逃げられやしません。おい、こら、離せって。「フーテンタイガー。今度こそ少年刑務所にブチ込んでやるぞ」。ガチャリとフーテンタイガーに手錠をはめ連行していくお巡りさん。あとには唖然としている愛が残るのみです。

さっそくお父様(鈴木瑞穂)に頼み込む愛。お父様はエライ人らしく、代議士に手を回し、フーテンタイガーの少年刑務所送りをやめさせてくれました。「お父様、もうひとつ、お願いがあるんです」。

「えー、今度、転校してきた太賀誠くんです」。はい、お父様の力で、あの青年、太賀誠(西城秀樹)は早乙女愛の通う「名門」青葉台高校に転校してきたのでした。ちなみに学費、家賃、食費は支給するけど、あとは自分でアルバイトでもしろという条件。ま、それはともあれ、帽子をかぶり、ポケットから手を出さない誠に、先生はお怒りモード。「とにかくポケットの手を出すっ」。わかったよ、おりゃああ。イキオイ良く出した手が先生の顔にクリーンヒット。うっ、バタっ。口から血がたらー。はい、先生は救急車で運ばれちゃいました。

さて、太賀誠にできた子分というかパシリによると、この青葉台高校はラグビー部とボクシング部が勢力を持っているそうです。ラグビー部キャプテンは城山郷介(高岡健二)。ボクシング部のキャプテンは火野将平(織田あきら)といい、青葉台高校の両横綱だそうです。「どっちも怖い人ですから、オタクみたいな人は近づかない方がいいんじゃないすかね」「おもしれえ。覚えておこうか」。

ぽこん。ぽこん。一方、のん気にテニスをやっている愛。もちろんスローでスコート近辺を撮るのはお約束ということで。はい、テニスを終えた愛が水を飲んでいると、そこにメガネ君がやってきましたよ。「早乙女くんっ」「どうしたの。そんな怖い顔して」。メガネ君は黙ったまま手紙を渡し、去っていきます。「岩清水くーん、ちょっと待ってよお」。

さて、圧倒的な運動能力を見せつけ、ラグビー部とボクシング部にいい顔をみせる太賀誠。どうやら、その真意は両部、そして両キャプテンの対立を煽って「青葉台という名門高校を俺のカラーに塗り替えてみせるぜ」だそうですよ。そんな誠を愛は難詰します。
「卑劣よ、あなたのやり方。ラグビー部にもボクシング部にも入る気もないのに、ただ二人のキャプテンの勢力を利用しようと思って、両方にエサをちらつかせてるだけじゃない」

「分かっちゃいねえ」と言い返す誠。はい、ここで自分語りを始めちゃいました。それによると、愛を助けた時の傷がもとで、誠は破傷風になり、半年間も寝込んだそうです。そして、その医療費がかさみ、一家は土地を売るはめに。そして母は家出、父も蒸発。誠も小学2年生を二回やるはめになりイジメられたんだとか。

「知らなかった。知らなかったのよ」ガックリとくずおれる愛。スタスタと去っていった誠の代わりにさきほどラブレターを渡して逃亡した岩清水クン(仲雅美)がやってきました。「早乙女くんっ」「大丈夫、大丈夫よ」「君たちのヒミツは守る。断じて誰にも言わないっ」「ありがと」。えーと、単なるストーカーってことでOK?

家に帰って岩清水クンからもらったラブレターを読み返してみる愛。そこにはこんなことが書いてありました。

君のことばかり/考えていた挙句/このことだけ君に伝えて/おく決心をしました。/お互い/まだ高校生で/恋だの愛だのという/感情には/慎重でなければならぬと/よく判っています。/だから一つだけ/僕の心からなる誓いだ/け伝えておきます。/
早乙女愛よ
岩清水弘は
君のためなら死ねる!

ちなみに部屋でラブレターを愛が読んでいる、その外では、傘をさした岩清水クンが立ち尽くし「早乙女くん。僕は君のためなら死ねるっ」とか言っているし。やっぱストーカーだ。

さて、岩清水クンのラブレターを読んでヒートアップしたのか、愛はすっくと立ち上がって言いだします。
「わたしは、早乙女愛は、太賀誠のために死ねるだろうか。いいえ、その前にわたしは彼を愛しているのだろうか。愛している。少なくともあの日の血にまみれた彼を愛している。永遠に変わらず。そして、あの彼のためなら、あの時の太賀誠のためなら、わたしは死ねる。たとえ今の彼がどうあろうと」。愛の脳裏に白いポニーにまたがった白馬の騎士がぽわわんと浮かびます。おら興奮してきたぞ。「あの時の太賀誠は今の彼のどこかに住んでいる。どんなに苦しい、厳しい愛であり、償いであろうとも、あの永遠の白馬の騎士のために、潔く死ねるわたしでなければ」。完全に自分に酔ってます。

さて、城山、火野、両キャプテンに呼び出されちゃう誠。「君はラグビー部、ボクシング部を両てんびんにかけているが、いつまで我々を焦らせば気が済むんだ」。と、そこに、よく分かんないけど「誠さんやめてっ」と愛も飛び込んできましたよ。ちょうどいいや。とりあえず、愛のせいにしちゃえ。いわく、早乙女家からの援助額が少ないから部活やってる余裕がないんですよ。ええ、それというのも、愛は俺を独占しておきたいんですね、これが。

「どういう意味だ」と聞く火野に誠は答えます。「惚れてるからさ、俺に」。愛を含め、周りの人間全員が口ぽかーん。「早乙女くん、ウソだろ」と城山。「否定してくれ、早乙女くん」と火野。そして愛と言えば。……、……。引っ張るだけ引っ張って、ひと言。「否定しません」。ががーん。よく分かりませんが、なぜか学校中が動揺してるみたいです。

下宿で♪白鳥(しらとり)は かなしからずやぁ~♪とか歌っている誠。外は夕暮れに変わったりして。ついでに愛からもらった時計をじっと見たりして。さらに幼い愛の持っていた赤い手袋も見ちゃったりして。えーと、多分、西城秀樹の見せ場なんだろうな。よく分からないけど。

ということで、愛はお父さんに援助金の増額を頼んでみますが、「そんな我儘は聞けん!」と日本刀を丸いのでポムポムしつつ一蹴されちゃいました。しかたありません。町に出た愛は、さっそくこんな看板を発見。「女店員募集!時間給三百円 バイトも可 純喫茶 窓」。さっそくバイトを申込み、信じられないことに、前金までもらっちゃいました。普通もらえませんよ、感謝しなくちゃ。

早速もらったお金を誠に渡す愛。「多くはないけど、お金が入ってます」。ひと言余計です。ふん、と軽くお金を受け取った誠ですが、去っていく愛を下宿の窓からじっと見つめたりして。ついでに手袋握りしめたりして。さらに、手袋の匂いを嗅いじゃったりして。お巡りさーん、ヘンタイがここにいまーす。

さて、学園の明星、清純天使とも謳われていた愛が、誠に惚れてます宣言をしたことで、早乙女愛ブランドの価値は急降下。愛が登校すると、教室の黒板に「誠/愛」な相合傘とか書かれちゃったりして。と、そこに登校してきた岩清水クンは、黙々といたずら書きを消し、「みんな。下劣な真似はやめたまえ」とか言ってますよ。おお、こいつ、実は男らしいヤツでは。ついでに、ちょっと話があると、愛をプールに連れて行く岩清水クン。「はっきり言わせてもらう。僕は君に失望した」。そういうと、岩清水クンは、愛からもらったお金で余裕ができた誠が、余った時間で、子分を増やし、そんな誠の引き起こす暴力革命がすぐそこに来ている、と重々しく断言するのです。ほほう、で、なぜ愛が誠にお金を渡したことを知っているんですか。お巡りさーん、ストーカーがここにいまーす。

黒雄高校とかいうところとボクシングの試合が行われ、ボクシングの助っ人な誠は、かなーり卑怯な手を使って辛勝しました。当然、運動部派は、それを苦々しく思っています。そのうえ、学園の明星で清純天使な愛がそんな誠に貢ぐために喫茶店でアルバイトをしていることを、城山、火野、両キャプテンがたまたま知ることになり、怒りはさらに増すばかり。くそーっ、いつかシメてやる。

一方、強いものになびくのは世の習い。誠の下には子分グループらしきものができてきましたよ。ほら、そんな彼らが隊列を組んで歩いています。♪タイガーグループ、万々歳♪。歌までうたってます。っていうか、かなり頭が悪そうだな。

そんな対立状況の中、キャプテンその2な火野が誠に決闘状を持ってきました。
「決闘状/時 今夜十時/場所 和泉多摩大橋下空地/右承知の上、違約なき事/太賀誠殿/火野将平/城山郷介」。「ハッハッハ。決闘状とはやけに古臭いもの、持ってきやがったな」と笑い飛ばす誠ですが、愛が誠のためにアルバイトをしていることを城山に聞いて愕然としています。「なんだとっ」。

リーン、リーン。愛に電話をする誠。「誠さん?」「俺のためにサ店でバイトしてたんだって。その心意気には泣かされたぜ」。「ど、どうしてそれを」と動揺する愛に、誠は続けます。「まあ心配すんなってことよ。誰にも喋りゃしないからよ。火野の野郎が決闘状なんてものを持ってきやがって、そん時、あんたのことをブツブツ喋ってやがったのよ」。えーと、つまり決闘するんだボク、ってことを言いたいんですね。「決闘状!」と驚いてくれた愛に誠は言います。「ああ、あんたを守るために俺を制裁するんだそうだ。これから巌流島ならぬ多摩川まで、ちょっくら行ってくらぁ。そうそう、俺が死んだら骨でも拾ってくれよな。わはは」。ああ痛い。誠のかまって君ぶりが痛すぎます。

かまって君な誠との電話を終えた愛は、岩清水クンのところに直行。「お願い、どうしたらいいか教えて。もう、あたしの力ではどうにもならないの」。愛も随分かまってちゃんですね。そんな愛に岩清水クンは男らしく答えます。「うれしいよ。本当によく来てくれた。僕は君のためならいつでも死ねる」。いや、ソレ聞いてないから。

さて、ボクシング部員、ラグビー部員たちがワンサカいる河川敷で決闘が始まります。まずはボクシング部の火野との対戦。両者、ファイティングポーズを取り、ファイト!と、そこに「待ってぇー」と愛、そして岩清水クンが走ってきました。岩清水クンは言います。「火野さん、城山さん、早乙女愛を本当に守ろうと思うんだったら、もう一度、考え直してくれませんか。ここでみんなが血を流し合って、一番傷つくのは彼女なんですよ」。さすが秀才。その発言には聞くべきものが、って、その隙に誠が火野を不意打ち。いきなりボコってます。このやろう。火野も伊達にボクシング部のキャプテンじゃありません。怒涛の反撃で誠を圧倒していきます。と、いきなり誠が両手を高く顔の前にかかげました。そうまでして顔を殴られたくないんでしょうが、かえってボディはがら空き。「頭隠して尻隠さずか。それでガードしてるつもりかよ」。火野のスーパーマグナムウルトラなパンチが誠の腹に突き刺さりました。苦悶する誠、あれ?いや、のたうちまわっているのは火野です。「ははは、ざまみろ」。学ランを持ち上げる誠。おお、なんてことでしょう。腹に生け花で使う剣山が仕込んであるじゃありませんか。こんなものを殴ったら、確かに拳は穴だらけ。笑いながら剣山を外す誠。と、そこには立派な腹毛が。いや西城秀樹だし、これこそ本家ギャランドゥ。

