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入国制限「対象外」が示す、トランプ氏の中東政策  編集委員 松尾博文

2017年02月13日 23時48分12秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO12725260Z00C17A2000000/?n_cid=DSTPCS001

入国制限「対象外」が示す、トランプ氏の中東政策  編集委員 松尾博文
(1/2ページ)2017/2/13 6:30日本経済新聞 電子版

 トランプ米大統領が打ち出した、イランやイラクなど中東・アフリカ7カ国を対象とする入国制限措置が、米国内外で波紋を広げている。

トランプ米大統領は1月27日、難民や一部の国を対象とする入国制限措置を盛り込んだ大統領令に署名した=AP

 この問題はなぜ、7カ国が入国制限の対象なのかと同時に、エジプトやサウジアラビアなど、ほかの中東諸国がどうして対象にならなかったのかに目を向けることが必要だ。そこからトランプ政権が目指す中東政策の姿が見えてくるからだ。

 7カ国はオバマ政権の時代から、「テロ懸念国」に指定されていた。それを政権内の十分な議論や、議会への根回しもなく、大統領令で突然、入国を禁じてしまった。永住権や入国査証を持つ人まで足止めしたことで混乱が広がり、司法との対立にまで発展した。

■エジプト、サウジが外れた理由

 トランプ大統領は「テロリストを入国させないため」という。確かに米国でも爆弾テロや銃乱射事件が増えている。だが、この数年間におきた大規模テロで、対象7カ国の国民や出身者が明確に関与した事件はない。

 フロリダ州オーランドで昨年6月に起きた、米史上最多の犠牲者を出した銃乱射事件の犯人は、アフガニスタン系の両親を持つ米国生まれの男だった。13年のボストン・マラソンで起きた爆破事件はロシア・チェチェン出身の兄弟の犯行だった。

 アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)などのイスラム過激派は、イスラム教スンニ派が中心の組織だ。スンニ派の教義に沿ったイスラム国家樹立を掲げ、シーア派を敵視する。こうした組織にシーア派であるイラン人が加わることはまれだ。

 むしろ、2001年の米同時テロは実行犯19人中、15人がサウジ人、残りはアラブ首長国連邦(UAE)やエジプト、レバノンなどだった。ISに加わった外国人兵士は最盛期で3万人を超えたと言われる。出身国の上位に名を連ねるのはサウジやチュニジアだ。

 大統領令が安全対策を名目とするなら、こうした国々の出身者の入国審査こそ厳しくすべきだ。ところが、入国制限の対象から外しただけでなく、トランプ大統領はサウジのサルマン国王やUAEアブダビ首長国のムハンマド皇太子といち早く電話で会談。テロ対策や中東の安全保障、経済関係の拡大での連携を確認した。

 注目すべきはエジプトだ。トランプ大統領は1月23日にエジプトのシシ大統領と電話会談した。シシ大統領はトランプ氏が電話で会談した、最初のアラブ諸国の指導者であり、中東全体でもイスラエルのネタニヤフ首相に次ぐ。

トランプ大統領が打ち出した入国制限措置を巡って、抗議が相次いでいる=AP

 エジプトやサウジはオバマ政権下の米国と関係が冷え込んだ。シリア問題への対処や、イランとの関係改善に動くオバマ政権に不信感を抱いた。こうした国々はトランプ政権の誕生に関係改善の期待をにじませる。

 入国制限についても抑制した反応を見せる。UAEのアブドラ外相は入国制限は「米国の主権の範囲内での決定」と理解を示し、「対象国に課題があり、米国に問う前に自らを正さなければならない」と言い切った。

 トランプ政権は同じくオバマ政権下で冷却化したイスラエルとの関係を強化すると見られている。イランへの激しい敵意は、同国を安全保障上の重大な脅威とみるイスラエルと軌を一にする。だが、すべての中東・イスラム教国家と対立するわけではない。線引きがはっきりと見えつつある。

 国際開発センターの畑中美樹研究顧問は「トランプ政権は中東でイランの影響力抑制とISの壊滅に焦点を当てようとしている。そのために考えているのが主要な同盟国との関係の再構築だ。軍事・政治面の政策は米国、イスラエル、エジプトの枢軸を中心に展開されるだろう」と語る。

■「イランとイラクひとくくり」火種に

 トランプ政権下で塗り替わる中東地図。行方のかぎを握るのはイラクだ。

 すべてのイラク人を入国禁止とした措置に、誰よりも米国防総省と米軍が驚いた。米軍を中心とする有志連合とイラク軍はISの支配下にある同国第2の都市モスルの解放に向けた軍事作戦を進め、それが大詰めを迎えている。

 ISの掃討と治安の回復はイラク人の協力なしでは不可能だ。しかし、米国が武力でフセイン政権を打倒してから14年、国の分断が続くイラクで米軍への協力は命懸けだ。吹き荒れるテロの矛先は通訳や運転手ら米軍で働く関係者にも向かう。家族を含め、イラクで暮らせなくなる例も少なくない。

 こうした協力者にも門を閉ざす今回の措置は、イラクの人々の反米感情をますます刺激する。民主主義の名の下で戦後のイラクで起きたのは、国民構成で多数派を占めるシーア派の台頭だ。反米への傾斜は同じシーア派である隣国イランの影響力拡大をもたらす。

 イラクとイランをひとくくりに“敵対国”扱いにした大統領令は、地中海沿いのシリアやレバノンからイラクを経て、ペルシャ湾にいたるシーア派の国や勢力のつながり、いわゆる「シーア派ベルト」の結束を強める。これがサウジやエジプトなどスンニ派諸国との新たな緊張の最前線となる。


松尾博文(まつお・ひろふみ)
89年日本経済新聞社入社。エネルギーや商社、機械・プラントなどの業界や経済産業省、外務省などを取材。イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国に駐在した。現在は編集委員兼論説委員。エネルギー問題、インフラ輸出、中東・アフリカ情勢などを担当。
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