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潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』 ④

2017年05月05日 | 潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』

潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』は「オックスフォードミステリー ルイス警部」のファンフィクです
潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』の続きです
読んでいない方はカテゴリー「潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』」で読めます→こちら

「オックスフォードミステリー ルイス警部」はAXNミステリーで放送しているドラマです→こちら
ホームページにキャストの説明がないのでざっと説明しておきます。
ジェームズ・ハサウェイ:このファンフィクの主人公。オックスフォード署ではルイス警部とバディを組んでいる、30代後半の長身でハンサムな刑事。かつて神父を目指して勉強していた。




 その日は18年生きてきた少年にとって最悪の日だった。たった一人愛してくれた叔母が死んだのだ。5歳で亡くなった両親に代わり愛情をかけて少年を育ててくれた。病気が悪化して入院した叔母を残して遠く離れた学校に進学し、3年ぶりに戻ってきたのが叔母の葬式だった。そして葬式に参列したのは彼だけ。ほかに誰もいない寂しい葬式が終ると、これでもうこの世に自分のことを気にかけてくれる人が誰もいなくなったことを実感した。激しい喪失感の中、少年は叔母の家には帰らず行くあてもなく歩いた。ただぶらぶらと歩きながら惨めな気分になっていた。疲れに気が付いたときにはもう日は傾き、周りには知らない景色が広がっていた。どこまで来たのか見当もつかない、どうやって来たのかも憶えていない。ひとけの無い寂しい道の脇で座って休んでいるうちいつの間にか眠ってしまった。
 起きたときには辺りは真っ暗で、時間もわからない。しかたなく歩き出すがお腹が減って大して歩かないうちに嫌になってまた座り込んだ。


 ポツンとある街灯の明かりの切れた辺りに人影が見える。おそらく男女だろう、抱き合っているように見える。
 二人はしばらくキスしたり抱き合ったりした後、名残惜しいように別れの言葉を言い合い、男の方は止めてある車に乗って去って行った。女が街灯の明かりが届く範囲にくると、それがまだ若く、少女くらいだということがわかった。少女は男の車が見えなくなると少年のいる方に向かって歩き始めた。
 少年の心臓が激しく動きだす。全速力で動いている心臓は激しい音を立て周りの闇を蹴散らしてしまいそうなくらいだ。しかし少女には聞こえない。彼女は何も知らずに近づいてくる。一歩一歩近づくたびに少年の心臓の音が大きくなる。
 とうとう少女の姿がすぐ目の前まで来て、少年の心臓も限界まで速度を上げて鼓動を打つようになると、体が動いた。勢いよく獣のような影が少女に飛びかかる。あまりにも意外なことが起きて少女は何も抵抗することなくその場に倒れ込む。少年の体は少女の上に覆いかぶさり、二人の心臓の音が響きあう。
 少女の目が今起きていることを理解しようと正面の顔を見つめる。その視線が少年の次の行動を誘発した。視線に恐怖を感じた少年はどうにかしようと手を伸ばす。手を伸ばして声を発する直前の少女の喉を押さえる。押さえた手に徐々に力が注がれ、少年の体の全てから力が手に移されて首に注がれ、そして握りしめた。握りしめた両手の間には細い少女の首がある。首はそれほど大きくない少年の手に対してもなお細かった。体中の力を集めた両手に絞められた首はどんどん細くなり、やがて息を通す空間もなくなり、少女の肺から空気がなくなった。
 鼻も口ももはや呼吸のために動くことを止めてしまっているから、少女の顔は赤から黒に変色していた。
 やがて少年は目の前の少女がピクリとも動かない物体に変化してしまったことに気付く。彼女は永遠に動かないただの物体になってしまったのだ。
 そうしてようやく少年は自分がしたことを理解した。命を奪ったのだ。
 しかし、それは妙に気分のいいものだった。朝から惨めな気分で占められていた少年の心は晴れていた。そこにあったのは達成感だったのか、あるいは征服欲を満たすことができた喜びだったのか。
 
 少年は手を開こうとした。動かなくなった少女の首に巻きついた両手の指を、食い込んだ首の肉の間から離そうとする。が、両手は自分の物ではなくなってしまったかのように動くのを拒否する。長い時間をかけて指を一本ずつ肉から離した。五本全部が肉から離れると今度は手のひらを離そうとした。これもまたなかなかいうことを聞かなかった。深呼吸して、もう一度深呼吸して、さらにもう一度。それから一気に両手を左右に大きく開いた。ようやく手は少女の死体から離れ自由になった。
 少女の上に馬乗りになったようなかっこうのまましばらく少年は目の前の戦利品を眺めた。いい眺めだったのか?さしていい眺めではなかった。もう動かないただの物体に興味は急速に削がれ、この邪魔なゴミをどこかに捨てなければいけないと思い始めていた。
 捨てる前に、捨てる前に何か、何か今日のこの出来事を記念するものを貰おう。頭の先からお腹の辺りまで見た。そして振り返って自分のお尻の向こうにある足の先までグルッと見回した。
何もない。欲しいものが何もない。つまらないな。しかたないか・・・少女の着ていたパーカーを剥ぎ取った。剥ぎ取って自分で着ると、少しは満足できた気がした。
 これからこのゴミを捨てなければ。どこに捨てよう。少年はしばらく考えてから少女の両手を持ち引きずった。鈍い摩擦音がする。そのまま道の脇の茂みまで彼女を引きずっていった。なんて重いんだろう。女の子って意外と重いんだな。もっと軽ければ動かすのも楽なのに。そんなことを考えながら。








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