ビシッ。ビシッ。ベルトを鞭に火野をボコっている誠。なぜか手をこまねいてる城山キャプテンに代わり、岩清水クンが、立ちはだかりましたよ。「今度は僕が相手だ」。「気でも違ったのか」とあきれ顔な誠に岩清水クンは雄々しく宣言します。「決闘とは真に勇気のある人間が生きるか死ぬか、生死の二文字を賭けて争う戦いなんだ。下劣な暴力による喧嘩はまったく違うっ!」。そう言い終わると、「どなたかナイフを持ってませんか」とまわりの運動部員に声をかける岩清水クン。そう、岩清水クンの決闘とはナイフを使った、こんな恐ろしいものだったのです。

まず離れた場所に切っ先を上にナイフを刺します。そして、二人並んで、そこまで後ろ向きでゆっくり歩きます。適当なところでエイヤと後ろ向きに倒れると。もし、そこにナイフがあったら、はい、串刺しですね。ルールは三つ。ナイフより遠い方が負け。ナイフを通り過ぎても負け。後ろを向いたらもちろん負け。岩清水クンの胆力に、誠の闘争心も燃え上がりました。よーし、やったろうじゃないか。よーいスタート。並んでバックしていく二人。一歩。そして一歩。また一歩。もひとつ一歩。と、二人の間を駆け抜け、「やめてぇーーっ」と叫びながらナイフにトライを決める愛。と、同時にうりゃっと後ろ向きに倒れる二人。えーと、順番が逆ならカッコいいんだけどな。安全になってから倒れられても。しかし、城山キャプテンの「勝負なし。完全な引き分けだ」の言葉に、誠も岩清水クンもなんだか清々しい顔ですよ。先に起き上がった誠が岩清水クンに手を貸したりして。よく分かんないけど、これって大団円。と、そこに「隊長、助けにきやしたぜ」と空気を読まないタイガーグループが遅ればせながら到着です。それ、攻撃だあ。石を投げ始めるタイガーグループ。「こら、余計なコトすんな」と誠が言っても、時すでに遅しです。体制を立て直した運動部員グループも投石を開始し、攻撃を受けるのは真ん中に取り残された誠、愛、そして岩清水クンというありさまに。

ゴツッ。イヤな音と共に頭に石をくらった岩清水クンが卒倒。「岩清水クンっ!」と駆け寄ろうとした愛もオデコに被弾。「あ、あああーー」。「あいーーっ」と駆け寄った誠に愛は言います。「誠さん。これであなたと同じ傷が、あたしにも」。「ダメだ。傷なんか、誰がつけさせるもんか」と誠は言いますが、愛はそのまま失神しちゃいました。う、う、うわーん。誠は絶叫します。「あんたのキレイな顔に傷なんか付けさせるもんか。俺のこの傷を見て、あんたが一生苦しみぬくためにも傷なんかつけさせるもんか。俺の復讐の相手がいなくなっちゃうじゃないかよぉおおお」。ここは、西城秀樹の「あの」シャウト声を心の中で再生してくださいね。

「総攻撃だ。かかれぇ」。タイガーグループ、運動部グループ、ついでに誠は大乱戦。当たるを幸い、あちこちで殴り合い、蹴り合い、いつしか立っているものもいなくなりました。そして、やがて朝日が昇ります。ムクっ。目覚めた誠は、愛をお姫様だっこして、どこかに歩いて行くのでした。



すっげえダメな終わり方です。最後は投石合戦かよ、みたいな。まあ武田家の投石部隊とかは有名だし、戦いのセオリーとしては「アリ」かもしれませんが、画的には「ナシ」の方向ですよね。そもそも、この映画が戦国時代の合戦モノというわけでもないし。

ま、それはともあれ、原作の最初だけを映画化してるので、ガム子とか高原由紀、座王権太みたいなメンツは出てきません(「続 愛と誠」で出てきます)。それだけに、どうしても岩清水クンの「君のためなら死ねる」にウエイトをかけざるを得ないのが辛いところ。もちろん、そのフレーズが出ると「待ってました!」と盛り上がるんですけど、それを多用されてもなあ、と思ったりもします。早乙女愛(役者)は、かなり棒読み演技ですが、早乙女愛(登場人物)の存在感そのものがヘンなので、あまり目立たないというか、ラッキーだったねというか。

え、西城秀樹ですか。ああ、ギャランドゥも見られたし、こんなものかと。

 

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【映画】丑三つの村

2012-12-30 | 邦画 あ行

【「丑三つの村」田中登 1983】を観ました



おはなし
懐中電灯を頭につけたオカシイ人が、村中を大虐殺。

有名な「津山三十人殺し」を映画化した作品です。監督はにっかつロマンポルノの名匠、田中登。そのため、残虐性とともに、おっぱい成分も高まっているのが、特徴といえば特徴ということで。


田舎の小さな駅。群集が日の丸の小旗を持って集まっています。どうやら、出征兵士を見送っているようです。「赤木巌くん、ばんざーい」と音頭を取っているのは、日暮谷村の重鎮、赤木勇造(夏木勲=夏八木勲)。ちなみに兵隊さんはビートきよしがやってたりしますが、ペコペコお辞儀をしているだけで台詞はゼロなので、なんていうか「その程度の扱い」感が漂います。

ともあれ、兵隊さんの乗り込んだ汽車がポーっと汽笛を鳴らし、見送りが最高潮に達したころ、「ばんざーい、ばんざーい」とホームをダッシュし、ついでに盛大にコケているのが、この映画の主人公、犬丸継男(古尾谷雅人)です。どうやら、人一倍、兵隊さんにあこがれを持っているようですね。

そんな継男が村への帰り道を辿っていると、道の真ん中でニワトリをいじめ殺している3人の青年がいます。「余所モンだから、バカにされとおしじゃあ」。タダアキをリーダーとする半グレくんたちは、継男にも言いがかりをつけてきましたよ。「よう、天才少年、たまには遊んでくれやあ」。さらに、継男のおばあちゃんに夜這いをかけようかとまで言いだす始末。プチン、キレた継男は「村から出てけ、この穀つぶしもんがあ」と怒鳴り、石を投げまくりますが、そのあとゲホゲホと咳をしまくり。はい、この短いシーンだけで、「悪い子タダアキ」「夜這い」「ゲホゲホ=結核?」みたいな伏線が貼られましたね。ふむふむ。

さて、家に帰って、おばあちゃん(原泉)とご飯を食べている継男。「おばやん、俺が兵隊行くとき、泣きへんか?」。それに、おばあちゃんは答えます。「お国のためや。立派に戦こうてこい、ちゅうて笑ろうて見送ったる」。しかし、そうは言いつつも、継男が勉強しに自室に戻ると、「大声あげて泣くかもしれへん」と悲しそうです。そう、継男の両親はすでになく、ババひとり、孫ひとりなのですから。

と、そこに遠縁の赤木ミオコ(五月みどり)がやってきました。いつものように借金の申し込みに来たのです。「うちかて、継男とふたり、細々とやり繰りしとるんや」と苦い顔のおばあちゃんですが、「継男ちゃん、学校の先生になるんやろ」とミオコにおだてられると、満更でもなさそうな表情。そう、継男は村始まって以来の神童と謳われ、おばあちゃんを独りにしないため、上級学校にこそ進学しなかったものの、検定試験をうけて教員になる道を目指しているみたいですよ。

さて、ゲホゲホがおさまらない継男は、近所のヤブ医院を訪ねます。しかし、診察は軽い肺門浸潤ということで、しばらく安静にしてれば治るとのこと。ほっ、良かった。良かったついでに、チャラい先輩(新井康弘)からエロ写真をもらった継男。うれしくて、草むらに直行です。エロ写真を見つつ、股間に手を伸ばします。まったく見境がないんだから、と、そこに野良姿の美少女があらわれましたよ。はい、幼馴染のやすよ(田中美佐子)です。「何、見てたん?」「やすよが見たらビックリする」「見せて」「あかんあかん」。そりゃそうだ。ま、それはともあれ、草むらにゴロンとしたりする、無防備なやすよの姿にドギマギする継男です。と、やすよが言います。「検定、受けるんやて。やっぱり継男さん賢いやねんな」。「なんぼ頭良うても、男はいざっちゅうとき、鉄砲もって立派に戦えんとあかん」と答える継男に、やすよは続けます。「みんな言うとる、日暮谷始まっていらいの神童やいうて」。ちなみに、この二人、好きあっているみたいなのですが、「従弟くらいの関係」ということで、結婚はできないみたいです。

さて、その夜のこと。継男が寝苦しさを感じて目覚めると、部屋に煙がモクモクと侵入中。外に出てみると、村はモヤに沈んでいます。ま、部屋にスモークをガンガン炊くのは、ちょっと演出的にどうなのよ?と思いますけど。
ま、それはともあれ、ちょうどいいや。深夜の散歩でもしてみよう。継男は歩きだすやいなや、いきなり一軒の家を覗き始めましたよ。この「散歩から覗き」という一連の流れが妥当かどうかは別として、そこでは、アッハンウッフンの真っ最中。しかしおかしいですね。、えり子(池波志乃)の家は旦那さんが出征中のはずなのに。おっと「おかん、ええか。おかん」と言いつつ、怒涛のストロークをしている人は、赤木勇造でしたよ。「勇造さんか。夫婦もんでもあらへんのに」と、覗きをやめて納得する継男。いや、そこは普通にスルーするとこじゃないから。

さて、さらに継男が深夜の徘徊をしていると、「誰や」と声をかけられましたよ。そこには棍棒で武装した村の男が6人ほどいます。「なんじゃ継男か」という男たちに「寝苦しいから散歩です。おっちゃんらこそ?」と継男は答えます。「タダアキらが悪させんように毎晩交代で見回りしとるんや。勇造さんの考えやけどな」。ふーん。勇造さんのね。思わず、「夜這いも悪さのうちですか」と皮肉な質問をしてしまう継男でした。

さて、ここからはしばらく夜這いタイムというか、エロパート。まずは古尾谷雅人VS池波志乃。そして古尾谷雅人VS五月みどり。田舎の村に、こんなエロいおばさんたちが夜這い対象としてゴロゴロしているのは、なんていうかウラヤマシイ限り、なのか。そうじゃないのか。

