甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けるといいんですけど……。

写真や昔の切り抜きなどを発掘していきますね。

コンビニ人間とわたし

2017年03月17日 04時37分42秒 | 本のこと、あれこれ
 海音寺潮五郎さんの「大化の改新」(河出文庫)は、まだ読んでいます。だから、少しだけ古代史ブームでした。法隆寺に出かけたり、山辺の道をたどったり、三輪大社(大神神社)にお参りしたり、すぐに影響を受けて、わけのわからんことをしています。

 もう1ヶ月は読んでいます。そして、寝転んで読んでいると、2ページくらいでダウンして寝てしまいます。まさに睡眠薬になっています。ブームなんだか睡眠薬なんだか、こんな読書生活です。

 そんな私が、わりと短い期間で読めたのが、村田紗耶香さんの「コンビニ人間」でした。何日か前に、途中で報告を書きました。主人公・恵子と変な男・白羽との共同生活はどうなるのか? というところまでを書きました。

 昨夜、全部読み終えて、そういう形で終わるのかと感心し、これが今風なのかなと適当な感想に至りましたが、確かにそうでなきゃいけないのだと思われます。……私は、何を書きたいんでしょう?



 主人公・恵子は四十前の独身女性。ひとり暮らし。仕事はコンビニの店員。大学生だったときにオープン直前のお店にバイトで入り、社員にもならず、就職活動もしないままに(チャレンジはしたようですが、保障のないバイトのまま)十八年間勤め続けている。もうすべてが「店員」として働くための毎日で、食事も、睡眠も、休日も、店員としての生活を支えるためだけに行っている。

 第三者的には、どうしてそんなことで満足しているのか、そんな頼りない生活をするよりも、はっきりしたビジョンを持って、正社員として生活を成り立たせなければならない感じの人でした。

 そうした恵子さんの勤務生活に、突然新入りのさえない男・白羽がやってきます。仕事はさぼる。わけのわからない理屈は言う。きれいなおネエさんには目がない。店のスタッフとしては調和を乱す、とんでもない野郎でした。

 あまりにとんでもないので、辞めてもらうのですが、あいかわらず周辺には出没して、変質者まがいのあやしい行動をとっている。たまたま出くわした恵子さんは、無視すればいいのに声をかけ、どこにも行く当てのないその男に同情して、家に連れて帰ることにした。

 それは愛なのではなくて、とんでもない野良犬に出くわしたので、気まぐれで保護したような感覚です。一応男なので、変なことをしでかすのではないかという心配があります。けれどもこの男は、口ではえらそうなことを言っていますが、現実には何もできない、お金だってろくに使えないような、ただのオタクみたいな感じで、当然のことながら、恵子さんには手は出さないし、変な上から目線のもの言いをする。

 読者は、このとんでもない口だけの男をどうにかしてやりたいと思いつつ、どうにもできないでアホ犬を保護してやっている恵子さんのこれからを心配して読み進める、というところまででした。

 ある日、帰宅すると、赤い靴が玄関にあった。食えない男のくせに、女を連れ込んだのかと思ったら、そういうことができる人だったら、もっと違った人生が送れていたはずなのですが、白羽という男はそうではなくて、借金を返せという白羽の弟(兄だったかな、違うかな)の嫁であった。どうして潜伏先がわかったのかというと、スマホのGPS機能を利用して、白羽の行き先をつきとめ、金の催促に来たのだという。

 義理の妹は、恵子さんに、バイトでこんな男と同棲生活をしているのかと驚き、ちゃんとした暮らしをしなさいと提案して去る。

 主人公は、バイトを辞め、正社員をめざすが、2週間ほど、何をしたらいいのかわからなくなり、たまたま面接に出かけた時に、たまたま入ったコンビニで、自分の血と肉になっているコンビニの空気を味わい、コンビニ人間としてやっていかねばと悟り、変な男を切り捨て、自分らしさを取り戻す、というところで話は終わります。



 こうして自分を取り戻し、自分らしい生き方を手に入れられた、と喜ぶべきなのかもしれないのです。でも、それは社会的に見たら、きびしい立場で、実はこういう立場の人たちをたくさん抱えながら、今の私たちの社会がある。

 私はこうした若者たちのおかげで生きて行けているのだけれど、どうしたらこの若者群像にお返しができるのか、とても悩むところです。何もできていない私は、何人間なんでしょう。何かになりきって自分を支えているのか? 何もなりきれているものってない気がする。

 そして、今のある種の男たちって、どうして口先だけで何もできないのだろうとふがいなくなったり、なんだか複雑な気持ちになるお話でした。

 私は何人間? オタクの子らの将来はどうなるの? オッチャンの私は、若い人たちに何ができるの? あれこれ問いただされているような小説でした。

 
ジャンル:
びっくり
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 2017年春の旅 先生のあとを! | トップ | 一ノ関ふたたび 2017春 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

本のこと、あれこれ」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。