Lamdowa日記

ラムジョワが綴る日々の記録

村の日常〜祈りの風景

2011-04-03 00:25:43 | Weblog
今回訪れたのは冬季(農閑期)で人々は比較的ゆっくりとした日々を過ごしている時期だった。しかし、女性たちは相変わらず忙しそうに働く。

この周辺の村はほとんどすべての家が半農半牧で毎日牛の放牧の仕事があるし、夏場はそれに加えて作物の世話もある。家族総出でも人手が足りないのが常の様だ。

食べるものひとつとっても、お腹が空いたらすぐに食べられるものが中心で胃袋を満たす以外の楽しみはない・・・。(少なくとも日本人の私にとっては・・・)
一日3食という決まりもないから、みんな個々に食べたりしていて自由だ。

ゆっくり、家族みんなで時間をかけて食事をするイメージがあっただけに、現実はそうではないと知って少しショックを受けた。

ご飯事情ひとつとってもこの地で生きていく事の厳しさがわかる。

チベットには広い土地があっても、作物を育てるのに適した土地はほとんど無いと村人は言った。
そんな中人々は互いに助け合いながら生きている。助け合わなければ生きていけないという方が合っているかも知れない。





各家庭に30頭ほどいる牛の放牧の役割も村人が毎日交替で担っていた。
早朝に何百頭もの牛が村を出て、草原や山へ繰り出す。人よりもはるかに多い牛や馬の姿に圧倒される。

夕方牛たちは日が暮れる前に、列を成して来た道を引き返し、間違えることなく自分の家に帰る。家人が居なくても、閉まっているドアの前で待っていたりする。
毎日見ていて牛の賢さには本当に感心した。

人間と牛や馬たちがずっと昔から営んで来た生活は時代が変わった今も受け継がれている。遠い祖先は遊牧をしながらこの地に行き着いたのだろうか?

こちらの人々は名字を持たない。(チベットに名字を持つ人はほとんどいない)
しかし家単位で呼び合う‘屋号’は存在する。

日本における屋号と同じで、古くから地域に根付いた家の役割を名前として付けたものだ。名字がないので、この屋号が先祖の暮らしを知る唯一の手掛かりになる。
‘牛飼いの家’‘鉄工の家’‘大工の家’・・・・こんな感じだ。

ちなみに夫の実家は‘アムネーツァン’と呼ばれている。‘アムネ’とは一般的な出家僧ではないが、人が亡くなったら経をあげに行ったりする役目のある人の事を指すのだそうだ。それは今でも受け継がれており、義兄など法要や葬式に呼ばれて経をあげることもしばしばあると言っていた。在家の僧と言ったところだろうか?

ずっと昔から信心深い家系であったのかも知れない。義母も祈ることを生活の中心にしているし、一日おきの断食の修行など長年続けている。

揺るがない信仰の基礎は子供の頃から作り上げられてきたものだ。
‘あなたは何を信じているの?’とチベットの人々に聞かれるといつもしどろもどろになって恥ずかしい返答しかできない自分が情けない・・。


こんな自分ではあるけれど、少しでも人々と同じ想いを分かち合いたいと、時間があればお寺のコルラに出かけた。(*コルラとは聖地などのまわりを巡礼すること)

お寺を一周するルートの途中に小高い山があって、そこから見渡す風景が心地いい。
しばらく風に吹かれていると、どんな事も小さなものに思えるし、こだわりも消えていく。歩いていると知り合いの村人などと出会って一緒にお堂めぐりをした。


↑bora寺 中規模程度のお寺で、1周するのに40分ほどかかる。


↑山の上から見下ろす。お寺の全景。

彼らは熟練の人々だから歩くのも、マニ車を回すスピードも半端じゃない。
キリキリと音を立てて回り続けるマニ車を追いかけて、後から必死について言ったら
軽いめまいと動機におそわれて、視界がぼんやりしてしまった。
(ちなみにここの標高は3000M。これでもチベットにしては標高が低い方だ。)




前を行った村人たちは心配して私を待っていてくれた。

地元の人々は毎日お寺へやってくる。当たり前にある祈りの時間だ。
世界中の大部分の人々にとって現実的でないかもしれないけれど、わたしはこの時間が本当に豊かだと思う。

村の老人の集まるマニ堂には何人もの老女が出入りし、皆で世間話をし、その中心にはいつもマニが回っている。

マニ車が人々を結び付け、人々の祈りは来世へと繋がっていく。

厳しい場所で心豊かに暮らすためには、祈りの時間が何より大切なのだと知った。













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風に吹かれて
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