さて、エロパートもひと段落し、村を見下ろす鎮守の森に来た継男。待っていたやすよが声をかけます。「顔色悪いな」「うん、咳がひどいんや」。いや、夜這いのし過ぎだろ。映画では描かれてませんが、どうやら継男は検定試験に落ちたみたいです。きっと夜這いのし過ぎです。「みんな心配してる」というやすよに継男は答えます。「勉強のほうで期待にそえんでも、男は立派な兵隊になりゃええ。徴兵検査で甲種合格して名誉挽回や」。と、下界にちんまりとうずくまっている村の方を見やると、タダアキたちが暴れていますよ。家々の桶やら戸板やらを、次々とぶん投げたり、ひじょうに「分かりやすい」暴れっぷり。まさに「暴れん坊」というテーマで「名前を付けて保存」したいくらい。それを見つつ、やすよは言います。「あの人、殺されるんかもわからん」「タダアキか」「勇造さんがうち来て、お父ちゃんとそんな話してた」。「まさか」とビックリする継男ですが、そんなこともあるのかもしれませんね。とか何とか話をしてると、あっというまに夕暮れになり、見下ろす村も真っ赤に染まっています。思わず継男はつぶやきます。「どんどん血の色に似てくる。狭い村ん中だけで、男も女も誰彼なくまじりおうて、子供作って、川に流して……気持ち悪いなあ」。あ、最後は確かに気持ち悪いですね。っていうか怖い。と、かわいい"やすよ"は手作りの組みひもを継男に渡しました。「女の方から打ち明けるなんて」となんだか照れています。「昔は兄弟や親子でも結婚したそうやけど、気持ちだけ受け取って」、そのままズドドとダッシュ。ええと、昔は親子で結婚したって、いつの時代、どこらへんを想定してはるんですか。

「昭和十二年度 新山地區 徴兵検査會場」。近在の高等小学校で徴兵検査が行われています。もちろん継男も満を持して参加。目指せ甲種合格だあ……はい、不合格でした。「肺ですか?」「結核じゃ」。ああ。ショックを受けて村に帰る継男ですが、げに恐ろしいのは悪い噂の伝わる速度。帰り道の段階で、村人たちが挨拶をしてむ無視するし、まわれ道で逃げ出したりしてますけど。

落ち込んでいる孫のために、おばあちゃんは産みたてタマゴを出してきてくれましたよ。しかし悲しみの継男はウリャアっと手を払ってます。ぐしゃ。割れてしまうタマゴ。「何するんじゃ。おばやんの気持ち分からんのか」。そう言われると基本イイコの継男は反省モード。残っているタマゴを割って、そのままゴクリです。「もひとつ、どや?」。はい飲みますよ。カンカン、パカリ、ごくっ。えーと、まだ飲むの。カンカン、パカッ、ごきゅごきゅ。えーと、俳優さんってタイヘンです。「ロッキー」でシルベスタ・スタローンが生卵をごくごく飲んでいるのは、カッコいいし、小学生だった時にマネとかしました。でも、ひょろひょろした古尾谷雅人が、砂かけ婆みたいな原泉に凝視されつつ、苦悶を浮かべつつ生卵を飲んでいるのは、素直にキモチワルイ。見ている方までオエっとしちゃいますよ。

もちろん生卵を飲んだからといって肺結核が治るわけもなく、さらには大好きな"やすよ"が嫁に行くことになり、やけっぱちの継男。どれくらいやけっぱちかと言うと、四つん這いになって犬に吠え掛かるくらい。えーと、これは数字で言うと、どれくらいのやけっぱち度なんでしょうね。ともあれ、病人のくせに、四つん這いになってワンワンやってるから血を吐いちゃいましたよ。ゲボっ、おえおえ、ゲボろっしゃー。と、そこに野良仕事帰りの和子(大場久美子)が登場。小走りに駆け寄ってきて、手ぬぐいを差し出してくれるじゃありませんか。「汚い血で汚れてしまうぞ」と遠慮する継男ですが、「洗ろうたらしまいや。背中さすってあげる」とあくまで優しい和子。思わず手ぬぐいをクンクンして「ええ匂いが残っとる」と継男が言うと、和子は「イヤやわあ、継やん」と恥じらいつつダッシュしていくのです。「地獄に仏や。なあ」と吠えあっていた犬に声をかける継男。思わず胸に暖かいものが。

ついでに股間にもあたたかいものが充満したのか、継男は五月みどりなミオコのとこに、昼だけど夜這いをかけてみました。しかし、ミオコは相変わらずのエロさで悶えまくるものの、なぜかキスをしようとすると、顔を左右にして逃げまくってますよ。ムカっ。さらにキスをしようとすると、「もともと嫌いなんよ」とミオコも逆ギレしてますよ。「もう二度と来ん」とミオコの家を飛び出す継男。そのまま村はずれの草むらにくると、おや、誰かが乳繰り合ってます。えーと、あれは。ガガーン。えろ写真をくれたチャラい先輩が、脳内(俺の女)な和子といちゃついてるじゃありませんか。「何やっとんじゃあ。昼間から」と怒鳴る継男ですが、和子はなんだか冷たい顔でスタスタと去っていってしまいましたよ。「あいつ俺に惚れとるんや。血吐いて苦しんでた時に手ぬぐいを」とチャラい先輩に訴えてみる継男。しかし、先輩は言います。「聞いた。けど、惚れてなんかおれへん。お前の病気のこと知らんかっただけや」。

懲りずに池波志乃なえり子のところに夜這いをかけて追い返され、ミオコのとこにも夜這いをかけて騒がれ、夜の村を逃げ回る継男。と、おや余所者のタダアキが、勇造をはじめとする村の男衆にリンチされている光景を目撃しちゃいました。どうやら、タダアキはリンチの果てに死亡したみたいです。

翌朝、高さ十メートルはあろうかという枝にぶらーんとぶら下がっているタダアキの死体。どうみても自殺じゃありませんけど、これは自殺だね。うん自殺だよね。みたいにノンキな現場検証をしている駐在さん(山谷初男)と勇造さんたち村の男衆。と、そこに継男は飛び出して叫びます。「駐在さん、あれ、自殺やない。俺見たんや」。しかし、当の駐在さんの反応は鈍く、勇造さんは「へっへっへ。継男のやつ、勉強のし過ぎでワケの分からんこと口走るって、村でも有名なんや」と笑っています。村の男衆もみんなで笑います。わはは。わはは。へへへ。えーと、全員、目が笑ってないんですけど。特に勇造さんこと夏木勲の顔。赤ん坊がヒキツケ起こしそうな顔です。こわい。

「俺も殺されるかもしれん」とおばあちゃんに訴えてみる継男。しかし、おばあちゃんは相手にしてくれません。「そんなしょうもないコトばっか考えとらんと、ちょっとは金の心配でもしてくれえ」「畑売って、金作ったらええんや」。ん、今、オレ良いこと言ったぞ。閃いた。

ということで、(おそらく)作った金で、町の銃砲店を訪ねた継男。早速、村に戻ると銃の練習です。そして、家で仕上げたのは「犬丸継男の戦場」と題したデカイ手書きの地図。そこには、ターゲットとなるべき村の人々が、こと細かに書き込まれています。ドヤ顔で地図を眺めていた継男は、一人ひとりの名前の上に火薬を少しずつパラパラと振りかけ、そしてマッチで着火。ボフッ。ボフッ。爆燃する火薬の音は、これからの惨劇を予告するものでした。

親切めかしていた和子が結婚して村を去り、逆に結婚したものの、継男と親しかったイコール結果かも、という理由で"やすよ"が離縁されたと聞き、怒り心頭の継男は、鉄砲をかついでミオコのところに夜這いをかけることに。なんで、怒ると夜這いをかけたくなるのかはよく分かりませんが、「犬丸継男の戦場」とか地図を書いてドヤ顔してる奴ですからね、継男は。しかし、ミオコの家に行ってみると、留守だった旦那の中次さん(石橋蓮司)が戻ってきているじゃありませんか。しかも夜這いのことが全部バレてる。逆ギレした継男は「ぶち殺して欲しいんか」と猟銃を構えてみますが、逆に中次さんにボッコボコにされちゃうのでした。それにしても、石橋蓮司にボコボコにされるのって、かなり弱い感じ。

孫の不穏な雰囲気を察したのか、病床のおばあちゃんは、こんなことを言います。「おばやんも、もうお迎えが来てもおかしない歳じゃ。体もそこらじゅうガタが来とる。継男、おばやんが死んだら好きな事してもええ。だけど、生きてるうちは悲しませんでくれよなあ」。ああ、そんなこと言うと、単純な継男のことだから、危険ですよ。ほら、さっそく継男は毒薬を準備してるよ。「おばやん薬飲みや」「なんやケッタイな色やなあ」「はよ飲め、おばやん」。えーと、どうみてもヘンな色の薬だし。「何、飲ます気や、お前は」と叫ぶやいなや、おばやんこと原泉はダッシュで逃げていきます。その走りっぷりは見事のひとこと。原泉、ばあちゃんのクセに走るの速すぎ。

ご飯を用意したのにおばやんが帰ってこない(当たり前)ので、継男は出かけることにしました。ちょうど嫁ぎ先から離縁されたやすよがお風呂に入っていたので、それを覗きましょう。じーっ。あ、ダメだ。なんか込み上げてきた。早速、お風呂になだれ込んで、やすよを押し倒す継男。しかし、「俺の子供、産めっ」と叫んだ直後に、別の者が口に込み上げてきちゃいました。げぼーっ。お風呂の中に大量の吐血をしてしまう継男。すると、なんだか高ぶっていた下半身方向は沈静化してしまったみたいです。吐血した血の混じるお湯を手桶でバシャーっとかぶる継男。するとオッパイ丸出しのやすよが、手桶を奪い取って、血の混じったお湯をかぶってくれるじゃありませんか。感動しつつ、手桶を取ってお湯をかぶる継男。また、交代でお湯をかぶるやすよ。じわーん。「悪かった」と叫ぶと継男は外にダッシュです。オッパイ丸出しのやすよは、そんな継男を悲しく見送るのでした。えーと、まずはオッパイを隠せって。

近所に逃げ込んだおばあちゃんが、継男に毒殺されそうになったと言ったらしく、警察の手入れが入りました。天井裏に隠してあった多数の猟銃、日本刀、その他火薬などなどが全部没収です。しかし、もはや継男を抑えるものは何もない。さっそく、都会の銃砲店に出かけ「五連発以上のはないの?」とよりパワーアップした武器を買いまくる継男。部屋には連発銃のほか、日本刀に短刀、匕首などが盛りだくさんです。

草むら(好きだよね)に継男が座っていると、やすよがやってきました。「村のみんな、継やんがそのうち何かしでかしよる、言うてるの知ってる?ウソやろ。ウソやな」「ウソや」「聞いときたかったんや。最後にそれだけ」「?」「またお嫁入り」。ガーンとしている継男にキスをするやすよ。そのまま草むらに倒れこみ……。はい、サービスタイムです。

一方、村では緊迫の度が高まってきました。まず継男に恐怖を感じたのか、中次・ミオコ一家が、夜逃げ同然に村を捨てました。実に賢明な判断と言えましょう。それを見て、継男に挑戦的な視線をぶつけてくる勇造さんこと夏木勲。「近いうちにみんなと相談して、お前の処分決めて、おばやんに報告に行くさかいな」と宣戦布告です。もちろん継男も負けていません。「逃げられたんかい。のんびりしとれん」とそっとツブヤキます。

