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アサヒは世界の土俵に残れるか 証券部 増野正俊

2016年10月12日 09時22分41秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08218790R11C16A0000000/?dg=1

アサヒは世界の土俵に残れるか
証券部 増野正俊
2016/10/12 5:30日本経済新聞 電子版

 10月10日、世界有数の巨大企業が誕生した。アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)。もともとビール世界最大手だったが第2位の英SABミラーを10兆円超で買収、さらに一段と巨大化した。対する国内シェア1位のアサヒグループホールディングス。キリンホールディングスとの激しい首位争いを制し、純利益で16期連続の最高益を見込むが、大インベブとの比較では大まかに売上高で3分の1、営業利益で12分の1、時価総額でも12分の1の存在に過ぎない。果たして世界9位のアサヒは、のみ込まれずに対峙し、世界という大きな土俵に残れるのだろうか?

アサヒグループHDが買収する「ペローニ」のビール(東京都豊島区の東武百貨店池袋店)=共同

 無論、手は打っている。インベブとの統合時の独占禁止法対策でSABミラーが売りに出した欧州のビール事業獲得を進めているのだ。まず今年2月。SABミラー傘下のイタリアの老舗ブランド「ペローニ」やオランダの「グロルシュ」など欧州ビール4社を年内にも買収することで合意した。お値段は約3000億円。さらに今月初め、会社側は「現時点で買収提案や応札に関する方針はない」とするが、SABミラーの東欧5カ国(チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア)の事業に対し、5000億円超で買収提案する方針が明らかになった。

 しめて、8000億円超の規模の大きな買い物。勝算は明確なのか。株式市場は材料を消化しかねている状況だ。アサヒの株価は東欧事業の買収が報じられて以来、3営業日で2%強下落。昨年8月の高値からは15%低い水準にある。

 消化難の原因の1つが、8000億円超という価格の妥当性だ。事の性質上、真相は不明だが、まず伊ペローニなどに3000億円を投じることを決定し、その後東欧事業が出てくるとそれにも5000億円超で手を上げるソロバン勘定は、はたから見ると分かりにくい部分もある。「欧州の主要ブランドが一気に手に入る千載一遇のチャンス」(外資系証券アナリスト)との見方もできるが、半面、やや前のめりに過ぎる印象もなくはない。

 アサヒはこれまで海外進出の遅れが指摘されてきた。2016年12月期の海外事業の営業利益見通しは48億円と、前期比では2.2倍に増えるが、キリン(同27%増の420億円)などとの差は大きい。だからこその思い切った一手なのだろうが、海外市場はただでさえ水もの。低成長が長引く欧州への注力には不安も残る。

 それでも「お買い得」なら話は別だ。買収金額のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)に対する倍率はどうか。東欧事業を例に取ると、具体的な数字は開示されておらず、証券アナリストによる見通しの試算も400億~650億円とばらついている。仮にEBITDAが400億円程度なら買収額はその約13倍に達するため、「単なる合算でなく、アサヒがブランド構築力や営業力を発揮し、売上高拡大につながる相乗効果が必要になる水準」(大手証券)となる。

 次に、8000億円超の買い物は懐事情にどう響くのか。机上の計算をしてみよう。16年度~18年度の中期経営方針によると、営業キャッシュフロー(CF)や保有資産売却などで、4700億円以上のCF創出が見込まれる。そこから3年間計で2000億円レベルの設備投資と、現行並みの配当総額を引くと、およそ1800億円程度のフリーCFが残る。足りない分は有利子負債で賄う訳だが、かつてアサヒの小路明善社長は日本経済新聞のインタビューで「DEレシオ(負債資本倍率)で(健全の目安とされる)1倍程度まで許容する。1兆円くらいまで負債は高められる」と語っている。

 16年6月末時点の有利子負債は約4000億円だから約6000億円の余地がある計算だ。フリーCFと有利子負債、それに現金及び預金(6月末時点で548億円)を合わせると約8300億円。欧州の2買収案件に8000億円超を投じたとしても、帳尻は合う。株式市場でも「財務面の問題はない」(野村証券の藤原悟史アナリスト)との声が多い。

 一方で裏返せば、これが限度額。東欧事業の入札には欧米ファンドやアジアのビールメーカーの応札も取り沙汰されており、買収額が6000億円、7000億円……と膨らむ「買収合戦」に発展する可能性も残る。その際どこまで勝負ができるのか、それとも大きな方向転換を余儀なくされるのか。株式市場は消化難を抱えたまま引き続き注視している。
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