精神分析家のセラピー日記:ラカン精神科学研究所 福岡

精神分析家の進志崇献(しんしそうけん)が日々の雑感を綴ります。

世界一キライなあなたに (File.088)

2016-10-29 13:52:51 | 映画批評
こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

進志崇献(しんしそうけん):lacan.msl.f@gmail.com

映画「世界一キライなあなたに」は邦題で原題は「Me Before You」。

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まったくノーチェックの映画だったのですが、知人の推薦があり鑑賞してきました。

イギリスの大富豪の息子「ウィル」が事故で四肢麻痺になり、寝たきり生活を余儀なくされる。現代医学では治る見込みはなし。そこへ気を紛らわす為に雇われたのが「ルー」。田舎の素朴なオチャメギャルのルーがウィルに接する事により、洗練された女性に変身していく様を描く・・。

・・と、僕にはみえたのだが、この映画に関しては最終的には「ウィル」が安楽死の道を選択してしまうことから、各種団体から非難が浴びせられていると言う。

制作費うん十億円という映画でもないし、アクションや爆破シーンがあるわけでもないのだが、観て損したと言う気にはならない。よい映画だったと思う。

実は僕自身は、心的疾病から虎ノ門病院への入院経験がある。で、車椅子生活を経験した事もあるのだがの場合は、一生寝たきり、脳みそは正常で、超勝ち組生活から突然の、寝たきり生活への立場の変化が半端ない。更に、現代医学では治る見込みがないのだから「絶望するな」と言う方が酷な状況だ。僕は息が詰まりそうな不自由な白い壁の病室を抜け出し、病院から抜け出した時の外界のキラキラ度を今も覚えている。しかし「ウィル」はずっと暗黒世界から抜け出せないのだ。

大金持ちの父母が死んだら?世の中の体制が大きく変わったら?圧倒的な暴力に襲われたら?電動車椅子でしか移動できないのに、自力で車椅子に座る事もできないのに。自分で食事もできないのに、トイレにもいけないのに、洗面所にもいけないのに・・・

自分はなんの役にも立っていないのではないのか?

いないほうがいいのではないのか?

・・「ウィル」はこう思うに違いない。

人は、自分の存在意義を問う。

心理学には「自己同一性」アイデンティティと言う言葉がある。

「ウィル」の場合は、事故によって、アイデンティティが崩れた状態にある。

今、五体満足で、毎日飄々と生活している人間が、もし明日から寝たきり生活を送らねばならなくなったら、そして、それが死ぬまで続くとしたら・・普通の精神状態を保っていられる方が不思議だ。

ここで安楽死の是非を問う気はないし、生命の尊厳を語る気もない。

映画「世界一キライなあなたに」は、ある意味、観る者に残酷な現実を突きつける映画である。鑑賞後は、誰しもが「真摯に生きよう」と思うのではないだろうか?

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