靄に沈む村を見つつ、継男は言います。「まあ皆様方。今に見ておれで御座居ますよ」。ちなみに、これは、この映画のキャッチコピーね。

そして、継男は手紙も書いちゃいます。「前略やすよさま、お元気ですか。突然の不躾なお便り、お許しください。僕は戦場に行きます。十月二十日、戦場に行きます。その日、村には絶対に近づかないで下さい」。でも、こんな手紙を出したら、ねえ。

夕方のうちに村への電線を切断した継男は、ろうそくで食べる夕餉の席で(あ、ばあちゃんは戻ってきました。良かったね)、ばあちゃんから、和子こと大場久美子が里帰りしていることを聞きます。思わず「今日はええ日や、大安や」とニヤける継男。ひゃっはー。狩りの獲物が増えたぜ。

そのまま夜の一時まで待った継男は戦闘準備開始。素っ裸になって、新品のふんどしをアターーッチメント!。シャツ、詰襟の学生服、そして地下足袋に上にゲートルをロールオーーン!!。弾薬をズックに入れ、肩に下げると、革帯をしめ、日本刀をセットオーーン。ま、ともあれ、さらに革帯をつけたり短刀、匕首を装備するなど、最終決戦にふさわしい出で立ちです。もちろん、両側頭部につけた懐中電灯と、胸にぶらさげたナショナルランプは、最高の魅せポイント。俺のカッコを見てくれ!なもんです。

「おばやん、約束や。笑ろうて見送ってくれや」と言って、まずは斧でおばあちゃんの首をセパレート。返り血で血まみれになった継男は叫びます。「おばやん。俺を夜叉にしてくれーっ。鬼にしてくれーーーっ」。ふーふー。ラマーズ法のようにスーハー、スーハーしたあと、ロボットのようなカッチンコッチン状態で万歳を始めちゃう継男。「犬丸継男クン、ばんざーい。犬丸継男クン、ばんざーい。犬丸継男クン、ばんざーい。犬丸継男クン、ばんざーい。犬丸継男クン、ばんざーい」。さあ、虐殺の始まりだ。

まずは隣家のおばさん(石井富子)を刀で刺殺。ここまで、特に出番がなかったのに、石井富子を皮切りにしたのは、多分、死にっぷりが面白すぎるから。うぎゃああああ。刺された石井富子、腹筋の力で90度直立してます。鍛えてます。ついでに旦那も射殺した継男は次の家に。

「夜這いに来たでえ」と言いつつ、大場久美子こと和子の家に乱入した継男は有無も言わさずお母さんを射殺。さらに、恨みの対象、大場久美子の口に銃口を突っ込みつつ「結婚、おめでとうさん」と嘲笑います。そのまま肩を撃ち、胴体を短刀でグリグリ。よし、次。

「起きんかーい。皆殺しにしたるわ」、継男は一軒、二軒と潰していきます。「わしら、お前の悪口、言うたことないわ」という家は。それもそうかと見逃して、次の家を皆殺し。キャーキャー飛び出してきた、若い女の子たちも、もちろん射殺だ。ずがーん。

いったん鎮守の森に継男が撤退して、弾込めをしてると、そこに"やすよ"が出てきました。「継やん」「誰じゃ」「もう、もう、やめてぇ」。えぐえぐしている"やすよ"に継男は言います。「まだ三軒残っとる」「鬼や」「鬼のどこが悪い」。

次の家も潰した継男ですが、さすがにのどの渇きを覚えました。早速、そこらの山羊の下に潜り込んで、乳をダイレクトにドリンキング。「よしっ」。次の大物を前にエネルギーチャージです。

「勇造出てこんかーい。一番許せん。ぶち殺したる」。しかし、勇造こと夏木勲はただものじゃない男。「助けてくれー」とか言いつつも、二階から手当たり次第にものを投げつけてきますよ。って、座布団とかですが。さらに、畳をバリケードにし始める夏木勲。一枚。バーン、貫通。二枚。バーン、貫通。ニヤニヤしながら、畳を重ねていき、邪悪の笑みを浮かべる夏木勲、ちょっと怖すぎます。ここらへん、いまいち演出意図が分かりませんが、まあ夏木勲の笑顔が怖いから、いいか。えーと本当にいいのか?

「ちくしょー。時間があらへん」と継男は、笑顔の怖い夏木家から撤退。最後は、自分をバカにした池波志乃ことえり子の家を襲撃だあ。なんの事情も知らない旦那さんが「やめんかあ」と立ちはだかる中、「どいてくれや、おっつあん。どいてくれや」と継男は思わず発砲。旦那さんの頭も、思わずキレイさっぱりはじけ飛んでしまうと言うものです。ぎゃあああ。逃げ回る池波志乃を撃ち倒す継男。池波志乃は、こけた衝撃で、股を開いてひっくりかえっていますよ。ぐいっ。その股間に銃口をあてる継男。「ここがいかんのや」。バーン。無音のまま、キラキラと舞う血しぶき。ああ、キレイ……なワケない。

鎮守の森に戻った継男は、えぐえぐしている"やすよ"に言います。「終わったんや。肝心な奴、やれなんだ」。「もう、やめてっ」。「俺はこれで終わりや」。と、いきなり"やすよ"のお腹に耳をあてる継男。「心臓の音や。俺には良う聞こえる」。えーと、やすよは継男の子供を身ごもったんですね。しかし、それを察知する継男の能力、おそるべし。妄想かもしれないけど。

ともあれ、やすよを残し、村を見下ろす高台にあがった継男は、猟銃を口に咥え、足の指を引き金にかけて、言うのです。
「皆様方よ。さようならで御座りますよ」
バーン。銃声が響きます。


ずばり、この映画のポイントは3つ。

一つ目は池波志乃と五月みどりのエロ対決。これは、自然にエロい池波志乃に、あれこれと技巧に走り過ぎて、嘘くささ全開な五月みどりって感じで、軍配は池波志乃に上がるような気がします。それに、池波志乃の演技は凄すぎます。オッパイ担当として十二分な活躍のうえ、いわゆるアヘ顔が破壊力ありすぎ。もし「俺は熟女のアヘ顔に命を懸けてるんだ」という人がいらっしゃいましたら、ぜひ。わたしは、ちょっと引きましたけど。

二つ目は、もちろん売りであろう、最後のノンストップな虐殺シーン。この疾走感というか、隙のないタイトな演出はなかなかのものです。もちろん、現実の世界で、あれこれ悲劇的な事件が起きているなか、これを「面白い」と言ってしまうのは、いかにもまずいです。下手すると鬼畜とか、空気を読まない奴とか、「おエライ人たち」から批判の対象にもなるでしょう。ですから、小さい声で言いますね。えーと、すっごく面白い。……。ふう、言ってやった。

この映画、三つ目の見どころ。個人的には、これが僕にとっての一番の見どころだったのですが、それは田中美佐子の美しさ。もう文句のつけようがありません。インタビューとか見ると、現実の田中美佐子さんはけっこう男っぽい性格のようですが、この映画に焼き付けられた田中美佐子さんは、まさに可憐のひとこと。とてつもなく可憐かつ美しいひとが、さらにオッパイ丸出しってのは、どうなんでしょう。鼻血でも出せってことですか。ああ、出してやるよ。鼻血ドバーで御座りますよ。

ま、最後にちょっとマジメになります。現実の「津山三十人殺し」に関しては、とうぜん、犯人も自殺しているし、関係者の「ほとんど」が殺されている以上、真実は闇の中です。しかし映画的には、そこに何か道筋をつけたい、理由づけをしたい、ということになります。そのため、徴兵検査に落ちた屈辱であるとか、夜這いにまつわるモメごと、さらには村人のリンチ問題まで出してくるわけです。でも、僕は、そのどれにも決定的な「動機」を見いだせなかった、というのが事実です。なぜ人は大量殺人をするのか。そこに合理的な理由づけはできるのか。これは単に犯人がシリアルキラーというかサイコパスだった、という理解でいいんじゃないのかなあ、と考えたりもして。そっちの方が、より不気味さは増したと思います。

 

 

 

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お休み中

2012-11-01 | お知らせ・お詫び
いくらおにぎりブログはお休み中です。

その代り、こちら↓で日記を書いてます。
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【映画】汚れた英雄

2011-10-24 | 邦画 や~わ行
【「汚れた英雄」角川春樹 1982】を観ました

おはなし
へい、SUGOは燃えてるぜ。空前のデッドヒートにSUGOは揺れてるぜ。

いろんな意味で「天才」な角川春樹の初監督作品です。さすが天才だけあって、凡人には、よくワカンナイ部分もありますが、それもまた良しということでひとつ。


最初にテロップが出ます。

マシーンを愛し
ロードレースを愛し
サーキットに散った戦士たちよ
いま
鎮魂の譜を捧げます

さすが天才、角川春樹。開始1秒でネタばらしをするとは、スゴすぎ。

さて、暗い中、座っている男のシルエットが映し出されました。ジーッ。革ツナギのジッパーを首まで上げ、そして「パチッ」。首元のスナップを止めた男はゆっくりと立ち上がり、通路を歩いていきます。目の前の明かりに向って、一歩一歩。そして、ドアを開けると、そこは光と喧騒に満ちたSUGOサーキット。フオン、フオン。オートバイのレーシング(空ぶかし)が響き、メカニックたちがバイクの最終調整に余念がありません。男はゼッケン62のTZ500に向います。そう、男はレーサーの北野晶夫(草刈正雄)といい、これからTZ500を走らすレーシングライダーなのです。ヘルメットをかぶり、グローブをつけ、おっと、そこに音楽が流れてきましたよ。異常にノリのいいオープニング。聞いてるだけでワクワクしてくる「Riding high」(ローズマリー・バトラー)です。ちなみにYouTubeで「Riding high」って検索すると出てきますから、知らない人はぜひ一聴を。

ま、それはともあれ、押しがけでエンジンを始動し、コースに飛び出していくマシンたち。SUGOサーキットを一周してスタートラインにキレイに勢揃いです。おおっと、テディ片岡(伊武雅刀)のノリのいい場内実況が聞こえてきましたよ。

「ナウ、エブリバデー。ジス、イズ、ザ、メインレース。国際A級500cc決勝。全日本選手権ロードレースも迎えて今日で第8戦。2年間のブランクを乗り越えて不死鳥のように蘇った北野晶夫。プライベートエントリーにもかかわらずメーカーチームと互角に戦って、総合ポイント96点は堂々のポイントリーダー。その北野に3ポイントの差を追って、一昨年、昨年と2年連続チャンピオン、ヤマハの大木圭史が第2位……」。エ、エブリバデーって。なんか伊武雅刀の強烈なカタカナイングリッシュに腰が抜けそうな思いですが、ヤマハのファクトリーライダー大木圭史を演じるのが勝野洋ってのも、かなりのインパクトです。なんていうか、勝野洋とか永島敏行みたいなスポーツ刈り系はバイクに乗らんだろみたいな。

