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潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』 ⑨

2017年05月17日 | 潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』

潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』の続きです
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「オックスフォードミステリー ルイス警部」はAXNミステリーで放送しているドラマです→こちら
ホームページにキャストの説明がないのでざっと説明しておきます。
ジェームズ・ハサウェイ:このファンフィクの主人公。オックスフォード署ではルイス警部とバディを組んでいる、30代後半の長身でハンサムな刑事。かつて神父を目指して勉強していた。
ロバート・ルイス警部:ハサウェイのバディで上司。定年を間近に控えたベテラン刑事で熱血漢。
ホブソン監察医:ルイスの恋人の女性医師。
以上を頭に入れながらお読みください。





 夜になってからハサウェイはルイスに電話した。
「警部、他にも調べてほしいことがあるんです。」
「殺人事件に関係あることか?」
「そうです。ちょっと気になってることがあるんですが調べてもらった方がはっきりしたことが言えるんで。」
「何が知りたい?」
ハサウェイはロビンがかつて住んでいた地名をあげ、そこで何か事件が起こっていないか調べてほしいと頼んだ。

 翌日ハサウェイは教会から早めに帰り自宅で私服に着替えてから再び車で出かけた。もちろん誰かに見られていないか確認してから。昨日と同じ場所で車を止めると煙草を吸うために車を降りた。ハサウェイにとって神父の仕事で一番つらいのは煙草を吸えないことかもしれなかった。のどかな景色を眺めながら最後の一口を深く吸い込むと吸い殻をそのまま足元に落とした。靴で踏んで火を消しているとき後ろから声がした。
「えっ?!」
思いがけないことで驚いて振り向こうとした瞬間、するどい痛みが走ってその場に倒れ込んだ。

 ロビンは教会から帰るハサウェイを確認すると昨日の待ち合わせ場所に先回りした。そして茂みに隠れた直後ハサウェイの乗った車が現れた。様子を窺っていると、しばらくしてハサウェイが車から降り煙草を吸い始めたのが見えた。彼はしばらくのんびりと煙草を吸っていた。そんな彼の後ろまで音をたてないように細心の注意を払いながら近づき声をかけた。
「煙草のポイ捨てなんかしていいんですか、神父様が」
言い終わるか終らないかのタイミングでスタンガンを思い切りハサウェイの体に押し付けた。電流が流れる音がしてハサウェイがその場に倒れ込んだ。急いで手足を拘束すると朦朧としているハサウェイの口に液体を流し込んでから、抱え込むようにして車に乗せた。痩せてはいるけれど身長が高い分体重はある、そんな彼を車に乗せるのには少し手間取った。ここがもう少し人通りのあるところだったなら危険だっただろう。幸いなことに神父様は誰かと密会するつもりで寂しい場所を選んでいた。
 ロビンはハサウェイが乗ってきた車に彼を乗せて走り出した。後部座席で猿轡を噛まされた神父がしばらく呻いていたがやがて静かになった。

 ロビンが秘密のアトリエに着いたときには辺りは薄暗くなり始めていた。アトリエは町はずれの今は使われていない農家の納屋を勝手に使っている。元々寂しい場所だったが薄暗くなっているおかげで車からハサウェイを建物の中に移すのに手間取っても、人目につきづらく都合がよかった。ハサウェイは体が大きいうえに薬で眠っているので抱えて引きずるのも重く、体の小さいロビンには重労働で時間もかかったからだ。





 ルイスはホブソン医師のオフィスに顔を出した。
「どうしたの?」
「いや・・・特別用事はないんだが・・・」
ハサウェイの仕事のことは話せない。
「久々のデートだったんじゃなかったの?」
「えっ?」
「知ってるわよ。ハサウェイと会うことになってたんでしょ。」
「うん。実はそうなんだ。だけど来なかったんだよ。」
「すっぽかされていじけてるのか」
ホブソンの言葉は当たってる。ハサウェイに久しぶりに会うのが楽しみだったのに、待ち合わせ場所に現れなくて不機嫌になっているのだ。しかしそれだけではなかった。事件に関連することを調べてほしいと自分から言い出しておいて、連絡なしに来なかったのが気になっている。
「今度の殺人事件の話をすることになっていたんだ。」
ハサウェイはスコットランドヤードの仕事についていることになっていてロンドンにいることになっている。それがオックスフォードの殺人事件の情報を持っているのでは不自然だ。誤魔化そうとすると話の辻褄が合わなくなる。
「しょうがないなぁ男の人は。寂しいって正直に言えばいいのに。彼はロンドンの仕事が忙しいだけよ。今日は帰りにどこかで美味しいものでも食べてこうか。」
ホブソンは勘違いをして笑いながらルイスを慰めた。
 ルイスの携帯が鳴った。ハサウェイと会うまでに揃えるつもりの資料がようやく揃ったという部下からの連絡だった。システム障害で警察のデータベースにアクセスできなくて今頃になったのだ。ハサウェイにも結局会えなかったんだし、ちょうどよかったかもしれない、などと考えながら自分の仕事場に戻ることにした。
「ちょっと戻って資料に目を通してくる、どこに行くか決めててくれ。」
ホブソンは優しい目でルイスを見送る。彼女はずっとルイスとハサウェイの二人を見守ってきた。二人はいいコンビだと思っている。それが今は一時的とはいえ片割れが不在なのだから寂しくて当たり前だ。ハサウェイの早い帰還は彼女の願いでもあった。

 ルイスのデスクの上に載ってる資料に目を通した。ハサウェイが調べてほしいと言っていた場所5ヶ所のうち1ヶ所で未解決の殺人事件が起きていた。念のために近隣の市町村でも起きていないか調べたところ、2ヶ所で殺人事件が発生していて、うち1ヶ所は被疑者死亡、1ヶ所は未解決。しかも二つの殺人事件は猟奇的で、一つはバラバラに死体が切断され、もう一つは体中に火箸のようなもので傷がつけられた死体だった。こんな偶然はあり得ない。一体どうやってこの地名を手に入れたのだ。ハサウェイの携帯に電話してみるが、さっき待ち合わせ場所でしたときと一緒で電源が入っていない。ルイスの気持ちははやるが連絡がつかないことにはどうしようもない。

 ホブソンとルイスはちょっとしゃれた店で食事をしている。ルイスはオックスフォード署を出る前にハサウェイの配属された教会に電話をしてみた。時間が遅かったのか誰も電話には出なかった。しかたない、明日になってもハサウェイの携帯の電源が入っていなかったら位置情報を捜査することも考えよう。悪い予感がする。それから直接教会を訪ねてみよう。そんなことを考えながら食事をしているからホブソンが話しかけてきても上の空だった。結局何を食べたのかも憶えていなかった。







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