それはさておき、レースはスタートしました。ゼッケン62の北野。ゼッケン1の大木。そしてゼッケン20。お金持ちのボンボン、ジュニアこと鹿島(貞永敏)のバイクがレースをリードしていきます。もちろん、このレースシーンは、ヤマハの「ホンモノ」ライダーたちが吹き替えで走らせているので、非常に見応えがあります。もう、このままずっと観ていたいくらい。しかし、そこにテディ片岡こと伊武雅刀の場内実況が入ってきました。

「おっと速報だ。イエーイ。さっきの26週目で北野がついにコースレコード、最高ラップを叩きだした」

しかし、それは大木の策略だったのです。油断させといてドカン。北野がベストラップを刻んだのもつかの間。ワークスマシンのパワーを生かして大木が牙をむきました。「おっと大木が抜いた」「1位大木。2位北野。3位鹿島。まさにグレートレースだぜ。HAHAHA」。イエーイとかHAHAHAとかまったく。

そんなこんなで、ともあれレースは大木の勝ちに終わり、総合ポイントは北野と大木が同ポイント。決着は2週間後、またSUGOで行われるレースで決まるそうですよ。それにしても、スタンドで見ているガングロ女(朝加真由美)が横にいる執事(草薙幸二郎)に何やら耳打ちしているカットが、思わせぶりすぎて泣けてきます。

はい。レースが終わり、つかの間の休息。北野こと草刈正雄がプールサイドで、渋く水面を見つめていると、執事っぽい草薙幸二郎がやってきました。「わたくし、ミキモトグループのミキモトに仕えている亀谷と申します。実は会長のご息女、菜穂子さまがぜひ北野様とお食事したいと申しておりますが、明日のご都合はいかがでしょうか」。

ここで、意味なくテニスをしているガングロな菜穂子さまこと朝加真由美のショットを入れつつも、肝心要のお食事シーンをブッ飛ばすのが、さすが角川監督。エピソードのつながりなんて無視無視。よし、次いくぞ。

ということで、次の画面は新東京国際空港(今は成田国際空港)のエントランスに。ブロロー。草刈正雄の運転するBMWアルピナがやってきましたよ。それを見て、全身白黒の縦じま、フードまで縦じまな女(木の実ナナ)が叫びました。「アキオ」。そう、この着ぐるみというか、全身白黒マトリューシカみたいなカッコをした女は、高名なファッションデザイナーかつ草刈正雄の彼女の斎藤京子だったのです。トホホ。

さすがに車内ではフードを取った木の実ナナは、ハンドルを握る草刈正雄に声をかけます。「UPIの記者から聞いたわ。残念ね。最終戦はかならず見に行くわ」。木の実ナナのムンムン色気が漂いはじめました。「でも何だか疲れたわ」チラッ。木の実ナナが草刈正雄を熱く見つめてますよ。「そばにいて」。木の実ナナのムンムン色気でBMWは桃色マックス。

ということで、オシャレなホテルに投宿したふたり。月明かりの青白い光の中で抱き合っています。とはいえ、ロングショットで見えるのは草刈正雄の尻。木の実ナナのオッパイも見えるような気もしますが、米粒だよ。あくまで「よく」見えるのは草刈正雄の尻。

木の実ナナが寝ているうちに、とっとと部屋を出た草刈正雄はBMWで高速をブッ飛ばします。ブロロー。そして、いきなりイメージショットが挿入。暗い海に人間がポッカリ浮いています。実のところ、あとで、このショットの意味は明かされるものの、あまりにも唐突だ。そして画面はまたも唐突に草刈正雄の尻に。いえ、草刈正雄が室内プールにうつ伏せでポッカリ浮かんでいるんですけどね。とにかく角川監督は尻が好きだ。

クルンと回転してジャバジャバと平泳ぎをした草刈正雄は、室内プールから出ます。もちろんカメラは、プールから上がる草刈正雄の尻を執拗に撮影するのは言うまでもありません。プールから出た草刈正雄が黒いバスローブを着て、黒いタオルを頭からかぶると、そこに「Riding high」のカッチョいいメロディが流れ始めましたよ。プールに隣接するオシャレな部屋を歩き回りつつ、グラスに氷を入れ、ペリエを流し込み、ライムをググっとしぼる草刈正雄。あ、このシーンは「オシャレな生活」という記号みたいなもんですから。そして、草刈正雄はシャワーを浴びるのです。もちろん、カメラが背後から延々と尻を写し続けるのは当然すぎるくらい当然です。じゃじゃー。ついでに、どこのクリーニング屋だと思うくらいの、大量のスーツが回転式ハンガーに掛けられた衣裳部屋で、手際よくタキシードを選び出し、着用に及ぶ草刈正雄。とりあえず裸じゃなくなって良かったね。

はい、どどーんとゴージャスなパーティが開かれています。「レディースアンドジェントルメン」とカメオ出演らしい夏八木勲が声を張り上げましたよ。「今夜のプリンセスを紹介します。ミス、クリスティーン・アダムス」。はい、ゴージャスな金髪のお姉さん、クリスティーン・アダムス(レベッカ・ホールデン)がニッコリと微笑みます。「わが社のパーティにようこそ」。

そんな様子を見ていたタキシード姿の草刈正雄に木の実ナナは言います。「あの若さで10億ドルの遺産を独り占め。世界中に10万人の従業員のいるコングロマリットのオーナー、彼女こそ宇宙人だわ」。はい、説明くさいセリフありがとうございました。しかし草刈正雄はすでにレベッカさんのことを知っていたみたいですよ。「3年前、世界選手権のレセプションで会った」という草刈正雄に、木の実ナナは「そういうわけ」とムキーな感じです。さっそく「またお会いできましたね」とか言いつつレベッカさんに接近する草刈正雄。「二人きりで会いたい」「ムリだわ」。おやフラれたみたいですね。

仕方ないのでパーティ後に、木の実ナナと高級そうな飲み屋に行く草刈正雄。どれくらい高級そうかというと、世良譲が普通にピアノでBGMを弾いているくらいです。と、二人のテーブルに「お邪魔していいですか」とレースで3位だったホテル王の息子なジュニアが彼女連れでやってきましたよ。「北野さん、聞いていただけますか。あなたと初めて会ったのは4年前の世界選手権でした。2輪であなたほど速く走るライダーを見たことがありませんでした。それからずっと意識してきました。2輪の世界に入ったのもあなたという目標があったからです。北野さん、今度の最終戦かならず勝ちますよ」。いきなりの勝利宣言に木の実ナナが言い返します。「んふっ。アキオは今度のレースに全てを懸けてるわ。それでも自信がある?」。「ええ。北野さんに勝ったら、もうこの世界には興味がありません」。草刈正雄は渋くキメます。「ステキだね、ジュニア。いいかい。今の君は運がいいだけだ。怖さを知らない。一度か二度、地獄を見なきゃ」。

ということで、家に帰った草刈正雄は、プールサイドにおかれた、壊れたマシーンを触りながら回想モードに突入。それは世界選手権。コーナリング中にコテっと倒れた草刈正雄のマシーンは、ドッカーンと大炎上。草刈正雄はそのまま病院に担ぎ込まれ……。はい、現在に戻ると、草刈正雄が腕の傷が見えるように、すっごい不自然なポーズで座り込んでいます。ああ、この傷なんですね。

チャンチャチャチャ、チャンチャチャチャ。またも「Riding high」のシビレるオープニングが流れ始め、車道のど真ん中をジョギングしてくる草刈正雄が映し出されます。そしてバタフライマシンをガシガシ動かす草刈正雄。腕立て伏せをする草刈正。腹筋をする草刈。クロールで泳ぐ草。バーベルを持ち上げる"く"。最後はロッキーそっくりな感じで公園をダッシュだ。だあー。

はい、何事もなかったかのように、現代美術館を見物しているレベッカさん。等身大のオブジェがアチコチにおいてあります。と、どう考えても草刈正雄くさいオブジェがあるじゃありませんか。「フフフ。大理石に彫りたいわ。でもモデルに負けてしまいそう」とレベッカがオベッカを言うと、ムクリと動いたオブジェこと草刈正雄もニヤリと笑って言います。「僕がルノワールならすぐキミに脱いでもらうな」。トホホ、何言ってんだ。さらに草刈正雄はコッ恥ずかしいセリフを。「僕は泥棒だ。キミのハートを盗みにきた」。

ブロロー。BMWの助手席に乗っているレベッカさん。なんていい人だ。あんなコッ恥ずかしい台詞でも、デートの誘いに乗ってくれるなんて。そのまま海にやってきた二人は砂浜を歩きます。強引にチューをしようとする草刈正雄にレベッカさんは言います。「甘く見ないで欲しいわ。もうコリゴリ、プレイボーイには」。憤然として言い返す草刈正雄。「僕は違う」「それじゃ何なの?ジゴロ?」「あいあむあれーさー」。ああ、バカだ。バカがここにいる。ともあれ、強引にチューを続けようとした草刈正雄は、レベッカさんにピストルで脅かされてスゴスゴと退散です。

こじゃれたカントリー風の建物や納屋が立ち並ぶ一角。そこが草刈正雄のマシーン整備基地。というか、メカニックの雨宮(林ゆたか)や緒方(奥田瑛二)、奥さん(浅野温子)、こどもが住んでいるおうちです。と、そこに草刈正雄のBMWがやってきましたよ。さすがにレースも近いし少しはマジメにやんないとね。もっとも草刈正雄がムンムンしている間にも奥田瑛二はマジメに整備していたらしく「シリンダを後ろ向きにするのはうまくいったみたいだ」とか言ってますが。えーと、それはTZ500を後方排気に改造したってこと?なんかスゴいな。

ま、それはともあれ、奥田瑛二はマジメにやってますが、もう一人のチャンバー担当メカニックな林ゆたかは、頭の中が桃色状態で、仕事が手につかない状態。「今度は本当なんだ」と草刈正雄に言い訳をしています。「ブルース好きだろ、オレ。本物、歌うんだ、そいつ。えへっ」。いや、えへっじゃないから。そもそも君の趣味なんて知らんよ。今出てきたばかりのキャラの癖に。しかし、こと色事となると草刈正雄としては責める資格がコレっぽちもないので、お財布をまるごと渡して、「行ってきな」と言うのです。ありがとう、ドロドロー。ああメカニックはアメ車に乗って出かけちゃいました。

その後、奥田瑛二は元レーサーだったとか。事故で怪我をして足が不自由だとか。浅野温子は、その事故の時18歳で、事故の1時間後にこどもを産んだとか、かなりどうでもいい知識が手に入ったりします。さらに草刈正雄が勝野洋とグラビア撮影に臨むとか、もっとどうでもいい場面を経て、焦点はレベッカさんに。

はあ。味気ないひとりの食事に、思わずため息をついちゃうレベッカさん。と執事が来て言います。「お嬢様。北野さまからお花が届きましたが」。「運ばせて」とレベッカさんが答えると、執事は指をパッチン。はい、使用人さんたちが花を持ってきます。これでもか、これでもか。やり過ぎと思うくらいにお花で満ち溢れるお部屋。レベッカさんは、思わず「ファーンタスティック」。観てるこっちは、恥ずかしい。

パアアーン。2ストエンジンの咆哮。ゼッケン62、草刈正雄のマシンがテスト走行中です。ききーっ。ピットに戻ってきた草刈正雄は言います。「セッティングがバラバラだ」「全部ダメだ」。まあメカニックの一人が使い物にならないんじゃ当たり前ですよね。レースまであと一週間、間に合うんでしょうか。草刈正雄も厳しい顔です。と、スタンドでレベッカさんが見ているのに気づきましたよ。「じゃ、お疲れ」。イソイソと帰り支度をはじめちゃう草刈正雄。えーと、プロ意識とかはどこに。

一方、スタンドで見ていたレベッカさんは、スローモーションで走りながらつぶやきます。「アキオ、マシーンとセックスしているのね」。なんていうか、バカップルだ、この人たち。

画面が変わると暖炉の前に座っている草刈正雄とレベッカさん。草刈正雄は上半身裸で、レベッカさんは草刈正雄のワイシャツだけを羽織っている状態。えーと、おそらくレベッカさんは日本の、それもワケワカンナイ映画で脱ぐ気はもちろんラブシーンなんか撮られる気はなかったんでしょう。なんとなく、ポワワーンな感じで、画面はウヤムヤに。

はい、一戦終えた(と思ってほしい)翌朝。草刈正雄が外を見ていると、ベッドのレベッカさんが目覚めました。「アキオ」「ん?」「夢を見たわ「オーイヤー」「あなたと私が抱き合ってたの。でも最後に」「俺が死ぬんだろ」「アキオ。アイラブユー」。ずずーん。また、謎の暗い海のイメージショット。

草刈正雄の努力は報われたようです。数日後、執事に「パットン。この小切手を届けて」と命令するレベッカさん。それもなんと10万ドルです。レベッカさんは寂しそうにつぶやきます。「アキオ、ドコにいるの」。

はい草刈正雄は謎の真っ赤な部屋でタバコをくゆらせています。横の赤いソファーには真っ裸で横たわるミキモトのお嬢様こと朝加真由美。そして、映ったらマズイ股間を何で隠しているかというと、赤ワインの満たされたワイングラスですよ、奥さん。なんていうか、これってゴージャス?さて、草刈正雄がスタスタと部屋から出ていくと、あらら、ここは豪華ヨットだったようですよ。執事の草薙幸二郎が横シマシャツにジャケット、マドロス帽子というスタイルで、すっかり船長さん気分みたいです。なぜ執事なのに、こんなカッコ。ミキモトの旦那さまに見つかったらドヤされますよ。

草刈正雄が遊んでいる間にも奥田瑛二は仕事をしていたようです。パアアーーン。テスト走行からピットに戻ってきた草刈正雄に奥田瑛二は聞きます。「どう?」「まあな」。浅野温子が横から言います。「どうにかグランプリに間に合いそうね」「いや、まだ問題は残ってる。雨宮は?」。

はい、その雨宮こと林ゆたかは横浜のオシャレなバーにいました。迎えにいった草刈正雄と、赤レンガ倉庫の前で語り合っちゃいます。「オンナがさ。ブルース歌ってるオンナがゴメンって言うんだよ。男がいるんだって。笑っちゃったよ。ぶん殴る前に笑っちゃったよ」。ゆたか、それオンナとちゃう。ただの片思いや。ともあれ、ゆたかはダメっぽいので、草刈正雄は乗ってきたオフロードバイク(DT200)の鍵を無言で渡します。受け取ったゆたかは言います。「俺、アキオといたかったよ。完璧なレースをするためのパーツでいたかった。アキオが一番大事な時に何もしてやれなくて、今度の最終戦がんばってくれよな」。パララン。パララン。名残惜しそうに草刈正雄の周りをクルクル回ったゆたかは、そのまま去っていくのでした。パララーン。

はい、レースウィークに突入しました。SUGOサーキットには、各チームが勢揃いです。決勝前日も遅くまで作業をしている奥田瑛二。いっぽう、奥さんの浅野温子は草刈正雄の部屋にとつげーき。「少し…いていいかな」。そう、明日のレースが終わると奥田一家と草刈正雄の契約はおしまいなのです。「この2年間、楽しかったわ。アキオと一緒にいたかった」。いかにもオチる気満々な浅野温子に草刈正雄は自分語りを始めましたよ。「ガキの頃、親父とお袋が死んでオジのうちで育てられた。下町の修理工場だ」。で、家の手伝いをしなくてはならなかったので、海で泳げなかったとグチる草刈正雄。せいぜい海に行けるとしたら、仕事がヒマな雨の日だけ。「来る年も来る年も誰もいない海で泳いだ」と渋くキメる草刈正雄。なるほど、時々意味ありげに挿入されるショットはそういう意味だったんですね。まあ、だからどうした感がつよく漂いますけど。あ、これで、このシーンは終わるので、さすがの草刈正雄も浅野温子には手をださなかったようです。と言うか、そうであって欲しい。

プープカプー。鼓笛隊が練り歩き、ポリスの恰好をしたハーレー親父たちがパレードをしています。華やかな雰囲気のなか、いよいよこれから決勝戦です。プップー。クラクションを鳴らしながら木の実ナナがポルシェでやってきました。赤ワインで股間を隠す女こと朝加真由美も運転手つきのベンツで到着。そして「ばばばばば」、おお、レベッカさんもヘリコプターから降り立ちましたよ。

レース前のコンセントレーション儀式を終え、グリッドについた草刈正雄。ハアハア。ヘルメット越しに聞こえる荒い息遣い。ドクドク。高鳴る鼓動。木の実ナナ。赤ワインで股間を隠す女。レベッカさん。みんなが見守る中、スタートシグナルが赤から緑へ。一斉にマシーンを押して走り出すレーサーたち。5歩、6歩。エンジンが始動したバイクは白煙を巻き上げてコースを駆け抜けていきます。ゼッケン1の勝野洋。ゼッケン20のジュニア。ゼッケン62のマシンはまだエンジンに火が入りません。「アキオーっ」。こどもが絶叫すると、ようやくゼッケン62は白煙を巻き上げてスタートしました。だいぶ遅れてしまいました。追いつけるのか。

はい、ここからのレースシーンは文句なく素晴らしい。草刈正雄というか、スタントの平忠彦が長身を折り曲げるようにマシンと一体になって走るさまは、問答無用のカッコよさです。

草刈正雄が猛然と追い上げ、レースはゼッケン20のジュニア、ゼッケン1の勝野洋、そしてゼッケン62の三つ巴の戦いになりました。息詰まる戦い。と、その時、ゼッケン62がヘアピンで転倒。

テディ片岡こと伊武雅刀が叫びます。「エブリバデー、リッスン。アンアクシデント。悲しいアクシデントが起こったぜ。北野晶夫、ヘアピンで転倒」。思わず十字をきるレベッカさん。コースマーシャルが草刈正雄のマシンに駆け寄っていきます。と、草刈正雄はガバっと起き上がり、マシンにまたがりました。よいしょよいしょ。長い脚で強引にマシンを前に進めると、ボボッ、ボボッ、パララーン。エンジン始動。そのままレースに復帰です。「ヘイ、リッスン。フェニックスが飛んだ。北野晶夫がサーキットに戻ってきたぜ。あと36週。ゴー」。どうでもいいけど、カタカナ英語でリッスンはやめてけれ。

猛然と追い上げていく草刈正雄。そしてとうとう先頭の2台が見えるところに。「へい、SUGOは燃えてるぜ。空前のデッドヒートにSUGOは揺れてるぜ。ラスト1周。エブリバデー燃え尽きろ。ラスト1周。ゴーゴー」。

この展開に経験の浅いジュニアは焦ったようです。コーナーで痛恨の転倒。そのうえ、いきなりマシンが大爆発というおまけつき。え、なんで最終ラップで、ガソリン満載なのかって。いや、そんなこと気にしちゃいけません。イキオイがあればいいんです。イキオイが。そしてもちろんイキオイがあるのは草刈正雄。コーナーの切りかえしでとうとうゼッケン1の前に出ました。ジリジリと差をつけ、そして最後の直線。馬力で勝るゼッケン1のワークスマシンは、あらためてゼッケン62に迫っていきます。いけるのか。いけるのか。ゴーール。鼻の差でゴールラインを先に通過したのはゼッケン62、草刈正雄のマシンだったのです。

レベッカさんがうれし泣きをしている中、ウイニングランを終えた草刈正雄のマシンに観客が殺到します。うおおお。いや、すごい人数なんですけど。エキストラ何人いるんだ、これは。と、そんな中、ひっそりと救急車に運ばれていくジュニア。いつの間に抜け出したのか草刈正雄は言います。「地獄を見たかい。また戻ってこいよ」。

全ては終わりました。今は観客も去り、静かなSUGOサーキット。トランスポーターのトラック、ゼッケン62のマシン。そしてBMWがサーキットの上に並んでいます。「じゃあ行くよ」と言う奥田瑛二に、草刈正雄は万感の思いを込めて答えます。「2年間、ありがとう」。ブロロー。BMWに乗って去っていく奥田瑛二一家。って、ええっ?BMWあげちゃったの。っていうか、草刈正雄はトラックで帰るのか?と思いきや、そのままゼッケン62のレースマシンに乗って去っていく草刈正雄。たぶん、サーキットから外に出た瞬間、お巡りさんに捕まると思います。

テロップが出ます。
世界選手権ロードレース-500ccクラス- 北野晶夫
第1戦フランスGP リタイア
第2戦オーストリア リタイア
第3戦イギリスGP 15位
第4戦スペイン 6位
第5戦イタリア 2位
第6戦オランダTT 1位
第7戦ベルギーGP
7月2日午後3時11分 スパ・フランコルシャンサーキットにて北野晶夫死亡


大藪春彦の作品である以上、「絶対に」原作の半分は北野晶夫のおちんちんがらみだと思いますが、角川監督は、そこらへんうまくボカして、気持ちのいいレース映画を作ってくれました。繰り返しになりますが、レースシーンは最高にカッコイイです。オンボードカメラの迫力ある映像はシビれます。

もっとも、それ以外の部分に、「多少の」疑問が残るのも事実。
例えば草刈正雄が木の実ナナと一晩を過ごした翌朝のシーン。草刈正雄が窓の外を見ていると、そこに映るのが町なみと高速道路。すると「向こうから」BMWがやってくるのが映り、今度はBMWを運転している草刈正雄のカットに映ります。これはヨクナイ。この場合、BMWの後ろ姿を映し「向こうへと」去っていくようにすると、窓のカットから車中のカットまで視線の動きが一定になり、安定したシーンになると思います。

これ以外にも、おそらくはイメージ重視、カッコよさ重視で、カットを無造作につなげているシーンが散見されて、さすがデビュー作だし、技術的に荒いなあと思ったりする部分も多いです。もっとも、そういう角川監督を僕は嫌いじゃありません。照れずに、キッチリとカッコつけたシーンを撮るのも才能ですからね。観ている方が恥ずかしくなって、悶絶するのも、また良しです。

しかし、ひと言だけ。

どんだけ草刈正雄の尻が好きなんですか。

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【映画】子連れ狼 冥府魔道

2011-07-27 | 邦画 か行
【「子連れ狼 冥府魔道」三隅研次 1973】を観ました

おはなし
黒田藩のお世継ぎ騒動に巻き込まれる拝一刀(若山富三郎)。いっぽう、大五郎は大五郎で、思いっきりシバかれてしまい……。

若山富三郎版「子連れ狼シリーズ」の第5弾。サブタイトルの割には冥府魔道度の少ない作品です。というか、正確に言うと捨てネタを集めて、無理やり一本をでっち上げたような作品。個々のエピソードがバラバラな感じで、ちょっと残念。

ゴトゴトと乳母カーを押して歩いている拝一刀(若山富三郎)は、滝に打たれている修験者らしき男を見つけました。そして、男のものでしょうか、横に置いてある笠の中には、牛頭馬頭の描かれた布きれが。おお、これは子連れ狼を呼び出すヒミツのサインじゃありませんか。さっそく滝壺に降り、男に話しかける若山先生。

「卒爾ながら、その笠に下げたる牛頭馬頭の絵。子連れ狼をお探しか?」
男(戸浦六宏)はクルっと振り返り言います。「お手前が?」。「そう呼ばれておる」と若山先生が返事をした瞬間、戸浦六宏は斬りかかってきましたよ。しかし、若山先生の条件反射でサクっと斬りかえされてます。かなり弱めです。

「さ、さすがは子連れ狼こと元公儀介錯人、拝一刀どの。百両ござる。一殺、五百両と聞き及ぶ。刺客引き受け料の、これは5分の1。お受け取り願いたい」

「刺客依頼のための腕試しか」。そうそう、よくいるんです。無謀なチャレンジしてくるやつが。

「お手前を探し出すため、藩中の手練れ16名が、このように牛頭馬頭の絵をぶらさげて国元を発し、東海道および水路・海路に散ってござる。それがしは筑前、黒田家中にてあや、綾部右近と申す」

さらに、刺客引き受けの条件である「裏の事情」の説明も、残り4人の侍が若山先生に勝負を挑み、負けたら百両ずつ払って、説明するらしいです。それも、次の侍はあそこにいるよ!みたいな情報はゼロ。会えるかどうかは運しだい。勢い余って即死させたら、はいソレマデヨ。なんていうか、不確実すぎますよね。黒田家には、剣の手練れはいても、頭脳の手練れはいなかったんでしょうか。

ま、ともあれ目印になるという、オシャレな数珠ネックレスを渡して戸浦六宏は死に、若山先生は再び、ゴロゴロと乳母カーを押しながら旅を続けるのです。ゴロゴロ。ゴロゴロ。とある門前町にやってきた若山先生。寺院の塀に、ひとりの乞食がいますよ。もっとも、笠に牛頭馬頭の絵をぶら下げてますけど。これは、もしかして。チャリンと小銭を欠け茶碗に投げ入れると、案の定、乞食が話しかけてきました。「それがしは綾部右近と同じく、黒田藩近習頭、泉数馬と申す」。いや、どうみても、その顔は志賀勝。泉数馬なんてコジャレた名前が「まったく」似合ってないんですけど。ともあれ、そのカズマは伝書バトをカゴから離すと、「次なる刺客依頼人への連絡でござる」と言うのでした。ははあ、なるほど。手練れ16名のうち、志賀勝は単なる連絡要員なんですね。なるほど。

ということで、志賀勝から連絡をうけた刺客依頼人(石山律)が登場。「黒田家中、最上周助。未熟僭越ながら腕試しさせていただく。それがしに勝たれた場合は、その百両をお収めの上、お手数ながら数珠をかけられ、先に進まれい」「承知」。とりゃー、二刀流で斬りかかる石山律ですが、若山先生は得意の卑怯な手、刀投げを。えいっ。ひゅぅーグサっ。「筑前黒田五十二万石のご藩主は五歳の姫君でござる」「もし、このこと、ご公儀に知れればお家は断絶。姫を姫を、くっ」ガクっ。いや、姫をどうしろと。殺せばいいの?

夜、若山先生がたき火でトウモロコシを焼いていると、小柄(こづか)がパシュパシュと飛んできて、トウモロコシにぶっ刺さりました。「三人目の御仁か」と聞く若山先生に、男(内藤武敏)は答えます。「黒田家中、馬渡八郎と申す。百両はそれがしの懐中にござる。勝ち取られよ」。「承知」と言いつつ、ヤリを突き出す若山先生。うわっ、内藤武敏、一発でやられてるよ。やはり劇団民芸系ではアクションはムリだったか。

ま、それはともあれ、たき火に倒れこんだ内藤武敏は言います。「命が尽きるまでは、まだ間がござる。刺客依頼の裏の事情を息の絶えるまでお話いたそう」。いや、それより燃えてます。体が燃えてますってば。そんな燃える男、内藤武敏が語るのは、こんな話。元藩主が側室を寵愛し、どうしても、側室との間に生まれた、まだ五歳の子に後を継がせたくなった。と、ここまではよくある話だけど、問題は正妻との間にすでに嫡男がおり、側室との子は娘だったこと。そのうえ、元藩主は近所のお寺のお坊さん・慈恵和上に、娘を藩主にするというお墨付きを渡してあるとか。いやもう、自爆もいいとこな行動です。なにがしたいのか分からない。

さらに旅を続けている若山先生。今度は、向こうから男(山城新伍)が歩いてきましたよ。すわ、こいつが刺客依頼人、と思ったら、「お待ちなさい。この先の池に物騒な浪人がおりやす。箱車を押した子連れの浪人を待ち伏せているらしいんで。もし、旦那を狙ってるんなら、及ばずながら、あっしが助っ人させてもらいます」とか親切なことを言っています。おかしいなあ。この山城新伍は単なる親切な通行人なのかなあ。

山城新伍の情報どおり、池のほとりに刺客依頼人(天津敏)が待っていました。「黒田家中、菊池弥門と申す。ご貴殿、元公儀介錯人、拝一刀どのと申さば水鴎流の名手と聞き及ぶ。その奥義たる波切りの太刀なるものを見せてはいただけまいか。この目でしかと見届けておきたいのでござる」。しょうがないなあ。ちょっとだけだよ。ずぶずぶと池に入っていく二人。さあ、抜刀します。上段に構える天津敏に対し、徐々に腰を沈めていく若山先生。右手に持った刀も、今や水の中。と、天津敏が斬りかかろうとした瞬間、意外や意外、若山先生の刀が左側から飛び出しました。不意をつかれて斬られる天津敏。そう、波切りの太刀とは水中で、こっそり刀を持ち帰るという、なんていうかトホホな奥義だったみたいです。「お墨付きは慈恵和上が……」と天津敏は苦しい息のもと、語りだします。その語るところによれば、元藩主が尊崇していた慈恵和上とは、実は幕府のスパイマスター。そして鎌倉にある寺の落慶法要を名目に、すでにお墨付きを持って江戸に向っているとか。

ブクブクと天津敏が沈んでいくと、そこに、親切な山城新伍がやってきましたよ。「お疲れでしょう。どうです、良かったらお茶でも」「いただこう」。あ、お茶を飲んだ若山先生が、ズッテーンとひっくり返ってます。うむ、あまりにお約束な展開だ。山城新伍は笠から折りたたまれていた牛頭馬頭の絵を「わざわざ」引っ張り出し、「いかに拝一刀どの。やはり隙がござったな。キレンゲツツジとトリカブトの猛毒を混じた茶を飲んだ以上、もはや助かるすべはない。われらあらゆるすべで貴殿を試す所存でござった、お許しくだされ。筑前黒田家中、小石勘兵衛、とどめを仕る」グサッ。と、刺されているのは山城新伍の方。そして若山先生はプッとお茶を吐き出しています。さすがです。

「じ、慈恵和上を斬って、お墨付きを。お墨付きは慈恵和上が手に持つ経筒の中に」くわっ。

ということで、旅の途中の慈恵和上を追って、とある大寺のある町にやってきた若山先生。さっそく、慈恵和上がお経をあげているところに忍び込みます。刀のつかを握り、「お命頂戴仕る」と言った瞬間、しかし、BGMがヘンなサイケサウンドに。ぬぬぬ、刀が抜けないっ。と、慈恵和上(大滝秀治)が、いかにも大滝秀治な感じで言い出しましたよ。
「無であるものを斬ることはできぬ。主観と客観をひとつにし、己を忘れ、無と己をひとつになし、内外打成の一片となったこの身を斬ることはできぬ。仏に会うては仏を殺し、父母に会うても、これを殺す。しかして無じゃ。ただ刺客道の無門関たらん」。はあ?なに言ってんの、って感じなんですけど、とにかく大滝秀治の、あの錆びたような声で言われると、なんかスゴイ気がしてくるのが不思議です。

そんなこんなで、若山先生がスゴスゴと逃げ帰っている間、大五郎は乳母カーを抜け出し、町の探索に励んでいます。折しも夏祭りの真っ最中。ろくろ首などの見世物、金魚釣り、子供の喜ぶもの満載です。と、ここでもう一人というか二人。夏祭りを満喫している者がいました。江戸から来た美貌の女スリ、早変わりのお葉(佐藤友美)と、その子分、ほくろの留吉(潮健児)です。あちらこちらで財布をスリとっては、後ろ手で、子分の潮健児に渡していく佐藤友美。これなら、仮に騒がれても肝心の財布を持っていないんだから、安心というものです。しかし、この町には、そんな佐藤友美をはるばる江戸から追ってきた、名岡っ引き・心の字の洗蔵(山内明)もいたのでした。って、この映画は、何の映画だっけ。

さて、快調にスリまくっている佐藤友美ですが、侍からスった財布を潮健児に渡そうと思ったら、アレレいないわ。そう、常に背後にいて財布を受け取るはずが、立ちションベンをしてて、いなかったのです。むきー。さらに間の悪いことに、侍がスラれたことに気づき、「あの女、スリだあ。スリだあ」と叫びだしました。その声を聞きつけ、岡っ引きの山内明までダッシュしてきます。ど、ど、ど、どうしよう。路地を逃げまくりながら、あたりを見回す佐藤友美。あっ、あんなところに子供が。それもトロそうなのが一匹。早速、大五郎に駆け寄り財布を握らせ、佐藤友美は言います。「坊や、イイ子だからちょいとコレ、預かっといとくれ。ねえ、誰にも言うんじゃないよ。約束だよ」。スタタと逃げ去った佐藤友美を見るでもなく、大五郎はキリリとした表情で、お財布を持って棒立ちしているのでした。もちろん、後を追ってきた被害者や山内明たちにとっ捕まる大五郎。
「それはワシの紙入れだ。おのれ、小童」「なあぼうず。どんな姉ちゃんがこの紙入れをおめえに預けていった。おいちゃんに教えてくれ」。しかし、完全黙秘を貫く大五郎に、「こいつは臭えな。もしかしたら、お葉の身内かもしれません」と山内明は疑いの目を。ま、そりゃそうだ。よーし、公開敲き(たたき)をするぞぉ。

はい。まるでエルサレムの群集の前にイエスが曝されたように、群集の前に曝される大五郎。ほら、白状しないと叩いちゃうぞ。しかし、大五郎はギロリと睨むだけで、何も言おうとしませんよ。「この子は怯えもせぬ」「恐ろしく気丈な子だぜ」とみんながどよめいている中、執行人が棒を振り上げましたよ。と、その時、群集の中から佐藤友美が飛び出してきました。「お待ちくださいませ。あたしが早変わりのお葉です。どうか、その子を」。これには岡っ引きの山内明もニンマリ。「よく名乗りでたな、お葉。名乗りでたからにゃ、お上にもご慈悲というものがあるぜ」。しかし、ここで問題が。唯一の証人である大五郎があくまで口を割らないこと。「なあぼうず。おめえが紙入れを預かったのは、あのお姉ちゃんだな」「違う」「ぼうや、なぜ」「違う」。キリリとした表情で、「ちぃーがうっ」と言い続ける大五郎に、みんな困り顔です。えーと、どうする。うーん、叩くしかないかなあ。とりゃっ、ビシィーっ。とりゃっ、ビシィーっ。叩かれる大五郎の姿に、みんなドン引き状態。と、山内明は思いつきました。「お葉。てめえ紙入れをこの子に預けるとき、なんて言ったんだ」「ただ、預かっといとくれと。誰にも言うんじゃない。約束だよ、とも申しました」。ピーン、それだっ。この全員がドン引きの状態を脱するにはそれしかない。このぼうずは約束を守ろうと口を噤んでいるんだ。なーんてエライ子なんだろう。ねえ、みなさん。なんかよく分からないまま、帰ることを許される大五郎。もう、群集も拍手で送っちゃいますよ。パチパチ。あ、群集の中に満足そうな顔をした若山先生がいるのはヒミツです。

乳母カーに戻って、若山先生と合流した大五郎。「ちゃん」「……」。無言のまま大五郎を手をつないだ若山先生は、残った手で乳母カーを押しつつ、夕日の中を歩いていくのです。

ま、それはともあれ、大滝秀治ボイスに負けた若山先生は、荒れ寺の御堂で瞑想中。と、そこに色っぽい女がやってきたのです。「黒田藩、松丸君つき不知火」と名乗った女(安田道代)は、若山先生に鎖攻撃を仕掛けてきました。腕に、そして首に、鎖がからみつき、微妙にピンチな感じの若山先生。「なにゆえ挑まんとする。これほどのことをする理由、申されよ」。それに応えて三味線から五百両を取り出した安田道代は、驚く依頼を口にするのでした。「斬っていただきたいのは、五歳の御子、その父、その母」。さあ、子供を斬れるの?と挑発的な安田道代に若山先生は、低い声で答えます。
「我ら親子、共に選びし修羅の道なれば、六道四生順逆の境はもとより覚悟のうえ。冥府魔道に生きておる」。

しかし、まずは大滝秀治をどうにかしないといけませんね。ちょうど、大滝秀治と、そのお供たちは五六艘の舟を連ねて川を渡るところ。対岸にはお墨付き受け取りのため、柳生烈堂(大木実)が待ち構えており、今がラストかつベストチャンス。さっそく、着物を脱ぐ若山先生。髻を解いてザンバラになった髪、そして乳まで隠す下着を見ると、まるで太った水着ギャルみたいなのが、骨の髄まで笑えます。とまれ、乳母カーを川にドボンと入れた若山先生は大五郎に言います。「大五郎。冥府魔道に入る」。ざぶん。川に潜った若山先生は、そのまま潜水状態で、大滝秀治の舟の真下に。そして、巨大ガラス切りのような物体で、船底を丸く切りはじめました。ギーコ、ギーコ。その丸く切った穴の中心に座っていたのは大滝秀治。ちょうど底が抜けた瞬間、「良きかな、道を究めし者。良きかな、無門の関」とつぶやいた大滝秀治は、そのまま垂直に川に落ち、若山先生に刺し殺されるのです。

経筒を奪取した若山先生は、ピチピチとシャケが跳ねるように柳生と戦いつつ、冥府魔道からの脱出を図ります。しかし柳生烈堂だって負けてはいません。「おのれ、拝一刀を討ち取れ」。うわああああ。ワラワラと押し寄せる裏柳生のみなさん、しまった、かこまれた。このままじゃ。と、その時、面頬(戦国マスク)を付けた謎の騎馬隊が突っ込んできましたよ。「拝どの、ここは我らがお引き受け申す」。これがまた強いのなんの。ヤリを手にして、ザクザクと裏柳生のみなさんを突き殺していきますよ。思わず隠れていた烈堂はつぶやきます。「黒田面頬衆」。

お言葉に甘え、せっせと着物を着て、太った水着ギャルから子連れ狼に戻る若山先生。しかし、その隙に敵忍者が大事な経筒を奪ってしまいました。と、そこに忍者装束の安田道代が「拝さま、経筒はわたしが」と登場。シュタタタと敵忍者を追いかけていきます。頑張れよー。ちなみに、あれはスリかえた偽物だけど。

ということで、どこかの荒れ寺で若山先生がまったりしていると、天井裏から安田道代の声が聞こえてきました。「不知火でございます。黒鍬の後を追って、烈堂の宿所に参り、拝さま、鮮やかなお手並み、しかと見届けました。それにつき、今ひとつお願いがございます。事の仔細を問わずお聞き届けくださいますでしょうか」。まあ、翻訳すると、無駄足ふませやがって、言うこと聞けやコラってことですね。仕方ありません。「申されよ」と若山先生が答えると、天井から指示が飛びます。
「されば、そこにお持ちのお墨付き、お出しくださいませ」
はい出しました。
「お開きください」
はいよ、開いた。
と、そこに天井から謎の液体がしたたってきて、お墨付きの文字が、にじむわけでもなくあっという間に消えていくじゃありませんか。とりあえず安田汁と命名しておきますが、これは、いったい何の液体でしょうね。そして、最後に「拝さま、そのまま黒田にお持ちくださいませ」という声と共に、安田道代は安田汁をみやげに消えたのです。

と、そこに、今度は黒田面頬衆がやってきました。リーダー(須賀不二男)はお墨付きをくれと言い出します。さあ、困った。ちょっと前なら、お墨付きを渡して、ミッション完了だったんだけどな。安田汁のおかげで、今じゃお墨付きも単なる真っ白な紙になってしまいましたから、これを渡すわけにもいきません。仕方ない、安田道代が言ったとおり、これは自分で届けよう。

ばばーんと砂漠が映り、そこを馬で疾走する黒田面頬衆と若山先生。あ、もちろん乳母カーもソリをつけて、若山先生が引っ張っています。と、砂丘の向こうから、ギラギラと光が。うわっまぶしい。これは柳生のソーラ・システム。っていうか、みんなで刀で太陽光を反射させてるんですけどね。「拝どの、ここは我らが。いっときも早く黒田へ」。じゃあ、お言葉に甘えて。ハイヨー。パカラッパカラッ。

やってきました福岡城の大広間。左右には家臣が居流れ、中央には元藩主・黒田斉隆(加藤嘉)、松丸君こと実は姫君な5歳児、そして愛妾が並んでいます。「刺客子連れ狼こと拝一刀。これなるは一子、大五郎。ご当家ご依頼のもの、持参のうえ、ただいま推参仕った。お受け取り願いたい」と若山先生は折り目正しく挨拶をして、ついでにイヤミっぽく言います。「黒田ご藩主。松丸君はいずこにおわす」。家老(岡田英次)があわてて、「松丸君は御前に」とフォローしてみるものの、「それにござるは浜千代さま」と若山先生はフフンです。

まあ、そうなると、ああだこうだの後、「斬り捨てい」ってことになるわけで、お楽しみのチャンバラタイム。若山先生は華麗な剣さばきで、再び登場の志賀勝やらをバッサバッサと斬り捨てていきます。もう、イキオイ余って、胴体の輪切りとかもしちゃいますからね。まさに血まみれな感じ。最後には、リーダーの須賀不二男を倒し、ひと段落。ふう、今日もいい汗かいたぜ。

と、大広間でスプラッターな血まみれ大会が開かれている間、加藤嘉たちは、家老の岡田英次に案内され、御霊屋に逃げ込んでいました。さあ安心。と、そうではなかったようです。というのも、ここで家老は加藤嘉たちに切腹を「おすすめ」していますから。「とのっ」「いやだ、切腹はせんぞ」「殿、ご切腹を。なにとぞ、なにとぞ」。言葉のわりに、刀を持ってグイグイと腹に刺そうとしてくるから、真面目な家老はコワイ。「殿。お家のためでござる、なにとぞ」。と、そこに血まみれ大会を終えた若山先生も合流。あ、先生、介錯しちゃってください。こころえた。とりゃあ。加藤嘉の首がごろんごろん。浜千代姫と愛妾の首もごろんごろん。真面目な岡田英次は、丁寧に3つの首を並べて言うのです。「さすがは黒田候。名君でござった。立派にご切腹してお果てなされ申した」。

幽閉から解放されたホンモノの松丸君が見守るなか、乳母カーを押して去っていく若山先生。と、砂浜に着くと、そこに安田道代がいましたよ。ギロリ。安田道代を見た若山先生は言います。「不知火どの、陰腹を召されたな」。と、ここで念のため説明。陰腹とは、家臣が主君を諌めたりする時に、事前にこっそり自分の腹を切っておくこと。これで「私心のなさ」と「命がけ」であることを示すわけです。ま、それはともあれ、「拝さま。亡き殿のおあとに従い、これより黄泉の国へ、お供仕ります」という安田道代を残し、若山先生は小舟を漕ぎ出します。ギーコ、ギーコ。海に入って、それを見送っていた安田道代がくずおれると、海には真っ赤な血の色が広がるのでした。


単純に考えて、5人の刺客依頼人のエピソードは、連載漫画のネタ向きです。これなら、最低5回分は引っ張れるみたいな。また大五郎のエピソードも、唐突にとってつけた感じが否めません。そういった部分を除くと、このストーリーは、おどろくほど平板。拝一刀が依頼を受けた。斬った。終わり。なんですよね。

その分というか、出演者は多彩。佐藤友美と安田道代のダブルヒロインに始まり、大滝秀治、加藤嘉、内藤武敏、山内明など劇団民芸系の演劇人。そして東映の映画かと思うような、大木実、山城新伍、潮健児、志賀勝、天津敏といったメンバー。ついでに、ホンのちょい役で岡田英次まで出てくるんですから、これはどこのお正月ですか、って感じでした。

まあシリーズの中では、箸休め的な作品だと思っていただければ。


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